特許第6185499号(P6185499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185499
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】食パン袋詰め機
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/28 20060101AFI20170814BHJP
   B65B 43/18 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65B43/28 A
   B65B43/18
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-26397(P2015-26397)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-147693(P2016-147693A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勲
(72)【発明者】
【氏名】水谷 晃
(72)【発明者】
【氏名】二村 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】知崎 琢哉
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−114868(JP,A)
【文献】 特開2004−284603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0014054(US,A1)
【文献】 特表2006−510555(JP,A)
【文献】 実開昭57−21510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B43/00−43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した袋(10)食パン(18)を押送して充填する袋詰め機であって
積層部(12)から袋(10)を一枚ずつ取り出袋取出し手段(14)と、
該袋取出し手段(14)で取り出した袋(10)を、充填位置(S4)の下側の充填待機位置(S3)まで保持して搬送する袋搬送手段(20)と、
前記充填待機位置(S3)において袋口部(10e)拡張すると共に、該袋(10)を前記充填位置(S4)まで浮かせて開口保持する袋開口手段(22)と
前記充填待機位置(S3)まで搬送される袋(10)に製品情報を印字する印字手段(16)とを備え、
前記食パン(18)の袋(10)への充填中に、次の袋(10)を前記袋搬送手段(20)によって前記充填待機位置(S3)まで搬送して保持するよう構成
ことを特徴とする食パン袋詰め機。
【請求項2】
袋内に挿入した前記袋開口手段(22)との間で袋(10)の両側部を挟んで保持する押圧部材(88)を備えた袋保持手段(26)を設けたことを特徴とする請求項1記載の食パン袋詰め機。
【請求項3】
前記袋開口手段(22)により袋口部(10e)を拡張する際に、前記充填待機位置(S3)において前記袋口部(10e)から延出する延出部(10a)を保持する袋口部保持手段(24)と、
前記袋開口手段(22)で開口した袋(10)へ食パン(18)を充填する際に、前記袋(10)を前記充填位置(S4)で保持する袋保持手段(26)とを備えたことを特徴とする請求項1記載の食パン袋詰め機。
【請求項4】
前記袋口部保持手段(24)は、前記延出部(10a)の開口幅方向中央とその両側に離間して前記延出部(10e)を保持する第1および第2袋口部保持手段(58,60)を備え
記第1および第2袋口部保持手段(58,60)で前記延出部(10a)を保持してエアーを吹付けることで袋口部(10e)を予備開口した後に、前記第2袋口部保持手段(60)の保持を解除して前記袋開口手段(22)で袋口部(10e)を拡張し、前記袋保持手段(26)で袋(10)を保持してから前記第1袋口部保持手段(58)の保持を解除するよう構成たことを特徴とする請求項記載の食パン袋詰め機。
【請求項5】
記袋保持手段(26)は、前記袋開口手段(22)拡張開口した袋口部(10e)を保持し、押送して充填される食パン(18)が袋(10)の底部に到達する時期に合わせて保持を解除するように動作するようにしたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の食パン袋詰め機。
【請求項6】
前記袋搬送手段(20)は、食パン(18)を押送して充填する方向と交差する方向に搬送路が延在し、袋(10)を一枚ずつベルト面に吸着して搬送する吸着ベルト(46)で構成した吸着コンベヤであって、該吸着コンベヤ(46)の下流端部を前記充填待機位置(S3)としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の食パン袋詰め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一側が開口する袋に食パンを袋詰めする食パン袋詰め機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食パン等の食品が袋詰め包装された包装品には、内容物の製造年月日等の各種情報を袋表面に印字することが求められている。しかしながら、従来の食パン袋詰め機では、食パンを袋に充填した後の後工程において、印字装置で袋表面に製造年月日等を印字していたので、袋の印字面が平坦でなく安定しないため、良好な印字が行えないことがあった。なお、予め製造年月日等が印字された多数の袋を用意しておき、該印字済みの袋を用いて袋詰め機で食パンを袋詰めすれば良好な印字は確保できるが、印字済みの袋が余ってしまうとムダとなるばかりか、印字された情報と異なる食パンが袋詰めされる問題を招くおそれがある。しかしながら、これらの問題を解決するための食パン袋詰機に関する特許文献はなく、よって先行技術文献として開示すべき特許文献もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したように、従来の食パン袋詰め機では、印字不良や印字された情報と内容物(食パン)とが異なってしまう問題を解決することができず、これらの問題を解決可能な新規な食パン袋詰め機が希求されている。
