(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185555
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】可変速度式ハイブリッド電気スーパーチャージャーアセンブリ、及び、これを有する車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
F02B 33/38 20060101AFI20170814BHJP
B60L 11/14 20060101ALI20170814BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20170814BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20170814BHJP
F02B 33/00 20060101ALI20170814BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20170814BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20170814BHJP
F02D 23/00 20060101ALI20170814BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20170814BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20170814BHJP
F02N 15/00 20060101ALI20170814BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20170814BHJP
F02B 39/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
F02B33/38ZHV
B60L11/14
B60L1/00 L
B60L7/14
F02B33/00 E
F02D41/04 310A
F02D41/02 310D
F02D23/00 F
F02D45/00 314L
F02D45/00 314S
F02N11/04 A
F02N15/00 E
B60R16/03 J
F02B39/10
【請求項の数】20
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-503277(P2015-503277)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-518537(P2015-518537A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】US2013030944
(87)【国際公開番号】WO2013148205
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】61/617,152
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジェィ、ロバート、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アイベルゲン、ウィリアム、エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ツォーラパス、ヴァシリス
(72)【発明者】
【氏名】プライヤー、マーチン、ディー.
【審査官】
川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−360487(JP,A)
【文献】
特開2003−220843(JP,A)
【文献】
特開2000−230427(JP,A)
【文献】
特開2004−308646(JP,A)
【文献】
特開2002−357127(JP,A)
【文献】
特表2009−520915(JP,A)
【文献】
実開平05−042645(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/38
F02B 33/00
F02B 39/10
B60L 1/00
B60L 7/14
B60L 11/14
B60R 16/03
F02D 23/00
F02D 41/02
F02D 41/04
F02D 45/00
F02N 11/04
F02N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフト,及び,プレナムを形成する吸気マニホールドを有し、空気流が前記プレナムを経由してエンジンに供給されるようなエンジン用のスーパーチャージャーアセンブリであって、
前記プレナムの上流から前記エンジンに空気を流し、第1シャフトに共転するように取り付けられた第1ロータ,及び,前記第1ロータと噛み合い、前記第1シャフトの回転によって第2シャフトに共転するように取り付けられた第2ロータを有する、スーパーチャージャーと、
モータ及び発電機として選択的に動作可能な電動発電機と、
該電動発電機によって回転するように動作可能に連結される第1部材,前記エンジンのクランクシャフトによって回転するように連結可能な第2部材,及び,前記第1シャフトと共転するように動作可能に連結される第3部材を有する、遊星歯車装置と、
前記エンジンのクランクシャフトと共転するように前記第2部材を動作可能に連結するための選択的に係合可能なクラッチ,及び,前記第1シャフトの固定を保持するための選択的に係合可能なブレーキを含む、2つの選択的に係合可能なトルク伝達機構と、
前記電動発電機,前記ブレーキ,及び前記クラッチを制御し、複数の異なる運転モードを実現するように構成される制御システムと、
を含むことを特徴とするスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項2】
少なくとも1つの車両部品が、前記第2部材に動作可能に連結され、また、前記制御システムは、前記エンジンが停止している場合、エンジン停止運転モードとして、前記クラッチの連結を外し、かつ、前記電動発電機をモータとして機能するように制御して、前記少なくとも1つの車両部品に動力供給するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項3】
前記制御システムは、エンジン起動運転モードとして、前記ブレーキと前記クラッチの双方を係合し、また、前記電動発電機をモータとして機能するように制御し、前記遊星歯車装置を介して前記エンジンを起動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項4】
前記制御システムは、前記エンジンが動作中である場合、エンジン過給運転モードとして、前記クラッチのみを係合し、かつ、前記電動発電機をモータとして機能するように制御するように構成され、これにより、エンジントルク及び電動発電機のトルクが、前記スーパーチャージャーを駆動することを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項5】
前記制御システムは、前記エンジン過給運転モードの間、前記電動発電機の速度を変化させ、エンジントルク要求に基づいて前記スーパーチャージャーによって提供されるエンジンの過給を制御するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項6】
前記スーパーチャージャーアセンブリは、さらに、
前記第1及び第2ロータをバイパスして、空気が前記スーパーチャージャーの吸気口から前記プレナムへ流れることを可能にするように構成されるバイパス通路と、
前記バイパス通路を通過する空気流を制御するように作動可能なバイパスバルブと、
を含み、
前記制御システムは、前記エンジン過給運転モードの間に、前記バイパスバルブの位置を制御し、エンジントルク要求の変化に従って前記プレナム内の空気圧を調整するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項7】
前記エンジンは、スロットルボディ,及び,該スロットルボディ内にスロットルバルブを有し、前記プレナムは、前記スロットルボディの下流から前記エンジンへ空気が流れるように構成され、
前記スーパーチャージャーは、空気を前記エンジンに流す前記スロットルバルブと直列に配置され、また、
前記電動発電機に作動可能に接続されるエネルギ蓄積装置をさらに含み、前記エネルギ蓄積装置は、前記電動発電機がモータとして機能している場合、前記電動発電機に電気エネルギを供給し、また、前記電動発電機が発電機として機能している場合、前記電動発電機から電気エネルギを受け取り、
