【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の位置実施形態によれば、上記の導入部分に記載したねじなし管継手が提供される。かかるねじなし継手のロック部材の軸方向端面は、半径方向外側に向かって収束し、且つソケットの軸方向接触面もまた半径方向外側に向かって収束している。
【0009】
本発明の管継手は、プラグイン型であり、オス側のプラグがメス側のソケット内に挿入方向に沿って導入されるが、該プラグが挿入方向とは逆向きの分離方向に移動してソケットから分離することがないよう、ロック部材を挿入/分離方向と直交する横方向に挿入し、プラグをソケット内に固定している。このように、本出願の文脈において、「軸方向」および「横方向」という用語は、挿入/分離の方向に対して定義され、軸方向は、挿入/分離方向と平行な向きであり、横方向は、軸方向と直交する向きである。
【0010】
シール部材は、プラグおよびソケットを介した流体通路を形成する、密封された、すなわち封止された流体接続を保証する。一般的に、継手により形成された流体通路の主軸もまた、軸方向に水平である。好ましくは、シール部材は、オーリングまたは好適なシールプロファイルを有する任意の他の公知のシール部材とする。管継手は、プラグをソケット内に封止係合して保持する、保持手段を具える。
【0011】
継手を接続するべく、プラグが挿入方向に沿ってソケット内に挿入される。プラグがソケット内に配置されると、シール部材、好ましくは弾性のシール部材によって、プラグの外周面と、ソケットの周側壁によって形成される受け側の空洞内面と、の間に流体密閉がもたらされる。ソケットは、該ソケットの周側壁にスロットを有し、プラグがソケット内に配置されると、かかるスロットを介してロック部材が挿入される。軸方向の引張り力は、外部から管継手に作用する外力によって生じる場合や、周囲に比し、流体によって管が過剰圧力となる結果、管継手の内側から力が作用して生じる場合がある。管継手に作用する軸方向の引張力は、プラグをソケットから取り出す方向、すなわち、挿入方向とは反対方向に働く。軸方向圧縮力は、周囲に比べて配管内が負圧となるか真空となることに起因して生じる場合がある。管継手に作用する軸方向の圧縮力は、プラグをソケットに挿入する方向、すなわち、挿入方向と同様の方向に働く。ロック部材は、プラグおよびソケットと相互作用して、プラグをソケットから取り外すよう働く軸方向引張り力を吸収し、好ましくは、所定の挿入深さが決められたプラグを、所望の挿入位置を超えてソケット内に移動させようとする軸方向圧縮力を吸収する。
【0012】
軸方向荷重のもとでは、傾斜した協働する軸方向面は、ロック部材に径方向内側に向く力を発生させるよう作用するため、該ロック部材が係合位置に保持される。
【0013】
軸方向面の表面が平面でなく多少なりとも丸みを帯びている場合、当該表面に対する接線が収束方向を決定づける。
【0014】
ロック部材は、挿入方向にみたときに、シール手段によって形成されたシールジョイントの後ろに配置されている。このように、管継手のシーリングは、プラグをソケットに固定するための機械的接続とは独立している。ロック部材は、プラグの周囲に係合する。そのため、ロック部材は、プラグのペリフェリ輪郭の半分を超えて該プラグを囲うことが好ましく、プラグと相互に作用して、ペリフェリ輪郭の半分を超える範囲にわたってソケットに対して保持/ロック効果を提供することが好ましい。これにより、軸方向の力、特には、プラグおよびソケットに挿入方向とは反対向きに作用する、軸方向の引張力に対する継手の保持力が改善されるが、軸方向の圧縮力に対する保持力もまた改善される。
【0015】
一実施形態では、プラグをシンプルな周方向リムとして管の端部に設けることができ、シール部材は、リム周縁の所定の位置(すなわち、管の端部とリムとの間)に保持される。同時にリムは、該リムの背後(すなわち、シール部材よりもリムの反対側)に配置されたロック部材の助けを得て、プラグをソケット内に保持するための軸方向当接面を提供する。
【0016】
ねじなし管継手は、道具を一切使用することなく、プラグをソケット内に挿入し、その後、ソケットの周側壁に設けられたスロットを介して挿入するロック部材によって、該プラグの位置を固定することにより、迅速かつ簡単に組立てられる。ねじなし管継手は、単にロック部材を抜き取り、プラグをソケットから抜き離すことにより、迅速かつ簡単に解体することもできる。しかしながら、管継手の不慮の分離を回避するためには、ロック部材が意図せず外れる事態を避けることが重要である。従って、取り付け/挿入位置におけるロック部材の端部を、半径方向にみてプラグの外周面とソケットの周側壁との間に配置し、外部から隠れるようにする。これにより、ロック部材の端部は、ロック部材を損傷させるおそれ、ロック部材のプラグとの係合を不注意に解くおそれ、またはロック部材が管継手から完全に押し出されることによって該管継手が不慮のうちに分解され、結果として、例えば水やガスの深刻な漏れをもたらすおそれのある、外部の影響による干渉から保護される。