【0004】
本発明は、前述した従来技術に係る食パン袋詰め機に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、袋に良好な印字が行える新規な食パン袋詰め機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る食パン袋詰め機は、
開口した食パンを押送して充填する袋詰め機であって
積層部から袋を一枚ずつ取り出袋取出し手段と、
該袋取出し手段で取り出した袋を、充填位置の下側の充填待機位置まで保持して搬送する袋搬送手段と、
前記充填待機位置において袋口部拡張すると共に、該袋を前記充填位置まで浮かせて開口保持する袋開口手段と
前記充填待機位置まで搬送される袋に製品情報を印字する印字手段とを備え、
前記食パンの袋への充填中に、次の袋を前記袋搬送手段によって前記充填待機位置まで搬送して保持するよう構成たことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、食パンを充填する前の袋に印字することで、袋の印字面が平坦で安定した状態での印字が可能となり、良好な印字が得られる。また、次印字済の袋を充填位置の直下に搬送し、充填位置へ持ち上げて袋を開口保持するので、拡張開口した袋に食パンを押送して良好に充填することができる
【0006】
請求項2に係る発明では、袋内に挿入した前記袋開口手段との間で袋の両側部を挟んで保持する押圧部材を備えた袋保持手段を設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、袋口部が開口された袋の両側部を保持するようにしたので、食パンが充填中の袋を保持しつつ充填待機位置へ次の袋を搬送することができ、袋詰め処理を高速でなし得る。
【0007】
請求項3に係る発明では、前記袋開口手段により袋口部を拡張する際に、前記充填待機位置において前記袋口部から延出する延出部を保持する袋口部保持手段と、
前記袋開口手段で開口した袋へ食パンを充填する際に、前記袋を前記充填位置で保持する袋保持手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、袋が位置ずれすることなく袋開口手段で袋口部を良好に拡張し得ると共に、食パンの充填に際して袋が移動するのを防止することができる。
【0008】
請求項4に係る発明では、前記袋口部保持手段は、前記延出部の開口幅方向中央とその両側に離間して前記延出部を保持する第1および第2袋口部保持手段を備え、
前記第1および第2袋口部保持手段で前記延出部を保持してエアーを吹付けることで袋口部を予備開口した後に、前記第2袋口部保持手段の保持を解除して前記袋開口手段で袋口部を拡張し、前記袋保持手段で袋を保持してから前記第1袋口部保持手段の保持を解除するよう構成したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、第1袋口部保持手段で延出部を保持したもとで、該第1袋口部保持手段の両側の第2袋口部保持手段による延出部の保持を解除してから袋開口手段で袋口部を拡張するようにしたので、袋を位置ずれさせることなく袋口部の良好な開口を図ることができる。
【0009】
請求項5に係る発明では、記袋保持手段は、前記袋開口手段拡張開口した袋口部を保持し、押送して充填される食パンが袋の底部に到達する時期に合わせて保持を解除するように動作するようにしたことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、食パンが袋底まで送り込まれるまで袋を保持しているので、食パンの充填に際して袋が移動するのを防止して良好に袋詰めを行うことができる。
【0010】
請求項6に係る発明では、前記袋搬送手段は、食パンを押送して充填する方向と交差する方向に搬送路が延在し、袋を一枚ずつベルト面に吸着して搬送する吸着ベルトで構成した吸着コンベヤであって、該吸着コンベヤの下流端部を前記充填待機位置としたことを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、袋を充填待機位置まで吸着保持して位置ずれなく搬送することができ、袋を充填待機位置に精度よく搬送ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る食パン袋詰め機によれば、袋に良好な印字が行えると共に、食パンの袋詰め処理の高速化に対応し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係る食パン袋詰め機の概略平面図である。
図2】実施例に係る食パン袋詰め機の概略側面図である。
図3】実施例に係る食パン袋詰め機の要部を示す概略平面図である。
図4】実施例に係る食パン袋詰め機の袋開口手段と袋口部保持手段との関係を示す要部概略図であって、コンベヤフレームおよび吸引チャンバーは図示省略してある。
図5】実施例に係る食パン袋詰め機の袋開口手段を示す要部概略図であって、袋を開口保持した袋開口手段の下側開口部材と袋保持手段の押圧部材とで袋の側部を保持した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る食パン袋詰め機につき、実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0014】
