(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
加齢、日光露出、外傷、外科手術、遺伝などによって誘導され得る、皮膚欠損を修復または改善するための多くの要求が存在している。皮膚は加齢と共にその色合いおよび滑らかな手触りを失い、一般にしわおよび弛みが発生する。これはさらに、光損傷および他の影響、例えば、外傷からの瘢痕化、加齢に関連したしわおよび線条によって度合いを増す。老化した皮膚は、平坦化した真皮・上皮接合部、薄くなった表皮および真皮、線維状コラーゲンの減少、およびエラスチン組織化の変化によって特徴付けられる。皮膚再生処置は、これらの損傷した組織を除去し、および/または新たな健康なコラーゲン、弾性線維および皮膚細胞の成長を刺激するように作用し、それにより皮膚の外観を改善する。
【0004】
しわの外観の減少は多くの皮膚科手術および処置の目的である。特定の処置は、皮膚に電磁エネルギーを照射することによって皮膚の外観を改善するために使用され得、これにより、処置した皮膚の状態を改善する有益な反応が導かれ得る。皮膚再生のための一般的な手段、すなわち、レーザーリサーフェシングは、真皮上層を加熱し、損傷させるために光エネルギーを使用する。しかしながら、レーザーリサーフェシングは好ましくない副作用プロファイルを有し、多くの患者は長期の紅斑、瘢痕化および色素沈着異常を経験する。
【0005】
アブレイティブフラクショナル熱分解、またはフラクショナルリサーフェシングは、皮膚内で複数の微小な穴を蒸発させるためにエルビウムまたは二酸化炭素(CO
2)レーザーなどのレーザー光源を使用する処置である。このような穴の直径は、典型的に、約1mm未満、例えば、約300ミクロン未満であり、少しの出血またはほとんど出血せずに形成され得る。穴の深さは、典型的に、それらがヒトの真皮内またはヒトの真皮を通して深く延びるように約1〜3mmであり、これは真皮の厚さと同様である。健康な組織によって囲まれているこのような小さな穴は目に見える損傷または瘢痕化を生じずに急速に治癒する傾向がある。アブレーションまたは組織気化のプロセスは組織を取り除き、周囲のコラーゲン層を変性させる熱を生成する。コラーゲン内の原線維束は収縮し、皮層を締め付け得る。変性したコラーゲンもまた、治癒し得、他の熱損傷と共に、新たなコラーゲンの合成を刺激し、所望の美容の結果をもたらし得る。例えば、皮膚の収縮および締め付けは、しわの外観および皮膚の弛みを改善できる。このようなフラクショナルリサーフェシング処置は、方向優位性または偏りを有さずに皮膚の一般的な締め付けを生じる傾向がある。
【0006】
アブレイティブフラクショナル熱分解処置において穴によって覆われる皮膚表面の一部は、約50%の大きさであり得、典型的な表面被覆率は約10%〜30%の範囲である傾向がある。しかしながら、切除した組織のほとんどは治癒プロセスの間に黒くなる傾向があり、アブレイティブフラクショナル熱分解による処置後に皮膚領域の観察される減少は、取り除かれた表面組織の量に基づいた損傷結果より非常に小さい。さらに、わずかな量の収縮は均一になる傾向があり、方向性を有さない。したがって、アブレイティブフラクショナルリサーフェシングの間に皮膚を通して生成された多くの小さな穴は新たな皮膚組織でほぼ完全に充填されるので、皮膚のいくらかの硬さが観察され得るが、皮膚領域は多く減少しないようである。充填のこのプロセスは、フラクショナルレーザリサーフェシング後のヒトの皮膚の組織学的研究において観察されている。
【0007】
また、熱損傷した組織の小さな「カフ(cuff)」または層が、フラクショナルアブレイティブレーザーリサーフェシングまたは皮膚組織のレーザーアブレーションに関する他の手段の間に生成された微小な穴付近で存在することが観察される。この層は、機構的に硬く、破壊するのが難しく、切除した穴の閉鎖を阻害し得る。次いで穴は流体で満たされ、切除した後に他の組織滲出液が発生し、組織面積の収縮の程度をさらに制限し得る。
【0008】
多くのしわは、目尻もしくは口角から横方向に延びるか、または顎の下の首に沿うなどの一般的な向きで身体の特定の部分に存在する傾向にある。皮膚の方向性のある収縮は、適切な形状で皮膚の伸びた領域を除去し、次いで特定の方向に皮膚を「引っ張って」戻す(例えば縫合糸を用いて)ように残りの皮膚の端部を結合することによって達成され得る。従来の美容整形に使用されるこのような手段は、注意深く位置付けしなければならない大きな傷跡を生じ、大規模な除去に反応するいくつかの不自然に見える収縮および皮膚の再配置を生じ得る。顔または首自体における皮膚が、皮膚の面積を減少させるための1つ以上の位置方向を優先して、目に見える瘢痕を有さずに皮膚の面積を減少させるように除去され得る場合、望ましくない弛みまたは余剰な皮膚を除去しながら、より自然な外観がもたらされる。
【0009】
例えば、数ミリメートル幅のオーダーで皮膚のより小さな部分を除去し、皮膚面積の十分に制御された減少をもたらすように、生じた穴を縫合糸などにより閉鎖することが提案されている。このような穴は、これらの離れた端部を近づけることによって閉鎖を促し、それらが崩壊する場合に折れ(dog−ear)の形成を回避するように細長くするべきである(例えば、レンズ状または楕円形)。しかしながら、このような穴は、治癒される場合、目に見える跡を生じるほどに十分に大きく、完全な治癒時間は数週間を必要とし得る。さらに、このような穴の閉鎖は、接近しているとしても個々の縫合または手動などの操作、その後、治癒するまで穴を閉鎖した状態を維持するためにシアノアクリレート接着剤などの接着コーティングの塗布を必要とする高い技術の手段である。このような穴の閉鎖の手段は、時間がかかり、目に見える瘢痕を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、視覚的に自然に見えることができ、比較的簡単で、丈夫で安全な美容方法およびシステムについての必要性および上記のこのような例示的な不備の少なくともいくつかを克服し、目に見える瘢痕を引き起こさずに皮膚表面積の方向性のある減少を導く生体組織の一部の損傷を生じるように構成され得る美容方法およびシステムについての必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、アブレーションレーザーもしくは他のアブレーション電磁放射線、または光学エネルギーを使用して、皮膚などの生体組織において、複数の小さな穴、例えば、微小領域の損傷を生じるため、ならびに改善され得るおよび/または特定のもしくは好ましい方向を有する皮膚領域の美容的に望ましい皮膚の減少を生じるように処置される皮膚を扱うための安全な美容方法およびシステムの例示的な実施形態に関する。このような例示的な穴は、例えば、組織表面に沿って測定して約0.2mm〜0.7mm、または好ましくは約0.2mm〜0.5mmである幅または直径を有してもよい。このような穴は、好ましくは真皮の大部分、または真皮の厚さ全体を通して皮膚表面から真皮内に延び得る。処置領域内のこのような穴の形成によって除去される皮膚の一部の面積は約5%〜50%または約10%〜30%であってもよい。このサブミリサイズ範囲および面積範囲においてあけられた穴の形成は、瘢痕化、感染または他の合併症について最小の危険性で身体に良好な耐容性を示す。
