特許第6185478号(P6185478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185478
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】光変調装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20170814BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20170814BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G02F1/01 D
   G02F1/13 505
   G02B21/06
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-546916(P2014-546916)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(86)【国際出願番号】JP2013078561
(87)【国際公開番号】WO2014077092
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-249371(P2012-249371)
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人科学技術振興機構、先端計測分析技術・機器開発プログラム、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 優
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−020098(JP,A)
【文献】 特開2010−151948(JP,A)
【文献】 特表2005−515878(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/036368(WO,A1)
【文献】 特開2001−272636(JP,A)
【文献】 米国特許第3476463(US,A)
【文献】 M. R. Beversluis, et al.,Programmable vector point-spread function engineering,Optics Express,2006年 4月 3日,Vol. 14, No. 7,pp.2650-2656
【文献】 H. Ren, et al.,Liquid-crystal-based linear polarization rotator,Applied Physics Letters,2007年 3月21日,Vol. 90, Issue 12, Article 121123,pp.1-3
【文献】 J. P. Kirk, et al.,Phase-Only Complex-Valued Spatial Filter,Journal of the Optical Society of America,1971年 8月 1日,Vol. 61, No. 8,pp.1023-1028
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/13,1/137−1/141,
1/29−1/335
Optics InfoBase
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第1の位相変調面を有し、強度変調を行うためのキノフォームが前記第1の位相変調面に表示され、前記第1の位相変調面に入射した光の位相を前記複数の領域毎に変調することにより第1の変調光を生成する第1の空間光変調器と、
前記第1の変調光のn次光成分(nは0を除く整数)を通過させるための光通過孔を有し、前記第1の変調光の0次光成分を遮蔽する部材と、
一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む偏光変調面を有し、前記部材の前記光通過孔を経て前記偏光変調面に入射した前記第1の変調光の偏光状態を前記複数の領域毎に変調することにより第2の変調光を生成する第2の空間光変調器と
を備える、光変調装置。
【請求項2】
一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第1の位相変調面を有し、強度変調を行うためのキノフォームが前記第1の位相変調面に表示され、前記第1の位相変調面に入射した光の位相を前記複数の領域毎に変調することにより第1の変調光を生成する第1の空間光変調器と、
前記第1の変調光のn次光成分(nは0を除く整数)を通過させるための光通過孔を有し、前記第1の変調光の0次光成分を遮蔽する部材と、
一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第2の位相変調面を有し、前記部材の前記光通過孔を経て前記第2の位相変調面に入射した前記第1の変調光の位相を前記複数の領域毎に変調する第2の空間光変調器と、
前記部材と前記第2の位相変調面との間の前記第1の変調光の光路上及び前記第2の位相変調面から出射する前記第2の変調光の光路上に配置された位相板、または、前記部材と前記第2の位相変調面との間の前記第1の変調光の光路上に配置された第1の位相板及び前記第2の位相変調面から出射する前記第2の変調光の光路上に配置された第2の位相板と