【0017】
さらに、本発明に係るねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材の少なくとも一方の軸方向端面(X10,X12)が管継手の軸方向に対して傾斜し、他方の軸方向端面(X10,X12)が管継手の軸方向に対して垂直であり、軸方向端面の各々と対面する軸方向接触面が、該軸方向端面と同等の角度で形成されている。
【0018】
さらに、本発明に係る管継手の一実施形態では、ロック部材の軸方向端面がともに同じ角度で半径方向外向きに収束するよう傾斜し、ソケットの軸方向接触面が同等の角度で形成されている。
【0019】
かかる構成によれば、これら2つの部材のフィッティングが改善される。
【0020】
さらに、本発明に係るねじなし管継手の一実施形態では、収束する軸方向接触面(X14,13)間の最小間隔がd1であり、軸方向端面(X10,X12)間の最大長さが実質的にd1である。
【0021】
これにより、ロック部材がスロット内にフィットする。安全性を改善するために、ソケットの軸方向接触面間の最小間隔を有する部分は、中心軸から最も離れて配置される一方で、ロック部材の軸方向端面間の最大長さを有する部分は、中心軸の最も近くに配置される。
【0022】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ソケットの少なくとも一方の軸方向接触面における、管継手の中心軸に最も近い領域に周方向凹部が設けられ、軸方向接触面と対向するロック部材の軸方向端面に、該ロック部材がスロット内に配置されると凹部と係合するよう適合された周方向ショルダが設けられている。
【0023】
これにより、ロック部材の締結を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材の第1軸方向端面が、プラグ上に設けられた軸方向当接面と協働し、第1軸方向端面とは反対側の第2軸方向端面が、ソケットに設けられた軸方向接触面と協働することによって、互いに離間したプラグとソケットを引っ張る、引張軸方向の力を吸収する。
【0025】
支持面を軸方向に協働させることによってプラグおよびソケットの双方と作用するロック部材により、保持効果が達成される。協働する支持面は、ロック部材の軸方向端面、およびプラグの1つ以上の協働する軸方向当接面の、ソケットに設けられた1つ以上の協働する軸方向接触面との組合せ、により形成される。支持面は軸方向の力を吸収することにより、ソケットとシール係合したプラグを挿入された位置に保持し、該シール接続のために少なくともトラクションを軽減する。ロック部材の第1端面および第2端面は反対方向に面している。ロック部材の軸方向端面は、従って、プラグに設けられた少なくとも1つの軸方向当接面と、該プラグの対応する軸方向当接面に対し反対向きてある、ソケットの少なくとも1つの軸方向接触面と、相互作用する。
【0026】
管継手が組立てられると、プラグの当接面と、ソケットの対応する接触面と、がロック部材を挟んで互いに対向する。挿入方向にみて、プラグの軸方向当接面はロック部材の手前に位置し、ソケットの対応する軸方向接触面はロック部材の後ろに位置している。引張力が、プラグの軸方向当接面を、ロック部材の協働する第1端面に向かって引くと、ロック部材の第2端面を介して、ソケットの対応する軸方向接触面に伝達される。プラグおよびソケットは、このようにして、ロック部材に、軸方向に逆向きに働く2つの力を及ぼす。これにより、プラグをソケット内に保持し、軸方向の引張力によって管継手が分離するのを防ぐことができる。
【0027】
有利には、プラグおよびソケットは、それぞれ第2の軸方向当接面および第2の軸方向接触面を具えることができる。プラグの第2の軸方向当接面はおよびソケットの第2の軸方向接触面は、ロック部材の第1端面および第2端面と相互に作用して、プラグをソケットに向かって挿入方向に押し込む、管継手に働く軸方向の圧縮力を吸収できる。
【0028】
