(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定ダイプレートに装着された固定金型と移動ダイプレートに装着された移動金型とからなる金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出充填する射出機構の駆動源として電動サーボモータと油圧動作手段とを備えるダイカストマシンであって、
前記射出機構は、前記固定ダイプレートに一体に設けられ、金属溶湯が供給される注入口が形成された筒状の射出スリーブと、該射出スリーブ内で進退可能に設けられた射出プランジャと、該射出プランジャの後端部に一体に設けられた射出ピストンと、該射出ピストンを進退自在に保持する射出シリンダーとを備えており、
前記油圧動作手段は、前記射出シリンダー内の前記射出ピストンを進退するように構成し、
さらに、当該射出ピストンの後方には、前記射出スリーブ内に供給された金属溶湯を前記金型のキャビティ内へ射出充填するときに、前記射出ピストンを押圧して前記射出プランジャを前進させるピストン型スプールが配設されており、このピストン型スプールは、電動サーボモータを駆動源とした駆動伝達機構により電動駆動伝達プレートが前進動作することにより押圧され前進されるように構成されており、
その際、前記射出ピストンは前記射出プランジャの後端部に一体に設けられており、前記ピストン型スプールは、前記電動駆動伝達プレート及び前記射出ピストンに対して別体に設けられていることを特徴とするダイカストマシン。
前記ピストン型スプールの後端部には、前記電動駆動伝達プレートが当該ピストン型スプールを押圧したときに発生する圧力を検出するための圧力検出手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のダイカストマシン。
固定ダイプレートに装着された固定金型と移動ダイプレートに装着された移動金型とから成る金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出充填する射出機構の駆動源として電動サーボモータと油圧動作手段とを備えるダイカストマシンの制御方法であって、
前記射出機構は、前記固定ダイプレートに一体に設けられ、金属溶湯が供給される注入口が形成された筒状の射出スリーブと、該射出スリーブ内で進退可能に設けられた射出プランジャと、該射出プランジャの後端部に一体に設けられた射出ピストンと、該射出ピストンを進退自在に保持する射出シリンダーとを備えており、
前記油圧動作手段は、前記射出シリンダー内の前記射出ピストンを進退するように構成しており、
さらに、当該射出ピストンの後方には、前記射出スリーブ内に供給された金属溶湯を前記金型のキャビティ内へ射出充填するときに、前記射出ピストンを押圧して前記射出プランジャを前進させるピストン型スプールが配設されており、このピストン型スプールは、電動サーボモータを駆動源とした駆動伝達機構により電動駆動伝達プレートが前進動作することにより押圧され前進されるように構成されており、
その際、前記射出ピストンは前記射出プランジャの後端部に一体に設けられており、前記ピストン型スプールは、前記電動駆動伝達プレート及び前記射出ピストンに対して別体に設けることにより、前記射出機構を駆動する前記油圧駆動源と前記電動駆動源の動作を別々に制御可能としたことを特徴とするダイカストマシンの制御方法。
成形体を製造する一連の成形工程として、低速射出工程、高速射出工程、増圧射出工程、型開追従工程、後退工程が順に行われる請求項3記載のダイカストマシンの制御方法であって、前記低速射出工程は、低速加速射出工程に続く低速一定速度射出工程からなっており、
前記低速射出工程の前記低速一定速度射出工程においては、前記油圧動作手段により、射出ピストンと共に射出プランジャを一定の低速で前進させ、それに続く高速射出工程では、低速射出工程から高速射出工程への高速切替位置から、射出ピストンと共に射出プランジャを高速で前進させ、
一方、電動駆動源である前記電動サーボモータは、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、当該低速加速射出工程の終点である予め設定された設定位置まで、射出ピストンと共に射出プランジャを低速で加速させながら前進させ、前記低速射出工程の後半の低速一定速度射出工程では、当該電動サーボモータは、前記増圧射出工程の準備のために、待機するように制御することを特徴とするダイカストマシンの制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、極めて高速で動作がなされる高速射出工程において、油圧源により動作される油圧制御機構と電動サーボモータを駆動源とする進退制御機構とを協働させることによって、プランジャロッドを前進させて射出充填を行うことから、電動サーボモータよりも駆動力のより大きい油圧源が、主たる駆動源として動作される高速射出工程では、油圧源で動作される油圧制御機構の動作に対し、電動サーボモータを駆動源とする進退制御機構の動作がついていけず協働動作制御させることが困難となり、それにより当該進退制御機構が破損してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出充填する射出工程を行う際、当該射出工程で駆動源として適用される油圧動作手段と電動サーボモータの動作制御を協働制御せずに個々制御を行うようにして、機器の破損を回避できるようにしたダイカストマシン及びダイカストマシンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固定ダイプレートに装着された固定金型と移動ダイプレートに装着された移動金型とからなる金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出充填する射出機構の駆動源として電動サーボモータと油圧動作手段とを備えるダイカストマシンであって、
前記油圧動作手段は、前記射出シリンダー内の前記射出ピストンを進退するように構成し、
前記射出機構は、
当該固定ダイプレートに一体に設けられ、金属溶湯が供給される注入口が形成された筒状の射出スリーブと、該射出スリーブ内で進退可能に設けられた射出プランジャと、該射出プランジャの後端部に一体に設けられた射出ピストンと、該射出ピストンを進退自在に保持する射出シリンダーとを備えており、
さらに、
当該射出ピストンの後方には、前記射出スリーブ内に供給された金属溶湯を前記金型のキャビティ内へ射出充填するときに、前記射出ピストンを押圧して前記射出プランジャを前進させるピストン型スプールが配設されており、このピストン型スプールは、電動サーボモータを駆動源とした駆動伝達機構により電動駆動伝達プレートが前進動作することにより押圧され前進されるように構成されており、
その際、
前記射出ピストンは前記射出プランジャの後端部に一体に設けられており、前記ピストン型スプールは、前記電動駆動伝達プレート及び前記射出ピストンに対して別体に設けられていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のダイカストマシンは、前記ピストン型スプールの後端部には、前記電動駆動伝達プレートが当該ピストン型スプールを押圧したときに発生する圧力を検出するための圧力検出手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、固定ダイプレートに装着された固定金型と移動ダイプレートに装着された移動金型とから成る金型のキャビティ内へ金属溶湯を射出充填する射出機構の駆動源として電動サーボモータと油圧動作手段とを備えるダイカストマシンの制御方法であって、
前記射出機構は、前記固定ダイプレートに一体に設けられ、金属溶湯が供給される注入口が形成された筒状の射出スリーブと、該射出スリーブ内で進退可能に設けられた射出プランジャと、該射出プランジャの後端部に一体に設けられた射出ピストンと、該射出ピストンを進退自在に保持する射出シリンダーとを備えており、
前記油圧動作手段は、前記射出シリンダー内の前記射出ピストンを進退するように構成しており、
さらに、
当該射出ピストンの後方には、前記射出スリーブ内に供給された金属溶湯を前記金型のキャビティ内へ射出充填するときに、前記射出ピストンを押圧して前記射出プランジャを前進させるピストン型スプールが配設されており、このピストン型スプールは、電動サーボモータを駆動源とした駆動伝達機構により電動駆動伝達プレートが前進動作することにより押圧され前進されるように構成されており、
その際、当該ピストン型スプールは、前記電動駆動伝達プレート及び前記射出ピストンに対して別体に設けることにより、前記射出機構を駆動する前記油圧駆動源と前記電動駆動源の動作を別々に制御可能としたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明のダイカストマシンの制御方法は、成形体を製造する一連の成形工程として、低速射出工程、高速射出工程、増圧射出工程、型開追従工程、後退工程が順に行われる請求項3記載のダイカストマシンの制御方法であって、前記低速射出工程は、低速加速射出工程に続く低速一定速度射出工程からなっており、
前記低速射出工程の前記低速一定速度射出工程においては、前記油圧動作手段により、射出ピストンと共に射出プランジャを一定の低速で前進させ、それに続く高速射出工程では、低速射出工程から高速射出工程への高速切替位置から、射出ピストンと共に射出プランジャを高速で前進させ、
一方、電動駆動源である前記電動サーボモータは、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、当該低速加速射出工程の終点である予め設定された設定位置まで、射出ピストンと共に射出プランジャを低速で加速させながら前進させ、前記低速射出工程の後半の低速一定速度射出工程では、当該電動サーボモータは、前記増圧射出工程の準備のために、待機するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ダイカストマシンを稼動し、型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填する低速射出工程や高速射出工程からなる射出工程を行うとき、制御手段が電動サーボモータと油圧動作手段とを別々に動作制御を行うことから、射出工程中に電動サーボモータと油圧動作手段とを並行して動作させ、その合成駆動力により射出プランジャを前進させ、型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填するときに、従来のように、油圧の駆動源と電動の駆動源が協働して制御されていないため、一方の駆動源(電動サーボモータ)が他方の駆動源(油圧動作手段)の駆動(射出速度)に影響されてしまい、一方の駆動源(電動サーボモータ)が破損してしまうことを防止することが可能となる。