(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該履物の少なくとも一方の側部上の前記張力経路は、当該履物の足首領域に隣接して位置する領域の上方で当該履物上に設けられた引き締め機構体のところで終端している
ことを特徴とする請求項1記載の履物。
前記張力経路は、前記着用者の足を横切り、そして水平から約20°〜約70°の角度をなして後方に続き、それにより後ろ向き且つ下向きの力のベクトルを前記着用者の足及び/又は下肢に加える、というように引き回されている
ことを特徴とする請求項1記載の履物。
前記引き締め可能なケーブル区分は、当該引き締め可能なケーブル区分を引き締めると、後ろ向き且つ下向きの力のベクトルが前記着用者の足及び/又は下肢に加えられる、というように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の履物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の代表的な実施形態が、
図1〜
図9に示されており、図中、同一又はほぼ同じ特徴は、共通の参照符号で示されている。
【0017】
広義には、本発明によれば、物品としての履物が、足の周りに閉じて履物の一部分を引っ込めてこれをユーザの足に当てると共にこれを履物の中敷き及びヒール領域内に引っ込める足引っ込めシステムを備えた状態で構成されている。或る特定の点では、開示する本発明は、一般に、ブーツを引き締めてこれをユーザの足に適合させ、足がそのように引っ込められるようにするシステムに関する。本発明は、スノーボード用ブーツに特に有用である。本発明は又、種々の他のブーツにも使用でき、かかるブーツとしては、スキー用ブーツ、スケート用ブーツ、ハイキング用ブーツ、及び物品としての履物を足の周りに係合させて足が履物内で持ち上がり又は滑ることがないようにすることが望ましい任意他の種類の履物が挙げられる。
【0018】
例示の目的のため、本発明を具体化することができる代表的なブーツとしてスノーボード用ブーツが用いられる。以下の説明から、当業者であれば、本発明をブーツ及び履物の他の形態で具体化できることは理解されよう。スノーボート用ブーツ10は、代表的には、外側シェル12を有する。シェルは、代表的には、材料の組み合わせ、例えば皮革のシート又は層、織布又は不織布、及びプラスチック及びゴムのうちの1つ又は2つ以上で作られた半剛性構造部材である。シェルのうちの何割か又は全ては、成形プラスチック又はゴムで作られても良い。ブーツは、代表的には、舌部14を有し、又は舌部なしのブーツ、例えばリヤエントリブーツ(後ろから足を入れることができるブーツ)の場合、舌部に対応した領域(以下、「舌部対応領域」という)を有する。舌部は、シェルの一部であっても良く、或いは、ブーツ内の別の構造部材、例えばソール又は内側ライナに結合されても良い。
【0019】
ブーツは、内側ライナ16を有するのが良く、この内側ライナ16は、通常、取り外し可能なブーティであるが、内側ライナ16は、シェル12中に内蔵されても良い。ユーザの足の底部を受け入れる中敷きは、ブーツの一部であり、この中敷きは、ライナ材料内に形成されても良く、或いは、別個の構造部材であっても良い。ブーツは、着用者の足のかかと周りを包むと共に受け入れるヒールカップを更に有する。ヒールカップは、代表的には、ライナ内に形成される。図示の代表的なブーツ実施形態では、シェル12の互いに反対側のエッジは、互いに間隔を置いて位置し、これらエッジ相互間には舌部14が差し込まれた状態で設けられている。
【0020】
外側シェルは、ユーザの足の甲から上方に足首を覆い、そして下肢部分周りに延びる上側部分12aを有する。シェルは、足の甲及びかかとの全体的領域を包囲した近位足エンクロージャ部分12b及び足の中間部及び足の前方部の頂部及び側部を包囲する遠位部分12cを更に有する。ブーツは、シェル12に連結された状態でユーザの足の底部を覆っているソール18を有する。
【0021】
スノーボード用ブーツの外側シェル12は、比較的剛性であり且つ頑丈な材料、例えば皮革及び半硬質又は硬質プラスチック、ゴム、又は他のかかる材料で構成される。シェルは、代表的には、ユーザの足にクッション作用、快適さ及び断熱作用を提供する厚い組をなす材料で構成された内側ライナを有するのが良い。例えば、ライナは、発泡ポリウレタン(PU)又はエチルビニルアセテート(EVA)材料のコアと布地又は織物の外側及び内側の内張りで作られるのが良い。内側ライナ16は又、別個の取り外し可能な
コンポーネント、例えばブーティであっても良い。ブーツの舌部又は舌部領域14は、ライナの構成と同様な仕方で構成されるのが良い。
【0022】
ソールは、ゴム、EVA、PU及び他の公知のミッドソール及びアウトソール材料のうちの1つ又は組み合わせ状態で作られる場合がある。シェルとソールは、ボード釣り込みを含む任意公知の又は開発される技術を用いて一緒に釣り込み成形可能である。
【0023】
図示の実施形態では、シェル12の上側部分は、互いに間隔を置き垂直に差し向けられたエッジ12d,12eを有する。舌部14がエッジ相互間の間隔内でブーツに設けられるのが良い。