さらに、プラグの第2の軸方向当接面および対応するソケットの第2の軸方向接触面は、ロック部材を挟んで互いに対向している。しかしながら、挿入方向にみて、プラグの第2の軸方向当接面はロック部材の背後に位置し、ソケットの第2の軸方向接触面はロック部材の手前に位置している。そのため、プラグの挿入深さは、第2の軸方向当接面および第2の軸方向接触面の、ロック部材との相互作用によって決定される。上述した第1の軸方向当接面と第1の軸方向接触面との関連する作用と組み合わせると、ロック部材は、ソケット内におけるプラグの軸方向位置を保持し、または固定しさえすることになる。
【0029】
有利には、プラグの当接面は、プラグの外表面上の周方向溝や、プラグの外表面に設けられた1つ以上の周方向ビード、リム、フランジによって形成することができる。ソケットの軸方向接触面は、ロック部材挿入スロットの軸方向配向面や、ソケットの周側壁の内側に溝/リム/フランジを設けて形成することができる。
【0030】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材が、第1脚部および第2脚部を有する馬蹄形であり、第1脚部および第2脚部の遠位端が隙間を介して離間し、該遠位端とは反対側の近位端はブリッジを介して接続している。馬蹄形の脚部を有するロック部材はプラグ周りに係合し、もってロック部材を所定の位置に保持する。脚部の遠位端によって定義される馬蹄形の隙間(開口部)は、ソケットの内側の、プラグの外周面とソケットの周側壁との間に隠れている。これにより、ロック部材の遠位端への意図しない干渉が生じるおそれを回避し、ねじなし管継手の不慮の分離を防ぐ。
【0031】
好適な実施形態において、ロック部材の隙間幅は、該ロック部材が位置するプラグの胴周りの直径よりも小さい。これにより、ロック部材は、挿入位置からの不慮の取り外れからさらに安全を確保できる。ソケットの挿入スロットを介してロック部材を挿入するにあたり、ロック部材の遠位端は、プラグの外周面と接するところとなる。有利には、ロック部材の遠位端は、該ロック部材を横方向にスロット内に押し込み、脚部の遠位端がプラグの外表面に初めて接触する位置でさらに押し込む際に、該ロック部材の脚が広がり易いような形状とする。かかる形状により、横方向に加えられた力が、ロック部材が最初にプラグ表面に接触してから、スロットの反対側のソケット周側壁とプラグ外周面との間の所定の場所で最終的にスナップするまで該ロック部材をスライドさせる際に働く、半径方向外側に向く力に変換される。たとえば、遠位端の表面は、ロック部材を挿入している間に、該遠位端がプラグに最初に接触する位置において、該プラグ外表面の接線方向となるよう構成することができ、さらに、ロック部材の遠位端をプラグの外表面上をスライドさせる際に、多かれ少なかれ接線接触を維持するよう、遠位端の表面に丸みをもたせてもよい。さらに有利には、プラグを挿入している間におけるロック部材とプラグとの摩擦は、表面の材料を適切に選択すること、および/または、潤滑材を適用することによって低減することができる。
【0032】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材が、スナップフィットによりプラグの周囲に係合するよう構成された、スプリングクリップである。スナップフィット係合は、横方向に挿入されたロック部材を、挿入された位置に自動的に保持することを確実にするので、ねじなし管継手を用いて、非常に迅速かつ確実に密封された流体接続を確立することが可能となる。
【0033】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材が、スナップフィットによりプラグの周囲に係合するよう構成された、スプリングクリップである。
【0034】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態において、ロック部材は、挿入位置における軸方向投影で、ソケット表面の投影輪郭より外側には突出しない。これにより、ロック部材が不慮のうちに取り外れる原因となる、外部影響の干渉のリスクをさらに低減することができる。さらに、以下に詳述するように、把持手段をロック部材に設けることができ、これによってロック部材を意図的に取り除いて管の接続を切り離すことが容易になる。
【0035】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材の少なくとも1つの軸方向端面、プラグの協働する軸方向当接面、および/または、ソケットの協働する軸方向接触面が、軸方向に対して垂直であり、且つ互いに平行である。
【0036】
協働する支持面の対は、軸方向に対して垂直方向を向き互いに平行であり、軸方向に延びる管継手に加わる軸方向の力を伝達/吸収する。かような軸方向支持面を設けることによって、ロック部材に作用する、半径方向の成分、特には、半径方向外側に向く力の成分の発生が回避される。さもなければ、管継手に軸方向の力が加えられたときに、ロック部材の挿入位置に起因してロック部材が不慮のうちに外れる場合がある。