また、低速加速射出工程を電動サーボモータと油圧の駆動源で動作させることにより、繰り返し安定性がよくなり成形品が安定する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のダイカストマシン明は、
金属溶湯が供給される筒状の射出スリーブと、該射出スリーブ内で進退される射出プランジャとを備え、前記射出プランジャの前進により金属溶湯を型閉された金型のキャビティ内に射出充填する射出工程の駆動源に電動サーボモータと油圧動作手段とを用いるダイカストマシンであって、
前記射出工程における低速射出工程中と該低速射出工程に続いて行われる当該低速射出工程よりも高速で行われる高速射出工程中において、前記射出プランジャの前進により前記型閉された金型のキャビティ内に前記金属溶湯を射出充填するとき、前記電動サーボモータと前記油圧動作手段の動作を別々に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明のダイカストマシンの発明は、
前記高速射出工程の直前に行われる低速射出工程は、前記油圧動作手段のみを駆動源として前記射出プランジャを一定速度で動作させる低速一定速度射出工程と、前記射出プランジャを前記一定速度に到達するまで加速する低速加速射出工程とを備え、
前記低速加速射出工程が開始される始点から終了される終点までの間に、前記電動サーボモータと前記油圧動作手段とを並行して動作させ、これら電動サーボモータと油圧動作手段の合成された駆動力により、前記低速加速射出工程の終点まで加速するようにしたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のダイカストマシンの発明は、
前記低速加速射出工程の終点であって当該終点と一致する前記低速一定速度射出工程の始点は、設定位置として予め設定できるものであることを特徴とする。
【0016】
本発明のダイカストマシンの制御方法は、
筒状の射出スリーブ内に金属溶湯を供給し、該金属溶湯が供給された筒状の射出スリーブ内で射出プランジャが前進されることにより、型閉された金型のキャビティ内に前記金属溶湯を射出充填する射出工程を備えたダイカストマシンの制御方法であって、
前記射出プランジャを前進させ、前記型閉された金型のキャビティ内に前記金属溶湯を射出充填する射出工程で、その駆動源に電動サーボモータと油圧動作手段とを用いるようにし、
前記射出工程における低速射出工程中と該低速射出工程に続いて行われる当該低速射出工程よりも高速で行われる高速射出工程中には、前記電動サーボモータと前記油圧動作手段の動作が、制御手段により別々に制御されることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明のダイカストマシンの制御方法は、
前記高速射出工程の直前に行われる低速射出工程は、前記油圧動作手段のみを駆動源として前記射出プランジャを一定速度で動作させる低速一定速度射出工程と、前記射出プランジャを前記一定速度に到達するまで加速する低速加速射出工程とを備え、
前記低速加速射出工程が開始される始点から終了される終点までの間に、前記電動サーボモータと前記油圧動作手段とを並行して動作させ、これら電動サーボモータと油圧動作手段の合成された駆動力により、前記低速加速射出工程の終点まで加速するようにしたことを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明のダイカストマシンの制御方法は、
前記低速加速射出工程の終点であって当該終点と一致する前記低速一定速度射出工程の始点は、設定位置として予め設定できるものであることを特徴とする。
【0019】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図5により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0020】
図1に示すように、ダイカストマシン1は、固定ダイプレート2に装着された固定金型3と移動ダイプレート4に装着された移動金型5とからなる型閉された金型内のキャビティへ金属溶湯を射出充填するための射出機構10を備える。
【0021】
射出機構10には、固定ダイプレート2に一体に設けられ、金属溶湯が供給される上部に注入口11が形成された筒状の射出スリーブ12、射出スリーブ12内で進退可能に設けられた射出プランジャ13、射出プランジャ13の後端部に一体に設けられた射出ピストン14、射出ピストン14を進退自在に保持する射出シリンダー15を備える。
