特許第6185644号(P6185644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185644
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】タンタル合金を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C22B 34/24 20060101AFI20170814BHJP
   C22B 9/22 20060101ALI20170814BHJP
   C22B 5/04 20060101ALI20170814BHJP
   C22C 27/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C22B34/24
   C22B9/22
   C22B5/04
   C22C27/02 103
【請求項の数】30
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-500409(P2016-500409)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-514212(P2016-514212A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】US2014018632
(87)【国際公開番号】WO2014143553
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】13/844,457
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501187033
【氏名又は名称】エイティーアイ・プロパティーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】ファハルド,アーネル・エム
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,ザ・フォース,ジョン・ダブリュー
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−022313(JP,A)
【文献】 米国特許第03597192(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタル合金を生成するためのプロセスであって、
五酸化タンタル粉末と、
酸化鉄(III)粉末と、
酸化銅(II)粉末と、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、
タングステン金属粉末と、を含む反応混合物を調製することと、
黒鉛反応槽の少なくとも底面に酸化マグネシウム粉末層を配置することと、
前記黒鉛反応槽内の前記酸化マグネシウム粉末層の上に前記反応混合物を配置することと、
前記反応混合物と接触してタンタルまたはタンタル合金の点火ワイヤを配置することと、
反応チャンバ内に前記黒鉛反応槽を密封することと、
前記反応チャンバ内に真空を確立することと、
前記点火ワイヤに通電して、前記反応混合物の成分間のアルミノテルミット反応を開始させ、それにより、タンタルおよびタングステンを含むモノリシック構造で完全に圧密化された合金レギュラスと、酸化アルミニウムおよび酸化バリウムを含む別個のスラグ相と、を含む反応生成物を生成することと、
前記反応生成物を周囲温度に冷却することと、
前記黒鉛反応槽から前記反応生成物を除去することと、
前記スラグと前記レギュラスを分離することと、を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記レギュラスが、前記五酸化タンタル反応物によって提供されるタンタル初期量の少なくとも90%(金属重量ベース)のタンタル収率を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記レギュラスが、前記五酸化タンタル反応物によって提供されるタンタル初期量の少なくとも93%(金属重量ベース)のタンタル収率を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記レギュラスが、前記レギュラスの総重量に基づき、少なくとも1.0%のタングステンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記レギュラスが、前記レギュラスの総重量に基づき、少なくとも80%のタンタルを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応混合物が、前記反応混合物の総重量に基づき、
55.1%〜57.1%の五酸化タンタル粉末と、
2.0%〜3.5%の酸化鉄(III)粉末と、
1.7%〜3.2%の酸化銅(II)粉末と、
21.5%〜23.5%の過酸化バリウム粉末と、
14.7%〜16.7%のアルミニウム金属粉末と、
0.5%〜15%のタングステン金属粉末と、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記レギュラスを電子ビーム溶解することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
タンタル合金を生成するためのプロセスであって、
反応槽内に反応混合物を配置することであって、前記反応混合物が、
五酸化タンタル粉末と、
酸化鉄(III)粉末および酸化銅(II)粉末のうちの少なくとも1つと、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、
五酸化ニオブ粉末、タングステン金属粉末、および三酸化タングステン粉末のうちの少なくとも1つと、を含むことと、
前記反応混合物の成分間のアルミノテルミット反応を開始させることと、を含む、前記プロセス。
【請求項9】
前記反応混合物が、
五酸化タンタル粉末と、
酸化鉄(III)粉末と、
酸化銅(II)粉末と、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、
タングステン金属粉末と、を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応混合物が、前記反応混合物の総重量に基づき、
55.1%〜57.1%の五酸化タンタル粉末と、
2.0%〜3.5%の酸化鉄(III)粉末と、
1.7%〜3.2%の酸化銅(II)粉末と、
21.5%〜23.5%の過酸化バリウム粉末と、
14.7%〜16.7%のアルミニウム金属粉末と、
0.5%〜15%のタングステン金属粉末と、を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応混合物が、
五酸化タンタル粉末と、
五酸化ニオブ粉末と、
酸化鉄(III)粉末と、
酸化銅(II)粉末と、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、を含む請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応槽が、黒鉛底面を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応槽が、黒鉛側壁を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
酸化マグネシウム層が、前記反応槽の少なくとも底面に配置される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸化マグネシウム層が、
酸化マグネシウム粉末層、
熱溶射された酸化マグネシウム被覆層、
塗装された酸化マグネシウム被覆層、または
前記反応槽の前記底面に直に隣接して配置された酸化マグネシウムシートまたはウォールボードのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記反応混合物の成分間のアルミノテルミット反応を開始させることが、前記反応混合物と接触して配置された点火ワイヤに通電することを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項17】
前記点火ワイヤが、
前記反応槽内の前記反応混合物中に浸漬されるか、または
前記反応槽内の前記反応混合物の上に配置されたスターターバック内に配置されるかのうちの一方であり、
前記スターターバックが、
アルミニウム金属粉末と、
五酸化タンタル粉末、五酸化ニオブ粉末、酸化鉄(III)粉末、酸化銅(II)粉末、過酸化バリウム粉末、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される第二の粉末
を含む粉末を含有する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記点火ワイヤに通電することが、前記点火ワイヤを通して少なくとも60ampの電流を少なくとも1秒間流すことを含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記アルミノテルミット反応を開始させる前に、反応チャンバ内に前記反応槽を密封することと、前記反応チャンバ内に真空を確立することと、をさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項20】
前記アルミノテルミット反応が、
タンタルと、タングステンおよびニオブのうちの少なくとも1つと、鉄および銅のうちの少なくとも1つと、を含むモノリシック構造で完全に圧密化された合金レギュラスと、
酸化アルミニウムおよび酸化バリウムを含む別個のスラグ相と、を含む、反応生成物を生成する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項21】
