(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185593
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】空気清浄物質の気化のための空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/03 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
A61L9/03
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-539968(P2015-539968)
(86)(22)【出願日】2013年11月5日
(65)【公表番号】特表2015-535189(P2015-535189A)
(43)【公表日】2015年12月10日
(86)【国際出願番号】US2013068366
(87)【国際公開番号】WO2014074467
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】12191366.9
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル クエス ラモス
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ バルトルッチ
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0021001(US,A1)
【文献】
特開平03−206835(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0196159(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0226269(US,A1)
【文献】
実開平02−104046(JP,U)
【文献】
実開平02−114047(JP,U)
【文献】
特開平03−007520(JP,A)
【文献】
特開平03−007523(JP,A)
【文献】
特開2002−345939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄物質の気化のための空気処理装置(1)であって、前記装置が、
前記空気清浄物質を収容するための収容容器(3)と、前記収容容器(3)と流体連通し、ウィックの高さを画定する頂端部(4a)及び底端部(4b)を有するウィック(4)と、を備える、交換可能なカートリッジ(2)と、
前記頂端部(4a)に向けて前記ウィック(4)によって引き上げられる前記空気清浄物質を気化させるために、前記ウィック(4)を所定の温度に加熱するための加熱手段(5)と、
前記加熱手段(5)を保持するための加熱手段支持体(6)と、
少なくとも前記加熱手段(5)及び前記加熱手段支持体(6)を中に封入し、前記気化した空気清浄物質が前記空気処理装置(1)から出ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する、ハウジング(7)と、を備え、
前記加熱手段支持体(6)の少なくとも一部が、前記ハウジング(7)と前記加熱手段(5)との間に介設され、前記加熱手段(5)が、前記ウィック(4)と前記加熱手段支持体(6)との間に実質的に介設され、前記加熱手段支持体(6)が、枢着部(11)のまわりに回転変位可能であり、前記加熱手段支持体(6)に接続可能な作動手段(9)の作動時に、前記空気清浄物質の蒸発速度が変化するように、前記ウィックの高さに対して垂直な方向に変位するように配置されること、及び前記加熱手段支持体(6)が耐熱性であることを特徴とする、空気処理装置(1)。
【請求項2】
前記加熱手段支持体(6)の実質的な部分が、前記ハウジング(7)と前記加熱手段(5)との間に介設される、請求項1に記載の空気処理装置(1)。
【請求項3】
前記加熱手段(5)の1つの面が、前記ウィック(4)に対して直接露出し、残りの面が、前記加熱手段支持体(6)と直接接触する、請求項1または2に記載の空気処理装置(1)。
【請求項4】
前記空気清浄物質が、1つ以上の揮発性成分を含む液体空気清浄物質からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項5】
前記加熱手段(5)が、封入された加熱器からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項6】
前記所定の温度が、少なくとも85℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項7】
前記交換可能なカートリッジ(2)が、1つ以上の空気清浄物質を含む単一の収容容器を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項8】
