(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
熱アシスト磁気記録(HAMR)は、記録層において使用される材料の高い結晶磁気異方性によって磁気記録の面密度を拡張する能力を有する。HAMR媒体を形成するために、1つ以上の下層を使用して高異方性磁気記録層の粒度が配向および/または制御され得る。たとえば、FePtを含む記録層について、これらの下層を使用してFePt膜のL10(001)テクスチャが導入され得る。FePt(または他の磁気層)の微細構造は、c軸分散および粒度など、磁気層の微細構造を制御する役割を有する直下の下層に依存する。たとえば、下層は以下の性質のうち1つ以上を提供し得る。1)磁気層のエピタキシャル成長に好適な格子構造。2)化学的安定性および拡散隔膜。3)磁気層の粒度および結晶配向を制御するための適切な表面性質。
【0004】
本願明細書において説明される実施形態は、基板と磁気記録層との間の磁気スタックに配置されるTiN−X層の使用を伴う。TiN−X層は、上記で述べた性質のうち少なくとも一部を磁気記録層に提供し得る。磁気層のエピタキシャル成長の配向(たとえば、FePt(001)エピタキシャル成長)を促すことに加え、TiN−X層は、磁気記録層の二相粒成長を支持し得る。さらに、TiN−X層は、所定量の熱伝導性を提供し得る、および/またはTiN−X層の一方側に配置された磁気層とTiN−X層の反対側に配置された層との間の相互拡散を阻止する機能を有し得る。
【0005】
様々な実施によれば、TiN−X中間層は、TiNと少なくとも1つのドープ材料Xとを含み、Xは、MgO、TiO、TiO
2、ZrN、ZrO、ZrO
2、HfN、HfO、およびHfO
2、AlNならびにAl
2O
3のうち1つ以上を含む。一部の場合において、ドーパントXは、298Kでの対応する金属窒化物の形成の熱がTiNのための338kJ/g原子金属よりも小さくない材料であり得る。一部の実施形態において、TiN−X層は、CrRuおよびMgOのうち1つ以上を含む軟磁性下地層と協働して使用される。
【0006】
図1aは、TiN−X層110を含む磁気スタック100を示す図である。TiN−X層は、スタック100において、磁気記録層120の下にある。
図1に示されるように、TiN−X層は、基板101と磁気記録層120との間に配置される。保護オーバーコートもしくは潤滑剤層150は、磁気記録層120上に配置され得る。磁気記録層120は、二相粒層である。磁気記録層120の第1相は、磁性粒子121を含み、第2相は、磁性粒子121の粒界の間に配置された非磁性分離体122を含む。非磁性分離体122は、C、SiO
2、Al
2O
3、Si
3N
4、BNのうち1つ以上、または他の代替的な酸化物、窒化物、ホウ化物、もしくは炭化物材料を含み得る。磁性粒子121のための好適な材料は、たとえば、FePt、FeXPt合金、FeXPd合金、Co3Ptを含む。これらの任意の材料の様々な組み合わせが磁気層120に使用され得るが、本願明細書において提供される例は、磁気記録層材料としてFePtに焦点を当てている。一部の構成において、磁気記録層は、FePtの磁性結晶粒子と、結晶粒子間に配置されるSiO
xおよびCを含む非磁性分離体とを含む。磁気層は、約35体積%から約45体積%の量のSiO
xと、約20体積%の量のCとを含み得る。
【0007】
TiN−X層110は、TiNとドーパントXとを含む。TiNは、f.c.c格子構造を有する侵入型窒化物セラミックのタイプである。TiNとFePtとの間の格子不整は9.5%であり、これはMgOのものよりも僅かに大きい。FePt(001)<001>||TiN(100)<001>||Si(100)<001>の配向関係は、FePtがTiN上で成長したときに確立され得る。しかしながら、FePtと非ドープTiNとの間の濡れ接触により、分離体材料を用いてFePtをドープすることによってFePt粒度を減少させることが難しくなり得る。しかしながら、TiNがXでドープされてTiN−X層110を形成した場合にこの懸念は緩和され得る。TiN−X層110は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118を有する二相粒子層を含み得て、X材料の少なくとも一部がTiN−Xおよび/またはTiN粒子118の粒界119に配置される。
【0008】
TiN−X層110におけるドーパントXは、たとえば、MgO、TiO、TiO
2、ZrN、ZrO、ZrO
2、HfN、HfOおよびHfO
2、AlN、ならびにAl
2O
3のうち1つ以上を含み得る。TiN−X層は、約2nmから約40nmの範囲の厚さ、または約30nm以上の厚さを有し得る。TiN−X層の厚さは、特定の熱設計基準を提供するために選択され得る。TiN−X層の一例として、XはTiO
2であり得て、TiO
2は、0より大きく約40体積%以下の量でTiN−X層内に存在する。XがTiO
2である場合、TiN−X層110の組成は、TiO
0.45N
0.55であり得る。この場合において、磁気記録層は、磁性結晶粒子(
図1の要素121を参照)を含み得て、磁気層の面における平均直径は約8.5nm未満である。
【0009】
TiN−X層におけるドーパントの量は、矢印199によって示されるように基板からの距離によって変化し得て、矢印199はドーパントの増加する方向を指す。たとえば、Xの量は、基板101近くの0%から磁気記録層120近くの約30%または40%へと変化し得る。
【0010】
TiN−X層の他の例として、XはZrO
2であり得て、ZrO
2は、0より大きく約30体積%以下の量でTiN−X層に存在する。この例において、磁気記録層は、磁気層の面における平均直径が約6nm未満である磁性結晶粒子121を含み得る。
【0011】
一部の実施形態において、磁気スタックは、
図1bに示されるように、ドープTiN−X層111と非ドープTiN層112とを含み得る。非ドープTiN層112は、
基板101とTiN−X層111との間に配置される。TiNおよびTiN−X層を使用する一部の構成において、TiN層は、約2nmの厚さを有し得て、TiN−X層は、約3nmの厚さを有し得る。TiN−X層111は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118を有する二相粒子層を含み得て、X材料の少なくとも一部は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118の粒界119に配置される。
【0012】
図2aは、下地層205と協働して使用されるTiN−X層210を含む他の磁気スタック200を示す。下地層205は、複数の別個の材料層を含み得る、および/またはいくつかの機能を行う1つの層を含み得る。たとえば、下地層は、軟磁性下地層またはヒートシンクを提供し得る。下地層は、たとえば、MgOまたはCrRuを含み得る。先に説明したように、TiN−X層はXでドープされ、Xは、MgO、TiO、TiO
2、ZrN、ZrO、ZrO
2、HfN、HfOおよびHfO
2、AlN、ならびにAl
2O
3のうち1つ以上を含み得る。TiN−X層が下地層205と協働して使用される場合、TiN−X層の厚さは約5nmから約10nmであり得る。
【0013】
先に説明したように、TiN−X層111は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118を有する二相粒子層を含み得て、X材料の少なくとも一部は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118の粒界119に配置される。