前記反応生成物を周囲温度に冷却することと、
前記反応槽から前記反応生成物を除去することと、
前記スラグと前記レギュラスを分離することと、
をさらに含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記レギュラスが、前記五酸化タンタル反応物によって提供されるタンタル初期量の少なくとも90%(金属重量ベース)のタンタル収率を有する、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記レギュラスが、前記五酸化タンタル反応物によって提供されるタンタル初期量の少なくとも93%(金属重量ベース)のタンタル収率を有する、請求項20に記載のプロセス。
【請求項24】
前記レギュラスが、前記レギュラスの総重量に基づき、少なくとも1.0%のタングステンを含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
前記レギュラスが、前記レギュラスの総重量に基づき、少なくとも80%のタンタルを含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項26】
前記レギュラスを電子ビーム溶解することをさらに含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項27】
タンタル合金を生成するためのプロセスであって、
五酸化タンタル粉末と、
酸化鉄(III)粉末および酸化銅(II)粉末のうちの少なくとも1つと、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、
五酸化ニオブ粉末、タングステン金属粉末、および三酸化タングステン粉末のうちの少なくとも1つと、を含む反応混合物を用いてアルミノテルミット反応を行うことを含む、前記プロセス。
【請求項28】
前記反応混合物が、
五酸化タンタル粉末と、
酸化鉄(III)粉末と、
酸化銅(II)粉末と、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、
タングステン金属粉末と、を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記反応混合物が、前記反応混合物の総重量に基づき、
55.1%〜57.1%の五酸化タンタル粉末と、
2.0%〜3.5%の酸化鉄(III)粉末と、
1.7%〜3.2%の酸化銅(II)粉末と、
21.5%〜23.5%の過酸化バリウム粉末と、
14.7%〜16.7%のアルミニウム金属粉末と、
0.5%〜15%のタングステン金属粉末と、を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項30】
前記反応混合物が、
五酸化タンタル粉末と、
五酸化ニオブ粉末と、
酸化鉄(III)粉末と、
酸化銅(II)粉末と、
過酸化バリウム粉末と、
アルミニウム金属粉末と、を含む、請求項27に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、タンタル合金を生成するためのプロセスに関する。本明細書は、本明細書に記載されるプロセスを用いて作製されたタンタル合金圧延生成物および中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
タンタルは、16.65g/cmの密度を有する硬質の延性で耐酸性の導電性の高い金属である。タンタルは、3020℃の高い融点温度を有する。タンタルは、合金添加物として使用されることが多く、ニオブの耐食性質を増加させるためにニオブと組み合わされることが多い。ニオブ等の金属と混合した場合、タンタルは、鉱酸、大半の有機酸、液体金属、および大半の塩を含む、広範な腐食環境に対して優れた耐性を有する。タンタルは、特に航空宇宙製品、化学処理、医療、超電導、およびエレクトロニクス市場に使用される。
【発明の概要】
【0003】
非限定的な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、五酸化タンタル粉末をタンタル金属に還元するためにアルミノテルミット反応を行うことを含む。
【0004】
別の非限定的な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、五酸化タンタル粉末;酸化鉄(III)粉末および酸化銅(II)粉末のうちの少なくとも1つ;過酸化バリウム粉末;アルミニウム金属粉末;ならびに五酸化ニオブ粉末、タングステン金属粉末、および三酸化タングステン粉末のうちの少なくとも1つを含む反応混合物を使用して、アルミノテルミット反応を行うことを含む。
【0005】
別の非限定的な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、反応槽内に反応混合物を配置することを含む。反応混合物は、五酸化タンタル粉末;酸化鉄(III)粉末および酸化銅(II)粉末のうちの少なくとも1つ;過酸化バリウム粉末;アルミニウム金属粉末;ならびに五酸化ニオブ粉末、タングステン金属粉末、および三酸化タングステン粉末の少なくとも1つを含む。アルミノテルミット反応は、反応混合物成分間で開始される。
【0006】
別の非限定的な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、五酸化タンタル粉末、酸化鉄(III)粉末、酸化銅(II)粉末、過酸化バリウム粉末、アルミニウム金属粉末、およびタングステン金属粉末を含む反応混合物を調製することを含む。酸化マグネシウム粉末層は、黒鉛反応槽の少なくとも底面に配置される。反応混合物は、黒鉛反応槽内の酸化マグネシウム粉末層の上に配置される。タンタルまたはタンタル合金点火ワイヤは、反応混合物と接触して配置される。反応槽は、反応チャンバ内に密封される。真空は、反応チャンバ内に確立される。点火ワイヤは、反応混合物成分間のアルミノテルミット反応を開始させるために通電される。アルミノテルミット反応は、モノリシック構造の完全に強固された合金レギュラスおよび別個のスラグ相を含む反応生成物を生成する。合金レギュラスは、タンタルおよびタングステンを含む。スラグ相は、酸化アルミニウムおよび酸化バリウムを含む。反応生成物は、周囲温度に冷却される。反応生成物は、反応槽から除去される。スラグとレギュラスは分離される。
【0007】
本明細書に開示され、記載される発明は、この概要に要約された実施形態に限定されないことを理解する。
【0008】
本明細書に開示され、記載される非限定的かつ非網羅的な実施形態の様々な特徴および特性は、添付の図面を参照することによってより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】五酸化タンタル原料からタンタル合金圧延生成物を生成するためのプロセスの流れを図示するフローチャートである。
図1B】タンタル金属原料からタンタル合金圧延生成物を生成するためのプロセスの流れを図示するフローチャートである。
図2A】明確に画定され、分離されたレギュラスおよびスラグ相を含むアルミノテルミット反応生成物の写真である。
図2B】スラグ相を除去した後の、図2Aに示されるレギュラスの写真である。
図3】アルミノテルミット反応槽の断面概略図である(原寸に比例しない)。
図4】アルミノテルミット反応槽の断面概略図である(原寸に比例しない)。
図5】アルミノテルミット反応槽の斜視図の概略図である(原寸に比例しない)。
図6】反応チャンバ内に密封されたアルミノテルミット反応槽の斜視図の概略図である(原寸に比例しない)。
図7】五酸化タンタル反応物を伴うアルミノテルミット反応によって生成されたタンタル合金レギュラスの微細構造の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
読者は、本明細書による様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、前述の詳細ならびにその他を理解するだろう。
様々な実施形態は、タンタル合金を生成するための開示されるプロセスの機能、操作、および実装の全体的な理解を提供するために、本明細書に記載され、図示される。本明細書に記載され、図示される様々な実施形態は、非限定的かつ非網羅的であることを理解する。したがって、本発明は、必ずしも本明細書に開示される様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態の記載によって限定されるものではない。様々な実施形態に関連して図示および/または記載される特徴及び特性は、他の実施形態の特徴および特性と組み合わせることができる。そのような修正および変形は、本明細書の範囲内に含まれるものとする。むしろ、本特許請求は、本明細書において明示的または本質的に記載されるあらゆる特徴または特性を列挙するために修正されるか、または別様に本明細書によって明示的または本質的に支持され得る。さらに、出願人は、従来技術に存在し得る特徴または特性を肯定的に放棄するために本特許請求を修正する権利を留保する。したがって、あらゆるそのような修正は、米国特許法第112条(a)項および第132条(a)項の要求事項に準拠するように、本明細書に本質的に記載されるよう意図される。本明細書に開示され、記載される様々な実施形態は、本明細書に様々に記載される特徴および特性を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり得る。
