特許第6185550号(P6185550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185550医療目的用の流体を供給および測定するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185550
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】医療目的用の流体を供給および測定するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20170814BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61M5/168 516
   A61M5/142 500
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-500781(P2015-500781)
(86)(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公表番号】特表2015-515299(P2015-515299A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】EP2012071942
(87)【国際公開番号】WO2013139408
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】102012102273.9
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508240177
【氏名又は名称】ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】エーバーハルト,ディートマー
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−139635(JP,A)
【文献】 米国特許第06171253(US,B1)
【文献】 独国特許出願公開第102004054606(DE,A1)
【文献】 実開平05−062254(JP,U)
【文献】 特表2012−503183(JP,A)
【文献】 特許第5956054(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をポンピングするポンプと、流体を分配する少なくともひとつのエレメントを備えた、医療目的の流体を供給および測定するための装置であって、
少なくともひとつのリセスが前記エレメント内に設けられ、前記リセスは圧力検知材料からなるセンサーコンポーネントによってきつく覆われており、前記エレメントの材料は前記センサーコンポーネントの材料よりも硬く、前記装置はフォースセンサをさらに備え、それによって前記リセスの領域内の前記センサーコンポーネントの誘起圧力の変化が測定され、前記フォースセンサはプランジャを有し、前記リセスの領域内で前記センサーコンポーネントの面と前記プランジャとが直接的に接触し、
前記エレメントは中空ポートであり、それを通じて前記流体が前記ポンプに向かってまたは前記ポンプから離れてポンピングされ、
前記センサーコンポーネントは、外側から前記リセスをきつく覆うように、形状固定されて前記中空ポートを囲むチューブであるか、または、内側からリセスをきつく覆うように、形状固定されて前記中空ポートを囲むチューブである、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記エレメントは、前記中空ポートおよび/または前記流体をポンピングするためのシリンダが取り付けられたフランジであり、前記流体は少なくとも部分的に前記フランジに沿って流れる、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記センサーコンポーネントはエラストマーから形成される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサーコンポーネントはシリコンまたは熱弾性エラストマーから形成される、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記センサーコンポーネントは、楕円形状の断面を有し、前記センサーコンポーネントの平坦面側が前記リセスの領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記センサーコンポーネントは、少なくとも2つの対向する膜側面を含む断面を有する測定膜であり、前記膜側面はそれぞれ内側に屈曲しており、2つの膜側面を互いに結合する膜上面は