【0014】
TiN−X層におけるドーパントの量は、矢印199によって示されるように基板からの距離によって変化し得て、矢印199は、ドーパントが増加する方向を指している。たとえば、Xの量は、基板101近くの0%から磁気記録層120近くの約30%または40%へ変化し得る。
【0015】
図2bに示されるように、磁気スタック201は、先に説明したように非ドープTiN層および下地層205とともに、ドープTiN−X層211を含み得る。非ドープTiN層は、下地層205とTiN−X層との間に配置される。TiNおよびTiN−X層を使用する一部の構成において、TiN層は、約2nmの厚さを有し得て、TiN−X層は、約3nmの厚さを有し得る。
【0016】
TiN−X層211は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118を有する二相粒子層を含み得て、X材料の少なくとも一部は、TiN−Xおよび/またはTiN粒子118の粒界に配置される。
【0017】
TiN−X層におけるドープにより、粒界119に固溶体粒子118および非結晶材料が形成される。特定の実施形態において、TiN−X中間層におけるZrO
xドープにより、ZrTiON固溶体粒子が形成され、非結晶ZrO
2が分離される。また、粒子TiN−X中間層211は、ZrTiON粒子の上部にエピタキシャルに形成されたFePtなどの磁気記録層120の粒子121へ粒状構造を転置させることができ、これにより、磁気記録層の粒度の制御が補助される。
【0018】
加えて、
図2bに示される二層TiN/TiN−X構造212/211は、HAMR熱設計の視点から好ましい。磁気記録層120(たとえば、FePtX)に最適な熱勾配を提供するために、横方向に熱的に隔離された界面層211(たとえば、ZrTiON:ZrO
2であり、熱的な隔離はZrO
2非結晶粒界による)が磁気記録層120の直下に設置され得る。この構成において、磁気記録層120における熱は、(熱的に伝導する)TiN層212およびその下方のヒートシンク205へ向けて矢印216に沿って垂直方向に主に伝導される。TiN−X層211は、矢印215に沿った横方向の熱伝導に抗する熱抵抗層として部分的に機能し得る。TiN−X層211における酸化物119の領域は、TiNと比較した場合に低い熱伝導性を有し、二相TiN−X層211は横方向の熱伝導に抗する。横方向に抗するTiN−X層211は、ヒートシンクまたは他の熱伝導界面層からの再加熱により、磁気記録層120における横方向の熱ブルームを減少させる。たとえば、二層構造ZrTiON:ZrO
2/TiNは、ZrTiON:ZrO
2層を有さないTiN界面層と比較した場合に優れた熱的性質を提供する。
【0019】
本願明細書で記載される実施形態によれば、TiN−X層は、複合ターゲットを直流スパッタリングすることにより、または、上昇した基板温度(400℃以上)でのマグネトロンスパッタリングを用いたTiNとMgO、TiO、TiO
2、ZrN、ZrO、ZrO
2、HfN、HfOおよびHfO
2AlN、ならびにAl
2O
3のうちの少なくとも1つとの共堆積により、作られ得る。ドープ濃度は、0から40体積%へ変化し得る。40体積%より大きいドーパントが加えられた場合、界面層配向の悪化が起こりやすくなる。3つのIV族要素Ti、Zr、およびHfの窒化物、炭化物、および一酸化物は、類似の化学的および物理的性質を有する異種同形物であり、互いに完全に溶解可能であることから、最終的なTiN−Xは、MgO、TiO、ZrN、ZrO、HfN、HfO、AlN、およびAl
2O
3のうちの少なくとも1つとの固溶体となる。TiN−Xの(001)配向のfcc構造は、FePt(001)エピタキシャル成長を可能とするために維持される。ドープによって変化したTiN−Xの表面性質は、よりFePt粒子成長に好ましいものとなり、これ故に粒度の減少を向上させる。ドープに酸素成分がある場合、僅かなTiO
2、ZrO
2、Al
2O
3、および/またはHfO
2などの酸化物が柱状TiN−X下地層/界面層の粒界に形成され、粒子隔離およびFePt粒子の交換減結合が改善される。
【0020】
磁気記録媒体における使用のための高磁気結晶異方性を有するFePt合金については、FePt薄膜の微構造制御が考えられる。熱力学の観点から、磁気記録層の下方にある層の内在的特性、すなわち表面特性および格子構造は、エピタキシャル成長によって作られるFePt薄膜の粒度、テクスチャ、および表面形態などの微構造特性を定める際に、たとえば非磁性体を用いた磁性材料のドープおよび/または堆積パラメータ調節などの外的方法よりも重要な役割を担い得る。しかしながら、下地層に使用される一部の材料は、粒子FePt薄膜の微構造要件であるエピタキシャル成長(大きな表面エネルギーおよび小さな不整合)およびアイランド成長(小さな表面エネルギーおよび大きな不整合)の間の最適なバランスを実現し得ない。このため、上記の基準を満たすように下地層の特性を内在的に変更することができると有用となり得る。たとえば、TiN−X層の内在的特性を変更することは、TiN−X層のドーパントXを変更することによって達成され得る。XがTiO
2またはZrO
2である場合、たとえば、Xが変化することにより、それぞれTiO
xN
yまたはZrTiO
xN
yを含むTiN−Xが作られ得る。xおよびyは、TiN−X層を通して一定であり得る、またはTiN−X層の少なくとも一部にわたって所定距離にわたって変化し得る。
【0021】
TiNは、特にその拡散バリアとしての性能およびその熱伝導性により、L1
0(001)FePtエピタキシャル成長のための下地材料として好ましい。TiN上で成長したFePt膜は、FePtとの良好な濡れ接触により、面内ヒステリシスループの小さな開放性を示した。しかしながら、FePt層にドーパントを加えることによってTiN上に成長したFePt膜の粒度を縮小することは困難であり得る。なぜなら、FePtとTiNとの間の良好な濡れ接触により、粒子ドーパントが拡散され得るためである。また、TiNとFePtとの間における比較的大きな格子不整合は、磁気特性を悪化させ得る格子緩和の原因となり得る。
【0022】
以下で説明するいくつかの例は、磁気記録層の下方にある界面層として使用される、X=TiO
2(TiO
xN
y)またはX=ZrO
2(ZrTiO
xN
y)であるTiN−X層を伴う。TiO
xN
yまたはZrTiO
xN
y界面層は、TiNとTiO
2またはZrO
2とを共ドープすることによって形成され得る。TiNの異種同形体である一酸化チタン(TiO)および一酸化ジルコニウム(ZrO)は、TiNと同じ結晶構造を有するが、小さな表面エネルギーおよび格子定数を有する。相分離を起こす一般的なFePtにおけるドープとは異なり、TiOおよびZrOはTiNに溶解可能である。これ故に、TiNとTiOまたはZrOとがTiO
xNまたはZrTiO
xN
y中間層を形成する場合、ベガードの法則(Vegard's law)によれば、TiO
xN
y/ZrTiO
xN
yは、FePtのアイランド成長が向上するようにTiNよりも小さい表面エネルギーを示し得る。FePtとの格子不整合は、ZrTiOxNyよりもTiO
xN
yの方が小さくなり得る。TiO
xN
yまたはZrTiO
xN
