(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185572
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】風力タービン用ギアボックスの潤滑方法
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20170814BHJP
F16N 7/38 20060101ALI20170814BHJP
F16N 9/02 20060101ALI20170814BHJP
F16N 13/10 20060101ALI20170814BHJP
F03D 17/00 20160101ALI20170814BHJP
F03D 80/70 20160101ALI20170814BHJP
【FI】
F16H57/04 Z
F16N7/38 A
F16N7/38 C
F16N7/38 G
F16N9/02
F16N13/10
F03D17/00
F03D80/70
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-515439(P2015-515439)
(86)(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公表番号】特表2015-521267(P2015-521267A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2013059098
(87)【国際公開番号】WO2013182355
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年3月17日
(31)【優先権主張番号】12170773.1
(32)【優先日】2012年6月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514011413
【氏名又は名称】ツェットエフ ウィンド パワー アントワープ エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】ZF WIND POWER ANTWERPEN N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ディルク レイマン
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−83207(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/001479(WO,A1)
【文献】
特開2003−336513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F03D 17/00
F03D 80/70
F16N 7/38
F16N 9/02
F16N 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン用ギアボックスの潤滑方法であって、該ギアボックスは、少なくとも1つはすべり軸受である軸受に支承された複数のギア及びシャフトと、前記ギア及び軸受に潤滑油を供給する機械式ポンプ及び電動ポンプを備えた潤滑システムとを備え、前記機械式ポンプと電動ポンプの容積容量の差は、最大で40%であるギアボックスの潤滑方法は、少なくとも1つの弁を制御するステップを含み、該ステップは、
−前記ギアボックスの始動時に、前記電動ポンプにより前記軸受に潤滑油を供給するステップと、
−前記ギアボックスの正常作動時に、前記電動ポンプ及び機械式ポンプにより前記軸受及びギアに潤滑油を供給するステップと、
−電力供給の喪失時に、前記機械式ポンプにより前記軸受のみに潤滑油を供給するステップと、
を実行することを特徴とする潤滑方法。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑方法であって、更に、前記ギアボックスの始動時に、前記機械式ポンプにより前記ギアに潤滑油を供給するステップを含む潤滑方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の潤滑方法であって、前記少なくとも1つの弁を制御するステップは、複数の弁を制御するステップである潤滑方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の潤滑方法であって、前記弁を制御するステップは電気的に駆動される潤滑方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の潤滑方法であって、前記弁を制御するステップは圧力により駆動される潤滑方法。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか一項に記載の潤滑方法であって、前記弁を制御するステップは電気的なフェールセーフ方式で駆動される潤滑方法。
【請求項7】