、直線状に形成され、前記リセスの領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記エレメントは平坦フランジおよび、キャビティを含むバルブプレートを有し、前記流体は前記フランジに沿って前記キャビティを通じて少なくとも部分的に流れ、前記センサーコンポーネントは前記キャビティに対向して初期流動を誘導するための螺旋形状のラビリンスを有する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、少なくとも流体用ポンプおよび流体を通過させて分配するためのエレメントを有する、医療目的のための流体を供給および測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は特に、流体を供給し、測定した量を患者に投与するための点滴または透析技術において使用される。蠕動ポンプおよび注射ポンプがこの分野で主に使用されている。例えば、米国特許第7,887,308号に開示されるような、ピストンポンプも有利に使用可能である。ピストンポンプによって、大量の流量の場合でも高精度の分配を達成することができる。流体は、交換可能な格納タンクから吸引される。
【0003】
ポンプと他のコンポーネントを、ひとつのハウジング内で非常にコンパクトに一体化することがしばしば所望される。例えば、医療用の使い捨て品および/または家庭介護用の注入技術を扱う場合などが該当する。交換可能な注入容器用ポンプの接続は、患者、家族またはヘルパーにとって容易でなければならない。カセットタイプの付加的コンポーネントとともにポンプ全体を収容することが有利である。これらの付加的コンポーネントは、危険なラインのブロックを認識するための閉塞検出用の特定のセンサシステムである。
【0004】
閉塞の検出は、しばしば患者に対して流体を供給するためのチューブの内圧を直接測定することによって実行される。閉塞が存在すれば、ポンプの下流側のチューブの内圧が上昇し、それが直接測定可能である。この目的で、チューブの円形の断面はバイアス力によって楕円形に変形し、決定すべきチューブの内圧は、このバイアス力を増減させ、フォースセンサによってそれが決定される。DE3838689C1は、圧力測定および閉塞検出の方法の例を開示する。
【0005】
従来、ポンプ内にチューブセットを挿入する際、閉塞センサに応答可能なチューブセグメントは特定のサポート内へ手で挿入しなければならなかった。家庭介護の分野に限らず、この点が問題であった。また、この方法はチューブの変形が長時間つづくクリーププロセスを導くという欠点を有する。このクリープはチューブ断面内のテンションを解放し、測定力の連続的な変化を導く。クリープによって生じる力の不所望な変化は、チューブ内圧の変化による所望の測定効果と同様のオーダーであるため、閉塞検出の信頼性が低下する。シリコンのような特定のエラストマーが有意に減少したクレープ特性を有するため、閉塞センサ用のチューブセグメントとして予め設けられる。しかしながら、プロセス安定な接合ジョイントが不可能であるため、シリコンと非シリコン材料の組み合わせはコストが非常に高い。
【0006】
圧力測定の医療用技術分野において、いわゆる“ドーム”または“圧力ドーム”が知られている。典型的に、これらは流体が流れる測定チャンバを有する。測定チャンバの側面の一部は測定チャンバの残りの部分よりもはるかに従属的な膜によって形成されている。しばしば、測定センサは当該膜の外側面に載置され、それは圧力伝達コンタクトによって膜の動きを記録する。その後、測定トランスデューサーが圧力ドームの膜を介して伝達される圧力および圧力変化を電気信号に変換する。例えば、EP0208955A2は圧力ドームの膜と測定トランスデューサーの圧力トランスミッタとの間の圧力伝達コンタクトを製造する方法を開示する。
【0007】
また、DE4340536A1は静脈注射セラピーをモニタリングする装置を開示する。当該装置によって、注入チューブ内の圧力増加による注入中断が検出される。圧力伝達カプセルがチューブシステムに挿入される。当該圧力伝達カプセルは圧力伝達膜を有する。それは流体充填ギャップを介して圧力センサの膜と接触する。このようにして、圧力伝達膜が圧力増加により外側に曲がった場合にはつねに、圧力の小さい増加もすぐに認識されなければならない。
【0008】
