特許第6185581号(P6185581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロビジョン,インク.の特許一覧

<>
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000004
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000005
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000006
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000007
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000008
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000009
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000010
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000011
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000012
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000013
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000014
  • 特許6185581-レーザダイオード接合温度補償 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185581
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】レーザダイオード接合温度補償
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/068 20060101AFI20170821BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20170821BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01S5/068
   H01S5/062
   G02B26/10 C
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-521622(P2015-521622)
(86)(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公表番号】特表2015-524611(P2015-524611A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013045216
(87)【国際公開番号】WO2014011340
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】13/544,556
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505472816
【氏名又は名称】マイクロビジョン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロタール,ブルース、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,デール,ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】サンドガッセ,ジョエル
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0028199(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0181791(US,A1)
【文献】 特開2000−222758(JP,A)
【文献】 特開2008−290428(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0226397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
G02B26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流値に対して応答するように連結されるレーザダイオード(360)と、
前記レーザダイオード(360)の接合温度の推定値を生成するための接合温度推定器(310)と、
前記接合温度の推定値の関数として前記駆動信号を修正するために使用される値のテーブル(314,316)を包含する少なくとも1つの装置(100,300,400,500,600,800,900,1000,1100,1200)とを備え、
前記推定値が、過去の前記接合温度、堆積されたパワー値、レーザダイオード(360)のヒートシンク特性、周囲温度、およびレーザダイオード接合部からの発光の関数として決定され、
接合温度推定器(310)は、現在の画素の前記接合温度を、
【数1】

ここで、nは画素数であり、TJ[n]は現在の画素に関する接合温度推定値であり、TJ[n−1]は前の画素に関する接合温度推定値であり、αPJ[n−1]は前の画素から接合部に堆積されたパワーに起因する温度の増大であり、β(T[n−1]−TAMB)は放熱に起因する温度の低下であり、δΕ[n−1]はダイオード接合部からの発光に起因する温度の低下であり、TAMBは周囲温度であり、αは温度に対してパワーを拡大縮小する係数であり、βはレーザダイオード(360)の熱特性およびその包装もしくは取り付けに関連する係数であり、δは温度に対する発光を拡大縮小する係数である、
式(1)を計算することによって、推定することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記推定値が、前記堆積されたパワー値に対応する過去の駆動電流値の関数として決定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
堆積されたパワー値に対して過去の駆動電流値をマッピングするテーブル(312)を更に包含することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記接合温度推定器(310)が少なくとも1つの無限インパルス応答フィルタを包含することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの装置(100,300,400,500,600,800,900,1000,1100,1200)が、接合温度の関数としての電流オフセット値のテーブル(314)を包含することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの装置(100,300,400,500,600,800,900,1000,1100,1200)が、接合温度の関数としてのゲイン値のテーブル(316)を包含することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
変調されたレーザ光を走査して画素を表示するための走査ミラー(162)と、
前記変調されたレーザ光を生成するための請求項1から6のいずれかに記載の装置と、