を備える、光変調装置。
【請求項3】
前記第1の位相変調面において、前記第1の変調光の位相変調を前記複数の領域毎に行うための位相分布が前記キノフォームに重ねて表示される、請求項1または2に記載の光変調装置。
【請求項4】
前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器とを光学的に結合するケプラー型の両側テレセントリック光学系を更に備え、
前記両側テレセントリック光学系を構成する一対のレンズの間における前記第1の変調光の光路上に前記部材が配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光変調装置。
【請求項5】
直線偏光を有する光を、前記第1の空間光変調器の前記第1の位相変調面に向けて出力する光源を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光変調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、2つの空間光変調器を備える光学装置が開示されている。この光学装置において、一方の空間光変調器は位相変調型のものであり、他方の空間光変調器は偏光変調型のものである。これらの空間光変調器は、テレセントリック光学系によって互いに光学的に結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−135479号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】MichaelR. Beversluis, Lukas Novotny, and Stephan J. Stranick,“Programmable vector point-spread functionengineering”, Optics Express,Vol. 14, No. 7, 3 April 2006, pp.2650-2656
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、顕微鏡観察における対象物の照明光やレーザ加工用途のレーザ光の生成を、空間光変調器を用いた変調光によって行うことが研究されている。このような方式では、空間光変調器の表示内容を制御することによって、観察対象物や加工対象物に照射される光の強度分布や偏光状態などを自在に制御することができる。しかしながら、従来は、空間光変調器によって強度変調を行う装置や、空間光変調器によって偏光変調を行う装置がそれぞれ独立して存在しており、これらを組み合わせて使用すると装置が大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、強度分布及び偏光状態を制御可能であり、且つ小型化が可能な光変調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による第1の光変調装置は、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第1の位相変調面を有し、強度変調を行うためのキノフォームが第1の位相変調面に表示され、第1の位相変調面に入射した光の位相を複数の領域毎に変調することにより第1の変調光を生成する第1の空間光変調器と、第1の変調光のn次光成分(nは0を除く整数)を通過させるための光通過孔を有し、第1の変調光の0次光成分を遮蔽する部材と、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む偏光変調面を有し、部材の光通過孔を経て偏光変調面に入射した第1の変調光の偏光状態を複数の領域毎に変調することにより第2の変調光を生成する第2の空間光変調器とを備える。
【0008】
また、別の実施形態による第2の光変調装置は、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第1の位相変調面を有し、強度変調を行うためのキノフォームが第1の位相変調面に表示され、第1の位相変調面に入射した光の位相を複数の領域毎に変調することにより第1の変調光を生成する第1の空間光変調器と、第1の変調光のn次光成分(nは0を除く整数)を通過させるための光通過孔を有し、第1の変調光の0次光成分を遮蔽する部材と、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第2の位相変調面を有し、部材の光通過孔を経て第2の位相変調面に入射した第1の変調光の位相を複数の領域毎に変調する第2の空間光変調器と、部材と第2の位相変調面との間の第1の変調光の光路上及び第2の位相変調面から出射する第2の変調光の光路上に配置された位相板、または、部材と第2の位相変調面との間の第1の変調光の光路上に配置された第1の位相板及び第2の位相変調面から出射する第2の変調光の光路上に配置された第2の位相板とを備える。
【0009】
また、第1及び第2の光変調装置は、第1の位相変調面において、第1の変調光の位相変調を複数の領域毎に行うための位相分布がキノフォームに重ねて表示されてもよい。
【0010】
また、第1及び第2の光変調装置は、第1の空間光変調器と第2の空間光変調器とを光学的に結合するケプラー型の両側テレセントリック光学系を更に備え、両側テレセントリック光学系を構成する一対のレンズの間における第1の変調光の光路上に部材が配置されてもよい。