y界面層の表面エネルギーおよび格子定数などの特性は、x/yが変化した場合に変更され得て、異なるドープ材料を用いた最適なFePt膜を実現するための機会が提供される。
【0023】
TiN−X層の適用のために、
図1a、
図1b、
図2a、および
図2bに示されるようないくつかの媒体構造が使用され得る。
図1aに示されるように、TiN−X界面層110は、磁気記録層120の下方にあり、シリコン/ガラス基板101上に直接的に形成される。(001)配向fccTiN−X粒子上に成長したFePtベースの記録層(たとえば、約10nmの厚さを有する)は、エピタキシャル成長によって垂直異方性を有し、TiN−Xおよび/またはFePtにおける他のドープの柱状構造によって小さな粒度を有する。FePt材料は、FePt粒子を分離する非磁性分離帯を用いてドープされる。FePt粒度を減少させるために、C、Ag、SiO
2、TiO
2、Ta
2O
5、および/またはSi
3N
4などの1つ以上のドーパントが使用され得る。一部の場合において、TiN−X層は、ヒートシンク層としての役割も担う。
【0024】
図2aは、TiN−X(約5nmから10nmの厚さ)が磁気記録層120の下方にある他の媒体構造を示す。この例において、TiN−X層は、CrRuまたはMgOベースの下地層などの下地層上に形成される。この構成におけるTiN−X界面層の機能は、下地層205とFePt磁気層120との間の相互拡散を阻止すること、および/またはFePt記録層の微細構造をさらに微細化することであり得る。
【0025】
TiON層およびZrTiON層は、10mTorrのAr圧力で超高真空チャンバ内の無酸素環境において、TiNとTiO
2/ZrO
2ターゲットをそれぞれ同時スパッタリングすることにより、CrRu(30nm)/ガラス基板上に作られた。FePt成長に関するTiONおよびZrTiONの内在的挙動を調査するために、TiON層およびZrTiON層上に10nmの純粋なFePt膜のサンプルのグループを成長させ、様々なTiOまたはZrO
xドープが3×10
−9Torrの底面圧でマグネトロンスパッタリングによりCrRu(30nm)/ガラス基板上に堆積された。
【0026】
FePt粒度縮小に対するTiON/ZrTiON中間層の効果をさらに研究するために、FePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜を有する他の3つのサンプルのグループがTiONおよびZrTiON中間層上にそれぞれ作られた。TiN(3nm)/TiON(ZrTiON)(2nm)複合中間層を使用することによる向上した微細構造制御も調査された。スパッタリング時の原位置での基板加熱が使用された。CrRu、TiON、およびFePtの基板温度は、それぞれ280℃および480℃であった。TiON/ZrTiON中間層の要素組成および化学的状態は、X線光電子分光法(XPS)によって判定された。すべてのサンプルの結晶学的構造および微細構造は、X線回折(XRD)、走査電子顕微鏡法(SEM)、および透過電子顕微鏡法(TEM)によって測定された。磁気特性は、5テスラの最大印加磁場を用いて超電導量子干渉素子(SQUID)により室温で特徴づけがなされた。
【0027】
この実験におけるTiNおよびTiO
2の共スパッタリングは、超高真空チャンバにおいてArを処理ガスとして使用して行われた。堆積された膜における酸素の最終状態は、スパッタリング時の酸素の欠乏により、二酸化チタンの形態ではなく一酸化チタンの形態となることが予想された。窒化チタンおよび一酸化チタンは、異種同形体であり、完全に溶解可能である。また、これらは幅広い範囲の組成を有する。結果として、得られる中間層は、TiNとTiOとの固溶体、すなわちTiON中間層となり得る。
図3は、40体積%のTiO
xドープを伴うTiON中間層についてのTi2pスペクトルの高解像度XPS分析を示し、I一酸化物、II窒化物、およびIII酸窒化物がTi2P3/2およびTi2p1/2スピン軌道双ピークに現れ、チタンおよび酸素がTiO
2ではなくTiOとして形成されたことを示す。Ti2pの定量分析は、共スパッタリングされたTiN−40体積%TiO
xから得られたTiON中間層がTiO
0.45N
0.55の化学量を有し、XがTiO
2であり、TiO濃度がTiO
xの較正ドープ濃度にかなり近いことを示した。また、TiON中間層の深さプロファイル分析は、Ti、O、およびNの均一な要素分布を示し、一酸化チタンが表面酸化から生じ得ないことを示している。
【0028】
すべてのサンプルの結晶構造は、XRD測定によって判定された。
図4aは、様々なTiO
xドープ濃度を伴ってTiON中間層上に成長した10FePt膜のXRDスペクトルを示す。TiON中間層上に成長したすべてのFePt膜は、良好なL1
0(001)テクスチャを示す。TiON(002)ピークのみが観察され、他のTi−O−N相からのピークは見つからなかった。これは、単一のf.c.c格子構造を示唆している。TiO
xドープの増大に伴う、低い角度へ向けたFePt(001)ピークの僅かな遷移、および高い角度へ向けたTiON(002)ピークの僅かな遷移が見られる。
図4bにプロットされているように、TiO
xドープの増大に伴うTiON格子定数aの減少およびFePt格子定数cの増加は、XRDデータに基づいた計算により得られる。これは、FePt/TiON格子不整がTiO
xドープの導入によって減少し、L1
0(001)FePtエピタキシャル成長が好適になることを暗に示し得る。40体積%のTiO
xドープでは、TiONの格子定数は4.141Åであり、これは純粋なTiNの4.242Åよりも小さく、FePtの格子定数cは3.669Åであった。40体積%を超えるTiO
xドープは、界面層および記録層の配向の悪化を引き起こしやすい。f.c.cTiNおよびf.c.cTiOの両方はTiもしくはN(O)格子箇所における多数の空孔に耐え得ることを知っておくべきである。概して、空孔が増加すると格子定数が減少する。このため、空孔があることにより、TiON格子定数の減少に寄与し得る。
【0029】
様々なTiO
xドープ濃度を伴ってTiON中間層上で成長したFePt膜の平面視SEM画像が
図5aから
図5cに示される。
図5a、
図5b、および
図5cは、0(5a)、20%(5b)、および40%(5c)のTiO
xドープ濃度を伴ってTiON中間層上で成長した10nmFePt膜のSEM画像を示す。純粋なTiN中間層上で成長したFePt膜と比較し、FePtがTiON中間層で成長した場合に粒度は減少した。さらに、TiO
xドープ濃度の増加に伴って粒度は減少する。粒子隔離もまた向上する。チタンの酸化物は、その窒化物と比べて小さな表面エネルギーを有する。結果として、TiONの表面エネルギーは、TiO
x成分の増加に伴って減少し、FePt粒度を縮小することができ、粒子隔離を向上させることができる。これは、ウォリメル−ウェーバー(Volmer-Weber)型(アイランド)成長技術に一致している。TiNおよびTiO
xの共スパッタリングにより、TiON層の表面上に欠損が作られ得て、これは核生成箇所としての役割を担い、FePt粒度の縮小に寄与し得る。
【0030】
図6は、TiON層を形成するTiN−40体積%TiO
x層を伴うFePt膜の高解像度断面TEM画像を示す。TiON層は、良好なf.c.c結晶度および良好に規定されたTiON/FePt界面と連続する。高濃度のTiO