【0024】
ブーツ10は、所期の着用者の足関節の位置の側方外方に且つ全体としてこれに対応した屈曲ゾーン13を有する。足関節は、足と下肢との間の蝶番関節である。距骨(くるぶしの骨)と呼ばれる足の最も上に位置する骨が脛骨(すねの骨)及び腓骨の下端部によって形成された2つの骨隆起相互間に位置する。ブーツを足首の蝶番関節周りに引き締めることによって、引き締めシステムは、足をブーツのソール上で固定することができ、正確且つ制御された屈曲及びスノーボードへの動力の伝達を可能にする。
【0025】
ブーツ10は、互いに反対側のエッジ12d,12eを少なくとも部分的に舌部上でこれに当てて先細にし、それによりシェルと舌部をユーザの下肢周りにしっかりと押圧するクロージャシステムを有するのが良い。1つのありふれた形式のクロージャシステムは、ケーブルを利用したシステムである。本明細書で用いられる「ケーブル」は、互いに引き寄せられるべき1対の互いに反対側のエッジ上に配置された1組のクロージャ要素に沿うこれらの中への引き回しを可能にする任意公知の柔軟性があり、可撓性があり、比較的薄く、細長く、引張可能な構造部材を意味する広義の用語である。したがって、適当なケーブル20としては、任意形態の靴又はブーツ用の締め紐、束になった金属繊維のケーブル又は非金属のケーブル、ストリング、コード、チェーン、皮革ストリップ等が挙げられる。ケーブル利用クロージャ又は引き締めシステム中のクロージャ要素22は、ケーブルを受け入れることができるループ、フック、アイレット、ジリー(gilley)及び他のかかる構造部材の任意の組み合わせであって良い。機械式クロージャシステムも又周知である。機械式クロージャシステムでは、クロージャ要素は、バックル、ストラップ(例えば、ベルトスタイル又はベルクロ(Velcro(登録商標))スタイル)、クランプ等であって良い。
【0026】
図示の代表的な実施形態では、ブーツの下肢部分の前から下方に且つ足の頂部上でブーツのトウ(つま先)領域まで延びる同一又は互いに異なる形態の組をなすクロージャ要素22がエッジ12d,12eに沿って配置されている。スノーボード用ブーツ及び他の種類のブーツのためのクロージャシステム22は、一般に、中心が下肢の前側及び足の頂部上に位置する場合が多い。これらクロージャシステムは、代表的には、かかる心出しされた領域を実質的に越えてブーツの側部まで延びてはいない。クロージャシステムの作用を説明するため、
図2は、エッジ12d,12eが互いに間隔を置いた状態でブーツ10を示しており、
図3は、互いに先細になって舌部14上に位置したエッジを示している。
【0027】
引っ込み可能なリール、例えば
図1及び
図3に示された引き締め機構体24に含まれるリールから配備されたケーブル利用システムは、互いに反対側のエッジ12d,12eを互いに引き寄せるために使用できるクロージャシステムの別の形態である。かかるシステムの例は、多くの米国特許及び外国特許に見受けられ、以下に列記する実施例並びに商業的仕入れ先、例えば米国コロラド州所在の
ボア・テクノロジー(Boa Technology)から入手できる。
【0028】
内側ライナ16は、エッジ12d,12e及び舌部14と同様な互いに間隔を置いて位置するエッジ及び舌部並びに上述した任意形態のクロージャシステムを有するのが良い。
【0029】
本発明は、足を引っ込めてこれをブーツの部品に当てて足をブーツ内に良好に収納するよう張力経路に沿って1本又は2本以上のケーブルに120に作用する新規な引き締め(テンショニング)システムを想定している。引き締め機構体24が張力を調整可能に制御するためにケーブルに結合されている。かかる足引っ込めシステムは、従来型クロージャシステム、例えば上述したクロージャシステムに加えて又はこれに代えて使用できる。図示の実施形態では、引き締め機構体24は、リールを用いた引き締め機構体である。ケーブルは、従来型クロージャシステムについて上述したのと同一の性質のものであって良い。
【0030】
図1及び
図2の矢印T1,T2及びT3は、引き締め機構体24に設けられたノブを方向Rに回したときの張力経路に沿う力の方向を示しており、端部がノブに結合されたスプーリングリールに設けられているケーブル120に張力が加えられる。或る特定の実施形態、例えば図示の実施形態では、1本又は2本以上のケーブル、例えばケーブル120が張力経路に沿ってブーツの一方の側部から舌部又は舌部領域14を横切ってブーツの反対側の側部に引き回され、それによりインステップに張力を加える張力経路が作られ、それと同時にユーザの足の底側部が引っ込んでブーツの中敷き及びヒール領域に当たる。或る特定の実施形態では、これは、少なくとも、舌部14が引き締めシステムの張力が加えられた要素によって後方且つ下方に押されるので起こる。
【0031】
互いに反対側のエッジ、例えばエッジ12d,12eに設けられた従来型クロージャシステムとは対照的に、本発明では、張力経路は、インステップ領域上で外側及び内側に、しかも実質的にエッジから遠ざかって延びる。張力経路は、エッジを越えて続き、そして足又は下肢の側部をぐるりと包む。例えば、延長長さは、エッジから少なくとも2.5cmであるのが良く、幾つかの場合では、5.0cm、7.5cm、10.0cm以上である。
