【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴によって達成される。本発明のその他の有利な形態は、従属請求項において述べられている。
【0006】
従って、本発明によれば、第1の焼成段階において、導電ペーストが基板表面に少なくとも領域的(部分的)に適用され、導電ペーストが実質的に連続的に上昇する焼成温度に曝され、その焼成温度は、約660℃未満の設定可能な最高焼成温度であり、第2の焼成段階において、導電ペーストは設定可能な時間、設定可能な最高焼成温度に実質的に曝され、冷却段階において、導電ペーストは冷却され、後処理段階において、導電ペーストの表面は、好適にはブラシ処理によって機械的に後処理される。
【0007】
基板、特にアルミニウム基板の表面は、そのような特定の方法によって確実に金属化できる。その特定の方法によって導電ペーストが適用され、その方法に従って焼結された領域は、その領域の基板の酸化表面の代わりに、基板に支配的な電気的接触を提供する。導電ペーストの適用および焼結によって少なくとも領域的に達成される導電層は、例えば電子部品をそこにはんだ付けすること、または冷却体へのはんだ付けなどにも結果的に利用することができ、強調すれば、冷却体自体はアルミニウムを含んで成ることができる。
【0008】
この場合には、基板は少なくとも部分的におよび好適には完全に、可能な限り高いアルミニウムの割合で、アルミニウム材料を含むことができる。好適にはアルミニウム材料は、欧州基準EN 573による、EN AW−1050AまたはEN AW−1060Aが使用され、少なくとも99.5重量%または99.6重量%のアルミニウムを含んでいる。上述の実質的に純粋なアルミニウム材料と比較して、いく分か低い液相温度および低い熱伝導性にもかかわらず、例えば、EN−AW3003(AlMn1Cu)、EN AW−3103(AlMn1)、EN AW−5005(AlMg1)またはEN AW−5754(AlMg3)などのマンガンまたはマグネシウムなどを含んだアルミニウム合金を使用することも可能である。
【0009】
本発明の方法は、アルミニウムベースの基板の表面の個々の領域を選択的に金属化する可能性を提供し、金属化領域は、関与する材料同士の接着結合によって直接的に焼結された導電ペーストの形態で基板に結合され、このようにして、導電ペーストの基板への、およびその逆の、高い導電性および高い熱伝導性を達成することが可能である。金属化領域は、追加的にはんだ付け可能な領域を提供し、それによって基板は公知のやり方で別な部品に結合できる。このようにして、例えば個別の電子部品を、共晶系であるSn−Pb−ハンダ、Sn−Ag−Cu−ハンダ、またはSn−Au−ハンダなどの従来のはんだ付け剤を用いて金属化領域にはんだ付けできる。
【0010】
改善された熱放出のため、高電力LEDモジュールまたは電力エレクトロニクスモジュールなどの部品も、中間に絶縁誘電層を使用せずに、また高価な銀ベースの熱伝導性ペーストを使用せずに、金属化領域によってアルミニウム基板上にポテンシャルフリー接続ではんだ付けでき、よって全体的にさらに低レベルの熱抵抗性を達成できる。減少された熱抵抗性と増加した熱伝導性によって、基板に結合される部品の構造的サイズが減少でき、あるいはそれらはより高い電力搬送性を提供する。従来のはんだ付け剤(前述)を、金属化領域への部品のはんだ付けに利用することができる。よって、健康に有毒なハロゲンやその他の物質を含むことが多い特殊なアルミニウムはんだ付け剤を使用しないことが可能である。
【0011】
本発明の方法の利用の別な領域は、そこに接続される電流ケーブルへの接続の確実性を向上させるためのアルミニウム電流バスバー(bus bars)の金属化である。銅ベースの導電ペーストでのアルミニウムバスバーの表面の金属化は、特に、そこに接続される銅電流ケーブルとの金属間放散現象および電気化学的反応を防止することを可能にする。
【0012】