【0037】
軸方向に対し垂直に延びる、ロック部材の第1軸方向端面は、軸方向に対し水平に延びる、プラグの軸方向当接面と協働して、軸方向支持面の対を形成することができる。このようにして、軸方向に対し垂直に延びる、ロック部材の第2軸方向端面は、軸方向に対し水平に延びる、ソケットの軸方向接触面と協働して、軸方向支持面の他の対を形成することができる。
【0038】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材の軸方向端面の少なくとも1つは凸状円錐形であり、且つ該軸方向端面と協働する、プラグの当接面および/またはソケットの接触面が凸状円錐形であり、これらの協働面は、軸方向荷重が管継手に適用されると互いに押圧し、ロック部材を半径方向内側に押し込む。プラグおよび/またはソケット上に凸状円錐面を設け、協働するロック部材の第1および/または第2軸方向端面を凸状円錐形とすることにより、管継手に加えられる軸方向荷重が、ロック部材に作用する半径方向内側に向く力成分が生じ、これによってロック部材が挿入位置に保持される。軸方向荷重は、プラグをソケットから切り離す方向、すなわち挿入方向とは逆方向に引き抜く引張軸方向力、および/または、プラグをソケット内に押し込む方向、すなわち挿入方向に沿う圧縮軸方向力とすることができる。凸状円錐という用語は、面の法線ベクトルが管継手の中心軸に向かって内側を指すことを意味する。従って、凸状円錐という用語は、面の法線ベクトルが外側を指していること、すなわち管継手の中心軸から遠ざかる方を指していることを意味する。
【0039】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材の軸方向端部の少なくとも一方が凸状円錐形であり、協働するプラグの当接面および/または協働するソケットの接触面が凸状円錐係合であることにより、管継手に軸方向の力が加えられ、これらの協働面が互いに押圧するときに、ロック部材が半径方向内側に押し込まれる。
【0040】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材が、第1脚部および第2脚部の遠位端にヒンジ止めされている、延長フラップを具える。この延長フラップにより、ロック部材の有効な係合面を増加させることや、ロック部材およびプラグ/ソケット間の保持/固定の相互作用に関与するペリフェリ輪郭の割合を増加させることが可能となる。延長フラップは、馬蹄形のロック要素の脚部の遠位端間の隙間内に設けられ、かかる隙間を閉じるか、少なくとも減少させる。好ましくは、延長要素を具えるロック要素は、プラグの周囲をまるまる囲うことによって、管継手の周囲に亘って保持/固定の効果を均一に分布させる。
【0041】
本発明のねじなし管継手の一実施形態において、ロック部材は、該ロック部材の第1脚部および第2脚部にヒンジ止めされた延長フラップを具えている。
【0042】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材に、該ロック部材を把持して挿入位置から取り除くための1つ以上の把持手段が設けられていて、該把持手段は、ロック部材を挿入位置から取り外すべく該ロック部材を把持するよう構成されている。ロック部材を取り外すための把持手段は、好ましくは、該ロック部材に指を掛けられる耳部および/またはくぼみを含み、これによって追加のツールを必要とすることなく手でロック部材を取り外せる。代替的に、または追加して、把持手段は、対応する把持ツールによって係合される、凹部および/または凸部を含むことができる。把持手段は、ロック部材が挿入位置にある状態でソケットの外側からアクセス可能に、ロック部材上に設けられる。例えば、挿入位置における遠位端はソケットの周方向側壁内に隠れているから、遠位端に設けられた把持手段は、ロック部材を挿入位置から取り外す目的には適していない。
【0043】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材を把持するための1つ以上の把持手段をロック部材上に備え、該把持手段を把持することによって該ロック部材を挿入位置から取り外す。
【0044】
有利には、突出した把持手段の周りのソケット上に保護フランジ/リムを設けて、軸方向に投影してみたとき、ロック部材がソケットの外周面の投影輪郭内に含まれるようにする。これにより、地下に設置したロック手段が、例えば掘削機のような大きなツールが干渉することによって不慮のうちに外れることを回避でき、その一方で、指、小型のハンドツール、または専用の把持ツールを用いて、ロック手段を挿入位置からより簡単に取り外すことができる。