請求項3に記載の潤滑方法であって、前記弁を制御するステップは、部分的に圧力により駆動され及び部分的に電気的に駆動される潤滑方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービン用ギアボックスの潤滑方法に関する。より詳細には、本発明は例えば送電系統連係の喪失時や電動ポンプが故障した場合等、緊急時における風力タービン用ギアボックスの潤滑方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービン用ギアボックス内のギア及び軸受等の回転部分を、風力タービンの作動中に潤滑することは非常に重要である。こうした部分が潤滑されない、または潤滑が不十分であると、このような回転部分の損傷及び故障につながる。特にギアボックス内のギア及びシャフトを支承する軸受、より詳細にはすべり軸受は、良好な潤滑状態に対して特に感応性が高く、故障を防ぐために常に十分な潤滑油を供給する必要がある。
【0003】
正常作動時には、風力タービン及びギアボックスが既知の方法で設計されている場合、電動ポンプにより潤滑油が連続的に回転部分に供給される。通常このようにして、回転部分に対して適切な量の潤滑油が供給される。しかし、例えば送電系統連係の喪失時または電動ポンプが故障した場合には、正常に作動するための潤滑油の供給が、もはやギアボックス内の回転部分、特に軸受に対して十分に行なわれない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、風力タービン用ギアボックスの潤滑方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ギアボックスは、軸受に支承された複数のギア及びシャフトを備える。これらの軸受の少なくとも1つはすべり軸受である。更にギアボックスは潤滑システムを備える。潤滑システムは、ギア及び軸受に潤滑油を供給する機械式ポンプ及び電動ポンプを備える。機械式ポンプと電動ポンプの容積容量の差は、最大で40%である。潤滑方法は、少なくとも1つの弁を制御するステップを含み、このステップは、
−ギアボックスの始動時に、電動ポンプにより軸受に潤滑油を供給するステップと、
−ギアボックスの正常作動時に、電動ポンプ及び機械式ポンプにより軸受及びギアに潤滑油を供給するステップと、
−電力供給の喪失時に、機械式ポンプにより軸受のみに潤滑油を供給するステップと、を実行する。
【0006】
本発明の実施形態による方法の利点は、例えば送電系統連係の喪失時または単に電動ポンプが故障した場合等、電動ポンプが正常に作動しないいかなる場合にも、常に潤滑油を十分に軸受に供給し、より詳細には少なくとも1つのすべり軸受に潤滑油を供給し、供給される潤滑油の量が低減し過ぎることによるすべり軸受の破損を防止することである。
【0007】
本発明の実施形態によれば、潤滑方法は更に、ギアボックスの始動時に、機械式ポンプによりギアに潤滑油を供給するステップを含む。
【0008】
本発明の実施形態によれば、潤滑方法は複数の弁を備えてよく、潤滑方法は複数の弁を制御するステップを備えてよい。
【0009】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの弁を制御するステップは電気的に駆動されてよい。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも1つの弁を制御するステップは、圧力により駆動されてよい。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、少なくとも1つの弁を制御するステップは、電気的なフェールセーフ方式で駆動されてよい。
【0012】
本発明のまた更なる実施形態によれば、潤滑システムが複数の弁を備える場合、弁を制御するステップは、部分的に圧力により駆動され及び部分的に電気的に駆動されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
異なる図面で使用された同一の符号は、同一、類似または相似の素子を指すことを注意されたい。
【
図1】本発明の実施形態による潤滑システムの実施例の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による潤滑システムの実施例の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図6】本発明の更なる実施形態による潤滑システムの実施例の概略図である。
【
図7】本発明の更なる実施形態による潤滑システムの実施例の概略図である。
【
図8】本発明の更なる実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図9】本発明の更なる実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図10】本発明の更なる実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【
図11】本発明の更なる実施形態による風力タービン用ギアボックスの、潤滑方法のステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
記載では、異なる実施形態を参照して本発明を説明する。従って異なる図面を参照する。これらの図面は制限的であることを意図しておらず、本発明は請求項によってのみ制限されることを理解されたい。従って、図面は説明を目的としており、図中のいくつかの素子のサイズは、明確であることを目的として拡大される場合がある。
