特許第6185512号(P6185512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185512周囲酸素ガスの局在化制御を用いた半導体ウエハのレーザアニーリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185512
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】周囲酸素ガスの局在化制御を用いた半導体ウエハのレーザアニーリング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L21/268 G
   H01L21/265 602C
   H01L21/268 E
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-107113(P2015-107113)
(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-76686(P2016-76686A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】62/016,134
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502400304
【氏名又は名称】ウルトラテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】マクワールター、ティー、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ザフィロポウロ、ダブリュー、アーサー
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−110420(JP,A)
【文献】 特開2003−017411(JP,A)
【文献】 特開2009−099917(JP,A)
【文献】 特開2001−168029(JP,A)
【文献】 特開2002−217124(JP,A)
【文献】 特開平07−245311(JP,A)
【文献】 特開2007−158303(JP,A)
【文献】 特開2005−123275(JP,A)
【文献】 特開平10−172919(JP,A)
【文献】 特表2002−513856(JP,A)
【文献】 特開平10−172911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する半導体ウエハをレーザアニーリングする方法であって、
処理チャンバ内部に半導体ウエハを配置することと、
前記処理チャンバ内部を真空に引き、前記処理チャンバ内部が、前記真空に引いた後に前記処理チャンバに残存する残存O量によって規定される初期O濃度でOを含むようにすることと、
及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを前記処理チャンバに導入することと、
前記処理チャンバ内部にレーザ光線を通過させ、前記半導体ウエハ表面のアニーリング位置に前記レーザ光線を入射させて、
これにより、前記半導体ウエハ表面をアニーリングし、また、前記半導体ウエハ表面の上に存在し、かつ、前記アニーリング位置の周囲に存在する局所領域であって、OとHの燃焼が起こりHO蒸気を生成する局所領域において、O及び前記フォーミングガスのHを局所的に加熱し、これにより、前記初期O濃度と比較して前記局所領域におけるO濃度を減少させることと
を備える、方法。
【請求項2】
前記フォーミングガスは、5容量(vol)%のH及び95容量(vol)%のNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所領域は、100℃から500℃の範囲の燃焼温度Tで規定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成される、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザ光線に対して前記半導体ウエハを動かすことをさらに備え、これにより、前記アニーリング位置は、前記半導体ウエハの表面に対して移動するが、前記処理チャンバ内部におけるその初期位置に対しては固定された位置にある、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記初期O濃度は、50ppm(vol.)以上であり、前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下である、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体ウエハは、溶融温度Tを有し、前記半導体ウエハの表面のアニーリングは、アニーリング温度Tで行われ、ここで、T<Tである、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
表面を有する半導体ウエハのアニーリング中に、アニーリング位置の周囲の局所領域において酸素ガスを減少させる方法であって、
処理チャンバ内部に半導体ウエハを配置することと、
前記処理チャンバ内部を真空に引き、前記処理チャンバ内部が、前記真空に引いた後に前記処理チャンバに残存する残存O量によって規定される初期O濃度でOを含むようにすることと、