【0045】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、管継手が複数のロック部材を具える。好ましくは、各ロック部材が、各々の協働するプラグの軸方向当接面および対応するソケットの軸方向接触面と相互に作用する。複数のロック部材を用いることによって、ソケット内におけるプラグの保持および/または固定がより良好になる。追加のロック要素に冗長性を持たせることにより、管継手の安全性が増す。
【0046】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、管継手が複数のロック部材を具える。
【0047】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、シール部材が、プラグの外周面に予め取付けられている。好ましくは、該シール部材は、プラグの外周面に設けられた周方向溝によって、および/または、該プラグの外表面上に設けられた半径方向外側に突出する1つ以上のフランジによって、所定の位置に保持されている。予め取り付けされたシール部材により、管継手を接続する際に、シール手段を扱う必要がなくなる。シール部材を予めプラグに取り付ける代わりに、予めソケットに取り付けておくこともできる。しかしながら、予めプラグに取り付けておく方が、製造段階において、または、例えばメンテナンス作業中にシールを交換または点検するとき等の扱いが容易である。
【0048】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、シール部材が、プラグの外周面に予め取り付けられている。
【0049】
有利には、ソケットの周側壁は、周側壁によって形成された収容キャビティ内に、内径が異なる2つのチャンバを具える。ソケットのプラグを受ける開口に近い外側チャンバでは、ソケットの内径が、プラグ(プラグの外表面上に設けられたオーリングのような非圧縮の弾性シール手段を具える)の外径と同等か該外径を超えている。シール接合されることになる内側チャンバでは、ソケットの内径が非圧縮状態のシール部材を具えるプラグを下回り、流体の密な接続を達成する。外側チャンバと内側チャンバとの間には、遷移領域が設けられている。この遷移領域では、ソケットの受容キャビティの内径が、外側チャンバの内径から内側チャンバの内径にかけて次第に/なめらかに減少する。好ましくは、内側チャンバ、外側チャンバおよび遷移領域は、軸方向に垂直な横方向断面視にて円形である。これにより、プラグに予め設けられた弾性のシール手段が圧縮される位置まで、該プラグを挿入することが簡潔になり、挿入中におけるシール手段の損傷リスクが低減される。さらに有利には、ロック部材を挿入するためのスロットは、ソケットの外側領域に設けられる。これにより、プラグの挿入中にシール手段が損傷するリスクがさらに低減される。
【0050】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、シール部材(X03)を複数具え、これにより密封状態を改善する。さらには、追加のシール部材の冗長性によって管継手の安全性が増す。
【0051】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、管継手が複数のシール部材を具える。
【0052】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、半径方向ガイド/センタリング手段および/または軸方向サポート手段をさらに具え、ソケットに対するプラグの傾きおよび/または回転に関連する、管継手のいかなる弛みも低減する。これにより、シールの信頼性および管継手によって提供される機械的接続に対する信頼性が高まる。
【0053】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ソケットに対するプラグの傾きおよび/または回転に関連する、管継手のいかなる弛みも低減するべく、半径方向のガイド/センタリング手段および/または軸方向サポート手段をさらに具える。
【0054】