流体が流れるチューブにおいて圧力変化を直接測定する他のセンサが知られている。例えば、チューブは接触ポイントにおける圧力変化に反応するトランスデューサーによって膨張変形される、または、測定ストリップがチューブの外周に配置され、内圧の変化による周囲の変化を記録する。また、DE3035703A1号は、閉塞を認識するための圧力センサを有する注入デバイスを開示する。それによってチューブは、チューブ内の圧力変化が弾性エレメントの変形を介して間接的に検出されるように、固定とバネ負荷/弾性エレメントの間にクランプされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらすべての周知の方法は、コストが高く、アクシデントに反応しやすく、ハウジング内のコンパクトな配置には一部適していない。したがって、本願発明の目的は、このようなコンパクトな構造および取り扱いが簡単な医療目的用の流体を供給および測定するための装置を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明にしたがい、独立項1に記載の装置によって、この目的は達成される。当該装置のさらなる利点は、従属項2−12に記載の装置によって達成される。
【0011】
本願発明に従う医療用目的の流体を供給および測定するための装置は、流体をポンピングするための少なくともひとつのポンプと、流体が流れる少なくともひとつのエレメントを有する。少なくともひとつのリセスがエレメントの内部に設けられ、リセスは圧力検知材料から成るセンサーコンポーネントによってきつく覆われている。エレメントの材料はセンサーコンポーネントの材料より硬い。また、装置は、リセスの領域内のセンサーコンポーネントの誘起圧力変化を測定可能なフォースセンサを有する。本願発明は、流体がつねにポンプされるポンプのエレメント内に閉塞センサを設け、その結果、別々のセンサを組み込む必要がなくなる。
【0012】
エレメントは例えば、それを通じて流体がポンプの方向またはポンプから離れる方向にポンピングされる、中空ポートであってよい。それは、センサーコンポーネント用のハウジングを形成する入口および/または出口であり、センサーコンポーネントが導入されるリセスを有する。しかし、エレメントは平坦フランジであってもよく、ポートおよび/または流体のポンピング用シリンダがそこに取り付けられている。流体はフランジに沿って少なくとも部分的に流れる。この場合、フランジはソフトなセンサーコンポーネント用のハードなハウジングを形成する。センサーコンポーネントはフランジに組み込まれるとともに一つ以上のポートにも組み込まれてよい。
【0013】
本願発明は圧力膜の動作原理を利用するが、これを別々のエレメントで使用しない。本願発明は、対応するセンサーコンポーネントをハード材料からなるエレメントに一体化し、それを通じて流体が任意の方向へ分配される。一体化すべき閉塞センサの機械的センサーコンポーネントは流体内部の圧力測定原理に基づき、圧力膜と物理的に類似にふるまう弾性材料によって実現される。ハウジングとして使用される特定のエレメントは圧力に対して鈍感なハードコンポーネントを形成する。それは、圧力の変化が生じても変形しない。ソフトコンポーネントのようなセンサーコンポーネントの変形の発生のため、このエレメント内の内圧が測定可能となる。
【0014】
閉塞センサはスペースを節約するためにハードコンポーネント内に直接一体化されてもよく、それによって非常にコンパクトなデザインとなる。エレメントは流体をポンプへまたはポンプから患者へ流す入口および/または出口である。センサはポンプの手前および/または後ろの閉塞を認識することができる。ハウジング内でポンプとともにコンパクトに収容されるように、関連するポートが適当に配置される。このポートにおける閉塞センサはそれほど大きなスペースは要求しない。特に、使用されるポンプは容積ポンプである。
【0015】
センサーコンポーネントは、一体化され、かつ、関連エレメントから除去不能な部品であるのが好ましい。その結果、インストールする必要が無くなり、または、装置の試運転中にアライメントする必要もない。これにより、装置の取り扱いが容易になり、セットアップエラーを回避でき、測定エラーも回避できる。
【0016】
フォースセンサはリセスの領域内でセンサーコンポーネントの面と接触するのが好ましい。フォースセンサはリセスの領域内でセンサーコンポーネントの面と直接接触するプランジャを有する。このようにして、この領域内でのセンサーコンポーネントの膨張変化が測定される。
【0017】
センサーコンポーネントはエラストマーから形成されるのが好ましい。特に、シリコンまたは熱弾性エラストマーが好ましい。この特別のエラストマーの物理的特性は有利に使用され、それは特に低いクリープ特性を有する。例えば射出成形などの適切な方法がポートとセンサーコンポーネントとの間のシールされた接続に使用可能であるため、シリコンと非シリコン材料との材料結合は要求されない。ポートおよびセンサーコンポーネントは2コンポーネントプロセスで製造されてよい。他に、ポートとセンサーコンポーネントとの間の結合は他の結合技術により製造されてもよい。例えば、プラグイン、クリック、ねじ、または、接着ジョイントが可能である。