前記処理チャンバに、水素ガス及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを導入することと、
前記半導体ウエハの表面をレーザアニーリングして、
これにより、前記半導体ウエハ表面の上に存在し、かつ、前記アニーリング位置の周囲に存在する局所領域であって、前記酸素ガスと前記水素ガスの燃焼が起こり水蒸気を生成する局所領域において、前記酸素ガス及び前記フォーミングガスの前記水素ガスを局所的に加熱し、これにより、前記初期O濃度と比較して前記局所領域における酸素ガス濃度を減少させることと
を備える、方法。
【請求項9】
前記フォーミングガスは、5容量(vol)%の水素ガス及び95容量(vol)%の窒素ガスを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記局所領域は、100℃から500℃の範囲の燃焼温度Tで規定される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成される、請求項8から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記処理チャンバは大気圧未満の圧力を有する、請求項8から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザ光線に対して前記半導体ウエハを動かすことをさらに備え、これにより、前記アニーリング位置は、前記半導体ウエハの表面に対して移動するが、前記処理チャンバ内部におけるその初期の位置に対しては固定された位置にある、請求項8から12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記初期O濃度は、50ppm(vol.)以上であり、前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下である、請求項8から13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体ウエハは、溶融温度Tを有し、前記半導体ウエハの表面のアニーリングは、アニーリング温度Tで行われ、ここで、T<Tである、請求項8から14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
表面を有する半導体ウエハをレーザアニーリングする方法であって、
理チャンバ内部に半導体ウエハを配置することと、
前記処理チャンバ内部を真空に引き、前記処理チャンバ内部のOの濃度を、前記処理チャンバに残存する残存O量によって規定される初期O濃度とすることと、
及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを前記処理チャンバに導入することと、
前記処理チャンバ内部にレーザ光線を通過させ、前記半導体ウエハ表面のアニーリング位置に前記レーザ光線を入射させて、
これにより、前記半導体ウエハ表面をアニーリングし、また、前記半導体ウエハ表面の上に存在し、かつ、前記アニーリング位置の周囲に存在する局所領域であって、OとHの燃焼が起こりHO蒸気を生成する局所領域において、O及び前記フォーミングガスのHを局所的に加熱し、これにより、初期O濃度と比較して前記局所領域におけるO濃度を減少させることと
を備える、方法。
【請求項17】
前記初期O濃度は、50ppm(vol.)以上であり、前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記フォーミングガスは、5容量(vol)%の水素ガス及び95容量(vol)%の窒素ガスを含む、請求項16から18の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザアニーリングに関し、特に、周囲酸素ガスの局在化制御を用いたレーザアニーリング方法に関する。
【0002】
本明細書において言及されるあらゆる刊行物又は特許文献の全開示は、参照により本明細書中に組み込まれる。刊行物又は特許文献には、米国特許第5,997,963(これ以降は、‘963特許という)、米国特許第6,747,245号公報;米国特許第7,098,155号公報;米国特許第7,157,660号公報;米国特許第7,763,828号公報;米国特許第8,309,474号公報、及び米国特許第9,029,809号公報が含まれる。
【背景技術】
【0003】
レーザアニーリング(レーザスパイクアニーリング、レーザ熱アニーリング、レーザ熱処理などとも呼ばれる)は、半導体製造において様々な用途に用いられる。様々な用途には、トランジスタなどの活性超小型回路及び関連するタイプの半導体特徴部を形成するときに、半導体ウエハに形成される機器(構造)の選択領域においてドーパントを活性化することも含む。
【0004】
レーザアニーリング処理は、一般的に、例えば、‘344公報及び‘963特許で説明されたマイクロチャンバのような処理チャンバ(または反応チャンバ)内において真空下で行われる。真空を用いる理由の一つは、処理される半導体ウエハ表面に存在する酸素ガスの量を減少させるためである。酸素ガスは、反応性が高く、半導体ウエハ表面を酸化させるからである。このことは、温度が高いほど酸化速度が上昇するため、高温でのレーザアニーリングの場合に特に当てはまる。
【0005】