図1,図2は、実施例に係る食パン袋詰め機(以下、単に袋詰め機ともいう)の概略構成を示すものであって、該袋詰め機は、一側に袋口部10eを有する多数の平袋状の袋10が積層状態で集積される袋積層部12と、該袋積層部12に集積された最上部の袋10を一枚ずつ剥離して取り出して該袋10を食パン18の搬送路の下方の後述する充填待機位置S3に搬送する袋取出し搬送手段13と、袋10が袋積層部12から充填待機位置S3に搬送される搬送経路に設けられて該袋10に製造年月日等の各種情報を印字する印字手段16と、充填待機位置S3まで搬送されてきた袋10の袋口部10eを拡張して後述する充填位置S4で袋口部10eを開口状態に維持する袋開口手段22と、袋口部10eが拡張された袋10に食パン18を充填する押送手段28とを備えている。また袋詰め機は、充填待機位置S3にある袋10の後述する位置決め延出部10aを保持する袋口部保持手段24と、充填位置S4に袋10を保持する袋保持手段26とを備えている。そして、食パン18が充填された袋10は封止部(図示せず)まで搬送されて、該封止部で袋口部10eが封止されるよう構成されている。
【0015】
ここで、前記袋10は、平袋状態で閉塞されている底部側の幅方向全体にフィルムが底面側から袋内方側に折込まれて、フィルムが4重に重なったマチを有する形態である。また袋10は、図1に示す如く、相対向する一方のフィルムに、他方のフィルムにおける袋口部10eの端縁より外方に延出する位置決め延出部(延出部)10aが設けられると共に、該位置決め延出部10aには、一対の位置決め孔10b,10bが袋口部10eの端縁に沿う方向に離間して穿設されている。また、袋10には、袋積層部12に設置された状態で上側に位置するフィルムにおける袋底部側に、製造年月日等の各種情報が印字される印字領域10cが設けられている。なお、前記位置め延出部10aにおいて、該位置め延出部10aの外縁と各位置決め孔10bとの間にはミシン目10dが形成されている。
【0016】
前記袋積層部12は、袋10が積層状態で載置される袋載置台30を備え、該袋載置台30には、前記袋10の位置決め延出部10aに設けられている一対の位置決め孔10b,10bに挿通される一対の支持ピン30a,30aが立設されている。そして、多数の袋10は、位置決め孔10b,10bに支持ピン30a,30aが下方から挿通された状態で袋載置台30に載置されており、積層状態の袋10は最上部から一枚ずつ取り出し可能に支持されている(図2参照)。また、袋10は、位置決め延出部10aが形成されたフィルムが下側になると共に、袋口部10eが後述する食パン18の搬送方向上流側を向く姿勢で袋載置台30に積層載置される。なお、以後の説明において、食パン18の搬送方向を、単に食パン搬送方向と指称する場合もある。
【0017】
前記袋取出し搬送手段13は、袋積層部12から袋10を一枚ずつ取り出す袋取出し手段14と、該袋取出し手段14で取り出された袋10を充填待機位置S3まで吸着搬送(保持状態で搬送)する袋搬送手段20とから構成される。袋取出し手段14は、図1および図2に示す如く、水平移動機構32および垂直移動機構34により水平方向および垂直方向に移動される移動体36を備え、該移動体36に、複数の吸着カップ38aを配設した吸着手段38が設けられて、該吸着手段38により前記袋載置台30に積層載置されている袋10を最上部から一枚ずつ吸着して取り出すよう構成されている。前記吸着手段38は、幅方向に離間する2つの吸着カップ38a,38aを備え、これら2つの吸着カップ38a,38aによって袋10を幅方向の2箇所で吸着するようになっている。なお、吸着カップ38a,38aは図示しない真空吸引手段に接続されて、該真空吸引手段を適宜のタイミングでON−OFF制御することにより、吸着カップ38a,38aによる袋10の吸着保持と吸着解除とを行うよう設定してある。前記水平移動機構32は、移動体36を、袋載置台30の上方位置と前記袋搬送手段20の上方位置との間で食パン搬送方向に沿って水平移動させるように、サーボモータやエアシリンダ等を駆動源として作動される。前記垂直移動機構34は、移動体36を、袋載置台30の上方位置においては、該袋載置台30に積層載置されている最上部の袋10を吸着手段38で吸着保持し得る下降位置と、吸着保持した袋10の位置決め孔10b,10bが前記支持ピン30a,30aから抜ける上方位置との間を上下動させるように、サーボモータやエアシリンダ等を駆動源として作動される。また、垂直移動機構34は、移動体36を、袋搬送手段20の上方位置においては、該袋搬送手段20の後述する吸着コンベヤ40の袋搬送面に、吸着保持した袋10を姿勢を乱すことなく移載し得る下降位置と、上方位置との間を上下動させるように、サーボモータやエアシリンダ等を駆動源として作動される。
【0018】
前記袋取出し手段14は、吸着カップ38a,38aで袋10における袋口部10eから延出する位置決め延出部10aを吸着保持すると共に、該位置決め延出部10aが袋搬送手段20における後述するコンベヤフレーム44上に位置するように袋10を袋搬送手段20に受け渡すよう構成される(図1,図2参照)。また、袋取出し手段14は、袋10の袋口部10eが食パン搬送方向上流側を向くと共に、位置決め延出部10aが袋搬送手段20の袋搬送方向に沿う方向に揃い、かつ位置決め延出部10aが形成されたフィルムが下側となる状態で袋10を袋搬送手段20に受け渡すように構成される。
【0019】
前記袋積層部12より食パン搬送方向上流側の位置に、前記袋搬送手段20が配置されている。この袋搬送手段20は、図1に示す如く、食パン搬送方向と交差(直交)する方向に延在する吸着コンベヤ(搬送コンベヤ)40と、該吸着コンベヤ40の袋搬送面に沿って平行に延在する袋搬送テーブル42とを備え、前記袋取出し手段14から受け渡された袋10における位置決め延出部側が吸着コンベヤ40に載置されると共に、該袋10の袋底部側が袋搬送テーブル42に載置されるよう構成される。
【0020】
前記吸着コンベヤ40における袋搬送面は、前記押送手段28により押送される食パン18が袋10に充填される際に該袋10が位置する後述する充填位置S4より下方に位置するよう設定されている。そして、吸着コンベヤ40による袋10の搬送路(以後、袋搬送路という)の下流側端部は、押送手段28による食パン18の搬送路(以後、食パン袋搬送路という)の下側に重なるようにオーバーラップし、該吸着コンベヤ40によって袋10を、食パン搬送路を押送される食パン18に干渉することなく該食パン搬送路の下方に重なる位置(後述する充填待機位置S3)まで搬送し得るよう構成されている(図4参照)。