【0011】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、列挙される範囲内に包含される同じ数値精度の全ての部分範囲を含むよう意図される。例えば、「1.0〜10.0」の範囲は、列挙される最小値の1.0から列挙される最大値の10.0の間の(およびこれらを含む)、つまり、例えば、2.4〜7.6等の1.0以上の最小値および10.0以下の最大値を有する、全ての部分範囲を含むよう意図される。本明細書に列挙される任意の最大数値限定は、その中に包含される全ての下位の数値限定を含むことが意図され、本明細書に列挙される任意の最小数値限定は、その中に包含されるすべてのより大きい数値限定を含むよう意図される。したがって、出願人は、本明細書に明示的に列挙される範囲内に包含される任意の部分範囲を明示的に列挙するために、特許請求の範囲を含む、本明細書を修正する権利を留保する。全てのそのような範囲は、あらゆるそのような部分範囲を明示的に列挙するための修正が米国特許法第112条(a)項および第132条(a)項の要求事項に準拠するように、本明細書に本質的に記載されるよう意図される。
【0012】
本明細書に特定されるあらゆる特許、刊行物、または他の開示資料は、特に記載のない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、組み込まれた資料が本明細書に明示的に記載される既存の説明、定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲内でのみ組み込まれる。そのため、必要な範囲で、本明細書に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれることが言及されるが、本開示に記載される既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾するあらゆる資料またはその一部分は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が発生しない範囲内でのみ組み込まれる。出願人は、参照により本明細書に組み込まれる任意の主題またはその一部を明示的に列挙するために本明細書を修正する権利を留保する。
【0013】
本明細書に使用される、文法上の冠詞「one」、「a」、[an」、および「the」は、特に示されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むよう意図される。よって、冠詞は、本明細書において1つまたは2つ以上(即ち、少なくとも1つ」)の文法上の冠詞の目的語を指すように使用される。例として、「成分」は、1つ以上の成分を意味し、よって、場合により、2つ以上の成分が想定され、記載される実施形態の実施において採用または使用され得る。さらに、単数形の名詞の使用は複数を含み、使用の文脈が別途必要としない限り、複数形名詞の使用は、単数形を含む。
【0014】
金属のタンタルおよびニオブは、最初は、例えば、タンタルおよびニオバイト(コロンバイト)等のタンタル含有およびニオブ含有鉱物鉱石:(Fe,Mn)(Ta,Nb)から得ることができる。一般的に言えば、これらの鉱物鉱石がニオブより多くのタンタルを含む場合、鉱石はタンタライトと呼ばれ、鉱物鉱石がタンタルより多くのニオブを含む場合、鉱石はニオバイトまたはコロンバイトと呼ばれる。これらの鉱物鉱石は、採鉱され、粉砕、重力分離、およびフッ化水素酸(HF)で処理されることによって加工され、H(TaF)およびH(NbOF)等の錯体金属フッ化物を生成する。タンタルフッ化物およびニオブ−フッ化物は、水およびシクロヘキサノン等の有機溶媒を用いた液−液抽出を介して互いに分離することができる。分離された金属フッ化物は、工業原料を生成するためにさらに加工されてよい。
【0015】
例えば、タンタル−フッ化物を、フッ化カリウム塩で処理し、ヘプタフルオロタンタル酸カリウムを沈殿させることができる。
【数1】
ヘプタフルオロタンタル酸カリウム沈殿物を回収し、溶融ナトリウムで還元し、洗練および精製されたタンタル金属を生成することができる。
【数2】
あるいは、タンタル−フッ化物を、アンモニアで処理し、五酸化タンタルを沈殿させることができる。
【数3】
アンモニアを使用する五酸化タンタルの生成は、ナトリウム還元プロセスより安価であり、したがって、五酸化タンタルは、第一次ナトリウム還元タンタル金属よりも安価な商品化学物である。
【0016】
ナトリウム還元プロセスを通して生成された洗練および精製されたタンタル金属は、主にコンデンサおよび高電力抵抗器等の電子構成部品の商業生産のために使用される。したがって、エレクトロニクス産業からの需要およびナトリウム還元プロセスに関連した費用によって引き起こされる、工業用原料としての第一次ナトリウム還元タンタル金属の費用は、比較的高い。この費用の高さは、タンタル合金および圧延生成物の生成に問題を生じさせる場合がある。タンタル合金および圧延生成物の製造者は、ナトリウム還元プロセスによって達成される洗練および純度レベルの投入材料を必ずしも必要としない。さらに、他の金属とのタンタルの合金化は、合金化学を均質化および洗練するための電子ビーム溶解に好適な成形体を生成するために高価な粉末加工を必要とする。
【0017】
タンタルは、大半の金属と比較して、高い融点温度を有する。したがって、同様に比較的高い融点温度を有する、例えば、ニオブまたはタングステン等の他の元素とのタンタルの合金化は、通常、タンタル粉末と合金化元素粉末のホットプレスおよび焼結された混合物を含む成形体を溶融するために電子ビーム炉の使用を必要とする。タンタルは比較的延性でもある。したがって、例えば、ナトリウム還元プロセスを通して生成される未合金のタンタル屑または第一次金属は、通常、タンタルが粉末形態に破砕され得る前に、水素化処理により脆化されなければならない。水素化されたタンタル粉末はまた、通常、電子ビーム溶解炉用の投入成形体を生成するために、他の合金化元素粉末とホットプレスおよび焼結する前に脱水素化されなければならない。水素化炉、破砕機、圧縮機、真空炉、および圧締/焼結装置等の重要な資本設備および運用設備を必要とするこの水素化−脱水素化(HDH)プロセスは、すでに高費用の第一次ナトリウム還元されたタンタル金属投入材料に対して、タンタルの合金化に多大な追加費用を追加する。
【0018】
タンタルおよび他の合金化元素を含む圧締および焼結された粉末成形体の下流の電子ビーム溶解は、さらなる問題を伴う場合がある。巨視的規模では、タンタル粉末および他の合金化元素粉末は、圧締および焼結前に均質に混合される。しかしながら、得られる成形体は、タンタルマトリックス中に完全に溶解された合金化元素を含む均質な固体状態の溶液を含まない。その代わりに、成形体は、離散し、孤立した領域またはタンタル金属の比較的連続した領域または相に分布されるタングステン等の合金化元素の含有物を含む。この多相微細構造の離散した合金化元素領域およびタンタル領域は、成形体を形成するために冶金学的に一緒に結合される各粉末粒子に対応する。
【0019】
成形体の電子ビーム溶解は、合金組成物を均質化および洗練し、均一な微細構造、減少したレベルの比較的揮発性のトランプ元素、およびタンタルマトリックス内に固体状態の溶液として完全に溶解され、均一に分布された指定の合金化元素を有するインゴットを生成するよう意図される。しかしながら、実際には、例えば、タンタル、ニオブ、およびタングステン等の高融点物質の液相混合は、電子ビーム溶解を達成することが困難な場合がある。例えば、比較的小さい溶融プールおよび溶融プール内の過熱の欠如は、十分な液相混合を妨げる可能性がある。さらに、成形体から電子ビーム溶解炉内の溶融プール内への溶融物質の滴下は、合金成分の分散を減少させる可能性がある。現在の工業規模の電子ビーム溶解炉は、合金成分の合金分散および均質化を改善するだろう溶融プールの補助的な物理的撹拌を誘導する能力にも欠く。
【0020】
本明細書に記載されるプロセスは、第一次ナトリウム還元または屑タンタル金属原料からタンタル系合金および圧延生成物を生成するのとは対照に、五酸化タンタル原料からタンタル系合金および圧延生成物を生成することを対象とする。様々な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、五酸化タンタル粉末をタンタル金属に還元するためにアルミノテルミット反応を行うことを含み得る。図1Aおよび1Bは、タンタル合金圧延生成物を生成するためにタンタル金属原料を使用するプロセス(図1B)と比較した、本明細書に記載されるアルミノテルミット反応プロセスによって提供される運用設備削減(図1A)を図示するフローチャートである。
【0021】
本明細書に記載されるアルミノテルミット反応プロセスは、(1)比較的高価な第一次ナトリウム還元タンタル金属の必要性、(2)高価なHDHプロセス、および(3)電子ビーム溶解のための粉末成形体を生成するために必要な圧締および焼結を排除する。本明細書に記載されるプロセスは、タンタル合金組成物を洗練するために電子ビーム溶解炉の中に直接投入され得る圧密化されたタンタル合金レギュラスを直接生成する。本明細書に記載されるアルミノテルミット反応プロセスにより生成されたタンタル合金レギュラスは、直接電子ビーム溶解、ならびに均一の微細構造、およびタンタルマトリックス中に完全かつ均一に分布された合金化元素を有するタンタル合金インゴットの鋳造を容易にするタンタルマトリックスに完全に溶解された合金元素も含む。
【0022】
本明細書で使用される、用語「アルミノテルミット反応(複数可)」は、アルミニウム金属(還元剤として機能する)と金属過酸化物および/または金属酸化物(酸化剤として機能する)との間の高温発熱酸化還元化学反応を指す。アルミノテルミット反応は、酸化アルミニウム(Al系スラグ、および減少した金属値を生成する。本明細書で使用される、用語「レギュラス(regulus)」(およびその複数形「レギュラス」(reguli))は、アルミノテルミット反応の反応生成物が圧密化され、固化した金属または合金部分を指す。
