(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によって、今や、特にホウケイ酸塩型のITQ−32を、フッ化物のない状態で調製することができることが見出された。フッ化物を含まない合成は、有機構造指向剤として4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムを使用して実行することができる。本合成は、アルカリ金属カチオンのない状態で達成することができ、それによって、吸蔵された有機構造指向剤を除去するための焼成後の生成物のイオン交換の必要性を排除することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
一態様において、本発明は、ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブであり、その合成されたままの形態で、フッ化物イオンを実質的に含まないモレキュラーシーブに関する。
【0008】
一実施形態において、モレキュラーシーブは、その細孔(ポア(pores))に4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを含む。
【0009】
一実施形態において、合成されたそのままの状態のモレキュラーシーブは、qQ
+:xX
2O
3:SiO
2のモル関係(約1.0シリカ含量で正規化される)
[式中、
0<q≦0.06、
0≦x≦0.05、
Q
+は、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを含み、および
Xは、3価元素(アルミニウム、ホウ素、クロム、ガリウムおよび鉄の少なくとも1種など)を含み、望ましくはホウ素を含むか、あるいはホウ素である]
を含む組成を有する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブの製造方法であって、以下の(i)〜(iii)を含む方法に関する。
(i) モレキュラーシーブを形成することが可能である合成混合物であり、水と、シリカの供給源と、3価元素(X)の供給源と、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオン(Q
+)の供給源とを含み、フッ化物イオンを実質的に含まず、モル比で、約2〜約100のSiO
2/X
2O
3;約0.02〜約1.0のQ
+/SiO
2;および約10〜約60のH
2O/YO
2の量の範囲内の組成を有する合成混合物を調製すること、
(ii) モレキュラーシーブの結晶が形成されるまで、約100℃〜約200℃の温度および約1日〜約28日の時間を含む結晶化条件下で上記混合物を加熱すること、および
(iii) 上記(ii)の工程からモレキュラーシーブを回収すること
【0011】
一実施形態において、上記合成混合物は、塩化物イオンの供給源を含み、望ましくは、上記合成混合物のCl
−/SiO
2のモル比は、約0.3までである(ただし、ゼロではない)ように塩化物イオンの供給源を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の詳細な説明)
本明細書中、フッ化物イオンを実質的に含まず、かつ任意選択で他のハロゲン化イオン、特に塩化物イオンを含有する合成混合物からの、モレキュラーシーブITQ−32の合成方法が開示される。本明細書で使用される場合、「フッ化物イオンを実質的に含まない」という用語は、合成混合物が、100wppm未満、例えば、50wppm未満、25wppm未満、10wppm未満、または測定不可能な量のフッ化物イオンを含有することを意味する。
【0014】
本合成は、構造指向剤として、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを利用し、かつ本明細書に記載される方法は、その合成されたままの形態において、モル関係:qQ
+:xX
2O
3:SiO
2(式中、0<q≦0.06、0≦x≦0.05、Q
+は、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを含み、およびXは、アルミニウム、ホウ素、クロム、ガリウムおよび鉄の少なくとも1種などの3価元素を含む)を含む組成を有するITQ−32材料を製造することができる。一実施形態において、ホウ素は、合成されたままのモレキュラーシーブに、単独で、またはアルミニウムなどの1種以上の他の3価元素と組み合わせて存在する。上記モル関係は、シリカの(不在)係数が約1.0であることを意味するように、シリカ成分の含有量に正規化される。