駆動電流値を発生させるための駆動電流発生器(120,302,610,620,630)であって、画素毎の場合よりも低い頻度で生じる較正シーケンスからおよび前記少なくとも1つのレーザダイオード(360)の接合温度を画素毎に推定する接合温度推定器(310)から決定された較正データから駆動電流値を生成する、駆動電流発生器(120,302,610,620,630)と、
を備えるプロジェクション装置。
【請求項8】
前記較正シーケンスが画素の1フレームにつき一回行われることを特徴とする請求項に記載のプロジェクション装置。
【請求項9】
前記較正シーケンスが画素の1フレームにつき一回未満行われることを特徴とする請求項に記載のプロジェクション装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのレーザダイオード(360)が、赤色、緑色および青色レーザダイオードを包含し、複数の駆動電流発生器(610,620,630)を更に含み、前記複数の駆動電流発生器の各々が、前記赤色、緑色および青色レーザダイオード(360)のうちの対応するものに関する駆動電流値を生成するように連結されることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のプロジェクション装置。
【請求項11】
前記複数の駆動電流発生器(610,620,630)の各々が、レーザダイオード接合に対するパワー入力を表すパワー値に対して過去の駆動電流値をマッピングするテーブル(312)を包含することを特徴とする請求項10に記載のプロジェクション装置。
【請求項12】
前記複数の駆動電流発生器(610,620,630)の各々が、推定されたレーザダイオード接合温度の関数としての駆動電流オフセットを提供するオフセット値のテーブル(314)を包含することを特徴とする請求項10または11に記載のプロジェクション装置。
【請求項13】
前記複数の駆動電流発生器(610,620,630)の各々が、オフセット値のテーブル(314)によって提供される駆動電流オフセットを公称オフセット値と合計するための加算器(324)を包含することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のプロジェクション装置。
【請求項14】
前記較正シーケンスが、前記少なくとも1つのレーザダイオード(360)に関する閾電流(I-THに近い公称オフセットを決定することを特徴とする請求項7から13のいずれかに記載のプロジェクション装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロジェクタで使用されるレーザ光源によって生成された光の量は、年数および温度などの要因に基づいて経時的に変化し得る。これらの変動を克服するために、レーザ光源を周期的に「較正(キャリブレーション)」してそれらの動作特性を決定してもよく、次いでレーザ光源の駆動値を相応に調節することができる。1つの較正方法としては、既知の値(「較正値(calibration value)」または「較正パルス(calibration pulse)」と呼ばれる場合もある)でレーザ光源を周期的に駆動し、発生した光の実際量を測定することが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本発明の多様な実施形態に従った較正を伴うプロジェクション装置を示す。
図2】本発明の多様な実施形態に従った走査偏向波形と映像ブランキングと較正との関係性を示す。
図3】本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード接合温度推定器を伴う駆動電流発生器を有するプロジェクション装置を示す。
図4】本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード駆動電流ポストプロセッサを有するプロジェクション装置を示す。
図5】本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード駆動電流ポストプロセッサを有するプロジェクション装置を示す。
図6】本発明の多様な実施形態に従ったカラーレーザプロジェクタを示す。
図7】本発明の多様な実施形態に従った方法のフロー図を示す。
図8】本発明の多様な実施形態に従ったモバイル装置のブロック図を示す。
図9】本発明の多様な実施形態に従ったモバイル装置を示す。
図10】本発明の多様な実施形態に従ったヘッドアップ・ディスプレイ・システムを示す。
図11】本発明の多様な実施形態に従ったアイウェアを示す。
図12】本発明の多様な実施形態に従ったゲーム用装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明において、本発明が実施され得る特定実施形態を示す添付図面を例証として参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できる程十分詳細に記載されている。本発明の多様な実施形態は種々異なるものであるが、必ずしも相互排他的であるとは限らないことを理解すべきである。例えば、1つの実施形態に関連して本書に記載される特定の特徴、構造または特性は、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態において実施することができる。加えて、開示された各実施形態における個々の要素の配置または構成を本発明の範囲を逸脱することなく修正できることも理解すべきである。故に、以下の詳細な説明は制限的な意味で捉えられるべきではなく、本発明の範囲は、適切に解釈される特許請求の範囲ならびに各請求項の等価物の全範囲によってのみ規定される。
【0005】
図1は、本発明の多様な実施形態に従った較正を伴うプロジェクション装置を示す。装置100は、映像処理コンポーネント102と、駆動電流発生器コンポーネント120と、光源130と、走査ミラー162を有する微小電気機械マシン(MEMS)装置160と、ミラー制御回路192と、光検出器150と、較正制御回路140とを包含する。
【0006】
動作時、映像処理コンポーネント102は、ノード101上で映像データを受信し、表示すべき画素の輝度値を表す表示画素データを生成する。映像データ101は、典型的には直線格子上の画素データと共に受信される画像ソースデータを表すが、これは必須ではない。例えば、映像データ101は、任意の解像度(例えば、640×480、848×480、1280×720、1920×1080)での画素格子を表し得る。プロジェクション装置100は、ラスタパターンを走査する走査型プロジェクタである。ラスタパターンは、必ずしも画像ソースデータ中の直線格子と整列しているとは限らず、映像処理コンポーネント102は、ラスタパターン上の適切な点に表示される表示画素データを生成するように作動する。例えば、幾つかの実施形態において、映像処理コンポーネント102は、ソース画像データ中の画素間を垂直におよび/または水平に補間して、ラスタパターンの走査軌跡に沿って表示画素値を決定する。
【0007】
映像処理コンポーネント102は、記載された機能を遂行することができる任意の回路機構を包含していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、映像処理コンポーネント102は、乗算器、シフタおよび加算器などの補間を遂行することができるデジタル回路を包含する。また例えば、幾つかの実施形態において、映像処理コンポーネント102は、ハードウェア回路を包含していてもよく、また、指示を実行するプロセッサを包含していてもよい。
【0008】