【0022】
また、射出ピストン14の後方には、射出スリーブ12内に供給された金属溶湯を金型のキャビティへ射出充填するときに射出ピストン14を押圧して射出プランジャ13を前進させるピストン型スプール16が配設されており、このピストン型スプール16は、電動サーボモータ17を駆動源として、駆動伝達ベルト18等からなる駆動伝達機構19により電動駆動伝達プレート20が前進動作されることにより押圧され前進される。なお、
図1に示すように、ピストン型スプール16は、電動駆動伝達プレート20や射出ピストン14に対し一体に装着されているのではなく別体で設けられている。なお、ピストン型スプール16の後端部には、図示しないが電動駆動伝達プレート20がピストン型スプール16を押圧したときに発生する圧力を検出するためのロードセル(圧力検出手段)を構成してもよい。
【0023】
また、射出機構10は油圧動作手段21を備えており、この油圧動作手段21に構成されたアキュームレータ(以下、ACCと称す。)22の油圧により、射出シリンダー15内の射出ピストン14が進退されるようになっていて、油圧動作手段21には、ACC22と射出シリンダー15の第1油室とを接続する油路上に配設され、方向切り替え機能と流量制御機能とを備えて射出プランジャ13を射出ピストン14を介して前進させるための油圧制御を行う制御弁23、制御弁23とタンク24とを接続する油路上に配設された、モータ25で駆動される油圧ポンプ26、射出シリンダー15の第2油室とタンク24とを接続する油路上に配設された制御弁たる油圧流量調整弁28、射出シリンダー15の第2油室に配設された圧力センサ27等が構成されている。
【0024】
また、ダイカストマシン1には、ロードセル又は圧力センサ27により検出された圧力の検出結果等に基づき、制御弁23,28の開閉による油圧動作手段21の動作、電動サーボモータ17の駆動等の制御を個々に行うなど、ダイカストマシン全体の制御を司る制御手段30、ダイカストマシン1の設定情報等を表示する表示手段31、表示手段31に表示される各種数値を所望の数値に設定するためのキー入力手段32等が構成されている。
【0025】
ここで、ダイカストマシン1の動作例について
図2〜
図4により説明する。
図2〜
図4では、上欄では太線で「射出圧力」を、細線で「射出速度」を表し、中欄では、油圧動作手段21の動作状態を「油圧」として表し、下欄では、電動サーボモータ17の動作状況を「電動」として表している。
【0026】
図2に示す動作の一例では成形体を製造する一連の成形工程として、低速射出工程、高速射出工程、増圧射出工程、型開追従工程、後退工程が順に行われるものであり、低速射出工程においては、油圧動作手段21は、ACC22を油圧駆動源として、開始直後は加速をするものの、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定の低速で前進させ、それに続く高速射出工程では、低速射出工程から高速射出工程への高速切替位置から、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を高速で前進させる。また、電動駆動源である電動サーボモータ17は、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、当該低速加速射出工程の終点である予め設定された設定位置(成形される製品の状態を見ながら決定する設定位置であり、溶湯状態の安定する位置。)まで、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を低速で加速させながら前進させ、低速射出工程の後半の低速一定速度射出工程では、電動サーボモータ17は、増圧射出工程の準備のため待機される。
【0027】
次に、増圧射出工程では、ACC22を油圧駆動源とする射出プランジャ13の動作は停止され圧力保持がなされる一方で、電動駆動源である電動サーボモータ17は、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定速度で前進させる。
【0028】
増圧射出工程が終了すると、電動駆動源である電動サーボモータ17は、電動駆動伝達プレート20を一定速度で後退させる。一方で、製品の冷却が終了後に型開追従工程が行われ、この型開追従工程では、移動金型5の型開き動作が行われ、射出プランジャ13の前進動作による突き出しにより固定金型3に張り付いた製品を離型させる動作を、移動金型5の型開き動作に追従させるため、ACC22を油圧駆動源とし、射出プランジャ13が射出ピストン14と共に前進される。
【0029】
次に、後退工程として、ACC22を油圧駆動源として射出ピストン14が後退動作され、射出ピストン14は、低速射出工程の開始時に配置されていた後退限へと移動され、それに伴い、射出ピストン14に一体に設けられた射出プランジャ13も後退限まで移動される。
【0030】
次に、
図3に示す動作の一例について説明する。
図3の成形体を製造する一連の成形工程としては、低速射出工程と増圧射出工程との間に高速射出工程を行わずに、低速射出工程、増圧射出工程、型開追従工程、後退工程が順に行われる。
