特許第6185576号(P6185576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61855763−(アミノ)プロパン−1,2−ジオール化合物を用いた液化炭化水素の処理のためのプロセス
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  • 特許6185576-3−(アミノ)プロパン−1,2−ジオール化合物を用いた液化炭化水素の処理のためのプロセス 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185576
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】3−(アミノ)プロパン−1,2−ジオール化合物を用いた液化炭化水素の処理のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/10 20060101AFI20170814BHJP
   C10L 3/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C10L3/10
   C10L3/12
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-517348(P2015-517348)
(86)(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公表番号】特表2015-525278(P2015-525278A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】US2013045113
(87)【国際公開番号】WO2013188361
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】61/660,161
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ラロシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エム・ヒル
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−535209(JP,A)
【文献】 米国特許第05877386(US,A)
【文献】 特開平09−150029(JP,A)
【文献】 特開昭60−048116(JP,A)
【文献】 特表2002−519171(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02283911(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 3/10
B01D 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン種の損失を最小にしながら、酸性ガスを含む液化炭化水素を処理して前記酸性ガスを除去するための方法であって、前記液化炭化水素を第1アミン化合物の吸収剤水溶液と接触させる工程において、前記第1アミン化合物が構造:
【化1】
式中、Rは、プロパン−2,3−ジオールでありは、水素であり、は、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールである
は、プロパン−2,3−ジオールであり、Rは、メチルであり、Rは、水素、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールであるか;
は、プロパン−2,3−ジオールであり、Rは、エチルであり、Rは、水素、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールであるか;
は、プロパン−2,3−ジオールであり、Rは、2−ヒドロキシエチルであり、Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールであるか;
は、プロパン−2,3−ジオールであり、Rは、プロパン−2,3−ジオールであり、Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールである;
を有する、該工程を含む方法。
【請求項2】
前記吸収剤水溶液が、約0.1重量%〜90重量%の前記第1アミン化合物を含み、加えて、約1重量%〜90重量%の第2アミン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸収剤水溶液が、約0.1重量%〜50重量%の前記第1アミン化合物を含み、加えて、約5重量%〜50重量%の第2アミン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸性ガスが、CO、HS、メルカプタン化合物、COS、CS、およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上のガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が、ピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、3−(ピペラジン−1−イル)プロパン−1,2−ジオール、3,3’−(ピペラジン−1,4−ジイル)ビス(プロパン−1,2−ジオール