特許第6185664号(P6185664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185664
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ロック特徴を有するトレランスリング
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/02 20060101AFI20170814BHJP
   F16C 35/07 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F16D7/02 F
   F16C35/07
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-522478(P2016-522478)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公表番号】特表2016-523347(P2016-523347A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2014063435
(87)【国際公開番号】WO2014207061
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】61/840,351
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310004529
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ロバート・スレイン
(72)【発明者】
【氏名】ルウェリン・ピッカリング
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2532907(EP,A2)
【文献】 特開平8−338438(JP,A)
【文献】 特開2008−38990(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0180411(US,A1)
【文献】 米国特許第5730546(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F16D 1/02
F16D 1/06
F16D 1/08
F16C 35/02
F16C 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸端および第二軸端を規定する側壁を備える略円筒形本体を含むトレランスリングであって、
前記側壁は、
未変形部と、
前記未変形部から突出した複数の波形構造とを有し、各波形構造は第一軸端および第二端を有しており、前記波形構造の前記第一軸端および前記第二軸端は、前記未変形部から結合を解かれており、各波形構造は、第一および第二の長手側面を有し、各長手側面は全長がLWSであり、該波形構造の前記各々の軸端から測定される該第一の長手側面と該第二の長手側面と前記未変形部との結合を解かれる長さにより規定された、結合を解かれる長さLを有しており、Lは0.2LWS未満であトレランスリング。
【請求項2】
前記本体の軸方向全長に沿って延びる隙間であって、前記本体に割れ目を形成する隙間をさらに備える、請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項3】
少なくとも1つの前記波形構造の前記第一および第二の長手側面は、LWSに亘る前記波形構造の前記第一軸端から測定される長さLD1に沿って、前記未変形部から少なくとも部分的に結合を解かれると共に、前記少なくとも1つの前記波形構造の前記第一および第二の長手側面は、LWSに亘る前記波形構造の前記第二軸端から測定される長さLD2に沿って、前記未変形部から少なくとも部分的に結合を解かれた、請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項4】
D1は0.01LWS以上で、0.2LWS以下である、請求項3に記載のトレランスリング。
【請求項5】
D2は0.01LWS以上で、0.2LWS以下である、請求項3に記載のトレランスリング。
【請求項6】
各波形構造は円弧状波体を備える、請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項7】
各波形構造は、前記リングの中心軸から頂部外面まで垂直方向に測定される該頂部半径がである外頂部を備えると共に、前記リングの該中心軸から前記未変形部外面まで垂直方向に測定される基礎円半径はRであり、は1.01R以上で、1.90R以下である請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項8】
前記波形構造の各端面はテーパ面を備え、該テーパ面は、前記未変形部と該テーパ面の表面との角度により定められる角度Aを有し、Aは20°以上である請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項9】
各波形構造は、前記波形構造の前記第一軸端で第一端面、および前記波形構造の前記第二軸端で第二端面を有しており、該第一端面および第二端面の全体が前記未変形部から結合を解かれた、請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項10】
前記波形構造の軸の略中央部で測定される少なくとも1つの前記波形構造の内面の曲率半径RWSは、前記本体の内面の曲率半径R未満である、請求項1に記載のトレランスリング。
【請求項11】
外側構成要素と、
内側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に取り付けられた請求項1乃至10のいずれか1項に記載のトレランスリングとを備えるアッセンブリ。