【0021】
前記吸着コンベヤ40は、袋搬送方向の前後に離間してコンベヤフレーム44に回転自在に支持された一対のプーリ間に吸着ベルト(搬送ベルト)46を巻掛けて構成される。具体的に、コンベヤフレーム44は、袋搬送方向と交差する方向に離間する一対の側板44a,44aから構成されて、両側板44a,44a間にプーリが回転自在に架設されると共に、両プーリ間に巻掛けられた吸着ベルト46より外方に側板44a,44aが位置するよう構成される(図5参照)。また、側板44a,44aの上面は、吸着ベルト46における上側の走路の上面(袋搬送面)と略同一高さ位置にあって、吸着ベルト46から外方に延出する袋10の位置決め延出部10aを一方の側板44aで下側から支持し得るよう構成される。すなわち、実施例では側板44aの上面も袋搬送面として機能している。
【0022】
前記吸着ベルト46は、サーボモータ等の駆動源により走行駆動されて、所定間隔毎に間欠的に走行するよう構成される。実施例では、前記袋取出し手段14から袋10が受け渡される受取り位置S1の袋10を、前記印字手段16での印字位置S2および前記充填待機位置S3に移動して間欠停止するよう構成される。すなわち、実施例では、図3に示す如く、袋搬送方向に離間して3箇所の間欠停止位置が設定されている。そして、吸着ベルト46で充填待機位置S3まで搬送された袋10は、該袋10の幅方向中心が食パン搬送路の中心に一致して停止されるようになっている。また、前記吸着ベルト46には、複数の開口からなる吸引口46a,46bが、該吸着ベルト46の幅方向(袋搬送路の幅方向)に複数列で設けられると共に、各吸引口46a,46bは吸着ベルト46の走行方向(袋搬送方向)にずれて、該吸着ベルト46による袋10の搬送間隔毎に設けられている。実施例では、第1吸引口46aと第2吸引口46bとが幅方向にずれて設けられると共に、第1吸引口46aと第2吸引口46bとが走行方向に交互に設けられており、吸着ベルト46で吸着搬送される袋搬送方向で隣り合う袋10,10に対応する第1吸引口46aと第2吸引口46bとは幅方向に異なる列となるよう設定される。また、第1吸引口46aおよび第2吸引口46bは、夫々が幅方向に離間して2列ずつ設けられて、2つの第1吸引口46a,46aは、走行方向で隣り合う2つの第2吸引口46b,46bと走行方向で整列しないようになっている。なお、第1吸引口46aおよび第2吸引口46bにおける走行方向の長さは、袋10の幅より長く設定される。
【0023】
前記吸着コンベヤ40は、前記吸着ベルト46における上側の走路(袋搬送面側)の下面側に、図示しないブロワ等の吸引源に接続する複数の吸引チャンバー48,50,52が接するように設けられ、これら吸引チャンバー48,50,52の上面に形成した長孔(吸引部)54a,54bおよび前記吸引口46a,46bを介して作用する吸引力によってベルト上面(袋搬送面)に、袋10を吸着保持するよう構成される。吸引チャンバー48,50,52は、吸着ベルト46の間欠停止位置(受取り位置S1、印字位置S2および充填待機位置S3)に対応する3箇所に設けられている。各吸引チャンバー48,50,52には、幅方向に離間して第1長孔54aと第2長孔54bとが袋搬送方向に所定長さで形成されている。図3に示す如く、第1長孔54aは、吸着ベルト46の前記各第1吸引口46aに対応する位置に設けられると共に、第2長孔54bは、吸着ベルト46の各第2吸引口46bに対応するように設けられている。そして、第1長孔54aと第1吸引口46aとが連通する状態で袋搬送面上の袋10に吸引力が作用し、第2長孔54bと第2吸引口46bとが連通する状態で袋搬送面上の袋10に吸引力が作用するよう構成される。すなわち、吸着ベルト46の第1および第2吸引口46a,46bは、走行方向(袋搬送方向)の前後で異なる長孔54a,54bに連通した状態で、吸着ベルト46の袋搬送面に吸引力が作用するよう構成されており、吸着ベルト46の袋搬送面に載置された袋10は、何れか一方の吸引口46a,46bを介して作用する吸引力によって袋搬送面に吸着保持されるよう構成される。また、両長孔54a,54bの長さは、袋10の幅より長く設定される。なお、3つの吸引チャンバー48,50,52について、以後の説明において受取り位置S1に対応して配置されたものを第1吸引チャンバー48、印字位置S2に対応して配置されたものを第2吸引チャンバー50、充填待機位置S3に対応して配置されたものを第3吸引チャンバー52と夫々指称して区別する場合がある。
【0024】
ここで、前記吸着ベルト46に第1吸引口46aと第2吸引口46bとが走行方向に交互に設けられる実施例の構成では、図3に示す如く、前記受取り位置S1に第1吸引口46aが位置する状態では、前記印字位置S2に第2吸引口46bが位置すると共に、前記充填待機位置S3に第1吸引口46aが位置する。そして、各位置S1,S2,S3に位置する吸引口46a,46bが対応する吸引チャンバー48,50,52における対応する長孔54a,54bに連通するよう構成される。また、各吸引チャンバー48,50,52において、各位置S1,S2,S3に位置する吸引口46a,46bと対応しない長孔54a,54bは、吸着ベルト46により塞がれて袋搬送面に吸引力が作用しないようになっている。
【0025】