【0011】
また、第1及び第2の光変調装置は、直線偏光を有する光を、第1の空間光変調器の第1の位相変調面に向けて出力する光源を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強度分布及び偏光状態を制御可能であり、且つ小型化が可能な光変調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る光変調装置の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の空間光変調器の一例として、LCOS型の空間光変調器を概略的に示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態の制御部の内部構成を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態の別の構成を模式的に示す図である。
図5図5は、変調光の光軸に垂直な面内での光強度分布を示す画像である。
図6図6は、空間光変調器において偏光変調を行った場合における、変調光の光軸に垂直な面内での光強度分布を示す画像である。
図7図7は、二次元イメージセンサの直前に偏光子を配置し、水平偏光成分のみを検出した場合の画像である。
図8図8は、様々な偏光変調の例を示す画像である。
図9図9は、本発明の第2実施形態として、レーザ加工装置の構成を示す図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態として、レーザ加工装置の構成を示す図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態として、レーザ加工装置の構成を示す図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態として、レーザ加工装置の構成を示す図である。
図13図13は、本発明の第4実施形態として、観察装置の構成を示す図である。
図14図14は、本発明の第4実施形態として、観察装置の構成を示す図である。
図15図15は、本発明の第5実施形態として、観察装置の構成を示す図である。
図16図16は、本発明の第5実施形態として、観察装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明による光変調装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光変調装置1Aの構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、本実施形態の光変調装置1Aは、光源10と、第1の空間光変調器(Spatial Light Modulator;SLM)20と、光学系30と、ピンホール部材40と、第2の空間光変調器(SLM)50と、制御部60とを備えている。
【0016】
光源10は、光P1を空間光変調器20の位相変調面20aへ向けて出力する。光P1は、直線偏光を有することが好ましく、例えばレーザ光である。また、光P1は平行化(コリメート)されている。光源10は、光P1をコリメートするための光学系を含む。なお、光P1の波長は特に制限されないが、後述する空間光変調器20における変調位相幅をπ(rad)以上確保することが可能な波長であることが望ましい。
【0017】
第1の空間光変調器20は、位相変調型の空間光変調器である。空間光変調器20は、一次元又は二次元に配列された複数の領域(画素)を含む第1の位相変調面20aを有する。空間光変調器20は、その複数の領域毎に光P1の位相を変調することにより、第1の変調光P2を生成する。位相変調面20aには、制御部60から提供される制御信号Saに応じて、キノフォームが表示される。このキノフォームは、変調光P2の強度変調を行うためのキノフォームであって、変調光P2が所定の強度分布を有することとなるような複数の領域毎の回折格子位相値を含んでいる。また、位相変調面20aにおいて、変調光P2の位相変調を複数の領域毎に行うための位相分布が上記キノフォームに重ねて表示されてもよい。この位相分布は、複数の領域毎に個別に設定された所望位相値を含む。また、位相変調面20aにおいて、空間光変調器20と、後述する第2の空間光変調器50との双方もしくは何れか一方において発生する波面位相歪みを補正するための波面位相歪み補正パターンが、上記キノフォームに重ねて表示されてもよい。一例では、位相変調面20aの各領域に表示される位相値は、回折格子位相値、所望位相値、及び波面位相歪み補正値を加算したものである。なお、波面位相歪み補正パターンは、光学系全体若しくは一部の光学系において発生する位相歪みを補正するためのパターンであってもよい。また、空間光変調器50で発生した位相変化を補正するためのパターンであってもよい。また、空間光変調器20については、所望の位相分布(位相パターン)を上記キノフォームに重ねても良い。
【0018】