通常の真空条件下では、処理チャンバ内部の酸素ガス濃度は、約50パーツパーミリオン(ppm)(vol.)に減少し得る。酸素ガス濃度をさらに減少させるのは、問題があり、かつ、処理チャンバの実質的な改良だけでなく、高価な機器(例えば、より強力な真空ポンプ)をも必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、レーザアニールされる半導体ウエハの表面上の酸素ガス量を、低コストかつ単純な方法で、従来の真空アプローチで実現可能な程度以上に減少させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面は、表面を有する半導体ウエハをレーザアニーリングする方法である。この方法は、処理チャンバ内部に半導体ウエハを配置することと、前記処理チャンバ内部を真空に引き、前記処理チャンバ内部が、初期O濃度でOを含むようにすることと、H及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを前記処理チャンバに導入することと、前記処理チャンバ内部にレーザ光線を通過させ、前記半導体ウエハ表面のアニーリング位置に前記レーザ光線を入射させて、これにより、前記半導体ウエハ表面をアニーリングし、前記アニーリング位置の周囲の局所領域であって、OとHの燃焼が起こりHO蒸気を生成する局所領域において、O及び前記フォーミングガスのHを局所的に加熱し、これにより、前記初期O濃度と比較して前記局所領域におけるO濃度を減少させることとを備える。
【0008】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記フォーミングガスは、5容量(vol)%のH及び95容量(vol)%のNを含むことが好ましい。
【0009】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記局所領域は、100℃から500℃の範囲の燃焼温度Tで規定されることが好ましい。
【0010】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成されることが好ましい。
【0011】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線に対して前記半導体ウエハを動かすことをさらに含み、これにより、前記アニーリング位置は、前記半導体ウエハの表面に対して移動するが、前記処理チャンバ内部におけるその初期の位置に対しては固定された位置にあることが好ましい。
【0012】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記初期O濃度は、50ppm(vol.)以上であることが好ましい。前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下であることが好ましい。
【0013】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記半導体ウエハは、溶融温度Tを有することが好ましい。前記半導体ウエハの表面のアニーリングは、アニーリング温度Tで行われることが好ましい。ここで、T<Tである。
【0014】
他の局面は、表面を有する半導体ウエハのアニーリング中に、アニーリング位置の周囲の局所領域において酸素ガスを減少させる方法である。この方法は、前記半導体ウエハ及び初期濃度の前記酸素ガスを含む処理チャンバに、水素ガス及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを導入することと、前記半導体ウエハの表面をレーザアニーリングして、これにより、前記アニーリング位置の周囲の局所領域であって、前記酸素ガスと前記水素ガスの燃焼が起こり水蒸気を生成する局所領域において、前記酸素ガス及び前記フォーミングガスの前記水素ガスを局所的に加熱し、これにより、初期の酸素ガス濃度と比較して前記局所領域における酸素ガス濃度を減少させることとを備える。
【0015】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記フォーミングガスは、5容量(vol)%の水素ガス及び95容量(vol)%の窒素ガスを含むことが好ましい。
【0016】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記局所領域は、100℃から500℃の範囲の燃焼温度Tで規定されることが好ましい。
【0017】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成されることが好ましい。
【0018】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバは大気圧未満の圧力を有することが好ましい。
【0019】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線に対して前記半導体ウエハを動かすことをさらに含み、これにより、前記アニーリング位置は、前記半導体ウエハの表面に対して移動するが、前記処理チャンバ内部におけるその初期の位置に対しては固定された位置にあることが好ましい。
【0020】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記酸素ガスの初期濃度は、50ppm(vol.)以上であることが好ましい。前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下であることが好ましい。