有利には、半径方向のガイド/センタリング手段は、シール手段の背後、および/または、さらに有利にはロック部材の背後に配置された、1つ以上のセンタリングリングを具えることができる。センタリングリングは、円錐形に先細りし、プラグをソケットの中央位置に留め、該プラグがソケットに対して傾いたり回転したりするのを回避する。有利には、軸方向サポート手段は、プラグに、ソケットの軸方向支持面に対応する軸方向支持面を具えることにより、ソケットに対してプラグが傾いたり回転したりするのを防ぐ。複数の半径方向センタリング手段や複数の軸方向支持手段、および/または1つ以上のセンタリング手段と1つ以上の軸方向支持手段との任意の組合せは、プラグのソケットに対する傾きや回転に起因する不適切な変形からシール手段を救済し、これによって、シーリングが損なわれるリスクを回避できる。
【0055】
有利には、一実施形態において、プラグおよび/またはソケットは、腐食保護コーティングで覆われた鋳鉄製である。好ましくは、腐食保護コーティングは、エポキシ粉体コーティングのような粉体コーティングである。代替的に、プラグおよび/またはソケットは、地下作業および腐食環境に好適な他の好適な材料からなることもでき、例えば、プラスチック材料、耐腐食性金属合金または腐食保護金属合金などである。
【0056】
有利には、一実施形態において、ロック部材は、POMのようなプラスチック材料からなる。ロック部材に選択する材料は、一般に、軸方向の圧縮に対して比較的耐性が大きくある必要があるが、一方で半径方向には十分な弾性を提供するものとする。これは、プラグ周りにロック部材の横方向の挿入を可能にし、好ましくは、ばね弾性のスナップ効果によってプラグ周りにロック部材を係合するためである。このような条件を満たすプラスチック材料の例は、ポリオキシメチレン(POM)であり、このポリオキシメチレンは、比較的硬く、ばね効果を提供するのに適しており、例えばプラグおよび/またはソケットのエポキシ粉体コーティングに対する損傷を回避する要求と両立できる。他の好適なプラスチック材料には、軸方向の圧縮力に対し十分な耐性が提供され、半径方向に要求される十分な弾性を得てロック部材を横方向に挿入できる限り、射出成形による製造に適した熱可塑性材料が含まれる。代替的に、ロック部材は、金属、または弾力性のあるスチール、好ましくはステンレススチールのような金属合金からなることもできる。
【0057】
プラグおよび/またはソケットに腐食保護コーティングを設けた場合、ロック部材を挿入する際におけるコーティングへのいかなる損傷も回避される。有利には、損傷の回避は、プラグおよび/またはソケットの表面に引っ掻き傷や損傷を誘発しないように、十分に柔らかい表面を有する材料からロック部材をつくることによって達成することができる。代替的に、または上記に加えて、ロック部材は、有利には、該ロック部材を挿入している間、および好ましくは挿入位置にあるときに、プラグおよび/またはソケットの表面と接触することとなる部分に鋭利なエッジを設けないように形成される。
【0058】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、軸方向/挿入方向に対して垂直な横方向断面視で、プラグの外周面と、該外周面と協働するソケットの周側壁の内面とが、円形断面を有する。これにより、ねじなし管継手のプラグは、ソケットに対し、中心軸周りに軸方向に沿って自由に回転することができる。これにより、プラグのソケットに対する回転位置を、中心軸周りの回転の任意の角度に調整するのを容易にすることができる。中心軸とは、すなわち、回転軸に平行であり、プラグとソケットの同心に配された円形断面の中心となる軸である。
【0059】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、プラグの外周面およびソケットの協働する周側壁の内面が円形断面を有する。
【0060】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、組立てた管継手のプラグが、軸方向に平行である中心軸の周りに、ソケットに対し自由に回転可能である
【0061】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、プラグが軸方向と平行である中心軸の周りをソケットに対して回転すること、を制限または防止するための止め手段を具える。プラグおよびソケットの円形断面は、接続された管継手のプラグがソケットに対して自由に回転することを許容する一方で、ロッキングストップによってかような回転を防止することや、制限ストップによってかような回転を少なくとも所定の角度範囲内に制限することが望ましい場合もある。ロッキングストップは、例えば、主供給ラインに組立てラインを接続するタップ工具を使用する際に、回転しないように管継手を固定するのに便利である。制限ストップは、例えば、管に対するバルブの向きの角度範囲を制限するのに便利である。所定の制限された回転角度は、例えば、270度、180度、120度、または90度など360未満の範囲である。止め手段は、一例として、プラグおよびソケットに設けられた協働する半径方向の突起と凹部として実施することができる。