前記加熱手段支持体(6)が、ASTM D648に従って0.45MPaの負荷下で測定して100℃〜200℃の熱ひずみ温度を有する耐熱性材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項9】
前記加熱手段支持体(6)の全体が、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される耐熱性材料で作製される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項10】
前記加熱手段支持体(6)が、前記作動手段(9)の作動時に、第1の点から第2の点まで変位するように配置され、前記第1の点において、前記加熱手段(5)と前記ウィック(4)との間の距離が0.5mm〜1.5mmであり、前記第2の点において、前記加熱手段(5)と前記ウィック(4)との間の距離が5.0mm〜7.0mmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項11】
前記加熱手段支持体(6)が、前記加熱手段(5)と前記ハウジング(7)との間の距離が、3mm〜10mmであるように配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項12】
前記加熱手段(5)が、形状において実質的に平行六面体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項13】
頂部及び底部を有するカートリッジ支持体(10)を更に備え、前記頂部が前記加熱手段(5)及び前記加熱手段支持体(6)に対して並置され、前記底部が前記交換可能なカートリッジ(2)の前記収容容器(3)に並置され、前記カートリッジ支持体が前記ハウジング(7)の前記少なくとも1つの開口部と流体連通するチムニー(13)を備え、前記チムニー(13)が前記頂部に位置し、かつ前記ウィック(4)の少なくとも一部をその中に受容することが可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)。
【請求項14】
空気清浄物質を気化させる方法であって、
i.請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気処理装置(1)を起動させて、起動期間を開始する工程と、
ii.前記作動手段(9)を複数の画定された位置に順次移動させる工程であって、各位置において、前記加熱手段支持体(6)が、前記空気清浄物質の前記蒸発速度が前記起動期間の間中変化するように、各前記画定された位置における実効時間の間、以前の前記位置と異なる距離で移動される工程と、を含む、方法。
【請求項15】
工程ii.が、
a.前記加熱手段支持体(6)が、前記空気処理装置が起動される際の距離より小さい、前記ウィックからのある距離で、第1の期間移動されるように、前記作動手段(9)を第1の位置に移動させる工程と、
b.前記加熱手段支持体(6)が、前記第1の位置における距離より大きいが、前記空気処理装置が起動される際の距離と異なる、前記ウィックからのある距離で、ヒトの検出水準を習慣性の前の水準まで低減するために十分に長い第2の期間移動されるように、前記作動手段(9)を第2の位置に移動させる工程と、
c.前記加熱手段支持体(6)が、前記第2の位置における距離より小さい、前記ウィックからのある距離で、第3の期間移動されるように、前記作動手段(9)を第3の位置に移動させる工程であって、前記第3の期間が前記第2の期間より長い、移動させる工程と、
d.工程a.〜c.を反復する工程と、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
新たな交換可能なカートリッジを、請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気処理装置に接続する工程を含む、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気壁コンセント、自動車電力ジャッキ、電池、及び同様物などの電源への接続を介して典型的に動作可能な、空気清浄物質及び同様物の気化のための、一般的に電気蒸発器型の空気処理装置に関する。空気清浄物質は、空気中に存在する悪臭を遮蔽する、及び/又はそれと反応することが可能な1つ以上の揮発性成分を典型的に備えて、典型的にはそのような悪臭の知覚性を空気から除去する、又は低減する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄物質を気化させる手段として熱を利用する空気処理装置は、空気ケアの産業において既知である。液体物質を保持するウィッキング部品の近位に位置する、加熱器を備える様々な装置が存在し、そのうちのいくつかは、ウィックの高さを上下する加熱器の移動を可能にすることによって、物質の蒸発の速度を変化させる手段を更に含む。例は、国際公開第01/39809 A1号である。
【0003】
物質の蒸発の速度が、ウィックを加熱器に関して横方向に曲げることによる、ウィックに向けての、及びそれから離れる方向へのウィックの変位によって変化する、他の装置が存在する。例は、国際公開第2005/079874 A1号である。