駆動電流発生器コンポーネント120は、映像処理コンポーネント102から輝度値を受信し、駆動光源130への駆動電流値に対する輝度値をマッピングする。幾つかの実施形態において、駆動電流発生器コンポーネント120は、電流値に対する輝度値をマッピングするルックアップテーブルを包含し、また、光源130の内部温度を推定するための1以上のコンポーネントを包含し、それに従って駆動電流値を調節する。駆動電流発生器コンポーネント120はまた、デジタル電流値をアナログ電流に変換するためのデジタル−アナログ変換器(DAC)を包含していてもよい。幾つかの実施形態において、駆動電流発生器コンポーネント120はまた、ノード141上の較正制御コンポーネント140によって提供されたゲイン値およびオフセット値に対して反応性である。ノード141上のゲイン値およびオフセット値は、較正期間中に決定される。較正については以下に更に記載する。ゲインおよびオフセットの較正により、ある特定温度で保存された(測定された)L/I曲線に基づいた任意の温度に関するレーザダイオードの輝度/電流(L/I)曲線(モデル)を生成することができる。次いで、(ルックアップテーブルにより)当該モデルを使用して、画素毎にどれ位の駆動電流が必要であるかを予測する。
【0009】
光源130は、駆動電流発生器コンポーネント120から駆動電流値を受信し、それに応じてグレースケール値を有する光を生成する。光源130は、単色であってもよく、または複数の異なる色の光源を包含していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、光源130は、赤色、緑色および青色光源を包含する。これらの実施形態において、映像処理コンポーネント102は、赤色、緑色および青色光源の各々に対応する表示画素データを出力する。また例えば、光源130によって生成された光は可視光または非可視光であってもよい。例えば、幾つかの実施形態において、光源130内の光の1以上の供給源は、赤外(IR)光を生成することができる。幾つかの実施形態において、光源130は、1以上のレーザ光発生装置を包含していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、光源130はレーザダイオードを包含していてもよい。これらの実施形態において、駆動電流発生器120は、少なくとも1つのレーザダイオード接合温度を推定し、それに応じてノード121上の駆動電流値を修正する。
【0010】
光源130からの光は、ミラー162に向かう。幾つかの実施形態において、更なる光学素子が、光源130とミラー162の間の光路に包含される。例えば、装置100は、コリメートレンズ、ダイクロイックミラーまたはその他好適な光学素子を包含していても
よい。
【0011】
走査ミラー162は、ミラー制御回路192からノード193上で受信した電気刺激に応じて2つの軸上で偏向する。2つの軸上で移動する際、走査ミラー162は、光源130によって提供された光を反射する。反射された光はラスタパターンを掃引(スイープ、sweep)し、180で画像平面において結果の表示を生成する。走査ミラー162によって掃引されたラスタパターンの形状は、その2つの軸上でのミラーの動きの関数である。例えば、幾つかの実施形態において、走査ミラー162は、鋸波刺激に応じて第1寸法(例えば、垂直方向の寸法)において掃引し、結果として、実質的に線形状かつ一方向の垂直掃引が行われる。また例えば、幾つかの実施形態において、走査ミラー162は、正弦波刺激に従って第2寸法(例えば、水平方向の寸法)において掃引し、結果として、実質的に正弦波状の水平掃引が行われる。この種のミラーの動きの例については、図2を参照してより十分に以下に説明する。
【0012】
MEMS装置160は、2つの寸法において光を走査する走査ミラーアセンブリの一例である。幾つかの実施形態において、走査ミラーアセンブリは、2つの寸法において(例えば、2つの軸上で)走査する単一のミラーを包含する。代替的に、幾つかの実施形態において、MEMS装置160は、2つの走査ミラー、つまり、1つの軸に沿ってビームを偏向する1つの走査ミラーと、第1軸に概ね垂直な第2軸に沿ってビームを偏向する別の走査ミラーとを包含するアセンブリであってもよい。
【0013】
光検出器150は、光源130によって生成された光パワーの量を測定する光測定装置である。光検出器150は、この機能を達成すべく、プロジェクションシステム100内のいずれの場所に置かれてもよい。例えば、光検出器150は、幾つかの実施形態においては光源130近くの光路に置かれ、他の実施形態においては走査ミラー162近くの光路に置かれる。更に、幾つかの実施形態において、複数の光検出器が使用される。実施例を以下により十分に説明する。
【0014】
較正制御回路140は、既知の輝度値を命令し、実際の光パワーを測定し、次いでノード141上でゲイン値およびオフセット値を生成して差を補償することによって光源130を較正するように機能する。較正制御回路140は、記載される機能を遂行することができる任意の回路機構を包含していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、較正制御回路140は、較正プロセスを制御するデジタル状態機械を包含する。更に、幾つかの実施形態において、較正制御回路140は、メモリ装置に保存された指示を実行するプロセッサを包含する。
【0015】
レーザ光源を制御する際に直面する課題の1つは、特に時間や温度などの要因を明らかにする際に、所望の光パワーレベルを正確に生成する能力である。本発明の多様な実施形態は、これらの課題を克服する較正機構に加えて、レーザダイオード接合(ジャンクション)温度補償を提供する。例えば、較正制御回路140は、周期的に較正動作を遂行し、レーザダイオード挙動のよりゆっくりとした変動を補償する較正データを生成し得るが、駆動電流発生器120は、レーザダイオード接合温度を推定し、レーザダイオード挙動のはるかに速い変動を補償し得る。
【0016】
較正制御回路140は、既知の輝度値を出力するよう映像処理コンポーネント102に周期的に命令する場合もあり、その結果として、光源130が較正パルスを生成する。光検出器150は、その後、較正パルスの結果として生成された光パワーを測定し、較正制御回路140に対して光パワー情報を提供し得る。次いで、較正制御回路140は、ノード141上で補償データを修正し、光源130の特性変動の動作を補償する。
【0017】
幾つかの実施形態においては、較正パルスが、光源130の電流動作特性を表す曲線上の単一の点に対応する単一の輝度値に提供される。この較正パルスは、任意のレベルまで命令されてもよい。他の実施形態において、較正パルスは、光源130の電流動作特性を表す曲線上の複数の点に対応する複数の輝度値に提供される。次いで、較正制御回路140は曲線適合動作を行って、ノード141上の提供されるべき較正データを決定し得る。
【0018】
幾つかの実施形態において、較正は、投影された光が見る者を煩わせる可能性が低い期間に行われる。例えば、線形状垂直ランプドライブを組み込んだ二方向性ラスタ走査ディスプレイにおいて、較正は、水平オーバースキャンまたは垂直オーバースキャン中に行われてもよい。
【0019】
他の実施形態において、較正は、パルスを利用するのではなく、1つの映像ラインまたは1つの映像フレームなどの積分時間(蓄積時間、integration time)に生成された光を測定する。これらの実施形態において、較正制御回路140は、較正パルスで光源130を駆動する必要なく、ノード141上の較正データを周期的にアップデートすることができる。
【0020】
本発明の多様な実施形態がプロジェクション装置100などのプロジェクション装置を参照して記載されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、レーザ光を変調するいかなる装置も、本発明の多様な実施形態の実施から恩恵を受け得る。
