【実施例】
【0047】
実施例1.ゲル製剤1
表1は、3−メタンスルホニルプロピオニトリルを含む1つのゲル製剤を例示する。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2.ゲル製剤2
表2は、3−メタンスルホニルプロピオニトリルを含む別のゲル製剤を例示する。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例3.サイトカイン活性の阻害
3−メタンスルホニルプロピオニトリル(MSPN)を、ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)からのインビトロサイトカイン放出に対するその効果について試験した。PBMCによるサイトカインの分泌は、炎症応答において有意な役割を演じる。
【0052】
MSPNを、二重反復して、新鮮なヒトPBMCの培養物に、162μM(22μg/ml)で添加した。1時間後、PBMCを、マイトジェンリボ多糖及びコンカナバリンA(ConA)を用いて刺激し、サイトカインを分泌した。50pg/mlでのリポ多糖を用いて、インターロイキンIL−6及び腫瘍壊死因子TNFαの放出を刺激した。20μg/mlでのConAを用いて、IL−4の放出を刺激し、そして5μg/mlでConAを用いて、インターフェロンIFNγを刺激した。コルチコステロイドデキサメタゾン(100nM)を、正の対照として使用した。24時間のインキュベーションの後、上清液を、Luminex Beadキットを用いて、サイトカインについてアッセイした。22μg/mlでのMSPNは、IL-1β、IL-6、TNFα、IL-4及びIFNγの放出を、95%、98%、98%、7%及び21%、阻害した。デキサメタゾンは、IL-1β、IL-6、TNFα、IL-4及びIFNγの放出を、それぞれ24%、60%、42%、93%及び87%、阻害した。
【0053】
結果は、MSPNが炎症工程に関与するサイトカインに対して有意な阻害を有することを示す。
【0054】
実施例4.局所適用によるマウスにおける3−メタンスルホニルプロピオニトリルの抗−炎症活性
精製された3−メタンスルホニルプロピオニトリルを、ビヒクル(エタノール/アセトン 1:1)に溶解し、5%(w/v)にした。活性化合物、インドメタシン(ビヒクルにおける陽性対照)、及びビヒクルを、マウスに局所適用し、そして刺激性接触性皮膚炎のモデルである、マウスにおける局所アラキドン酸誘発耳における抗−炎症活性について評価した。
【0055】
22±2gの体重の雄ICRマウスを用い、そしてランダムに分けた:各グループは10匹のマウスを有した。アラキドン酸(20μlのアセトン:エタノール(1:1)0.5mg)を、各マウスの右耳の前面及び後面に局所適用した。表3に列挙されるような試験物質及びビヒクルを、アラギドン酸適用の30分前及び15分後、同様にして適用した。右耳及び左耳の厚さを測定し、そして差異を、右耳における炎症の指標として計算した。耳の腫脹を、炎症の指標として、アラキドン酸適用の60及び90分後に、Dyerモデルのマイクロメーターゲージにより測定した。%阻害率を、式:Ic−It/Ic×100(式中、Ic及びItは、それぞれ、対照及び治療されたマウスにおける耳の厚さ(mm)の上昇を示す)に従って計算した。ANOVA及びDunnett検定を用いて、ビヒクル対照と治療されたグループとの間の有意な差異を確かめた。アラキドン酸適用の90分後で測定される結果が、表3に要約される。
【0056】
【表3】
【0057】
3−メタンスルホニル−プロピオニトリルは、ビヒクル治療されたグループにおける阻害率に比較して、アラキドン酸により誘発された耳腫脹において、有意な阻害率(36%)をもたらした。MSPN−治療されたマウスと、ビヒクル−処理されたマウスとの間の差異は、統計学的に有意であることが決定された(t−決定によるp−値は<0.001であった)。
【0058】
実施例5.MSPN製剤の全身性投与
この研究は、ラットへの経口及び皮下経路による投与の後、MSPNの全身性(血漿)暴露を決定するために行われた。
【0059】
MSPN物質を、経口投与のために水において、及び皮下投与のために生理食塩水において調整した。282〜295gの体重のラットを、この研究に使用した。雄ラット(n=2)は、経口及び皮下経路により、50、160又は500mg/kgで単回投与された。雌ラット(n=2)は、経口及び皮下経路により、500mg/kgでのみ投与された。血液を、0.25、1、2、3、4、6、12、24及び48時間で、各ラットから採血し、そしてLC/MS/MSによりMSPN濃度について測定した。
【0060】
雄に関しては、50、160又は500mg/kgで経口投与した後、測定される平均最大血漿濃度は、それぞれ、160、560及び12,000μg/mlであり;そして皮下投与後では、それぞれ、160、760及び3300μg/mlであった。雌に関しては、500mg/kgの経口投与後の平均C
maxは、3800μg/mlであり、そして500mg/kgの皮下投与後では、9500μg/mlであった。半減期は、両経路及び両性別で類似し、そして8〜15時間の範囲であった。
【0061】
上記結果は、経口及び皮下経路の後、MSPNの有意な生物学的利用能を有したことを示す。
【0062】
実施例6.経口適用によるマウスにおける3−メタンスルホニルプロピオニトリルの抗−炎症活性(仮想例)
精製された3−メタンスルホニルプロピオニトリルを、ビヒクル(水中、1%Tween80)に懸濁し、5−15mg/mlにする。試験化合物、デキサメタゾン(ビヒクル中、正の対照)、及びビヒクルを、マウスに経口投与し、そしてマウスにおける局所アラキドン酸誘発耳腫脹モデルにおける抗−炎症活性を評価した。
【0063】
22±2gの体重の雄ICR由来のマウスを、この実験に使用する。10−15匹のマウスを、各グループのために使用する(活性化合物、正の対照及びビヒクル)。すべての動物は、調節された温度(22−24℃)及び湿度(60%−70%)環境下で、12時間の明/暗サイクルにより、少なくとも1週間、使用の前、維持される。
【0064】
アラキドン酸(20μlのアセトン中、0.5mg)を試験動物の右耳の前面及び後面上に局所適用し、炎症を誘発する。ビヒクル(10ml/kg)及びビヒクル(10ml/kg、50−150mg/kg)中、MSPNを、アラキドン酸投与の1時間前、強制経口により経口投与し、そしてデキサメタゾンは、アラキドン酸投与の3時間前、強制経口により経口投与される。耳浮腫のアラキドン酸誘発の60分及び90分後で、右耳及び左右の厚さを測定し、そして差異を、右耳における炎症の標識として計算する。有意な活性が、ビヒクル処理されたグループに比較し、アラキドン酸誘発された耳腫脹における統計学的に有意な阻害率(t−検定により決定されたp−値は<0.05であった)として定義される。
【0065】
実施例7.アトピー性皮膚炎の治療(仮想例)
目的:アトピー性皮膚炎を有する患者におけるMSPNゲルの有効性を調べるためである。
【0066】