【0023】
図2Aは、明確に画定されたレギュラスおよび明確に画定されたスラグ相を含むアルミノテルミット反応を示す写真である。アルミノテルミット反応中および/またはその後、酸化反応生成物は、低密度のスラグ相に凝集することができ、金属反応生成物は高密度の金属相に凝集する。相は、分離し、例えば、図2Aに示される、明確に画定された合金レギュラスと分離したスラグ相に固化し得る。図2Bは、スラグ相を除去した後の図2Aに示されるレギュラスの写真である。例えば、図2Bに示されるように、アルミノテルミット反応の金属反応生成物は、凝集し、固化して、モノリシック構造完全に圧密化された非脆弱な合金レギュラスを生成する。
【0024】
タンタル合金を生成するためのアルミノテルミット反応の使用は、(1)特定の合金成分、(2)得られるタンタル系合金中間体の融点温度を低下させる揮発性(犠牲)合金成分、および(3)金属反応生成物を溶融し、タンタル系合金に凝集させ、また溶融反応生成物が固化して、モノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスを生成し、スラグ相を分離するように、溶融スラグ反応生成物を溶融金属反応生成物から相分離させる反応温度を達成するのに十分な熱を生成する反応物の選択を伴う。
【0025】
市販のタンタル合金は、例えば、二元タンタル−ニオブ合金(例えば、Ta−40Nb(UNS R05240))、および二元タンタル−タングステン合金(例えば、Ta−2.5W(UNS R05252)およびTa−10W(UNS R05255))を含む。Ta−40Nbは、通常、40重量%のニオブ、残余のタンタル、および付随不純物を含み、Ta−2.5Wは、通常、2.5重量%のタングステン、残余のタンタル、および付随不純物を含み、Ta−10Wは、通常、10%のタングステン、残余のタンタル、および付随不純物を含む。
【0026】
例えば、特定のタンタル−ニオブ合金化学を生成するために、様々な実施形態では、反応物は、アルミニウム金属粉末(還元剤として)、五酸化タンタル粉末(タンタル供給源および酸化剤として)、および五酸化ニオブ粉末(ニオブ供給源および酸化剤として)を含み得る。他の実施形態では、例えば、特定のタンタル−タングステン合金化学を生成するために、反応物は、アルミニウム金属粉末(還元剤として)、五酸化タンタル粉末(タンタル供給源および酸化剤として)、および三酸化タングステン粉末(タングステン供給源および酸化剤として)を含み得る。他の実施形態では、例えば、特定のタンタル−タングステン合金化学を生成するために、反応物は、アルミニウム金属粉末(還元剤として)、五酸化タンタル粉末(タンタル供給源および酸化剤として)、およびタングステン金属粉末(不活性タングステン供給源として)を含み得る。アルミノテルミット反応により生成されるタングステン系合金の他の合金化成分の反応性または不活性供給源は、生成される標的の合金組成に基づき、および本明細書に開示される情報を考慮して、当業者によって決定され得る。
【0027】
Ta−40Nb、Ta−2.5W、およびTa−10W等のタンタルおよびタンタル系合金は、比較的高い融点温度を有する。例えば、純粋なタンタル金属は3020℃で融解し、Ta−40Nbは2705℃で融解し、Ta−2.5Wは3005℃で融解し、Ta−10Wは3030℃で融解する。これらの比較的高い融点温度のため、アルミノテルミット反応物は、揮発性(犠牲)合金成分を形成する金属生成物を生成するために選択され得る。揮発性(犠牲)合金成分は、合金の融点温度を低下させることにより、アルミノテルミット反応を通して生成された金属生成物のタンタル系合金への液化および凝集を容易にする。本明細書で使用される、用語「揮発性(犠牲)合金成分(複数可)」は、タンタル合金の特定の成分(例えば、Ta、Nb、W)よりも比較的揮発性である銅および鉄等の元素を指し、したがって、電子ビーム溶融を用いて洗練されるタンタル系合金において付随不純物レベルに容易に減少させることができる。「揮発性(犠牲)合金成分(複数可)」を生成するために使用される前駆体反応物(複数可)は、「犠牲金属酸化物(複数可)」と称される場合がある。
【0028】
合金化元素としての鉄のタンタルへの添加は、融点温度を低下させる。例えば、5重量%の鉄を含有するタンタルは、純粋なタンタルの3020℃と比較して、2500℃で融解する。同様に、銅は、純粋なタンタルおよびタンタル合金の融点温度を低下させる。鉄および銅はまた、それぞれ、酸化鉄(III)および酸化銅(II)のアルミノテルミット還元により容易に形成され、両アルミノテルミット反応は、高反応温度をもたらす大量の熱を発生する。鉄および銅はまた、タンタル、ニオブ、およびタングステンよりも比較的揮発性であり、したがって、電子ビーム溶解を使用して、タンタル合金マトリックスから容易に除去される。
【0029】
様々な実施形態では、犠牲金属酸化反応物は、酸化鉄(III)粉末、酸化銅(II)粉末、またはその両方を含み得る。反応熱を発生し、得られるタンタル系合金の融点温度を低下する揮発性(犠牲)元素を生成する目的に好適であり得る他の犠牲金属酸化反応物粉末は、例えば、二酸化マンガン、酸化ニッケル(II)、酸化コバルト(II)、酸化クロム、酸化モリブデンを含む。これらの追加の犠牲酸化物はアルミノテルミット反応において反応性であり得るが、これらの酸化物は、タンタル系合金のアルミノテルミット生成のための酸化鉄(III)および酸化銅(II)より適切ではない可能性がある。
【0030】
酸化鉄(III)および酸化銅(II)と同様に、二酸化マンガン粉末は、相当な反応熱の放出を伴うアルミニウム粉末によって還元される。得られたタンタル系合金中の犠牲マンガンも電子ビーム溶解を用いて容易に除去することができる。しかしながら、マンガンの沸点温度(2060℃)は、銅および鉄の沸点温度よりも有意に低く(それぞれ、2562℃および2862℃)、したがって、マンガンは、五酸化タンタルを伴うアルミノテルミット反応の温度を制限する可能性があり、これは不適切な合金−スラグ相分離をもたらす可能性がある。酸化ニッケル(II)、酸化コバルト(II)は、酸化鉄(III)および酸化銅(II)と同じようには精力的にアルミニウムと反応しない。ニッケルおよびコバルト金属もタンタルと金属間化合物を形成する傾向がある。酸化クロムは毒性であり、したがって、酸化鉄(III)および酸化銅(II)ほど適していない。モリブデン金属は、鉄および銅の蒸気圧と比較して有意に低い蒸気圧を有し、したがって、モリブデンは、電子ビーム溶解中にタンタル合金マトリックスから鉄および銅のようには容易に除去されない。
【0031】
合金形成およびスラグ相分離をもたらす反応温度を達成するのに十分な熱を生成するために、様々な実施形態では、反応物は、アルミノテルミット促進剤も含み得る。アルミノテルミット促進剤は、アルミニウムを酸化し、大量の反応熱を生成するが、タンタル合金マトリックス中に凝集する還元金属値を生成しない反応物化合物である。熱促進剤反応物の例としては、例えば、塩素酸カリウムおよび過酸化バリウムなどが挙げられる。
【0032】
様々な実施形態では、反応物は、過酸化バリウム粉末を含み得る。過酸化バリウムは、アルミノテルミット反応条件下でアルミニウムと反応して、酸化バリウムと酸化アルミニウムを生成する。酸化バリウムは、酸化アルミニウムと好ましい相関係を有し、酸化バリウムと酸化アルミニウムの混合物を含むスラグは、主に酸化アルミニウムを含むスラグよりも有意に低い融点温度を有する。例えば、酸化アルミニウム中32モル%の酸化バリウムの組成物は、純粋な酸化アルミニウムの2072℃と比較して、1870℃の融点温度を有する。したがって、酸化バリウムと酸化アルミニウム反応生成物の混合物を含むスラグは、アルミノテルミット反応条件下で液化し、凝集したタンタル合金からより容易に相分離し、これは、モノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスおよび分離したスラグ相の生成を容易にする。様々な実施形態では、反応物は、実質的に塩素酸カリウムを含まなくてよく、これは、塩素酸カリウムが付随不純物レベルを超えずに反応混合物中に存在することを意味する。
【0033】
タンタル合金を生成するためのプロセスは、アルミニウム金属粉末(Al)、五酸化タンタル粉末(Ta)、五酸化ニオブ粉末(Nb)、酸化鉄(III)粉末(Fe)および酸化銅(II)粉末(CuO)のうちの少なくとも1つ、ならび過酸化バリウム粉末(BaO)を含む反応物間でアルミノテルミット反応を行うことを含み得る。アルミノテルミット反応は、例えば、以下の化学式により進行され得る。
【数4】
【0034】
アルミノテルミット反応の生成物は、酸化アルミニウム(Al)と酸化バリウム(BaO)の混合物を含むスラグ相、および別個のモノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスを含み得る。タンタル系合金は、ニオブ、鉄、銅、アルミニウム、および残余のタンタル、ならびに付随不純物を含み得る。鉄、銅、およびアルミニウムは、洗練されたタンタル合金インゴットを生成するために、タンタル合金レギュラスを電子ビーム溶解することにより付随不純物レベルに減少させることができる。
【0035】
タンタル合金を生成するためのプロセスは、アルミニウム金属粉末(Al)、五酸化タンタル粉末(Ta)、三酸化タングステン粉末(WO)、酸化鉄(III)粉末(Fe)および酸化銅(II)粉末(CuO)のうちの少なくとも1つ、ならび過酸化バリウム粉末(BaO)を含む反応物間でアルミノテルミット反応を行うことを含み得る。アルミノテルミット反応は、例えば、以下の化学式により進行され得る。
【数5】
【0036】