【0021】
図2は、本発明の多様な実施形態に従った、走査偏向波形と映像ブランキングと較正との関係性を示す。垂直偏向波形210は鋸波形であり、水平偏向波形220は正弦波形である。ミラー162が波形210および220に従ってその垂直軸および水平軸上で偏向されると、図1に示す走査ビーム軌跡が生じる。
【0022】
波形210および220に従ったミラー162の偏向は、適切な駆動信号でMEMS装置160を駆動することによって達成され得る。幾つかの実施形態において、水平偏向周波数は、ミラーの共振周波数であり、その周波数での非常に小さな励起により、結果として所望の走査角が得られる。垂直偏向のための鋸波状駆動信号は、多様な周波数での正弦波の合計から得ることができる。垂直偏向のための駆動信号もまた、波形発生器内にプログラムされた特定の点から得ることができる。
【0023】
鋸波状駆動信号により図2に示す垂直偏向が生じるが、他の駆動信号の実施形態も存在する。例えば、幾つかの実施形態において、垂直駆動信号は三角波(この場合、後続のフレームはそれぞれ交互に上から下→下から上へと書き込まれる)または正弦波形であってもよい。
【0024】
鋸波状垂直偏向波形210は、垂直掃引部分と、フライバック部分とを包含する。幾つかの実施形態において、画素は、フライバック部分ではなく、垂直掃引部分の間に表示される。フライバック部分は、画像視野の頂部へ「フライバック」するビームに相当する。ブランキング波形280も図2に示される。走査されたビームは、フライバック中はブランキングされ(画素が表示されない)、垂直掃引中はブランキングされない。
【0025】
幾つかの実施形態において、較正は、292で示されるような垂直オーバースキャン期間中に行われる。幾つかの実施形態において、複数の較正パルスは、垂直オーバースキャン時間中に生成される。更に、幾つかの実施形態において、複数の較正パルスは、各色(例えば、赤色、緑色、青色)に対して発っせられる。他の実施形態において、各垂直オーバースキャン期間中に1つの色が較正される。
【0026】
較正動作は図2における垂直オーバースキャン期間中に示されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、幾つかの実施形態において、較正は、水平オーバースキャン期間中に行われる。これは、波形220が山と谷をなす時間に相当する。更なる実施形態において、較正は、垂直掃引中に測定された光出力を積分することによって映像表示中に行われる。
【0027】
説明を明確にするために、図2では、1回の垂直掃引につき数個の水平サイクルのみが示されている。実際には、更に多くの水平サイクルが存在する。例えば、水平共鳴周波数が24.5kHzであり、フレームレートが60Hzであると、1回の垂直掃引につき約408個の水平サイクルが生じる。
【0028】
図3は、本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード接合温度推定器を伴う駆動電流発生器を有するプロジェクション装置を示す。
【0029】
プロジェクション装置300は、映像処理コンポーネント102と、較正コンポーネント140と、光検出器150とを包含し、これらは全て前の図面を参照して上述されている。プロジェクション装置300はまた、駆動電流発生器コンポーネント302と、レーザダイオード360とを包含する。駆動電流発生器コンポーネント302は、駆動電流発生器120(図1)の例示的な実施形態を表し、レーザダイオード360は、光源130(図1)の一例である。レーザダイオード360は、駆動電流発生器302によって提供された駆動信号に応答するように連結される。
【0030】
較正制御回路140および光検出器150は、図1および図2を参照して上述されるように動作する較正ループの一部である。較正ループは、ノード141上でゲイン項Gおよびオフセット項Oを決定する。ノード141は、デジタルデータを担持する任意数の信号線を包含していてもよい。幾つかの実施形態において、GおよびOは、画素単位の場合よりも低い頻度で収集されたデータに基づいて粗較正機能を提供する。例えば、較正は、図2に示すような垂直オーバースキャン中にフレーム単位で行われてもよい。
【0031】
駆動電流発生器302は、輝度/電流(L/I)マッピングコンポーネント304と、デジタル/アナログ(D/A)変換器350と、パワーテーブル312と、接合温度推定器310と、ゲインテーブル316と、オフセットテーブル314と、加算器324、334と、乗算器336、334とを包含する。
【0032】
駆動電流発生器302は、映像処理コンポーネント102によって提供される命令された輝度値ならびに較正回路140によって提供されるゲインおよびオフセットに基づいて、表示すべきレーザダイオード360に関する駆動電流値を決定する。幾つかの実施形態において、駆動電流発生器302は、画素単位でレーザダイオード360の接合温度を推定し、接合温度推定値の関数としてレーザダイオード駆動値を修正して接合温度の関数としてレーザダイオード光出力の変動を補償する。駆動電流発生器302の実施形態を、より十分に以下に説明する。
【0033】
輝度−電流マッピングコンポーネント304は、映像処理コンポーネント102から命令された輝度値を受信し、次いで公称駆動値に対してマッピングする。幾つかの実施形態において、L/Iコンポーネント304のみが、305で示されるようなレーザダイオード閾電流ITHを超える駆動値を表す出力値を包含する。
【0034】
乗算器336は、ノード327上で与えられたゲイン値とL/Iコンポーネント304によって提供された公称駆動値とを乗算することによって、この公称駆動値を修正する。これは、337で示されるような閾電流を超えるL/I曲線の傾斜を変化させる。加算器
334は、乗算器336の出力とノード325上で提供されるオフセットとを合計してノード339上の各画素に対する最終的なレーザダイオード駆動値を生成する。これによりL/I曲線は、335で示されるようにO+Oに等しい量だけ右側にシフトする。各画素に関する最終的なレーザダイオード駆動値は、D/A350によってデジタル値からアナログ電流へ変換される。D/A350の出力がレーザダイオード360を駆動する。
【0035】
ノード339上の各画素に関する最終的なレーザダイオード駆動値もパワーテーブル312に入力される。パワーテーブル312は、パワー値Pに対してレーザダイオード駆動値をマッピングする。パワー値Pは、対応するレーザダイオード駆動電流でダイオードが駆動される際にレーザダイオード接合部に堆積されるパワーを表す。幾つかの実施形態において、パワーテーブル312は、図3に示すような一次元テーブルであり、ここでは、堆積されたパワーがレーザ駆動値の関数であるにすぎない。他の実施形態において、パワーテーブル312は多次元テーブルであり、ここでは堆積されたパワーが1より多い入力変数の関数である。例えば、堆積されたパワーは、レーザ駆動値、レーザダイオード電圧、周囲温度などの任意の組み合わせの関数であってもよい。
【0036】
幾つかの実施形態において、パワーテーブル312は、ルックアップテーブルとして実施される。例えば、固体メモリデバイスには値のテーブルがプログラムされ、記憶装置のアドレスラインは最終的なレーザダイオード駆動値を表すデジタルワードを伴って駆動され得る。記憶装置から読み出されたデータは、ノード339上の最終的なレーザダイオード駆動値でレーザダイオードを駆動した結果としてレーザダイオード接合部に堆積されるパワーを表す。
【0037】