【0015】
その合成されたままの形態において、本方法によって製造されるITQ−32は、以下の表1に記載される特徴的なピーク最大を含むX線回折(XRD)スペクトルを示すことができる。
【0017】
その細孔に吸蔵される有機材料Q
+を除去するための焼成の後、本方法によって製造されるITQ−32は、以下の表2に記載される特徴的なピーク最大を含むXRDパターンを有することができる。
【0019】
本明細書に報告されるX線回折データは、ゲルマニウムソリッドステート検出器を備えるXcelerator multichannel検出器を有するPanalytical X’Pert Pro回折システムによって、銅K−アルファ放射線を使用して収集された。回折データは、0.02°の2θ(θはBragg角である)で、ステップ−スキャンによって、およびステップごとに2秒の有効なカウント時間を使用することによって記録される。面間隔、d−間隔はオングストロームで算出され、線の相対的な強度、I/I
oは、ピーク強度対、バックグラウンド上の最も強い線の強度の比である。この強度は、Lorentzおよび分極化の影響のために訂正されない。相対強度は記号によって示され、「vs」=非常に強い(60〜100%)、「s」=強い(40〜60%)、「m」=中間(20〜40%)、および「w」=弱い(0〜20%)。ある場合、記載されるいくつかの(選択)または全ての弱いピークは、ゼロではない強度を有し得る。
【0020】
本明細書に記載されるITQ−32は、水、シリカの供給源、3価元素(X)の供給源、および4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオン(Q
+)の供給源を含む合成混合物であって、フッ化物イオンを実質的に含まず、かつモル比で、以下の量の範囲内の組成を有する合成混合物から製造することができる。
【0022】
上記混合物中のシリカの適切な供給源には、必ずしも限定されないが、シリカのコロイド懸濁液、沈殿シリカ、アルカリ金属シリケート、テトラアルキル−オルトシリケート、水酸化ケイ素、ケイ素オキシヒドロキシドなど、およびそれらの組み合わせを含むことができる。3価元素Xの適切な供給源は、利用される関連する3価元素次第であることができるが、ホウ素の場合、必ずしも限定されないが、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、カリウム、酸化ホウ素およびそれらの組み合わせを含むことができる。アルミニウムの適切な供給源は、存在する場合、必ずしも限定されないが、水和アルミナ(水酸化アルミニウムとも呼ばれる)、酸化アルミニウム、アルミニウムオキシヒドロキシド、水溶性アルミニウム塩、例えば、硝酸アルミニウムおよびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0023】
Q
+の適切な供給源は、水酸化物、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物および/もしくはヨウ化物)、ならびに/または関連する第四アンモニウム化合物の他の塩を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、合成混合物は、例えば、上記合成混合物のCl
−/SiO
2モル比が(ゼロではなく、かつ)約0.3までであり得るように、塩化物イオンの供給源を含むことができる。
【0025】
合成混合物のpHは、必ずしも重要ではない場合もあるが、それは合成混合物における種々の成分の組み合わせに高度に依存し得る。pH値は7.5〜14であることができるが、合成混合物におけるより低いpH値で、相対的に高い収量および/または相対的に高い純度を達成することは困難となる可能性がある。それにもかかわらず、ある種の実施形態において、実質的にフッ化物を含まないITQ−32生成物の効果的な製造を可能にしながらも、合成混合物のpHは、相対的に低く、例えば、8〜10であることが可能である。
【0026】
いくつかの実施形態において、合成混合物は、例えば、合成混合物の約0.1重量%〜約10重量%、または約0.5重量%〜約5重量%の量で、前の合成からのモレキュラーシーブ材料、例えば、ITQ−32の種結晶(またはシード)を含んでもよい。追加的に、または代わりとして、ITQ−32種結晶などの種結晶が合成混合物に存在する場合、それらは、合成混合物のシリカ成分の約0.1重量%〜約10重量%、または約0.5重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0027】