アルミノテルミット反応の生成物は、酸化アルミニウム(Al)と酸化バリウム(BaO)の混合物を含むスラグ相、および別個のモノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスを含み得る。タンタル系合金は、タングステン、鉄、銅、アルミニウム、および残余のタンタル、ならびに付随不純物を含み得る。鉄、銅、およびアルミニウムは、洗練されたタンタル合金インゴットを生成するために、タンタル合金レギュラスを電子ビーム溶解することにより付随不純物レベルに減少させることができる。
【0037】
タンタル合金を生成するためのプロセスは、アルミニウム金属粉末(Al)、タングステン金属粉末(W)、五酸化タンタル粉末(Ta)、酸化鉄(III)粉末(Fe)および酸化銅(II)粉末(CuO)のうちの少なくとも1つ、ならび過酸化バリウム粉末(BaO)を含む反応物間でアルミノテルミット反応を行うことを含み得る。アルミノテルミット反応は、例えば、以下の化学式により進行され得る。
【数6】
【0038】
アルミノテルミット反応の生成物は、酸化アルミニウム(Al)と酸化バリウム(BaO)の混合物を含むスラグ相、および別個のモノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスを含み得る。タンタル系合金は、タングステン、鉄、銅、アルミニウム、および残余のタンタル、ならびに付随不純物を含み得る。鉄、銅、およびアルミニウムは、洗練されたタンタル合金インゴットを生成するために、タンタル合金レギュラスを電子ビーム溶解することにより付随不純物レベルに減少させることができる。
【0039】
反応物粉末の組成および相対量は、特定のタンタル合金標的の冶金学的組成、およびアルミノテルミット反応の化学量論に基づき得る。例えば、Ta−40Nb合金標的を生成するために、金属重量ベースで、60:40のTa:Nb重量比が五酸化タンタルおよび五酸化ニオブを含む反応物原料において指定され得る。例えば、Ta−2.5W合金標的を生成するために、金属重量ベースで、97.5:2.5のTa:W重量比が五酸化タンタルおよびタングステン金属または三酸化タングステンを含む反応物原料において指定され得る。例えば、ニオブ金属前駆体(Nb)またはタングステン金属前駆体(WまたはWO)等のタンタル金属前駆体(Ta)と特定の合金化元素前駆体の相対金属重量比は、スラグ相に対する収率損失を考慮して調節され得、これは、レギュラス生成物を含む金属(例えば、Ta、Nb、またはW)の相対量を減少させることができる。
【0040】
標的合金組成がTa−2.5W等のタングステン含有タンタル系合金を含む実施形態では、タングステン金属粉末は、アルミノテルミット的に還元された五酸化タンタル前駆体から生成されたタンタル金属を合金化するためのタングステン金属を提供するために、不活性タングステン前駆体として使用され得る。タングステン金属粉末がアルミノテルミット反応条件下で化学的に不活性であり、反応中、ゼロ(元素)酸化状態(W)を維持し得るという事実にも関わらず、タングステン金属粉末は、タンタルを合金化するためのタングステンの供給のための「反応物」または「前駆体」と称される場合がある。そのような実施形態におけるタングステン金属前駆体は、アルミノテルミット反応中のいかなる熱発生に寄与しない。代わりに、タングステン金属前駆体は、反応混合物においてヒートシンクとして機能し、これは、他に利用可能な発熱反応熱エネルギーおよび反応温度を低下させる。したがって、初期の反応混合物中の過剰なタングステン量は、反応物の変換収率および合金−スラグ相分離の障害となり得る。反応混合物中にタングステン金属前駆体を含む様々な実施形態では、タングステンの量は、総金属重量ベースで反応混合物の7%までの量に制限され得る。
【0041】
初期の反応混合物中の犠牲金属酸化物粉末(例えば、酸化鉄(III)、酸化銅(II)、またはその両方)の相対量は、アルミノテルミット反応の得られる金属反応生成物(例えば、Feおよび/またはCu)が下流の電子ビーム溶解によってタンタル合金マトリクス中の付随不純物を除去するか、またはそのレベルを減少させ得るため、特定のタンタル合金標的の治金学的組成によって決定されない。代わりに、犠牲金属酸化物粉末反応物の相対量は、合金の融点温度の低下およびタンタル合金マトリックス中の犠牲合金成分の存在による望ましくない合金相の形成の平衡をとることによって決定される。
【0042】
前述のように、合金成分としての鉄に対するタンタルの比較的少量の添加は、合金の融点温度を大幅に低下させる。酸化鉄(III)の鉄へのアルミノテルミット還元はまた、他の金属酸化物の元素金属へのアルミノテルミット還元と比較して、比較的多量の反応熱を発生する。しかしながら、21重量%以上の濃度で、鉄はタンタル中に完全には溶解せず、タンタルマトリックスから沈殿し、大幅にバルク合金物質を脆化する相を形成する脆弱な金属間TaFe化合物を形成する。さらに、犠牲元素として、アルミノテルミット反応プロセスによって生成されたタンタル合金レギュラス中に存在するあらゆる鉄は、下流の電子ビーム溶解によって最終的には除去されるか、または付随不純物レベルに減少される必要があり得る。したがって、酸化鉄(III)粉末反応物の相対量は、得られるタンタル合金レギュラスが21重量%未満の合金レギュラスを含むことを確実にするために制限され得る。
【0043】
鉄のように、合金成分としての銅に対するタンタルの比較的少量の添加は、合金の融点温度を低下させる。酸化銅(II)の銅金属へのアルミノテルミット還元のための反応熱は、酸化鉄(III)の鉄へのアルミノテルミット還元の反応熱ほど大きくない。しかしながら、鉄とは異なり、銅は、全組成範囲にわたってタンタルとはいずれの有害な金属間化合物を形成しない。代わりに、周囲温度で、銅およびタンタルは、本質的に不混和性であり、別個の、比較的延性の金属相を形成する。様々な実施形態では、酸化銅(II)粉末は、酸化鉄(III)の代わりに、またはそれに加えて、犠牲金属酸化物反応物として使用され得る。アルミノテルミット反応プロセスによって生成される特定のタンタル系合金組成物の構成により、(1)アルミノテルミット反応条件下のタンタル系合金の液化および凝集を容易にする、(2)固体タンタル合金レギュラス生成物において脆弱な金属間相の形成をもたらさない、(3)合金−スラグ相分離を容易にする、および(4)レギュラスの下流の電子ビーム溶解によって付随不純物を容易に除去する、またはそのレベルに減少する鉄および/または銅合金濃度をもたらす酸化鉄(III)と酸化銅(II)粉末反応物の好適な組み合わせは、容易に決定され得る。
【0044】
例えば、過酸化バリウム等のアルミノテルミット促進剤反応物の相対量は、例えば、タンタル、ニオブ、鉄、銅、タングステン、またはこれらのいずれかの組み合わせ等のアルミノテルミット的に還元された金属の液化および凝集、ならびに存在する場合、タングステン金属粉末のタンタル合金マトリックス中への液化および凝集を確実にするために必要な熱エネルギーの量によって決定され得る。過酸化バリウムを含むアルミノテルミット促進剤反応物の相対量は、一部、アルミノテルミット反応条件下で液化および凝集したタンタル合金からより容易に相分離される、酸化アルミニウムおよび酸化バリウム反応生成物を含む得られるスラグ相の融点降下にも基づき得る。
【0045】
上述のように、アルミニウム粉末反応物は、少なくとも五酸化タンタル反応物、犠牲金属酸化物反応物(複数可)、およびアルミノテルミット促進剤反応物によって酸化される還元剤として機能する。鉄と同様に、約4〜6重量%以上の濃度のアルミニウムは、タンタル中に完全には溶解せず、溶融状態においてもタンタルマトリックスから沈殿し、大幅にバルク合金材料を脆化する相を形成する脆弱な金属間TaAl化合物を形成する。したがって、アルミノテルミット反応のために化学量論的に十分な量が存在することを確実にし、一方で、過剰なアルミニウムが、得られる合金ギュラス生成物中で金属間TaAl化合物を形成するのも防ぐために、初期の反応混合物中のアルミニウム粉末の量を制御することが重要であり得る。様々な実施形態では、初期反応混合物中のアルミニウム粉末の量は、モルベースで、化学量論的要件の5.0%過剰まで含んでよい。初期反応混合物中のアルミニウム粉末の量は、モルベースで、化学量論的要件の4.0%過剰まで含んでよい。初期反応混合物中のアルミニウム粉末の量は、モルベースで、化学量論的要件の0.0%〜5.0%過剰まで、または例えば、1.0%〜5.0%、2.0%〜5.0%、3.0%〜5.0%、1.0%〜4.0%、2.0%〜4.0%、もしくは3.0%〜4.0%等のその中に包含されるいずれの部分範囲を含んでよい。
【0046】
様々な実施形態では、タンタル合金を生成するためのプロセスは、アルミニウム金属粉末、五酸化タンタル粉末、合金化元素前駆体粉末(例えば、五酸化ニオブ、タングステン金属、または三酸化タングステン)、少なくとも1つの犠牲金属酸化物粉末(例えば、酸化鉄(III)および/または酸化銅(II)、および少なくとも1つのアルミノテルミット促進剤粉末(例えば、過酸化バリウム)を含む反応混合物を混合することを含み得る。反応物粉末は、アルミノテルミット反応中に蒸気形成の可能性を防ぐために十分に乾燥しているべきである。例えば、様々な実施形態において、強熱減量(LOI)として決定される、各反応物粉末の水分含有量は、0.5%、0.4%、0.3%、または0.2%未満であり得る。反応物粉末はまた、微細化されるべきである。例えば、様々な実施形態では、反応物粉末は、200USメッシュ(−200メッシュ、74マイクロメートル未満、0.0029インチ未満)を通る85重量%を越える粒径分布を有し得る。
【0047】
反応物粉末は、個々に量られ、例えば、ダブルコーンブレンダー、ツインシェル(V字形)ブレンダー、または垂直スクリューミキサー等の標準的な粉体混合装置を用いて一緒に混合され得る。様々な実施形態では、反応物粉末は、巨視的に均質な混合を確実にするために、少なくとも10分間、いくつかの実施形態では、少なくとも20分間混合され得る。混合後、反応混合物は、反応槽に充填され得る。