【0021】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記半導体ウエハは、溶融温度Tを有することが好ましい。前記半導体ウエハの表面のアニーリングは、アニーリング温度Tで行われることが好ましい。ここで、T<Tである。
【0022】
本開示の他の局面は、表面を有する半導体ウエハをレーザアニーリングする方法である。この方法は、初期O濃度でOを含む処理チャンバ内部に半導体ウエハを配置することと、H及び緩衝ガスを含むフォーミングガスを前記処理チャンバに導入することと、前記処理チャンバ内部にレーザ光線を通過させ、前記半導体ウエハ表面のアニーリング位置に前記レーザ光線を入射させて、これにより、前記半導体ウエハ表面をアニーリングし、前記アニーリング位置の周囲の局所領域であって、OとHの燃焼が起こりHO蒸気を生成する局所領域において、O及び前記フォーミングガスのHを局所的に加熱し、これにより、初期O濃度と比較して前記局所領域におけるO濃度を減少させることとを備える。
【0023】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバ内部に前記半導体ウエハを配置した後に、真空に引くことをさらに含むことが好ましい。前記初期O濃度は、前記真空に引いた後に前記処理チャンバに残存する残存O量(濃度)によって規定される。
【0024】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記初期O濃度は、50ppm(vol.)以上であることが好ましい。前記局所領域におけるO濃度は、10ppm(vol.)以下であることが好ましい。
【0025】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバはマイクロチャンバで構成されることが好ましい。
【0026】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記フォーミングガスは、5容量(vol)%の水素ガス及び95容量(vol)%の窒素ガスを含むことが好ましい。
【0027】
さらなる特徴点及び利点は、以下の詳細な説明に明記される。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面に記載された実施形態を実施することによって認識されるであろう。上記の概要及び下記の詳細な説明に関する記載は、単なる例示であって、特許請求の範囲に記載されている本発明の本質及び特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部を構成すると共に本明細書の一部に組み込まれる。図面は、1または複数の実施形態を示しており、詳細な説明と共に種々の実施形態の原理や動作を説明する役割を担う。このように、本開示は、添付図面と共に以下に示す詳細な説明からより完全に理解されることになるであろう。
図1A図1Aは、本明細書に開示されたアニーリング方法及び周囲酸素ガス(O)の局在化制御方法を実施する際の使用に適した処理チャンバシステムの一例の実施形態の(X−Z面における)断面模式図である。
図1B図1Bは、図1Aの処理チャンバシステムのいくつかの主要部品の分解図である。
図1C図1Cは、図1Aの断面を示す線1−1とともに、図1Aの処理チャンバシステムを示す(X−Y面における)上面図である。
図2図2は、図1Aの処理チャンバシステムの簡略図であって、周囲酸素ガスの局在化制御を実施するためにフォーミングガスを使用した局所領域の形成を含む一例のアニーリング方法を説明する図である。
図3A図3Aは、フォーミングガスの導入後の処理チャンバ内部における半導体ウエハ表面の拡大図であって、レーザアニーリングに先立って、半導体ウエハ表面においてフォーミングガス及び酸素ガスが、通常どのように均一に分布するかを示す図である。
図3B図3Bは、レーザアニーリング処理中に生じる局所領域であって、半導体ウエハ表面上でアニーリング位置を取り囲む局所領域の拡大図である。このレーザアニーリング処理において、局所領域における酸素ガス濃度は、局所領域における酸素ガス量(濃度)の減少により、処理チャンバ内部の他の部分の酸素ガス濃度よりも低くなる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以降、本開示の様々な実施形態、および、添付の図面に示される複数の例について詳述する。可能な限り、同一または類似の部分の図では、同一または類似の参照番号および参照符号が用いられる。図面には決まった縮尺がなく、当業者であれば、図面は本発明の主要な部分を説明するために簡略化されていることに気づくであろう。
【0030】
下記の特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に組み込まれると共にその一部を構成する。
【0031】
本明細書で言及されたあらゆる刊行物又は特許文献の全開示は、参照により組み込まれる。
【0032】
いくつかの図面において、参考のためにデカルト座標が描かれているが、これは方向および配置位置を限定するものではない。
【0033】