接合温度推定器310は、前の接合温度推定値、前の駆動電流駆動値、レーザダイオードのヒートシンク特性およびレーザダイオード接合部からの発光に基づいてレーザダイオード360の接合温度を推定する。幾つかの実施形態において、接合温度推定器310は、表示すべき各画素に関する新たな接合温度を推定する。例えば1以上の無限インパルス応答フィルタが、前の画素電流駆動値(複数の場合あり)に起因する熱の増加を表す正の項および1以上の画素時間中の放熱を表す負の項と、前の温度推定値とを合計し得る。一例としては、
【数1】
式中、nは画素数であり、T[n]は現在の画素に関する接合温度推定値であり、T[n−1]は前の画素に関する接合温度推定値であり、αP[n−1]は前の画素から接合部に堆積されたパワーに起因する温度の増大であり、β(T[n−1]−TAMB)は放熱に起因する温度の低下であり、δΕ[n−1]はダイオード接合部からの発光に起因する温度の低下である。式(1)の例において、TAMBは周囲温度であり、αは温度に対してパワーをスケールする係数であり、βはレーザダイオード360の熱特性およびその包装/取り付けに関連する係数であり、δは温度に対する発光をスケールする係数である。α、βおよび/またはδは、幾つかの実施形態においては定数であり、他の実施形態においては定数ではない。例えば、幾つかの実施形態において、α、βおよび/またはδは、ソフトウェアプログラム可能であるか、他の変数の関数であるか、または適応係数であってもよい。
【0038】
式(3)の例は、最新の推定値[n−1]のみの関数としての現在の画素[n]に関する接合温度と、最新の推定値[n−1]のみに関する駆動値とを推定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、接合温度推定値に関するより一般的な式には、より古い試料[n−k](式中、kは1より大きい)に基づく項が包含される。
【0039】
ゲインテーブル316は、ゲイン値Gに対してレーザ接合温度推定値Tをマッピングする。幾つかの実施形態において、ゲインテーブル316は、ルックアップテーブルとして実施される。例えば、固体メモリデバイスには値のテーブルがプログラムされ、記憶装置のアドレスラインはレーザダイオード接合温度推定値を表すデジタルワードを伴って駆動され得る。記憶装置から読み出されたデータは、任意の所与の温度について適用されるゲイン項を表す。
【0040】
ゲインテーブル316の内容は、どのように決定してもよい。例えば、幾つかの実施形態において、レーザダイオード360のゲイン挙動は製造時の温度にわたって特徴付けられ、特徴付けの結果がゲインテーブル316へロードされてもよい。また例えば、レーザダイオード360のゲイン挙動はそれ以外の時間に(例えば、動作中周期的に)特徴付けられ、特徴付けの結果がゲインテーブル316へロードされてもよい。
【0041】
オフセットテーブル314は、オフセット値Oに対してレーザ接合温度推定値をマッピングする。幾つかの実施形態において、オフセットテーブル314は、ルックアップテーブルとして実施される。例えば、固体メモリデバイスには値のテーブルがプログラムされ、記憶装置のアドレスラインはレーザダイオード接合温度推定値を表すデジタルワードを伴って駆動され得る。記憶装置から読み出されたデータは、任意の所与の温度について適用されるゲイン項を表す。
【0042】
オフセットテーブル314の内容は、どのように決定してもよい。例えば、幾つかの実施形態において、レーザダイオード360のオフセット挙動は製造時の温度にわたって特徴付けられ、特徴付けの結果がオフセットテーブル314へロードされてもよい。また例えば、レーザダイオード360のオフセット挙動はそれ以外の時間に(例えば、動作中周期的に)特徴付けられ、特徴付けの結果がオフセットテーブル314へロードされてもよい。
【0043】
乗算器326は、2つのゲイン項GおよびGを乗算し、その結果はノード327上の乗算器336へ提供される。加算器324は、2つのオフセット項OおよびOを合計し、その結果はノード325上の加算器334へ提供される。
【0044】
図3に示されるように、プロジェクション装置300は、接合温度の関数として駆動信号を修正するのに使用される値のテーブルを包含する少なくとも1つの装置を包含し、幾つかの実施形態においては、接合温度測定値が過去の駆動信号値の関数として決定される。値のテーブルは、パワーテーブル、ゲインテーブル、オフセットテーブル、または任意の組み合わせを包含していてもよい。
【0045】
更に、図3に示されかつ上述されるように、幾つかの実施形態において、駆動電流発生器は、画素毎の場合よりも低い頻度で生じる較正シーケンスから、および全ての画素に関するレーザダイオードの接合温度を推定する接合温度推定器から決定される較正データから駆動電流値を生成する。
【0046】
図4は、本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード駆動電流ポストプロセッサを有するプロジェクション装置を示す。プロジェクション装置400は、映像処理コンポーネント102と、較正制御回路140と、レーザダイオード360と、光検出器150とを包含し、これらは全て前の図面を参照して上述されている。プロジェクション装置400はまた、外側ループ駆動電流発生器410と、駆動電流ポストプロセッサ402とを包含する。
【0047】
幾つかの実施形態においては、駆動電流ポストプロセッサ402を、較正制御回路140によって与えられる較正データを利用する駆動電流発生器を既に包含しているシステムに追加してもよい。例えば、駆動電流ポストプロセッサ402が装置400から省略される場合、レーザダイオード360は、外側ループ駆動電流発生器410から出力されるノード411上の駆動電流値によって直接駆動されてもよい。これらの実施形態では、レーザダイオード駆動電流値は、較正値GおよびOによって修正されるが、レーザダイオード接合温度推定値の関数としては修正されない。駆動電流ポストプロセッサ402を包含する実施形態において、外側ループ電流発生器410によって生成された駆動電流値は、較正値GおよびOによって修正されるだけでなく、更に、レーザダイオード接合温度推定値に基づいて修正される。幾つかの実施形態において、これは、較正の少なくとも一部の効果を除去し、次いで較正データならびに接合温度推定値の関数として駆動電流値を修正することを包含する。これは以下に更に説明される。
【0048】
外側ループ駆動電流発生器410は、映像処理コンポーネント102から命令された輝度値を受信し、ノード411上のレーザダイオード駆動値を生成する。幾つかの実施形態において、外側ループ駆動電流発生器410は、公称駆動電流値に対して命令された輝度値をマッピングするべく、L/Iコンポーネント304(図3)と同様のL/Iコンポーネントを包含し、また、Gによって公称駆動電流値をスケールする乗算器と、その結果をOと合計する加算器とを包含する。従って、ノード411上の駆動電流値は、較正データGおよびOによって修正されているが、レーザダイオード接合温度推定値の関数としては修正されていない。
【0049】
駆動電流ポストプロセッサ402は、ノード411上のレーザダイオード駆動信号からGおよびOの輝度−電流較正効果の少なくとも一部を除去し、過去のレーザダイオード駆動信号値の関数としてレーザダイオード360の接合温度を推定し、次いでレーザダイオード接合温度推定値に応じてレーザダイオード駆動信号値を修正する装置である。
【0050】
駆動電流ポストプロセッサ402は、接合温度推定器310と、ゲインテーブル316と、オフセットテーブル314と、パワーテーブル312と、D/A350と、加算器324、334とを包含し、これらは全て前の図面を参照して上述されている。駆動電流ポストプロセッサ402はまた、減算器412と、乗算器436とを包含する。
【0051】