図2は、本実施形態の空間光変調器20の一例として、LCOS型の空間光変調器を概略的に示す断面図であって、光P1の光軸に沿った断面を示している。この空間光変調器20は、透明基板21、シリコン基板22、複数の画素電極23、液晶層24、透明電極25、配向膜26a及び26b、誘電体ミラー27、並びにスペーサ28を備えている。透明基板21は、光P1を透過する材料からなり、シリコン基板22の主面に沿って配置される。複数の画素電極23は、シリコン基板22の主面上において一次元又は二次元格子状に配列され、空間光変調器20の各画素を構成する。透明電極25は、複数の画素電極23と対向する透明基板21の面上に配置される。液晶層24は、複数の画素電極23と透明電極25との間に配置される。配向膜26aは液晶層24と透明電極25との間に配置され、配向膜26bは液晶層24と複数の画素電極23との間に配置される。誘電体ミラー27は配向膜26bと複数の画素電極23との間に配置される。誘電体ミラー27は、透明基板21から入射して液晶層24を透過した光P1を反射して、再び透明基板21から出射させる。
【0019】
また、空間光変調器20は、複数の画素電極23と透明電極25との間に印加される電圧を制御する画素電極回路(アクティブマトリクス駆動回路)29を更に備えている。画素電極回路29から何れかの画素電極23に電圧が印加されると、該画素電極23と透明電極25との間に生じた電界の大きさに応じて、該画素電極23上の液晶層24の屈折率が変化する。したがって、液晶層24の当該部分を透過する光P1の光路長が変化し、ひいては、光P1の位相が変化する。そして、複数の画素電極23に様々な大きさの電圧を印加することによって、位相変調量の空間的な分布を電気的に書き込むことができ、必要に応じて様々なキノフォーム等の位相パターンを表示することができる。
【0020】
なお、空間光変調器20は、図2に示されたような電気アドレス型の液晶素子に限られず、例えば光アドレス型の液晶素子や、可変鏡型の光変調器であってもよい。また、図2には反射型の空間光変調器20が示されているが、本実施形態の空間光変調器20は透過型であってもよい。また、空間光変調器20と光源10との間には、ビームエキスパンダ及び/又は空間フィルタなどの光学部品を含む光学系が設けられてもよい。
【0021】
光学系30は、空間光変調器20と空間光変調器50とを光学的に結合するケプラー型の両側テレセントリック光学系を含んでいる。すなわち、光学系30は、一対の前段レンズ31及び後段レンズ32を有しており、これら前段レンズ31及び後段レンズ32がケプラー型アフォーカル光学系(4f光学系)を構成している。具体的には、前段レンズ31と後段レンズ32との光学距離が、前段レンズ31の焦点距離fと後段レンズ32の焦点距離fとの和(f+f)と実質的に等しい。また、このような光学系30は両側テレセントリックな光学系であるため、後段レンズ32の焦平面は、空間光変調器20の位相変調面20aと共役な関係にある。なお、本実施形態では、後段レンズ32の焦平面に空間光変調器50の偏光変調面50aが配置される。
【0022】
光学系30は、前段レンズ31及び後段レンズ32のうち一方若しくは双方の焦点距離が変更可能なように構成されてもよい。例えば、焦点距離が互いに異なる前段レンズ31(または後段レンズ32)を複数用意し、これらのレンズを選択的に用いることによってこのような構成を好適に実現することができる。そして、光学系30がこのような構成を有することにより、変調光P2の横倍率を任意に変更することができる。なお、このような構成においては変調光P2の結像位置も変化するので、焦点距離の変更に伴い、位相変調面20aと偏光変調面50aとの光学的距離が変更されるとよい。
【0023】
また、本実施形態の光学系30は、反射鏡33及び34を更に有する。反射鏡33及び34は、光変調装置1Aを小型化するための光学部品であって、光P1の光軸方向と交差する方向に並んで配置されている。反射鏡33は、空間光変調器20の位相変調面20aから出射されて前段レンズ31を通過した変調光P2を、反射鏡34に向けて反射する。また、反射鏡34は、反射鏡33から到達した変調光P2を、空間光変調器20の近傍に配置された空間光変調器50の偏光変調面50aに向けて反射する。この変調光P2は、反射鏡34と偏光変調面50aとの間の光路において後段レンズ32を通過する。
【0024】
位相変調面20aから出射された変調光P2は、位相変調面20aに表示されたキノフォームの回折パターンによって生成された、0次光成分及びn次光成分(nは0を除く整数)を含んでいる。本実施形態では、位相変調面20aから出射された変調光P2が、前段レンズ31と後段レンズ32との間で一旦集光される。ピンホール部材40は、前段レンズ31と後段レンズ32との間における変調光P2の光路上に配置されており、好適には、その光軸方向位置が、変調光P2のn次光成分の集光位置と重なるように設けられる。例えば、ピンホール部材40は、変調光P2の1次光成分を通過させるための光学的な開口である光通過孔41を有しており、この光通過孔41を通過できない0次光成分を遮蔽する。
【0025】
光通過孔41は、0次光成分を十分に遮蔽し、且つ、n次光成分を十分に透過できる内径を有することが望ましい。ピンホール部材40は、光通過孔41の内径を調整するための機構を更に有してもよい。また、ピンホール部材40は、変調光P2のn次光成分の光軸と光通過孔41とを容易に位置合わせできるように、n次光成分の光軸と交差する面内にて光通過孔41の位置を調整するための機構を更に有してもよい。また、光通過孔41にフーリエマスクが形成されてもよい。
【0026】