前記制御システムは、発電機として機能するように前記電動発電機を制御し、また、前記スロットルバルブを比較的開放された位置に移動させるように構成され、それにより、前記スーパーチャージャーを横切る絞り圧力降下によって生成されるトルクが、前記スーパーチャージャーから、前記遊星歯車装置を介して、前記電動発電機へ提供され、これにより、スロットルロスが、電気エネルギとして前記エネルギ蓄積装置内に回収されることを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項8】
前記制御システムは、前記エネルギ蓄積装置のチャージ状態が所定の最大値に到達したときに、代わりにモータとして機能するように前記電動発電機を制御し、前記ブレーキを係合し、バイパスバルブを開放し、前記スロットルバルブを比較的閉鎖された位置に配置して、絞り圧力降下を管理するように構成され、それにより、前記電動発電機は、前記エネルギ蓄積装置のチャージ状態が所定の最小値に到達するまで、前記クランクシャフトを駆動し、
前記制御システムは、その後、発電機として機能するように前記電動発電機を制御し、前記スロットルバルブを、比較的開放された位置に移動させるように構成され、それにより、前記スーパーチャージャーを横切る絞り圧力降下によって生成されるトルクが、前記スーパーチャージャーから、前記遊星歯車装置を介して、前記電動発電機へ提供されることを特徴とする請求項7に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項9】
前記制御システムは、前記ブレーキを係合し、かつ、前記電動発電機がモータとして機能する場合に前記電動発電機によって提供されるトルクの方向と逆方向に、前記電動発電機に加えられるトルクによって、発電機として機能するように前記電動発電機を制御するように構成され、これにより、逆方向トルクを前記クランクシャフトに加えて、前記電動発電機によって生成される電気エネルギを、エネルギ蓄積装置内に蓄積することを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項10】
前記スーパーチャージャーアセンブリは、ハウジングアセンブリをさらに含み、前記ハウジングアセンブリは、
前記第1及び第2ロータを半径方向に包囲するように構成されるロータハウジング部と、
該ロータハウジング部に取り付けるように構成される吸気カバー部と、
を有し、
前記第1シャフトは、前記ロータハウジング部内から前記吸気カバー部内へ延び、かつ、前記吸気カバー部によって支持されており、前記吸気カバー部は、吸込路の少なくとも一部を形成し、空気が、前記吸込路を経由して前記第1及び第2ロータへ供給され、また、前記吸気カバー部は、さらに、キャビティを形成し、前記キャビティ内で前記ブレーキを支持することを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項11】
前記吸気カバー部は、前記第1及び第2ロータをバイパスして、空気を、前記吸込路からスロットルボディへ迂回させるように構成されるバイパス通路の一部と、
前記バイパス通路内に配置され、また、前記バイパス通路を通過する空気流を制御するように作動可能なバイパスバルブと、
を形成することを特徴とする請求項10に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項12】
前記スーパーチャージャーアセンブリは、さらに、
前記第3部材を前記第1シャフトに動作可能に連結する連結部材と、
ハウジングアセンブリと、
を含み、前記ハウジングアセンブリは、
前記第1及び第2ロータを半径方向に包囲するように構成されるロータハウジング部と、
該ロータハウジングの一端部と位置合わせされた1つの開口部を有するモータハウジング部と、
該モータハウジング部に取り付けられるギアカバー部と、
を有し、
前記第1シャフトは、前記ロータハウジング部内から、前記モータハウジング部内の前記開口部内に配置される前記連結部材へ延び、また、前記ギアカバー部は、前記遊星歯車装置を収容するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項13】
前記モータハウジング部は、前記電動発電機に取り付けられるように構成され、
前記スーパーチャージャーアセンブリは、さらに、前記ギアカバー部内に配置され、かつ、前記電動発電機と共転するように連結される第1ギア部材,及び,前記遊星歯車装置の前記第1部材と共転するように連結される第2ギア部材を有するギアトレーンを含み、
これにより、前記ギアトレーンは、前記遊星歯車装置と前記電動発電機との間でトルクを伝達することを特徴とする請求項12に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項14】
前記ギアカバー部によって支持され、前記第2部材と共転するように連結されるプーリシャフトを有し、かつ、前記クランクシャフトに動作可能に連結されるプーリと、
前記プーリシャフトに取り付けられ、前記遊星歯車装置に向かって開口し、かつ、前記ギアカバー部内の流体を前記遊星歯車装置に方向付けるように構成されるオイルスリンガと、
をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項15】
前記遊星歯車装置を収容するように構成されるギアカバー部と、
プーリシャフトを有するプーリと、
前記ギアカバー部に対して回転するように前記プーリシャフトを支持する複数のベアリングと、
をさらに含み、
前記プーリシャフトは、前記第2部材と共転するように連結され、前記プーリは、前記クランクシャフトに動作可能に連結することができ、
前記ギアカバー部は、一体型の複数のリブ及び通路を有し、前記複数のリブは、潤滑油を収集し、また、前記潤滑油を、前記通路を経由して前記複数のベアリングに方向付けるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項16】
前記第1及び第2ロータを半径方向に包囲し、かつ、吸気口及び排気口を少なくとも部分的に形成するように構成されるロータハウジング部と、
1つの排気用開口部を含む排気用部品と、
をさらに含み、
前記排気用部品は、前記排気用開口部が前記排気口に流体連通して、前記ロータハウジング部に取り付けられるように構成され、また、前記排気口と前記排気用開口部の双方は、概ね同一の五角形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項17】
プレナムを形成し、空気が前記プレナムを経由してエンジンに流れるようなエンジン用のスーパーチャージャーであって、
空気を前記エンジンに流す前記プレナムと直列に配置され、第1シャフトに共転するように取り付けられた第1ロータ,及び,前記第1ロータと噛み合い、前記第1シャフトの回転によって第2シャフトに共転するように取り付けられた第2ロータを有する、スーパーチャージャーと、
吸気口をスロットルボディに作動可能に接続するバイパス通路と、
該バイパス通路内に配置され、空気が、前記バイパス通路を経由して、前記吸気口と前記スロットルボディとの間を流れることを選択的に可能し、前記第1及び第2ロータをバイパスする、バイパスバルブと、
モータと発電機のどちらか一方として、選択的に動作可能な電動発電機と、
該電動発電機がモータとして機能している場合、前記電動発電機に電気エネルギを供給し、また、前記電動発電機が発電機として機能している場合、前記電動発電機から電気エネルギを受け取るように、前記電動発電機に作動可能に接続される、エネルギ蓄積装置と、
前記電動発電機によって回転するように動作可能に連結される第1部材,第2部材,及び,前記第1シャフトと共転するように動作可能に連結される第3部材を有する、遊星歯車装置と、
クランクシャフトに動作可能に連結されるように構成され、かつ、前記第2部材と共転するように連結されるプーリシャフトを有する、プーリと、
前記電動発電機と共転するように連結される第1ギア部材,及び,前記遊星歯車装置の前記第3部材と共転するように連結される第2ギア部材を有し、これにより、前記遊星歯車装置と前記電動発電機との間でトルクを伝達する、ギアトレーンと、
前記エンジンのクランクシャフトと共転するように前記第2部材を動作可能に連結するための選択的に係合可能な電磁クラッチ,及び,前記第1シャフトの固定を保持するための選択的に係合可能な電磁ブレーキを含む、2つの選択的に係合可能なトルク伝達機構と、
前記電動発電機,前記バイパスバルブ,前記ブレーキ,及び,前記クラッチを制御し、複数の異なる運転モードを実現するように構成される制御システムと、
を含むことを特徴とするスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項18】