本明細書に記載される合成混合物からのITQ−32の結晶化は、約100℃〜約200℃、例えば、約140℃〜約180℃の温度で、使用される温度で結晶化が生じるために十分な時間で(例えば、約12時間〜約100日、約1日〜約7日、または約2日〜約20日)、適切な反応器容器(例えば、ポリプロピレンジャーまたはTeflon(商標)ラインドもしくはステンレス鋼オートクレーブ)での静的または撹拌条件で実行することができる。その後、結晶を液体から分離することができ、回収することができる。ITQ−32生成物のSiO
2/X
2O
3モル比が、合成混合物のモル比よりも実際に高くなり得るように、合成混合物に存在する3価元素が、モレキュラーシーブのフレームワークへ転送されてもよいことは認識すべきである。同様に、合成混合物の1種以上の他の成分で真であり得る。
【0028】
本明細書に記載される合成混合物および方法を使用することによって、その合成されたままの形態において、フッ化物イオンを実質的に含み得ないのみならず、例えば、XRD技術で測定されるように、25重量%未満(例えば、20重量%未満を含有、15重量%未満を含有、11重量%未満を含有、または実質的に含まない)の大細孔モレキュラーシーブ/ゼオライト材料(ZSM−12など)を含有することもできる、ITQ−32を合成することが可能である。大きい細孔のモレキュラーシーブ/ゼオライト材料は、本明細書で使用される場合、6Åより大きい、少なくとも1つの細孔開口断面寸法を有する微孔性構造を有する。本明細書で使用される場合、「大きい細孔を実質的に含まない」材料という用語は、生成物が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、またはXRD技術によって検出不可能な量の大きい細孔の材料(必ずしも限定されないが、ZSM−12などが含まれる)を含有することを意味する。相対的に大きい細孔のモレキュラーシーブであるZSM−12は、ITQ−32が吸着用途のために使用される場合、相対的に望ましくない不純物である可能性がある。実際に、追加的に、または代わりとして、例えば、XRD技術によって、25重量%未満(例えば、20重量%未満、15重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、または検出不可能な量)の不純物(ITQ−32以外)相が得られるように、本明細書に記載される合成混合物および/または方法を使用して、ITQ−32生成物を合成することが可能である。
【0029】
一実施形態において、本方法によって合成されるITQ−32生成物は、7より大きい、例えば、8より大きい原子比(Si/B)でケイ素およびホウ素を含むことができる。
【0030】
合成されたままのITQ−32生成物はまた、その合成において使用される有機指向剤Qの全部もしくは一部を除去および/または分解するための処理を受けてもよい。これは、合成されたままの材料を少なくとも約370℃の温度まで、少なくとも1分間、および一般に20時間より短い時間で加熱することができる熱処理によって都合よく実行することができる。亜大気圧を熱処理に利用することができるが、便宜上の理由で気圧が所望となり得る。熱処理は、簡便かつ効果的な温度、例えば、約925℃までの温度で実行することができる。特に、その金属、水素およびアンモニウム型の、熱処理された生成物は、吸着剤として、ならびに/またはある種の有機(例えば炭化水素)変換反応の触媒作用において特に有用となる可能性がある。
【0031】
ITQ−32の本合成は、アルカリ金属カチオンのない状態で達成することができ、それによって、いずれかの吸蔵された構造指向剤を除去するための熱処理後の生成物のイオン交換の必要性を排除することができる。しかしながら、材料のX
2O
3/SiO
2モル比次第で、合成されたままのITQ−32のいずれのカチオンも、周知の技術に従って、例えば、他のカチオンによるイオン交換によって置き換えることができる。好ましい置換カチオンは、必ずしも限定されないが、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えば、アンモニウム)イオンおよびそれらの混合物を含むことができる。特に好ましいカチオンは、吸着および/またはある種の炭化水素変換反応のための触媒活性を調整することができるもの(例えば、水素、希土類金属、および元素周期表の2〜15族の1種以上の金属)を含むことができる。本明細書で使用される場合、周期表のためのナンバリングスキームは、Chemical and Engineering News,63(5),27(1985)に開示される通りである。
【0032】