【0004】
しかしながら、上述の装置は、所望の動作温度が上昇する場合、問題を招く。
【0005】
実際、空気清浄物質中の、より低い揮発性を有する特定の成分のより広範な使用を可能にするために(いわゆる「ベースノート」技術)、そのような装置の動作温度を典型的に90℃超の温度に上昇させて、結果として時間の経過とともにより良好な顕著な性質を提供することが望ましい。そのような必要条件は、単一の空気清浄物質を放出する、又は芳香剤の性質を改良すること、及びウィック詰まりを制限することを目的とする、所定の周期での交互の放出を提供する複雑かつ高価な熱制御工程を欠く単一室装置にとって、より一層重要になる。
【0006】
上述の装置において動作温度を単に上昇させることは、例えば、特に、単一の接続の喪失によって120Vの家庭用器具が住居に入ってくる最大240Vの電源を経験することになる、120Vの住居用電気システム内の障害によって引き起こされる電圧変動、並びにウィックの疲労及び/又は膨張における、ハウジングの溶融の問題を引き起こし、これらの両方は、装置の効果を制限し得るだけでなく、ユーザ及び隣接する物体に対して危険な壊滅的障害にもつながり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第01/39809 A1号
【特許文献2】国際公開第2005/079874 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、気化した空気清浄物質の知覚可能な性質を簡単に、安価に、及び効果的に改良し、かつ、既知の装置に関連する問題を克服しながらより高い温度で動作可能である、空気処理装置の必要性が依然として存在する。
【0009】
本発明は、以上の問題を克服する、空気清浄物質の気化のための空気処理装置を提供する。
【0010】
本発明の利点は、耐熱性加熱手段支持体を独自に位置付け、それをウィックの高さに対して垂直の方向に変位するように配置することによって、適切な熱絶縁を確保しながら、耐熱性加熱手段支持体がなければ更に熱が加わることによって数段強くなる応力からウィックが解放されることである。
【0011】
本発明の他の利点は、本明細書の図面及び発明を実施するための形態を参照することによって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、空気清浄物質の気化のための空気処理装置()であって、該空気清浄物質を収容するための収容容器と、該収容容器と流体連通し、ウィックの高さを画定する頂端部及び底端部を有するウィックと、を備える、交換可能なカートリッジと、該頂端部に向けて該ウィックによって引き上げられる該空気清浄物質を気化させるために、該ウィックを所定の温度に加熱するための加熱手段と、該加熱手段を保持するための加熱手段支持体と、少なくとも該加熱手段及び加熱手段支持体を中に封入し、該気化した空気清浄物質が該空気処理装置から出ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する、ハウジングと、を備える空気処理装置に関し、該ハウジングは該加熱手段支持体にスライド可能に接続可能であるが、該加熱手段に接続可能ではなく、該加熱手段支持体の少なくとも一部は、該ハウジングと該加熱手段との間に介設され、該加熱手段は、該ウィックと該加熱手段支持体との間に実質的に介設され、該加熱手段支持体は、該加熱手段支持体に接続可能な作動手段の作動時に、該空気清浄物質の蒸発速度が変化するように、該ウィックの高さに対して垂直な方向に変位するように配置され、該加熱手段支持体は耐熱性である。
【0013】
第2の態様において、本発明は、空気清浄物質を気化させる方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】本発明の実施形態に係る、加熱手段支持体の移動を図示する、
図2の線A−Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される場合、「空気清浄物質」は、悪臭中和香料原材料を成分中に遮蔽する、層化する、又は含むことによって、空気中の臭気を低減する、及び/又は空気中の臭気の印象を低減する、任意の好適な組成物を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「知覚」は、臭気の同定などの情動反応を引き起こす、嗅覚などの感覚刺激に対する反応を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「耐熱性」は、言及される単位体が、本明細書の試験方法を使用して測定した場合に、1.5mmの最小厚さに基づいて、150℃超、好適には200℃超の構造的相対温度指数(str.RTI)を有する材料を含むことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「習慣性」は、材料の存在を嗅覚により知覚することが制限されるか又は更には無