【0048】
図3を参照すると、反応槽10は、槽側壁12と、槽底部14を備える。槽側壁12および槽底部14は、アルミノテルミット反応中に達成される高レベルの熱および高温に曝された際に構造的完全性を維持する物質を含み得る。例えば、槽側壁12および槽底部14は、押出、圧縮成形、またはイソ成形黒鉛から製作され得る。槽側壁12および槽底部14は、粗粒、中粒、または微粒子黒鉛を含み得る。
【0049】
例えば、様々実施形態では、反応槽側壁は、粗粒または中粒押出黒鉛を含み得、反応槽底部は、微粒子イソ成形(即ち、静水圧)黒鉛を含み得る。理論に拘束されないが、微粒子イソ成形黒鉛の微細粒径は、溶融アルミノテルミット反応生成物による侵食に対して反応槽底部により大きな物理的頑健性および構造的完全性を提供すると考えられる。微粒子イソ成形黒鉛は、粗粒の物質よりも溶融物質を効果的に除外する減少した空隙率を特徴とする接触面を提供するとも考えられている。微粒子イソ成形黒鉛は、粗粒および中粒黒鉛よりも高価であり、したがって、費用配慮のため、反応槽底部は、反応槽底部に圧力をかける反応物および生成物負荷のため、微粒子イソ成形黒鉛を含み、反応槽側壁はより安価な粗粒黒鉛材料を含むことを必要とする。それにもかかわらず、様々な実施形態では、反応槽側壁は、微粒子イソ成形黒鉛を含み得る。同様に、反応槽底部は、粗粒の黒鉛物質を含み得る。
【0050】
槽側壁および槽底部の厚さは、アルミノテルミット還元反応中に生成される高熱および高温に曝された際に、構造的完全性を維持するのに十分であるべきである。様々な実施形態では、槽側壁および槽底部は、少なくとも1インチの厚さであってよい。反応槽の特定の幾何学的形状(形状および寸法)は、必ずしも限定されない。しかしながら、様々な実施形態では、反応槽の特定の幾何学的形状は、下流の電子ビーム溶解炉の投入構成によって決定され得る。そのような実施形態では、反応槽の特定の幾何学的形状は、洗練されたタンタル合金インゴットを生成するために、レギュラスを電子ビーム炉に直接電子ビーム溶解されることが可能である幾何学的形状(形状および寸法)を有するタンタル合金レギュラスを生成するように選択され得る。
【0051】
図3を再び参照すると、槽側壁12および槽底部14は、反応槽10を形成するために機械的に一緒に固定することができる。あるいは、槽側壁12と、槽底部14とを備える反応槽10は、例えば、圧縮成形またはイソ成形技術を使用して、黒鉛等の材料から製作されるモノリシック構造の隣接する槽として形成されてよい。
【0052】
反応槽10は、耐火性材料18層の上に配置される。耐火性材料18層は、例えば、高温工業用途に使用される耐火粘土煉瓦または他のセラミック系材料等の、耐火性材料を含み得る。耐火性材料18層は、高架コンクリートスラブ22の上に配置することができる。あるいは、耐火性材料18層は、適切な床面上に直接配置することができる(例えば、施設または工場のコンクリート(図示せず))。
【0053】
反応槽10は、少なくとも槽底部14の上に配置される酸化マグネシウム層16を含み得る。酸化マグネシウム層16は、図3に示されるように、酸化マグネシウム層16の上に配置される、槽底部14と反応混合物20との間に障壁を提供する。
【0054】
理論に拘束されないが、本明細書に記載されるプロセスの開発中、レギュラスが黒鉛反応槽から除去された際に、アルミノテルミット反応を通して生成されたタンタル合金レギュラスの亀裂が観察された。観察されたタンタル合金材料レギュラスの亀裂は、合金材料自体が比較的延性であると後に決定されたという事実にもかかわらず生じた。この挙動は、少なくとも一部、アルミノテルミット反応によって生成された合金材料が液化、凝集、固化、および冷却中に黒鉛反応槽の内表面に張り付くであろう熱間割れ機構の可能性に起因した。同様に、理論に拘束されないが、この熱間割れの可能性は、新しく形成された合金材料と黒鉛反応槽との間の接触面の炭化物の形成および成長に起因した可能性があると考えられる。反応槽の内部底面への酸化マグネシウム層の適用は、観察された亀裂を排除することが分かった。
【0055】
様々な実施形態では、タンタル合金をアルミノテルミット生成するための反応槽は、反応槽の少なくとも内部底面の上に配置される酸化マグネシウム層を含み得る。酸化マグネシウム層は、反応粉末混合物と反応槽底部との間の障壁として機能する。酸化マグネシウム層は、反応槽の底部の上に配置される酸化マグネシウム粉末層を含み得る。様々な実施形態では、重焼/死焼状態(即ち、反応性を排除するために1500℃以上の温度で焼成される)の耐火等級の酸化マグネシウム粉末を使用することができる。酸化マグネシウム粉末層は、反応槽が反応混合物で充填される直前に、反応槽に配置され得る。
【0056】
酸化マグネシウム層は、反応槽の少なくとも内部底面の上に配置され得るが、任意に、反応槽側壁に適用され得る。図4を参照すると、槽底部14および槽側壁12の上に配置される酸化マグネシウム層16を含む反応槽10’が示される。
【0057】
様々な実施形態では、酸化マグネシウム層は、反応槽側壁および/または反応槽底部に適用される熱溶射コーティング層として反応槽に配置され得る。熱溶射酸化マグネシウムコーティング層は、例えば、より大きな構造低完全性、低い空隙率、および均一な厚さ等の利点を有し得る。様々な実施形態では、酸化マグネシウム層は、酸化マグネシウムを含む塗料組成物を反応槽側壁および/または反応槽底部に適用することにより、反応槽に配置され得る。様々な実施形態では、酸化マグネシウム層は、酸化マグネシウムシートもしくはウォールボードを反応槽側壁および/または反応槽底部に直に隣接して配置することにより、反応槽に配置され得る。
【0058】
他のセラミック材料は、反応槽に障壁層を提供するために、酸化マグネシウムの代わりに使用され得るが、そのような他の材料は、酸化マグネシウムほど有効ではない可能性があり、アルミノテルミット条件下で反応性であり得る。例えば、二酸化ケイ素および二酸化ジルコニウム等の耐火性材料は、反応混合物中のアルミニウム金属粉末によって、それぞれ、ケイ素およびジルコニウムにアルミノテルミット的に還元され得る。酸化マグネシウムと同様に、酸化カルシウムは、アルミノテルミット反応に対して不活性であり、したがって、好適であり得るが、酸化カルシウムは、空気曝露に敏感である。
【0059】
様々な実施形態では、反応粉末混合物は、酸化マグネシウム層を、反応槽側壁および/または反応槽底部の上に配置した後、反応槽内に充填され得る。反応粉末混合物の充填は、混合物を、応容槽の内部底面の上に位置する任意の酸化マグネシウム層の上に反応槽に配置することを含み得る(例えば、図2および図3を参照)。反応粉末混合物が反応槽内に充填された後、点火ワイヤが、反応槽内の反応粉末混合物と接触して配置される。
【0060】
図5を参照すると、反応槽10内の反応粉末混合物20中に浸漬される点火ワイヤ28が示される。点火ワイヤ28は、リード線および戻り線26によって電流源(電源)24に接続される。
【0061】
様々な実施形態では、図5に示されるように、点火ワイヤは、直接、反応槽内の反応粉末混合物中に浸漬され得る。例えば、長さが数インチの点火ワイヤは、図5に示されるようにループ状であってよく、反応槽内の反応粉末混合物中に、少なくとも2インチ浸漬される。あるいは、点火ワイヤは、アルミニウム金属粉末、および例えば、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化鉄(III)、酸化銅(II)、および/もしくは過酸化バリウム等の還元性金属酸化物または過酸化物のうちのいずれか1つもしくはこれらのいずれの組み合わせを含有する、プラスチック製のスターターバック(図示せず)内に配置され得る。スターターバッグは、反応槽内の反応粉末混合物の上に直接配置されるか、または必ずしも必要ではないが、反応粉末混合物中に部分的もしくは完全に浸漬され得る。理論に拘束されないが、スターターバッグ内部の少量の反応物は、反応槽内の全反応粉末混合物の中に浸漬された点火ワイヤの直接接触よりも、反応点火に再現性のある環境を提供することができると考えられる。それにもかかわらず、点火ワイヤは、直接、主反応混合物中に、またはスターターバッグを介して間接的にワイヤを浸漬することによって反応粉末混合物と接触して配置され得る。
【0062】
点火ワイヤは、例えば、タンタルまたはタンタル合金を含み得る。あるいは、点火ワイヤは、例えば、タングステン、タングステン合金、ニオブ、およびニオブ合金等の標的合金組成物中に存在するよう意図される任意の高融点金属または合金を含み得る。いくつかの実施形態では、点火ワイヤは、長さが少なくとも12インチであり、例えば、反応混合物を点火し、アルミノテルミット反応を開始させるための抵抗性加熱素子を作り出すために、20の比較的狭いゲージを含み得る。点火ワイヤは、例えば、点火ワイヤに通電電流を提供するために、十分な長さおよびゲージのアルミニウム線または銅線を使用して、電源に接続され得る。点火ワイヤと電源に接続するワイヤとの間の接続は、例えば、撚り線接続または金属製の付き合せコネクタを含み得る。
【0063】
点火ワイヤが反応混合物と接触して配置された後、反応槽は、反応チャンバ内に密封され得る。反応チャンバの特定の幾何学的形状および構造は、必ずしも重要ではないが、反応チャンバは、物理的に反応槽を含み、アルミノテルミット反応中に生成される熱および温度に曝される際に構造的完全性を維持しなければならない。反応チャンバはまた、反応中に反応槽から排出されるあらゆる反応材料を含有することも可能であるべきである。反応チャンバはまた、周囲の環境から反応槽を気密密封することも可能であるべきである。
【0064】