【0015】
「備える」という語句は、いかなる形でも本発明を制限するとは解釈されない。請求項で使用された「備える」という語句は、その後に記述された手段に限定されることを意図しておらず、他の素子、部分またはステップを排除するものではない。
【0016】
請求項及び明細書で使用された「接続される」という語句は、別段の指定がない限り、「直結」に限定されると理解される必要がない。従って、部分Bに接続されている部分Aは、部分Bに直結されている部分Aに限定されず、部分Aと部分Bとの間の間接接続をも含み、換言すると、部分Aと部分Bとの間に中間部分が存在する場合をも含む。
【0017】
本発明の全ての実施形態が、本発明の全ての特徴を備えるとは限らない。以下の明細書及び請求項においては、請求項に記された実施形態の何れもが、いかなる組合せにおいても使用可能である。
【0018】
本発明は、風力タービン用ギアボックスの潤滑方法を提供する。ギアボックスは、少なくとも1つはすべり軸受である軸受に支承された複数のギア及びシャフトと、ギア及び軸受に潤滑油を供給する機械式ポンプ及び電動ポンプを備えた潤滑システムとを備える。機械式ポンプと電動ポンプの容積容量の差は、最大で40%である。潤滑方法は、少なくとも1つの弁を制御するステップを含み、このステップは、
−風力タービン用ギアボックスの始動時に、電動ポンプにより軸受に潤滑油を供給するステップと、
−風力タービン用ギアボックスの正常作動時に、電動ポンプ及び機械式ポンプにより軸受及びギアに潤滑油を供給するステップと、
−電力供給の喪失時に、機械式ポンプにより軸受のみに潤滑油を供給するステップと、を実行する。
【0019】
本発明の実施形態による方法の利点は、例えば送電系統連係の喪失時または電動ポンプが故障した場合等、電動ポンプに問題が発生したいかなる場合にも、軸受けが破損することを防止するために、ギアボックス内の軸受に依然として十分な潤滑油が供給されることである。
【0020】
本発明は、異なる実施形態を参照して以下に説明される。これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするためのみを目的としており、いかなる形でも本発明を制限することを意図していないと理解されなければならない。
【0021】
図1及び
図2は、本発明の実施形態によるギアボックス10用の潤滑システム1を示す。潤滑システム1は、潤滑油タンク2、機械式ポンプ3及び電動ポンプ4を備える。機械式ポンプ3と電動ポンプ4の容積容量の差は、最大で40%である。これは、機械式ポンプ3と電動ポンプ4の容積容量の合計が例えば100Lである場合、機械式ポンプ3の容積容量は最小で30L、最大で70Lとしてよく、電動ポンプ4の容積容量はそれに対応して、最大で70L、最小で30Lとしてよいことを意味する。好適には、機械式ポンプ3と電動ポンプ4の容積容量を等しく、例えば50Lとしてよい。潤滑油タンク2は、ギアボックス10内のギアG及び軸受Bを潤滑する潤滑油を備える。本発明の実施形態により、ギアボックス10内の軸受Bの少なくとも1つは、すべり軸受としてよい。実施形態により、ギアボックス10内の軸受Bのうち1つを上回る軸受を、すべり軸受としてよい。また本発明の更なる実施形態により、ギアボックス10内の全ての軸受Bを、すべり軸受としてもよい。
【0022】
本発明の実施形態により、
図1に示すように、潤滑システム1はギアボックス10の内側に位置してよい。他の実施形態により、
図2に示すように、潤滑システム1はギアボックス10の外側に位置してもよく、換言すれば、潤滑システム1は外付けの潤滑油タンク2を備えてもよい。
図1及び
図2の実施例においては、潤滑システム1は更に、潤滑油流を制御する弁5、及びこの弁5を制御する制御システム(図示されず)を備える。
【0023】
風力タービン用ギアボックス10の始動時に、電動ポンプ4は軸受Bに潤滑油を供給する(
図3参照)。このステップの間、本発明の実施形態により機械式ポンプ3は作動しない。弁5は、潤滑油のみが軸受Bに供給されるよう制御される。潤滑油流は、
図3の太線により表示される。本発明の実施形態によれば、弁5を制御するステップは圧力により駆動されてよい。その場合、電動ポンプのみが潤滑油を供給しているため、圧力は弁5を開放するほど高いものではなく、従って潤滑油は軸受Bへのみ流れる。本発明に他の実施形態により、弁5を制御するステップは電気的に駆動されてよい。その場合、潤滑油が軸受Bへのみ流入可能であり、ギアGへは流入不可能であるよう、弁5が閉鎖状態に留まるよう制御される。本発明の更なる実施形態により、弁5を制御するステップは電気的なフェールセーフ方式で駆動されてよい。これは、電力喪失のいかなる場合でも、潤滑油流は軸受Bへのみ可能であり、ギアGへは不可能であるような正しい位置を弁5が取ることを意味する。
【0024】
正常作動時に、潤滑油は機械式ポンプ3及び電動ポンプ4の双方により、ギアG及び軸受Bの双方に供給される(
図4参照)。従って制御システムは、潤滑油流がギアGへも可能であるよう弁5を開放すべく制御する。潤滑油流は再度、