xがTiNに対してドープされるが、相分離はTiON中間層において観察されない。このため、TiON中間層は、f.c.cTiNとf.c.cTiOとの固溶体であり、これは先に説明したXPSおよびXRD結果に一致する。
図6の差し込み図におけるTiONおよびFePtの制限視野回折(SAED)パターンは、TiON(001)<200>//FePt(001)<100>の良好なエピタキシャル関係を示す。
【0031】
図7は、様々なTiO
xドープ濃度を伴って5nmTiON中間層上に成長した10nmFePt膜の面内および面外M−Hループを示す。差し込み図は、選択されたサンプルについてのFePt(001)ピークのロッキングカーブを示す。
図7は、僅かに減少した直角度(M
r/M
s)および保磁力を示し、他の明らかな変化はない。異なるTiO
xドープ濃度を伴うサンプルのM−Hループは、ほぼ重複している。面内M−Hループの傾斜変化は、僅かに増加した面内磁化容易軸成分を示し、これはTiO
xドープの増加に伴う磁化容易軸分散の拡大によるものであり、TiO
xドープに伴うFePt(001)ωピーク(
図7の差し込み図)の半値全幅(FWHM)から分かり得る。TiO
xドープの増加に伴って変化しない面内ループは、TiNと同様に、TiON中間層が大きな面内ヒステリシスからFePt膜を防止し得ることを示し、これは従来のMgO中間層とは異なる。ここでの結果は、TiN中間層へのTiO
xの追加を増大させることはこの例におけるFePtの磁気特性を明らかに悪化させるわけではないことを示している。FePt膜の成長は、TiO
xドープの増加に伴う表面エネルギーおよび格子不整合の縮小によって向上する。TiN−X中間層へのTiO
xの追加を増加させることは、FePtの磁気特性を著しく変化させなかった。平面視のSEM画像から、FePt膜の平均粒度は、TiN中間層上で成長した場合の38.4nmからTiON中間層上で成長した場合の20.2nmへ著しく減少した。粒子隔離もまた向上した。チタンの酸化物はその窒化物よりも小さい表面エネルギーを有することから、結果として、TiONの表面エネルギーは、TiO
x成分の増加に伴って減少した。これは、FePtのウォリメル−ウェーバー型(アイランド)成長に関しては適切であり、FePt粒度の縮小およびその粒子隔離の向上につながる。加えて、TiNとTiO
xとの共スパッタリングは、TiON中間層の表面により多くの欠損を作り得て、これは核生成箇所としての役割を担うとともに、FePt粒度の縮小に寄与し得る。FePtの微細構造に対するTiON中間層の効果は、FePt−SiO
x−C膜を用いて以下でも説明される。
【0032】
上記の説明によれば、TiONは、エピタキシャル成長(減少した格子不整合)およびアイランド成長(減少した表面エネルギー)の点からFePtのための良好な中間層材料であり得る。非磁性分離体材料を用いたドープは、FePt薄膜に対して適用され得て、これは他の特徴の中でもFePt粒度を減少させる傾向にある。
図8は、様々なTiO
xドープ濃度を伴ってTiON中間層上に堆積された一連のFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜を示す。純粋なFePt膜のXRD結果と同様に、
図8から分かり得るように、FePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜は、良好なL1
0(001)テクスチャおよび低い角度へ向けた僅かな(001)ピーク遷移を示した。微細構造についての詳細な調査は、TEMを介して実施された。
【0033】
図9aおよび
図9dは、平面視のTEM画像を示し、TiO
x中間層におけるTiO
xドープの増加に伴ってFePt粒度、粒度均一性、および粒子隔離が向上したことを示す。ドープFePt−SiO
x−C膜は、純粋なFePtよりも大きな粒度縮小を示す。FePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜の平均粒度は、純粋なTiN中間層での11.15±3.66nmからTiN−TiO
x40体積%中間層での8.40±1.74nmへ減少した。
図9b、
図9c、
図9e、および
図9fは、これらの2つのサンプルの断面TEM画像を示す。純粋なTiN中間層上で成長したFePt膜は、FePtに対するTiNの良好な湿潤性により、半球粒子形状を示した。
図9cに付されるように、濡れ角は90°未満であった。ヤング方程式(Young equation)によれば、これは、TiN表面エネルギーがFePt/TiN界面エネルギーよりも大きかったことを表わしている。湿潤はエピタキシャル成長に好適であるが、FePtとTiNとの間の緊密接触はドープ材料の拡散を引き起こし、さらなるドープの増加の有効性が弱まった。半球粒子形状は、粒子の相互結合に繋がり、粒子隔離を危うくする。
図9eおよび
図9fは、40体積%TiO
xを有するTiNを含むTiON中間層の場合を示している。正方形断面を有する実質的に均一なFePt粒子が観察され得る。
図9fに付される接触角は90°である。ヤング方程式によれば、この接触角は、FePt/TiON界面エネルギーとTiON表面エネルギーとが等しいことを示す。このため、TiONの表面エネルギーはTiNの表面エネルギーよりも小さかった。これ故に、FePt粒子の分離アイランド成長が向上した。さらに、正方形粒子は良好に隔離され、ドープによる粒度縮小の有効性が促される。TiON中間層によって得られた正方形FePt粒子は、同じ厚さおよび同じ粒子直径において、TiN(湿潤)によって得られた半球粒子またはMgO(非湿潤)によって得られた球形粒子よりも大きな体積を有することを知っておくべきである。このため、正方形粒子は、同じ粒子の中心間の間隔について、半球粒子よりも高い熱的安定性を有し得る。超常磁性制限に近いFePt粒度を減少させることが有利となり得る。
【0034】
TiON(TiO
xによってドープされたTiN)中間層は、10mTorrで超高真空チャンバ内の無酸素環境においてTiNとTiO
2ターゲットとの共スパッタリングによって作られた。TiN界面層上およびTiN−40体積%TiO
x界面層上に成長したFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜を伴う2つのサンプルは、それぞれ3×10
−9Torrの底面圧でマグネトロンスパッタリングによってCrRu(30nm)/ガラス基板上に堆積された。スパッタリング時の原位置の基板加熱が使用された。CrRu、TiONの基板温度は280℃であり、FePtの基板温度は480℃であった。TiON中間層の要素組成および化学的状態は、X線光電子分光法(XPS)によって判定された。すべてのサンプルの結晶構造および微細構造は、X線回折(XRD)、走査電子顕微鏡法(SEM)、および透過電子顕微鏡法(TEM)によって測定された。磁気特性は、5テスラの最大印加磁場を伴う超伝導量子干渉素子(SQUID)によって室温で特徴付がなされた。
【0035】
XPS Ti2pスペクトルの定量分析は、共スパッタリングされたTiN−40体積%TiO
xが最終的にTiO
0.45N
0.55となったことを示した。また、TiON中間層の深さプロファイル分析は、表面酸化の可能性を除き、Ti、O、およびNの実質的に均一な要素分布を示した。
図10に示されるXRD結果から、TiNおよびTiN−40体積%TiO
x上の両方のFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜が良好なL1