前記スーパーチャージャーアセンブリは、さらに、
ハウジングアセンブリを含み、前記ハウジングアセンブリは、
前記第1及び第2ロータを半径方向に包囲するように構成され、かつ、吸気開口部,及び,排気路を少なくとも部分的に形成する排気口を有する、ロータハウジング部と、
該ロータハウジング部に取り付けるように構成される吸気カバー部と、
前記ロータハウジング内の前記第1及び第2シャフトと位置合わせされた1つの開口部を有し、前記電動発電機を支持するように構成される、モータハウジング部と、
該モータハウジング部に取り付けられるギアカバー部と、
を有し、
前記第1シャフトは、前記吸気カバー部内へ延び、かつ、前記吸気カバー部によって支持され、前記吸気カバー部は、吸込路の少なくとも一部を形成し、空気が、前記吸込路を経由して前記ロータハウジング部の前記吸気開口部へ供給され、
前記モータハウジング部内の前記開口部内に連結部材が配置され、前記第1シャフトは、前記連結部材によって前記第3部材に動作可能に連結され、前記ギアカバー部は、前記遊星歯車装置を収容し、かつ、前記プーリ及び前記プーリシャフトを支持するように構成され、
前記ハウジングアセンブリは、前記電動発電機及び前記ロータハウジング部が、前記プーリに対して前記ギアカバー部の反対側に存在し、前記吸込路が、前記電動発電機に隣接しており、また、前記排気路が、前記電動発電機に対して前記ロータハウジング部の反対側に存在するように構成されることを特徴とする請求項17に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項19】
クランクシャフト,スロットルボディ,該スロットルボディの下流にプレナムを形成する吸気マニホールド,及び,前記スロットルボディ内に配置され選択的に位置調整可能であり、エンジンへの空気流を調整するスロットルバルブを有する、エンジン用のスーパーチャージャーであって、
前記スロットルボディの上流から前記エンジンに空気を流す前記スロットルバルブと直列に配置され、第1シャフトに共転するように取り付けられた第1ロータ,及び,前記第1ロータと噛み合い、前記第1シャフトの回転によって第2シャフトに共転するように取り付けられた第2ロータを有する、ルーツ式スーパーチャージャーと、
該スーパーチャージャーに吸気口を形成するハウジングアセンブリと、
前記吸気口を前記スロットルボディに作動可能に接続するバイパス通路と、
該バイパス通路内に配置され、空気が、前記バイパス通路を経由して、前記吸気口と前記スロットルボディとの間を流れることを選択的に可能し、前記第1及び第2ロータをバイパスする、バイパスバルブと、
モータと発電機のどちらか一方として、選択的に動作可能な電動発電機と、
該電動発電機がモータとして機能している場合、前記電動発電機に電気エネルギを供給し、また、前記電動発電機が発電機として機能している場合、前記電動発電機から電気エネルギを受け取るように、前記電動発電機に作動可能に接続される、エネルギ蓄積装置と、
前記電動発電機によって回転するように連結される第1部材,前記エンジンのクランクシャフトによって回転するように連結可能な第2部材,及び,前記第1シャフトと共転するように連結される第3部材を有する、遊星歯車装置と、
前記エンジンのクランクシャフトと共転するように前記第2部材を動作可能に連結するための選択的に係合可能なクラッチ,及び,前記第1シャフトの固定を保持するための選択的に係合可能なブレーキを含む、2つのみの選択的に係合可能なトルク伝達機構と、
前記電動発電機,前記スロットルバルブ,前記バイパスバルブ,前記ブレーキ,及び,前記クラッチを制御し、前記電動発電機が前記エンジンを起動する運転モード,前記エンジンが動作中であり、また、前記電動発電機が、前記遊星歯車装置を介して前記第1及び第2ロータの速度を変化させ、前記プレナム内の空気圧を調整する運転モード,及び,前記エンジンに流れる空気が、前記バイパス通路を経由して前記第1及び第2ロータをバイパスする運転モードを実現するように構成される制御システムと、
を含むことを特徴とするスーパーチャージャーアセンブリ。
【請求項20】
前記制御システムは、発電機として機能するように前記電動発電機を制御するように構成され、また、前記スロットルバルブは、比較的開放された位置に移動するように制御され、それにより、前記スーパーチャージャーを横切る絞り圧力降下によって生成されるトルクが、前記スーパーチャージャーから、前記遊星歯車装置を介して、前記電動発電機へ提供され、これにより、スロットルロスが、電気エネルギとして回収され、
前記制御システムは、発電機として機能するように前記電動発電機を制御するように構成され、また、前記スロットルバルブは、比較的開放された位置に移動するように制御され、それにより、前記スーパーチャージャーを横切る絞り圧力降下が、元の絞り圧力降下と等しいか,または,より大きくなり、これにより、前記電動発電機は、前記遊星歯車装置を介して、この絞り圧力降下を電気エネルギとして回収することを特徴とする請求項19に記載のスーパーチャージャーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として、2013年3月13日に出願されており、かつ、2012年3月29日に出願された米国特許出願第61/617,152号に対する優先権を主張し、その開示内容はその全体を参照として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明における教示は、概して、スーパーチャージャー,電動発電機,及び,遊星歯車装置を含むスーパーチャージャーアセンブリを含む。
【背景技術】
【0003】
エネルギ効率の良い、サイズが縮小されたエンジンは、燃料節約とコスト削減のために望ましい。より小さなエンジンは、より大きなエンジンより小さいトルクを供給する。スーパーチャージャーが、時に用いられ、エンジンから利用可能なトルクを増大させる。エンジン低速時において、より高いトルクが、車両運転者がアクセルペダルを踏むことにより、頻繁に要求された場合、スーパーチャージャーは、エンジンの吸気マニホールドに追加の空気を供給し、空気圧力を上昇させ、これにより、エンジンが、エンジン低速時において、より大きなトルクを生成することを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
本発明における教示は、概して、エンジン用のスーパーチャージャーアセンブリを含む。エンジンは、クランクシャフト,及び,プレナムを形成する吸気マニホールドを有し、空気流がプレナムを経由してエンジンに供給される。
スーパーチャージャーアセンブリは、プレナムの上流からエンジンに空気を流すスーパーチャージャーを含む。このスーパーチャージャーは、第1シャフトに共転するように取り付けられた第1ロータ,及び,第1ロータと噛み合い、第1シャフトの回転によって第2シャフトに共転するように取り付けられた第2ロータを有する。スーパーチャージャーアセンブリは、さらに、モータ及び発電機のどちらか一方として、選択的に動作可能な電動発電機,及び,遊星歯車装置を含む。
遊星歯車装置の第1部材は、電動発電機によって回転するように動作可能に連結され、遊星歯車装置の第2部材は、エンジンのクランクシャフトによって回転するように連結可能であり、また、遊星歯車装置の第3部材は、第1シャフトと共転するように動作可能に連結される。
スーパーチャージャーアセンブリは、エンジンのクランクシャフトと共転するように第2部材を動作可能に連結するための選択的に係合可能なクラッチ,及び,第1シャフトの固定を保持するための選択的に係合可能なブレーキを含む、2つのみの選択的に係合可能なトルク伝達機構を有する。
制御システムが、電動発電機,ブレーキ,及びクラッチを制御し、複数の異なる運転モードを実現するように構成される。
【0005】
例えば、エンジンが、スロットルバルブを備えた内燃機関である場合、スロットルバルブ及びスーパーチャージャーは、スロットルロス(つまり、エンジンシリンダの往復運動によって作り出される負圧が原因でスロットルに生じる圧力降下)が、スロットル及び/またはスーパーチャージャーに選択的に分配されるように制御されることが可能である。この、スーパーチャージャーにかかる圧力降下は、蓄積エネルギに変換されるトルクを生成することができる。
【0006】
上述の特徴と利点,及び,本発明における教示の他の特徴と利点は、添付した図面と関連して本発明における教示を実施するための以下の最良の形態の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明における教示の1つの態様に従い、スーパーチャージャーアセンブリのハウジングアセンブリが部分的に取り除かれた、スーパーチャージャーアセンブリ及びエンジンアセンブリの略側面図である。
【
図2】