【0031】
低速射出工程においては、油圧動作手段21は、ACC22を油圧駆動源として、開始直後は加速をするものの、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定の低速で前進させる。また、電動駆動源である電動サーボモータ17は、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、当該低速加速射出工程の終点である予め設定された設定位置(成形される製品の状態を見ながら決定する設定位置であり、溶湯状態の安定する位置。)まで、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を低速で加速させながら前進させ、低速射出工程の後半の低速一定速度射出工程では、電動サーボモータ17は、増圧射出工程の準備のため待機される。
【0032】
次に、増圧射出工程では、ACC22を油圧駆動源とする射出プランジャ13の動作は停止され圧力保持がなされる一方で、電動駆動源である電動サーボモータ17は、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定速度で前進させる。
【0033】
増圧射出工程が終了すると電動駆動源である電動サーボモータ17は、電動駆動伝達プレート20を一定速度で後退させる。一方で、製品の冷却が終了後には型開追従工程が行われ、この型開追従工程では、移動金型5の型開き動作が行われ、射出プランジャ13の前進動作による突き出しにより固定金型3に張り付いた製品を離型させる動作を、移動金型5の型開き動作に追従させるため、ACC22を油圧駆動源とし、射出プランジャ13が射出ピストン14と共に前進される。
【0034】
次に、後退工程として、ACC22を油圧駆動源として射出ピストン14が後退動作され、射出ピストン14は、低速射出工程の開始時に配置されていた後退限へと移動され、それに伴い、射出ピストン14に一体に設けられた射出プランジャ13も後退限まで移動される。
【0035】
次に、
図4に示す動作の一例について説明する。
図4の成形体を製造する一連の成形工程としては、低速射出工程と増圧射出工程との間に高速射出工程を行わずに、低速射出工程、増圧射出工程、型開追従工程、後退工程が順に行われるものであり、
図4の一例では、射出工程の低速一定速度射出工程を、油圧動作手段21(のACC22)及び電動サーボモータ21を駆動源として行う。
【0036】
低速射出工程においては、油圧動作手段21は、ACC22を油圧駆動源として、開始直後は加速をするものの、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定の低速で前進させる。また、電動駆動源である電動サーボモータ17は、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、予め設定された設定位置まで、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を低速で加速させながら前進させ、低速射出工程の後半の低速一定速度射出工程では、電動サーボモータ17は、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定の低速で前進させる。
【0037】
次に、増圧射出工程では、ACC22を油圧駆動源とする射出プランジャ13の動作は停止され圧力保持がなされる一方で、電動駆動源である電動サーボモータ17は、低速加速射出工程のときよりも遅い低速で、射出ピストン14と共に射出プランジャ13を一定速度で前進させる。なお、油圧駆動源を用いずに電動駆動源のみで動作されるために、圧力検出は、図示しないロードセル等により検出させる。
【0038】
増圧射出工程が終了すると電動駆動源である電動サーボモータ17は、電動駆動伝達プレート20を一定速度で後退させる。一方で、製品の冷却が終了後には型開追従工程が行われ、この型開追従工程では、移動金型5の型開き動作が行われ、射出プランジャ13の前進動作による突き出しにより固定金型3に張り付いた製品を離型させる動作を、移動金型5の型開き動作に追従させるため、ACC22を油圧駆動源とし、射出プランジャ13が射出ピストン14と共に前進される。
【0039】
次に、後退工程として、ACC22を油圧駆動源として射出ピストン14が後退動作され、射出ピストン14は、低速射出工程の開始時に配置されていた後退限へと移動され、それに伴い、射出ピストン14に一体に設けられた射出プランジャ13も後退限まで移動される。なお、射出ピストン14の後退位置は、電動駆動伝達プレート20によっても規制される。
【0040】
ここで、
図5に基づきダイカストマシン1の射出機構10についてさらに説明する。
図5(a)の射出機構10の概略構成は、
図1に対応するものであり、
図5(a)に示すように、ピストン型スプール16と射出ピストン14とは、一体ではなく別体として配設されている。そこで、前述したように、
図2、