【0032】
特に、図示の実施形態では、張力経路は、インステップを跨ぎ又はインステップの上方及び/又は下方で密に隣接して位置する領域を跨ぐ。(以下、インステップ及び密に隣接して位置する領域を「インステップ領域」という場合がある)。張力経路は、全体として互いに反対側のエッジ12d,12eからブーツの側部まで全体として外側に及び内側に下向きの角度をなして延びている。張力経路は、少なくとも、ブーツの足首領域とほぼ整列したブーツの外側部及び内側部上の箇所まで続く。
【0033】
図は、ブーツのインステップ領域上を横切る張力経路を示しているが、本発明は又、張力経路がほぼ中足頭から下肢前側領域までの範囲にわたる長手方向足又は下肢位置上を横方向に進むよう張力経路を構成するのが良いことを想定している。かかる場合、張力経路は、少なくとも足首のところ又はほぼ足首のところに位置する足の外側部及び/又は内側部上の位置まで延びる。ブーツ上のかかる張力経路の一方又は両方の終端部は、足首部分の高さを超えて、高さよりも下回って、又は高さ全体にわたって垂直に延びる。或る特定の実施形態では、張力経路は、足上で長手方向に、足首の後ろに位置する位置まで且つかかとの側部領域又は後側領域まで延びるのが良い。
【0034】
張力経路と関連した1本又は複数本のケーブルは、張力ケーブルに沿って摺動可能に設けられるのが良く、従って、シェル及び/又は舌部に張力を加えてこれらをユーザの足の頂部及び/又は側部に当てる。この張力は、足がブーツの中敷き及び/又はヒール領域内に引っ込むようにする傾向がある。図示の実施形態では、張力経路は、ブーツに下方且つ後方に引き締めてこれをユーザの足の頂部及び側部に当てる力のベクトルを提供するよう構成されている。その結果、ユーザの足は、引き下げられて中敷きに当たり、そして後ろに引っ張られてヒール領域に当たり、即ち、ユーザの足は、ブーツ舌部14が足の頂部又は側部表面を押すことによって中敷き及び/又はヒール領域中に引っ込められる。下向き及び後ろ向きの力のベクトルをもたらす本明細書において想定される種々の張力経路では、張力経路は、水平から約20°〜約70°の角度をなして設けられた部分を含むのが良く、それにより、対応の力のベクトルへの方向を提供する。この下向き且つ後ろ向きのベクトルVは、全体として
図3に示されている。
【0035】
かかる張力経路に沿う1本又は複数本のケーブルは、任意の1つ又は2つ以上の仕方で舌部及びシェルと相互作用してこれらの部分に引き締め可能に係合することができる。例えば、1本又は2本以上のケーブルの1つ又は2つ以上の区分は、部品、例えば舌部及びシェルの表面上に引き回されるのが良く且つ/或いは1つ又は複数のケーブル区分は、これら部品に設けられたチャネル又は案内26に収まった状態で引き回されても良い。チャネル又は案内、例えば26a,26b,26cは、シェル又はライナを構成する材料の1つ又は複数の層に形成されるのが良い。案内は、かかる層内に又は層上に任意の種々の仕方で、例えば、皮革、合成皮革、射出/成形部品、又は全く案内なしで、例えば、表面上でケーブルのちょうど一区分で構成され又は成形されても良い。
【0036】
ブーツ部品中に組み込まれた案内又はチャネルに加えて、案内又はチャネル、例えば26d,26e,26f,26gは、ブーツ部品に取り付けられて張力ケーブルのセグメントを構成する別々の要素によって構成されるのが良い。かかる要素は、張力経路の一区分に沿って設けられた管、カラー、ループ、リング、フック等を含むのが良い。別々の要素は、張力経路が補強材、例えば、系路中又はアンカー箇所のところに設けられたターンを必要とする場合、最も適切であると言える。図示の実施例では、張力経路は、舌部14の外面上を横切る区分を含む。この場合、張力経路は、シェル層内で又はシェルの内面上のいずれかで外側シェル12の外面の下に延びる。表面上、表面相互間又は内側の表面上の引き回しの任意の組み合わせが想定される。
【0037】
上述のことから理解されるように、外面若しくは内面又は外面と内面との間に設けられた案内要素、例えばループ、リング、スリーブ、管等を用いると、経路に沿うブーツ部品との張力を加えることができる係合状態を維持した状態で、張力経路のセグメントの方向を定めることができ又は張力経路の方向の変化を容易にすることができる。案内は、ブーツ部品の表面に取り付けられても良く又はブーツ部品上で自由に浮動することができ又は再位置決め可能であるのが良い。自由浮動又は再位置決め可能要素により、有利には、ユーザは、選択的に張力経路を定めたりブーツの履き心地を調節したりすることができる。再位置決め可能な案内は又、物体が張力経路を通過することができるよう同一の又は異なる張力経路に使用することができる。例えば、案内は、ブーツ内にスナップ嵌めされ又はねじ込まれる一部分を有するのが良く、この一部分は、ユーザの手によって容易に取り外し可能であり、その結果、ユーザは、ブーツを履いたり脱いだりする際に足が入れられている開口部からケーブルを引き出すことができるようになっている。