【0012】
本開示の特定の例示的な実施形態において、光エネルギーが生体組織に穴をあける(アブレーションする)のに十分な強度で、例えば、1つ以上の平行または焦点ビームの形態で光エネルギーを、処置される皮膚の領域内の複数の位置に誘導することによって穴は形成されてもよい。形成される穴のサイズおよび深さは、各位置に誘導される全エネルギーまたはフルエンス、使用される光エネルギーの波長、ビーム幅または直径、特定の位置へのエネルギー適用の持続時間などを含む、種々のパラメータによって制御されてもよい。
【0013】
アブレーション光エネルギーは、生体組織に穴をあけるのに十分な強度および適切な波長のエネルギーを生成できるレーザーまたは他のソースによって提供されてもよい。特定の例示的な実施形態において、レーザーは、CO
2レーザー、エルビウムレーザー、例えばEr:YAGレーザー、またはエキシマーレーザーであってもよい。
【0014】
本開示の特定のさらなる例示的な実施形態において、穴があけられている間、光学的に透明なプレートまたはウインドウが処置領域の少なくとも一部に対して押圧され得る。このようなウインドウは、アブレーションの間に形成される副産物が穴から出ていくことを防ぐまたは抑制することによって、あけられた穴の周囲に形成し得るあらゆる熱によるカフの機械的または他の破壊を促進できる。
【0015】
上記のように皮膚の領域内に複数の穴をあけ、次いで、後の治癒プロセスの間、全体的に皮膚の表面に沿った方向において引張および/または圧縮応力を処置領域に付与することを含み得る、本開示に係る美容方法の例示的な実施形態が提供され得る。このような応力は、処置領域における全体の減少を改善でき、および/または生じる収縮に対して方向性のあるバイアスを提供できる。穴が実質的に閉鎖されるまで、および/または組織再成長が効果的に修復されるまで、例えば、約4〜6日またはそれ以上、付与された応力は処置領域において維持され得る。特定の例示的な実施形態において、この期間は、穴の閉鎖を促進するために組織接着剤、付着剤などが使用される場合、例えば、数分または数時間のオーダーでさらに短くてもよい。
【0016】
本開示の1つの例示的な実施形態によれば、穴が形成された後、予め伸張したフィルムまたは熱収縮するフィルムが処置領域の表面に接着され得る。生じる圧縮応力は、付与される応力の方向において穴の閉鎖を促進でき、および/または小さな穴の周囲の組織における治癒反応の一部として成長または発達するコラーゲンまたは他の構造の配向に影響を与え得る。硬質のフィルム、プレートまたは他の物体が、最初の治癒プロセスの間、処置領域の機械的安定性を提供し、変形を維持するために伸張したフィルムの上に任意に接着されてもよい。
【0017】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、圧縮応力は、1つ以上の外科用ステープル、弾性クリップおよび/または縫合糸を領域に適用することによって皮膚の処置領域において生成されてもよい。ステープルおよび/または縫合糸は、好ましくは、それらが、形成された穴のいくつか、任意に処置領域全体に及ぶように大きい。特定の実施形態において、複数のステープルまたは縫合糸は、応力を付与されずに同様に処置された領域と比較して、処置領域の穴の閉鎖および収縮全体を改善できる全方向性の圧縮応力を提供するために、異なる配向で単一領域に適用されてもよい。
【0018】
本開示の他の例示的な実施形態によれば、圧縮応力は、穴が皮膚表面に形成された後に、収縮性材料を皮膚表面に適用することによって生成されてもよい。収縮性材料は、例えば、皮膚表面に接着され、次いで加熱される熱収縮するフィルム、形成、硬化、または時間が経つなどにより、サイズを減少する接着フィルムを形成するために重合または反応できる液体層を含んでもよい。
【0019】
他の例示的な実施形態において、光活性化接着剤が処置領域の表面に塗布されてもよく、接着剤を活性化するために光エネルギーを領域に誘導しながら、圧縮応力または引張応力が領域において生成されてもよい。光活性化接着剤は、例えば、ローズベンガルまたは当該分野において公知の任意の他の光活性化生体接着剤を含んでもよい。
【0020】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、引張応力は、皮膚表面に沿った1つ以上の方向において処置領域を伸張することによって皮膚の処置領域において生成されてもよく、これにより、付与される引張応力の方向に直交する方向において穴の閉鎖および収縮を促進できる。このような引張応力は手動で生成されてもよく、次いで、例えば、硬質フィルム、プレートまたは他の物体を皮膚の伸張領域に接着することによって維持されてもよい。
【0021】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、本明細書に記載されるように皮膚または他の生体組織の処置領域において複数の小さな穴をあけるように構成または適合される、光エネルギー源、例えば、アブレーションレーザー、および光学装置を備える、皮膚の領域において複数の穴を生成するためのシステムが提供され得る。例示的なシステムは、穴が形成されている状態で、処置領域に対して押圧され得る光学的に透明なプレートまたはウインドウを備えてもよい。このようなウインドウは、アブレーションの間に形成された副産物が穴から出ていくことを防ぐまたは抑制することによって、あけられた穴の周囲に形成し得るあらゆる熱によるカフの破壊を促進できる。例えば、このウインドウは、高温蒸発副産物の形成を生じるあけられた穴において高い圧力を生成(または生成を促進)でき、あけられた穴における圧力は周囲の硬質の熱によるカフの機械的破壊を引き起こし得る。
【0022】
本開示の特定の例示的な実施形態において、皮膚または組織表面と接触するように適合、構成または構造化されるウインドウの下面は平らであり得る。本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、この下面は、円形、例えば、円筒形、球形または楕円形であってもよい。このような円形または湾曲した形状は、例えば、光エネルギーが、ウインドウの接触領域の真下の処置領域内の位置に誘導される場合、穴があけられる位置に対する圧力の付与を促進できる。
【0023】
例示的なシステムは、穴が形成された後、処置領域を変形するために圧縮デバイスまたは物質を適用できる圧縮装置をさらに備えてもよい。例えば、圧縮装置は、外科用ステープラー、縫合デバイス、弾性クリップ装置、伸張したフィルム、硬化/収縮性液体などを処置領域上、内または処置領域に隣接して適用できるアプリケーターを備えてもよい。
【0024】