図3の一例では、低速射出工程の前半の低速加速射出工程では、ACC22を油圧駆動源とする油圧動作手段21と電動駆動源である電動サーボモータ17との協働による合成駆動力により射出ピストン14と共に射出プランジャ13が低速で加速されながら前進されてゆき、当該低速加速射出工程では、ピストン型スプール16が射出ピストン14を押圧して接触状態にあるが、その直後の低速一定速度射出工程及び高速射出工程では、電動サーボモータ17は待機状態になるため、低速加速射出工程中にピストン型スプール16が接触されていた射出ピストン14は、ピストン型スプール16とは非接触となってさらに前進されてゆく。つまり、こうした構成により、高速射出工程中においては、油圧動作手段21と電動サーボモータ17との2つの駆動源による協働により射出プランジャ13を連携させて動作させるのではなく、それぞれを別々に制御可能に構成しているため、例えば、一方の駆動源(電動サーボモータ)が他方の駆動源(油圧動作手段)の駆動(射出速度)に影響を及ぼされてしまい、異常制御に伴い、一方の駆動源(電動サーボモータ)が故障など破損してしまうことを防止することが可能となる。そして、
図5の(b)の変形例に示すように、電動駆動伝達プレート20でピストン型スプール16を動作させる構成ではなく、ピストン型スプール自体を電動スプール40として、射出プランジャ13が一体に設けられた当該射出ピストン14を動作させるようにしてもよく、また、
図5の(c)の変形例に示すように、射出ピストン14にピストン型スプール16を一体に構成し、ピストン型スプール16を一体に構成した射出ピストン14を、この射出ピストン14とは別体に設けられた増圧専用スプール41の動作により動作するようにしてもよい。
【0041】
以上のように本実施形態のダイカストマシン1によれば、金属溶湯が供給される筒状の射出スリーブ12と、射出スリーブ12内で進退される射出プランジャ13とを備え、射出プランジャ13の前進により型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填する射出工程の駆動源に、電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)とを用いるダイカストマシン1であって、射出工程における低速射出工程中と該低速射出工程に続いて行われる当該低速射出工程よりも高速で行われる高速射出工程中において、射出プランジャ13の前進により、型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填するとき、電動サーボモータ17と油圧動作手段21の動作を別々に制御する制御手段30を備えている。そして、
図2に示すように、高速射出工程の直前に行われる低速射出工程は、油圧動作手段21のみを駆動源として射出プランジャ13を一定速度で動作させる低速一定速度射出工程と、射出プランジャ13を一定速度に到達するまで加速する低速加速射出工程とを備え、低速加速射出工程が開始される始点から終了される終点までの間に、電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)とを並行して動作させ、これら電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)の合成された駆動力により、低速加速射出工程の始点から低速加速射出工程の終点まで加速するようにしたものであり、ダイカストマシン1を稼動し、型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填する低速射出工程や高速射出工程からなる射出工程を行うときには、制御手段30が電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)とを別々に動作制御を行うよう構成していることから、射出工程中に電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)とを並行して動作させ、その合成駆動力により射出プランジャ13を前進させ、型閉された金型のキャビティ内に金属溶湯を射出充填するときに、従来のように、油圧の駆動源と電動の駆動源が協働して制御されていないため、一方の駆動源(電動サーボモータ)が他方の駆動源(油圧動作手段)の駆動(射出速度)に影響されてしまい、一方の駆動源(電動サーボモータ)が破損してしまうことを防止することが可能となる。なお、電動サーボモータ17と油圧動作手段21(のACC22)の合成された駆動力により、低速加速射出工程の始点から低速加速射出工程の終点まで加速するようにしたものとしているが、終点ではなく加速途中までとしてもよい。また、低速加速射出工程を電動サーボモータ17と油圧の駆動源(ACC22)で動作させることにより、繰り返し安定性がよくなり成形品が安定することになる。また、増圧射出工程を電動サーボモータ17のみを駆動源として動作させることで、圧力フィードバック制御と、増圧中に多段制御も可能となり、成形品品質の向上ができる。また、電動駆動伝達プレート20の後退位置を電動サーボモータ17にて位置決めすることで後退位置の可変が可能となり射出ストロークの調整ができる。