0(001)テクスチャを示した。しかし、TiN−40体積%TiO
x界面層を有するものは、低い角度へ向けた僅かな(001)ピーク遷移を示し、これは、格子定数の減少を示し、これ故にTiN−X/FePt(001)格子不整合の減少も示す。
【0036】
FePtの粒度縮小、粒度均一性、および粒子隔離は、TiN−X界面層にTiO
xをドープすることで向上した。ドープFePt−SiO
x−C膜は、大きな粒度縮小を示した。FePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜の平均粒度は、純粋なTiN中間層の11.15±3.66nmからTiN−TiO
x40体積%界面層の5.65±0.92nmへ減少した。
【0037】
また、純粋なTiN中間層上で成長したFePt膜は、FePtに対するTiNの良好な湿潤性により、半球粒子形状を示した。濡れ角は90°より小さかった。興味深いことに、正方形断面形状を有する均一なFePt粒子が、TiN−TiO
x−40体積%界面層上のFePt膜の場合において観察された。接触角は90°であった。ヤング方程式によれば、FePt/TiON界面エネルギーとTiON表面エネルギーとが等しいことが示された。このため、TiONの表面エネルギーは、TiNの表面エネルギーよりも小さく、これ故にFePtのアイランド成長が向上した。さらに、正方形粒子は良好に隔離され、ドープによる粒度縮小の有効性が促された。TiON界面層によって得られた正方形FePt粒子は、同じ厚さおよび同じ粒子直径において、TiN(湿潤)によって得られた半球粒子またはMgO(非湿潤)によって得られた球形粒子よりも大きな体積を有することを知っておくべきである。このため、正方形粒子は、半球粒子よりもかなり高い熱的安定性を有し得る。これは、超常磁性限界近くまでFePt粒度が減少した場合に本質的に重要となる。
【0038】
これらの2つのサンプルのループの両方は、
図11aおよび
図11bに示されるように、17kOeの高い保磁力を有する、かなり類似した特徴を示した。直角度は、TiO
xドープを導入することに伴って僅かに増加し、これは、粒度均一性の増加、および小さい磁気飽和を伴う小さい粒子の減少に起因し得る。他の明らかな違いは見られず、これは、TiN−X界面層におけるドープによってFePtの磁気特性が悪化しないことを示唆している。
【0039】
図12に示されるように、異なるTiO
xドープを伴ってTiON中間層上で成長したFePt−SiOx−C膜の面外M−Hループのすべてが、13kOeの高い保磁力を伴うかなり類似した特徴を示した。TiO
xドープ濃度の増加に伴って直角度が僅かに増加し、これは、粒度均一性の増加および小さい磁化飽和を伴う小さい粒子の減少に起因し得る。
【0040】
TiNとTiO
xとの共ドープによって形成されたTiON層は、純粋なTiNよりも低い結晶化度を有し得て、c軸の整合が悪化する。複合TiN(3nm)/TiON(40%、2nm)中間層もまた調査された。表1に示されるように、異なる中間層上で成長したFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜の微細構造および磁気特性が比較された。表1は、異なる中間層上で成長したFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜の、半値全幅(FWHM)ΔΘ50、面外保磁力H
c⊥、面内保磁力H
c‖、直角度S、平均粒度D、標準偏差σ(D)による粒度分布、および保磁力αにおける傾斜の概要を示す。c軸分散は、TiON中間層を使用することによって6.50から6.84へ増加したが、TiN/TiON界面層を使用することによって6.03へ減少した。
【0041】
このため、TiON界面層を使用した場合に、c軸配向の悪化によって、H
c⊥は著しく減少し、H
c//は増加した。TiN/TiON界面層を導入した後、かなり高いH
c⊥および良好な垂直異方性が得られた。保磁力における傾斜、すなわちα=4πdM/dH|
Hc≒1は、磁性粒子の交換減結合を示す。表1から、TiNおよびTiN/TiON界面層を使用した場合にFePt膜がほぼ完全に交換減結合されたことが分かる。しかしながら、
図9fに示されるように、TiON界面層の場合において、粒子距離の減少によって交換結合が僅かに増加した。TiN層をTiON中間層の下に挿入すると、粒度はさらに減少し、粒度均一性はさらに向上した。
【0044】
薄膜の成長メカニズムの決定には、表面エネルギーの寄与と不整合ひずみの寄与との競合が伴う。先の記載に基づき、FePtアイランドは、TiON中間層の表面エネルギーおよび格子定数の両方が減少することによる利益を受け得る。格子定数および表面エネルギーなどのTiONの特性の変化は、TiN:TiO
xの濃度比率が変化した場合に連続的な線形の変化として見なされるため、TiN−X中間層(TiNがTiO
2でドープされた場合にTiO
xN
yを形成する)は、異なる実験条件下において大きな調節の余地を提供する。
【0045】
図13aは、面内および面外M−Hループを示す。
図13bは、平面視のTEM画像を示す。
図13cは、構造FePt(4nm)−45体積%SiO
x−25体積%C/TiN(2nm)−TiO
x40体積%/TiN(3nm)−CrRu(36nm)/ガラスを有するサンプルの断面TEM画像を示す。5.65nm程度の平均粒度を有する良好に隔離されたFePt粒子が実現された。粒度分布は、±0.92nmまでであった。加えて、サンプルは、18kOeの面外保磁力を有する良好な垂直磁気異方性を示した。
【0046】
一部の実施形態には、ZrO
xでドープしたTiN−X層を伴う。ここで
図14aを参照すると、様々なZrO
xドープ濃度を伴ってZrTiON中間層上で成長した10nmのFePt膜のXRDスペクトルが示される。FePt膜は、良好なL1
0(001)テクスチャを示した。FePt(001)およびTiN(002)ピーク強度は、高いドープレベルでほぼ変化せずに維持された。FePt(001)および(002)ピークは、高い角度へ向けて遷移した。これらの現象は、ZrOxをTiNにドープしてもFePtのエピタキシャル成長およびTiNのF.C.C構造が悪化しないが、TiNの格子定数が増加して不整合ひずみの増加を引き起こし得ることを示す。FePt(001)ピークの半値全幅(FWHM)は、ZrO
xドープの増加に伴って広がり、FePt粒度が減少し得ることを示唆する。
図14bは、XRDから外挿された積分ピーク強度比I
001/I
002およびFePt格子定数cから予測される化学的規則性を示す。ZrO
x濃度の増加に伴い、FePtの格子定数cは、化学的規則性が増加した一方で、増加した不整合によって減少した。化学的規則性の向上は、不整合ひずみが増加した結果であり得る。
【0047】
図15a、
図15b、および
図15cは、30体積%ZrO
xドープを伴うZrTiON中間層について、それぞれZr3d、Ti2p、およびN1sスペクトルの高解像度XPS分析を示す。観察され得るように、TiONと同様に、ZrTiON層は、ZrN、ZrO
xN
y、およびZrO
2の3つの化学組成を含む。
【0048】
XPS Ti2pスペクトルの定性分析は、共スパッタリングされたTiN−30体積%ZrO
xが主にTiO、TiN、TiON、ZrN、およびZrONの固溶体を含むことを示した。これは、XRD結果に一致した。少ないZrO
2成分がTiN−ZrO