【0018】
本発明の第1実施形態において、センサーコンポーネントは、外側からリセスをきつく覆うように、形状固定子によってポートを包囲するチューブである。他の実施形態において、このチューブは、センサーコンポーネントが内側からリセスをきつくシールするように、ポートの内側で形状固定子によって取り付けられる。ポートおよびセンサーコンポーネントは、この目的のために、類似かまたは同じ断面を有する。例えば、円形断面を有するチューブは、形状固定子によって円形ポート内に導入されるか、またはそれを包含してよい。
【0019】
しかし、センサーコンポーネントが楕円形断面を有する場合には、それは有利である。センサーコンポーネントの平坦側がリセスの領域内に配置される。センサーコンポーネントが内側に配置されるか、外側に配置されるかに関係なく、ポートの断面が対応して調節されなければならない。ソフトコンポーネントのこの形式によって、センサーコンポーネントは内圧測定に必要な楕円変形をすでに有しており、熱弾性エラストマーに関する不所望なクリープ特性はすでに最大限に防止されている。
【0020】
楕円断面は例えば、原形が円の断面を有するチューブが入口および/または出口に組み立てられる前に適切に変形されることによって達成される。変形はその後のアセンブリを通じてなされない。不所望なクリープ特性を防止するために所望の楕円断面となるまで、チューブを予め変形させる。
【0021】
本願発明の他の実施形態において、センサーコンポーネントは、それぞれが内側に屈曲した少なくとも2つの対向配置された膜側面を有する特別形状の測定膜であり、2つの膜側面を互いに結合させる膜上面は、直線として形成され、リセス領域内に配置される。フォースセンサは測定膜の直線面上に載置され、内部応力によってもはや変化せず、その結果、線形の力特性が得られる。
【0022】
本願発明に従う装置の応用分野は、これに限定されないが、医療用の使い捨て点滴または透析システムまたは、薬剤分野における薬の個人摂取用の使い捨て物品を有するデバイスなどである。装置は医療用注入セットに一体化してもよく、ポンプセンサユニット用のコンパクトなカセットシステムの必要条件を満たす。それはこの特性が有利と思われるすべての医療分野に応用可能である。
【0023】
本願発明の他の利点、特徴および効果は、従属項の記載および添付する図面を参照する以下の好適実施形態の説明によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、センサーコンポーネントが外側に配置された、ポートを通過する長手軸方向の断面図である。
図2図2は、図1のポートを通過する断面図である。
図3図3は、第1実施形態に従う、センサーコンポーネントが内側に配置された、ポートを通過する長手軸方向の断面図である。
図4図4は、図3のポートを通過する第1の断面図である。
図5図5は、図3のポートを通過する第2の断面図である。
図6図6は、第2実施形態に従う、センサーコンポーネントが内側に配置された、ポートを通過する断面図である。
図7図7はポンプフランジにおけるセンサーコンポーネントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1はポート10を通過する長手軸方向の断面図を示す。外側に配置されたセンサーコンポーネント20は形状固定子によってリセス11の領域内でポート10を包囲する。ポート10とチューブセンサーコンポーネント20との間でシール結合が達成される。センサーコンポーネント20はリセス11内部に部分的に挿入されて内側に形成されてもよい。
【0026】
リセス11は任意の断面を有してよい。円形断面は均一な力分布に有利である。また、リセス11のサイズは適当に選択可能である。図2は、図1の長手軸方向の中央を通る断面図を示す。リセス11は非常に深く選択され、ポート10の中央線にほぼ達している。
【0027】
この領域においてセンサーコンポーネント20の外側と接触するように、フォースセンサがリセス11を介して設けられている。センサーコンポーネントに当接するプランジャ30を介してこれが生じる。ポート10の内圧が閉塞により増加する際に、センサーコンポーネント20は外側に曲がり、プランジャ30によってそれが検出される。
【0028】
図3は本願発明の第実施形態を示す。チューブのセンサーコンポーネント20はポート10の内側に取り付けられる。よって、内側からリセス11をきつく覆う。フォースセンサのプランジャ30はリセス11を通じてセンサーコンポーネント20と接触する。ここで、センサーコンポーネント20が定位置にあり、かつ、軸方向のスライドを防止するようにポート10の内側面が構成されてもよい(図示せず)。