効にされるように、同じ材料に長期にわたり暴露された後に該材料の嗅覚特性に慣れてしまった受容器官、典型的にはヒトによる、材料(例えば空気清浄物質中の芳香剤成分)の嗅覚的知覚における状態を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ヒトの検出水準」は、平均的なヒトが、例えば空気清浄物質中の材料の存在を、ヒトがにおい及び/又は臭気の検知などの感覚を経験することにつながる情動反応を刺激するのに十分な程度に知覚することが可能である、水準を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ウィック」は、分配されるべき液体空気清浄物質を移送するために使用される要素を意味する。そのような要素は、何らかの材料、並びに該材料に含まれる孔によって形成される空隙を含む。本明細書で使用される場合、「孔」という用語は、ウィック材料そのものの内部に形成される空洞を指す。より詳細に以下で説明されるように、「孔サイズ又は平均孔サイズ」は、ウィック材料の孔の試料の平均直径を説明するために使用され、マイクロメートルで表される。同様により詳細に以下で説明されるように、「有孔率又は孔体積」は、ウィック材料の全ての孔の体積と、ウィックそのもの(孔及びウィック材料)の全体積との割合を指し、本明細書において一般的に百分率で表される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「過電圧」は、装置が動作する回路内の電圧が、その仕様上限を超えて上昇する状態を意味する。過電圧の状態は、屋内配線の障害が120V家庭用器具に全240V電源を経験させ得る、120V回路網にとって特に深刻であり得る。
図5を参照すると、120V住居用電気システムが、240Vを各住居にもたらす。変圧器は、1〜5棟の住居に供給する。この電源の中央は、120V家庭用器具への給電を可能にするためにタップされる。この中央タップが喪失すると、240Vはそれ以上均等に分割せず、住居内の各電力ソケットの電圧は、0Vから264Vまでのいずれかの電圧を出力することになる(印加される過電圧の実際の値は、変圧器の二次側全体の全利用可能な電圧に110%を乗じたものとして計算され、標準定格を10%超えた電圧が、電力システムの許容度に基づいて印加され、一般的に米国保険業者安全試験所(UL)及び国際電気標準会議(IEC)によって電気安全試験中に印加される)。実際の値は、実際には各分岐に接続される様々な負荷(照明、テレビ、家庭用調理器具)に依存する。
【0022】
ここで、本明細書に開示の空気処理装置の構造、機能、製造、及び使用の原理並びに方法の総合的な理解を提供するために、様々な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に示す。当業者は、例示的な一実施形態に関連して説明又は図示される特徴が、本開示を一般化することなく、他の例示的な実施形態の特徴と組み合わされ得ることを理解するであろう。
【0023】
空気処理装置
図1〜
図4に示されるように、本発明は、空気清浄物質の気化のための空気処理装置1であって、該装置は、該空気清浄物質を収容するための収容容器3、並びに該収容容器3と流体連通し、ウィックの高さを画定する頂端部4a及び底端部4bを有するウィック4を備える、交換可能なカートリッジ2と、該空気清浄物質を気化させるために、該ウィック4を所定の温度に加熱するための加熱手段5と、該加熱手段5を支持するための加熱手段支持体6と、少なくとも該加熱手段5及び加熱手段支持体6を中に封入するハウジング7と、を備える装置に関する。ハウジング7は、気化した空気清浄物質が空気処理装置1から出ることを可能にする、少なくとも1つの開口部を有する。ハウジング7は、交換可能なカートリッジ2を、好適には交換可能なカートリッジ2の少なくとも一部が、ハウジング7に完全に挿入された後、周囲空気に露出されたままになるように挿入可能な、半封入された凹部8を形成し得る。
【0024】
ハウジング7は、該加熱手段支持体6に移動可能に接続可能、好適には直接接続可能であり得るが、該加熱手段5には接続可能ではない。こうすることにより、部品の数を最小化し、それにより製造を簡素化し費用を低減しながら、ハウジング7が、加熱手段5によって生成される熱に直接暴露されないことを確実にする。
【0025】
加熱手段支持体6の少なくとも一部、好適には実質的な部分は、ハウジング7と加熱手段5との間に介設され、加熱手段5は該ウィック4と該加熱手段支持体6との間に実質的に介設され、好適には介設され、より好適には完全に介設される。「実質的な部分」又は「実質的に」は、本明細書において、言及される特徴の全表面積のうちの少なくとも65%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、更により好適には少なくとも90%、最も好適には少なくとも95%が、説明される方法で位置付けられること(例えば、加熱手段支持体の全表面積のうちの少なくとも90%がハウジングと加熱手段との間に介設される、など)を意味する。そうすることにより、熱に対するハウジングの暴露を、簡素かつ費用効果的な構造で更に確実に制限する。
