【文献】
M. ZHOU et al.,Heat transport enhancement of thermal energy storage materials using graphene/ceramic composites,Carbon,2014年,75,314-321.,Available online 12 April 2014.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である請求項4記載の窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナの製造方法。
繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である請求項6記載の窒化アルミニウム化合物で被覆されたシート状アルミナ焼結体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミックスナノファイバーを使用した成形体は、機能性面及び製法面から活発な研究開発が行われている。特にセラミックスファイバーを加工した成形体は耐熱性、耐薬品性、強度に優れた特性を有しており、断熱材、防音材、フィルター、触媒担体等として工業的に幅広く使われている。さらには、基材となるセラミックスファイバーの長さや太さを制御することによって、より広い分野への用途展開が期待できる。特に粒子径がナノレベルのナノファイバーは、粒子径がμmレベルのマイクロファイバーと比較して比表面積が大きいことからマイクロファイバーにはない効果が期待できる。
【0003】
例えば、マイクロファイバーを集積してなるシート状物を濾過フィルターに使用すると、マイクロファイバー自身の超比表面積効果によりその濾過フィルターは圧力損失が小さくなることが知られている。また、マイクロファイバーの配向性、結晶化度の向上によりマイクロファイバーの集積体全体の電気的特性や力学的特性及び熱的特性が変化する。これによって、マイクロファイバーは、電極材、セパレーター等の電気エネルギー分野、有機EL、電子ペーパー等のエレクトロニクス分野、ドラックデリバリー、再生医療培地等の医療バイオ分野、吸着材、フィルター等の環境分野への応用が、期待できるが、アルミナを原料とするマイクロファイバーでは導電性を持たず、応用分野が限定されていた。
これらの解決の為、粒子状アルミナを化学気相成長法によりグラフェンで被覆したものが考案されているが、成形品の電気伝導度が最大でも7650S/mであることと、粒子であるため成形品として用いる際には、プレス加工、放電プラズマ焼結装置で焼成する必要があり、工業的に用いるには十分な性能を示しておらず、成形品として実用化するには煩雑な工程を必要としている(特許文献1)。
【0004】
また、電気回路上にアルミナを蒸着後に化学気相成長法によりグラフェンを積層して回路とする技術が公開されているが、この技術では電極等の大きな単体での形成品とすることは出来ない(特許文献2、3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況の中で、本発明者らは上記従来技術に鑑みて、工業的に優位な機能性を有するグラフェンで被覆されたアルミナ及び、これを原料とした窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナを開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、特定の形状を有するアルミナ粒子又は、アルミナ水和物粒子を炭素水素とともに加熱することにより、これまでにない工業的に大きな優位性のある、繊維状もしくは針状の形状を有する表面がグラフェンで被覆されたアルミナ及び、これを原料とした繊維状もしくは針状の形状を有する窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナを開発することに成功し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、下記要旨に係るものである。
(1) 表面がグラフェン又は窒化アルミニウム化合物で被覆された繊維状又は針状のアルミナ。
(2) 繊維状又は針状のアルミナが、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナである(1)記載のアルミナ。
(3) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子と炭化水素を、500℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とするグラフェンで被覆されたアルミナの製造方法。
(4) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である(3)記載のグラフェンで被覆されたアルミナの製造方法。
(5) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子を耐熱性基板又は合成樹脂製シート上に塗布したものと炭化水素を、500℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とするグラフェンで被覆されたシート状アルミナ焼結体の製造方法。
(6) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である(5)記載のグラフェンで被覆されたシート状アルミナ焼結体の製造方法。
(7) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子を合成樹脂に混合したものと炭化水素を、500℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とする電気伝導性及び/又は熱伝導性に優れたアルミナの製造方法。
(8) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である(7)に記載のアルミナの製造方法。