【0038】
図は、圧力分布要素28、例えばパッド、バンド、又はカフと一体化された案内を示している。この案内は、舌部14の頂部上に設けられている。案内は、ケーブルを摺動可能に通すチャネルを有する。圧力分布パッドは、関連のケーブルよりも実質的に広い表面を有し、それによりケーブルの圧力を広い表面領域全体にわたって分布する。例えば、圧力分布要素は、直径が数ミリメートル以下、代表的には0.5mm〜約8.0mmのケーブルと比較して、幅が少なくとも1.0cm、長さが少なくとも2.0cmであるのが良い。図示の圧力分布要素28は、ブーツの舌部又は他の部分には取り付けられていない。これとは異なり、圧力分布要素は、自由浮動性であり、ユーザによって舌部上の所望の場所で垂直且つ/或いは側方に再位置決め可能である。圧力分布要素は又、ブーツがこの中に所与の足が入った状態でとる形状に従って自動位置決め可能である。
【0039】
他の実施形態では、別個の圧力要素が不要であり、舌部それ自体がその役目を果たすことができる。舌部14は、1本又は2本以上のケーブルを引き回す外部若しくは内部案内又はチャネルを有するのが良い。案内又はチャネルは、ケーブルの引き回しのために外側シェル部品又は他のブーツ部品上で又はこれらの中のほとんどどこかの他の場所でも同様に配置できる。
【0040】
張力経路は又、上述の経路を越えて続いても良い。例えば、図示のように、張力経路は、外側部が上方に傾斜し又は湾曲すると共にブーツの側部に沿ってブーツの外側部の頂部に向かって、ケーブルを張力経路に沿って引き締める引き締め機構体24(以下に詳細に説明する)まで延びている。かかる引き回しにより、ユーザは、引き締め機構体に容易に達してこれを操作し、それにより張力を調節可能に増減することができる。
【0041】
1本又は2本以上のケーブルが所与の張力経路に沿って設けられるのが良い。また、各々が1本又は2本以上のケーブルを備えた多数の張力経路が設けられても良い。張力経路内のケーブルに加わる張力を多くの仕方で加えることができる。各場合、ケーブルの端部は、ケーブル又はケーブルのセグメントを張力状態で固定するアンカー箇所を有する。アンカー箇所は、機構体の固定された又は調節可能な構造部材であるのが良い。固定されたアンカー箇所のところで、ケーブル又はケーブルのセグメントの端部は、その箇所に固定される。例えば、かかる端部をその箇所に縫い付け、接着し、結束すると共に/或いは機械的に捕捉する。調節可能なアンカー箇所では、ケーブル又はケーブルのセグメントの端部は、アンカー箇所に対して再位置決めされ、次にこれによって固定的に捕捉されるのが良い。例えば、クランプ要素をケーブルに係合させる種々の公知のばね押しクランプ機構体が設けられる。クランプ装置に対するばね力は、ケーブルをクランプ機構体内に固定する。ばね要素を押すことにより、クランプ要素が離脱され、それによりユーザは、コード又はケーブルの張力を調整することができる。
【0042】
ケーブルと関連したときに機械的な利点又はてこ作用をもたらすことができる装置としては、シャックル、ブロック、プーリ、溝車、及び減速装置付きの歯車システムが挙げられる。引き締め機構体としての回転要素も又、ケーブルを連結することができるピボット箇所に比較的大径のホイール又はレバーを設けることに基づいて、てこ作用を提供することができる。例えば、引き締め機構体のホイールは、これが回転可能に結合されたケーブルスプール(図示せず)のてこ作用を高める直径を備えるのが良い。
【0043】
図示の実施形態では、張力経路は、一端部に、エッジ12d,12eに設けられたクロージャシステムとは作用的に明確且つ独立した引き締め機構体を備えている。図示の張力経路は又、張力経路と関連したケーブル及びクロージャシステムのためのケーブルが互いに邪魔することがないようクロージャシステム(即ち、ケーブル20及びクロージャ要素22)の下に引き回されている。図示の実施形態では、単一のケーブル80が張力ケーブルに設けられている。ケーブルの各端部は、ループが形成されるよう回転可能な引き締め機構体に連結されている。ループは、
インステップ領域上に延びる全体として互いに平行な区分82a,82bを有する。ループは、回転可能な引き締め機構体24と反対側に閉鎖端部82cを有している。ループ端部82cは、引き締め機構体の側部と反対側に位置したブーツの側部に設けられたアンカー箇所26cに結合されている。この例では、アンカー箇所は、ループの端部82cを通したU字形チャネル26c又は案内である。このアンカー箇所は、ループ端部が前方に引くのを阻止し、それと同時に自由端部が引き締め機構体によって張力が加えられると、互いに平行なセグメントに同時に張力を加えることができる。同時に張力が加えられない場合、ケーブルは、張力を加える方向において図示のチャネル内で摺動することになる。これは、ストランドのループ端部をU字形チャネルを用いるのではなくアンカー箇所に固定的に取り付けることによって回避できる。
【0044】