図6を参照すると、反応粉末混合物20を含有する反応槽10を密封する蓋構造を備える反応チャンバ30が示される。反応チャンバ30は、反応チャンバ内に真空を確立するために、真空ポンプ等の真空源(図示せず)に接続するための真空ポート32を備える。リード線および戻り線26(点火ワイヤ28と電源24を接続する)は、反応チャンバ30内の電気ポート(図示せず)を通して配置される。反応粉末混合物20および点火ワイヤ28が反応槽10内に配置された後、反応槽10は、矢印34によって示されるように、反応槽上に反応チャンバを下げることにより、反応チャンバ30内に密封される。反応槽30は、例えば、機械加工された平坦な縁部を有する平坦な基板、または気密密封を提供し、真空ポート32を通して反応槽内に真空を確立させることが可能であるコンクリートスラブ等の好適な表面と係合する。アルミノテルミット反応が完了し、得られた反応生成物が十分に冷めた後、真空は解除されてよく、反応チャンバは矢印34によって示されるように持ち上げられる。反応槽30の下げ上げは、例えば、クレーンまたはホイスト(図示せず)等の好適な施設機器を用いて行うことができる。反応槽30は、例えば、鋼等の任意の好適な建築材料を含み得る。
【0065】
真空の確立は、アルミノテルミット反応に関して、必ずしも必要ではない。しかしながら、真空下で反応を実施することにより、反応槽から材料を取り出すことができる反応混合物における圧力スパイクを中和する等の利点を提供する。真空下で反応を実施することにより、窒素および酸素汚染を減少させることによる、アルミノテルミット反応によって生成されたタンタル合金レギュラスの質を高めることもできる。反応チャンバ内の真空の確立は、断熱を提供し、反応生成物の冷却時間も延長し、これは、固化および冷却中のタンタル合金レギュラスの亀裂をさらに軽減し得る。妥当な真空圧は、反応チャンバ内に適している。例えば、100ミリトル未満の真空圧を使用することができる。
【0066】
アルミノテルミット反応の開始は、点火ワイヤの通電を含み得る。アルミノテルミット反応の開始は、反応槽が反応チャンバ内に密封され、真空が反応チャンバ内に確立された後に生じ得る。点火ワイヤの通電は、電源を作動させ、点火ワイヤを通して、少なくとも60ampの電流を送ることを含み得る。様々な実施形態では、点火ワイヤは、少なくとも70amp、少なくとも80amp、少なくとも90amp、または少なくとも100ampで通電され得る。様々な実施形態では、点火ワイヤは、少なくとも1秒間、いくつかの実施形態では、少なくとも2秒間、少なくとも3秒間、少なくとも4秒間、または少なくとも5秒間通電され得る。
【0067】
開始後、アルミノテルミット反応は非常に急速に進行し、開始10分以内、またはいくつかの実施形態では、開始5分以内に完了し得る。しかしながら、スラグ相およびタンタル合金レギュラスを含む得られる反応生成物は、周囲温度に達するのに24〜48時間の冷却を必要とし得る。反応生成物が、例えば、周囲温度等の許容可能な温度に達したら、反応チャンバは、真空を除去するために空気で再充填することができ、反応チャンバを開放することができ、反応生成物は反応槽から除去される。様々な実施形態では、熱い反応生成物は、周囲温度への冷却を加速するために、例えば、空気またはアルゴン等のガスで反応チャンバを再充填することによってガスで急冷され得る。ガスによる再充填は、冷却をさらに加速するために複数回繰り返され得る。しかしながら、ガスによる急冷は、仮に行われるとしても、反応生成物が固化した後にのみ実施されるべきである。したがって、固化を確実にするために、ガスによる急冷は、アルミノテルミット反応の開始の少なくとも12時間後まで実施されるべきではない。
【0068】
上述のように、アルミノテルミット反応の反応生成物は、固化したスラグ相およびタンタル合金レギュラスを含む。スラグ相は、例えば、酸化バリウムおよび/または酸化アルミニウム等の酸化物を含み得る。タンタル合金レギュラスは、タンタルマトリックス中に溶解される合金化元素を含み得、合金化元素は、前駆体反応物(例えば、Nb、W、またはWO)、犠牲金属酸化物反応物(例えば、Feおよび/またはCuO)、および過乗のアルミニウムから生成される。
【0069】
例えば、下の表は、2.2重量パーセントのタングステン、犠牲鉄および銅、ならびに過剰なアルミニウムを含む22.7キログラム(50.0ポンド)タンタル合金レギュラスをもたらし得る反応混合物を示す。
【表1】

様々な実施形態では、表1に示される重量百分率は、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%、または±0.01%変動し得る。
【0070】
追加の標的生成物の重量は、反応物の相対量を量り、相対重量百分率を維持することによって得ることができる。2.2重量パーセントのタングステンを含む得られたタンタル合金レギュラスは、レギュラス材料の銅、アルミニウム、および鉄含有量を還元するために電子ビーム溶解され、2.5重量パーセントのタングステン、残余のタンタル、および付随不純物を含む洗練されたTa−2.5W合金インゴットを生成し得る。
【0071】
異なるタングステン含有量を有するニオブ含有タンタル系合金レギュラス、およびタングステン含有タンタル系合金レギュラスのアルミノテルミット生成のための代替的な反応混合物量は、本明細書に開示される情報により決定され得る。
【0072】
様々な実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づき、55.1%〜57.1%の五酸化タンタル粉末、0%〜3.5%の酸化鉄(III)粉末、0%〜3.2%の酸化銅(II)粉末、21.5%〜23.5%の過酸化バリウム粉末、14.7%〜16.7%のアルミニウム金属粉末、および0%〜15%タングステン金属粉末を含み得る。他の実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づき、55.6%〜56.6%の五酸化タンタル粉末、2.0%〜3.0%の酸化鉄(III)粉末、1.7%〜2.7%の酸化銅(II)粉末、22.0%〜23.0%の過酸化バリウム粉末、15.2%〜16.2%のアルミニウム金属粉末、および0.5%〜1.5%のタングステン金属粉末を含み得る。いくつかの実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づき、56.0%〜56.2%の五酸化タンタル粉末、2.4%〜2.6%の酸化鉄(III)粉末、2.1%〜2.3%の酸化銅(II)粉末、22.4%〜22.6%の過酸化バリウム粉末、15.6%〜15.8%のアルミニウム金属粉末、および0.9%〜1.1%のタングステン金属粉末を含み得る。
【0073】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるプロセスは、五酸化タンタル反応物によって提供される初期タンタルの少なくとも80%(金属重量ベース)、いくつかの実施形態では、五酸化タンタル反応物によって提供される初期タンタルの少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、または少なくとも95%(金属重量ベース)のタンタル収率を有するタンタル合金レギュラスを生成し得る。様々な実施形態では、本明細書に記載されるプロセスは、レギュラスの総重量に基づき、少なくとも80重量パーセントのタンタル、いくつかの実施形態では、少なくとも81%、少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも87%、または少なくとも89%のタンタルを含むタンタル合金レギュラスを生成し得る。様々な実施形態では、本明細書に記載されるプロセスは、レギュラスの総重量に基づき、少なくとも1.0重量パーセントのタングステン、いくつかの実施形態では、少なくとも1.3%、少なくとも1.5%、少なくとも1.7%、少なくとも2.0%、少なくとも2.1%、または少なくとも2.2%のタングステンを含むタンタル合金レギュラスを生成し得る。
【0074】
本明細書に記載されるアルミノテルミットプロセスは、スラグからのタンタル合金レギュラスの分離および除去を容易にする、金属合金レギュラスから完全に分離され得る酸化物スラグ相を生成する。タンタル合金レギュラスは、残留スラグを除去するために洗浄され、次いで、合金組成物を洗練し、タンタル合金インゴットを生成するために、電子ビーム溶解炉に直接投入することができる。このように、本明細書に記載されるプロセスにより生成されたタンタル合金レギュラスは、タンタル合金インゴットおよび圧延生成物の生成において前合金化(pre−alloyed)中間体として機能することができる。タンタル合金レギュラスは、モノリシック構造であり、完全に圧密化され、非脆弱であった。タンタル合金レギュラスは、直接電子ビーム溶解、ならびに均一の微細構造、特定の合金組成、およびタンタルマトリックス中に完全かつ均一に分布された合金化元素を有するタンタル合金インゴットの鋳造を容易にする、タンタルマトリックス中に完全に溶解された合金化元素も含む。
【0075】
再び図1Aを参照すると、本明細書に記載されるプロセスにより生成されたタンタル合金レギュラスを電子ビーム溶解した後、ビレット、ロッド、棒、シート、ワイヤ等の圧延生成物を生成するために、得られたタンタル合金インゴットは、鋳造、圧延、切断、焼きなまし、および洗浄され得る。
【0076】
以下の非限定的かつ非網羅的な実施例は、本明細書に記載される実施形態の範囲を制限することなく、様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明するよう意図される。
【実施例】
【0077】
実施例1:
タンタル合金レギュラスは、反応物粉末および表2に列挙される量を用いてアルミノテルミット反応を行うことにより生成された。
【表2】
【0078】