特に好適な実施態様によれば、導電ペーストは、スクリーン印刷プロセスによって基板表面に適用(塗布)される。スクリーン印刷技術は、基板に導電トラック(路)を創出するための確立されたプロセスである。電力エレクトロニクスの分野では、いわゆる“絶縁金属基板”(insulated metal substrate)(IMS)が基板として頻繁に利用されており、これはアルミニウムのコアを含んでおり、電気絶縁層または誘電層によって包まれている。アルミニウムのコアはこの場合には向上した熱伝導性のために利用される。例えばスクリーン印刷などによって絶縁層に適用される導電トラック自体は、この場合にはアルミニウムのコアと電気的に接触しない。
【0013】
しかしながら、本発明の目的の一つは、その基板自体と共に、基板上に配置された導電トラックとの直接電気的接触を達成することにある。これは導電トラックまたは導電表面が、それらの間に絶縁層を提供する必要なく、本発明の方法によって基板上に直接配置できる限り可能である。関与する材料の接着結合を含む接続は、焼結された導電ペーストおよび基板との間で達成され、それによって焼結された導電ペーストは電気的および熱的に基板と直接接触する。この点において、従来の厚い層ペーストまたは焼結ペーストの形態の導電ペーストが利用できる。厚層ペーストの多孔性のため、導電ペーストおよび基板の異なる程度の熱拡散性を補正することが可能であり、それによって、導電ペーストと基板との間の結合の確実性を、特に例えば自動車分野における主な周期的熱応力の場合において向上することができる。
【0014】
層を基板上に構築するスクリーン印刷プロセスの追加的な性質は、基板表面の金属化のために曝露およびエッチングプロセスを利用せずとも可能であることを意味しており、これは本発明の方法にとってコスト的な利益となる。
【0015】
厚層の導電ペーストは、通常、導電剤としての金属粉末と、接着剤としての無機粉末(例えばガラスフリット)と、有機結合剤と、溶解剤とを少なくとも含んでいる。有機結合剤および溶解剤は所与の流動特性を有するペースト状粘稠物を提供するが、その特性は、導電ペーストの別な構成成分によっても影響を受ける。
【0016】
この導電性金属粉末の構成成分に関しては、好適には銅粉末を含む導電ペーストが使用される。しかしながら、銀および/または金の粉末を含む導電ペーストを使用することも可能である。しかしながら、この点において、銅粉末の利用は大幅に安価である。
【0017】
無機粉末の構成成分に関しては、好適には、PbO−B
2O
3−SiO
2物質から成るガラス、および/または、Bi
2O
3を含むガラスを含む導電ペーストが使用される。このようにして本発明の方法の焼結プロセス中に、この状況で支配的な比較的低い焼成温度にもかかわらず、導電ペーストの基板への非常に良好な接着を達成することが可能である。
【0018】
導電ペーストが、例えば従来技術で知られたスクリーン印刷プロセスなどの印刷によって適用された後に、言及する程の流出がなく、その流動特性によって導電ペーストは実質的にその対応する領域に留まる。焼成または焼結のために最適な状態で基板の表面に適用される導電ペーストを調製するため、第1の焼成段階に先立ち、導電ペーストは乾燥段階で、約80℃〜約200℃の温度で、好適には100℃〜150℃の温度で、好適には約5分間から約20分間乾燥される。この乾燥段階のため、導電ペースト内に存在する溶剤がほぼ完全に放散される。この点において、例えば赤外線または熱風乾燥などの知られた乾燥方法は好ましい。この乾燥プロセスと、導電ペースト内の溶剤の関連した放散とによって、導電ペーストの体積がある程度縮小する。しかしながら、それに対応して厚層に導電ペーストを塗布することによって前もってそれに対処することが容易に可能である。
【0019】
本発明の方法の第1および/または第2の焼成段階における導電ペーストの焼成および焼結は、好適には、その中で焼成温度を支配する焼成炉内で実行できる。乾燥段階および/または冷却段階も焼成炉内で実行できることは理解されよう。好適には、この場合にはコンベヤ装置を備えた焼成炉を利用できる。
【0020】
基板と導電ペーストの利用される材料の組み合わせに応じて、適切な焼成形態が利用できる。特別な変更例では、第1の焼成段階で焼成温度は少なくとも一時的に約40℃/分〜約60℃/分(の上昇速度)で上昇する。第1の焼成段階で焼成温度は、約580℃の、好ましくは約565℃の、特に好ましくは約548℃の最高焼結温度に上昇させることもできる。