図4の太線により表示される。既述のように、弁5を制御するステップは、圧力により駆動されても、電気的に駆動されても、または電気的なフェールセーフ方式で駆動されてもよい。
【0025】
正常作動時に、送電系統連係喪失が発生するか、または他のある理由で電動ポンプ4が正常に作動しなくなった場合には、タービンそしてギアボックス10もが静止するまでに、例えば数秒間の時間が必要である。この場合本発明の実施形態により、制御システムが弁5を駆動し、潤滑油流を潤滑油タンク2から機械式ポンプ3を経由して軸受Bへ流入可能とし、ギアGへは流入不可能であるよう弁5を閉鎖する(
図5の太線により表示される)。
【0026】
図6及び
図7は、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態によれば、潤滑システム1は前出の実施形態において既述された潤滑システム1と類似しているが、潤滑油流を制御するために、1つのみの弁5に替えて複数の弁5a乃至5fを備える。上記の実施形態に関しても同様に、潤滑システム1はギアボックス10の内側に位置してよく(
図6参照)、またはギアボックス10の外側に位置してもよい(
図7参照)。
【0027】
風力タービン用ギアボックス10の始動時に、本発明の実施形態により、電動ポンプ4は軸受Bに潤滑油を供給する(
図8参照)。このステップにおいて制御システムは、弁5a及び5bを開放し、潤滑油が潤滑油タンク2から軸受Bへと、電動ポンプ4を経由して流れるよう弁5a乃至5fを制御する(潤滑油流は、
図8の太線で示される)。
【0028】
本発明の他の実施形態により、風力タービン用ギアボックス10の始動時に、潤滑油が更に機械式ポンプ3により、ギアGに供給されてもよい。この状態は
図9に示される。この場合制御システムは、弁5a乃至5c及び弁5eを開放し、潤滑油流が軸受B及びギアGへと流入可能であり、弁5d及び5fが閉鎖されるよう、弁5a乃至弁5fを制御する。
【0029】
正常作動時に、潤滑油はギアG及び軸受Bの双方に供給される。従って制御システムは、弁5a乃至5fが全て開放され、潤滑油が潤滑油タンク2から機械式ポンプ3及び電動ポンプ4を経由してギアG及び軸受Bへと流入可能であるよう、弁5a乃至5fを全て開放すべく弁5a乃至5fを制御する。これは
図10に示されており、太線が潤滑油流を表す。風力タービン用ギアボックスが正常に作動している限り、これらの弁5a乃至5fは開放されたままであり、正常に作動するために、常にギアG及び軸受Bに十分な潤滑油が供給される。
【0030】
正常作動時に、送電系統連係喪失が発生するか、または他のある理由で電動ポンプ4が正常に作動しなくなった場合には、タービンそしてギアボックス10もが静止するまでに、例えば数秒間の時間が必要である。この場合本発明の実施形態により、制御システムが、潤滑油流が潤滑油タンク2から機械式ポンプ3を経由して軸受Bへ流入可能となるように弁5c、5dが開放され、他の弁5a,5b,5e及び5fは閉鎖されたままであるよう弁5a乃至5fを駆動する(
図11参照)。これは、風力タービンそしてギアボックス10もが静止するまで、換言すれば、もはや回転しなくなるまで、軸受B及び特に少なくとも1つのすべり軸受Bに十分な潤滑油を供給するために非常に重要である。このようにならなければ、換言すれば、軸受Bに十分な潤滑油が供給されず一方ではギアボックス10が依然として作動している場合には、そうした状態により軸受Bが深刻に破損する可能性がある。
【0031】
本発明の実施形態により、弁5a乃至5fを制御するステップは、電気的に駆動、電気的なフェールセーフ方式で駆動、または電気的及び圧力により駆動されてよい。
【0032】
以下に、弁5a乃至5fが電気的に駆動される場合、及び圧力により駆動される場合に関して詳述する。これらの実施形態により、風力タービンの始動時に電動ポンプ4が作動し、潤滑油が弁5aへと流入可能になる。潤滑油流に起因する圧力のために弁5aが開放され、潤滑油流の更なる流入が可能になる。同様に、潤滑油による圧力のために、弁5bが開放され、潤滑油が軸受Bへと流入可能になる。その結果、弁5fは閉鎖状態に留まり、その際、実質的に潤滑油流がギアGへと流れないように電気的に制御される。ギアボックス10の正常作動時には機械式ポンプ3及び電動ポンプ4の双方が作動し、潤滑油が潤滑油タンク2から、それぞれ弁5a及び5cを経由して流入可能になる。潤滑油流に起因する圧力のために、弁5a及び弁5cが開放され、潤滑油流の更なる流入が可能になる。同様に、潤滑油流のために弁5b及び5f、並びに弁5d及び5eがそれぞれ開放され、潤滑油がギアG及び軸受Bのそれぞれに供給可能になる。要約すると、正常作動時には潤滑油の圧力が、弁5a乃至5fの全てを開放させるのに十分な程度にまで高まり、潤滑油がギアG及び軸受Bへと流入可能になる。電動ポンプ4が作動を停止した場合、機械式ポンプ3のみが残り、ギアボックス10の部品へ潤滑油を供給する。この場合、潤滑油の圧力により弁5cは開放された状態に留まり、潤滑油流の更なる流入を可能にする。同様に、弁5dもまた開放された状態に留まり、潤滑油が軸受Bへと供給可能になる。弁5eはその際、閉鎖されるべく電気的に制御され、潤滑油流のギアGへの更なる流入を不可能にする。弁5a,5b及び5fは、潤滑油の圧力が低すぎるために閉鎖される。