(9) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子と炭化水素を、500℃以上1200℃以下で加熱処理して得られるグラフェンで被覆されたアルミナとアンモニアを500℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナの製造方法。
(10) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である(9)記載の窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナの製造方法。
(11) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子を耐熱性基板又は合成樹脂製シート上に塗布したものと炭化水素を、500℃以上1200℃以下で化学的気相成長法で製造して得られるグラフェンで被覆されたシート状アルミナとアンモニアを500℃以上1200℃以下で加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム化合物で被覆されたシート状アルミナ焼結体の製造方法。
(12) 繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子である(11)に記載の窒化アルミニウム化合物で被覆されたシート状アルミナ焼結体の製造方法。
(13) (1)又は(2)に記載のアルミナを含むことを特徴とする電気伝導性又は熱伝導性組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、短径が1〜10nm、長径が100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000であり、繊維状もしくは針状の形状を有する表面がグラフェンで被覆されたアルミナ及び、表面が窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナを製造することが出来る。
【0009】
(2)本発明により、従来にないアルミナ製の表面積の大きな電気及び熱伝導体を製造することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明について更に詳細に説明するが本発明は、以下の説明により何ら限定されるものでは無い。
【0012】
本発明は、好ましくは短径が1〜10nm、長径が100〜10000nmで、アスペクト比(長径/短径)が30〜5000である、繊維状もしくは針状の形状を有するアルミナ水和物粒子を化学気相成長法により、前記形状を有した表面がグラフェンで被覆されアルミナを得、更に前記アルミナをアンモニア共存下で加熱することにより、前記形状を有する窒化アルミニウム化合物で被覆されたアルミナを得るものである。
【0013】
本発明における窒化アルミニウム化合物とは、アルミニウムナイトライド(AlN)又はアルミニウムオキシナイトライド(AlON)である。
【0014】
本発明の原料である繊維状もしくは針状の形状を有するアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子は、アルミニウムアルコキサイドを原料として、ゾルゲル法で合成された繊維状もしくは針状粒子からなる組成式Al
2O
3・nH
2O(n=1〜1.5)で表されるアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子であり、結晶系は、ベーマイトもしくは、擬ベーマイトである。
【0015】
上記アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子は、平均アスペクト比(長径/短径)が30〜5000、平均短径が1〜10nm、かつ平均長径が100〜10000nmである、繊維状もしくは針状のアルミナ粒子であり、アスペクト比が100〜3000で、平均短径が2〜5nmで、平均長径が500〜7000nmであることが好ましい。
【0016】
上記特徴を有するアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子は、公知の手法(特開2010−132519号公報、特開2012−036034号公報)にて製造することが出来るが、使用に際してはアルミナ水和物粒子の分散液を公知の手法にて分散媒を除いた単体として又は、繊維状や針状の形状が維持される範囲で乾燥、焼成してから用いても構わない。また、単体として用いる際に公知の方法をもって任意の形状に成形してから用いても構わない。
【0017】
原料のアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の平均繊維幅(短径)は、透過型電子顕微鏡、例えば商品名(TEM:日本電子製 JEM−2010F型)を用いて倍率71万倍でアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子を観察したときの観察視野内におけるアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の最も太い部分を「アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の幅」として測定する。測定個数は300本とし、個数分布を作成して個数平均値を平均繊維幅とする。
【0018】
一方、アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の平均繊維長(長径)は、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、商品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて倍率2500倍でアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子を観察したときのアルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の軸線長さを「アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の繊維長」として測定する。測定個数は300本とし、体積平均から算出した値を平均繊維長とする。アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)は、このようにして算出される平均繊維長を平均繊維幅で除して算出する。本願にて特徴とする、繊維状又は針状の形状を有するグラフェンで表面が被覆されたアルミナ及び、前記アルミナを原料とした窒化アルミニウムで表面が被覆されたアルミナも原料と同様に平均繊維幅、平均繊維長を測定した。