本明細書に記載される例示的な実施形態は美容方法および装置に関する。本明細書に記載される美容方法は試験され、美容室または他の環境で実施できる安全で所定の手段であることがさらに留意されるべきである。提示される例示的な方法は低侵襲性法である。さらに、例示的な方法は、実体のある健康リスクを示さず、実施するのに医学の専門知識を必要としないので安全であり得る。本明細書に記載される方法の例示的な実施形態に係る手段のいずれかを実施するのに臨床医は必要とされず、処置される人に存在する危険性がほとんどまたは全くなく、危険性はかなり低い。標準的な清浄および殺菌手段が利用される場合、前記美容方法は以下の説明から明らかになるであろう。
【0025】
相乗効果が本明細書に記載される特徴および実施形態の異なる組み合わせから生じ得るが、全てのこのような組み合わせは詳細に記載していない。さらに、本開示の例示的な実施形態に係る方法またはシステムに関する本開示の全ての実施形態は、記載される通りの工程または手段の順序で実施され得るが、これは方法およびシステムの手段の工程の唯一で必須の順序ではないことに留意されるべきである。全ておよび任意の異なる順序ならびに工程および手段の組み合わせが共に記載される。
【0026】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0027】
本開示のさらなる目的、特徴および利点は、本開示の例示的な実施形態、結果および/または特徴を示す添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を通して、同じ参照番号および文字は、他に記載されない限り、例示した実施形態の同様の特徴、要素、成分または部分を示すために使用される。したがって、同様の特徴は同じ参照番号によって記載され得、異なる実施形態間の特徴の交換が、他に明示的に記載されない限り、行われてもよいことは当業者の読者に示される。さらに、本開示をここで図面を参照して詳細に記載するが、これは例示的な実施形態に関連してこのように行われ、図面に例示した特定の実施形態に限定されるわけではない。変更および修飾が、添付の特許請求の範囲によって定義されている本開示の真の範囲および精神から逸脱せずに、記載された実施形態に対してなされてもよいことは意図される。
【0030】
本開示の例示的な実施形態は、目に見える瘢痕を生じずに、改善したおよび/または局所的に方向性のある皮膚表面積の減少をもたらし得る、任意に例示的な方向において、アブレイティブフラクショナルリサーフェシング手段または同様の手段によって生成される複数の小さな皮膚の穴を閉鎖するための美容的方法および装置に関する。
【0031】
本開示の特定の例示的な実施形態によれば、
図1の上面図に示される穴100などの複数の小さな穴100が、以下により詳細に記載されている、指向性光エネルギーを使用した切除(アブレーション)手段によって形成され得る。穴100の幅または直径は、200ミクロン〜700ミクロン、または好ましくは200ミクロン〜500ミクロンであってもよい。穴のサイズは、穴をあけるために使用される平行または集中的アブレーション放射線(例えば、光エネルギー)のビームの直径またはサイズによって決定され得る。小さなサイズのこのような穴は、周囲組織治癒の後の目に見える跡または瘢痕の形成を回避できる。このサイズの範囲の穴の形成はまた、形成される損傷領域が非常に小さいため、および迅速な治癒を促進する損傷していない隣接組織の存在のために耐容性良好であり、安全である。
【0032】
図1Aに示される穴100は実質的に円形である。他の穴の形状は、細長い、楕円形、またはレンズ状の穴100などの本開示の特定の例示的な実施形態に従って形成されてもよい。例えば、穴100は、
図1Cに示されたものと同様に断面が卵形であってもよい。さらなる例示的な実施形態において、穴100は、例えば、
図1Dに示されるもののようなレンズ形状を有してもよい。例えば、レンズ状の穴100のアスペクト比は、例えば、約3:1であってもよく、湾曲した側部が交わる角度は約30度であってもよい。この比(またはこれに近いアスペクト比)および形状は、周囲組織における関連した応力または変形を減少させることによって穴100の閉鎖を容易にできる。軟組織に形成される実際のレンズ状の穴100の形状は正確に滑らかな端部および鋭い角を有し得ないが、
図4Bに示したものに近い穴の形状が、それらが治癒するにつれて、形成された穴の閉鎖を促し得る。
【0033】
1つの例示的な実施形態において、
図1Cおよび1Dに示されているもののような細長い穴100は、組織を一方向に伸張し、次いで例えば、実質的に円形断面を有するアブレーション放射線のビーム220(例えば光エネルギーのビーム)、または同様の装置もしくは技術を使用して組織内に穴100を形成ことによって組織内に形成され得る。組織を弛緩させると、穴100はそんなに丸くならない。さらなる例示的な実施形態において、放射線ビーム220は組織内に非円形の穴100を生成するような形状であってもよい。例えば、ビーム220は、1つ以上のレンズ(例えば、円柱レンズ)またはビーム220の断面形状を変化させることができる他の光学装置を通して方向付けられてもよい。さらなる例示的な実施形態において、ビーム220は小さな直径(例えば、100ミクロン未満)を有してもよく、所望の形状を有する穴100をあけるためにビーム220を走査または誘導するために変換装置が設けられてもよい。
【0034】
一般に、穴100の正確な形状は重要および/または必須でなくてもよく、後の方向性のある収縮または閉鎖作用に有意に影響を与えなくてもよい。なぜなら、小さなサイズのスケール(例えば、0.7mm未満)は、それらが一緒に閉鎖し、治癒する場合、「折れ(dog year)」または不均衡などの望ましくない効果を生じずに任意の所望の方向で穴の端部の接近を容易にできるからである。
【0035】
熱により損傷した組織110の例示的な層または「カフ」もまた、
図1Aに示される。この層の厚さは通常、使用されるレーザーおよびアブレーション条件の種類に応じて約150ミクロン未満であり、それは機械的に硬質であり得る。穴100の側面図は
図1Bに示され、その図において穴は表皮120を通して真皮125内に延びる。カフ110は、皮膚の下でさえ穴表面の大部分または全てを囲み、アブレーションプロセスの間に形成される。
【0036】
従来のアブレーションフラクショナル熱分解手段の間、蒸気および/または他の蒸発物質が、組織による放射線エネルギーの迅速な吸収から生成され得る。これらの蒸発した副産物は、典型的に、それらが組織の加熱の間、急速に伸びるので、穴100から自由に放出または排出される。
【0037】
カフ110はフラクショナル熱分解手段の後に穴100の閉鎖を抑制し得るので、このような硬質の連続層に囲まれない穴100を生成することが望まれ得る。本開示の一実施形態において、透明なプレート200が
図2Aに示されるように皮膚210の表面上に提供され得る。アブレーション放射線のビーム220は、穴100を形成するためにプレート200を通して皮膚210の処置領域の特定の位置の上に誘導され得る。