前記充填待機位置S3に対応して配置された第3吸引チャンバー52は、第1長孔54aのみに負圧が形成される第1状態と、第2長孔54bにのみ負圧が形成される第2状態とに切換えられるよう構成されている。具体的に、前記第1吸引口46aの形成領域に載置されている袋10が印字位置S2から充填待機位置S3まで搬送される間は第1状態に切換えられていると共に、前記第2吸引口46bの形成領域に載置されている袋10が印字位置S2から充填待機位置S3まで搬送される間は第2状態に切換えられており、何れの領域に載置されている袋10も充填待機位置S3まで吸着搬送し得るよう構成される。そして、第1吸引口46aまたは第2吸引口46bの形成領域に載置された袋10が充填待機位置S3に到来した後、前記袋口部保持手段24による袋10の保持が解除されて袋開口手段22により袋10の袋口部10eが拡張される時期に合わせて他方の吸引口46a,46bに吸引力が作用するように第1状態と第2状態とが切換えられて、該充填待機位置S3の袋10に対する吸引作用(吸着保持)が解除されるようになっている。なお、前記第1吸引チャンバー48および第2吸引チャンバー50は、第1状態と第2状態とに切換えられることなく、第1長孔54aおよび第2長孔54bに常に負圧が形成されるよう構成されて、受取り位置S1から印字位置S2を経て充填待機位置S3まで搬送される袋10に対して常に吸引力を作用させ得るようになっている。
【0026】
前記袋10が袋積層部12から充填待機位置S3まで搬送される搬送経路に、食パン18に関する製造年月日等の各種情報を袋10の印字領域10cに印字する印字手段16が配置されている。実施例では、前記印字位置S2に対応して印字手段16が配置されており、印字位置S2に袋10が間欠停止した際に、印字手段16によって袋搬送テーブル42に載置されている袋10の印字領域10cに各種情報が印字される。印字手段16としては、サーマルプリンタ(熱転写プリンタ)が好適に用いられ、前記袋搬送テーブル42における印字位置S2に設けられた開口部42aに臨むプラテン(受け台)56とサーマルヘッドとで袋10を挟圧することで、印字領域10cに印字される。
【0027】
前記袋搬送手段20における充填待機位置S3に対応して、該充填待機位置S3に搬送された袋10における食パン搬送方向上流側に位置する位置決め延出部10aを保持する袋口部保持手段24が配置されている。この袋口部保持手段24は、図4に示す如く、食パンの搬送路の幅方向中央付近に設けられ、充填待機位置S3まで搬送された袋10の位置決め延出部10aにおける開口幅方向中央付近を保持可能な第1袋口部保持手段58と、該第1袋口部保持手段58から食パン搬送路の幅方向両側に離間して設けられ、第1袋口部保持手段58での位置決め延出部10aの保持部位を挟む開口幅方向両側で該位置決め延出部10aを保持可能な一対の第2袋口部保持手段60,60とを備える。第1袋口部保持手段58は、エアシリンダ等の第1駆動手段62によって前記コンベヤフレーム44(一方の側板44a)の上側において保持位置と解除位置との間で上下方向に移動可能な板状の第1袋口保持部材(袋口保持部材)64を備え、コンベヤフレーム44(一方の側板44a)上に位置する位置決め延出部10aを、下方の保持位置に移動した第1袋口保持部材64とコンベヤフレーム44とで挟持し得ると共に、上方の解除位置に第1袋口保持部材64を移動することで位置決め延出部10aの保持を解除するよう構成される。
また、第2袋口部保持手段60は、エアシリンダ等の第2駆動手段66によってコンベヤフレーム44(一方の側板44a)の上側において保持位置と解除位置との間で上下方向に移動可能な板状の第2袋口保持部材(袋口保持部材)68を備え、コンベヤフレーム44(一方の側板44a)上に位置する位置決め延出部10aを、下方の保持位置に移動した第2袋口保持部材68,68とコンベヤフレーム44とで挟持し得ると共に、上方の解除位置に第2袋口保持部材68,68を移動することで位置決め延出部10aの保持を解除するよう構成される。実施例では、コンベヤフレーム44が各袋口保持部材64,68と協同して位置決め延出部10aを保持する受け台として機能するよう構成されている。そして、第1袋口保持部材64および第2袋口保持部材68,68がコンベヤフレーム44から上方に離間した解除位置の状態で、前記吸着コンベヤ40によって充填待機位置S3に吸着搬送されてくる袋10の位置決め延出部10aが、コンベヤフレーム44と袋口保持部材64,68,68との間へ移動するのを許容するよう構成されている。なお、実施例では、2つの第2袋口保持部材68,68が連結部材70に配設されて、該連結部材70を1つの第2駆動手段66で上下動することで2つの第2袋口保持部材68,68が一体で上下動するよう構成されている。
【0028】
前記袋口部保持手段24は、前記充填待機位置S3の袋10における位置決め延出部10aを保持している第1袋口保持部材64および第2袋口保持部材68について、第2袋口保持部材68は、後述する第1エア吹込み手段72により袋口部10eが予備開口されてから上方移動して位置め延出部10aの保持を解除し、第1袋口保持部材64は、後述する袋保持手段26により袋側部が保持されてから上方移動して位置め延出部10aの保持を解除するよう設定されている。なお、第2袋口保持部材68,68は、前記コンベヤフレーム44との間で位置決め延出部10aにおける先端部を僅かな長さだけ保持するように構成されて、袋開口手段22による後述する袋口部10eの拡張時には、コンベヤフレーム44から上方に離間した第2袋口保持部材68,68から位置決め延出部10aが食パン搬送路側に容易に抜けるように構成されている。
【0029】
図5に示す如く、前記充填待機位置S3に搬送されて前記位置決め延出部10aが袋口部保持手段24で保持された袋10の袋口部10eに向けて上流側上方から圧力エアーを吹付ける第1エア吹込み手段(予備開口手段)72が設けられ、該第1エア吹込み手段72からの圧力エアーの吹付けによって袋口部10eが予備開口されるようになっている。また、充填待機位置S3より上流側上方に、第2エア吹込み手段74が設けられ、該第2エア吹込み手段74から袋口部10eに向けて圧力エアーを吹付けることによって袋10の全体を筒状に膨らませ得るよう構成される。前記第1エア吹込み手段72は、前記袋口部保持手段24の第1および第2袋口保持部材64,68とコンベヤフーム44とで前記位置決め延出部10aが保持されている状態で袋口部10eに向けて圧力エアーを吹付け、前記第2エア吹込み手段74は、後述する袋開口手段22の下流端部が袋内に挿入された後のタイミングで袋口部10eに向けて圧力エアーを吹付けるよう設定される。
