(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185631
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】無菌包装体およびこの包装体を用いた殺菌方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/20 20060101AFI20170814BHJP
B65D 75/30 20060101ALI20170814BHJP
B65B 55/12 20060101ALI20170814BHJP
B65B 55/04 20060101ALI20170814BHJP
B65B 55/06 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B65D81/20 M
B65D75/30 B
B65B55/12
B65B55/04 B
B65B55/04 H
B65B55/06 C
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-155051(P2016-155051)
(22)【出願日】2016年8月5日
(62)【分割の表示】特願2014-19751(P2014-19751)の分割
【原出願日】2008年6月9日
(65)【公開番号】特開2016-210508(P2016-210508A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】597136216
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・フランス・エス.エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エメリック メルメ
【審査官】
二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−152739(JP,U)
【文献】
特開2005−014936(JP,A)
【文献】
実開平01−140931(JP,U)
【文献】
実開昭52−115483(JP,U)
【文献】
実開昭60−035070(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0268573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/20
B65B 55/04
B65B 55/06
B65B 55/12
B65D 75/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌流体によって殺菌される少なくとも1つの物品(2)を収容するための無菌包装体(1)であって、
柔軟な気密材料で作られ、第1の部分(5a)および第1の部分(5a)を画成し、前記第1の部分(5a)が折り曲げるのに適した領域(5c)によって第2の部分(5b)から区別される第1要素(5)と、
殺菌流体が透過する材料で作られ、前記第1の部分(5a)と共にポケット(10)を形成するように前記第1要素(5)の前記第1の部分(5a)に結合される少なくとも1つの第2要素(6)であって、折り曲げるのに適した前記領域に連続する前記ポケットであって、当該ポケットは前記第2要素(6)に完全に覆われ、当該第2要素(6)は、該第2要素(6)を前記第1の部分(5a)に結合した場合、その端縁が前記第1の部分(5a)の端縁の内側に配されて前記第1の部分(5a)に側部重ね合せ領域(5d)を画成するような寸法に作られている第2要素(6)と、
前記側部重ね合せ領域(5d)は、前記第1要素(5)を前記折り曲げるのに適した領域(5c)にて折り曲げた場合、前記第1要素(5)の第2の部分(5b)と前記第1要素(5)が結合されるように形成され、そして、熱溶着領域(11)は全面ではなく、複数の辺に連続的に延在し、前記ポケット(10)と、前記ポケット(10)が次の組み合わせに完全に囲まれる前記折り曲げるのに適した領域(5c)と、
i.前記熱溶着領域、
ii.前記熱溶着から完全に免れる部分であって、折り曲げるのに適した領域、
を含む前記無菌包装体。
【請求項2】