減算器412は、ノード411上の駆動電流値からオフセットOを減算する。これは、較正制御回路140および外側ループ駆動電流発生器410の輝度−電流較正効果の少なくとも一部を除去する。乗算器436は、ゲインテーブル316によって提供されたゲイン値Gと減算器412の出力を乗算する。ノード437上の修正されたレーザダイオード駆動値は、GおよびGからのゲイン値からのゲイン効果を包含するが、OおよびOからのオフセット効果は包含しない。加算器334は、ノード437上の修正されたレーザダイオード駆動値をOおよびOと合計し、図3を参照して上述したように処理が進行する。
【0052】
図5は、本発明の多様な実施形態に従ったレーザダイオード駆動電流ポストプロセッサを有するプロジェクション装置を示す。プロジェクション装置500は、駆動電流ポストプロセッサ502を除き、装置400(図4)に示された全ての要素を包含する。駆動電流ポストプロセッサ520は、駆動電流ポストプロセッサ402に示されるコンポーネントに加えて、比較器508と、マルチプレクサ510、520、530とを包含する。
【0053】
動作時、比較器508は、ノード411上の駆動値を参照駆動値(図5にITHとして示されている)と比較し、次いでそれに応じてマルチプレクサ510、520および530を作動させる。幾つかの実施形態において、ノード411上の駆動値が閾電流ITH
りも大きい場合、マルチプレクサは左側に示される入力を選択し、駆動電流ポストプロセッサ502は駆動電流ポストプロセッサ402(図4)と同じように動作する。対照的に、ノード411上の駆動値が閾電流ITHよりも小さい場合、マルチプレクサの右側に示される値が選択される。これが生じると、駆動電流ポストプロセッサ502は、ノード411上の駆動電流値に、乗算器324の出力とITHの逆数との積を乗算する。これは、L/I曲線を伸張して、実際の閾電流値に近い電流値でレーザダイオードを駆動する。
【0054】
図6は、本発明の多様な実施形態に従ったカラーレーザプロジェクタを示す。カラーレーザプロジェクタ600は、映像処理コンポーネント102と、較正制御回路140と、光検出器150と、MEMS装置160とを包含し、これらは全て前の図面を参照して上述されている。カラーレーザプロジェクタ600はまた、赤色光源612と、緑色光源622と、青色光源632と、赤色駆動電流発生器(DCG)610と、緑色駆動電流発生器620と、青色駆動電流発生器630と、光学装置640、642および644とを包含する。
【0055】
赤色光源612は赤色駆動電流発生器610によって生成された値によって駆動されるように連結され、緑色光源622は緑色駆動電流発生器620によって生成された値によって駆動されるように連結され、青色光源630は青色駆動電流発生器630によって生成された値によって駆動されるように連結される。
【0056】
赤色、緑色および青色駆動電流発生器610、620、630は、本書に記載される駆動電流発生器の実施形態のいずれかを包含していてもよい。例えば、それらは、図3、4および/または5に示される実施形態を包含していてもよい。また例えば、赤色、緑色および青色駆動電流発生器610、620および630はそれぞれ、図4および5に示されるような外側ループ電流発生器および駆動電流ポストプロセッサの組み合わせを包含していてもよい。
【0057】
光源612、622および632は、接合温度の関数として変化する電流−輝度特性を有するレーザダイオードを包含する。DCG610、620および630の各々は、対応するレーザダイオードに関する接合温度を推定し、それに従って駆動値を調節する。
【0058】
光学装置640、642および644は、光源から出力された光を組み合わせるように動作し、この結果を達成するべく任意の好適な装置の組み合わせを包含していてもよい。例えば、光学装置は、ダイクロイックミラー、レンズ、プリズムまたはその他好適な種類の光学装置を包含していてもよい。
【0059】
図7は、本発明の多様な実施形態に従った方法のフロー図を示す。幾つかの実施形態において、方法700またはその一部は、走査レーザープロジェクション装置によって遂行され、その実施形態が前の図面に示されている。他の実施形態において、方法700は、一連の回路または電子システムによって遂行される。方法700は、当該方法を遂行する特定種類の装置によって制限されるものではない。方法700における多様なアクションは、提示された順番で遂行されてもよく、または異なる順番で遂行されてもよい。更に、幾つかの実施形態においては、図7に列挙した幾つかのアクションが方法700から省略される。
【0060】
方法700は、ブロック710から始まることが示されており、ここでは1以上のレーザダイオードが温度にわたって特徴付けられている。幾つかの実施形態において、これは、既知のダイオード接合温度にて既知の電流値でレーザダイオードを駆動し、光出力を測定することを包含する。これは、各ダイオード接合温度で複数の駆動電流に対する光出力を測定することを包含していてもよい。
【0061】
720では、レーザダイオードの放熱特性が特徴付けられる。これは、周囲温度、過去の駆動値、レーザダイオード電圧など多様な変数の関数としてレーザダイオード接合部から熱が放散する速度を測定することを包含していてもよい。これはまた、レーザダイの形状をモデリングし、光出力のベンチ測定値とモデル変数を適合させることを包含していてもよい。
【0062】
ブロック710および720を参照して記載される特徴付けは、いつ行われてもよい。例えば、レーザダイオードは、製造中または走査レーザプロジェクタに統合した後、およびレーザプロジェクタの操作寿命前または操作寿命中に特徴付けられてもよい。更に、放熱特性は、レーザダイオードが最初に走査レーザプロジェクタに統合されたときに特徴付けられてもよく、または製品の操作寿命中に特徴付けられてもよい。これらの特徴付けが行われる回数または時期に制限はない。
【0063】
特徴付けの結果は、推定されたダイオード接合温度の関数としてレーザダイオード駆動電流値を修正するために使用される1以上のテーブルにロードされてもよい。例えば、ゲインテーブル316、オフセットテーブル314およびパワーテーブル312の1以上に、710および720で行われた特徴付けから得られた結果に基づいて入力されてもよい。
【0064】
730では、レーザダイオードL/I曲線がフレーム単位で較正される。幾つかの実施形態において、これは、較正制御回路140が既知のレーザダイオード駆動値を命令し、較正シーケンスの一部として光出力を測定することに相当する。これは、図2に示されるような垂直オーバースキャン中など、いつ行われてもよい。幾つかの実施形態において、この較正は、フレーム単位の場合とほぼ同じ頻度で行われる。例えば、幾つかの実施形態において、較正シーケンスは、kフレーム毎に行われ、ここでkは1より大きい。また例えば、較正シーケンスは水平オーバースキャン中に行われてもよく、1フレームにつき一回よりも多く行われてもよい。
【0065】
740では、レーザダイオードの接合温度が推定(評価)される。幾つかの実施形態において、これは、接合温度推定器310の動作に相当する。接合温度推定値は、1以上の過去の駆動値、放熱特性、レーザダイオード電圧などの任意の利用可能な情報に基づき作成され得る。1以上の無限インパルス応答フィルタを利用して接合温度測定値を決定してもよい。幾つかの実施形態において、接合温度測定値は、表示すべき各画素に関して作成される。
【0066】
750で、レーザ駆動電流値は、推定されたレーザダイオード接合温度に基づいて修正される。幾つかの実施形態において、これは、温度の関数としてゲイン値および/またはオフセット値を決定し、次いでそのゲイン値および/またはオフセット値をレーザ駆動電流値に適用することに相当する。これは、図3図6に示されるものを含む上述の駆動電流発生器のいずれかの動作に相当する。