x中間層においても見つかった。20体積%および30体積%ZrO
xドープを伴うZrTiON中間層の化学量が表2にまとめられている。なお、ZrO
2成分は、ZrO
xドープが20体積%から30体積%に増加した場合に著しく増加し、これは、さらに増加したZrO
xがZrON固溶体を変形させず、非結晶ZrO
2を形成したことを意味する。ZrO
2の位置は、粒界に残っていても、表面に拡散しても、TEM測定によって確認され得る。
【0049】
表2 XPS分析によるZrTiON中間層の化学組成(原子%)
【0051】
10nmFePt磁気層のないTiN−ZrO
x30体積%の平面視のTEM画像が
図16aに示される。10nmFePt磁気層を伴うTiN−ZrO
x30体積%の平面視のTEM画像が
図16bに示される。
図16aおよび
図16bにおける両方の例は、約6nmの平均粒度を有する小さい粒子を示した。良好に隔離されたZrTiON粒子は、表面に拡散するよりも、非結晶ZrO
2成分(表2に示されるように、64.8原子%)が粒界に残りやすいことを示唆した。
図16cに示されるように、TiN−30体積%ZrO
x中間層上に成長した純粋なFePt膜の粒度分布は、ZrTiON中間層のものに高度に一致した。この類似性は、柱状成長によってFePt粒子がZrTiON粒子の上部に形成されたことを暗に示し得る。しかしながら、純粋なFePt膜の微細な粒界により、断面TEM画像において、隔離されたFePt粒子とFePt層とを区別することは困難となり得る。このため、TEMによって観察されたZrTiON(30体積%)の柱状成長は、良好に隔離されたFePt−SiO
x−C膜を用いて後に説明する。
【0052】
図17aから
図17dは、差し込み解説パターンに示されるように、晶帯軸<110>(
図17a)および<010>(
図17c)から観察したCrRu(30nm)/TiN(5nm)−ZrO
x40体積%/FePt(10nm)膜の高解像度TEM画像を示す。
図17bは、
図17aについての対応する逆高速フーリエ変換(iFFT)画像であり、
図17dは、
図17cについての対応する逆高速フーリエ変換(iFFT)画像である。
【0053】
エピタキシャル関係ZrTiON(002)<200>//FePt(001)<100>が確認され得る。iFFT画像から、格子ひずみ(
図17b)および転位(
図17d)がみられる。また、不整転位がZrTiON/FePt界面に見つかった。界面転位が不整ひずみを減少させてエピタキシャル成長を向上させ得ることが知られている。
【0054】
図18は、様々なZrO
xドープ濃度を伴ってZrTiON中間層上に成長した10nmFePt膜の面外M−Hループを示す。面外M−Hループは
図18に示され、面内および面外保磁力のそれぞれは
図19にまとめられている。面外保磁力は、0から10%へ増加し、そして、ZrO
x濃度の増加に伴って面内保磁力がおおよそ減少し続ける間に減少する。面外保磁力の減少は、
図18に見られるキンクによって示されるように、軟磁性相の増加によるものであり得る。
【0055】
一部の実施形態は、TiN−X中間層上で成長した二相分離粒子FePtを伴い、ここでXはZrO
2である。TiN−ZrO
x中間層は、10mTorrのAr圧力で超高真空チャンバ内の真空環境においてTiNおよびZrO
2ターゲットの共スパッタリングによって作られた。xが2であるTiN−30体積%ZrO
x界面層上で成長したFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜を有するサンプルは、たとえば、3×10
−9Torrの底面圧でのマグネトロンスパッタリングによってCrRu(30nm)/ガラス基板上に堆積された。例1における純粋なTiN界面層を有する参考サンプルは、ここでの参考サンプルとして設定された。スパッタリング時の原位置での基板加熱が使用された。CrRu、TiN−ZrOの基板温度は、280°Cであり、FePtの基板温度は480°Cであった。ここで
図20を参照し、様々なZrO
x濃度を伴ってTiN−ZrO
2中間層(ZrTiON中間層を形成する)上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜のXRDスペクトルが示される。
図20から見られるように、ZrTiON中間層上に成長したFePt−SiO
xC膜のXRD結果は、良好なL1
0(001)テクスチャを示し、ピーク遷移は見つからなかった。FePt(001)ピークの相対強度は、明らかな変化を示さず、FePt−SiO
x−C粒子膜のエピタキシャル成長がTiN中間層におけるZrO
xドープの増加に伴って良好に維持され得たことが示唆される。
【0056】
様々なZrO
xドープ濃度を伴ってZrTiON中間層上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜の平面視のSEM画像および対応する統計粒度分布が
図21a、
図21b、
図21c、および
図21dに示される。平均粒度およびその標準偏差は、ZrO
x濃度が0から20体積%へ増加することに伴って減少した。粒子隔離も向上した。20体積%では、
図21cに見られるように、粒度は5.74±1.23nmであった。粒度縮小は、ZrTiON中間層の表面エネルギーの減少によって起こり得て、アイランド成長が好適なものとなった。しかしながら、
図21dに示されるようにZrO
x濃度をさらに30体積%へ増加させると、粒度の増加および粒度均一性の悪化が引き起こされた。広く分散したZrO
xは、ZrTiON表面上の核生成箇所の一部を阻止し得て、最終的にFePt粒度の増加につながる。
【0057】
図22は、TiNおよびTiN−30体積%ZrO
x界面層上のFePt4nm−SiO
x35%−C20%膜のXRDスペクトルを示す。
図22におけるXRD結果から、 TiNおよびTiN−40体積%ZrO
x上のFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜の両方が、良好なL1
0(001)テクスチャを示した。TiN−40体積%ZrO
xについてのfcc(002)ピークのみが観察された。TiN界面層にZrO
xドープを導入した後、小さなピーク遷移が見つかった。
【0058】
図23aおよび
図23bは、TiNおよびTiN−30体積%ZrO
x界面層上のFePt4nm−SiO
x35%−C20%膜のM−Hループを示す。TiN−TiO
x界面層の場合と同様に、TiNへのZrO
xのドープを導入を伴い、FePtの良好な垂直異方性が維持された。シリコン/ガラス基板の直情の中間層、またはたとえばCrRuもしくはMgO下地層に配置される中間層として使用される、このTiN−Xで構成された材料を用いて、FePtL1
0(001)テクスチャの膜の微細構造および磁気特性の両方が向上し、特に面内ヒステリシスが減少し、粒度が縮小される。また、HAMR媒体の熱処理は、TiN−X下地層/界面層の良好な熱伝導度からの利益を受ける。
【0059】
MgO下地層/界面層と比較し、TiN−Xは、以下を提供し得る。a.伝導性質 TiN−Xは、絶縁MgOの高周波スパッタリングよりも高い堆積率(スループット率)および低いチャンバ汚染を有する直流スパッタリングを使用して作られ得る。b.FePt(001)配向制御 TiN−Xは、TiNのFePtに対する湿潤により、非湿潤MgOよりもFePtエピタキシャル成長および配向制御に優れている。c.ドープによるTiN−Xの微細構造の向上は、効果的にFePt粒度を減少させ得ると同時に、最適な粒子形状を提供し、高い信号対雑音比を実現する。d.3つのIV族要素Ti、Zr、およびHfの窒化物は、幅広い化学組成範囲および高い化学的安定性を有し、これは工業生産および耐久性に役立つ。e.Ti、Zr、およびHfの炭化物、窒化物、および一酸化物は、同様の特性を有する異種同形体であり、完全に溶解可能である。これは、TiN−Xの良好な環境適応性を示す。