無菌包装体が第3要素を含み、該第3要素は柔軟で気密材料で作られ、前記第2要素と結合した前記第1要素を包含できる寸法であって、前記第3要素が、前記第2要素を保持した前記第1要素を密閉し、そして前記第3要素と前記第1要素の間にもたらさせる真空により密封されることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2要素(6)は、3つの側端縁の第1の部分に連結されることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2要素(6)が平らであって、前記ポケット(10)およびこのポケット(10)の開口を形成するように、周縁に沿って前記第1要素(5)に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項5】
前記第1要素が熱溶着可能な材料で作られていることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項6】
前記第2要素が熱溶着可能な材料で作られていることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項7】
前記第1要素(5)が長方形状を有し、この第1要素(5)の前記第1および第2の部分(5a,5b)は横方向中心軸線により分割され、この横方向中心軸線は折り曲げるのに適した前記領域(5c)に対応していることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項8】
前記第1要素(5)は、柔軟な気密材料を複数積層した積層体で作られていることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体(1)。
【請求項9】
請求項1に記載の無菌包装体(1)を用いた殺菌方法であって、
殺菌されるべき少なくとも1つの物品(2)を前記少なくとも1つの第2要素(6)で形成される前記ポケット(10)内に配するステップと、
殺菌流体によって当該ユニットを殺菌するステップと、
前記第2の部分(5b)を前記第1の部分(5a)に折り重ねるステップと、そして、
前記側部重ね合せ領域(5d)において、この第2の部分(5b)のこの第1の部分(5a)への重ね合わせを、結合手段を用いて行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
第3要素(7)を用いるステップと、
前記第1要素(5)を前記第2要素(6)に折り曲げるのに、この第3要素(7)を折り曲げるステップと、
前記第3要素(7)と前記第1要素(5)との間に真空を作るステップと、そして、
前記第3要素(7)と前記第1要素(5)との間の真空を維持する間に前記第3要素(7)を密閉するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1要素(5)が前記第2要素(6)に折り曲げられて前記第3要素(7)に対して形成された前記ユニットを結合するステップと、特に前記側部重ね合せ領域(5d)をこの第3要素(7)に結合するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記側部重ね合せ領域が前記第1要素に熱溶着により結合されることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体。
【請求項13】
前記第2要素の材料が、細菌性汚染に対して非透過性の材料で作られていることを特徴とする請求項1に記載の無菌包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌包装体およびこの包装体を用いた殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無菌包装体内の殺菌した部品または要素の搬送を伴う何らかの業務がある。これは、特に注射器の構成部品に関する場合であり、注射器を形成して注射器本体を満たすため、製造部門と組み付け部門との間で搬送されなくてはならない。
【0003】
注射器部品のために用いられる周知の殺菌方法は、これらの部品を柔軟な気密材料で作られた包装体に置き、そうして充填されたこの包装体を次にガンマ線に曝すことで構成される。この方法は、注射器製造業者にとって、殺菌していない包装体に殺菌されていない部品を入れ、それからこれらの包装体をこの種の殺菌専門のサービスプロバイダまで送り、殺菌後にこれらの包装体を注射器の組み付けおよび/または充填のため、部品の買い手にまで運ばなければならないという欠点を有する。この種の専門下請け業者の使用は、注射器製造業者にとって顕著な制約をもたらす。
【0004】
このような用途における他の周知の殺菌方法は、部品およびその包装体を殺菌するために水蒸気を使用する。この殺菌方法は、これが注射器を使用する製薬産業から歓迎されたり、一部の利用者によって要求しさえされたり、あるいは包装される部品または要素の種類や材料によって義務付けられたりもするので、放射線殺菌方法よりも好まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この殺菌方法の始めから終りまで完全に殺菌を遂行し、輸送後の末端消費者にまでこの包装体を完全な状態に保持することを確実にできる包装体がない。
