【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
エアモータによって駆動されるエア工具において、
前記エアモータを収容するエアモータ収容部、及び該エアモータ収容部から延びて後方開口端にまで至る筒状の給排気管収容部、を有する工具ハウジングであって、前記エアモータ収容部が、前記エアモータに圧縮空気を供給する圧縮空気入口と前記エアモータから圧縮空気を排出する圧縮空気出口とを有し、前記圧縮空気入口と前記圧縮空気出口とが前記給排気管収容部内に開口している、工具ハウジングと、
前記工具ハウジングの前記給排気管収容部の内部に配置された給気管であって、前記後方開口端近傍に位置して圧縮空気供給源からの圧縮空気を受け入れる給気入口、前記圧縮空気入口に連通される給気出口、及び前記給気入口から前記給気出口まで延びる給気流路を有する給気管と、
前記工具ハウジングの前記給排気管収容部の内部に配置された排気管であって、前記圧縮空気出口に連通される排気入口、前記後方開口端近傍に位置して圧縮空気を前記給排気管収容部の外部へ排出する排気出口、及び前記排気入口から前記排気出口まで延びる排気流路を有する排気管と、
を備え、
前記排気管が、前記給排気管収容部とは別体に形成された、エア工具を提供する。
【0007】
当該エア工具においては、工具ハウジング内に配置された排気管が、工具ハウジングの給排気管収容部とは別体に形成されているので、断熱膨張により冷却された排気が工具ハウジングを直接冷却することを回避することができ、これにより、工具ハウジングが冷たくなるのを抑制することが可能となる。また、排気が給排気管収容部に直接触れないで外部に排気されるようになっているので、排気される圧縮空気中の作動油が給排気管収容部の隙間から外に漏れることを防止することも可能となる。
【0008】
好ましくは、前記排気管が、前記給排気管収容部の側壁との間に隙間が形成されるように配置されているようにすることができる。
【0009】
排気管と給排気管収容部との間に隙間を設けることで排気管と給排気管収容部との間の断熱効果を高めて、断熱膨張した排気による工具ハウジングの冷却をさらに抑制することが可能となる。
【0010】
好ましくは、前記排気管は、その一部において前記給排気管収容部と係合して該給排気管収容部によって支持されるようにされ、該排気管の一部及び該一部が係合される前記給排気管収容部の少なくとも一方に凹部が設けられて、該排気管の一部及び該一部が係合される前記給排気管収容部との間に隙間が形成されるようにすることができる。
【0011】
排気管が給排気管収容部と係合するようにすることで、給排気管収容部が排気管によって支えられるので、工具ハウジングの剛性を高めることが可能となり、しかも上記隙間が形成されるので、給排気管収容部の冷却を抑えることができる
【0012】
好ましくは、前記給気管が、前記給排気管収容部とは別体に形成され、前記給排気管収容部の側壁との間に隙間が形成されるように配置されているようにすることができる。
【0013】
排気管と共に給気管も給排気管収容部と別体に形成されるので、それらが給排気管収容部と一体的に形成される場合に較べて製造を容易にすることができる。また、給気管と給排気管収容部の側壁との間に隙間が形成されているので、排気管が圧縮空気の断熱膨張によって冷却されることに伴って冷却される給気管によって工具ハウジングが直接冷却されることを回避することができる。
【0014】
好ましくは、前記給気管及び前記排気管が一体に形成されているようにすることができる。
【0015】
給気管と排気管とが一体とされて一つの部材とされているので、製造時の組立を容易にすることができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記給気管の前記給気出口が前記排気管の前記排気入口の上方に位置し、前記給気管の前記給気入口が前記排気管の前記排気出口よりも下方に位置し、
前記給気管の前記給気流路は、前記給気入口から前記給気出口まで略直線状に延在し、
前記排気管は、前記排気入口と前記排気出口との間の中間部分で左右2つに分かれた第1及び第2中間部分を有し、該第1及び第2中間部分が前記給気管を両側から挟むように延在するようにすることができる。
【0017】
ここで「上方」「下方」とは、「エアモータ収容部」を前方位置とし、「給排気管収容部」を該エアモータ収容部から略水平方向後方に延びるように設定した場合の位置関係であり、当該エア工具の使用時における位置関係を必ずしも意味するものではない。
【0018】
圧縮空気供給源に接続される給気管の給気入口を排気出口の下方位置とすることで、給気入口から垂れ下がるエアホースに排気が当たらないようにすることができる。さらに、給気流路が略直線状となっているので、エアモータへ圧縮空気を供給する際の圧力損失を小さく押さえることが可能となる。さらには、排気管の中間部分が給気管を両側から挟むように構成されているので、中間部分全体を直線状に延びる給気管の一方の側を通して延ばした場合に較べて、排気流路の当該中間部分における流路断面積を確保しつつ排気流路の曲がりを少なくすることができ流路抵抗を抑えることができる。
【0019】
または、前記給気管の前記給気出口が前記排気管の前記排気入口の下方に位置し、前記給気管の前記給気入口が前記排気管の前記排気出口の下方に位置し、前記給気流路と前記排気流路とが並行に配置されているようにすることもできる。
【0020】
好ましくは、前記給気管の前記給気出口と前記工具ハウジングの前記圧縮空気入口との間に配置された第1シール部材と、前記排気管の前記排気入口と前記工具ハウジングの前記圧縮空気出口との間に配置された第2シール部材とをさらに備え、
前記給気管及び前記排気管が、前記給気流路及び前記排気流路に対して略直角な方向で前記給排気管収容部内に挿入されて該給排気管収容部内に配置されるようにされており、
前記給気管の前記給気出口の端面が前記方向に面するように該方向に対して傾斜し、該給気出口の端面に当接される前記第1シール部材の面が挿入されてきた前記給気管の前記給気出口の端面に密封係合するように前記方向に対して傾斜しており、
前記排気管の前記排気入口の端面が前記方向に面するように該方向に対して傾斜し、前記排気出口の端面に当接される前記第2シール部材の面が挿入されてきた前記排気管の前記排気入口の端面に密封係合するように前記方向に対して傾斜しているようにすることができる。
【0021】
このような構成により、給気管及び排気管を工具ハウジングに取り付ける際に、給気管及び排気管を給気流路及び排気流路に対して略直角な方向で工具ハウジングの給排気管収容部内に挿入するに従って、第1及び第2シール部材がそれぞれ給気出口及び排気入口によって徐々に圧縮されるようになる。これにより、給気出口及び排気入口並びに各シール部材が傾斜していない場合に比べて、各シール部材にかかる摺動摩擦が低減されて、摩擦により各シール部材が損傷する可能性が低減される。また、給気管及び排気管と各シール部材との間に生じる摩擦抵抗が小さくなるので給気管及び排気管を工具ハウジングの給排気管収容部内に挿入する際に必要な力が低減されて、組み立て性が向上するようにもなる。
【0022】
好ましくは、前記給気管の中に配置されて前記給気流路を開閉するためのバルブをさらに備えるようにすることができる。
【0023】
さらに好ましくは前記給気管の外部から前記排気流路を通ることなく前記給気流路内へ延び、前記バルブと係合されたバルブ制御部材をさらに備え、
該バルブ制御部材を前記外部から操作することにより前記バルブの開閉操作を行うようにすることができる。
【0024】
バルブ制御部材が排気流路を通らないように設けられているので、排気流路にバルブ制御部材とのシール構造を設ける必要がなくなり、構成を簡略化することが可能となる。
【0025】
以下、本発明に係るエア工具の実施形態を添付図面に基づき説明する。