【0030】
前記袋搬送手段20の下流端側において袋搬送路と立体交差する関係で設けられた食パン搬送路は、ベルトコンベヤからなる搬送コンベヤ76と、該搬送コンベヤ76の下流端から袋開口手段22の配設位置までの間に延在する搬入テーブル78と、袋開口手段22および該袋開口手段22の下流側に配設された搬出テーブル(図示せず)とから構成される。食パン搬送路の上方には、該食パン搬送路の上方を循環走行する無端チェンに所定間隔で多数の押送部材80を取り付けた押送手段としての押送コンベヤ28が配設される(図5参照)。押送部材80は、無端チェンに連繋されるアーム部80aと、該アーム部80aに配設されて食パン18を押送する押送体80bとを備え、食パン搬送路に載置された食パン18の上流側面に押送体80bを当接した押送部材80によって、該食パン18は袋開口手段22を経て前記封止部に向けて押送されるようになっている。なお、搬送コンベヤ76と押送コンベヤ28とは同速で走行するよう設定されている。
【0031】
前記食パン搬送路上に、袋10の袋口部10eを拡張して開口状態で保持する袋開口手段22が、食パン搬送方向に進退移動可能に配設されている。この袋開口手段22は、食パン18の4隅部に対応する位置に配置される4つの開口部材82a,82a,82b,82bを備え、下側に位置する一対の下側開口部材82b,82bに対して上側に位置する一対の上側開口部材82a,82aは下流端部が上下方向に近接・離間移動可能に構成されている(図5参照)。そして、下側開口部材82b,82bに対して上側開口部材82a,82aの下流端部が近接した姿勢で充填位置S4より上流側の初期位置に位置する各開口部材82a,82a,82b,82bが前進移動して、該下流端部が予備開口されている袋10の袋口部10eから挿入されると共に、前進移動しつつ上側開口部材82a,82aの下流端部が下側開口部材82b,82bから上方に離間移動することで、袋10の袋口部10eを食パン18が通過可能な略矩形状に大きく拡張して開口保持するよう構成される(図4参照)。また、食パン18は、袋口部10eを開口保持した4つの開口部材82a,82a,82b,82bで画成される領域を通過して袋10の底部側に押込まれるようになっている。袋開口手段22は、前記袋口部保持手段24における第2袋口部保持手段60による位置決め延出部10aの保持が解除されてから袋口部10eを上下方向に拡張するよう構成される。
【0032】
前記下側開口部材82b,82bにおける袋10の内側下面を支持する下面部の下面位置は、図4に示す如く、前記袋搬送面より上側に離間位置するよう設定されており、後述するように、袋開口手段22で袋10の袋口部10eを開口保持すると共に前記袋口部保持手段24の第1袋口部保持手段58による位置決め延出部10aの保持を解徐することで、袋搬送手段20の袋搬送面から袋10の下面全体が浮き上がって、前記充填待機位置S3への次の袋10の搬送を許容するようになっている。また、上側開口部材82a,82aの間を、前記押送部材80のアーム部80aが通過するよう構成されて、該袋開口手段22により開口された袋10に向けて食パン18を上流側から押送して充填し得るよう構成されている。実施例では、押送部材80により食パン18が袋10に充填される際に、下面が袋搬送面から上側に離間位置するように浮いた状態で袋開口手段22で開口保持されて食パン18の充填を待機している袋10の位置が充填位置S4となっている。
【0033】
前記下側開口部材82b,82bにおける袋10の内側下面を支持する下面部の上面位置は、前記搬入テーブル78の食パン搬送面より僅かに下側に位置し、該搬入テーブル78から下側開口部材82b,82bへの食パン18の受け渡しが円滑に行われるよう構成される。なお、袋開口手段22の各開口部材82a,82a,82b,82bは、夫々が相互に左右の幅の間隔が調整可能に構成されており、食パン18の寸法変更等に対応し得るようになっている。
【0034】
前記袋開口手段22により袋口部10eが開口保持された袋10は、該袋10の下部以外(充填待機位置S3に臨む側以外)の部分が袋保持手段26によって保持されるよう構成される。この袋保持手段26は、図4に示す如く、ロータリーアクチュエータ等の駆動手段84によって水平方向に回転される作動部材86に、ゴム等の弾性素材からなる押圧部材88が配設された保持装置90を、食パン搬送路を挟む幅方向の左右両外側方に備える。押圧部材88は、作動部材86を正方向および逆方向に回転させることで食パン搬送路に対して進退移動するよう構成されており、食パン搬送路の外側方に離間する解除位置の押圧部材88を食パン搬送路に近接する保持位置に移動することで、袋内の下側開口部材82bと押圧部材88とで袋10の側部を内と外とから挟んで保持するよう構成される。実施例では、袋開口手段22により袋口部10eが拡張することで下側開口部材82bの外側に立上がった位置決め延出部10aが、該下側開口部材82bと押圧部材88とで保持されるようになっている(図5参照)。また、袋保持手段26は、前記押送コンベヤ28によって押送される食パン18が袋10の底部に到達する時期に合わせて両押圧部材88,88を食パン搬送路から離間移動して袋10の保持を解除するよう構成されている。
【0035】
前記充填位置S4より下流側に、食パン充填済みの袋10の袋口部付近を結東具や熱溶着などで封止する封止部が設けられている。
【0036】
次に、実施例の袋詰め機の作用について説明する。前記袋積層部12の袋載置台30に対する上方位置に位置する袋取出し手段14の移動体36を下降することで、袋載置台30に積層載置されている最上部の袋10における位置決め延出部10aが2つの吸着カップ38a,38aで吸着保持され、該移動体36を上昇および水平移動させることで一枚の袋10が袋積層部12から取り出される。前記袋搬送手段20に対する上方位置まで移動した移動体36を下降して吸着カップ38a,38aによる吸着作用を解除すことで、該吸着カップ38a,38aで吸着保持されていた袋10は、位置決め延出部側が吸着コンベヤ40に載置されると共に、袋底部側が袋搬送テーブル42に載置された状態で袋搬送手段20の受取り位置S1に受け渡される(図1参照)。このとき、吸着ベルト46における第1吸引口46aが受取り位置S1に到来している状態であれば、前記第1吸引チャンバー48の第1長孔54aと連通する第1吸引口46aに作用する吸引力によって袋10は吸着ベルト46の袋搬送面に確実に吸着保持される。なお、この状態で第1吸引チャンバー48の第2長孔54bは、吸着ベルト46によって塞がれている。