図示の実施形態では、アンカー箇所26cは、下に位置するブーツの内側部上に位置し、このアンカー箇所は、ブーツの足首領域と整列し又はその後ろに位置する。互いに平行な区分82a,82bは、それぞれ、案内26a,26bを通り、ブーツのインステップ領域を横切って方向転換要素26d,26e、例えばカラー又はスリーブまで進み、この方向転換要素26d,26eは、ケーブル区分の方向を引き締め機構体24内のリール上のこれらのアンカー箇所に上方に向け直す。ケーブル区分の端部をリールに連結することによって、これらケーブル区分は、リールに巻き取り可能であり、それと同時に引き締め又は引っ張り可能である。リールは、ハウジング内に納められ又はベース上に置かれ、図には示されていない。リールは、引き締め機構体のハウジング又はベース部分内でアクスルを中心として回転する。リールは、ユーザによって接近可能であり且つハウジングの外側部又はベースに取り付けられたノブに回転可能に結合されている。引き締め機構体は、ユーザがホイール及びリールを回して引き締め機構体からの張力をケーブルを横切って内側部アンカー要素26cに加えることができるようにするラチェット機構体を含むのが良い。張力を加えると、区分26cが一体化されたブーツの部分は、引き締め機構体が取り付けられている反対側の部分に向かって押圧される。
【0045】
適当なリールを用いる引き締め機構体の例が以下の特許、即ち、バンス・インコーポレイテッド(Vans, Inc.)名義の米国特許第7,082,701号明細書、同第4,748,726号明細書及び同第7,512,521号明細書(以下、「第´521号特許」という)に見受けられ、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容全体をあらゆる目的について本明細書の一部とする。第´521号特許明細書は、履物内の張力経路に設けられているケーブルを引き締めるリールシステムを開示している。第´521号特許明細書は、履物の外側シェルに取り付けられたハウジング又はベースユニットから急に飛び出すホイールを含むのが良いことを開示している。飛び出し位置では、ラチェットが外れ、ケーブル張力を解除することができる。
【0046】
引き締め機構体は、ケーブルを引っ込めるリール利用システムだけでなく、種々の他の引き締め機構体を含み、かかる他の引き締め機構体としては、ばねを利用したクランプシステム、ターンバックルシステム、及びブーツ又は他の履物に取り付けが可能であると共にケーブルを結びつけたりほどいたりすることができる更に簡単なポスト、フック又は他のかかる受け具が挙げられる。
【0047】
上述のシステムは、ループの状態の単一のケーブルの観点で説明したが、当業者には理解されるように、単一のループに代えて、2つ又は3つ以上の個々のケーブルを用いても良く、各ケーブルは、ブーツの一方の側の同一又は異なる引き締め機構体に固定された一端部及びブーツの他方の側のアンカー箇所に固定された他方の端部を備える。例えば、図示の実施形態は、本質的にループの端部を切断してインステップの反対側の側部(この場合、内側部)に設けられた1つ又は2つ以上の引き締め機構体から出る2本の別々のケーブルを提供することによって改造可能である。内側部の各自由端部は、内側部上の同一又は異なるアンカー箇所に固定される。案内を用いた張力経路は又、張力経路がブーツの互いに反対側の側部まで横切った状態で引き締め機構体及びアンカー箇所がブーツの同一の側に位置することができるよう構成されても良い。
【0048】
てこ作用による効果は、張力が加えられたケーブルが摺動し又は回動する方向転換箇所を用いて張力が加えられたケーブルがインステップ上を通過するようにすることによって任意の張力経路に沿って提供できる。例えば、図示の実施形態の改造例は、引き締め機構体のリールの一方のケーブル側端部を捕らえてこれを引き締め機構体と同一のブーツの側(この場合、内側部)上のどこかの場所に固定することができる。ケーブルは、昼間部のところでアンカー箇所上に摺動可能に設けられ、このアンカー箇所は、実際には、方向転換箇所となる。引き締め機構体は、ケーブルの一端部を巻き取り、張力を内側部上の2つのアンカー箇所相互間に設けられた張力経路全体にわたって加える。ケーブルは、何倍ものてこ作用を提供するようインステップの互いに反対側の側部上の多数の方向転換箇所を用いてインステップを何回も横切る張力経路を有するのが良い。方向転換要素は、転動状態での係合を可能にする任意の種類のピボット装置であって良い。例えば、ピボット装置は、低摩擦性Dリング、Oリング、スリーブ、カラー、ブロック、溝車、ローラ、プーリホイール等であるのが良い。
【0049】
図4〜
図9は、上述したような引き締めシステムの別の考えられる構成例を示している。
図4及び
図5B並びに
図7〜
図9は、かかる構成例の外部の特徴を示し、
図6は、かかる構成例の内部の特徴を表す2等分されたシェルを示している。
【0050】
図4〜