図1のハウジングアセンブリ内のスーパーチャージャーアセンブリの略側面図である。
【
図3】
図2の線分3-3において切断されたスーパーチャージャーアセンブリの略断面図である。
【
図4】
図3の線分4-4において切断されたスーパーチャージャーアセンブリの略断面図である。
【
図5】
図4に示されている1つの領域における、スーパーチャージャーの一部の略図である。
【
図6】ハウジングアセンブリのギアカバー部の略端面図である。
【
図7】
図6の線分7-7において切断されたギアカバー部内部のスーパーチャージャーアセンブリの一部の略断面図である。
【
図9】ハウジングアセンブリの排気ハウジング及び排気管の概略斜視図である。
【
図10】ハウジングアセンブリの排気ハウジング及び排気管の略平面図である。
【
図11】ハウジングアセンブリの排気ハウジング及び排気管の略側面図である。
【
図12】
図11の線分12-12において切断された排気ハウジング及び排気管の略断面図である。
【
図16】ブレーキ用のキャビティを形成するハウジングの吸気カバー部の略端面図である。
【
図17】
図16の線分17-17において切断された吸気カバー部の略断面図である。
【
図19】
図3のプーリシャフトに取り付けられるオイルスリンガの概略斜視図である。
【
図20】
図6に示されているギアカバー部の反対側の略端面図である。
【
図21】本発明における教示のもう1つの態様に従った、排気ハウジング及び排気管を有する排気用の部品を備えたロータハウジング部の略断面図である。
【
図22】
図21の排気ハウジング及び排気管を備えた排気用部品の概略斜視図である。
【
図23】
図2のロータハウジング部の略底面図である。
【
図24】
図21及び22の排気用部品を有するスーパーチャージャーアセンブリの略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照すると、いくつかの図を通しての同一の符号は、同一の部品を示しており、
図1は、スロットルバルブと直列に設置されたスーパーチャージャー12を備えたスーパーチャージャーアセンブリ11を含むエンジンアセンブリ10を示している。また、ここでは、スロットルバルブは、エンジン13のスロットルボディ16内に配置されるスロットル14として示されている。このスロットルボディ16は、吸気マニホールド20内のプレナム18の上流から、エンジン13へ空気が流れるように構成されている。
【0009】
スーパーチャージャー12は、スロットル14の上流からエンジン13に空気が流れるように示されているが、スーパーチャージャー12は、代わりに、スロットル14の下流からエンジン13に空気が流れるように構成されてもよい。換言すると、スロットル14は、スーパーチャージャー12の吸気口84に空気を供給してもよく、また、スーパーチャージャー12の排気口は、プレナム18に直接導かれてもよい。さらに、当然のことながら、スーパーチャージャー12は、ディーゼルエンジンのようなスロットルを有さないエンジンに用いられてもよい。
【0010】
スーパーチャージャー12は、第2ロータ28(この第2ロータ28は、
図3において見ることができる)と噛み合うことができる第1ロータ26を備えた一組のロータ24を有することができる。ロータ26,28の其々は、複数のローブを有する。スーパーチャージャー12は、プレナム18の上流の空気圧を上昇させ、エンジンシリンダ内に、より多くの空気を送り込み、これにより、トランスミッション22を介して駆動軸21に動力を供給するためのエンジン出力を増大させることができる。
【0011】
スーパーチャージャー12は、1回転あたりに一定の空気量を出力するルーツ式スーパーチャージャーのような固定容量型のスーパーチャージャーである。増加した空気出力は、プレナム18内に送り込まれたとき、加圧される。ルーツ式スーパーチャージャーは、容積型の装置であり、このため、圧力を上昇させるうえで、回転数に依存しない。ルーツ式スーパーチャージャーによって供給されるロータ26,28其々の1回転あたりの空気量は、一定である(つまり、速度によって変化しない)。これにより、ルーツ式スーパーチャージャーが、コンプレッサーよりはむしろポンプとして機能するため、ルーツ式スーパーチャージャーは、低速時のエンジン及びロータにおいて圧力を発生させることができる(このとき、スーパーチャージャーは、エンジンにより駆動される)。
【0012】
ルーツ式スーパーチャージャー12によって供給される空気の圧縮は、スーパーチャージャー12の下流で、固定容量型のエンジンプレナム18内の空気量を増加させることにより行われる。あるいは、スーパーチャージャー12は、空気がスーパーチャージャー12を通過するときに空気を圧縮する遠心式スーパーチャージャーのようなコンプレッサーであってもよい。しかし、空気を圧縮すると、それにより、スロットルボディ16に供給される空気量,及び,プレナム18内の空気圧は、圧縮機の圧縮速度に依存することになる。
【0013】
スーパーチャージャーアセンブリ11は、サンギア部材42,リングギア部材44,及び,キャリア部材46を備えた遊星歯車装置41を含む。このキャリア部材46は、リングギア部材44とサンギア部材42の両方と噛み合う一組のピニオンギア47を、回転自在に支持している。サンギア部材42は、遊星歯車セット41の第3部材として言及され、リングギア部材44は、遊星歯車セット41の第1部材として言及され、さらに、キャリア部材46は、遊星歯車セット41の第2部材として言及される。遊星歯車セット41は、簡素な遊星歯車セットである。複合的な遊星歯車セットが、他の実施形態として用いられてもよい。
【0014】
図3に示されているように、第1ロータ26は、第1シャフト30まわりに回転し、また、一組の噛み合いタイミングギア34,36を介して、第2ロータ28の複数のローブと噛み合う、複数のローブを有する。当然のことながら、ロータ26,28は、ロータ26,28が回転するときに、それらのローブが互いに噛み合う。しかしながら、ロータ26,28のローブは、互いに接触しない。第2ロータ28は、第2シャフト32まわりに回転する。第2シャフト32は、一組の噛み合いタイミングギア34,36を介して、第1シャフト30により、駆動される。特に、第1ギア34は、第1ロータ26と共転するように、第1シャフト30に取り付けられている。第2ギア36は、第2ロータ28と共転するように、第2シャフト32に取り付けられている。第1ギア34は、第2ギア36と噛み合う。
【0015】
図1に示されているように、電磁クラッチ55が、回転するクランクシャフト48に取り付けられるプーリ57を、クランクシャフト48に接続するように係合する場合、エンジン13は、ベルト駆動装置49を介してキャリア部材46に動作可能に接続されるクランクシャフト48を有する。これにより、このプーリ57及びクランクシャフト48は、ベルト63を介して、プーリシャフト61に取り付けられたプーリ59に駆動可能に接続され、このプーリシャフト61と共転する。プーリシャフト61は、キャリア部材46と同じ速度で共転するように、キャリア部材46に接続されている。
【0016】
クラッチ55は、通常結合クラッチであり、通常、クラッチパックが、クランクシャフト48にスプライン結合される第1の一組のプレート31を、プーリ57と共転するように強固に接続されたクラッチハウジング35にスプライン結合される第2の一組のプレート33に係合する係合状態にある。スプリング37は、一組のプレート31,33の方へアプライプレート38を付勢し、クラッチ55を係合状態に保持する。このスプリング37の付勢力に打ち勝ち、クラッチプレート31,33から軸方向に離れるようにプレート38を移動させるための磁力を生成するように、コイル39が励磁され、これにより、クラッチ55の連結が外れる。
【0017】
このコイル39は、制御信号をクラッチ55に送るように作動するエンジンコントローラのようなシステムコントローラ65を含む制御システムにより、選択的に励磁される。また、このコントローラ65は、本明細書内で説明されるような、モータコントローラ62、並びに、電磁ブレーキ68,バイパスバルブ70,及び,スロットル14に作動可能に接続されている。通常開放式クラッチを含む、他のあらゆるタイプのクラッチが、クラッチ55の代わりに用いられてもよい。
【0018】
電動発電機/ジェネレータ50は、第2ギア部材54と噛み合う第1ギア部材53を含むギアトレーンを介して、リングギア部材44にトルクを伝達するか、または、このリングギア部材44からのトルクを受けることができる。この電動発電機50は、モータシャフト52を有し、このモータシャフト52は、モータシャフト52に取り付けられた第1ギア部材53と共転することができる。
【0019】