第2の空間光変調器50は、偏光変調型の空間光変調器である。空間光変調器50は、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第2の偏光変調面50aを有する。空間光変調器50は、ピンホール部材40の光通過孔41を経て偏光変調面50aに入射した変調光P2の偏光状態をこれら複数の領域毎に変調することにより、第2の変調光P3を生成する。偏光変調面50aには、制御部60から提供される制御信号Sbに応じて、偏光分布パターンが表示される。空間光変調器50は、例えば図2に示された空間光変調器20の構成において、液晶層24がツイストネマティック液晶層に置き換えられることによって好適に実現される。偏光変調面50aによって偏光変調された変調光P3は、光P1の光軸方向に沿う光軸でもって光変調装置1Aの外部へ出射する。
【0027】
制御部60は、変調光P2が所定の強度分布を有するように、より好ましくは所定の強度分布及び位相分布を有するように空間光変調器20へ制御信号Saを与えることによって、キノフォームを含む位相パターンを位相変調面20aに表示させる。また、制御部60は、変調光P3が所定の偏光状態を有するように空間光変調器50へ制御信号Sbを与えることによって、偏光変調面50aに偏光パターンを表示させる。
【0028】
図3は、本実施形態の制御部60の内部構成を示すブロック図である。なお、図3に示される構成は、空間光変調器20へ与える制御信号Saを生成する部分の構成であるが、空間光変調器50へ与える制御信号Sbを生成する部分の構成もこれと同様である。
【0029】
図3に示されるように、制御部60は、記憶部61、計算部62、選択部63、駆動部64、及び外部入力部65を有する。
【0030】
記憶部61は、空間光変調器20の位相変調面20aに表示させるキノフォームに関するデータを記憶する。このキノフォームは、後述する計算部62によって算出されたものであってもよく、或いは、予め光変調装置1Aの外部で算出されて光変調装置1Aに入力されたものであってもよい。また、記憶部61は、光変調装置1Aが備える光学系、空間光変調器20、及び空間光変調器50のうち少なくとも一つにおいて発生する収差(位相歪み)を補正するための補正用パターンに関するデータと、その補正用パターンと検出温度とを関連付けるための温度情報テーブルとを更に記憶してもよい。
【0031】
なお、記憶部61は、キノフォームや補正用パターンに関するデータを圧縮した状態で記憶しても良い。その場合、制御部60は、データを解凍するためのデータ処理部を更に有することが好ましい。また、記憶部61は、或る程度大きな容量を有する記憶素子(メモリ)によって好適に実現される。例えば、キノフォームがSVGA解像度(800ピクセル×600ピクセル)での8ビット画像であるとき、データを圧縮しない場合には、キノフォームデータ1個あたりのデータ量が480キロバイトとなる。したがって、記憶部61は、このような大きなデータを格納可能な容量を有する記憶素子によって実現されることが望ましい。
【0032】
計算部62は、変調光P2が所定の強度分布を有することとなるように、位相変調面20aに表示させるキノフォームを算出する。必要に応じて、計算部62は、こうして算出したキノフォームに、位相歪みを補正するための補正用パターンを加算する。
【0033】
選択部63は、記憶部61が複数のキノフォームを記憶している場合に、一又は複数のキノフォームを、例えばキーボードといった外部入力部65からの指示に基づいて選択する。駆動部64は、計算部62から提供されたキノフォームを含む制御信号を生成し、この制御信号を空間光変調器20へ提供する。なお、制御部60に含まれる記憶部61、計算部62、選択部63、及び駆動部64は、一つの筐体内に収容されてもよく、或いは互いに分離して設けられてもよい。
【0034】
図4(a)は、本実施形態の別の構成として、光変調装置1Bの構成を模式的に示す図である。この光変調装置1Bは、図1に示された光変調装置1Aの空間光変調器50に代えて、空間光変調器70及び1/4波長板80を備えている。
【0035】
空間光変調器70は、光変調装置1Bにおける第2の空間光変調器であって、位相変調型の空間光変調器である。空間光変調器70は、一次元又は二次元に配列された複数の領域を含む第2の位相変調面70aを有し、ピンホール部材40の光通過孔41を経て位相変調面70aに入射した変調光P2の位相をその複数の領域毎に変調する。位相変調面70aには、制御部60から提供される制御信号Scに応じて、位相分布パターンが表示される。位相変調面70aによって位相変調された変調光P3は、光P1の光軸方向に沿う光軸でもって光変調装置1Aの外部へ出射する。
【0036】
位相変調面70aに表示される位相分布パターンは、位相変調面70aから出射して1/4波長板80を通過した後の変調光P3が所定の偏光状態を有することとなるような、複数の画素毎の位相値を含んでいる。また、この位相分布パターンは、空間光変調器20及び70の双方もしくは何れか一方において発生する波面位相歪みを補正するための波面位相歪み補正パターンを含んでもよい。一例では、位相変調面70aの各領域に表示される位相値は、所望位相値と波面位相歪み補正値とを加算したものである。なお、波面位相歪み補正パターンは、光学系全体若しくは一部の光学系において発生する位相歪みを補正するためのパターンであってもよい。
【0037】