【0038】
プレート200は、特定の種類のアブレーション放射線または加えられる光エネルギーに対して実質的に透過性である(例えば、低い吸収係数を示す)材料から形成され得る。例えば、セレン化亜鉛(ZnSe)は、約10,600nmの波長を有する、典型的なCO
2レーザーによって生成される電磁放射線に対して実質的に透過性である。特定の実施形態に使用され得る別の材料はゲルマニウムである。さらなる例示的な実施形態において、サファイアから作製されるプレートまたはウインドウ200は、約2,940nmの波長を有する放射線を放射するエルビウムアルブレーションレーザーと共に使用され得る。プレート200を形成するために他の材料が使用されてもよく、アブレーション手段のために使用されるアブレーション放射線220の特性(例えば、このような放射線220の波長)に基づいて選択されてもよい。
【0039】
プレート200は、蒸発物質225が穴100の上部を通して出ていくことを抑制または防止するのに十分な圧力で皮膚表面上に保持または維持され得る。したがって、蒸発物質225は、それらの膨張によりプレート200によって遮断される穴100内の圧力が増加するので、例えば、
図2Aの矢印によって示されるように、穴の側面を通して組織210内に、より深く進まされ得る。抑制された蒸発物質225は、典型的にアブレーションプロセスの間に形成される熱により損傷した層110を破壊および/または分解し得る。本明細書に記載されるように、形成された蒸発副産物が穴100の上部から出ていくのを抑制しながら、プレート200は、例えば、組織210内に小さな穴100をあけるように構成される装置として、ハンドピースまたはハウジング内にアブレーション放射線源または光ファイバー送達装置などの光学装置と一緒に提供されてもよい。
【0040】
例えば、プレート200が組織表面上に保持されている組織(例えば皮膚)210のアブレーションによって生成される微細な穴100は、
図2Bに示されているものなどの不規則な形状を有し得る。例えば、
図1Aに示すような皮膚組織内の穴100の抑制されていないアブレーションの間に形成され得る物質110の実質的に均一なカフとは異なり、
図2Bに示される熱により損傷した物質110は、より不規則な形状、様々な厚さを有し得、穴周囲の部分に沿って分解または消滅できる。穴100の端部周囲の熱により損傷した物質110の連続カフの欠如は、形成された後の穴100の閉鎖を容易にでき、本明細書に記載されるように皮膚組織の収縮の増加を導く。
【0041】
さらなる例示的な実施形態によれば、処置領域と接触するプレート200の下面の形状は、例えば、円筒形、球形、楕円形または卵形である局所的形状を有して湾曲していてもよい。あるいは、プレート200は組織表面の局所形状に合うように構成される外形で形成されてもよい。プレート200はアブレーション放射線源の方を向いている平らな面を有してもよい。組織表面と接触する円形表面を提供する他のプレート形状が使用されてもよい。例えば、プレート200は組織表面上で回転され得る円筒ローラーとして提供されてもよく、一方、放射線ビーム220は、接触点の下の穴をあけるためにローラー面と接触する組織内に誘導される。
【0042】
このような非平面プレート形状は、熱により損傷した組織110の連続した硬質のカフの形成を破壊するために、本明細書に記載されるように形成される穴100内の圧力上昇を促す圧縮力を組織表面に提供できる。湾曲した表面はまた、平らな上面を有する円筒形または半円筒形の長手方向軸に垂直な方向において表面に近接する組織のある程度の伸張を提供できる。放射線ビーム220は、穴100の列を形成するように組織表面と接触する円筒形の長手方向軸に沿って走査されてもよい。円筒およびビーム220は、例えば、穴100の複数の列を生成し、組織内のあけられた穴100の全体の分布を形成するために、円筒の長手方向軸に垂直な方向において組織の表面に沿って移動できる。プレート200が組織から除去され、組織が弛緩できる場合、円形断面を有するアブレーションビーム220を使用して形成されるとしても、このように形成される穴100は細長くなり得る。
【0043】
なおさらなる例示的な実施形態において、パターン化されたマスクが提供されてもよく、放射線エネルギー(例えば、広帯域レーザービームまたは他のアブレーション光エネルギー)がマスク上で走査されてもよく、それにより穴100は、開口に近似した形状でマスク内の開口の下の皮膚組織内にあけられ得る。マスクは、例えば、プレート200の上面または下面に提供されてもよく、処置される組織の上で走査される放射線ビーム220の部分を遮断する他の構成で提供されてもよい。
【0044】
穴100をあけるために使用されるレーザーの種類は、形成し得る熱によるカフ110の範囲に影響を与え得る。例えば、従来のCO
2レーザーは、穴の閉鎖を妨げ得る熱によるカフ110を生成し得る。したがって、例えば、あけられた穴100の周囲に形成できる任意のこのような熱によるカフ110を破壊するために、
図2Aに示したように光学的に透明なプレート200を使用することが好まれ得る。特定の例示的な実施形態において、エルビウムレーザー、例えばEr:YAGレーザーが穴をあけるために使用されてもよい。エルビウムレーザーは、CO
2レーザーと比較して、より小さな熱によるカフ110を端部に生成しながら、組織を切除できる。さらなる例示的な実施形態によれば、エキシマーレーザーまたはフェムト秒アブレーションレーザーが穴100を形成するために使用されてもよい。このようなレーザーは、例えば、CO
2レーザーと比較して、さらに小さいまたはごくわずかな熱によるカフ110を形成しながら穴100を切除できる。本明細書に記載されているように穴100を切除する場合、プレート200の使用は、熱によるカフ110の存在によって抑制され得る穴の閉鎖および治癒プロセスを改善できる。
【0045】
本開示の特定の例示的な実施形態において、処置領域は、穴100の切除形成の前および/または間に冷却されてもよい。冷却は、当該分野において公知の任意の方法を使用して、例えば、穴100の切除の前に処置領域の表面を冷却するために冷却スプレーを使用して、アブレーションプロセスの前および/または間に処置領域の表面に冷却プレートまたは他の物体を適用することなどにより達成されてもよい。皮膚組織のこのような例示的な冷却は、別様の同様の条件下での冷却していない組織の切除と比較して、形成し得る熱によるカフ110のサイズまたは厚さを減少できる。
【0046】
本開示の特定の例示的な実施形態によれば、切除される表面積の部分が、通常、約5%から50%、例えば約10%から30%であるように複数の穴100が形成できる。穴100は、ランダムに、または種々のパターンで形成されてもよい。例えば、