)およびこれらの混合物からなる群から選択されるピペラジン化合物を含む第2アミン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収剤水溶液が、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、2−メチルアミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、2−ジメチルアミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールおよびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む第2アミン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収剤水溶液が酸を付加的に含み、前記酸が、ホウ酸、塩酸、硫酸、リン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化炭化水素ストリームの処理のためのプロセスに概して関する。より詳細には、本発明は、3−(アミノ)プロパン−1,2−ジオール化合物を用いて液体天然ガス(NGL)または液体石油ガス(LPG)ストリームなどの液体炭化水素から酸性ガスを除去するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体石油ガス(LPG)または液体天然ガス(NGL)などの液化炭化水素ガスは、暖房器具および車両における燃料として用いられる炭化水素ガスの可燃性混合物である。液化炭化水素ガスは、オゾン層へのダメージを低減するための取り組みにおいてクロロフルオロカーボンに取って代わるエアゾール噴射剤および冷媒として用いられることが多くなっている。
【0003】
LPGは、石油または「湿式」天然ガスの精製によって合成され、ほぼ全体が化石燃料源に由来し、石油(原油)の精製の間に製造されるか、または石油または天然ガスストリームが地中から現れる際にそれらから抽出される。
【0004】
液化炭化水素は、常温常圧で迅速に蒸発することがあり、通常は、加圧型の鋼ガスシリンダーにおいて供給される。これらの容器は、典型的には容量の80%〜85%まで満たされて、含有液体の熱膨張を可能にする。気化ガスの体積と液化ガスの体積の比は、組成、圧力および温度に応じて変動するが、典型的には約250:1である。
【0005】
液化炭化水素ガスは、種々の酸性のガス状の汚染物質、例えば、硫化水素、種々のメルカプタンおよび他の様々な硫黄化合物、二酸化炭素、ならびに硫化カルボニル(COS)を含有する場合が多い。かかる汚染物質は、ガスまたは液体炭化水素ストリームを1種以上のアミンの水溶液と接触させることによって成功裏に除去され得ることがガス処理業界において周知である。アミン水溶液は、特定の酸性ガスを吸収するその能力において、選択的であっても非選択的であってもよい。
【0006】
かかる吸収の後、酸性化合物は、プロセスにおいてアミン化合物が失われた可能性がある範囲までを除き、アミンからストリップされ、該アミンが系に戻される。理論的には、多くの種々のアミンが酸性ガスの除去にある程度の有用性を示すであろうとされている。しかしながら、実際問題として、実際に商用化されているアミンは、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、およびジイソプロパノールアミン(DIPA)である。
【0007】
例えば、MDEA/DIPA混合物の使用は、HSを除去する目的で報告されている(米国特許第4,808,765号)。
【0008】
液化炭化水素ガスの処理は、アミンがこれらのガスにかなり可溶性であり、その結果、失われたアミンを補う必要性に起因する相応の経済的ペナルティをもたらす傾向にあるという点で、特定の問題を提起する。多くの精製所では、液化炭化水素ガスから酸性不純物を除去するのに水性DIPAまたはMDEAが用いられている。しかしながら、これらのアミンの濃度は、該アミンがプロセスに供給される水性ストリームの約20〜35重量%の範囲に典型的には限定される。より高濃度での操作は、容量の理由では望ましいが、一般には、望ましくない高レベルの、アミンを含む液化炭化水素ガス汚染物質を生じる。
【0009】
この問題は、損傷した(すなわち、高度に不飽和の)LPGを処理する精製所において特に深刻である。多くの場合、MDEAの損失率は、MDEAをDEAに置き換えるための経済的正当化を否認するのに十分である。アミンを置き換えるコストが高いことに加えて、専用の修復装置が必要とされ、金銭的な負担が増大する。米国特許第5,326,385号;同第5,877,386号;および同第6,344,949号は、いずれも、酸性ガスを除去する種々のプロセスを通した、LPGのある種の「スイートニング」を教示している。さらに、米国特許第4,959,086号は、アミン化合物の異性体を用いて硫化水素を天然ガスから除去している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの公報は、液化炭化水素ガスを「スイートニング」する際に起こるアミン吸収に関する問題に対する合理的な解決策を提示するが、同時にアミン酸プロセスにおける改善を可能にする。液化炭化水素ガスへの溶解性に起因して失われるアミンの量をなお最小にしながら、液化炭化水素ガス系の循環において有効アミン濃度を最大にするアミン組成物を有することが高度に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、アミン種の損失を最小にしながら、酸性ガスを含む液化炭化水素を処理して酸性ガスを除去するための方法が提供される。該方法は、液化炭化水素を第1アミン化合物の吸収剤水溶液と接触させる工程において、第1アミン化合物が構造:
【化1】
式中、Rは、プロパン−2,3−ジオールであり;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、またはプロパン−2,3−ジオールであり;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールである;
を有する、該工程を含む。
【0012】
メチルジエタノールアミン(MDEA)などの常套的なアルカノールアミンの水溶液を用いて、液/液プロセスにおいて液化石油ガスを処理するとき、経時的に、重要なアミン損失に遭遇する可能性がある。ヒドロキシル基の存在は、分子の疎油性を改善することによってかかる損失を低減することにおいて重要であることが分かっている。そのため、3個のヒドロキシル基を組み込んだトリエタノールアミン(TEA)は、MDEAの水溶液が酸性ガス除去の性能および能力の点においてTEAの水溶液よりも優れていることが分かっていても、依然として最適な分子である。MDEAとTEAとの間の性能および能力の差は、MDEAでは8.7、TEAでは7.9であるそれぞれのpKaによって反映される塩基強度の差によって主に影響される。
【0013】
そのため、TEAと同等またはより優れた塩基強度(すなわち、pKa)と共に低分子量を維持しながら、MDEAと比較して数多くのヒドロキシル基および/または窒素−水素結合を組み込んだアルカノールアミン構造は、液/液プロセスにおいて液化石油ガスを処理するための理想的な候補である。
【0014】
プロパンジオール部位をアルカノールアミン構造に組み込むことで、ヒドロキシエチル部位を組み込んだ同等のアルカノールアミン構造(すなわち、常套的なエトキシ化アルカノールアミン)と比較して、炭化水素ストリームへの溶解度を低減することが可能になる。ヒドロキシル基をさらに組み込んだアミンの塩基強度は、常套的なエトキシ化アルカノールアミンと比較して改変されない。なぜなら、同じ窒素置換基における1個を超えるヒドロキシル基の存在によって生ずる誘導効果が、累積しないからである。
【0015】
また、これらの構造の大部分は、以下に示すグリシドールエポキシドまたは3−クロロ−1,2−プロパンジオールとアンモニア、メチルアミンまたはジメチルアミンとの間の簡単な反応によって達成され得る。
【化2】
【0016】
本開示の目的では、液化炭化水素は、約C〜C20、好ましくは約C〜C12、より好ましくは約C〜Cのサイズ範囲にある、飽和あるいは不飽和であってもよく、分枝あるいは非分枝であってもよい低分子量の炭化水素、例えば、LPGもしくはNGL、またはこれらの混合物などである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、pKa値に対してプロットした、MDEAと比較した試験アミンの比溶解度のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概して、本発明は、アミン種の損失を最小にしながら酸性ガスを除去することを含む、液化炭化水素を処理するための方法である。該方法は、液化炭化水素を第1アミン化合物の吸収剤水溶液と接触させる工程において、第1アミン化合物が構造:
【化3】
式中、Rは、プロパン−2,3−ジオールであり;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、またはプロパン−2,3−ジオールであり;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールである;
を有する、該工程を含む。
【0019】
従来技術において一般的に用いられているアミンの基本的な不利点は、LPGへの溶解度が比較的高いことである。本発明は、より低いLPG溶解度を有するアミン化合物を提供することによってこの課題に対処する。
【0020】
大部分の精製所は、アミン含有水性処理組成物の約35重量%以下の全アミン濃度で操作する。約40重量%、好ましくは約50重量%以上の全アミンでの操作が望ましい。なぜなら、高強度の溶液が、低コストでのさらなる酸性ガス除去能を提供するからである。また、原油中の硫黄濃度は、したがって将来上昇するようである。
【0021】
したがって、生産を維持または増大するために、精製所は、平均して、より多くの硫黄を処理/除去しなければならない。にもかかわらず、高濃度ではアミンの損失が増大するため、約35%のレベルを超えて操作することは経済的に実現不可能であるが多かった。本発明の一利点は、精製所が、本来なら被る高いアミン置換コストを掛けることなく、より高い全アミン強度で経済的に操作することを可能にすることである。
【0022】
概して、本発明のプロセスにおいて用いられる化合物は、構造:
【化4】
式中、Rは、プロパン−2,3−ジオールであり;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、またはプロパン−2,3−ジオール;Rは、水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたはプロパン−2,3−ジオールである;を有する。有用なアミンアミノプロパンジオール化合物として、限定されないが以下が挙げられる:
【化5】
【0023】
上記に列挙したこれらの化合物は、第1アミンを含んで個々にまたは混合して用いられて、酸性ガスを未処理のLPGからスイートニングまたは除去することができる。概して、第1アミン化合物は、当業者に公知のあらゆる手段によって合成されてもよい。また、これらの構造の大部分は、以下に示すグリシドールエポキシドまたは3−クロロ−1,2−プロパンジオールとアンモニア、メチルアミンジメチルアミン、または2−(メチルアミノ)エタノールとの間の簡単な反応によって合成され得る。
【化6】
【0024】
LPGのスイートニングに用いられる該水溶液は、本発明のプロセスにおいて用いられる第1アミン化合物に加えて、第2アミン化合物を含んでいてもよい。第2アミン化合物として有用なアミン化合物として、トリスアミン化合物、例えば、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、2−メチルアミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、2−ジメチルアミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、またはこれらの混合物;ピペラジン化合物、例えば、3−(ピペラジン−1−イル)プロパン−1,2−ジオール、3,3’−(ピペラジン−1,4−ジイル)ビス(プロパン−1,2−ジオール)、またはこれらの混合物;アルキルアミン、例えば、モノエタンアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンおよびこれらの混合物;ならびに上記に列挙したこれらの種の各々における化合物の混合物が挙げられる。
【0025】
処理の方法
本発明のプロセスは、通常の液体−液体接触装置において、LPGを、3−アミノプロパン−1,2−ジオール化合物混合物と、かかる装置の通常の制限内の操作条件下に接触させることによって容易に実現され得る。一部の最適化条件は、当業者の範囲内にあって、好適に行われるはずであり、アミン溶解度の損失の低減が、既存の操作条件においても経験されるであろうことが期待されよう。そのため、本発明のさらなる利点は、装置、充填、操作条件などにおいて大幅な置換または変更を必要としないことである。したがって、本発明は、さらなる酸性ガス除去容量を必要とするが、高価な資本的拡張への支払いをしたくない精製所にとって特に利益がある。
【0026】
本発明の別の利点は、操作パラメータが、狭く厳密でないことである。一般的なガイドラインでは、系における濃度が高いほど、アミン損失が大きいと言うことができる。代表的な濃度は、以下の表に見られる。濃度について具体的な上限は知られていないが、HSの適切でない除去などの操作的な問題を回避するために、該濃度は、アミン混合物の約95重量%以下に保持し、残りが水であることが示唆されている。所与の系の使用可能な最高濃度を決定するのに有用なアプローチは、問題が検出されるまで含有量を徐々に増大させ、次いでかかる問題が消失するまで濃度について減少させることである。
【0027】
同様に、必要な最低濃度は存在せず、この濃度は常套の実験の範囲内であり得る。しかしながら、濃度が少なくとも約5重量%であることが起点であると示唆されている。多くの場合において、有用な濃度範囲は、アミン混合物の約10〜約90重量%、好ましくは約25〜約75重量%、より好ましくは約35〜約65重量%であり、残りが水であるとされている。
【0028】
加えて、水性吸収剤組成物は、ホウ酸、硫酸、塩酸、リン酸、およびこれらの混合物などの酸を含んでいてもよい。酸の濃度は、0.1〜25重量%、最も好ましくは0.1〜12重量%で有効な量で変動し得る。酸の供給源は、酸性ガスが系から一旦ストリップされたときのアミン化合物の回収に有効である。
【0029】
含有するアミン混合物とLPGを接触させるための操作温度は、狭く厳密ではないが、通常は約50°F〜約190°F、好ましくは約70°F〜約160°F、より好ましくは約80°F〜約140°Fの範囲内である。
【0030】
一般に、溶解度の損失を最小にするには、より低温であることが好ましい。この点においては、多くの精製所があまり柔軟性を有していないため、アミン損失の大幅な低減が任意の所与の操作温度においてなされることが本発明の利点である。
【0031】
実施例
以下の実施例は、本発明の特徴の非限定的説明を提供する。
【0032】
ヘプタン(10g)、トルエン(0.1g)および試験アミン(2.5g)の溶液を、20℃で1時間混合する。混合物を15分間デカントし、純ヘプタン相を、内部標準としてトルエンを用いてガスクロマトグラフィによって分析する。注入を3回繰り返し、試験アミンのピーク面積を平均化する。結果を以下に提示する:
【表1】
【0033】
試験アミンのpKaを、自動Mettler Toledo滴定システムを用い、50重量%のアミン水溶液および0.5N塩酸を用いて記録した。結果を以下に提示する:
【表2】
【0034】
本発明を、上記明細書および図に開示しているように好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明から逸脱することなく、本発明の多くのさらなる実施形態が可能である。そのため、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって制限されるべきである。
図1