【0021】
約400℃〜約450℃の範囲を超えての導電ペーストの加熱は、例えば有機結合剤などのその中の全ての有機構成成分が実質的に完全に溶解し、無機構成成分(例えばガラス粉末またはガラスフリットなど)が軟化するという結果を導く。さらに、金属粉末焼成プロセスはこれらの温度で開始する。導電ペーストの軟化されたガラス構成成分はさらに、基板上での導電ペーストの良好な接着をもたらす。
【0022】
最高焼成温度は、約660℃であるアルミニウムの溶融温度(融点)によって基本的には制限される。銀ベースの導電ペーストを利用するとき、最高焼成温度は好適には約565℃であり、一方、銅ベースの導電ペーストを利用するときには、最高焼成温度は好適には約548℃である。これらの温度は、その場合に生じる共晶系のアルミニウム−銅またはアルミニウム−銀の合金の融点に由来する。
【0023】
それぞれの最高焼成温度に関しては、適切なガラス構成成分が導電ペーストのために選択されるべきであり、これらの構成成分の対応するガラス転移温度(T
G)または融点(T
S)はこの最高焼成温度に適応されている。それに合わせて、対応する導電ペーストのガラス構成成分のガラス転移温度または融点は、基板への導電ペーストの最適な接着を確実にするため、適度に特定の最高焼成温度以下にすべきである。特に、PbO−B
2O
2−SiO
2系からのガラスまたはBi
2O
3を含むガラスが適している。
【0024】
第2の焼成段階において導電ペーストの焼成が約5分間〜約30分間で実行されると特に有利であることが証明されている。基本的に、(最高焼成温度での)第2の焼成段階での実行時間が長いほど、それに応じてさらに密度の高い導電ペーストが焼結され、よって、さらなるプロセス(例えばはんだ付けおよび溶接)のためのさらに良好な特性が提供される。第2の焼成段階において処理時間が過剰に長いと、典型的な焼成炉内での転移時間が対応して長くなり、全体的な処理能力に不利な影響を及ぼす可能性がある。
【0025】
別な有利な変更例では、設定可能な最高焼成温度は、第2の焼成段階において実質的に一定に保たれる。
【0026】
更に、好ましくは、第1の焼成段階および/または第2の焼成段階における導電ペーストは、窒素を含んだ保護ガス雰囲気に曝される。保護ガス雰囲気(例えば窒素)は、導電トラック材料の酸化を防止するため、(焼成段階によっては、数ppm程度の残留酸素が存在する可能性がある)銅の導電トラックペーストの焼成に有利である。そのような材料の有機結合剤またはその導電ペーストは、この場合には、窒素雰囲気下で還元されると考えられる。一方、酸化による導電トラック表面の深刻な損傷に関与しないため、銀の導電トラックペーストのためには従来の空気雰囲気(大気)が有利でありえる。この場合に利用される有機結合剤は空気中の酸素によって酸化され得る。
【0027】
本発明の一好適実施形態では、冷却段階において、焼成温度は少なくとも一時的に、約20℃/分〜約40℃/分の下降速度で、好ましくは約30℃/分の下降速度で低下される。好適には、この場合には、冷却は常温(室温)で実行される。使用される材料の熱膨張率が異なるため、冷却が遅いほど、対応して導電ペーストと基板との間の接続に対する機械的な影響も減少する。
【0028】
その時に支配的な高温によって焼成または焼結プロセス中に発生する焼結された導電ペーストの典型的な酸化のため、例えば引き続き行われるはんだ付けまたは溶接プロセスなどの別なプロセスを可能にするために、冷却ステップの後で、導電ペーストの表面は適切に機械的後処理される。
【0029】
一好適実施形態によれば、導電ペーストが約10μm〜約100μmの厚みで基板の表面に塗布できる。10μm未満の厚みまたは100μmより厚い厚みの導電ペーストを基板の表面に塗布することも可能であることは理解されよう。本発明の方法は、結果として全体的な導電ペーストの厚みを増加させるため、連続して複数回実行することもできる。
【0030】
本発明の更なる詳細や利点は、以下の具体的な説明によって解説される。