図1Eおよび1Fに示されるように、ずらした列のパターンの皮膚または他の組織内の切除した穴100は、治癒の間の穴100の閉鎖を容易にできる。穴100のこのパターン、または穴100の任意の他の所望のパターンもしくは配置は、種々の技術を使用して形成されてもよい。例えば、穴100は、穴100の所望のパターンを形成するために従来の光走査装置を使用して走査しながら適切な時間にビームをパルスするように提供される制御装置を用いて列に沿ってパルスレーザービームを走査することによって形成されてもよい。あるいは、所望の切除または穴のパターンの形状を有するマスクが本明細書に記載されているように提供されてもよい。特定の実施形態において、穴の空間分布は実質的にランダムであってもよい。
【0047】
穴100の密度および/または近接性もまた、処置される組織の異なる領域において変更されてもよい。例えば、穴100は、特定の処置される領域の周囲領域または端部においてさらに間隔を空けられてもよい。除去される組織体積のこのような「フェザリング」は、周囲組織の処置領域および未処置領域内の収縮したまたは締められた皮膚の間の滑らかまたは段階的な移行を容易にできる。しかしながら、穴100のこのような「フェザリング」または密度勾配は処置領域上に連続した方向性のある収縮を得るのに特に重要でなくてもよい。なぜなら、多数の小さな穴100は、後の治癒プロセスの間の皮膚変形において勾配するように調整されてもよいからである。例えば、多数の中密度から高密度の微細な穴100は、各々の個々の穴100の閉鎖および治癒作用において非常に少しの局所的差異のみで収縮における微細な勾配に適応できる。このような例示的な勾配および方向性は、例えば、本明細書以下に記載されるように穴100が形成された後の処置領域の例示的な操作によって生成され得る。
【0048】
穴100が形成される処置領域の特定の形状およびサイズは任意であり、本明細書に記載される例示的な方法から有益であり得る皮膚の領域に基づいて選択されてもよい。このような例示的な方法は、本明細書に記載される美容効果を達成するために使用される多数のミリメートル未満の穴100のために、小さな領域(例えば、平方cmまたはそれ未満のオーダー)および大きな領域の両方に対して効果的であり得る。例えば、約5%から50%の局所的部分に生成される小さなサイズの穴100は、約1cmまたはそれ以上のサイズスケールで見た場合、このような穴100の実質的に均一な分散を提供できる。したがって、本明細書に記載される例示的な方法は、特定の処置領域内またはそれに隣接して生じ得る収縮の任意の勾配に十分に適応でき、任意の形状および範囲を有する処置領域に適用できる多数の小さな穴100の方向性のある閉鎖を含んでもよい。
【0049】
好ましくは、本明細書に記載される熱により損傷した組織110の連続した硬質のカフを有さずに穴100が皮膚または他の組織に形成された後、適切な横方向の力(例えば、圧縮力または引張力)を、治癒される処置領域内の組織に与えることによって穴100の閉鎖を促進することができる。このような例示的な力により、例えば、組織表面に近接する穴100の反対端の間の接触を促進でき、穴100が閉鎖した構成で治癒すると、組織の全体の収縮を増加できる。さらに、穴100の形成後の処置領域における全体の皮膚の収縮の異方性または方向性は、後の治癒または回復プロセスの間に特定の方向においてこのような力を付与することによって達成され得る。
【0050】
例えば、組織は
図1Eの矢印の方向において圧縮され得、穴100のずれた配置は、穴100の「締め付け(pinching)」または崩壊を容易にできる。穴100が完全または部分的に締め付けられて閉鎖される場合、穴100の間の組織における関連した変形またはストレスを低減させながら、隣接した列におけるオフセットした穴100の圧縮は、例えば、
図1Gに示されるように穴100の種々の列の閉鎖または崩壊を導き得るかまたは促進し得る。
【0051】
本開示の1つの例示的な実施形態において、伸張フィルム300が、処置領域内の組織表面に圧縮表面力を提供し、穴の閉鎖を促すために使用されてもよい。例えば、
図3Aに示されるように、フィルム300は矢印の方向に予め伸張されてもよい。伸張フィルム300は、次いで、
図3Bにおける処置領域の例示的な断面図に示されるように組織表面に接着されてもよい。予め伸張されたフィルム300は、次いで、
図3Bの矢印によって示されるように、組織表面に沿って方向性のある圧縮力を生成できる。この力は、穴の閉鎖および治癒プロセスの間の組織の増加した収縮を促すように、特に組織表面に近接して、穴100の端部を一緒に引っ張ることができる。例えば、組織表面における圧縮力の方向が、細長いまたはレンズ状の穴100の短い寸法の方向(例えば、
図1Eに示される例示的な構成の矢印の方向)を向くようにフィルム300は適用されてもよい。
【0052】
フィルム300を形成するために使用され得る材料としては、Tagaderm(商標)、別の伸張可能なポリマーなどが挙げられる。例えば、Tegaderm(商標)は接着特性を有し、約30〜40%まで伸張でき、次いで組織表面に塗布され得る。他の例示的なフィルム材料もまた、さらなる実施形態において使用されてもよい。このようなフィルムは接着表面に提供されてもよいか、または代替として、任意の適切な生体適合性付着剤、セメントもしくは接着剤を使用して組織表面に接着されてもよい。
【0053】
例えば、圧縮状態に保持されながら、皮膚組織の十分な治癒または回復を促すため、例えば、外力による圧縮方向における穴100の再開口もしくはコラーゲン膨張を最小化もしくは防ぐために、圧縮フィルム300は、数日間、例えば約4日以上、または約4〜6日間、組織表面上に維持され得る。
【0054】
さらなる例示的な実施形態において、安定化フィルム330(
図3Cに示される)、例えば非伸張フィルムまたは硬質プレートなどが、フィルム300が弛緩し、組織表面上で圧縮した後、フィルム300の上面に接着され得る。この安定化フィルム330は、圧縮状態を維持し、例えば、回復プロセスの間のフィルム300の弛緩を防ぐためまたは皮膚表面からのフィルム300の分離を防ぐために、治癒プロセスの間の圧縮組織のさらなるずれ(例えば、弛緩)を抑制するために圧縮組織表面に機械的安定性を提供できる。特定の例示的な実施形態において、安定化フィルムは、例えば、伸張フィルム300の上部に接着される代わりにまたは加えて、伸張フィルム300の端部を超えて処置領域周囲の皮膚表面に直接接着され得る。
【0055】
なおさらなる例示的な実施形態によれば、形成される穴100の閉鎖を促すように引張力が組織の表面領域に付与されてもよい。引張力は
図1Fに示される矢印の方向において組織に付与されてもよい。このような例示的な引張力は矢印の方向において組織を局所的に伸張でき、
図1Gにも示すように穴の側面を互いに接近および/または接触させることができる。穴のこのような狭窄は閉鎖および治癒を促すことができ、穴が治癒するにつれて、付与される引張力に直交する方向において組織の局所的に方向性のある収縮をもたらす。
【0056】
図1Fに示されるような例示的な引張力は種々の技術および/または装置のいずれかを使用して付与され得る。例えば、力は、例えば、処置領域周囲に隣接する処置領域の反対側で皮膚に対して指を押すことによって手動で付与されてもよい。次いで例えば、指接触点の間の組織の領域を伸張するために引張力を組織に付与するために指を広げてもよい。