【0019】
グラフェン又は窒化アルミニウム化合物で表面が被覆されたアルミナの被覆層の幅は、透過型電子顕微鏡、例えば品名(TEM:日本電子製 JEM−2010F型)で観察することが出来る。
【0020】
上記アルミナ水和物粒子又はアルミナ粒子の分散媒として、分散液を作成できるものであれば特に限定されるものでは無く、汎用の物を使用することが出来る。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類、アセトンなどの脂肪族ケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類、N , N − ジメチルホルムアミド、N , N − ジメチルアセトアミド、N − メチルピロリドンなどのN − アルキルアミド類、グリセリン等が例示でき、単一もしくは複数の分散媒を組み合わせて使用できるが、経済性の面から、水、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリンが特に望ましい。
【0021】
本発明では、上記アルミナ水和物粒子を、500℃以上1200℃以下、特に700℃以上900℃以下で炭化水素とともに加熱することにより上記特徴を持つグラフェンで表面が被覆されたアルミナが得られる。
【0022】
上記炭化水素は、炭化水素ガスのみならず加熱時の温度にて熱分解により炭化水素を発生させるものであれば特に限定されるものでは無く、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素などの不活性ガス又は酸化を防止するための水素ガスから選ばれる少なくとも1種又は複数のガスが含まれていてもよい。使用可能な炭化水素は特に限定されないが、メタン、エタン、プロパン、ブテン、イソブテン、ブタジエン、エチレン、シクロペンタン、シクロヘキサン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレン、クメン、ナフタレン、アントラセン、天然ガス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール等の樹脂、セルロース等の天然繊維等などが挙げられ、経済性と入手性の面から特にメタン、プロパン、天然ガス、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、セルロースが容易に使用できる。
【0023】
本発明の特徴を持つグラフェンで被覆されたアルミナの単独のシート状焼結体を製造するには、繊維状又は針状のアルミナ粒子又はアルミナ水和物粒子を、耐熱性基板又は合成樹脂製シート上に塗布したものと炭化水素を500℃以上1200℃以下で化学的気相成長法で処理すればよい。
【0024】
本発明の耐熱性基板は、加熱条件で耐熱性を有していれば特に限定されるものでは無いが、シリコン、ガラス等が挙げられる。
【0025】
上記に挙げた合成樹脂製シートとして、樹脂フィルム、樹脂不織布、セルロースシート等を挙げることができるが、アルミナ水和物粒子又は分散液を目的の厚みとなるよう1回又は複数回で塗布し、必要に応じて乾燥後に不活性ガス及び又は、炭化水素ガス中で500℃以上1200℃以下、特に700℃以上900℃以下の条件で加熱処理すると合成樹脂製シートは熱分解により消失し、任意の均一な厚さのシート状焼結体を製造することが出来る。また、アルミナ水和物粒子分散液を基板上に目的の厚みとなるよう塗布し、乾燥後に自立膜を基板上から分離して炭化水素と共に上記条件で加熱処理することでも作成できる。本発明の特徴を持つグラフェンを基板上に形成する際に使用される基板は、加熱条件での耐熱性を有していれば特に限定されるものでは無いが、シリコン、ガラス等が挙げられる。
【0026】
上記アルミナ水和物粒子又は分散液を熱分解性の樹脂と混合し、任意の形状に形成後に、請求項記載の条件で加熱処理することにより任意の形状の焼結体を製造することが出来、特に混和性に優れたポリビニルアルコールと混合して使用するのが好ましい。
得られたグラフェンで表面が被覆されたアルミナは、公知の方法によりアルミナを除去することにより、グラフェンを単独で取り出すことが出来る。具体的には、苛性ソーダ等のアルカリ性水溶液を用いてアルミナを溶出させ、不溶物を洗浄、乾燥することにより単独のグラフェンが得られる。
【0027】
上記のグラフェンで表面が被覆されたアルミナのシート状焼結体は、150〜200m
2/gの比表面積、0.65〜150Ωの電気抵抗、水中室温で1ヵ月でも重量減少が無く、800℃において0.05%以下の熱膨張率、800℃において重量減少の無いバインダーを含まないこれまでにない電極材料であり、従来使用されていたものに比べて、大幅な小型化もしくは大容量な電池、キャパシタ又はコンデンサとすることが出来る。また、公知の方法により粉末状の焼結体もしくは、焼結体を粉砕した物を、機能性フィラーとしてカーボンブラックと同様に樹脂やゴムに配合することが出来、高い熱伝導性及び電気伝導性を付与することが出来る。
【0028】
本発明の特徴を持つ窒化アルミニウム化合物は、上記特徴を持つグラフェンで表面が被覆されたアルミナと、アンモニアを500℃以上1200℃以下、特に600℃以上 1000℃以下で加熱することにより製造することが出来る。
【0029】