以下の記述では、処理チャンバ内部に関連した用語「真空に引くこと」または用語「真空の」は、処理チャンバ内部の圧力を、処理チャンバ外部の周囲圧力または大気圧以下にまで減少させることを意味し、必ずしも処理チャンバ内部から全ての原子を除去すること(排気すること)を意味するわけではない。本明細書で開示された例示的な方法は、処理チャンバ内部において真空に引くこと、またあるいは、処理チャンバを排気することを含む。この方法において、処理チャンバ内部には、酸素ガスの初期濃度COXが残存する。ここで、用語「初期濃度」は、処理チャンバ内の酸素ガス容量の局在化制御を実施する方法が、この濃度で開始され、初期濃度COXと比較して減少した濃度で終了するように実施されることを意味するものとして使用される。
【0034】
用語「処理」及び「方法」は、本明細書中で互換可能に用いられる。
【0035】
「周囲酸素ガスの局在化制御」という表現は、酸素ガスの初期量(濃度)に対して、酸素ガス量(濃度)が局所的に減少することを意味するものと理解される。
<処理チャンバシステム>
【0036】
図1Aは、本明細書で開示された方法を実施する際の使用に適した処理チャンバシステム(「システム」)10の一例の実施形態の(X−Z面における)断面模式図である。図1Bは、図1Aのシステム10のいくつかの主要部品の分解図である。図1Cは、図1Aの断面を示す線1−1とともに、図1Aのシステム10を示す(X−Y平面における)上面図である。図1Aから図1Cは、‘344公報に由来し、「マイクロチャンバ」と呼ばれる処理チャンバの一種を表す。
【0037】
システム10は、Z方向に延びるZ−中心線CZ及びX方向に延びるX−中心線CXを有する。システム10は、例えば酸素ガスなどの少なくとも一種の反応ガスを含み得る周囲環境8内に存在する。また、周囲環境8は、ネオンガス、アルゴンガスなどの非反応ガス、または、窒素ガスなどの安定ガスを含んでもよい。
【0038】
システム10は、上端部材20を含む。上端部材20は、上面22、下面24、及び外縁部26を有する。一例では、上端部材20は、略長方形状であり、平行な上面22及び下面24を有している。一例では、以下により詳細に説明するように、上端部材20は冷却される。一例では、上端部材20は、少なくとも一つの光接近機構30を含む。光接近機構30は、少なくとも一つのレーザ光線40を上端部材20に通過させる。一例では、少なくとも一つの光接近機構30は、一つ以上の貫通孔で構成される。また、他の例では、光接近機構30は、少なくとも一つの窓を含み得る。
【0039】
また、システム10は、チャック60を含む。チャック60は、上面62、下面64、及び外縁部66を有する。チャック60は、略円筒形状であり、Z−中心線CZが中心となっており、上端部材20の下面24と隣接し、かつ、下面24と平行な上面62を有する。チャック60(及び、それに伴って中央線CZ)は、後述するようにシステム10の操作で移動する。チャック60の上面62及び上端部材20の下面24は、50ミクロンから1mmの範囲の距離D1で離間し、これにより、距離D1を有する処理チャンバ内部(「内部」)70を規定する。一例では、半導体基板(「ウエハ」)50の上面52及び上端部材20の下面24は、内部70及び距離D1を規定する。
【0040】
チャック60の上面62は、ウエハ50を支持するように構成される。ウエハ50は、上面52、下面54、及び外縁部56を有する。一例では、ウエハ50はシリコンウエハである。ウエハ50は、製品ウエハであり得る。製品ウエハには、半導体装置を作製するための処理が施されており、レーザ光線40によってさらなる処理が施される。ウエハ50は、図1Cの上面図において破線の円で示される。一例では、チャック60は加熱され、さらなる例では、ウエハ50を最大約400℃のウエハ温度Tに加熱するように構成される。一例では、少なくとも一つのレーザ光線40は、一つ以上のアニーリングレーザ光線で構成される。すなわち、少なくとも一つのレーザ光線40は、例えばドーパント拡散などのウエハ50におけるアニーリング処理を実行可能な一つ以上のレーザ光線で構成される。
【0041】
システム10は、断熱層80を含む。断熱層80は、上面82、下面84、及び外縁部86を有する。断熱層80は、チャック60の下面64に接触して配置され、これにより、断熱層80はチャック60との熱伝達を行う。一例では、断熱層80は、ガラスまたはセラミック材料で形成されるか、あるいは、間隙である。一例では、断熱層80の上面82は、チャック60の下面64と密に接触している。
【0042】
システム10は、冷却装置90も含む。冷却装置90は、チャック60及び後述するようなウエハ50に入射するレーザ光線40に起因して発生する熱を管理するように構成される。一例の冷却装置90は、上面92、下面94、及び外縁部96を有する。冷却装置90は、任意に凹部98を含む。凹部98は、支持面100及び内壁102によって規定される。凹部98は、断熱層80及びチャック60を収容できるように構成されており、これにより、断熱層80は、支持面100によって支持される。
【0043】
一例では、冷却装置90の内壁102、並びに、断熱層80及びチャック60の外縁部86及び66は、間隙G1を規定する。さらなる例では、冷却装置90は、一つ以上のガス流路104を含む。ガス流路104は、支持面100から下面94へのガス流動経路を提供する。これにより、間隙G1へ入る内部70のガス202は、冷却装置90を通って下面94において内部70から流出することができる。断熱層80は、空隙であってもよい。
【0044】