図3Cに示したものと同様に、硬質または伸張できない接着フィルムまたはプレート330は、次いで、穴が治癒するにつれて組織の弛緩を抑制または防ぐために、(
図3Cに示されるように伸張フィルム300に接着されるのとは対照的に)伸張した組織表面に直接接触されてもよく、それにより伸張または引っ張られた状態に組織を維持する。さらなる実施形態において、広げることができる2つ以上の接触面、例えば、各々の先端の端部に平らな接触領域を有する鉗子などを含む装置が使用されてもよい。同様に、接触領域は組織に対して押されてもよく、次いで接触領域の間で組織を伸張するために機械的に離れてもよい。接触領域は、引張力が付与されると、皮膚または組織表面上の特定の位置との接触を維持するために、丸く、滑らず、および/または接触性の表面を備えてもよい。皮膚を局所的に伸張または変形するための他の例示的な技術もまた、本開示の例示的な実施形態と共に使用されてもよい。
【0057】
本開示の別の例示的な実施形態において、1つ以上の外科用ステープル400が、
図4Aおよび4Bにおける処置領域の例示的な断面図に示されるように処置領域に圧縮力を付与し、維持するために使用されてもよい。例示的な大きな外科用ステープル400(例えば、複数の穴100にわたって広がるのに十分に大きなステープル)が、
図4Aにおける処置領域上に配置される。
図4Bは挿入されたステープル400による処置領域の例示的な圧縮変形を示す。例示的なステープル400が皮膚の処置領域の全体的な圧縮を提供するために使用されてもよく、それにより
図4Bに示されるように、(典型的に外科用ステープルの従来の適用で行われる)単一の切開または創傷の2つの反対端が近接するのではなく、複数の穴100の端部が近接する。1つ以上の外科用ステープル400のこのような例示的な使用は、ステープル400による表面下の組織の一緒の固定および引っ張りのために、(
図3Bに示される)皮膚表面への伸張フィルム300の適用によって提供されるものと比較して、処置領域の表面下の皮膚の増加した圧縮を提供できる。
【0058】
別の例示的な実施形態において、
図4Cに示される引っ張りクリップ450が、処置領域に圧縮応力を付与し、維持するために使用されてもよい。クリップ450は、皮膚に挿入されるように構造化または構成され得る2つ以上の突起構成460を含んでもよい。例示的な突起構成460は、皮膚内への穿刺を容易にするようにそれらの遠位端に鋭点または端部を有してもよく、顕著に破壊または変形させずに以下に記載されるようにストレスを支持するのに十分に硬質または強力な任意の材料(例えば、金属または硬質プラスチックなど)から作製されてもよい。突起構成460は、ストラップ、コードなど(例えば、ゴムバンド、小さなバンジーコードなどと同様)として提供され得る、弾性材料470によって接続されてもよい。弾性材料470は伸張されてもよく、次いで突起構成460は、本明細書に記載されるように形成される穴を含む処置領域内および/またはそれに隣接する皮膚内に挿入されてもよい。次いで伸張した弾性材料470は、
図4Cの矢印によって示されるように、突起構成460に、それらの間に圧縮力を付与させ得る。この例示的な様式において、圧縮応力が、皮膚内に容易に挿入され、皮膚から取り出され得る引っ張りクリップ450を使用して処置領域の少なくとも一部の上に生成され、維持され得る。突起構成460および弾性材料470のサイズは、処置領域および/または応力が維持されるこのような領域の部分のサイズに基づいて選択され得る。
【0059】
特定の例示的な実施形態によれば、複数のステープル400および/または引っ張りクリップ450は、処置領域全体もしくはそれらの一部内および/またはそれらにわたって適用されてもよい。さらなる実施形態において、ステープル400および/または引っ張りクリップ450は、(例えば、穴100が形成された後、処置領域を圧縮しない従来のフラクショナル損傷手段と比較して)収縮の局所的な好ましい方向を変化させるため、および/または処置領域の増加した方向性のない収縮を提供するために処置領域上で、もしくは処置領域にわたって異なる方向に配向されてもよい。
【0060】
ステープル400および/または引っ張りクリップ450は、使用される場合、治癒/回復プロセスの間、圧縮状態を維持するために、数日間、例えば約4〜6日間、処置領域に保持され得、それにより、圧縮状態に保持されている状態で、皮膚組織の十分な治癒または修復が可能となる。さらに、ステープル400および/または引っ張りクリップ450は、それらを除去するときに目に見える跡の形成を回避するために、少なくとも1つの方向において小さくてもよいか、または薄くてもよい。特定の例示的な実施形態において、薄いおよび/または皮膚を穿刺するように構成されるいくつかの突起を含む、ステープル400および/または引っ張りクリップ450が使用されてもよい。このようなステープル400および/または引っ張りクリップ450は、このようなステープル400および/または引っ張りクリップ450が除去される場合、跡の形成を減少または排除するために、個々の突起をより小さなサイズにしながら、単一の大きなステープル400またはクリップ450に匹敵する圧縮力を提供できる。
【0061】
本開示のさらに別の例示的な実施形態において、1つ以上の縫合糸500が、
図5Aの例示的な断面図で示されるように、圧縮力を維持するために処置領域に適用されてもよい。各縫合糸500は複数の穴100に及ぶように十分に大きくてもよく、それにより
図5Aに示されるように、穴100の反対面の方向性のある接近を促す。
図4Bに示されるステープル400と同様に、縫合糸500は、皮膚表面への伸張フィルム300の適用によって提供されるものと比較して処置領域の表面下の皮膚の増加した圧縮を提供できる。
【0062】
特定の例示的な実施形態によれば、複数の縫合糸500は、処置領域全体もしくはその一部内および/またはそれらにわたって適用されてもよい。例えば、複数の縫合糸500は、
図5Bの例示的な上面図に示されるように処置領域にわたって実質的に平行に適用されてもよい。
図5Bの矢印は圧縮力の方向を示し、小さな垂線310は皮膚表面における穴100の近接端を表す。別の例示的な実施形態において、縫合糸500は、処置領域の増加した方向性のない収縮を提供するために、
図5Cの上面図に示される例示的な構成のように処置領域上の異なる方向に適用されてもよい。
図5Cの矢印は、皮膚表面における穴100の端部を全方向または等方的に含む傾向があり得る圧縮力の局所方向を表す。さらに別の例示的な実施形態において、縫合糸500は、処置領域内の収縮の局所的に好ましい方向を変化させるために処置領域内または処置領域にわたって異なる方向に配向されてもよい。
【0063】
伸張フィルム300と同様に、ステープル400および/または縫合糸500は、使用される場合、治癒/回復プロセスの間、圧縮状態を維持するために、数日間、例えば4〜6日間、処置領域に保持され得、それにより圧縮状態に保持されている間に皮膚組織の十分な治癒または修復を可能にする。