アルミニウム金属粉末の量は、以下の化学式に従い、五酸化タンタル、酸化鉄(III)、酸化銅(II)、および過酸化バリウムの還元に必要とされる化学量論的量の4%過剰であった。
【数7】
【0079】
反応物粉末を十分に乾燥させ(<0.2%LOI)、微細化した(85重量%−200メッシュ)。反応物粉末を個々に量り、ダブルコーン粉末ブレンダーに充填した。反応物粉末は、巨視的に均質な反応混合物を提供するために、少なくとも20分間、ブレンダーで混合された。反応混合物は、反応槽に充填された。
【0080】
反応槽は、内側の高さが12インチ、内径が4.25インチの円筒に成形された。反応槽は、反応槽底部を形成するイソ成形微粒子黒鉛シート、および円筒状の側壁を形成する押出中粒〜粗粒黒鉛シートから製作された。底部および側壁は、約1インチの厚さであった。反応槽は、耐火性煉瓦の層の上に配置され、耐火性煉瓦の層は、コンクリートスラブの上に配置された。重焼/死焼酸化マグネシウム粉末槽を反応槽の底部内表面に広げ、反応混合物を酸化マグネシウム粉末層の上に充填した。酸化マグネシウム粉末層は、反応混合物と反応槽の黒鉛底面との間に障壁を形成した。
【0081】
点火ワイヤは、反応槽内の反応粉末混合物中に浸漬された。点火ワイヤは、アルミニウム線によって電源に接続された。アルミノテルミット反応は、点火ワイヤを通して電源から100ampの電流を5秒間送ることによって開始された。反応は非常に急速に進行し、反応生成物は、48時間かけて周囲温度に冷却された。反応生成物は、明確に画定され、分離したレギュラスおよびスラグ相を含んだ。反応生成物を反応相から取り出し、全物質回収率を決定するために量った。全物質の回収率は3145.6グラム(初期反応物粉末3205グラムの98%)であると決定された。
【0082】
レギュラスおよびスラグ相が分離され、化学組成について分析された。化学反応の化学量論に基づき、また完全収率と仮定すると、理論上のレギュラスの合金組成は、重量パーセントで、1.2%のアルミニウム、3.4%の鉄、3.4%の銅、1.8%のタングステン、残余のタンタル(90.2%)であろう。銅は本質的に周囲温度でタングステンに不混和性であることを考慮すると、理論上の合金組成は、一般的に、ASTM E1508−98(2008):Standard Guide for Quantitative Analysis by Energy−Dispersive Spectroscopy(参照により本明細書に組み込まれる)による走査電子顕微鏡法/エネルギー分散分光法(SEM/EDS)を用いて行われたレギュラスの実際の合金組成の測定と一致する。SEM/EDS分析は、重量パーセントで、3.4%のアルミニウム、8.4%の鉄、2.0%のタングステン、残余のタンタル、および付随不純物の実際の合金組成を示した。レギュラスにおけるタンタル収率は、五酸化タンタル反応物によって提供された初期のタンタルの90%であった(金属重量ベース)。スラグ相は、約32%の酸化バリウムおよび68%の酸化アルミニウム(モルベース)、ならびに少量のタンタル含有、鉄含有、および銅含有副産物を含んだ。
【0083】
図7は、タンタル合金レギュラスの微細構造のSEM画像である。微細構造は、2つの観察可能な相を含んだ:図7において、「A」と表示される暗い相および「B」と表示される明るい相。SEM/EDS分析に基づき、A相はアルミニウムおよび鉄が豊富な相であり、B相はアルミニウムおよび鉄が少ない相である。両方の相(AおよびB)は、主成分としてタンタルを含み、溶解したタングステンも含む。SEM/EDS分析は、主成分としてタングステンを含む相を示さなかった。実際、SEM/EDS分析は、タングステン濃度が各々の別個の相において、0.4重量%から3.7重量%に変動したのみであり、平均タングステン濃度がSEM/EDSフィールド全体に対して2.0%であったことを示した。これは、アルミノテルミット的に不活性なタングステン金属粉末の、五酸化タンタルのアルミノテルミット還元により生成されたタンタル金属への完全な溶解を示した。
【0084】
タンタル合金レギュラスは、モノリシック構造であり、完全に圧密化され、非脆弱であり、亀裂がなかった。タンタル合金レギュラスは、アルミニウム、銅、および鉄の付随不純物レベルへの還元、タングステンのタンタルマトリックスへの均質な溶解、およびTa−2.5Wの仕様内のタングステン濃度の確立を含むタンタル合金組成物を洗練するために、電子ビーム溶解炉に直接投入することができる。
【0085】
実施例2:
タンタル合金レギュラスは、反応物粉末および表3に列挙される量を用いてアルミノテルミット反応を行うことにより生成された。
【表3】
【0086】
アルミニウム金属粉末の量は、以下の化学式に従い、五酸化タンタル、酸化鉄(III)、および過酸化バリウムの還元に必要とされる化学量論的量の4%過剰であった。
【数8】
【0087】
反応物粉末を十分に乾燥させ(<0.2%LOI)、微細化した(85重量%−200メッシュ)。反応物粉末を個々に量り、ダブルコーン粉末ブレンダーに充填した。反応物粉末は、巨視的に均質な反応混合物を提供するために、少なくとも20分間、ブレンダーで混合された。反応混合物は、反応槽に充填された。
【0088】
反応槽は、内側の高さが12インチ、内径が4.25インチの円筒に成形された。反応槽は、反応槽底部を形成するイソ成形微粒子黒鉛シート、および円筒状の側壁を形成する押出中粒〜粗粒黒鉛シートから製作された。底部および側壁は、約1インチの厚さであった。反応槽は、耐火性煉瓦の層の上に配置され、耐火性煉瓦の層は、コンクリートスラブの上に配置された。重焼/死焼酸化マグネシウム粉末槽を反応槽の底部内表面に広げ、反応混合物を酸化マグネシウム粉末層の上に充填した。酸化マグネシウム粉末層は、反応混合物と反応槽の黒鉛底面との間に障壁を形成した。
【0089】
点火ワイヤは、反応槽内の反応粉末混合物中に浸漬された。点火ワイヤは、アルミニウム線によって電源に接続された。アルミノテルミット反応は、点火ワイヤを通して電源から100ampの電流を5秒間送ることによって開始された。反応は非常に急速に進行し、反応生成物は、48時間かけて周囲温度に冷却された。反応生成物は、明確に画定され、分離したレギュラスおよびスラグ相を含んだ。反応生成物を反応相から取り出し、全物質回収率を決定するために量った。全物質の回収率は3216.6グラム(初期反応物粉末3248グラムの99%)であると決定された。
【0090】
レギュラスおよびスラグ相が分離され、化学組成について分析された。化学反応の化学量論に基づき、また完全収率と仮定すると、理論上のレギュラスの合金組成は、重量パーセントで、1.2%のアルミニウム、6.8%の鉄、1.8%のタングステン、残余のタンタル(90.2%)であろう。スラグ相は、約32%の酸化バリウムおよび68%の酸化アルミニウム(モルベース)、ならびに少量のタンタル含有、および鉄含有副産物を含んだ。レギュラスにおけるタンタル収率は、五酸化タンタル反応物によって提供された初期のタンタルの88%であった(金属重量ベース)。
【0091】
タンタル合金レギュラスは、モノリシック構造であり、完全に圧密化され、非脆弱であった。タンタル合金レギュラスは、アルミニウムおよび鉄の付随不純物レベルへの還元、タングステンのタンタルマトリックスへの均質な溶解、およびTa−2.5Wの仕様内のタングステン濃度の確立を含むタンタル合金組成物を洗練するために、電子ビーム溶解炉に直接投入することができる。
【0092】
本明細書に記載されるタンタル合金を生成するためのプロセスおよび装置は、タンタル金属の供給原料を使用するプロセスよりも運用上および経済的な利点を提供する。本明細書に記載されるプロセスは、(1)比較的高価な第一次ナトリウム還元タンタル金属の必要性、(2)高価なHDHプロセス、および(3)電子ビーム溶解のための粉末成形体を生成するために必要な圧締および焼結操作を排除する。図1Aおよび1Bを参照すると、安価な五酸化タンタル原料の使用、および単位操作数の排除は、タンタル合金インゴットおよび圧延生成物の生成に関して、短く安価なプロセスをもたらす。本明細書に記載されるプロセスは、別個のスラグ相から容易に単離され、タンタル合金組成物の洗練のために電子ビーム溶解炉に直接投入することができる、モノリシック構造完全に圧密化された非脆弱なタンタル合金レギュラスを直接生成する。本明細書に記載されるプロセスにより生成されたタンタル合金レギュラスは、直接電子ビーム溶解、ならびに均一の微細構造、特定の合金組成、およびタンタルマトリックス中に完全かつ均一に分布された合金化元素を有するタンタル合金インゴットの鋳造を容易にする、タンタルマトリックス中に完全に溶解された金属化元素も含む。
【0093】
本明細書は、様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態を参照して記述されてきた。しかしながら、当業者は、様々な置換、修正、または開示された実施形態(またはその一部)の任意の組み合わせが本明細書の範囲内で行うことができることを認識するだろう。よって、本明細書では本明細書に明示的に記載されていない追加の実施形態を支持することが想定され、理解される。そのような実施形態は、例えば、本明細書に記載される様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態の開示されるステップ、成分、要素、特徴、態様、特性、制限等のいずれかを組み合わせる、修正する、または再編成することにより得ることができる。このように、出願人は、本明細書に様々に記載される特徴を追加するために、出願中に特許請求を修正する権利を留保し、そのような修正は、米国特許法第112条(a)項および第132条(a)項の要求事項に準拠する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7