上記アンモニアは、アンモニアガス又は上記加熱条件にてアンモニアを発生するものであれば特に限定されるものでは無く、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素などの不活性ガス又は酸化を防止するための水素ガスから選ばれる少なくとも1種又は複数のガスが含まれていてもよい。使用可能なアンモニア原料は特に限定されないが、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、絡酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム等の有機酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸アンモニウムが挙げられ、単体又は溶液として使用することが出来、1種又は複数を組み合わせて使用することが出来るが、経済性と入手性からはアンモニアガス、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムが好ましく、特にアンモニアガスが好ましい。
【0030】
上記窒化アルミニウム化合物で表面が被覆されたアルミナは、本願にて特徴とする温度範囲での製造では、原料の繊維状の形状が維持され、上記炭化アルミで表面が被覆されたアルミナ同様に透過型電子顕微鏡で繊維状又は針状の形状を有することが容易に確認できる。
【0031】
アルミナ表面でのアンモニア窒化は、以下のように公知(非特許文献:日本セラミックス協会学術論文誌,101(1172),377−382,1993−04−01)の反応で進行する。
【0032】
Al
2O
3+2NH
3+3C → 2AlN+3CO+3H
2
又は
Al
2O
3+2NH
3→2AlN+3H
2O
【0033】
更には、アルミナの表面が窒化アルミニウム化合物で被覆される際には、繊維状アルミナの長さ方向の最表面層に対して窒化アルミニウムがエピタキシャル成長していると思われる。
【0034】
上記の窒化アルミニウム化合物のシート状焼結体は、単体で150〜200の比表面積、導電性は無く、水中室温で1ヵ月でも重量減少及びアンモニアガスの発生が無く、800℃において0.01%以下の熱膨張率、800℃において重量減少の無いバインダーを含まないシートである。
【0035】
上記の窒化アルミニウム化合物で表面が被覆されたアルミナは、目的に応じて公知の方法により粉砕等を行い、繊維状又は針状の形状を持つ高熱伝導性フィラーとしても使用することが出来る。
【0036】
以下本発明を、実施例をもってより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
以下の実施例において、繊維状又は針状の炭化アルミニウム又は窒化アルミニウムの平均長径及び平均短径、及び、アスペクト比は、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
【0038】
測定は、以下の方法で行った。
XRD(Rigaku :MiniFlex600)、SEM(FE-SEM: 日立ハイテクノロジーズ S-4800)及び透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子製 JEM−2010F型)観察及びXPS(アルバックファイ:PHI500 VersaProbe)分析を行った。抵抗値の測定及び熱伝導率測定には、それぞれテスター(更には四端子法)、サーモグラファイー(更には熱線法)を用いて行った。
【実施例1】
【0039】
短径4nm、平均長径3000nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−3000)をステンレス製のバットに流し込み、120℃のオーブンで5時間乾燥した後にバットよりシートを剥がし、シート状の繊維状アルミナ自立膜を得た。
この繊維状アルミナ自立膜をメタンガス中800℃で1時間間加熱しグラフェンで表面が被覆された黒色のアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM: 日立ハイテクノロジーズ製 S-4800)で観察した結果、短径4nm、平均長径3000nm、平均アスペクト比が750の繊維状グラフェンの集合体であった。透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子製 JEM−2010F型)観察を行った所、繊維状アルミナ表面を全面にわたって厚さ1nm程度のグラフェンで被覆されていた。XPS(アルバックファイ製:PHI500 VersaProbe)で表面層の分析を行ったところ炭素が検出され、グラフェンが生成していることを確認した。シート状焼結体の抵抗値(四端子法測定)を測定したところ、0.65Ωとなり導電性であることを示した。比表面積は176m
2/gであった。得られたシート状焼結体を1ヵ月水中に保存したが、外観、重量に変化は見られず水層は白濁しなかった。
【実施例2】
【0040】
加熱温度を600℃に変更した以外は実施例1と同様に操作を行い、黒色の表面がグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径3000nm、平均アスペクト比が750のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例3】
【0041】
加熱温度を1000℃に変更した以外は実施例1と同様に操作を行い、黒色の表面がグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径3000nm、平均アスペクト比が750のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例4】
【0042】
メタンガスをメタンガスと窒素の1:1の混合ガスに変更した以外は実施例1と同様に操作を行い、黒色の表面がグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径3000nm、平均アスペクト比が750のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例5】
【0043】