【0064】
さらなる例示的な実施形態によれば、例えば、鉗子、接着性の熱収縮フィルム、硬化すると収縮し、皮膚表面に接着し得るポリマー前駆体などの硬化性液体の表面塗布などの他の装置および技術もまた、処置領域内の穿孔した組織に圧縮力を付与し、維持するために使用されてもよい。当該分野において公知の任意のこのような熱収縮フィルム、硬化性収縮液体などが本開示の特定の実施形態と共に使用されてもよい。
【0065】
なおさらなる例示的な実施形態において、伸張フィルム300、ステープル400、縫合糸500、伸張クリップ450、熱収縮フィルム、および/または硬化性液体の任意の組み合わせが、穴100が治癒されるにつれて処置領域内の応力または変形を付与および/または維持するために使用されてもよい。
【0066】
種々のさらなる手段が、組織内で切除された後、穴100の閉鎖および穴100の治癒を促進するように使用されてもよい。例えば、切除された穴100は、それらが形成された後、治癒前に組織210の水和および軟化を促進するために、生理食塩水または他の溶液に曝露されてもよい。このような溶液はまた、穴内の残骸または不純物の除去、例えば、本明細書に記載されるように穴100が切除された後に存在し得る血液の除去を容易にできる。
【0067】
さらなる例示的な実施形態において、生体適合性付着剤またはセメントが、例えば、治癒プロセスの間、閉鎖される穴100のより迅速な接着を促進するために使用されてもよい。例えば、光化学組織結合(PTB)技術が、治癒プロセスの間、閉鎖される構造において穴100の接着に役立つように使用されてもよい。例示的なPTBプロセスにおいて、光増感剤(例えば、ローズベンガル、リボフラビン、ポルフィリン、塩素など)が、穴100が形成された後であるが、本明細書に記載されるように圧縮フィルム300または引張力もしくは圧縮力を付与される前に組織に塗布されてもよい。例えば、このような光増感剤のプロドラッグを含む光増感剤前駆体もまた、使用されてもよく、このような前駆体は、代謝されてもよいか、または組織内で光増感剤を形成するように活性化されてもよい。このような光活性物質(例えば、光増感剤または前駆体)は、組織に適用される場合、組織結合を促進でき、任意に活性化または代謝されてもよく、次いで1つ以上の適切な波長を有する光に露出される。
【0068】
伸張フィルム300、ステープル400、縫合糸500および/または他の圧縮力もしくは引張力を使用して穴100が方向性を有して圧縮された後、組織は、組織結合を活性化し、数分以内に穴の壁の接着を促進するために適切な波長を有する光に露出され得る。波長の選択は、使用される特定の光増感剤または前駆体に基づいてもよい。次いで組織表面において穴100を閉鎖したままで、治癒を継続しながら圧縮フィルム500は除去されてもよい。
【0069】
なおさらなる例示的な実施形態によれば、伸張フィルム300は、1種以上の光増感剤または前駆体の層を備えてもよく、フィルム300が組織の表面に塗布される場合、光活性物質の少なくとも一部は組織表面上に移される。例えば、光活性物質は、皮膚表面に対して配置されるフィルム300の表面上にゲルまたはマイクロカプセル化層で提供されてもよい。次いで活性化する光がフィルム300の上面を通して、圧縮組織表面およびそこに塗布される光活性物質に誘導され得る。一般に、種々の従来の光化学組織結合系、材料および方法の1つ以上は、本開示の実施形態に従って、より迅速な穴の閉鎖を促進するために使用され得る。
【0070】
さらなる例示的な実施形態において、例えば、シアノアクリレートなどの他の組織付着剤が、穴100が形成され、圧縮され、伸張され、および/または閉鎖された後、穴100を一緒に付着するために使用されてもよい。このような付着剤の組織表面への塗布を制限し、後の穴の閉鎖および収縮を抑制し得る望ましくない物質で穴100を充填することを回避するために穴100内にそれらを導入することを回避することは好適であり得る。本明細書に記載されるものを含む、任意の従来の組織結合技術または組織付着剤の使用は、段階的な治癒プロセスの間、閉鎖された穴100の再開口を防ぎながら、圧縮フィルム300または他の包帯が、組織が治癒される場合の処置組織領域上に維持される時間を短縮できる。
【0071】
本明細書に記載されるように、穴100の形状、密度もしくは間隔、およびパターンもしくは空間分布、ならびに/または処置領域の表面に付与される圧縮力もしくは引張力の配向は、治癒される場合、組織の方向性を有して配向される収縮を提供できる。このような方向性は、アブレーションフラクショナルリサーフェシング手段において好ましい局所的な方向において増加した収縮を生じることによって改善された美容結果を達成するために利用できる。複数のこのような手段は、皮膚または他の組織のより大きな全体の収縮を得るために特定の処置領域に適用されてもよく、好ましくは特定の領域における後の処置の間の十分な治癒時間を可能にする。圧縮および/または引張方向は、領域における組織のより均一な収縮を得るために単一領域の異なる処置において変化させてもよい。隣接する処置領域のサイズおよび好ましい収縮方向もまた、皮膚または他の組織についての所望の全体の収縮パターンを達成するために選択され、変化させてもよい。
【0072】
穴の閉鎖を促すための組織への引張力または圧縮力の付与はまた、穴100が形成された後に起こる穴の閉鎖および組織治癒プロセスの間に形成され得るコラーゲンの特徴に影響を与え得る。例えば、本明細書に記載されるように穴100の形成後、外力の付与によって変形される組織内に形成される場合、コラーゲンは特定の方向に増殖および/または整列できる。処置組織におけるコラーゲン増殖および/または整列のこのような改変はさらに望ましい美容効果を提供できる。
【0073】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、システム600は、光エネルギー670を使用して皮膚の処置領域において複数の穴100をあけ、次いで圧縮力または引張力を処置領域に付与するために提供されてもよい。例えば、
図6に示されるように、下部にウインドウ615を有するハンドピース610、光エネルギー装置650、アクチュエータ620および圧縮装置630を含む例示的なシステム600が提供されてもよい。特定の実施形態において、システム600は、レーザーなどの外部源(図示せず)から光エネルギー670を光学装置650および処置される皮膚上に誘導するように構成され得る、導波管655、例えば、1つ以上の光ファイバー、中空ファイバー導波管などを備えてもよい。さらなる例示的な実施形態において、光エネルギー源(図示せず)はハンドピース610内に提供されてもよい。
【0074】
ウインドウ615は処置される皮膚の領域の表面上に配置されるように構成および/または構造化され得る。特定の実施形態において、ウインドウ615は、穴100をあけるために使用される光エネルギー670の波長に対して光学的に透過性であるプレートまたはレンズであってもよい。例えば、光エネルギー670のソースがCO