【0006】
(発明の目的)
本発明は、上述した欠点を解決することに向けられる。
【0007】
従って、その目的は、殺菌される1つまたは複数の物品の完全な殺菌の遂行を特に水蒸気によって確実にし、包装体の輸送および保管中の完全な無菌の維持を確実にし、そして包装体の完全性に関するあらゆる欠陥、従ってその無菌性のあらゆる低下を直ちに検出することを可能とする包装体を提供することである。発明の狙いはまた、前記物品を殺菌することを可能にすると同時にその無菌性の完全な履行を確実にするこの包装体を用いた殺菌方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するため、殺菌流体によって殺菌される少なくとも1つの物品を収容するための本発明による無菌包装体は、
柔軟な気密材料で作られ、第1の部分およびこの第1の部分に連続する第2の部分を画成し、前記第1の部分が折り曲げるのに適した領域によって前記第2の部分から区別される第1要素と、
殺菌流体が透過する材料で作られ、前記折り曲げるのに適した領域に連続する前記第1の部分と共にポケットを形成するように前記第1要素の前記第1の部分に結合される少なくとも1つの第2要素であって、前記少なくとも1つの物品を収容するように形成された前記ポケットがこの第2要素の前記透過する材料によって完全に覆われ、当該第2要素は、該第2要素を前記第1の部分に結合した場合、その端縁が前記第1の部分の端縁の内側に配されて前記第1の部分に側部重ね合せ領域を画成するような寸法に作られている第2要素と、
柔軟な気密材料で作られ、前記第2要素に折り重ねた場合に前記第1要素を収容可能な寸法に作られ、前記第2要素に折り重ねた場合の前記第1要素を覆う第3要素と
を含み、前記側部重ね合せ領域は、前記第1要素を前記折り曲げるのに適した領域にて折り曲げた場合、前記第2の部分の一部に結合されるように形成され、
前記側部重ね合せ領域および前記第2の部分および前記第3要素が前記折り曲げるのに適した領域にて折り曲げられる前記第1要素と結合され、前記第3要素は、前記第3要素と前記第1要素との間にもたらされる真空により密封されている。
【0009】
本発明の包装体を用いた本発明による殺菌および包装方法は、
殺菌されるべき1つまたは複数の物品を前記第1要素の第1の部分と前記少なくとも1つの第2要素とで形成されたポケット内に配するステップと、
殺菌流体によってこれら第1および第2要素ならびに物品とを殺菌するステップと、
前記第1要素の前記第2の部分を前記第1の部分に折り重ねるステップと、
前記第1の部分の側部重ね合せ領域に前記第2の部分を結合するステップと
を具えている。
【0010】
従って、本発明は、殺菌されるべき1つまたは複数の物品を収容するため、殺菌流体に対して透過性のある多孔質材料のポケットを具えた包装体を用いることで構成され、これは気密材料で作られた要素の前記第1の部分に結合され、殺菌後に前記第2の部分が前記ポケットに折り重ねられてこのポケットを完全に覆い、次いで前記第1の部分の前記側部重ね合せ領域に密封可能に結合され、これによってポケットを外部に対して隔離する。
【0011】
「物品」という用語は、包装される1つまたは複数の部品か、あるいは1つまたは複数の要素を概ね示すために以下に一般的に用いられよう。この用語は最も広い意味で理解すべきであり、あらゆる種類の部品や製品または要素、特に注射器の構成要素を含む。
【0012】
前記第2の部分の材料は、その寸法が2から15ミクロンまでであって、3以上の(ASTM F-1608規格にて定義されるような)対数減少値を与えることができる孔を具えている。これは、Du Pont Nemours 社から TYVEK(登録商標)という商品名で市販され、1073B,2FSまたは1059Bに記載の薄膜か、あるいは WIPAK 社から WIPAK(登録商標)という商品名で市販され、刊行物80Bまたは刊行物120Bに記載の複合材であってよい。
【0013】
本発明の方法は、
前記第3要素を用いることで構成されるステップと、
この第1要素を前記第2要素に折り重ねる場合、前記第3要素を前記第1要素に折り重ねることで構成されるステップと、
前記第3要素と前記第1要素との間に真空をもたらすことで構成されるステップと、
前記第3要素と前記第1要素との間の真空を維持している間に前記第3要素をしっかりと密封することで構成されるステップと
をさらに具えている。
【0014】