【0062】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、プラグが軸方向と平行である中心軸の周りをソケットに対して回転すること、を制限または防止するための止め手段を具える。
【0063】
さらに、本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ソケットの周りに設けられ、ロック部材を挿入位置に封入し、ソケットのスロットを封止する、保護スリーブをさらに具える。かかる保護スリーブは、管継手を襲うまたは崩壊させる、外部からの汚れや泥または流体の進入を防止する。保護スリーブは、管継手を過酷な環境から保護する。保護スリーブは、さらに、ロック部材が挿入された位置から不慮のうちに外れないように固定している。これによって、より信頼性のある接続を成し遂げている。スリーブの配設は、ロック要素がソケットの表面から突出しいていない場合に特に有利である。
【0064】
本発明のねじなし管継手の一実施形態では、ロック部材を挿入位置に封入し、ソケットのスロットを封止する、保護スリーブをさらに具える。
【0065】
有利には、一実施形態において、保護スリーブは、ロック部材を挿入/取り出しするべくスロットにアクセス可能な状態にある第1軸方向ポジションと、スロットにアクセスできない状態にある第2軸方向ポジションと、の間を軸方向にスライドすることができる。さらに有利には、一実施形態において、保護スリーブは、ソケットのペリフェリ表面の周りを、ロック部材を挿入/取り出しするべくスロットにアクセス可能な状態にある第1回転ポジションと、スロットにアクセスできない状態にある第2回転ポジションと、の間を回転可能にスライドすることができる。さらに、有利には、好適な実施形態において、スライド可能な保護スリーブは、スナップフィット接合によって第2ポジションに保持されている。有利には、スナップフィットは、第2軸方向ポジションおよび/または回転ポジションにしたとき、ロック部材を挿入するソケットのスロットを係合する、保護スリーブの内側を向く表面上に設けられたリムによって提供することができる。有利には、または保護スリーブに加えて、管継手は、少なくともソケットを内包し、ソケットのスロットを封止するホイル状のシースを具えることができる。好ましくは、シースは、組立てた管継手の周りにちょうどフィットするように構成された、シュリンクホース材料からなる。これにより、管継手をカプセル化して、管継手を腐食や汚れの進入等の外部の影響から保護すし、さらには、ロック部材が不慮のうちに挿入位置から外れないよう固定する。
【0066】
本発明の他の態様によれば、ねじなし管継手のプラグは、上記のいずれの実施形態に従うねじなし管継手にも用いられるよう構成されている。
【0067】
本発明のさらに他の態様によれば、ねじなし管継手のソケットは、上記のいずれの実施形態に従うねじなし継手にも用いられるよう構成されている。
【0068】
本発明のさらに他の態様によれば、ねじなし管継手のロック部材は、上記いずれの実施形態に従うねじなし継手にも用いられるよう構成されている。
【0069】
本発明のさらに他の態様によれば、水またはガスの供給ラインにタッピングジョイントを確立するためのサドルクランプは、ねじなし管継手に用いるプラグおよび/またはねじなし管継手に用いるソケットを具え、当該プラグおよびソケットが、上記いずれの実施形態に従うねじなし継手にも用いられるよう構成されている点に特徴がある。従って、水またはガスの供給ラインへのタッピングジョイントは、上記いずれの実施形態に従うねじなし継手をも具える点に特徴がある。さらに、水またはガスの供給ラインへのタッピングジョイントを確立するためのタッピングツールは、ねじなし管継手用のプラグおよび/またはねじなし管継手用のソケットを具え、該プラグおよびソケットが、上記いずれの実施形態に従うねじなし管継手にも用いられるよう構成されている点に特徴がある。上記いずれの実施形態に従うねじなし管継手を使用しても、タッピングジョイントを確立し動作させるタスクが大幅に簡潔化される。タップングジョイントは、既存のラインに新規のラインを枝分けする際、例えば、主水供給ラインやガス共有ラインから、建物の側線に枝分けする際に使用される。
【0070】
以下に、例示的実施形態を参照して本発明をさらに説明する。該実施形態中の一般的な数字は、該当する各部位を参照している。