1/4波長板80は、本実施形態における位相板であって、ピンホール部材40と位相変調面70aとの間の変調光P2の光路上、及び位相変調面70aから出射する変調光P3の光路上に配置されている。変調光P2及びP3の各光軸に対する1/4波長板80の角度や向きは、位相変調面70aに入射する変調光P2の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、また、位相変調面70aから出射する変調光P3の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように設定される。なお、このような設定を容易に行うために、1/4波長板80は、回転及び移動が可能なステージ上に取り付けられていることが好ましい。なお、図4(b)に示されるように、光変調装置1Bは、1/4波長板80に代えて、ピンホール部材40と位相変調面70aとの間の変調光P2の光路上に配置された第1の位相板としての1/4波長板80aと、位相変調面70aから出射する変調光P3の光路上に配置された第2の位相板としての1/4波長板80bとを備えてもよい。この場合、ピンホール部材40と位相変調面70aとの間の変調光P2の光路上における第1の位相板としては、1/4波長板80aに代えて1/2波長板が配置されてもよい。これにより、変調光P3の偏光方向を調整することができる。
【0038】
本実施形態の光変調装置1A及び光変調装置1Bは、次のように動作する。まず、光源10から出射された光P1(好ましくは直線偏光の光)が、空間光変調器20の位相変調面20aに入射する。そして、位相変調面20aに表示されたキノフォームを含む位相パターンに応じて光P1が変調され、変調光P2として位相変調面20aから出射される。キノフォームには強度変調のための回折格子パターンが含まれているので、変調光P2には、−1次、0次、1次、2次、3次などの回折光成分が含まれる。これらのうち、強度変調に寄与しない0次光成分がピンホール部材40において遮蔽され、強度変調に寄与するn次光成分がピンホール部材40を通過する。その後、変調光P2の偏光状態が偏光変調面50a(図1を参照)、又は、1/4波長板80若しくは80a,80b及び位相変調面70a(図4(a)又は図4(b)を参照)において変調され、変調後の変調光P3は、光変調装置1A及び光変調装置1Bの外部に設置された照射対象物に照射される。光変調装置1A及び1Bが例えば顕微鏡観察の際に観察対象物を照明する照明装置である場合には、観察対象物に変調光P3が照射される。また、光変調装置1A及び1Bが例えばレーザ加工の際に加工対象物にレーザ光を出射するレーザ加工装置である場合には、加工対象物に変調光P3が照射される。
【0039】
以上に説明した本実施形態の光変調装置1A及び1Bによれば、空間光変調器20及びピンホール部材40によって変調光P3の強度分布を制御することができ、また、空間光変調器50(若しくは空間光変調器70及び1/4波長板80(又は80a,80b))によって変調光P3の偏光分布を制御することができる。また、本実施形態の光変調装置1A及び1Bによれば、空間光変調器20によって強度変調を行う構成と、空間光変調器50又は70によって偏光変調を行う構成とが一つに纏まって構成されているので、装置の小型化が可能となる。なお、通常、位相変調型の空間光変調器は或る一方向の偏光成分のみの位相変調を行うので、本実施形態のように、偏光変調用の空間光変調器50及び70は、位相変調用の空間光変調器20の後段に配置されることが好ましい。
【0040】
また、光変調装置1A及び1Bでは、空間光変調器20及び空間光変調器50(又は70)を電気的に駆動することによって強度変調、位相変調及び偏光変調を行うことができ、機械的な駆動部分を無くす(若しくは少なくする)ことができる。したがって、環境の変化や設定値の変更等に対してロバストな光変調装置を実現することができる。
【0041】
また、図1に示された光変調装置1Aによれば、図4(a)又は図4(b)に示された光変調装置1Bと比較して、1/4波長板80(又は80a,80b)を省略することができる。したがって、光学部品数を削減して製造コストを下げることができる。
【0042】
ここで、図5(a)及び図5(b)は、変調光P3の光軸に垂直な面内での光強度分布を示す画像であって、CMOSセンサといった二次元イメージセンサを用いて得られたものである。但し、これらの図では、空間光変調器50(又は70)は駆動されておらず、空間光変調器20によって生じる光強度分布のみが表されている。図5(a)及び図5(b)では、光強度が大きい部分ほど明るく、光強度が小さい部分ほど暗く表示されている。
【0043】
図5(a)は、トップハット状の強度分布が得られるように強度変調を行うキノフォームを空間光変調器20に表示することにより得られた1次回折光の光強度分布を示している。また、図5(b)は、ガウス分布状の強度分布が得られるように強度変調を行うキノフォームを空間光変調器20に表示することにより得られた1次回折光の光強度分布を示している。これらの図に示されるように、空間光変調器20に適切なキノフォームを表示させることによって、変調光P3の強度分布を容易に制御することができる。
【0044】