原料を、短径4nm、平均長径1400nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−1000)に変更した以外は実施例1と同様に操作を行い、黒色の表面がグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径1400nm、平均アスペクト比が350のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例6】
【0044】
短径4nm、平均長径3000nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−3000)をステンレス製のバットに流し込み、120℃のオーブンで5時間乾燥した後にバットよりシートを剥がし、シート状の繊維状アルミナ自立膜を得た。このシートをロッキングミルで30分間粉砕を行い、繊維状アルミナの白色粉末を得た。
この繊維状アルミナ粉末をメタンガス中800℃で1時間加熱し、グラフェンで表面が被覆された黒色のアルミナの粉末を得た。
得られた粉末を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM: 日立ハイテクノロジーズ製 S-4800)で観察した結果、短径4nm、平均長径3000nm、平均アスペクト比が750のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。粉末の比表面積は、164m
2/gであった。粉末の熱伝導率を熱線法により測定したところ、0.07W/mKであった。粉末を水中で1ヵ月保管したが、外観に変化は見られず水層は白濁しなかった。
【実施例7】
【0045】
短径4nm、平均長径3000nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−3000)をシリコン単結晶基板に塗布した後に、120℃のオーブンで5時間乾燥した。
この基盤をメタンガス中800℃で1時間加熱したところ、鏡面を保持したまま透明感のある黒色塗工膜となった。この塗工膜の電気抵抗は、300Ωであった。
【実施例8】
【0046】
短径4nm、平均長径1400nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−1000)をポリエチレンテレフタレート製不織布(日本バイリーン(株)製)に塗布し、100℃の温風で30分間乾燥した。
このシートを窒素ガス中800℃で1時間加熱し、グラフェンで表面が被覆された黒色の繊維状アルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径1400nm、平均アスペクト比が350のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例9】
【0047】
短径4nm、平均長径1400nmの繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 繊維状ベーマイトゾルF−1000)10gにポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製)0.3gを加えた液をガラス板に塗布し、100℃のオーブンで30分間加熱した後にガラス板より剥がし繊維状アルミナの樹脂混合フィルムを得た。
この樹脂混合フィルムをメタンガス中800℃で3時間加熱し、グラフェンで表面が被覆された黒色の繊維状アルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径1400nm、平均アスペクト比が350のグラフェンで被覆された繊維状アルミナの集合体であった。
【実施例10】
【0048】
実施例1で得られたグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体と塩化アンモニウムを、窒素ガス中で800℃で1時間加熱し、窒化アルミニウムで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径1400nm、平均アスペクト比が350の繊維状窒化アルミニウムの集合体であった。電気抵抗:500Ω、比表面積:100〜180m
2/g、水中室温で1ヵ月でも重量減少及びガスの発生は無かった。曲げ強度は2〜3kgf/mm
2であった。
【実施例11】
【0049】
実施例1で得られたグラフェンで被覆されたアルミナのシート状焼結体を、アンモニアガス中で800℃で1時間加熱し、窒化アルミニウムで被覆されたアルミナのシート状焼結体を得た。
得られたシート状焼結体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、短径4nm、平均長径1400nm、平均アスペクト比が350の繊維状窒化アルミニウムの集合体であった。
【0050】
原料を、アルミナゾル(日産化学(株)製 アルミナゾル520)に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、反応が進行せず原料を回収した。なお、アルミナゾル520を電子顕微鏡で観察したところ、形状は粒状であった。焼成物は絶縁性であった。
【0051】
原料を、γアルミナ(ローディア製 MI−380)に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、反応がほとんど進行せず、焼成品の抵抗値を測定したところ3000Ωとなった。なお、MI−380を電子顕微鏡で観察したところ、形状は粒状であった。
【0052】
原料を、約10nmの粒状の粒子形状を持つアルミナゾル(川研ファインケミカル(株)製 アルミナゾル−10A)に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、反応が進行せず原料を回収した。焼成物は絶縁性であった。
【0053】
メタンガスを窒素ガスに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、反応が進行せず原料を回収した。焼成物は絶縁性であった。