第1ギア部材53は、リングギア部材44と噛み合う段付ギア部材である第2ギア部材54と噛み合うことができる。サンギア部材42は、部分的に柔軟な連結部材58を介して第1シャフト30に接続されるシャフト56と共転するため、サンギア部材42は、スーパーチャージャー12の第1ロータ26と同じ速度で回転する。この連結部材58は、第1シャフト30と、サンギア部材42に接続されるシャフト56との間のねじり振動及び軸方向振動を吸収するためにたわむ。第1ロータ26の回転は、噛み合いギア34,36を介して第2ロータ28を回転させる。
【0020】
電動発電機50は、一体型電子モータ制御装置62を有し、この制御装置62は、電動発電機50がモータまたは発電機として機能するように、電動発電機50の動作を制御する。電動発電機50がモータとして機能する場合、電動発電機50は、電力ケーブル66を経由して、バッテリのようなエネルギ蓄積装置64から蓄積された電気エネルギを受け取る。
【0021】
制御装置62は、エネルギが、エネルギ蓄積装置64から電動発電機50へ流れる場合、直流から交流に電気エネルギを変換し、また、エネルギが、電動発電機50からエネルギ蓄積装置64へ流れる場合、交流から直流に電気エネルギを変換する、電力インバータを含んでもよい。システムコントローラ65は、CANバスまたは類似構造により、モータコントローラ62に作動可能に接続されたエンジンコントローラであり、さらに、本明細書内で説明されるように、クラッチ55の係合,ブレーキ68の係合,スロットル14の位置,及び,バイパスバルブ70の位置を制御するように構成されている。
【0022】
ベルト駆動装置49は、フロントエンジンの補機駆動装置(FEAD)として適用されてもよい。例えば、本明細書内で説明されるエンジン起動/停止モードの間に、1つ以上の車両補機78は、クラッチ55が係合されている場合、ベルト駆動装置49のベルト63を介してエンジンのクランクシャフト48により、駆動され、また、クラッチ55が係合されず、ブレーキ68が、サンギア42を停止させるように係合され、エンジン13が停止されている場合、電動発電機50により、駆動される。エンジン冷却ポンプまたはエアコン用コンプレッサーなどの車両補機78は、ベルト63によって駆動されるプーリ76と共転するシャフト79に動作可能に接続されている。
【0023】
サンギア部材42は、連結部材58を介してシャフト56,30により、第1ロータ26と共転するように接続されている。ブレーキ68は、システムコントローラ65により、制御され、第1シャフト30を、スーパーチャージャーアセンブリ11の固定されたハウジングアセンブリ80に選択的に堅く固定する。特に、ブレーキ68は、ハウジングアセンブリ80の吸気カバー部82のキャビティ69(
図4参照)内に収容される電磁ブレーキであるため、吸気カバー部82は、ブレーキ68を支持する。また、
図4において描写されているように、ブレーキ68は、第1シャフト30を、吸気カバー部82に堅く固定するように、選択的に駆動される。
【0024】
空気は、
図1に概略的に示されている吸気カバー部82における吸込路85の吸気口84から、ロータハウジング部90の吸気開口部84A(
図21を参照)を通って、ロータ26と28との間を通過し、ハウジングアセンブリ80のロータハウジング部90によって部分的に形成されている排気路88の排気口86(
図23に最も示されている)へ、スーパーチャージャーアセンブリ11を横断するように、流れる。ロータハウジング部90は、ロータ26,28及びシャフト30,32を半径方向に包囲する。シャフト30は、ロータハウジング部90の軸方向の一端部から、吸気カバー部82へ延びている。バイパス通路94の一部92は、吸気カバー部82によって形成される。また、このバイパス通路94は、バイパスルートとして適用される。
【0025】
バイパスバルブ70は、バイパス通路94内で支持され、また、バイパスバルブ70が
図1に示されている閉鎖位置にある場合、バイパス通路94を実質的に閉じる。このバイパスバルブ70の位置は、概略的なものであり、また、バイパス通路94を通過する空気の流れが、バルブ70によって完全に遮断される位置を表していることが、意図されている。バイパスバルブ70は、コントローラ65によって制御され、
図1の細線で示されている開放位置70Aに移動することが可能である。バイパスバルブ70が、開放位置70Aにあると、空気は、エンジンの過給が好ましくないような場合にロータ26,28をバイパスして、吸気部84から、バイパス通路94を経由して、スロットルボディ16へ流れることができる。
【0026】
図2及び4は、ロータハウジング部90に取り付けられたギアカバー部95を示しており、このギアカバー部95は、遊星歯車装置41及びギア部材53,54を取り囲む。電動発電機50のモータハウジング部96は、ギアカバー部95に取り付けられている。ギアカバー部95とモータハウジング部96の双方は、固定されたハウジングアセンブリ80の一部である。ハウジングアセンブリ80は、吸込路85に延びる吸気管97を含み、この吸気管97は、吸気カバー部82に取り付けられている。ハウジングアセンブリ80は、さらに、ロータハウジング部90に取り付けられた排気ハウジング99に取り付けられ、排気路88に延びる排気管98を含む。この排気管98は、排気管98に接続された追加の延長管(図示せず)を介して、
図1に示されているスロットルボディ16に作動可能に接続されている。
【0027】
エンジンシリンダ内のピストンの動作は、プレナム18を通過する空気を引き入れ、負圧を作る。スロットル14が、
図1に示されるような比較的閉鎖された位置にある場合、エンジン13によって作り出される負圧は、スロットル14にまたがっての圧力降下の形で圧力差を生む。スロットル14が、比較的開放された位置14Aに移動した場合、スロットル14にまたがる圧力降下は、軽減される。しかしながら、電動発電機50を制御することにより、この圧力差は、ロータ26,28に伝達され、ロータ26,28においてトルクを生成し、このトルクを、エネルギ蓄積装置64内の電気エネルギとして回収することができる。
【0028】
換言すると、スロットル14が比較的開放された位置14Aにあると、圧力差が、スロットル14への上流の空気の流れにおける、吸気口84から排気口86まで、つまり、スーパーチャージャー12にまたがって作り出される。下記のように、スロットル14及びバイパスバルブ70が、エンジン13と連動して選択的に制御されることが可能である。これにより、スーパーチャージャー12及び電動発電機50が用いられ、エネルギ蓄積装置64に再生用電気エネルギを供給することを可能にしつつ、エンジンシリンダに所望の吸気圧力を供給するなどの様々な運転モードを提供することができる。蓄積された電気エネルギは、電動発電機50がモータとして機能するように制御される場合、交流電源,及び/または,クランクシャフト48によるトルク生成の代わりに、複数の車両電気システム及び装置に動力供給するように用いられることが可能である。
【0029】
スーパーチャージャーアセンブリ11を備えたエンジンアセンブリ10は、様々な運転モードを実現可能にし、この様々な運転モードは、エンジンのトルク要求量のような車両の運転条件やエネルギ蓄積装置64のチャージ状態に基づいて、コントローラ65によって選択され、指定されることが可能である。エンジン13が停止している場合、補機車両部品78に動力供給するために、シャフト61においてトルクを生成するエンジン停止運転モードが用いられてもよい。本発明において用いられるエンジン13は、燃料及び/またはイグニッションが、エンジン13内の燃焼用として供給されない場合、停止している。このエンジン停止運転モードにおいて、コントローラ65は、モータとして電動発電機50を制御し、ブレーキ68を係合し、かつ、クラッチ55の連結を外す。これにより、トルクは、電動発電機50から、遊星歯車装置41を介して、補機部品78に伝達される。
【0030】
車両の運転条件が、エンジン13が起動されるべきであると示した場合、エンジンアセンブリ10は、モータとして機能するように電動発電機50を制御し続けながら、かつ、ブレーキ68の係合を保持しつつクラッチ55を係合することによって、エンジン停止運転モードからエンジン起動運転モードへシンプルに移行されることが可能である。これにより、電動発電機50からのトルクは、クランクシャフト48に伝達され、エンジン13を起動する。
【0031】
一旦エンジンが起動されると、コントローラ65が、エネルギ蓄積装置64から電動発電機50へ電気エネルギを移動させることなく、また、電動発電機50からエネルギ蓄積装置64へ電気エネルギを移動させることもなく、電動発電機50は、惰性で回転することができる。この電動発電機50の起動/停止能力は、エンジン13が、交通信号機などにおいてアイドリングするよりもむしろ停止し、予期される燃費の向上,及び,二酸化炭素排出量の削減をもたらすことを可能にする。従って、燃料節約は、エンジン13が停止している期間に実現され、また、エンジン13の再起動は、バッテリに蓄積された回収エネルギから生成される電気エネルギによって、実現される。