【0060】
SiO
xおよびCのドープ濃度を増加させることの効果は、粒度を減少させることであると調査された。
図24a、
図24b、および
図24cは、異なるSiO
xおよびCのドープ濃度を伴ってTiN−ZrO
x40体積%中間層上に成長したFePt(4nm)−SiO
x−C膜の平面視のTEM画像を示す。
図24aは、35%(SiO
x)+20%(C)のドープ濃度を示し、
図24bは、40%(SiO
x)+20%(C)のドープ濃度を示す。
図24cは、45%(SiO
x)+25%(C)のドープ濃度を示す。
図25a、
図25b、および
図25cは、それぞれ
図24a、
図24b、および
図24cの断面TEM画像を示す。
図26a、
図26b、および
図26cは、それぞれ
図24a、
図24b、および
図24cについての対応する粒度分布である。上記の図に示されるように、SiO
x40体積%およびC20体積%で粒度が予想外に増大したが、粒子隔離は良好となった。
図24c、
図25c、および
図26cに示されるように、SiO
x45体積%およびC25体積%で粒度が僅かに6.41±1.10nmへ減少した。断面TEM画像から、良好に隔離された粒子を伴うFePtの単層構造が観察され得る。
【0061】
図27は、様々なZrO
xドープ濃度を伴ってZrTiON中間層上に成長したFePt(4nm、30Wの電力で堆積)−SiO
x35体積%−C20体積%膜の面内および面外保磁力の概要である。30%ZrO
xについては、25W−SiO
x40体積%−C20体積%および20W−SiO
x45体積%−C25体積%という、異なるSiO
xおよびCドープ濃度を有するさらに2つのサンプルが提示される。電力の減少により、FePt堆積率が減少し、これ故にFePt層において相対的なSiO
xおよびCドープ濃度(体積%)が増加した。
【0062】
これらのサンプルのすべての磁気特性は、7テスラの印加磁場を有するSQUIDによって特徴付けられる。面内(||)および面外(⊥)保磁力は、
図27にまとめられている。ZrO
xドープ濃度が0から30体積%へ増加すると、面外保磁力が著しく減少し、面内保磁力は大きく変わらなかった。30堆積%ZrO
xにおいて、SiO
xおよびCドープの増加は、面内および面外保磁力の両方について、まず増加させ(FePt:30W−25W)、そして減少させた(FePt:25W−20W)。TiNにおけるZrOまたはFePtにおけるSiO
xの高いドープ濃度により、FePtの垂直異方性が悪化する可能性もあり得る。
【0063】
ZrTiONはFePtの粒度の減少を可能としたが、高いZrO
xドープレベルについては、蓄積したZrO
2成分がエピタキシャル成長を阻害し、これによってFePt粒子膜の磁気特性も阻害し得る。一部の実施形態において、ZrTiONの層厚さは、2nmまで減少し、ZrO
xドープによって引き起こされたZrO
2の蓄積作用が弱まった。また、一部の実施形態において、3nmTiN中間層が、ZrTiONの堆積の前に堆積された。一部の場合において、TiN層はZrTiON(002)テクスチャを向上させ得て、これによってFePt磁気層の垂直異方性が向上し得る。ZrTiONの結晶度もまた、TiN−X層の厚さを減少させることによって向上し得る。
【0064】
図28a、
図28b、および
図28cは、異なるSiO
xおよびCドープ濃度を伴ってTiN(3nm)/TiN(2nm)−ZrO
x30体積%結合中間層上に成長したFePt(4nm)−SiO
x−C膜の断面TEM画像を示す。
図28aは、35%(SiO
x)+20%(C)のドープ濃度を示す。
図28bは、40%(SiO
x)+20%(C)のドープ濃度を示す。
図28cは、45%(SiO
x)+25%(C)のドープ濃度を示す。
図29a、
図29b、および
図29cは、それぞれ
図28a、
図28b、および
図28cの平面TEM画像を示す。
図30a、
図30b、および
図30cは、それぞれ
図28a、
図28b、および
図28cの対応する粒度分布である。サンプルのXRD結果は、先に説明したFePt−SiO
x−C ZrTiON/CrRu膜のものとかなり類似していた。良好なL1
0(001)テクスチャがすべてのサンプルについて実現された。TEM測定も行われた。ZrO
xドープ濃度の増加に伴い、粒度が減少した。代表的な結果として、様々なSiO
xおよびCドープ濃度を伴ってZrTiON/TiN結合中間層上に成長したFePt−SiO
x−C膜の微細構造および対応する粒度統計は、
図28から
図30に示されるようなものとなった。
図30aから図
図30cで理解されるように、SiO
x体積%およびC体積%の増加に伴い、FePt粒度が
図30aにおける7.09nmから
図30cにおける5.80nmへ減少した。粒度の標準偏差は、1.66nmから1.41nmへ狭まった。断面TEM画像から、これら3つのサンプルのすべてがFePtの単層構造を示し、FePt粒子が良好に隔離されていることが分かる。さらに、すべてのFePt粒子は均一な正方形を示し、これはTiN−30体積%ZrO
x中間層が適度な表面エネルギーを有していることを示しており、エピタキシャル成長と粒度制御との良好なバランスが実現され得る。
【0065】
図31a、
図31b、および
図31cは、一部の実施形態に従う、ZrTiON中間層およびTiN/ZrTiON結合中間層の両方の上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜の高解像度TEM画像を示す。FePt粒子は、ZrTiON中間層上に成長した場合に、ほぼ半球形および相対的に大きなサイズを示した(
図31a)。ZrTiON中間層の柱状構造が観察され得る。
図31aにおいて点線で示されるように、粒界における非結晶材料の分離が観察可能である。FePt粒子は良好に一致し、ZrTiON粒子と実質的に隣接した一対一の垂直配列で成長した。TiN中間層におけるZrO
xドープにより、ZrTiON固溶体粒子が形成され、非結晶ZrO
2が分離した。その後に、FePt粒子は、ZrTiON粒子の上部においてエピタキシャルに形成された。一部の実施形態に従う、TiNおよびZrTiON中間層を伴うサンプルが
図31bおよび
図31cに示される。粒子は、小さい粒度および大きなアスペクト比(高さ/直径)を有する。これらの特徴は、ZrO
2成分の減少およびZrTiON結晶度の向上に関連し得る。
【0066】
TiN中間層における様々なZrO
xドープ濃度およびFePt層における様々なSiO
xおよびCドープ濃度を伴うFePtサンプルについての面内および面外M−Hループが
図32から
図34に示される。
図32aは、TiN(5nm)−ZrO
x10体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜を示す。
図32bは、TiN(5nm)−ZrO
x10体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x40体積%−C20体積%膜を示す。