また、図6は、空間光変調器50(又は70)において偏光変調を行った場合における、変調光P3の光軸に垂直な面内での光強度分布を示す画像である。すなわち、図6に示される画像では、ガウス分布状の強度分布が得られるように強度変調を行うキノフォームを空間光変調器20に表示し、且つ、放射状の偏光分布が得られるように偏光変調を行う位相パターンを空間光変調器50(又は70)に表示させることにより得られた変調光P3の光強度分布を示している。なお、図6においても、光強度が大きい部分ほど明るく、光強度が小さい部分ほど暗く表示されている。図6に示されるように、この例において二次元イメージセンサによって得られる変調光P3の強度分布は、図5(b)に対して殆ど変化していない。これは、空間光変調器50(又は70)により偏光変調を行っても、強度分布は変化しないからである。
【0045】
これに対し、二次元イメージセンサの直前に偏光子を配置し、水平偏光成分のみを検出した場合の画像を図7に示す。図7に示されるように、この画像では、強度分布の中心を基準とする上下方向において水平偏光成分が殆ど存在しないため暗く、左右方向において水平偏光成分が存在しているため明るくなっている。このことから、変調光P3には放射状の偏光状態が含まれていると言える。
【0046】
図8(a)及び図8(b)は、様々な偏光変調の例を示す画像である。なお、これらの画像もまた、二次元イメージセンサの直前に偏光子を配置し、水平偏光成分のみを検出して得られた画像である。本実施形態の光変調装置1A及び1Bによれば、これらのような高次放射状の偏光ビームの生成も可能となる。
【0047】
なお、本実施形態において、空間光変調器50又は1/4波長板80若しくは80bと照射対象物(若しくは照射対象物の前段に配置される集光レンズ)との間に、フィルタ、ダイクロイックミラー、拡大縮小光学系などの光学部品が配置されてもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
図9及び図10は、本発明の第2実施形態として、レーザ加工装置1C及び1Dの構成を示す図である。図9に示されるレーザ加工装置1Cは図1に示された光変調装置1Aの構成を備えており、図10に示されるレーザ加工装置1Dは図4(a)又は図4(b)に示された光変調装置1Bの構成を備えている。なお、図10は、図4(a)に示された構成を代表して示している。
【0049】
本実施形態のレーザ加工装置1C,1Dは、第1実施形態の光変調装置1A,1Bの構成に加えて、光照射対象である加工対象物Bを載置するステージ91を備えている。ステージ91は、少なくとも1軸での移動が可能であることが好ましく、変調光P3の光軸と交差するとともに互いに直交するX軸及びY軸、変調光P3の光軸に沿ったZ軸、X軸周り、Y軸周り、並びにZ軸周りの何れか少なくとも一つの方向に移動可能であることがより好ましい。ステージ91は、手動及び電動の何れであってもよい。
【0050】
また、本実施形態においても、空間光変調器50又は1/4波長板80(又は80b)と加工対象物Bとの間には、フィルタ、ダイクロイックミラー、拡大縮小光学系などの光学部品が配置されてもよい。
【0051】
(第3の実施形態)
図11及び図12は、本発明の第3実施形態として、レーザ加工装置1E及び1Fの構成を示す図である。図11に示されるレーザ加工装置1Eは図1に示された光変調装置1Aの構成を備えており、図12に示されるレーザ加工装置1Fは図4(a)又は図4(b)に示された光変調装置1Bの構成を備えている。なお、図12は、図4(a)に示された構成を代表して示している。
【0052】
本実施形態のレーザ加工装置1E,1Fは、第1実施形態の光変調装置1A,1Bの構成に加えて、加工対象物Bを載置するステージ91と、加工対象物Bに向けて変調光P3を集光する集光レンズ92とを備えている。この形態において、位相変調面20aに表示されるキノフォームは、集光レンズ92において変調光P3が所望の強度分布を有するように設定される。また、加工対象物Bの位置は、集光レンズ92の焦平面上に加工部位が位置するようにステージ91によって調整される。
【0053】
(第4の実施形態)
図13及び図14は、本発明の第4実施形態として、観察装置1G及び1Hの構成を示す図である。図13に示される観察装置1Gは図1に示された光変調装置1Aの構成を備えており、図14に示される観察装置1Hは図4(a)又は図4(b)に示された光変調装置1Bの構成を備えている。なお、図14は、図4(a)に示された構成を代表して示している。これらの観察装置1G及び1Hは、例えば顕微鏡に好適に用いられる。
【0054】
本実施形態の観察装置1G,1Hは、第1実施形態の光変調装置1A,1Bの構成に加えて、光照射対象である観察対象物Cを載置するステージ91と、透過型観察光学系93とを備えている。透過型観察光学系93は、観察対象物Cに対して変調光P3が入射する側とは反対側に配置されており、コリメートレンズ93aと、反射鏡93bと、結像レンズ93cと、カメラ94とを有している。カメラ94は、一次元又は二次元に配列された複数の画素を有する。また、光源10とは別の観察用光源が、観察装置1G,1Hの光学系の途中に配置されてもよい。
【0055】
この実施形態では、観察対象物Cに照射された変調光P3のうち、観察対象物Cを透過した光像P4がコリメートレンズ93a、反射鏡93b及び結像レンズ93cを経てカメラ94に入射する。カメラ94は、透過光像P4を撮像して画像データを生成する。
【0056】