【0032】
また、一旦エンジン13が起動されると、電動発電機50は、モータ,発電機のうちどちらでも機能することができる。エンジン13が動作している状態で、後述されるエンジン過給モード,ブレーキ回生モード,及び,スロットルロス回生モードが用いられる。エンジン過給運転モードは、例えば車両を加速させるために追加のトルクが駆動軸21において必要とされた場合、コントローラ65によって実現されることが可能である。
【0033】
エンジン13が動作している状態で、この過給運転モードを実現するために、クラッチ55が係合され、かつ、ブレーキ68の連結が外れる。電動発電機50が、モータとして機能し、また、バイパスバルブ70が、
図1に示されている閉鎖位置にあるように制御される。エンジン13は、トルクを供給し、ベルト駆動システム49及びキャリア部材46を介して、第1シャフト30を駆動する。電動発電機50は、トルクを供給し、噛み合いギア53,54及びリングギア部材44を介して、第1シャフト30を駆動する。これにより、第1シャフト30の回転速度が、電動発電機50のみを用いたシャフト61の回転速度と比べて、速くなり、リングギア部材44の回転速度を調整し、また、遊星歯車装置41を介して、シャフト56及び30の所望の回転速度を設定し、所望の過給圧力をもたらす。
【0034】
これにより、エンジンのプレナム18に供給される過給圧力量を、トルク要求の変化に応じて、エンジン過給運転モード中に変化させることができる。まず、コントローラ65は、電動発電機50の速度を変化させ、エンジン過給運転モード中にプレナム18内に生成される過給圧力量を制御することができる。これに代えて、または、これに加えて、コントローラ65は、バイパスバルブ70の位置を制御することができ、例えば、
図1に示されている閉鎖位置から開放位置70Aへバイパスバルブ70を移動させる。
【0035】
これにより、吸気口84からの空気は、バイパス通路94を通って流れることができ、ロータハウジング90を経由してロータ26,28を通って流れる空気容量を減らし、これにより、空気がロータ26,28のみを通って流れる場合に生成される圧力と比較して、プレナム18における空気圧を減らす。バイパスバルブ70を完全開放位置70Aに開放するためのバイパスバルブ70の操作は、電動発電機50の速度を変化させることによって実現される、より漸次的な調整と比較して、プレナム18内の空気圧の比較的迅速な調整を可能にする。
【0036】
過給圧力がより変化する調整は、バイパスバルブ70を、完全開放位置70Aと完全閉鎖位置との間の中間位置に設置することによって、実現される。電動発電機50の速度とバイパスバルブ70の位置の双方を制御することは、エンジンのトルク要求に合うように調整されるエンジンの過給を可能にする。スーパーチャージャー12によってプレナム18において生成される過給圧力が、エンジン速度に依存しないので、比較的一定のトルクが、エンジン13の動作速度の全体範囲にわたり、クランクシャフト48において得られる。また、クランクシャフト48におけるトルクは、エンジン動作速度の全体範囲にわたり、要求に合うように調整されることが可能である。
【0037】
エンジン13が動作中で、かつ、エンジンの過給が必要とされていない場合、例えば、車両が比較的一定の速度で走行しているとき、コントローラ65は、スーパーチャージャー12の速度を減速させ、また、スロットル14を制御することができ、それにより、スロットルロス(つまり、エンジンシリンダの運動によって作り出される負圧に関連した圧力降下)が、バイパスバルブ70を閉鎖した状態において、スロットル14とスーパーチャージャー12の双方にわたって生じる。
【0038】
スロットル14の絞り位置は、スーパーチャージャー12を横切る望ましい圧力降下、及び、スーパーチャージャー12と少なくとも部分的に閉鎖されたスロットル14との双方を通って、エンジンシリンダに供給される空気流とバランスすることができる。バイパスバルブ70は、さらに、エンジン13への空気の流れに迅速な変化が必要とされる場合、このモードの間に、空気がスーパーチャージャー12をバイパスするように、制御されることが可能である。スーパーチャージャー12を横切る圧力降下によって生成されるトルクは、サンギア部材42に伝達される。これにより、このトルクは、遊星歯車装置41によって提供されるトルク分割によって、エンジンのクランクシャフト48、さらに、電動発電機50(発電機として動作するように制御された場合に限り)に伝達される。
【0039】
この運転モードは、スロットルロス回生モードということができる。スーパーチャージャー12を横切る圧力降下によって生成されるトルクのすべて,または,一部は、発電機として機能するように電動発電機50を制御することによって、エネルギ蓄積装置64に蓄積される電気エネルギに変換されることが可能である。この圧力降下から誘発されるトルクから生成され、蓄積される電気エネルギは、“スロットルロスの回収”として言及される。
【0040】
長い走行期間の間、エンジンの過給が必要とされない場合、このスロットルロス回生モードは、エネルギ蓄積装置64が所定の最大チャージ状態に到達するまで、保持されることが可能である。その後、ブレーキ68が用いられ、バイパスバルブ70が完全開放位置70Aに開放され、また、電動発電機50がモータとして機能するように制御され、エネルギ蓄積装置64が所定の最小チャージ状態に到達するまで、エンジンのクランクシャフト48にトルクを加える。このエネルギ蓄積装置64のチャージと枯渇の循環は、走行期間全体を通して継続することができる。
【0041】
1つの例として、スーパーチャージャー12を横切る圧力降下は、増分Δだけ増大される。あらゆるエンジン速度においてスーパーチャージャー12を横切って、より大きな圧力降下をもたらすことになる、この増分Δは、圧力差が実質的にゼロになるところまで、圧力降下が減少しないようにする。1つの例として、Δは、少なくとも低エンジン速度に適用される。もう1つの例として、Δは、あらゆるエンジン速度において適用される。このように、持続的なエネルギが、スロットルロス回生によって回収され、燃費に最低限の影響を及ぼすことが可能である。
【0042】
このような例において、制御システムは、発電機として機能するように電動発電機50を制御するように構成され、また、スロットルバルブ14は、比較的開放位置よりに移動するように制御され、スーパーチャージャー12を横切る圧力降下が、元の絞り圧力降下と等しいか、または、それより大きくなり、電動発電機50は、遊星歯車装置41を介して、電気エネルギとしてスロットルロスを回収する。
【0043】
また、スーパーチャージャーアセンブリ11は、ブレーキ回生モードにおいて、車両の制動中にエネルギを回収するように制御されることが可能である。車両の制動が駆動軸21を減速したとき、コントローラ65は、ブレーキ68を係合し、発電機として機能するように電動発電機50を制御するように構成される。これにより、電動発電機50がモータとして機能する場合に、電動発電機50によって供給されるトルクの方向と反対方向になる逆方向のトルクを、電動発電機50に加える。これにより、この逆方向トルクは、遊星歯車装置41を介してクランクシャフト48にかけられ、また、電動発電機50によって生成される電気エネルギは、エネルギ蓄積装置64に蓄積される。
【0044】
図1は、プーリシャフト61と共転するようにプーリシャフト61に取り付けられたオイルスリンガ100を示している。
図19は、プーリシャフト61から機械的に分離されたオイルスリンガ100の斜視図である。このオイルスリンガ100は、プーリシャフト61の外面に嵌合するように形成された第1内径104を有する第1端部102を備えた環状部材である。第2端部106は、第1端部102より大きい直径を有し、オイルスリンガ100は、プーリシャフト61から第2端部106に向かって拡開する。
【0045】
図3に最もよく示されているように、オイルスリンガ100は、第2端部106が遊星歯車装置41に面するようにプーリシャフト61上に設置される。
図19は、オイルスリンガ100の第1端部102と第2端部106との概ね中間における外周に一連の窪み部108が、形成されていることを示している。この窪み部108の各々は、開口部110を有しており、この開口部110の各々は、同一回転方向に面して開口している。各窪み部108は、より大きい端部106とより小さい端部102との間の軸方向においてテーパ状になっている。
【0046】