【0026】
加熱手段支持体6は、該加熱手段支持体6に接続可能な、好適には接続される、作動手段9の作動時に、空気清浄物質の蒸発速度が変化するように、該ウィックの高さに対して実質的に垂直な方向に変位するように配置される。ウィックの高さは、典型的には、ウィック4の頂端部4a及び底端部4bの両方と交差するウィック4の軸に平行に延出する。そうすることにより、ハウジングを通る熱を効果的に制御することだけでなく、ウィック対する影響を最小限にしながら、蒸発速度を変化させることによって、放出される空気清浄物質の強度を確実に変化させる。更なる利点は、より高い柔軟性が得られ、より広い範囲の変位が可能となり、それにより、より正確な強度制御及びより高い動作温度が可能となる。
【0027】
好適には、加熱手段支持体6は、ハウジング7及び/又はカートリッジ支持体10に移動可能に結合され、好適には、アーム12を介して枢着部11においてカートリッジ支持体10に結合され、このアーム12の長さは、典型的には加熱手段支持体6に固定的に接続され、ハウジング7に移動可能に及び/又はスライド可能に接続された作動手段9の移動時に、ウィック4に対する加熱手段支持体6の所望の変位を提供するように選択され得る。アーム12の長さは、枢着部11から加熱手段5の高さの中間点まで測定して、10mm〜30mm、好適には15mm〜25mm、更により好適には20mm〜25mm、最も好適には21mm〜23mmであり得る。したがって、加熱手段支持体6の変位は、枢着部11を中心とした回転変位であり得る。本実施形態の利点は、正確な強度制御、並びに装置の部品の構造的安定性及び統合性を確保しながら、製造が簡略化されることである。
【0028】
加熱手段支持体6は耐熱性である。典型的には、耐熱性加熱手段支持体6は、典型的には200℃超、好適には250℃超、より好適には270℃以上の高RTIを有する材料を含む、好適には本質的に該材料からからなる、最も好適には該材料からからなる。好適な耐熱性加熱手段支持体6は、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)など)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルトルエン(PVT)、セラミック(磁器及び同様物など)、及びこれらの混合物、好適にはポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、好適には本質的に該材料からなる、最も好適には該材料からなるものである。あるいは、プロピレンカーボネート(PC)などの他の材料が使用されてもよいが、そのような場合、PCは、好適には、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)など)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルトルエン(PVT)、セラミック(磁器及び同様物など)、及びこれらの混合物からなる群から選択される別の材料で被覆される。
【0029】
加熱手段支持体6は、耐熱性ではない出発材料から作製された後、例えば外側表面全体を耐熱性材料で被膜することによって、耐熱性となるように処理されてもよい。
【0030】
耐熱性加熱手段支持体6が、ハウジング7及び/又はカートリッジ支持体10の温度を、熱変形温度(HDT)(熱たわみ温度としても知られる)未満、好適には0.9HDT未満、より好適には0.8HDT未満、更により好適には0.7HDT未満、最も好適には0.5HDT未満に、好適には加熱手段の最大動作温度に維持することが可能であることが好適である。最大動作温度は、典型的には少なくとも90℃、好適には少なくとも95℃、より好適には少なくとも100℃、更により好適には少なくとも110℃、最も好適には120℃〜150℃である。これらの動作条件は、過電圧の事象の後でさえも、ハウジングがその一体性を保持することを可能にする。好適な一実施形態において、ハウジング及び/又はカートリッジ支持体のHDTは、AST
M D648に従って0.45MPaの負荷下で測定して100℃〜200℃である。
【0031】
一実施形態において、耐熱性加熱手段支持体6は、AST
M D648に従って1.8MPaの負荷下で測定して270℃以上の熱変形温度(HDT)を有する。
【0032】
加熱手段支持体6は、ハウジング7にスライド可能に接続され得る作動手段