本実施形態の透過型観察光学系93によって取得される画像データは、例えば透過光像、透過光強度、蛍光像、蛍光強度、発光像、発光強度、散乱像、または散乱強度などといった様々なデータである。透過型観察光学系93では、観察対象物Cの種類に応じて、透過光像P4の波長が選択される。また、観察装置1G,1Hは、観察対象物Cに対する透過型観察光学系93(若しくは透過型観察光学系93を構成する各要素の少なくとも一つ)の相対位置を変更するための機構を更に備えてもよい。この機構は、観察装置1G,1Hの外部からの信号やフィードバック信号などによって制御されてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、観察対象物Cとカメラ94との間には、フィルタ、ダイクロイックミラー、拡大縮小光学系などの光学部品が配置されてもよい。
【0058】
(第5の実施形態)
図15及び図16は、本発明の第5実施形態として、観察装置1J及び1Kの構成を示す図である。図15に示される観察装置1Jは図1に示された光変調装置1Aの構成を備えており、図16に示される観察装置1Kは図4(a)又は図4(b)に示された光変調装置1Bの構成を備えている。なお、図16は、図4(a)に示された構成を代表して示している。これらの観察装置1J及び1Kは、例えば顕微鏡に好適に用いられる。
【0059】
本実施形態の観察装置1J,1Kは、第1実施形態の光変調装置1A,1Bの構成に加えて、光照射対象である観察対象物Cを載置するステージ91と、反射型観察光学系95とを備えている。反射型観察光学系95は、観察対象物Cに対して変調光P3が入射する側と同じ側に配置されており、ハーフミラー(若しくはダイクロイックミラー)95aと、コリメートレンズ95bと、結像レンズ95cと、カメラ96とを有している。カメラ96は、一次元又は二次元に配列された複数の画素を有する。また、光源10とは別の観察用光源が、観察装置1J,1Kの光学系の途中に配置されてもよい。
【0060】
この実施形態では、観察対象物Cに照射された変調光P3のうち、観察対象物Cにおいて反射した光像P5がミラー95a、コリメートレンズ95b及び結像レンズ95cを経てカメラ96に入射する。カメラ96は、反射光像P5を撮像して画像データを生成する。
【0061】
本実施形態の反射型観察光学系95によって取得される画像データは、例えば透過光像、透過光強度、蛍光像、蛍光強度、発光像、発光強度、散乱像、または散乱強度などといった様々なデータである。反射型観察光学系95では、観察対象物Cの種類に応じて、反射光像P5の波長が選択される。また、観察装置1J,1Kは、観察対象物Cに対する反射型観察光学系95(若しくは反射型観察光学系95を構成する各要素の少なくとも一つ)の相対位置を変更するための機構を更に備えてもよい。この機構は、観察装置1J,1Kの外部からの信号やフィードバック信号などによって制御されてもよい。観察装置1J,1Kを用いると、観察光学系95の位置だけでなく、偏光子などと組み合わせることによって空間光変調器で制御している強度、位相、及び偏光もフィードバック制御できる。
【0062】
また、観察装置1J,1Kが、空間光変調器50(又は1/4波長板80若しくは80b)と観察対象物Cとの間に集光レンズを備える場合(第3実施形態を参照)、反射型観察光学系95に含まれるコリメートレンズ95bが集光レンズを兼ねてもよい。これにより、光学部品数を削減することができ、製造コスト低減に寄与することができる。また、このとき、ミラー95aは、空間光変調器50(又は1/4波長板80若しくは80b)と集光レンズとの間に配置されるとよい。
【0063】
本発明による光変調装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態の光変調装置は、第1の空間光変調器と第2の空間光変調器とを光学的に結合する光学系としてケプラー型の両側テレセントリック光学系を備えているが、これらの空間光変調器を光学的に結合する光学系としては、これ以外にも様々な光学系を用いることができる。また、上記各実施形態では、第1の空間光変調器と第2の空間光変調器とが個別に設けられた構成を例示しているが、第1及び第2の空間光変調器が単一の光変調器の各一部であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、強度分布及び偏光状態を制御可能であり、且つ小型化が可能な光変調装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B…光変調装置、1C,1D,1E,1F…レーザ加工装置、1G,1H,1J,1K…観察装置、10…光源、20,70…空間光変調器、20a,70a…位相変調面、30…光学系、31…前段レンズ、32…後段レンズ、33,34…反射鏡、40…ピンホール部材、41…光通過孔、50…空間光変調器、50a…偏光変調面、60…制御部、61…記憶部、62…計算部、63…選択部、64…駆動部、65…外部入力部、80,80a,80b…1/4波長板、91…ステージ、92…集光レンズ、93…透過型観察光学系、94,96…カメラ、95…反射型観察光学系、B…加工対象物、C…観察対象物、P1…光、P2…変調光、P3…変調光、P4…透過光像、P5…反射光像、Sa,Sb,Sc…制御信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16