本明細書に製造されるITQ−32は、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガンおよび/または貴金属(例えば、白金および/またはパラジウム)などの水素化成分と親密に組み合わせられてもよく、そこで、水素化処理−脱水素機能を実行することが望ましくなり得る。そのような成分は、共結晶化によって組成物にあって、組成物中に交換され(3価元素(例えば、ホウ素)が構造に存在する範囲まで)、その中で含浸され、および/または親密に物理的に混合されることが可能である。そのような成分は、例えば、白金の場合、白金金属含有イオンを含有する溶液でシリケートを処理することによって、組成物中/上に含浸することができる。したがって、そのような目的のための適切な白金化合物は、塩化白金酸、塩化白金および/または白金アミン錯体を含有する様々な化合物を含むことができる。
【0033】
本モレキュラーシーブは、吸着剤として、および/または触媒として利用される場合、一般に少なくとも部分的に脱水されることができる。これは、例えば、空気、窒素などの雰囲気で、大気、亜大気、超大気圧において、適切な時間(例えば、約15分〜約48時間)で、約120℃〜約400℃(例えば、約200℃〜約370℃)の温度に加熱することによって実行することができる。代わりとして、単に真空下にTQ−32を配置して、室温(約20〜25℃)で実行することによって、脱水ができるが、十分に脱水するために長い時間が必要とされる。
【0034】
本明細書に記載されるITQ−32は、二酸化炭素などの第1の成分と、メタンなどの追加的な第2の成分とを含む気体の混合物からの第1の成分の分離において特に有用であることが可能である。
【0035】
追加的に、または代わりとして、本発明は、以下の実施形態の1種以上を含むことができる。
【0036】
実施形態1
ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブであり、その合成されたままの形態で、フッ化物イオンを実質的に含まないモレキュラーシーブ。
【0037】
実施形態2
ケイ素およびホウ素を8:1よりも大きな原子比(Si/B)で含む、実施形態1のモレキュラーシーブ。
【0038】
実施形態3
ZSM−12などの大きな細孔のモレキュラーシーブ材料を実質的に含まない、実施形態1または実施形態2のモレキュラーシーブ。
【0039】
実施形態4
4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンをさらに細孔構造に含む、上記の先行する実施形態のいずれか1つのモレキュラーシーブ。
【0040】
実施形態5
qQ
+:xX
2O
3:SiO
2のモル関係
[式中、
0<q≦0.06、
0≦x≦0.05、
Q
+は、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを含み、および
Xは、3価元素を含む(例えば、アルミニウム、ホウ素、クロム、ガリウムおよび鉄の少なくとも1種を含む(例えば、少なくともホウ素および/またはアルミニウムを含む))]
を含む組成を有する、実施形態4のモレキュラーシーブ。
【0041】
実施形態6
ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブおよび/または上記の先行する実施形態のいずれか1つに記載のモレキュラーシーブの製造方法であって、
(i) モレキュラーシーブを形成することが可能である合成混合物であり、水と、シリカの供給源と、3価元素(X)の供給源と、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオン(Q
+)の供給源とを含み、フッ化物イオンを実質的に含まず、SiO
2/X
2O
3比が約2〜約100であり、Q
+/SiO
2比が約0.02〜約1.0であり、H
2O/YO
2比が約10〜約60である組成を有する合成混合物を調製することと、
(ii) モレキュラーシーブの結晶が形成されるまで、約100℃〜約200℃の温度および約1日〜約28日の時間を含む結晶化条件下で前記混合物を加熱することと、
(iii) 前記(ii)の工程からモレキュラーシーブを回収することと
を含む方法。
【0042】
実施形態7
前記合成混合物が、塩化物イオンの供給源を含む、実施形態6の方法。
【0043】
実施形態8
前記合成混合物が、約0.3までのCl
−/SiO
2のモル比(ゼロではない)を示す、実施形態7の方法。
【0044】
実施形態9