システム10は、可動ステージ120も含む。可動ステージ120は、上面122及び下面124を有する。システム10は、環状部材150をさらに含む。環状部材150は、冷却装置90の外縁部96に隣接して配置され、チャック組立体68を取り囲み、チャック組立体68とともに移動する水冷反射囲い(skirt)(図示せず)に取り付けられる。環状部材150は、本体151を有するとともに、上面152、下面154、内面155、及び外縁部156を含む。チャック60、断熱層80、及び冷却装置90の組合せは、チャック組立体68を構成する。チャック組立体68、可動ステージ120、及び環状部材150の組合せは、可動ステージ組立体128を構成する。上端部材20は、可動ステージ組立体128に対して固定されている。可動ステージ組立体128は、外周129を有する。外周129は、一例では、環状部材150の外縁部156によって一部分が規定される。
【0045】
可動ステージ120は、上面122上の冷却装置90を支持する。可動ステージ120は、ポジショナ126に動作可能に接続される。ポジショナ126は、可動ステージ120を動かし、基準位置に対して可動ステージ120の位置のトラッキングもしながら、必要に応じて可動ステージ120の位置合わせを行うように構成される。可動ステージ120は、X−Y平面で移動できるような方法で、上面132を有するプラテン130に動作可能に支持される。
【0046】
上端部材20の下面24、環状部材150の外縁部156、及びプラテン130の上面132は、ガスカーテン領域158を規定する。
【0047】
一例では、可動ステージ120及びチャック60は、一体化され、ポジショナ126に動作可能に接続される単一の可動チャックまたは2つの部品の可動チャックを形成する。上端部材20は、チャック60が上端部材20に対して移動できる程度にX方向に十分に長く、レーザ光線40はウエハ50の上面52全体を露光することができる。
【0048】
また、システム10は、少なくとも一つのガス供給システム200、及び、冷却剤252を供給する少なくとも一つの冷却剤供給システム250を含む。一例では、第1のガス供給システム200は、内部70にガス202を供給するように構成されている。一方、もう一つのガス供給システム200は、環状部材150にガス202を供給するように構成されている。一例の実施形態では、異なるガス供給システム200は、異なるガス202を供給する。一方、もう一つの実施形態では、異なるガス供給システム200は、同じガス202を供給する。環状部材150は、周囲間隙G3の方へのガス202の流れを制御するように構成され、ガスカーテン(図示せず)を形成する。周囲間隙G3は、幅または寸法WG3を有する。
【0049】
別の実施形態では、単一のガス供給システム200が、内部70及び環状部材150にガス202を供給するために採用される。一例のガス202は、ネオンガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及び窒素ガスなどの不活性ガスを一種以上含み得る。一例では、ガス202は、一種以上の不活性ガスからなる。他の例では、ガス202は、酸素ガスなどの一種以上の反応性ガスを限定量で含む。後述するように、ガス202は、フォーミングガスを含むか、あるいは、フォーミングガスからなる。フォーミングガスは、水素ガス及び窒素ガスを含む。
【0050】
システム10は、制御ユニット300も含む。米国特許第9,029,809号公報に記載されるように、制御ユニット300は、ガス供給システム200、及び冷却剤供給システム250に動作可能に接続され、これらのシステム200及び250の動作を制御してガスカーテンを形成するように構成されている。システム10は、真空システム260を含む。真空システム260は、例えば、幅WG2の間隙G2を含む少なくとも一つのガス流路104を介して、内部70に空気圧で接続されている。真空システム260は、内部70に真空を形成するために使用することができる。
<レーザアニーリング中の周囲酸素の局在化制御>
【0051】
図2は、図1Aのシステム10の簡略図であって、本明細書中で説明するアニーリング処理及び周囲酸素ガスの局在化制御処理の一例を説明する図である。図3Aは、レーザ光線40によるアニーリング前であり、かつ、フォーミングガス202の内部70への導入後における内部70及びウエハ50の上面52の一部を示す拡大図である。フォーミングガス202は、酸素ガス205と混合された状態で示される。図3Bは、アニーリング位置55においてウエハ50の上面52をアニーリングするレーザ光線40の拡大図である。
【0052】
上述したように、内部70内の酸素ガス205の濃度COXをさらに低下させ、ウエハ50の上面52において起こり得る酸化の量をさらに減少させることが望ましい。この現象は、内部70のあらゆる場所において達成され得るが、実際は、レーザアニーリングが行われるアニーリング位置55において酸素ガス濃度のみを低下させる必要がある。
【0053】
したがって、本明細書に開示された方法の一例では、ガス202は、水素ガス及び不活性緩衝ガス、例えば、5容量(vol)%の水素ガス(H)及び95容量(vol)%の窒素ガス(N)の混合物で作られたフォーミングガス202として、内部70に供給される。内部70は、真空システム260の動作によって脱気され(例えば、真空下となり)、これにより、初期濃度または背景濃度COXで酸素ガス205を含むことになる。一例では、初期濃度または背景濃度COXは、約50ppm程度に低い。フォーミングガス202は、内部70に導入されると、図3Aに示されるように、ウエハ50の上面52に接触する領域を含む内部70のあらゆる場所に即座に分散(拡散)し、酸素ガス205と混合する。