前記第1の部分の側部重ね合せ領域およびこの側部重ね合せ領域に結合される前記第2の部分の結合領域は前記第3要素と無関係であってよく、これらを前記第3要素に結合することも可能である。
【0015】
前記第2要素は、それ自体を例えば折り重ねてそれらの側端縁を相互に結合することにより、前記ポケットを形成することができ、前記第2要素がまた平坦であって、その周縁部にて前記第1要素に結合して前記ポケットとこのポケットの開口とを形成するようにもできる。
【0016】
好ましくは、前記第1要素が熱溶着可能な材料で作られ、前記密封結合手段がこの材料自体を含み、この第1要素の前記第1の部分と前記第2の部分との重ね合せが熱溶着によって行われる。
【0017】
また、前記少なくとも1つの第2要素が熱溶着可能な材料で作られ、前記第1要素に対するその結合が熱溶着によってなされることも好ましい。
【0018】
前記第1要素および前記第2要素は、本発明による関連した物品を包装するため、本質的に任意の形状を有することができよう。本発明による包装体の1つの単純な実施形態によると、前記第1要素が長方形状を有し、この第1要素の前記第1および第2の部分が横方向中心軸線の両側に延在する前記第1要素の2つの部分によって画成され、この横方向中心軸線は折り曲げるのに適した前記領域に対応する。
【0019】
好ましくは、前記第1要素が柔軟な気密材料を複数積層した積層体で作られている。
【発明の効果】
【0020】
ポケットの多孔性は、このポケットの内側およびこのポケットに収容されたすべての物品の周囲の殺菌流体の充分な拡散を可能にし、前記第1の部分に対する前記第2の部分の気密結合は、これがこれらの物品を外部環境に対して完全に保護し、行われた完全な殺菌状態を維持することを可能にする。
【0021】
従って、本発明による包装体および方法は、殺菌流体による物品の効果的な殺菌を可能にし、包装された物品の健全な状態を完璧に保持し、これが完全な状態、つまり包装体の無菌性のどのような喪失でも直ちに示すことを可能にするという決定的な利点を有する。
【0022】
この第3要素は、この包装体がその輸送および取り扱いの間に受ける可能性のある応力に対する包装体の強度を高め、これと前記第1要素との間に包装体が開いている時に作り出される真空は、この包装体の完全な状態の保持の実証と、それゆえにその完全な無菌状態の維持とを与える。
【0023】
従って、本発明による包装体は特に簡単に作り出すことができる。
【0024】
この複数の積層体は、1つの層に孔が1つある場合、包装体の完全な状態の喪失の危険性を最小にする。さらに、孔が直線状に並ぶ危険性は、層の数の増大に伴って減少する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この包装体を構成する第1の実施形態による2つの材料要素の包装前の平面図である。
【
図3】殺菌される物品を入れた後の
図2と同様なこれらの要素の図である。
【
図4】これらの要素の一方を密封した後の
図3と同様なこれらの要素の図である。
【
図6】第3要素により形成された包みを配した後の
図4および
図5に示した重ね合せ部の側面図である。
【
図7】前記包みを密封後の
図6と同様な包装体の図である。
【
図8】
図2の包装体と同様な第2の実施形態による図である。
【
図9】
図4の包装体と同様な第2の実施形態による図である。
【
図10】
図7の包装体と同様な第2の実施形態による図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明が充分に理解され、その他の特徴および利点は、これが関係する無菌包装体の2つの可能な実施形態を限定しない例として示す添付の概略図面を参照して明らかとなろう。
【0027】
簡略化のため、他の実施形態にて同じまたは類似して見いだされる一方の実施形態の部品や要素は、同じ参照符号を用いて取り扱われ、繰り返して記述されない。
【0028】
図7は、物品2、特に注射器の構成要素、また特に注射器のプランジャーを収容するように意図した包装体1を示す。これらの物品2は、包装体1が具えるポケットを相互に満たしているが、図面の明瞭性に対する懸念から、これらは単に部分的に示されているだけであり、これら物品2によって形成される全体的な輪郭は一点鎖線によって画成されている。
【0029】
図1から
図7を参照すると、包装体1は3つの材料要素5,6および7を具えていることが明らかである。
【0030】
要素5は、柔軟な気密材料、特に熱溶着可能な化学合成材料で作られている。これは長方形であって、第1の部分5aとこの第1の部分5aに連続する第2の部分5bとを画成し、前記第1の部分5aは折り返すことができる中央領域5cによって第2の部分5bから区別される。