前記合成混合物が、種結晶、例えば、約0.01wppm〜約10000wppmの種結晶または約100wppm〜約5000wppmの種結晶をも含む、実施形態6〜8のいずれか1つの方法。
【0045】
実施形態10
前記種結晶が、ITQ−32の構造を有する結晶質材料を含む、実施形態9の方法。
【0046】
実施形態11
前記(iii)の工程で回収されたモレキュラーシーブの結晶から前記有機材料の少なくとも一部分を除去および/または分解することをさらに含む、実施形態6〜10のいずれか1つの方法。
【0047】
実施形態12
実施形態6〜11のいずれか1つの方法によって製造されたモレキュラーシーブ。
【0048】
実施形態13
第1の成分と第2の成分とを含む気体の混合物から第1の成分を分離する方法であって、前記気体混合物を実施形態1〜4または12のいずれか1つのモレキュラーシーブと接触させることを含む方法。
【0049】
実施形態14
前記第1の成分が二酸化炭素を含み、前記第2の成分がメタンを含む、実施形態13の方法。
【0050】
ここで本発明は、以下の実施例および添付の図面を参照することによって、より詳細に説明される。
【実施例】
【0051】
実施例において、アルファテストは、モレキュラーシーブ酸官能性の尺度であり、その測定の詳細と共に、米国特許第4,016,218号明細書およびJ.Catalysis,Vol.VI,pp.278−287(1966)に記載されている。
【0052】
実施例1
反応混合物は、密封された1mLステンレス鋼反応容器中、ホウ素供給源としてホウ酸、シリカ供給源としてLudox(商標)AS−40を使用して、以下のモル比:SDA/Si≒0.2;Si/B≒5;HCl/Si≒0.10;およびH
2O/Si≒35で調製され、かつフッ化物イオンを実質的に含まない。4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムヒドロキシドを構造指向剤(SDA)として使用した。
【0053】
反応混合物をタンブリング条件(約30rpm)で約28日間、約160℃で対流オーブン中で加熱した。試料を3回連続の遠心分離で処理し、脱イオン水で洗浄した。生成物の粉末XRDは、実質的に純粋な相ITQ−32を示すように見えた。
【0054】
実施例2
最初に、約5.1グラムの脱イオン水を、約23mL鋼パーオートクレーブのテフロン(商標)ライナー内で、約2.20グラムの1,1−ジメチル−4−シクロヘキシルピペラジニウムヒドロキシド(29.2%)に添加した。次に、約0.19グラムのホウ酸を溶液に添加し、ほぼ溶解するまで、スパチュラを用いて手で混合した。次のステップ(又は工程)で、約1.50グラムの1N HClと、次いで約2.25グラムのLudox(商標)AS−40を溶液に添加し、混合して、実施例1の反応混合物と同一のモル比を有する相対的に均一な懸濁液を作成した。実施例1の生成物からの約0.04グラムの種結晶を添加した。ライナーに次いでキャップをして、約23mLオートクレーブ内に封入し、タンブリング条件(約50rpm)で約160℃まで加熱した。約14日間の加熱後、反応物をクエンチし、ブフナー漏斗を通して濾過することによって固体を単離し、脱イオン水によって洗浄して、約60℃の真空オーブンで乾燥させた。固体生成物の収量は約1.02グラムであった。生成物の粉末XRDは、実質的に純粋な相ITQ−32を示すように見えた。
図1は、実施例2の生成物の製造されたまま、および焼成された形態の粉末XRDパターンを示す。
図2は、実施例2の生成物のSEM像を示す。
【0055】
実施例2の生成物の焼成の形態を、マッフル炉内部で、周囲温度(約20〜25℃)〜約400℃で、窒素雰囲気下、約4℃/分の加熱速度で加熱し、空気中、約4℃/分の加熱速度で約600℃まで加熱し、次いで、約2時間、空気中で約600℃で維持した。次いで、焼成生成物を窒素物理吸着によって測定し、t−プロット法を使用してデータを分析した。微小孔体積は約0.16cm
3/gであると決定され、外部(メソ細孔)表面積は約52m
2/gであると決定された。
【0056】
実施例3
約0.023グラムの水酸化アルミニウムおよび約0.06gの実施例2からの生成物種結晶が合成混合物に含まれたことを除き、実施例2を繰り返した。約14日間の結晶化後の固体生成物の収量は約1.05グラムであり、生成物の粉末XRDは、実質的に純粋な相ITQ−32を示すように見えた。この試料を焼成し、次いで、n−ヘキサン分解活性に関してアルファ試験を行った。試料のアルファ値は約6であると決定された。
【0057】
実施例4
1N HClを添加しなかったことを除き、実施例2を繰り返した。同一H