【0067】
760では、レーザ光が走査されて画像を生成する。レーザ光は、750で修正されたレーザダイオード駆動電流によって駆動されたレーザダイオード(複数の場合あり)によって生成される変調光である。幾つかの実施形態において、走査はMEMS装置160などのMEMS装置によって遂行される。
【0068】
図8は、本発明の多様な実施形態に従ったモバイル装置のブロック図を示す。図8に示されるように、モバイル装置800は、ワイヤレスインターフェース810と、プロセッサ820と、メモリ830と、走査型プロジェクタ801とを包含する。走査型プロジェ
クタ801は、画像平面180でラスタ画像を描画する。走査型プロジェクタ801は、前の図面を参照して上述されているように、1以上の駆動電流発生器と、較正回路とを包含する。走査型プロジェクタ801は、本書に記載される任意のプロジェクション装置であってもよい。
【0069】
走査型プロジェクタ801は、任意のイメージソースから画像データを受信し得る。例えば、幾つかの実施形態において、走査型プロジェクタ801は、静止画像を保持するメモリを包含する。他の実施形態において、走査型プロジェクタ801は、ビデオ画像を包含するメモリを包含する。更なる実施形態において、走査型プロジェクタ801は、コネクタ、ワイヤレスインターフェース810、有線インターフェースなどの外部ソースから受信した画像を表示する。
【0070】
ワイヤレスインターフェース810は、任意のワイヤレス送信および/または受信能力を包含していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、ワイヤレスインターフェース810は、ワイヤレスネットワーク上で通信することができるネットワークインターフェースカード(NIC)を包含する。また例えば、幾つかの実施形態において、ワイヤレスインターフェース810は、携帯電話能力を包含していてもよい。更なる実施形態において、ワイヤレスインターフェース810は、全地球測位システム(GPS)レシーバを包含していてもよい。当業者は、ワイヤレスインターフェース810が、本発明の範囲を逸脱することなく、任意の種類のワイヤレス通信能力を包含し得ることを理解するであろう。
【0071】
プロセッサ820は、モバイル装置800内の多様なコンポーネントと通信可能な任意の種類のプロセッサであってもよい。例えば、プロセッサ820は、特定用途向け集積回路(ASIC)供給業者から入手可能な埋め込み式プロセッサであってもよく、または市販のマイクロプロセッサであってもよい。幾つかの実施形態において、プロセッサ820は、画像または映像データを走査型プロジェクタ801に提供する。画像または映像データは、ワイヤレスインターフェース810から取得されるものであっても、またはワイヤレスインターフェース810から取得されたデータから得られるものであってもよい。例えば、プロセッサ820を経由して、走査型プロジェクタ801は、ワイヤレスインターフェース810から直接受信した画像または映像を表示し得る。また例えば、プロセッサ820は、ワイヤレスインターフェース810から受信した画像および/または映像に加えるオーバーレイを付与してもよく、またはワイヤレスインターフェース810から受信したデータに基づいて保存した画像を改変してもよい(例えば、ワイヤレスインターフェース810が位置座標を提供するGPS実施形態ではマップ表示を修正する)。
【0072】
図9は、本発明の多様な実施形態に従ったモバイル装置を示す。モバイル装置900は、通信能力を有するまたは有さない携帯型プロジェクション装置であってもよい。例えば、幾つかの実施形態において、モバイル装置900は、他の能力をほとんどまたは全く有さない携帯型プロジェクタであってもよい。また例えば、幾つかの実施形態において、モバイル装置900は、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDS)、全地球測位システム(GPS)レシーバなどを含む、通信に利用可能な装置であってもよい。更に、モバイル装置900はワイヤレス(例えば、WiMax)または携帯電話接続によってより大きなネットワークに接続されてもよく、または、この装置はデータメッセージまたは映像コンテンツを、規制されないスペクトル接続(例:WiFi)を経由して受け取ることができる。
【0073】
モバイル装置900は、走査型プロジェクタ801を包含し、画像平面180で光により画像を生成する。モバイル装置900は、多数の他の種類の回路も包含することができるが、それらは図面の簡素化のために図9では省略されている。
【0074】
モバイル装置900は、ディスプレイ910と、キーパッド920と、オーディオポート902と、制御ボタン904と、カードスロット906と、オーディオ/ビデオ(A/V)ポート908とを包含する。これらの要素は、いずれも必須なものではない。例えば、モバイル装置900は、ディスプレイ910、キーパッド920、オーディオポート902、コントロールボタン904、カードスロット906またはA/Vポート908を一切含まずに、走査型プロジェクタ801のみを包含していてもよい。幾つかの実施形態において、これら要素のサブセットが包含される。例えば、アクセサリプロジェクタ製品は、走査型プロジェクタ801と、制御ボタン904と、A/Vポート908とを包含していてもよい。
【0075】
ディスプレイ910は、任意の種類のディスプレイを使用し得る。例えば、幾つかの実施形態において、ディスプレイ910は、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンを包含する。ディスプレイ910は、画像平面180で投影されたものと同じ内容を常に表示することができ、または異なる内容を常に表示し得る。例えば、アクセサリプロジェクタ製品は常に同じ内容を表示でき、一方、モバイル電話の実施形態では、画像平面180で1種類のコンテンツを投影し、ディスプレイ910に異なる内容を表示する。キーパッド920は、電話のキーパッドであってもよく、また異なる種類のキーパッドであってもよい。
【0076】
A/Vポート908は、映像信号および/または音声信号を受信および/または送信する。例えばA/Vポート908は、高精度マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))ポートなどの、デジタル音声および映像データを伝達するのに適したケーブルを受け入れるデジタルポートであってもよい。更に、A/Vポート908は、複合入力を受け付けるためのRCAジャックを含むことができる。更にまた、A/Vポート908は、アナログ映像信号を受け取るVGAコネクタを包含していてもよい。幾つかの実施形態において、モバイル装置900は、A/Vポート908を経由して外部の信号源に繋ぐことができ、モバイル装置900は、A/Vポート908を経由して受け取ったコンテンツを投影することができる。他の実施形態では、モバイル装置900は、コンテンツの生成元であってもよく、A/Vポート908は異なる装置にコンテンツを送信するために使用される。
【0077】
オーディオポート902は、音声信号を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、モバイル装置900は、音声および映像を保存して再生できるメディアプレーヤである。これらの実施形態では、映像は画像平面180で投影され、音声はオーディオポート902で出力される。他の実施形態では、モバイル装置900は、音声と映像をA/Vポート908で受け取るアクセサリプロジェクタであってもよい。これらの実施形態では、モバイル装置900は、画像平面180で映像コンテンツを投影し、オーディオポート902で音声コンテンツを出力することができる。