図9に示された引き締めシステム100は、上述した仕方で上側及び下側ケーブルループをそれぞれ形成するようそれぞれの上側及び下側テンショナ130,140と作動的に関連した上側ケーブル110及び下側ケーブル120を含む。例えば、上側ケーブル110及び下側ケーブル120の各々は、テンショナ130,140の各々にそれぞれ固定された互いに反対側の開口端部を有し、それによりそれぞれのループが形成されている。
【0051】
かかる構成により、上側ケーブル110と下側ケーブル120を互いに別個独立に選択的に引き締めることができる。加うるに、
図4〜
図9に示されているように構成された引き締めシステム100は、別個のクロージャシステム(例えば、
図1〜
図3に示されているような締め紐)を必要とし又は用いることがないほど十分なクロージャ力でシェルの互いに反対側のエッジを引き寄せることができる。換言すると、
図4〜
図9に示されているように構成された引き締めシステム100は、幾つかの実施形態では、足引っ込めシステムを構成することができる。
【0052】
図4〜
図9に示されている引き締めシステム100の構成を
図1〜
図3に示されている引き締めシステムと丁度同様に、舌部14を備えたブーツ又は舌部上要素を備えたブーツと関連して使用できる。
図4〜
図9では、引き締めシステム100は、ユーザの下肢に対して舌部14の外方に位置決めされた浮動要素150を含む。
【0053】
浮動要素150は、上側ケーブル110により形成された上側ループと下側ケーブル120により形成された下側ループを互いに結合する。具体的には、
図4に示されているように、下側ループの上側セグメント121は、浮動要素150により構成された下側チャネル151(例えば、小穴)を通り、上側ループの下側セグメント111は、浮動要素150の上側チャネル152を通る。上記において詳細に説明した引き締めシステムの場合と同様、チャネルは、ケーブル又はそのセグメントとその隣の上に位置する構造的コンポーネント(例えば、ブーツのアッパ、浮動要素)との摺動係合を可能にする。
【0054】
上述したばかりの浮動要素150と上側及び下側ケーブル110,120との係合により、上側ケーブル110に加えられた選択された張力及び下側ケーブル12に加えられた選択された張力は、浮動要素150を選択された仕方でブーツの内方に(例えば、ユーザの足の甲に向かって)押圧することができる。しかしながら、一例として、かかる構成により、浮動要素150は、独立して引き締め又は引っ張り可能な上側及び下側ケーブル110,120と関連して、
図5Bに示されているように、選択された力のベクトルT
1a,T
2a(例えば、選択された力の大きさ及び選択された力の方向)を着用者の足の甲に加えることができ、それにより中敷き内への着用者の足及びヒールカップ内への着用者のかかとのユーザにより選択可能な下向き且つ後ろ向きの嵌入度と一緒に、ユーザに選択可能な快適さの度合いが提供される。
【0055】
説明の便宜上、次に、
図4〜
図9を参照して上側ケーブル110の引き回し及び下側ケーブル120の引き回しについて説明する。それにもかかわらず、ケーブル及びテンショナの他の構成が可能であると共に本開示内容の検討に続き当業者の通常の知識の範囲内にあるよう想定される。
【0056】
上述したように、下側ケーブル120は、対応の下側テンショナ140(
図5A〜
図9)により捕捉される互いに反対側の端部を備えている。
図4〜
図9に示された構成では、下側テンショナ
140は、
下側ケーブル120の上側部分の外側部の外方に位置決めされる。下側テンショナ140の位置は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、ユーザの便宜及び快適さが得られるようどこか他の場所に選択可能である。
【0057】
下側ケーブルの互いに反対側の端部は、下側テンショナ140の近くに位置する下側ケーブル120の部分を上述した仕方でテンショナのリールに巻き付けることができるよう下側テンショナ140に取り付けられるのが良い。
【0058】
図5A〜
図9に示されているような引き回しでは、下側ケーブル120の第1の上側部分は、導管161(又はチャネル)内に進むことができ、この導管161は、ブーツの後方にブーツ50の外側部51上の下側テンショナ140から着用者のアキレス腱に隣接し又はこれよりも僅かに上の領域でブーツ50の後側部分53周りに、ブーツの内側部52の上側の後側部分まで延びている。下側ケーブルの第1の上側部分は、ブーツの内側部52の後側部分53(例えば、近位部分)に沿って(例えば、着用者のアキレス腱と足首の内側突起との間の領域の上に位置するブーツの部分に沿って)ブーツの内側部52の下側の後側部分まで下方に引き回されるのが良い。下側ケーブルの第1の部分は、ブーツ50の内側部52の下側の後側部分53から
図6の下側ケーブル120のための上側アンカーチャネル161(アンカー箇所と呼ばれる場合がある)の位置によって示される着用者の足の甲の下側部分の上に位置するシェル12の内側エッジの位置162まで遠位側に引き回されるのが良い。
【0059】