【0037】
前記吸着コンベヤ40の吸着ベルト46が間欠走行し、前記受取り位置S1の袋10が印字位置S2に到来して吸着ベルト46が間欠停止すると、前記印字手段16が作動してプラテン56とサーマルヘッドとで袋10を挟圧することで、前記印字領域10cに各種情報が印字される。印字位置S2において袋10における印字領域10cが設けられる袋底部側は袋搬送テーブル42に載置されて平に支持されているので、印字手段16により良好な印字が達成される。また、受取り位置S1から印字位置S2に袋10が搬送される際に、前記第1吸引口46aは第2吸引チャンバー50の第1長孔54aに連通して袋搬送面に袋10を吸着保持する作用は維持されるので、搬送中に袋10が位置ずれすることなく、印字領域10cに精度よく印字することができる。なお、受取り位置S1の袋10が印字位置S2に向けて搬送されると、前記袋取出し手段14が作動されて袋積層部12から取り出された袋10が受取り位置S1に受け渡される。また、このとき吸着ベルト46における第2吸引口46bが受取り位置S1に到来しているので、当該受取り位置S1において前記第1吸引チャンバー48の第2長孔54bと連通する第2吸引口46bに作用する吸引力によって袋10は吸着ベルト46の袋搬送面に吸着保持される。
【0038】
前記吸着ベルト46が間欠走行し、前記印字位置S2の袋10が充填待機位置S3に到来して吸着ベルト46が間欠停止すると、前記袋口部保持手段24の第1および第2袋口保持部材64,68が解除位置から保持位置まで下降作動し、該充填待機位置S3に到来した袋10の位置決め延出部10aを前記コンベヤフレーム44との間で挟んで保持する。印字位置S2から充填待機位置S3に袋10が搬送される際に、前記第1吸引口46aは第3吸引チャンバー52の第1長孔54aに連通して袋搬送面に袋10を吸着保持する作用は維持されるので、搬送中に袋10が位置ずれすることなく位置決め延出部10aの開口幅方向中心が食パン搬送路の中心に一致する位置に停止される。
【0039】
前記吸着コンベヤ40によって袋10が保持状態で充填待機位置S3まで搬送され、前記第1および第2袋口保持部材64,68により位置決め延出部10aが保持された後、前記第3吸引チャンバー52が第2状態に切換えられることで、充填待機位置S3にある袋10に対して第1吸引口46aを介して吸引力は作用しなくなり、袋10の吸着保持状態が解除される。このとき、第3吸引チャンバー52の第2長孔54bは、吸着ベルト46によって塞がれているので(図3参照)、第3吸引チャンバー52が第2状態に切換えられても充填待機位置S3にある袋10に吸引力が作用することはなく、該袋10の容易な開口が可能な状態となる。また、前記第1エア吹込み手段72からの圧力エアーの吹付けによって食パン搬送方向の上流側を向く袋口部10eが予備開口されると共に、前記袋口部保持手段24における第2袋口保持部材68,68が上昇作動して位置決め延出部10aにおける幅方向両側の保持が解除される。
【0040】
前記袋口部10eが予備開口された後のタイミングで、前記袋開口手段22が初期位置から前進移動して各開口部材82a,82a,82b,82bの下流端部が袋口部10eから袋内に挿入され、該開口部材82a,82a,82b,82bが前進移動しつつ下側開口部材82b,82bに対して上側開口部材82a,82aの下流端部が上方に離間移動することで、袋10の袋口部10eは食パン18が通過可能な略矩形状に大きく拡張して開口保持される(図4参照)。そして、袋保持手段26の両押圧部材88,88が解除位置から保持位置へ移動すると、袋口部10eが拡張されることで下側開口部材82b,82bの外側に立上がった位置決め延出部10aが、下側開口部材82b,82bと押圧部材88,88とで内外から挟まれて保持される。また、袋保持手段26により袋10が保持されると、前記袋口部保持手段24における第1袋口保持部材64が上昇作動して位置決め延出部10aにおける開口幅方向中央の保持が解除されると共に、前記第2エア吹込み手段74からの圧力エアーの吹付けによって袋10の全体が前記袋搬送面から浮き上がって該袋10は充填位置S4で開口保持される。すなわち、充填位置S4で食パン18の充填を待機している袋10の下側の充填待機位置S3への次の袋10の搬送が許容される状態となる。
【0041】
前記押送コンベヤ28により押送される食パン18は、袋口部10eを開口保持している袋開口手段22における4つの開口部材82a,82a,82b,82bの間を通過して袋底部側に向けて充填される。充填位置S4において食パン18が充填中の袋10の下側への次の袋10の搬送は許容されているので、前記吸着ベルト46を間欠走行することで、前記印字位置S2で印字された袋10が充填待機位置S3まで搬送される。そして、充填待機位置S3に次の袋10が搬送されると、前述したと同様に前記袋口部保持手段24により位置決め延出部10aが保持される。なお、第3吸引チャンバー52は第2状態に切換わっているが、印字位置S2から充填待機位置S3に袋10が搬送される際に、吸着ベルト46の走行に伴って第3吸引チャンバー52の第2長孔54bに前記第2吸引口46bが連通するようになり、搬送中に袋10が位置ずれするのは防止される。
【0042】
前記押送コンベヤ28によって押送される食パン18が袋底部に到達する時期に合わせて、前記袋保持手段26の両押圧部材88,88が保持位置から解除位置へ移動して袋10の保持が解除されると、押送コンベヤ28の押送部材80で押送される食パン18と共に袋10が封止部に向けて搬出される。また、前記袋開口手段22は初期位置まで後退移動することで、下側開口部材82b,82bに対して上側開口部材82a,82aの下流端部が近接して元の姿勢に戻って次の食パン18の充填を待機する。