プーリシャフト61が時計回りの方向に回転する場合、オイルスリンガ100も時計回りに回転し、また、ギアカバー部95内のオイルミストは、開口部110から入り、窪み部108によって取込まれる。オイルミストは、窪み部108の内表面112に接触する。オイルスリンガ100の回転は、オイルミストを、オイルスリンガ100の内面114に沿って第2端部106の方へ移動させ、また、矢印Aの方向にオイルスリンガ100から推進させる。このオイルは、概して、遊星歯車装置41への注油のために、遊星歯車装置41の方へ散布される。
【0047】
図2は、互いに取り付けられたハウジングアセンブリ80の様々な部品を備えたスーパーチャージャーアセンブリ11を示している。吸気管97は、
図18に示されているような吸気カバー部82の開口部113と合致する複数の開口部を有し、ファスナ115を用いて、吸気口84を覆うように吸気管97を吸気カバー部82に取り付ける。ここで用いられるファスナは、2つの隣接する部品を連結するために用いられる、ボルト,ねじ,その他の適切なファスナなどのあらゆる適切な部品である。
【0048】
図3は、歯付端部118を有する第1シャフト30の延長部116を示している。フランジ122を備えた回転部材120が、歯付端部118にスプライン結合され、また、ベアリング124によって吸気カバー部82に支持されており、これにより、回転部材120は、吸気カバー部82に対して回転可能になっている。延長部116,歯付端部118,回転部材120,及び,フランジ122は、キャビティ69内に配置されている。電磁ブレーキ68は、
図18に示されている配線用開口部126を通過して延びるケーブル(図示せず)を経由して、コントローラ65によって選択的に作動可能である。このケーブルは、ブレーキ68内のコイル128を作動させるために用いられる電気エネルギを供給し、ブレーキ68は、電磁吸引によって吸気カバー部82に対して静止するようにフランジ122を保持する。
【0049】
コイル128は、
図18ではなく
図3に示されている。ブレーキカバー130が、吸気カバー部82における開口部134内に延びるファスナ132によって、吸気カバー部82に取り付けられている。
図1に関して前述したように、吸気カバー部82は、さらに、バイパス通路94の一部92を形成している。この一部92は、吸気口84と流体連通し、また、吸気カバー部82内に延びている。
【0050】
バイパス通路94の一部92は、
図18において、ブレーキキャビティ69を覆うように、また、吸気カバー部82の底面から延びるように示されている。説明のため、一部92は、
図1において、ブレーキ68の上方にのみ示されている。吸気カバー部82内において、一部92のあらゆる適切な幾何学的配置が、用いられてもよい。バイパス通路94は、吸気カバー部82に接続され、一部92に連通している。また、バイパス通路94は、T字形配管または同様のものを用いて、吸気カバー部82及び吸気管97より上流に取り付けられてもよい。
【0051】
図2は、吸気カバー部82をロータハウジング部90に取り付けるために用いられるファスナ135を示している。ここでは1つのファスナ135のみが示されているが、複数の追加のファスナ135が、ロータハウジング部90及び吸気カバー部82の接触部近辺の様々な複数の位置に取り付けられることが可能である。
図3は、吸気カバー部82がロータハウジング部90に取り付けられた場合、第1シャフト30が、ロータハウジング部90から吸気カバー部82内へ延びることを示している。
【0052】
図5は、スーパーチャージャーアセンブリ11の一部のより拡大した図であり、この図は、遊星歯車装置41,及び,遊星歯車装置41の第1シャフト30への作動接続を示している。特に、連結部材58は、モータハウジング部96の開口部140内に位置している。連結部材58は、第1部材142を含み、この第1部材142は、第1シャフト30に嵌合され、かつ、周辺に位置する複数のピン146を用いてシャフト56のフランジ144にピン留めされている。連結部材58は、シャフト30を軸にしたスーパーチャージャーアセンブリ11から発生する圧力脈動,または,シャフト61からのエンジン脈動によって引き起こされる可能性がある、ねじり振動を吸収する。シール148は、第1シャフト30をロータハウジング部90に対してシールし、ロータハウジング部90からの空気の漏れを防止する。
【0053】
図6から8は、複数のファスナ用開口部150のパターンを含むギアカバー部95を示しており、これら開口部150のパターンは、
図13に示されているモータカバー部96における複数のファスナ用開口部152のパターンと合致する。ファスナ157(
図4において2つ示されている)が、位置合わせした開口部150,152を通ってギアカバー部95をモータハウジング部96に取り付けるように、用いられている。いくつかのファスナ用開口部150が、
図6において、ギアカバー部95に取付フランジ154によって覆い隠されている。この取付フランジ154は、複数のファスナ用開口部156を有するが、これらに通す複数のファスナは、ギアカバー部95、これにより、スーパーチャージャーアセンブリ11全体を、
図1のエンジン13に取り付けるためにセットされる。
【0054】
プーリ59が、プーリ59内の開口部を通って延びる六角穴付ねじ158と共に示されており(
図4参照)、この六角穴付ねじ158は、プーリ59をプーリシャフト61に取り付ける。このプーリシャフト61は、ギアカバー部95における1つの開口部を通って延びている。ワッシャ161が、六角穴付ねじ158とプーリシャフト61との間に設置されている。
図4に示されているベアリング160A,160Bは、プーリシャフト61及びプーリ59が、ギアカバー部95に対して回転することを可能にする。ギアカバー部95を貫通する少なくとも1つの通路162は、潤滑流体を、ギアカバー部95の中を通してベアリング160A,160Bに向ける。
【0055】
シール164が、シャフト61が延びているギアカバー部95内の開口部において、ギアカバー部95とプーリ59との間に設置されている。
図7に最も示されているように、波形皿バネ166Aが、プーリ59とベアリング160Aとの間に設置されており、この波形皿バネ166Aは、ベアリング160Aの内輪が、シャフト61に対して回転することを妨げ、また、累積公差に対処する。もう1つの波形皿バネ166Bが、ベアリング160Bとギアカバー部95の突起部との間に設置されており、この波形皿バネ166Bは、ベアリング160Bの外輪が、ギアカバーハウジング95内で回転することを妨げる。
【0056】
皿バネ166C,166Dが、さらに、ギアカバー部95と、モータギア53のシャフト端部,及び,中間ギア54のシャフト端部との間に其々用いられており、これらの皿バネ166C,166Dは、ギアカバー部95の複数の凹部169内に収容された複数のニードルベアリング168A,168Bにかかっている。これらの皿バネ166C,166Dは、摺動面を提供し、また、累積公差に対処する。ニードルベアリング168Aは、ギア53が、モータハウジング部96に対して回転すること、及び、モータハウジング部96内に延びることを可能にする。ギア53は、モータシャフト52にスプライン結合されている(
図4参照)。ニードルベアリング168B及び188は、ギア54が、ギアハウジング部95及びモータハウジング部96に対して回転することを可能にする。
【0057】
図20は、ギアカバー部95が、複数のリブ167A,167B,167Cを有することを示しており、これらのリブ167A,167B,167Cは、戦略的に、オイルを収集し、ギアカバー部95内にオイルを方向付ける。リブ167A及び167Bは、概して、ニードルベアリング168A,168Bが収容されている其々の凹部169の上方にV字形を形成する。ギアカバー部95内の油滴は、リブ167A,167Bにおいて収集され、其々の凹部169にドレーンされ、ベアリング168A,168Bを潤滑する。リブ167Cは、V字形を形成し、戦略的に、ギアカバー部95内のオイルを通路162へ方向付ける。オイルは、通路162を経由して、ベアリング160A,160B間の開口部151内の空間にドレーンされ、ベアリング160A, 160Bを潤滑する。
【0058】
図9から12は、排気管98を備えた排気ハウジング99を示しており、この排気管98は、排気ハウジング99から延びている。この実施形態において、排気管98と排気ハウジング99は、溶接されている。
図21及び22の実施形態において、排気ハウジング99Aと排気管98Aは、単一のワンピースの排気用部品101である。
図9の排気ハウジング99は、複数のファスナ用開口部170のパターンを有し、これら開口部170のパターンは、ロータハウジング部90における排気口86の周囲に存在する複数のファスナ用開口部177のパターン(
図23参照)と合致する。
【0059】
排気ハウジング99をロータハウジング部90に接続する1つのファスナ172が、