図6に示されている引き回しでは、下側ケーブル120の第2の上側部分は、導管163内に進むことができ、この導管163は、ブーツ50の後方に下側テンショナ140からブーツ50の外側部51の後側部分(例えば、近位部分)に沿って(例えば、着用者のアキレス腱と足首の外側突起との間の領域の上に位置するブーツの一部分に沿って)下方にブーツ50の外側部51の下側の後側部分53まで延びている。下側ケーブル120の第2の部分は、ブーツの外側部の下側の後側部分から下側ケーブルの第1の部分が引き回しの先であるシェルの内側エッジ上の位置162と反対側のシェルの外側エッジの位置164まで遠位側に引き回されるのが良い。
【0060】
図4〜
図9に示されているように、下側ケーブル120の第1の上側部分は、シェルの内側エッジと外側エッジとの間の隙間165を跨ぐことができ、内側エッジに隣接して位置する上側のアンカーチャネル161から浮動要素150により構成された下側チャネル151を通ってシェル12の外側エッジに隣接して位置する下側のアンカーチャネル168の上側孔164内に延びる。また、
図4に示されているように、下側ケーブル120の第2の部分は、シェルの外側エッジと内側エッジとの間の隙間165を跨ぐことができ、外側エッジに隣接して位置する上側のアンカーチャネル163から浮動要素150により構成された下側チャネル151を通ってシェルの内側エッジに隣接して位置する下側のアンカーチャネル
169の上側孔167内に延びる。
【0061】
下側セグメントとも呼ばれる場合のある下側ケーブルの中間セグメント124は、下側ケーブルの第1の上側部分及び第2の上側部分と連続すると共に第1の上側部分と第2の上側部分との間に延びている。参照しやすくするため、中間セグメント124は、シェルの外側エッジに隣接して位置する下側アンカーチャネル168の上側孔164及びシェルの内側エッジに隣接して位置する下側のアンカーチャネル169の上側孔167に隣接して位置した下側ケーブル120の互いに反対側の部分相互間に延びるものとして考えることができる。
図4に示されているように、下側セグメントの一部分は、シェルの外側エッジと内側エッジとの間の隙間165の遠位部分を跨ぎ、下側舌部チャネル153を貫通している。
【0062】
上述したように、選択された張力が下側ケーブル120に加えられると、シェルの互いに反対側の内側エッジと外側エッジの遠位部分は、ケーブル120によってチャネル161,163,168,169に加えられた力によって互いに押され、浮動要素150の下側部分(例えば、遠位部分)は、選択された張力及びユーザの足の甲、外側エッジ及び内側エッジの相対位置に少なくとも部分的に対応した方向及び力の大きさ(例えば、力のベクトルT
2a)でユーザの足の甲に引き寄せられる(例えば、チャネル161,163,168,169の孔がこれらのエッジに隣接して配置されているので)。
【0063】
次に、上側ケーブル110の構成について説明する。
図4では、上側テンショナ130が舌部12上に配置され、上側ケーブル110は、上側テンショナ130から外側且つ内側に外方にそれぞれの外側及び内側の上側アンカーチャネル173,174の上側孔171,172内に延びている。
【0064】
上側ケーブルの互いに反対側の端部は、上側テンショナ130の近くに位置する上側ケーブル110の部分を上述した仕方でテンショナのリールに巻き付けることができるよう上側テンショナ130に取り付けられるのが良い。上側ケーブル110の互いに反対側の部分は、それぞれの上側アンカーチャネル173,174を通り、そしてそれぞれの上側アンカーチャネル173,174により構成された下側孔175,176の外方に延びている。
【0065】
外側部孔175から延びる上側ケーブルの上側セグメントの部分は、外側エッジと内側エッジとの間の隙間165を跨ぎ、上側舌部チャネル154を通ってシェルの内側部52上に設けられた上側ケーブルのための下側アンカーチャネル178により構成された孔177内に延びている。内側部孔176から延びる上側ケーブル110の上側セグメントの部分は、内側エッジと外側エッジとの間の隙間165を跨ぎ、これ又、上側舌部チャネル154を通って、シェルの外側部51上に位置決めされた上側ケーブルのための下側アンカーチャネル180により構成された孔179内へ延びている。
【0066】
図6に示されているように、上側ケーブル110のためのそれぞれの内側及び外側の下側アンカーチャネル178,180は、シェルの内側部及び外側部から後方に、ユーザの足首突起の全体として後方に位置する位置まで延び、そして足首突起周りに下方に且つ足首突起の全体として下の且つこれよりも僅かに前方の位置181,182まで前方に延びている。幾つかの実施形態では、足首突起の全体として下の且つこれよりも僅かに前方の位置は、
図6に示されているようにシェルの内側エッジ、シェルの外側エッジ、又はこれら両方の後方に且つこれよりも僅かに下に存在している。
図4では、ケーブルは、シェル12と舌部14との間でそれぞれの下側アンカーチャネル178,180の互いに反対側の下側孔181,182の凹み部分に向かってブーツ内に延びた状態で示されている。
【0067】