【0078】
モバイル装置900はまた、カードスロット906も包含する。幾つかの実施形態において、カードスロット906に挿入されたメモリカードは、オーディオポート902で出力される音声ソースおよび/または画像平面180で投影される映像データを提供し得る。カードスロット906は、任意の種類の固体メモリデバイス、例えば、マルチメディアメモリカード(MMC)、メモリスティックDUO、セキュアデジタル(SD)メモリカードおよびスマートメディアカードを受け入れることができる。これらは例示であって、全てではない。
【0079】
図10は、本発明の多様な実施形態に従ったヘッドアップ・ディスプレイ・システムを示す。プロジェクタ801は、1000で車両のダッシュボードに取り付けられてヘッド
アップ表示を投影することが示されている。自動車のヘッドアップディスプレイが図10に示されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の多様な実施形態としては、航空電子工学用途、航空交通管制用途および他の用途におけるヘッドアップディスプレイが挙げられる。
【0080】
図11は、本発明の多様な実施形態に従ったアイウェアを示す。アイウェア1100は、アイウェアの視野において表示を投影するためのプロジェクタ801を包含する。アイウェア1100は、幾つかの実施形態においてはシースルーであり、他の実施形態においては不透明である。例えば、アイウェアは、拡張現実用途において使用してもよく、ここでは、着用者は、プロジェクタ801からの表示を物理的世界に重ねてみることができる。また例えば、アイウェアは、仮想現実用途において使用されてもよく、ここでは着用者の視界は全てプロジェクタ801によって生成される。図11にはプロジェクタ801が1つだけ示されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、幾つかの実施形態において、アイウェア1100は、それぞれの目に対して1つずつ、計2つのプロジェクタを包含する。
【0081】
図12は、本発明の多様な実施形態に従ったゲーム用装置を示す。ゲーム用装置1200は一人または複数の使用者にゲーム環境を見せて接触させる。ゲームは、プロジェクション装置801を包含する装置であるゲーム用装置1200の動き、位置または向きに基づいてナビゲーションされる。手動ボタン、フットペダルまたは口頭コマンドなどの他の制御インターフェースはまた、ゲーム環境のナビゲーションまたはそれとの接触に寄与し得る。例えば、幾つかの実施形態において、トリガ1242は、一人または複数の使用者が、「一人称視点シューターゲーム」として一般的に知られている一人称視点のビデオゲーム環境に身を置いているという錯覚に寄与する。投影された表示は使用者の動きと組み合わせてゲームアプリケーションによって制御可能であり、ゲーム用装置1200はこれらの使用者にとって非常に真に迫ったまたは「没入できる」環境を生み出す。
【0082】
3Dの地震物理探査、宇宙遊泳計画、ジャングルのキャノピー探査、自動車安全指示、医療教育のような活動のための多くの他の一人称視点シミュレーションもゲーム用装置1200によって作成可能である。触覚インターフェース1244は、反跳、振動、振とう、ランブルなどの様々な出力信号を提供し得る。触覚インターフェース1244はまた、タッチディスプレイスクリーンまたはスタイラスを必要とするディスプレイスクリーンなどのタッチ入力機構を包含していてもよい。更なる触覚インターフェース、例えば、動作感知型プローブ用の入力および/または出力機構も本発明の多様な実施形態に包含される。
【0083】
ゲーム用装置1200はまた、統合オーディオスピーカ、リモートスピーカまたはヘッドフォンなどの音声出力装置を包含していてもよい。この種の音声出力装置は、有線で、またはワイヤレス技術によりゲーム用装置1200に接続されてもよい。例えば、ワイヤレスヘッドフォン1246は、Bluetooth(登録商標)接続を介して使用者に音響効果を与えるが、任意の種類の同様のワイヤレス技術も自由に代替として使用することができる。幾つかの実施形態において、ワイヤレスヘッドフォン1246は、複数の使用者、指示者または観察者の通信を可能にするためのマイクロフォン1245またはバイノーラルマイクロフォン1247を包含していてもよい。バイノーラルマイクロフォン1247は、典型的には、使用者の頭影によって修正される音を捕捉するべく各イヤピース上にマイクロフォンを包含する。この機構は、他のシミュレーション参加者によって両耳聴および音定位のために使用され得る。
【0084】
ゲーム用装置1200は、距離、周囲輝度、動き、位置、向きなどを測定する任意数のセンサ1210を包含していてもよい。例えば、ゲーム用装置1200は、デジタルコン
パスで絶対方位(absolute heading)を検出し、x−y−zジャイロスコープまたは加速度計で相対的な動きを検出し得る。幾つかの実施形態において、ゲーム用装置1200はまた、装置の相対的な向きまたはその迅速な加速または減速を検出するための第2加速度計またはジャイロスコープを包含する。他の実施形態において、ゲーム用装置1200は、使用者が地球上の空間を移動する際の絶対位置を検出する全地球測位衛星(GPS)センサを包含していてもよい。
【0085】
ゲーム用装置1200は、バッテリ1241および/または診断用ライト1243を包含していてもよい。例えば、バッテリ1241は充電式バッテリであってもよく、診断用ライト1243はバッテリの電流充電を示すことができる。別の実施形態において、バッテリ1241は取り外し可能なバッテリクリップであってもよく、ゲーム用装置1200は、装置の動作を継続させるための更なるバッテリ、電気コンデンサまたはスーパーコンデンサを有していてもよく、放電したバッテリは充電済みバッテリと交換される。他の実施形態において、診断用ライト1243は、使用者またはサービス技術者に、この装置内に包含されるまたは接続される電子コンポーネントの状態に関する情報を与えることができる。例えば、診断用ライト1243は、受信したワイヤレス信号の強度、またはメモリカードの有無を示し得る。診断用ライト1243の代わりに、有機発光ダイオードまたは液晶表示スクリーンなどの任意の小さなスクリーンを使用することもできる。この装置のシェルが半透明または透明である場合、このようなライトまたはスクリーンは、ゲーム用装置1200の外側表面上、または当該表面下に設置することができる。
【0086】
ゲーム用装置1200の他のコンポーネントは、この装置から取り外し可能であるか、離脱可能であるか、または分離可能であってもよい。例えば、プロジェクション装置801は、ゲーム用ハウジング1249から離脱可能であるか、または分離可能であってもよい。幾つかの実施形態において、プロジェクション装置801のサブコンポーネントは、ゲーム用ハウジング1249から離脱可能であるか、または分離可能であってもよく、それでも機能する。
【0087】
上述のように、本発明の多様な実施形態は、低速較正方法および装置を、高速温度予測に基づく補正方法および装置と組み合わせる。ゲイン/オフセット較正がいずれの場合にも使用可能であるが、低速ゲイン調整装置が高速(予測)ゲイン補正装置と組み合わされ、低速オフセット調整装置が高速(予測)オフセット補正装置と組み合わされる。
【0088】
本発明を幾つかの実施形態と関連して説明してきたが、当業者が容易に理解するように、本発明の範囲から逸脱することなく修正および変更を行うことができることを理解すべきである。このような修正および変更は、本発明の範囲および添付の特許請求の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12