9の作動時に、第1の点から第2の点まで変位するように配置されてもよく、第1の点において、加熱手段5とウィック4との間の距離は0.50mm〜1.50mmであり、第2の点において、加熱手段5とウィック4との間の距離は5mm〜7mmである。作動手段9が解放された後、作動手段9及び結果として加熱手段支持体6が設定位置(複数可)内の適所に保持されるように、作動手段9及び/又はハウジング7は、1つ以上の、好適には複数の該設定位置で、好適には物理的又は機械的係合を提供するための摩擦手段を備え得る。摩擦手段は、作動手段9の表面上、及び/又はハウジングの表面上の1つ以上の突出部及び/又は凹部の形態であり得る。摩擦手段は、作動手段9が作動されると、ウィックの高さに対して平行又は垂直な平面において、作動手段9とハウジング7との間の変位を引き起こすように配置され得る。作動手段が摩擦手段上にスライドした後「クリック」音が鳴るように、変位は作動手段とハウジングとの間の僅かな分離を引き起こすのに十分である。これは、作動手段、及び結果として加熱手段支持体が、設定位置のうちの1つに達した後、ユーザが警告されるという利点を有する。
【0033】
好適な一実施形態において、加熱手段支持体6は、加熱手段5とハウジング7との間の距離、好適には最小距離が、3mm超、好適には3mm〜10mm、より好適には3mm〜7mm、最も好適には3mm〜6mmであるように配置される。「最小距離」は、本明細書において、加熱手段5から、加熱手段支持体6の任意のある位置にあるハウジング上の最も近い点までの距離が意図される。
【0034】
好適な一実施形態において、加熱手段5は、多数の異なる形状を有してもよく、該形状は、円盤状、環状、楕円状、正方形状、矩形状、角錘状、立方体状、立方体様状、平行六面体状、球状、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適には、加熱手段は、形状において好適には矩形断面を有する平行六面体であり、実質的に直角の縁部を有し得る。「直角の縁部」は、本明細書において、加熱手段の外側表面によって形成されるそれぞれの面の間の角度が、実質的に90°、好適には90°であることが意図とされる。そうすることにより、所望の温度出力を実現しながら、製造上の複雑性及び費用が確実に最小化される。
【0035】
好適な一実施形態において、加熱手段5は、形状において矩形断面を有する平行六面体であり、その短い方の長さはウィックの高さに平行に配向される。好適には、この短い方の長さは、加熱手段によって生成される熱に依然直接露出されたままであるウィック4の高さと同一の長さである。本実施形態の利点は、熱が所望の領域内に(すなわち、直接露出されたままであるウィックの部分でのみ)効果的に局所化され、したがって、装置の他の部品に対する悪影響を制限しながら、より効率的な加熱のために、装置の他の領域に提供される過剰な熱を制限することである。別の利点は、装置圧縮のそれである。
【0036】
加熱手段5は複数の面を含んでもよく、加熱手段5の1つの面はウィック4に対して直接露出し、残りの面は加熱手段支持体6と直接接触する。ウィック4に対して直接露出する加熱手段5の面は、平坦、凹形、凸形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有してもよく、好適には平坦である。
【0037】
好適な一実施形態において、加熱手段5は、ウィック4に対して直接露出する加熱手段5の1つの面の外辺部が、加熱手段支持体6に対して実質的に同一平面上に位置するように、好適には該1つの面のみが該加熱手段支持体で被覆されないように配置される。
【0038】
好適には、加熱手段5は、好適にはガラス繊維コード又はセラミックロッド上に抵抗性ワイヤを巻き、耐温度及び耐燃性のセメントと共にセラミック本体内に封入されることによって作製される、セラミックに入れられた巻線抵抗器からなる。こうしたタイプの抵抗器は、大量の熱を放散させることが可能であるのと同時に、製造するのに特に費用効率的である。
【0039】
好適な一実施形態において、空気処理装置1は、カートリッジ支持体10を更に備える。カートリッジ支持体10は、頂部及び底部を含んでもよく、該空気処理装置1が完全に組み立てられた際、頂部は加熱手段5及び加熱手段支持体6に対して並置され、底部は交換可能なカートリッジ2の収容容器3に並置される。カートリッジ支持体10は、該ハウジング7内に封入され得る。好適には、カートリッジ支持体10は、ハウジング7の少なくとも1つの開口部と流体連通するチムニー13を備え、好適には該頂部に位置し、ウィック4の少なくとも一部をその中に受容することが可能である。チムニー13は、形状において環状又は管状で、該ウィック4とチムニー13の内表面との間に間隙が残るようなサイズであってもよく、該間隙は、好適には、気化した空気清浄物質が、チムニー13を通ってハウジング7の少なくとも1つの開口部を介して空気清浄装置1から流れ出るのを可能にするように十分に大きい。好適には、チムニー13は、ウィック4が加熱手段5によって生成される熱に直接暴露されたままであるように、加熱手段に近位の位置に少なくとも1つのスリットを含む。
【0040】
カートリッジ支持体10は、好適にはハウジング7に接続可能な別個の部品である。カートリッジ支持体10は、好適には加熱手段5とハウジング7の少なくとも一部との間に介設され、交換可能なカートリッジ2を受容し、保持するように適応され得る。カートリッジ支持体は、1種以上のポリエステル、好適にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料、好適にはポリプロピレン(PP)を含み得る。好適な一実施形態において、カートリッジ支持体10の少なくとも一部、好適にはカートリッジ支持体10のチムニー13は、耐熱性である。