図2に示されている。
図9は、開口部174を備えたフランジ173を示しており、この開口部174は、排気ハウジング99をエンジン13に取り付けるために用いられる。排気ハウジング99の開口部103は、ロータハウジング部90の排気口86と流体連通している。排気管98の排気口176は、
図1のスロットルボディ16に送り込まれている。
【0060】
図13から15は、開口部182を有する取付フランジ180を備えたモータハウジング部96を示しており、この開口部182によって、モータハウジング部96は、
図1のエンジン13に取り付けられることが可能である。この取付フランジ180は、ギアカバー部95のフランジ154と同一方向に延びている。シール185は、モータハウジング部96の開口部186内に設置されており、
図4に示されているように、モータシャフト52は、この開口部186内において、第1ギア部材53にスプライン結合されている。
【0061】
ニードルベアリング188は、モータハウジング部96の他の開口部190内に設置されており、第2ギア部材54は、この開口部190内において、回転支持されている。ロータハウジング部90は、複数の段付開口部192内に延びる複数のファスナを用いて、モータハウジング部96の開口部140の周囲に取り付けられることが可能である。
図14は、モータハウジング部96が、フランジの周囲に複数の開口部193を有することを示しており、
図4のモータコントローラハウジング194は、この開口部193内に延びる複数のファスナによってモータハウジング部96に取り付けられている。モータハウジング部96は、電動発電機50を冷却するための一体型の冷却フィン196を含む。
【0062】
図16から18は、キャビティ69内に延びる延長部116に歯付端部118を備えた吸気カバー部82を示している。
図17は、吸気カバー部82に対して回転するように延長部116を支持しているベアリング198を示している。止め輪200が、吸気カバー部82のボア内において、このベアリング198を保持している。波形皿バネ202が、ベアリング198と吸気カバー部82との間の軸方向スラスト力を吸収し、ベアリング198の外輪が、ボア内で回転することを防止する。段付開口部204が、吸気カバー部82内に延びており、この段付開口部204は、吸気カバー部82が複数のファスナ(図示せず)を用いてロータハウジング部90に取り付けられることを可能にする。
【0063】
図21及び22は、排気ハウジング99A及び排気管98Aを含む単一のワンピースの排気用部品101を示している。この排気用部品101は、
図24のスーパーチャージャーアセンブリ11Aに示されているように、
図2のスーパーチャージャーアセンブリ11の排気ハウジング99及び排気管98の代わりに用いられることが可能である。また、スーパーチャージャーアセンブリ11Aのその他の部品は、スーパーチャージャーアセンブリ11と同一である。延長管105が、排気管98Aに溶接され、スロットルボディ16に接続されることが可能である。
【0064】
排気ハウジング99Aは、概ね五角形に形作られる開口部103Aを有する。この開口部103Aは、より幅の広い端部に向かい合って、テーパ状のV字形端部を有する。
図23は、ロータハウジング部90の排気口86が、同様に、概ね五角形に形作られ、開口部103Aと概ね同一の形状であることを示している。排気管98Aは、排気ハウジング99Aから45度の角度で延びている。これら、開口部103Aの概ね五角形形状、及び、排気ハウジング99Aから延びている排気管98Aの角度は、有益な気流特性を提供する。
図24は、スーパーチャージャーアセンブリ11Aを示しており、このスーパーチャージャーアセンブリ11Aは、排気ハウジング99及び排気管98の代わりに排気用部品101を含むハウジングアセンブリ80Aを備えていること以外は、
図2のスーパーチャージャーアセンブリ11と同様である。
【0065】
図1及び2から明らかなように、ハウジングアセンブリ80は、電動発電機50及びロータハウジング部90が、プーリ59に対してギアカバー部95の反対側に存在するように構成されている。さらに、吸込路85及び吸気管97は、電動発電機50に隣接しており、また、排気路88及び排気管98は、電動発電機50に対してロータハウジング部90の反対側に存在する。ハウジングアセンブリ80Aも同様に配置される。当然のことながら、スロットルボディ16及びスロットル14は、エンジン13に空気を流す吸気管97の上流に配置されてもよく、この場合、スーパーチャージャー12は、スロットル14から空気を取込み、また、本明細書内で説明した同一の複数の運転モードを使用可能にするであろう。
【0066】
本教示における多くの様態を実施するための最良の形態を詳細に記載した一方で、これらの教示に関連する当業者は、添付の請求の範囲内に存在する本教示を実施するための様々な代替の様態を認識するであろう。
【符号の説明】
【0067】
図面に用いられる符号,及び,符号に対応する部品の指定は、以下の通りである。
10…エンジンアセンブリ、 11,11A…スーパーチャージャーアセンブリ、
12…スーパーチャージャー、 13…エンジン、 14…スロットル、
14A…スロットルの完全開放位置、 16…スロットルボディ、 18…プレナム、
20…吸気マニホールド、 21…駆動軸、 22…トランスミッション、
24…一組のロータ、 26…第1ロータ、 28…第2ロータ、 30…第1シャフト、
31…第1の一組のプレート、 32…第2シャフト、 33…第2の一組のプレート、
34…第1ギア、 35…クラッチハウジング、 36…第2ギア、 37…スプリング、
38…アプライプレート、 39…コイル、 41…遊星歯車装置、 42…サンギア部材、
44…リングギア部材、 46…キャリア部材、 47…ピニオンギア、
48…クランクシャフト、 49…ベルト駆動装置、 50…電動発電機、
52…モータシャフト、 53…第1ギア部材、 54…第2ギア部材、 55…クラッチ、
56…シャフト、 57…プーリ、 58…部分的に柔軟な連結部材、 59…プーリ、
61…プーリシャフト、 62…モータ制御装置、 63…ベルト、
64…エネルギ蓄積装置、 65…システムコントローラ、 66…電力ケーブル、
68…ブレーキ、 69…キャビティ、 70…バイパスバルブ、
70A…バイパスバルブの完全開放位置、 76…プーリ、 78…車両補機、
79…シャフト、 80,80A…固定されたハウジングアセンブリ、 82…吸気カバー部、
84…吸気カバー部の吸気口、 84A…ロータハウジング部の吸気開口部、
85…吸込路、 86…排気口、 88…排気路、 90…ロータハウジング部、
92…バイパス通路の一部、 94…バイパス通路、 95…ギアカバー部、
96…モータハウジング部、 97…吸気管、 98,98A…排気管、
99,99A…排気ハウジング、 100…オイルスリンガ、 101…排気用部品、
102…オイルスリンガの第1端部、 103…排気ハウジング99の開口部、
103A…排気ハウジング99Aの開口部、 104…第1内径、 105…延長管、
106…オイルスリンガの第2端部、 108…窪み部、 110…開口部、
112…窪み部の内表面、 113…吸気カバー部の開口部、
114…オイルスリンガの内面、 115…ファスナ、 116…第1シャフトの延長部、
118…歯付端部、 120…回転部材、 122…フランジ、 124…ベアリング、
126…配線用開口部、 128…コイル、 130…ブレーキカバー、
132…ファスナ、 134…開口部、 135…ファスナ、
140…モータハウジング部の開口部、 142…連結部材の第1部材、
144…シャフト56のフランジ、 146…ピン、 148…第1シャフトのシール、
150…ギアカバー部におけるファスナ用開口部、 151…開口部、
152…モータカバー部におけるファスナ用開口部、 154…取付フランジ、
156…ファスナ用開口部、 157…ファスナ、 158…六角穴付ねじ、
160A,160B…ベアリング、 161…ワッシャ、 162…通路、 164…シール、
166A,166B…波形皿バネ、 166C,166D…皿バネ、 167A,167B,167C…リブ、
168A,168B…ニードルベアリング、 169…凹部、 170…ファスナ用開口部、
172…ファスナ、 173…フランジ、 174…開口部、 176…排気管の排気口、
177…ファスナ用開口部、 180…取付フランジ、 182…開口部、 185…シール、
186…開口部、 188…ニードルベアリング、 190…開口部、 192…段付開口部、
193…開口部、 194…モータコントロールハウジング、 196…冷却フィン、
198…ベアリング、 200…止め輪、 202…波形皿バネ、 204…段付開口部、
A…オイルの方向