2レーザーである場合、ウインドウ615はセレン化亜鉛を含んでもよいか、またはセレン化亜鉛から作製されてもよい。光エネルギー670のソースがEr:YAGレーザーである場合、ウインドウ615はサファイアを含んでもよいか、またはサファイアから作製されてもよい。システム600の作動の間、組織表面と接触するように構成され得るウインドウ615の下面は平面形状であってもよい。特定の実施形態において、この下面は、円形、例えば、円筒形、楕円形、または球形であってもよく、穴100をあける間、例示的なシステム600が処置領域に適用される場合、組織表面に対するウインドウ615の局所的な力を増強できる。
【0075】
特定の例示的な実施形態において、例えば、エキシマーレーザーなどの光エネルギー源が使用される場合、ウインドウ615は存在しなくてもよい。エキシマーレーザーは、熱によるカフをほとんどまたは全く形成せずに皮膚組織内に穴をあけることができ、穴をあけている間、熱によるカフを破壊するために組織表面にウインドウを適用することが必要とされなくてもよい。
【0076】
アクチュエータ620は、光エネルギー源および光エネルギー670をハンドピース610の下の皮膚組織上に誘導し、複数の穴100をあけるための光学装置650を起動するように構成されてもよい。光学装置650は、穴100の所定のパターンを形成するために特定の空間および時間的パターンにおいて光エネルギー670を誘導するように構成され得る、1つ以上の変換装置、鏡などの反射要素を備えてもよい。このような装置は当該分野において公知であり、従来のアブレーションフラクショナルリサーフェシングシステムにおいて見出され得る。
【0077】
例示的なシステム600は、システム600の下面615が皮膚表面と接触し、次いでアクチュエータ620が皮膚内に複数の穴100をあけるように起動するまで、処置領域上に適用されてもよい。あけられる穴のサイズ、密度、およびパターンは、例えば、光エネルギー源の電力および持続時間、光学装置650の作動などの種々のパラメータを制御するように構成され得る従来の制御装置(図示せず)を使用して予め決められてもよい。例示的なシステム600はさらに、穴200が処置領域内にあけられた後、圧縮要素を処置領域に適用するために圧縮装置630を起動するように適合または構成されてもよい。
【0078】
一つの例示的な実施形態において、圧縮装置630は、アクチュエータ620によって機械的または電気的に起動されるように構成される外科用ステープラーを備えてもよく、1つ以上の大きなステープル400および/または引張クリップ450は、本明細書上記の処置領域の少なくとも一部にわたって適用される。
【0079】
別の例示的な実施形態によれば、圧縮装置630は縫合針(例えば、湾曲した針)および縫合糸を備えてもよい。圧縮装置630は、針200が処置部位から引っ込められた後、アクチュエータ620によって起動される場合、例えば、糸の端部を皮膚の表面から突出させて、処置領域の表面の下に1つ以上の長さの縫合糸を組み込むことができるか、または組み込むように構成される。次いで縫合糸の端部は、本明細書上記の処置領域において皮膚組織に圧縮力を付与できる縫合500を形成するために結ばれる。任意に、圧縮装置630は、例えば、予め選択された張力で起動される場合、縫合糸を結ぶことができるか、または結ぶように構成される。
【0080】
さらに別の例示的な実施形態において、穴100が皮膚内にあけられた後、圧縮装置630は、伸張フィルム300などを処置領域上に接着できるか、および/または接着するように構成される伸張フィルムアプリケータを備えてもよい。例えば、圧縮装置630は、パッキングテープディスペンサーと同様に構成される伸張フィルム300の小さなロールを備えてもよい。システム600は、フィルム300をすぐに形成される穴100の上に適用するために、穴100があけられた後、処置領域上を移動してもよい。フィルム300はまた、処置領域上に適合するようにサイズ合わせされるプレカットピースで提供されてもよい。
【0081】
さらなる例示的な実施形態によれば、圧縮装置630は、本明細書上記のように硬化性コーティング材料のリザーバを備えてもよく、それは、穴100が皮膚内にあけられた後、このようなコーティング材料を処置領域の表面に適用できるか、および/または適用するように構成され得る。別の例示的な実施形態において、圧縮装置630は、本明細書上記のように、光活性化物質(またはこのような物質の前駆体)を処置領域の少なくとも一部に塗布し、その物質を活性化するために光エネルギーをその領域上に誘導するように構成または適合され得る。穴100が形成された後、圧縮装置630が、他の種類の圧縮または引張要素を処置領域に適用するように適合または構成され得るシステム600の例示的な実施形態もまた、本開示の範囲内である。
【実施例】
【0082】
例示的な手段は、エキソビボヒト皮膚試料の試料中で複数の穴をあけるためにCO
2レーザーを使用して、本開示の特定の例示的な実施形態に従って実施された。接触プレートを用いずに生成された部分的に切除された皮膚の組織学的画像を
図7Aに示す(例えば、従来のアブレーションフラクショナルリサーフェシング手段と同様)。
図1Aに示される「カフ」110と同様の熱により損傷した組織のカフが、この図における各々の円形の穴周囲のわずかに暗くなった均一の層として見られ得る。
【0083】
アブレーションフラクショナル手段もまた、本明細書に記載されるように、穴のアブレーションの間に表面に対して保持される透明なプレートを使用して実施した。この処置の後のエキソビボ皮膚組織の組織学的画像を
図7Bに示す。蒸発物質が、形成された穴の上部開口を通して出ていくのを防ぐためにプレートを十分な力(約67N)で皮膚表面上に押圧した。
図7Aに示される従来のあけられた穴と比較して、「抑制された」アブレーション手段において形成された小さな穴は、あまり円形ではなく、規則正しくない形状であるように見える。熱により損傷した物質のより暗くなった層は、
図7Aに見られる、より均一な熱による「カフ」と対照的に、
図7Bにおける穴の周囲のいくつかの位置において破壊され、損失しているように見える。
図7Bに示されるあけられた穴の周囲の熱により損傷した組織の均一な硬質のカフの欠如により、皮膚表面に適用されたプレートを使用してあけられた穴の形成は、本明細書に記載される例示的な方法および装置に従って、増加した全体の皮膚領域の減少を促すために、任意に特定の局所方向において、より容易に閉鎖される穴を提供できることが示唆される。
【0084】
このように当業者は、本明細書に明確に示され、記載されていないが、多くのシステム、構成および方法を考案でき、本開示の原理を具現化することは理解されるであろう。それらは本開示の趣旨および範囲内にある。さらに、本明細書に参照される全ての刊行物、特許および特許出願はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。