【0054】
内部70へのフォーミングガス202の注入は、アニーリング処理前またはアニーリング処理中にガス供給システム200の動作により行うことができる。ここで、レーザ光線40は、ウエハ50の上面52に入射するように構成され、矢印ARで示されるようにチャック60を動かすことによって、ウエハ50がレーザ光線40に対して移動して、レーザ光線40がウエハ50の上面52を走査する。一例では、内部70内のフォーミングガス202の分圧は、約1ミリトール(millitorr)から約1000トール(torr)の範囲内である。フォーミングガス202の分圧の範囲は、約1ミリトールから約1000ミリトールまでであることが好ましい。一例では、内部70の圧力は、760トール未満、すなわち、1気圧未満である。
【0055】
図3Bに示される一例のアニーリング処理中、レーザ光線40は、アニーリング位置55において、ウエハ50の上面52をアニーリング温度Tまで加熱する。アニーリング温度Tは、ウエハ溶融温度Tに近いか、あるいは、ウエハ溶融温度Tを上回る。シリコンのウエハ溶融温度Tは、公称でT=1,414℃である。非溶融レーザアニーリングでは、ウエハ50の上面52のアニーリング温度Tは、ウエハ溶融温度Tの400℃以内となる。溶融アニーリングでは、T≧Tである。ウエハ50が走査される(すなわち、レーザ光線40に対して移動する)ときは、アニーリング位置55は、ウエハ50の上面52に対しては「移動する」が、内部70内ではその初期位置に対して固定された状態にあるということに留意すべきである。
【0056】
アニーリング位置55におけるレーザ光線40によるウエハ50の上面52の加熱は、内部70内の特にアニーリング位置55の周辺で、フォーミングガス202及び酸素ガス205を局所的に加熱するようにも作用する。フォーミングガス温度TFGは、通常、アニーリング位置55に対するフォーミングガス202の近接度に対応して、内部70内で空間的に変化する。すなわち、アニーリング位置55に近づくにしたがって、フォーミングガス温度TFGは上昇する。ここで、留意されるのは、フォーミングガス202の量は、酸素ガス205の量(初期濃度COX)よりも大幅に多いことであり、そのため、内部70の「ガス」温度は、基本的にフォーミングガス202によって規定される。
【0057】
図2図3A、及び図3Bは、アニーリング位置55におけるウエハ50の上面52の局所的な加熱に関連して、フォーミングガス温度TFGに対する燃焼温度曲線Tをそれぞれ示す。燃焼温度曲線Tは、内部70内で任意のチャンバ圧力において以下の燃焼反応が起こる際の燃焼温度を表す。
2H+O→2HO蒸気 式1
燃焼温度曲線Tは、局所領域RGを規定する。局所領域RGは、内部70のアニーリング位置55を名目上中心とした半球状の部分を含む。局所領域RG内で、フォーミングガス202は、T以上のフォーミングガス温度TFG(TFG≧T)を有する。そのため、フォーミングガス202は、式1の燃焼反応が起こる内部70内の体積を表す。
【0058】
式1の燃焼反応は、酸素ガス205の濃度を、局所領域RG内で初期濃度または背景濃度COXから、より低濃度(低値)C’OXに減少させるように作用する。内部70内の局所領域RGの外側では、酸素ガスは、初期濃度または背景濃度COXで存在する。このことは、図3Bで模式的に示される。図3Bでは、局所領域RGの外側の酸素ガス205の濃度COXは、局所領域RG内の濃度C’OXよりも高い(すなわち、COX>C’OX)。
【0059】
このように、フォーミングガス202は、局所領域RG内の酸素ガス205の量を局所的に制御する(減少させる)ように機能する。この制御は、式1の燃焼反応を介して起こる。この燃焼反応は、酸素分子(O)を開裂してO原子とすること、及び、その後O原子をフォーミングガス202由来の2つの水素原子(2H)と結合させてHO(水)蒸気を生成することを含む。この局所的な処理は、局所領域RG内で起こり、ウエハ50の上面52の酸化量を減少させる。ウエハ50の上面の酸化は、アニーリング中に起こり得る。一例では、局所領域RG内の酸素ガス205の濃度C’OXは、C’OX≦10ppmである。
【0060】
一例の実施形態では、上記した内部70の分圧における範囲内での燃焼温度は、T=約600℃である。通常アニーリング位置55を中心とする実質的に半球状の局所領域RGを仮定すると、T=600℃における局所領域RGの半径rは、r=約1ミクロンから約10mmであり得る。フォーミングガス202のH原子の濃度、内部70内のH原子の拡散速度、内部70内の酸素ガス205の初期濃度COX、及び式1の燃焼反応の速度は何れも、式1の燃焼反応が開始でき、かつ、開始または初期酸素濃度COXと比較して局所領域RG内の酸素ガス濃度C’OXが実質的に減少するような方法で、式1の燃焼反応が持続できるように設定される。
【0061】
当業者には明白であるが、添付される特許請求の範囲で規定された本開示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載された本開示の好ましい実施形態に対して様々な変更を加えることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲内で行われる本開示の修正及び変更を包含する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B