【0041】
空気処理装置は、壁の電力ソケット、自動車電力ジャッキ、及び同様物などの電源への接続のためのプラグ14を更に備え得る。好適には、該プラグ14は、好適にはハウジング7の一部、典型的には装置の後部部分で接続可能であり、好適にはプラグ14が、ウィックの高さに垂直な回転軸を中心に自由に回転するようにスライド可能に接続される。これは、ユーザが装置のプラグを差し込み、急角に嵌合させるか、又は交換可能なカートリッジが加熱手段5及び加熱手段支持体6の下に位置するように、装置を直立に配向することによって、漏出の危険性を確実に最小限にするために、プラグをそれに応じて配向することを確実にする。あるいは、空気処理装置は、装置が電池式装置である場合、1つ以上の電池を受容するための電池区画を備える。
【0042】
交換可能なカートリッジ
本発明に係る空気処理装置1は、交換可能なカートリッジ2を備える。交換可能なカートリッジ2は、ユーザが使用済みカートリッジを新しいものに交換することを可能にする。使用済みカートリッジは、空である場合、又はユーザが空気処理装置1によって気化される芳香剤を素早くかつ容易に変更することを望む場合に交換され得る。
【0043】
典型的には本発明に係る空気処理装置1への接続に適する、交換可能なカートリッジは、空気清浄物質を収容する収容容器3と、該収容容器3と流体連通、好適には液体連通するウィック4と、を備える。ウィック4は、底端部4bが収容容器3内にあって液体と接触し、頂端部4aが収容容器3から突出するように配置され、それにより頂端部4aは、交換可能なカートリッジ2が空気処理装置1の一部に接続されると、加熱手段5によって生成される熱に暴露されたままとなる。
【0044】
交換可能なカートリッジ2は、ハウジング7又はカートリッジ支持体10の少なくとも一部と相互作用する鎖錠手段(図示せず)を備えていてもよく、該鎖錠手段を備えるカートリッジのみが、空気処理装置に挿入及び/又は保持され得るようになっているか、又は該鎖錠手段を備えるカートリッジのみが、空気処理装置1に接続された後、加熱手段5がウィック4に直接熱を適用することを可能にするようになっている。
【0045】
交換可能なカートリッジの収容容器3は、任意の好適な形状を有してもよく、空気清浄物質中に存在する成分と反応することなく該空気清浄物質を保持するのに好適な任意の材料で作製され得る。収容容器は、ガラス又はプラスチックで作製されてもよく、透明又は不透明であってもよい。
【0046】
好適な一実施形態において、交換可能なカートリッジは、1種以上の空気清浄物質を含む単一の収容容器を備える。2種以上の空気清浄物質が使用される場合、それらは、仕切を1つ有する、又は仕切のない収容容器に収容され得る。
【0047】
本発明に係る空気処理装置のための好適なウィックは、空気清浄物質を、重力に反して、収容容器内のウィックの底端部からウィックの頂端部に引き上げることが可能な、合成又は天然の、繊維性の性質のものである。好適なウィックは、ポリオレフィン(PP及びPEなど)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料、好適にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの混合物を含む、焼結多孔性ウィックである。
【0048】
ウィックは、それらの平均孔サイズの観点で説明され得る。ウィックは、任意の好適な平均孔サイズを有し得る。「Porous Wick for Liquid Vaporizers」と題する米国特許出願第2002/0136886 A1号は、平均孔サイズの標準的な測定値についての説明を提供する。本発明において言及される平均孔サイズは、米国特許出願第2002/0136886 A1号の少なくとも0028及び0029の段落において説明される水銀圧入ポロシメトリーによって測定される。特定の実施形態において、本発明において有用なウィックの平均孔サイズは、50マイクロメートル〜500マイクロメートル、好適には50マイクロメートル〜200マイクロメートル、より好適には60マイクロメートル〜150マイクロメートル、更により好適には70マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲である。同様に、ウィックは、米国特許出願第2002/0136886 A1号の少なくとも0030〜0035の段落において説明される水銀圧入ポロシメトリーを使用して測定して、15%〜85%、好適には25%〜50%の平均孔体積を有し得る。同様に、所望の用途に応じて、ウィックの長さは様々であってもよい。特定の実施形態において、ウィックは、30mm〜100mm、好適には40mm〜75mm、より好適には50mm〜70mmの長さを有し得る。
【0049】
空気清浄組成物
本発明に係る空気処理装置1における使用に好適な空気清浄成分は、好適には液体の形態であり、熱に曝されるのに適したものである。