図32cは、TiN(5nm)−ZrO
x10体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x45体積%−C25体積%膜を示す。
図33aは、TiN(5nm)−ZrO
x20体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜を示す。
図33bは、TiN(5nm)−ZrO
x20体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x40体積%−C20体積%膜を示す。
図33cは、TiN(5nm)−ZrO
x20体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x45体積%−C25体積%膜を示す。
図34aは、TiN(5nm)−ZrOx30体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x35体積%−C20体積%膜を示す。
図34bは、TiN(5nm)−ZrO
x30体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x40体積%−C20体積%膜を示す。最後に、
図34cは、TiN(5nm)−ZrO
x30体積%上に成長したFePt(4nm)−SiO
x45体積%−C25体積%膜を示す。
【0067】
ZrO
x、SiO
x、およびCドープの増加に伴い、面外ループの直角度が減少する。特に、ZrO
x30体積%またはSiO
x45体積%−C20体積%を有する膜については、零磁場におけるキンクが観察された。これらのキンクは、FePtと様々なドーパントとの間の相互拡散によって形成された軟磁性相に起因し得る。
【0068】
ZrO
xドープ濃度に対する面内および面外保磁力の依存性は、
図35に示される。面外保磁力は、TiN中間層のみでなくFePt磁気層におけるドープ濃度の増加に伴って減少した。違いは、TiN/TiN−ZrO
x30体積%結合中間層上で成長したサンプルのFePt4nm−SiO
x35体積%−C20体積%がTiN−ZrO
x30体積%単一中間層上で成長した同じFePt膜よりもかなり良好な直角度、大きな面外保磁力、および小さなキンクなどの磁気特性を示したことである。面内保磁力については、増加して減少した。しかしながら、高いZrO
xドープ濃度およびSiO
x−Cドープ濃度において面内保磁力は減少したが、これは向上した垂直異方性によるものではなく、逆に、M−Hループにおける大きなキンクによるものであり得る。
図35は、ZrO
xドープレベルの関数としての、TiN/TiN−ZrO
x結合中間層上で成長したFePt4nm−SiO
x35体積%−C20体積%サンプルの面内および面外保磁力を示す。
図35は、最適なドープレベルおよびスパッタリング電力によって高い面外保磁力および低い面内保磁力が実現されることを示す。
【0069】
TiN、ZrTiON、およびTiN/ZrTiON中間層の一部の特性、微細構造の一部、ならびにこれら3つの中間層の各々の上で成長した同じFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜についての一部の磁気特性の比較が表3に列挙される。表3は、異なる中間層上で成長したFePt(4nm)−35体積%SiO
x−20体積%C膜についての半値全幅(FWHM)ΔΘ50、面外保磁力H
c⊥、面内保磁力H
c//、直角度S、平均粒度D、標準偏差σ(D)による粒度分布、および保磁力αにおける傾斜の概要を含む。TiNおよびZrTiON中間層に関する表3における情報の比較は、ZrTiON層について、1)粒度縮小、2)粒度均一性向上中間層、3)保磁力における傾斜がほぼ変化しなかったこと、4)磁化容易軸分散における僅かな増加が僅かに増加したこと、5)面外保磁力の減少、6)面内保磁力の増加、および7)0.99から0.66への直角度の減少を示す。
【0070】
ZrTiON中間層をTiN/ZrTiON中間層と比較した場合、TiN/ZrTiON層については、1)粒度分散が狭まり、2)垂直磁気異方性が著しく向上し、3)面外保磁力が2倍となり、4)面内保磁力が減少し、5)直角度が1近くに増加した。粒度統計について、結果は、ZrTiON中間層とTiN/ZrTiON中間層との間に大きな差を示さない。したがって、TiN/ZrTiON結合中間層は、FePtの磁気特性に対するZrO
xドープの影響を効果的に減じると同時に、粒度縮小の利益を実現する。
【0073】
本願明細書において説明した様に、一部の実施において、TiONおよびZrTiON中間層などのTiN−X中間層は、真空環境におけるTiNとTiO
2/ZrO
2との共スパッタリングによって作られ得る。本願明細書において説明したXPSおよびTEMの結果から、TiONおよびZrTiON中間層は、それぞれf.c.cTiNおよびf.c.cTiO/ZrOの固溶体であると判定された。TiNと比較すると、TiONおよびZrTiON中間層は、より小さな表面エネルギーを有し、これにより、FePtのウォリメル−ウェーバー型(アイランド)成長が好ましいものとなる。TiONまたはZrTiON中間層上で成長したFePt−SiOx−C膜における大きな粒度縮小が実現され得る。断面TEM画像から、FePt薄膜の成長は、TiN−X中間層におけるTiO
xまたはZrO
xドーパントの増加に伴い、ますますウォリメル−ウェーバー(アイランド)モデルに傾斜する。一部の実施形態によれば、TiN/Zr(Ti)ONの結合中間層は、FePtの磁気特性に対して有益なものとなり得る。
【0074】
上で説明した一部の実施形態は、TiN−40体積%TiO
x中間層上で成長したFePt-SiO
x−Cを伴う。試験した場合、この構成は、断面TEM画像において90°の接触角で良好に隔離された正方形粒子を示し、粒度縮小および熱的安定性を提供する。様々なTiO
xドープ濃度を伴ってTiON中間層上に成長したFePt膜およびFePt−SiO
x−C膜の面外M−Hループは、ほぼ変化なく維持された。40体積%TiO
xドープを伴ってTiON中間層上で成長したFePt(4nm)−45体積%SiO
x−25体積%C膜は、小さく均一な5.65nmの平均粒度および18kOeの高い保磁力を示した。
【0075】
ZrTiON中間層上に成長したFePt-SiO
x−C膜については、ZrO
x濃度の増加に伴って磁気特性が悪化し、これはTiN−TiO
xとTiN−ZrO
xとの違いによって引き起こされ得る。全社は全体的に固溶体を形成し、後者の一部は非結晶ZrO
2含有物を形成した。一部の実施形態において、TiN/ZrTiON結合中間層が使用され得る。この構成は、磁気特性および/または粒度を向上させ得る。たとえば、TiN/TiN−ZrO
x30体積%結合中間層上に成長したFePt4nm−SiO
x45体積%−C25体積%膜については、5.80±1.41nmの粒度が得られた。
【0076】
様々な実施形態の構造および機能の詳細とともに、様々な実施形態の多くの特徴が上記の記載において述べられたが、この詳細な説明は例示のみであり、細部についての変更がなされ得て、特に様々な実施形態によって示される部分の構造および配置については、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広い一般的な意味によって示される最大限の範囲において変更がなされ得ることが理解される。