下側セグメント111(例えば、上側ケーブルの)とも呼ばれる場合のある上側ケーブルの中間セグメントは、上側ケーブル110のための下側アンカーチャネル178,180により構成されたそれぞれの内側孔181と外側孔182との間に延びている。参照しやすくするため、上側ケーブルの中間セグメント111は、上側ケーブルの互いに反対側の部分相互間に延びるものとして考えることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、上側ケーブル110の下側セグメント111は、
図4及び
図6に示されているようにブーツの可撓性領域185に対応した足首突起よりも全体として下の且つこれよりも僅かに前方の位置181,182から延びている。ブーツの可撓性領域185は、着用者の屈曲可能な足関節の位置に対応するよう位置決めされるのが良い。上側ケーブル110のかかる構成(例えば、下側セグメントが「ブーツ内の深いところに位置する」位置として下側チャネルから延びている構成)では、上側ケーブルに加わっている選択された張力が浮動要素150の
上側部分を下方且つ後方に押圧してこれを舌部に押し付けることができ、それにより、ケーブルがシェルのエッジの直ぐ隣りに配置された孔を有するアンカーチャネル中に引き回されている構成と比較して大きな力T
1aで着用者の足が中敷き内に下方に且つヒールカップ内に後方に押される。
【0069】
当業者であれば認識されるように、本発明の性質を説明するために説明すると共に図示した部品及びアクションの細部、材料及び配置の改造及び変形が可能であり、しかもかかる改造及び変形は、本明細書に含まれる教示及び特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱しない。
【0070】
本明細書において引用される任意の特許文献及び非特許文献を参照により引用し、あらゆる目的についてその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0071】
原文明細書で用いられる“and/or”(翻訳文では「及び/又は」)という用語は、“and ”又は“or”、並びに“and ”且つ“or”であることを意味している。さらに、本明細書において引用する任意の且つ全ての特許文献及び非特許文献を参照により引用し、あらゆる目的についてその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0072】
任意特定の実施例と関連して上述した原理を他の実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と関連して説明した原理と組み合わせることができる。したがって、この詳細な説明は、本発明を限定する意味で解されるべきではなく、本発明の検討を行うことにより、当業者であれば、本明細書において説明した種々の概念を用いて想到できる特徴及び要素の広範な組み合わせを理解されよう。さらに、当業者であれば、開示した原理から逸脱することなく、本明細書において開示した例示の実施形態を種々の形態に適合させることができる。
【0073】
開示した実施形態の上述の説明は、当業者が開示した発明を構成し又は利用することができるようにするために提供されている。これら実施形態の種々の改造例は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義した属概念としての原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に利用できる。かくして、原文特許請求の範囲に記載された本発明は、本明細書に示した実施形態には限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言と一致した全範囲が与えられるべきであり、例えば冠詞“a”又は“an”の使用による単数で表された要素についての言及は、特段の指定がなければ、「1つ及び1つだけ」を意味するものではなく、「1つ又は2つ以上」を意味している。
【0074】
既に知られており又は当業者に後で知られるようになる本明細書における開示全体にわたって説明した種々の実施形態の要素のあらゆる構造的及び機能的な均等例は、本明細書において説明すると共に特許請求の範囲に記載された特徴によって包含されるものとする。さらに、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかとは無関係に、開示内容を公共財産とする旨は、本明細書中には記載されていない。原文特許請求の範囲において“means for ”又は“step for”という表現を用いて構成要素が明示的に記載されていなければ、米国特許法の下で「ミーンズ・プラス・ファンクション(means plus function )」クレームとして解されるクレームエレメント(claim element )はなんら存在しない。
【0075】
本発明者は、本明細書に開示した保護対象に対する全ての権利を保有し、かかる権利は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及び精神に含まれる全ての事項をクレーム請求する権利を含む。