【0050】
好適な液体空気清浄物質は、典型的には、好適には香料、悪臭中和剤、溶剤、及びこれらの混合物から選択される1つ以上の揮発性成分を備える。
【0051】
特定の実施形態において、本明細書に説明される空気清浄物質は、経時的により一貫した性質を維持することができる。新しく放出された、より新しくより揮発性が高くより低いODTの材料と、より重く、より高い臭気検出閾値(「ODT」)の分子(例えば、ジャコウ、木質ノートなどのボトムノート)の混合作用は、ユーザに製品が最初に塗布されたときに彼らが最初に経験した匂いを思い出させる匂いを提供する。理論に拘束されることを望むものではないが、ジャコウ、木質ノートなどのベースノートの水準を上昇させること、及びより低い揮発性を有するそのようなベースノートを慎重に選択することによって、より長期間にわたって芳香剤の性質及び顕著性が改良されると考えられる。好適な一実施形態において、液体空気清浄物質は、1500〜1700KIのKI範囲における少なくとも10%の純原材料(PRM)を含む。
【0052】
一実施形態において、空気清浄組成物は、好適にはエチルセルロース、全てHoneywellによって製造される、ACumis B−6、B−12、B−18、C−5、C−12、及びC−18などの低分子量ポリエチレン、全てAllied Signalからの、A−C6、A−C6A、A−C7、A−C7A、A−C8、A−C8A、A−C9、A−C9A、A−C9F、A−C15、A−C16、A−C617、A−C715、及びA−C1702などのエチレンホモポリマー、全てHoneywellからの、ACumist A−6、A−45、B−9、C−9、C−30、及びD−9などの微紛化ポリエチレンワックス、Kratonの商標名でShell Chemical Companyによって販売されるスチレンブタジエンスチレン三元ブロックコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の増粘剤、好適にはエチルセルロースを含む。該増粘剤は、漏出又は浸出の可能性が低減されるという利点を有する。
【0053】
空気清浄物質を気化させる方法
本発明に係る空気処理装置は、
i.交換可能なカートリッジ2を、空気処理装置1に任意で接続する工程と、
ii.空気処理装置を起動させて、起動期間を開始する工程と、
iii.作動手段9を複数の画定された位置に順次移動させ、各位置において、加熱手段支持体6が、該空気清浄物質の蒸発速度が起動期間の間中変化するように、各該画定された位置における効果的な時間の間、以前の位置と異なる距離で移動される工程と、を含む方法において、空気清浄物質を気化させるために使用され得る。
【0054】
好適な一実施形態において、工程iii.は、
a.加熱手段支持体6が、該空気処理装置が起動される際の距離より小さい、ウィックからのある距離で、第1の期間移動されるように、作動手段9を第1の位置に移動させる工程と、
b.加熱手段支持体6が、該第1の位置における距離より大きいが、該空気処理装置が起動される際の距離と異なる、ウィックからのある距離で、ヒトの検出水準を習慣性の前の水準まで低減するために十分に長い第2の期間移動されるように、作動手段9を第2の位置に移動させる工程と、
c.加熱手段支持体6が、該第2の位置における距離より小さい、ウィックからのある距離で、第3の期間移動されるように、作動手段9を第3の位置に任意で移動させる工程であって、該第3の期間が該第2の期間より長い、移動させる工程と、
d.ステップa.〜c.を任意で反復する工程と、を含む。
【0055】
説明される方法は、オープン・スペース中の気化した空気清浄物質の顕著性が、依然ユーザによって検出可能なままであり、したがって習慣性を制限する、又は更には防止するという更なる利点を有する。
【0056】
RTI測定
RTIは、本明細書で使用される場合、UL743Bに従って測定される。UL743B(2011年11月3日)によると、相対温熱指数(RTI)は、それ未満で材料がその性質を正当な期間にわたって維持する、最高温度である。別段指定されない限り、熱劣化による特性値の50パーセントの喪失は、特性終点と考えられるべきである。熱老化プログラムにおいて評価されるべき特定の特性は、電気特性(例えば、絶縁耐力)、衝撃特性(例えば、引張衝撃、アイゾット又はシャルピー衝撃)、及び構造的特性(例えば、最大引張応力又は曲げ強度)に細分割される。温熱指数は、様々な厚さでの実際の試験に基づいて割り当てられる。長期間の熱老化調査の実施において、固定温度法又は固定時間枠法の、2つのサンプリング技法が利用可能であり、2009年8月20日のUL734Bの13頁中の表12.1において指定されるように、全て異なる時間終点を有する、少なくとも4つの炉温度が選択されなくてはならない。特に、構造的RTIは、ASTM D−638標準に従って対象材料試料を試験することによって決定され得る。
【0057】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。