2O/Si濃度を維持するために、追加的な脱イオン水を添加した。約8日の加熱後、生成物は、実質的に純粋な相ITQ−32であるように見えた(XRDによる)。
【0058】
実施例5
約0.018グラムの塩化ナトリウムが合成混合物に含まれたことを除き、実施例4を繰り返した。約7日の加熱後、生成物は、実質的に純粋な相ITQ−32であるように見えた(XRDによる)。
【0059】
実施例6
約35の初期Si/Al比および約5の初期Si/B比が得られるように約0.033グラムの水酸化アルミニウムが合成混合物に含まれたことを除き、実施例3を繰り返した。約9日の加熱後、生成物は、ITQ−32を主に含み、少数のギブサイト不純物を有するように見えた(XRDによる)。
【0060】
実施例7
実施例2を繰り返したが、ホウ素を用いず、かつ約20の初期Si/Al比が得られるように、十分な水酸化アルミニウムが合成混合物に含まれていた。生成物は、約17日間の加熱の後、非晶質であるように見えた(XRDによる)。
【0061】
本発明が特定の実施形態に関して記載されたが、そのように限定はされない。特定の条件下での作業のための適切な変更形態/修正形態は、当業者に明白であろう。したがって、以下の請求項は、本発明の真の趣旨/範囲内に包含される全てのそのような変更形態/修正形態を包括するものとして解釈されるように意図される。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブであり、その合成されたままの形態で、フッ化物イオンを実質的に含まないモレキュラーシーブ。
(態様2)
ケイ素およびホウ素を8:1よりも大きな原子比(Si/B)で含む、態様1に記載のモレキュラーシーブ。
(態様3)
ZSM−12などの大きな細孔のモレキュラーシーブ材料を実質的に含まない、態様1または2に記載のモレキュラーシーブ。
(態様4)
4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンをさらに細孔構造に含む、態様1〜3のいずれか1項に記載のモレキュラーシーブ。
(態様5)
qQ+:xX2O3:SiO2のモル関係
[式中、
0<q≦0.06、
0≦x≦0.05、
Q+は、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオンを含み、および
Xは、3価元素を含む(例えば、アルミニウム、ホウ素、クロム、ガリウムおよび鉄の少なくとも1種を含む(例えば、少なくともホウ素および/またはアルミニウムを含む))]
を含む組成を有する、態様4に記載のモレキュラーシーブ。
(態様6)
ITQ−32の構造を有するモレキュラーシーブおよび/または態様1〜5のいずれか1項に記載のモレキュラーシーブの製造方法であって、
(i) モレキュラーシーブを形成することが可能である合成混合物であり、水と、シリカの供給源と、3価元素(X)の供給源と、4,4−ジメチル,1−シクロヘキシルピペラジニウムカチオン(Q+)の供給源とを含み、フッ化物イオンを実質的に含まず、SiO2/X2O3比が約2〜約100であり、Q+/SiO2比が約0.02〜約1.0であり、H2O/YO2比が約10〜約60である組成を有する合成混合物を調製することと、
(ii) モレキュラーシーブの結晶が形成されるまで、約100℃〜約200℃の温度および約1日〜約28日の時間を含む結晶化条件下で前記混合物を加熱することと、
(iii) 前記(ii)の工程からモレキュラーシーブを回収することと
を含む方法。
(態様7)
前記合成混合物が、塩化物イオンの供給源を含む、態様6に記載の方法。
(態様8)
前記合成混合物が、約0.3までのCl−/SiO2のモル比(ゼロではない)を示す、態様7に記載の方法。
(態様9)
前記合成混合物が、種結晶、例えば、約0.01wppm〜約10000wppmの種結晶または約100wppm〜約5000wppmの種結晶をも含む、態様6〜8のいずれか1項に記載の方法。
(態様10)
前記種結晶が、ITQ−32の構造を有する結晶質材料を含む、態様9に記載の方法。
(態様11)
前記(iii)の工程で回収されたモレキュラーシーブの結晶から前記有機材料の少なくとも一部分を除去および/または分解することをさらに含む、態様6〜10のいずれか1項に記載の方法。
(態様12)
態様6〜11のいずれか1項に記載の方法によって製造されたモレキュラーシーブ。
(態様13)
第1の成分と第2の成分とを含む気体の混合物から第1の成分を分離する方法であって、前記気体混合物を態様1〜4または12のいずれか1項に記載のモレキュラーシーブと接触させることを含む方法。
(態様14)
前記第1の成分が二酸化炭素を含み、前記第2の成分がメタンを含む、態様13に記載の方法。