【0043】
実施例の袋詰め機では、食パン18が充填される前の袋10に印字するので、袋10の印字面が平坦で安定した状態で印字が可能となり、良好な印字が得られる。また、印字手段16として、サーマルプリンタを採用することで、より良好な印宇が可能となる。
【0044】
実施例の袋詰め機では、前記押送コンベヤ28により押送される食パン18が袋10に充填される際には、前記袋開口手段22で袋口部10eが開口保持された袋10の左右両側部を袋保持手段26によって保持しているので、食パン18と共に袋10が下流側へ移動するのを防ぐことができる。また、食パン充填中に袋10が下流側へ移動するのを防ぐ袋保持手段26で袋側部を保持するようにしたので、前記袋口部保持手段24の第1袋口部保持手段58による位置決め延出部10aの保持を解除した後、直に食パン充填中の袋10の下側の充填待機位置S3に次の袋10を保持状態で搬送して、次の食パン18を充填するための袋10を用意しておくことができ、食パン18の袋詰め処理の高速化に対応し得る。更に、前記袋取出し手段14で取り出した袋10を充填待機位置S3まで吸着搬送した後に、該充填待機位置S3においてのみ袋10に対する吸着保持を解除するようにしたので、袋搬送を高速化しても搬送中に袋10が位置ずれすることなく充填待機位置S3に精度よく搬送し得ると共に、袋開口手段22による袋口部10eの円滑な開口が図られる。
【0045】
(変更例)
本発明は、以上に例示した各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 袋口部保持手段24は、第1袋口部保持手段58のみで、第2袋口部保持手段60を省略することができる。また、第1袋口部保持手段58のみの構成として、板状の袋口保持部材で上方から袋10の位置決め延出部10aを押圧して保持する場合は、袋口保持部材の幅を広くすることで該位置決め延出部10aを確実に保持し得る。
(2) 袋口部保持手段24は、吸盤等による吸着手段で位置決め延出部10aの下面を下側から吸着保持する構成を採用し得る。
(3) 袋保持手段26は、袋開口手段22を併用せずに、吸盤等による吸着手段のみで袋10の内側または外側を吸着保持する構成としてもよい。また、袋10の内側を吸着する場合は、袋開口手段22の開口部材82a,82bを薄い二重構造として内部空気室を設けた吸着チャンバーとすることで、該袋開口手段を袋保持手段として機能させることができる。
(4) 袋保持手段26は、押圧部材88と袋開口手段22とで袋10を挟んで保持する構成の場合、押圧部材88を上下方向に移動可能として、袋10の上部側を袋開口手段22とで上下方向から挟んで保持する構成としてもよい。
【0046】
(5) 印字手段16は、袋積層部12に積層貯留されている最上部の袋10に印字可能な位置に配置し、袋積層部12の最上部の袋10に印字してから、該印字された袋10を袋取出し手段14で取り出す構成を採用し得る。また、袋搬送手段20の受取り位置S1に受け渡された袋10に印字可能な位置に印字手段16を配置することもできる。このように、袋積層部12や受取り位置S1に位置する袋10に印字するように印字手段16を配置すれば、袋搬送手段20による搬送路を短かくして袋詰め機の小型化を図ることができる。
(6) 袋積層部12における袋載置台30の載置面は、水平に限らず傾斜していてもよく、または袋載置台30を垂直に配置して袋10を支持ピン30a,30aで吊り下げた状態で貯留するものであってもよい。
(7) 吸着ベルト46は、吸引チャンバー48,50,52の配列数に対応して分割された複数の吸着ベルトを並列配置し、各吸着ベルトを独立して走行し得るよう構成することで、充填待機位置S3より袋搬送方向上流側に複数の袋10をアキュームして袋詰め処理の更なる高速化に対応させることができる。
(8) 吸着コンベヤ40は、袋搬送方向の上流側から下流側までの1つの吸引チャンバーを設け、該吸引チャンバーにおける充填待機位置S3に対応する位置に設けた長孔を開閉部材で開閉する構成を採用することで、該充填待機位置S3まで搬送される袋10の吸着保持と吸着解除とを行うことができる。
(9) 実施例では、充填待機位置S3にある袋10が袋開口手段22で拡張される時期に合わせて第3吸引チャンバー52を第1状態と第2状態とに切換えることで、充填待機位置S3にある袋10に対して吸引力が作用しない状態(吸引力を0まで低下させる)ようにしたが、袋開口手段22による袋10の拡張が阻害されない小さな値まで吸引力を低下させるものであってもよい。例えば、第3吸引チャンバー52の長孔54a,54bと、吸着ベルト46の吸引口46a,46bとの距離を離間して吸引力を低下させたり、各長孔54a,54bに形成される負圧を変化させることで対応する吸引口46a,46bに作用する吸引力を低下させるようにしてもよい。
(10) 吸着ベルト46の袋搬送面に作用する吸引力について、該吸着ベルト46の走行時に袋10が位置ずれすることなく、充填待機位置S3にある袋10の袋開口手段22による拡張を阻害しない値に設定されていれば、第3吸引チャンバー52を第1状態と第2状態とに切換えたり吸引力を低下させることなく、該吸引力を一定とする構成を採用し得る。
(11) 袋10を予備開口する予備開口手段は、静電気の帯電部材や吸着カップ等の吸着部材によって吸着した上側のフィルムを下側のフィルムから離間して予備開口するものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 袋,10a 位置決め延出部(延出部),10e 袋口部,12 袋積層
4 袋取出し手段,16 印字手段,18 食パン20 袋搬送手
2 袋開口手段,24 袋口部保持手段,26 袋保持手
6 吸着ベルト(吸着コンベヤ),58 第1袋口部保持手
0 第2袋口部保持手段88 押圧部材,S3 充填待機位置,S4 充填位置
図1
図2
図3
図4
図5