製剤:1−5%でMSPNを含むゲル製剤(実施例2)を、この実施例に使用する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0067】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0068】
軽度〜重度のアトピー性皮膚炎を有する男性及び女性患者が、研究の開始の前、4週間、アトピー性皮膚炎について、すべての治療の中断の後、登録される。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計300人の患者が登録され、そして治療される。
【0069】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0070】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0071】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0072】
2.0−4の尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)で評価される各パラメーターによる、紅斑、硬結、苔癬化、スケーリング(scaling)及び滲出及び痂皮についての関与の代表的標的アトピー性皮膚炎領域の個別評価。
【0073】
これらの有効性評価の個々の統計学的分析が、各2週試験時点で実施される。有効性の最終的評価は、12週の治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0074】
実施例8.乾せんの治療(仮想例)
目的:尋常性乾せんを有する患者におけるMSPNゲルの有効性を調べるためである。
【0075】
製剤:1−5%でMSPNを含むゲル製剤(実施例2)を、この実施例に使用する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0076】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0077】
軽度〜重度のアトピー性皮膚炎を有する男性及び女性患者が、登録される。患者は、研究の開始の前、4週間、尋常性乾せんについて、すべての治療を中断する。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計200人の患者が登録され、そして治療される。
【0078】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0079】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0080】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0081】
2.0−4の尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)で評価される各パラメーターによる、紅斑、スケーリング及び厚さについての関与の代表的標的乾せん病変領域の個別評価。
【0082】
各有効性評価の統計学的分析が、各2週試験時点について実施される。有効性の最終的評価は、12週での治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0083】
実施例9.ざ瘡の治療(仮想例)
目的:尋常性ざ瘡を有する患者におけるMSPNゲルの有効性を調べるためである。
【0084】
製剤:1−5%でMSPNを含むゲル製剤(実施例2)を、この実施例に使用する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0085】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0086】
軽度〜重度の尋常性ざ瘡を有する男性及び女性患者が、登録される。患者は、研究の開始の前、4週間、尋常性乾せんについて、すべての治療を中断する。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計500人の患者が登録され、そして治療される。
【0087】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0088】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0089】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0090】
2.すべてのタイプのざ瘡病変、すなわち開放及び閉鎖面疱、丘疹、膿疱、結節及び嚢胞の個別評価。
【0091】
各有効性評価の統計学的分析が、各2週試験時点について実施される。有効性の最終的評価は、12週での治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0092】
実施例10.酒さの治療
患者Aは、酒さの長期病歴を有する58歳男性である。患者Aがフレアアップ(flare-up)を経験した場合、患者Aは彼の鼻、頬、顎及び額上に発赤を有した。患者Aはまた、自分の顔の赤い部分に小さなバンプも有した。患者Aは、5%の3−メタンスルホニルプロピオニトリルを含むゲル製剤を供給された(実施例2を参照のこと)。
【0093】
各フレアアップに続いて、患者Aは、5%のゲル製剤を、発赤が消えるまで(平均3回を要する)、赤い領域上に1日2度、適用した。
【0094】
実施例11.肘上の湿疹の治療
患者Bは肘及び膝上の皮膚の乾燥、かゆみ、及び赤み、時々、さらに亀裂し、そして革のようになる、慢性皮膚問題である湿疹(アトピー性皮膚炎)を有する58歳男性である。患者Bは、5%の3−メタンスルホニルプロピオニトリルを含むゲル製剤を供給された(実施例2を参照のこと)。
【0095】
患者Bは、1日1度、5%ゲル製剤を、影響される領域に適用し、症状が解決するまで、それを十分にこすりつけた。治療期間は、症状の重症度に依存して、典型的には2−3日、及び最大で5日であった。
【0096】
実施例12.背中の肩領域周囲のざ瘡の治療
患者Cは、23歳女性である。患者Cは、彼女の肩と背中にざ瘡を発症した。患者Cは、5%の3−メタンスルホニルプロピオニトリルを含むゲル製剤を供給された(実施例2を参照のこと)。
【0097】
患者Cは、彼女のざ瘡が消えるまで、1日1度、5%ゲル製剤を適用し、そして毎日、改善性を告知した。治療期間は、約5日であった。
【0098】
本発明、及びそれの製造及び使用方法及び工程が、それが関連する当業者によるその製造及び使用を可能にするために、完全、明確な、簡素で正確な用語で今回記載されている。前述は本発明の好ましい実施形態を記載し、そして変更が特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、行うことができることが理解されるべきである。本発明としてみなされる主題を特に指摘しそして明確に特許請求するために、以下の特許請求の範囲が明細書を結論づける。