【0031】
要素6は、水蒸気の如き殺菌流体に対して透過性かつ細菌性汚染物質に対して非透過性の材料で作られている。この材料は、その寸法が2から15ミクロンまでであって、3以上の(ASTM F-1608規格にて定義されるような)対数減少値を与えることができる孔を具えている。これは、Du Pont Nemours 社から TYVEK(登録商標)という商品名で市販され、1073B,2FSまたは1059Bに記載の薄膜か、あるいは WIPAK 社から WIPAK(登録商標)という商品名で市販され、刊行物80Bまたは刊行物120Bに記載の複合材であってよい。
【0032】
この要素6は長方形状であって、前記第1の部分5aの寸法よりも小さな寸法を有し、これの3つの側部をこの第1の部分5aに対して結合すると同時に、前記中央領域5cに結合される所よりもそれらの端縁の内側に後退して配され、前記第1の部分5aに3つの側部重ね合せ領域5dを画成するようになっている。前記第1の部分5aに対するその3つの側部の当該結合を介し、要素6は、殺菌されるべき物品2を収容するためのポケット10を形成する。要素5に対する要素6の結合は、任意の適当な手段、特に接着剤または熱溶着を用いて行うことができる。
【0033】
ポケット10を物品2で満たして(
図3を参照)このアセンブリーを殺菌チャンバー内に置いた後、この状態において、要素5の第2の部分5bがポケット10および第1の部分5aに折り重ねられ、次いで側部重ね合せ領域5dに熱融着される。熱融着領域11は、ポケット10を含む折り曲げ領域5cの一端から他端まで連続的に延在し、このポケット10およびこれに収容される物品2が外気から完全にしっかりと隔離されるようになっている。
【0034】
従って形成されたアセンブリーは、次に前記材料要素7によって形成された包み内に配され(
図6を参照)、この要素7は柔軟な気密材料、特に熱溶着可能な化学合成材料で作られている。
【0035】
次に、この要素7によって形成される包みは、前記アセンブリーのすべてを覆い(
図7参照)、次いで要素7と要素5との間にもたらされる真空状態にて気密に熱融着される。
【0036】
前記から明らかなように、要素6の多孔性は、ポケット10の内側およびその中に収容されたすべての物品2の周囲に殺菌流体の優れた拡散を可能とし、これらの物品2の殺菌を確実にするために充分であり、前記第1の部分5aに対する前記第2の部分5bの気密結合は、外部環境に対するこれらの物品2の完全な保護と、なされた殺菌の完全な状態の維持とを可能にする。
【0037】
要素7は、この包装体がその輸送および取り扱いの間に受ける可能性のある応力に対する包装体1の強度を高め、これと第1要素5との間に包装体1が開いている時に作り出される真空は、この包装体の完全な状態の保持の実証と、それゆえにその完全な無菌状態の維持とを与える。
【0038】
図8〜
図10は、物品2が移送されるように意図した殺菌チャンバーに包装体1を結合するための環状体20を要素5が具えていることを除き、前記したものと全く同じ包装体1を示している。この環状体20は、物品2を移送するための開口を画成する円形のベースと、包装体1を用いるこの段階において、この移送開口を塞ぐ取り外し可能な扉とを具えている。環状体20は、例えば米国特許第6571540号および米国特許第6817143号に記述された種類のものであり、従ってさらに詳細に記述しない。
【0039】
図8〜
図10において明らかなように、環状体20は殺菌流体に対して透過性の薄膜21にて覆われ、この薄膜21は、物品2の殺菌がなされるのと同時に環状体20の殺菌を可能にする。この薄膜を特に要素6と同じ材料で作ることができる。
【0040】
従って本発明は無菌包装体およびこの包装体を用いた殺菌方法を提供し、殺菌流体による物品の効果的な殺菌を可能にし、梱包された物品の健全な状態を完璧に保持し、これが完全な状態、つまり包装体の無菌性のどのような喪失でも直ちに示すことを可能にするという決定的な利点を有する。
【0041】
上記述した本発明の実施形態が一例として単に与えられたことを明示しておかなければならない。本発明がこの実施形態に限定されないことは言うまでもないが、これは添付した特許請求の範囲によって保護されるすべての実施形態まで及んでいる。従って、包装体1は、複数の要素6を具えることができ、前記要素6は、それ自体で前記ポケットを形成することができ、折り曲げられて相互に側端縁部に結合し、次いで要素5に結合され、要素6はその4つの側部を要素5の第1の部分5aに対して結合すると共にポケット10の開口を形成するスロットを特に中央部に具えることができ、要素5を複数の層を積層して作ることができる。