【0029】
図4は線A−Aに沿ったポートを通じる第1の断面図を示す。センサーコンポーネント20は楕円形の断面を有する。ポート10の内側面は形状固定子によってセンサーコンポーネント20を収容することができるように適宜形成される。図5は線B−Bに沿った第2の断面図を示す。プランジャ30はリセス11を通じてセンサーコンポーネント20の外側面と接触する。
【0030】
センサーコンポーネント20の最大可能な内部応力を防止するために、図6に示すような特別形状の測定膜が与えられる。測定膜20は、2つの対向する膜側面21、22を有する。それらは内側に屈曲している。膜上面23は2つの膜側面21、22を結合し、まっすぐに構成され、プランジャ30と接触する。膜上面23は内部応力によってもはや変化することはない。それにより、線形の力特性、すなわち、力=内圧×膜の表面積が生じる。
【0031】
センサーコンポーネント20の断面は、個別に形成され、少なくともひとつの以下の機能コンポーネントを含む。
測定用に必要な膜の幾何学的形状を決定する直線または略直線、
チューブまたは透明ハードコンポーネントに対してソフトコンポーネントのサポート機能を実行する膜に対向する直線または曲線、
ソフトコンポーネントの2つの側面でバネ機能を実現するための幾何学形状、それにより大気圧以下の圧力を測定するのに必要なプレロードが設定される。付加的に、内圧の上昇に伴って膜が反対側に配置されたサポート面から自分自身を除去するのにバネ機能が必要である。
【0032】
圧力上昇と同時に、測定膜20が不所望な方向、例えば側面方向に伸長することなく、形状固定子によってそれと当接するように、ポート10の内側面は適当に形成される。ポート10のこの特別形状は閉塞センサの領域内にのみ設けられてよい。それにより、ポート全体でのコストの増加を避けることができる。
【0033】
プランジャ30を包囲するハードコンポーネントは、好適には、平坦面を有し、プランジャの上部エッジのほぼ下側に配置される。プランジャが他の面に対して押された場合にこの面は当接面として機能する。プランジャは、オーバーハングの分だけ押され、それによって、圧力センサ用の一定のプレロードが作成される。
【0034】
図7は、閉塞センサがポンプの一部である平坦プランジャ40に直接取り付けられる本願発明の他の実施形態を示す。ポートおよび/またはポンプのシリンダはフランジ40に取り付けられてもよい。バルブプレート41がフランジ40の下側で当接して設けられる。ポンピング中、流体はこのバルブプレートを通じて、フランジ40に少なくとも部分的に沿って流れる。キャビティ43はバルブプレート41内に設けられ、それを通じて、流体が流れる。リセス11はフランジ40内に設けられ、それはセンサーコンポーネント20によって覆われる。圧力感度を増加させるべくより広い面を与えるために、センサーコンポーネント20のそれぞれの膜の幅は、バルブプレート40上に収容されるキャビティ43の幅より広いことが好ましい。
【0035】
流体の主流は右方向の水平矢印によって示されている。しかし膜20の下側の体積はこの主流によって完全に換気されなくてもよい。閉塞センサの機能はこの場合においても完全に与えられる。膜20の下側の不完全換気体積が存在する場合には、空気を圧縮するのに必要な流体の付加的量によって、応答時間は遅延する。膜底面が単一または二重螺旋形状のラビリンス42を備える場合、毛細管現象の効果によって、付加的な初期流動が誘導され、それは最も強力な換気をもたらす。この初期流動は図7で時計方向に曲がったいくつかの矢印によって示されている。
【0036】
センサーコンポーネント20の膜からの力は閉塞を認識するための外部のフォースセンサ(図示せず)に伝達される。ポンプが吸引する際にポンプの閉塞は真空圧力を導くため、ポンプの領域内の膜20は真空によってやがて減少する曲率を有するように設計される。
【符号の説明】
【0037】
10 ポート、入口、出口
11 リセス
20 センサーコンポーネント、膜
21、22 膜側面
23 膜上面
30 フォースセンサ、プランジャ
40 フランジ
41 バルブプレート
42 ラビリンス
43 キャビティ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】米国特許第7,887,308号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許第DE3838689号明細書
【特許文献3】ドイツ国特許第DE4340536号明細書
【特許文献4】ドイツ国特許第DE3035703号明細書
【特許文献5】欧州特許第EP0208955号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7