【請求項12】
内側構成要素と、
外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に取り付けられたトレランスリングとを備えるアッセンブリであって、
前記トレランスリングは、
第一軸端および第二軸端を規定する側壁を備える略円筒形本体を含み、
前記側壁は、
未変形部と、
前記未変形部から突出した複数の波形構造とを含み、各波形構造は第一軸端および第二軸端を有しており、前記波形構造の前記第一軸端および前記第二軸端は、前記未変形部から結合を解かれており、各波形構造は、第一および第二の長手側面を有し、各長手側面は全長がLWSであり、該波形構造の前記各々の軸端から測定される該第一の長手側面と該第二の長手側面と前記未変形部との結合を解かれる長さにより規定された、結合を解かれる長さLを有しており、Lは0.2LWS未満であるアッセンブリ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記波形構造と前記未変形部の間の結合解除によって作り出された隙間は、前記少なくとも1つの波形構造の前記第一の長手側面から前記少なくとも1つの波形構造の前記第二の長手側面に連続的に延びる、請求項12に記載のアッセンブリ。
【請求項14】
前記波形構造の軸の略中央部で測定される少なくとも1つの前記波形構造の内面の曲率半径RWSは、前記本体の内面の曲率半径R未満である、請求項12および請求項13のいずれか1項に記載のアッセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載の前記トレランスリングを準備することと、
位置決めされる軸をボア内に配置することと、
前記トレランスリングを前記軸の径方向外側に位置付けることと、
前記ボアに前記トレランスリングを嵌合し、該トレランスリングの端部を径方向内側に変形させ、記軸に押し込むこととを含む、
ボアに対して前記軸を位置決めする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレランスリングおよびトレランスリングを組み込んだアッセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トレランスリングは、一般的に、内側構成要素と外側構成要素との間に締り嵌めをもたらすアッセンブリに組み込まれる。特に、通常は、外側構成要素のボアの中にトレランスリングが配置され、トレランスリングの内側に内側構成要素が径方向に収まっている。
【0003】
トレランスリングは、ハウジングに形成された対応するボアに設けられた軸の間に挟まれる場合があり、トルクを軸とハウジングとに伝達するためにフォースリミッタとして機能することができる。トレランスリングの利用は、構成要素同士に相互連結をもたらしながら、内側および外側構成要素の様々な直径に適応する。
【0004】
トレランスリングは、正確な寸法に加工されない部品間に締り嵌めをもたらす費用効率の良い手段である。トレランスリングは、多くの他の潜在的利点、例えば、部品間の異なる線膨張係数を補完し、迅速な機械組み付けおよび耐久性を与える、などの利点を有している。
【0005】
一般的に、トレランスリングは、弾性部材バンド、例えば、ばね鋼を備え、その端部は互いに対向してリングを形成している。径方向外向きおよび/または内向きのリングから、複数の突起が径方向に延びている。突起は形成層、可能であれば規則的な形成層、例えば、襞状、峰形、波形、指形とすることができる。こうして、バンドは、突起が例えば径方向に延びる未形成領域を備える。突起は、1またはそれ以上の横列(周方向に延びる)および/または縦列(軸方向に延びる)であってもよい。
【0006】
トレランスリングは、通常、リングを容易に成形できるよう曲がった細帯状弾性部を備えるが、環状バンドとして加工してもよい。以降、使われる“トレランスリング”は、両タイプのトレランスリングを包含する。
【0007】
使用時には、トレランスリングは、突起が内側構成要素と外側構成要素との間で圧縮されるよう、構成要素間、例えば、軸とハウジングのボア間の環状領域に設けられる。一般的に、すべての突起は、内側構成要素と外側構成要素のうち一方が突起に当接し、もう一方が未形成領域に当接するよう、内向きまたは外向きに延びる。各突起は、ばねとして機能し、構成要素に対して径方向の力を与える。これにより、構成要素間が締り嵌めの状態となる。リングからトルクが伝達されると、内側あるいは外側構成要素の回転により、同様の回転が他方の構成要素にもたらされる。同じように、直進力がリングから伝達されると、いずれかの構成要素の直進運動により、同様の直進運動が外側構成要素にもたらされる。
【0008】
構成要素間の合力が閾値を超えるように、力(回転あるいは直進)が内側および外側構成要素の一方または両方に与えられると、内側構成要素と外側構成要素は、互いに対して可動することができる。すなわち、トレランスリングは構成要素をスリップさせる。
【0009】
構成要素間に締り嵌めのある機械の組み付け時には、トレランスリングは、一般的に、第一の(内側あるいは外側)構成要素に対して静止して保持され、それと同時に第二の構成要素は第一の構成要素と嵌め込み係合される。これにより、トレランスリングの突起の当接および圧縮が締り嵌めをもたらす。機械の組み付けに必要な力量は、突起の剛性および必要な圧縮の度合による場合がある。同様に、最終位置にあるトレランスリングから伝達される負荷、それによりもたらされる保持力量または伝達可能なトルク量は、圧縮力の大きさかつ突起の剛性、および/または突起の構成による場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例は、例として説明されるものであり、添付の図面に限定されるものではない。
【0011】
図1図1は、実施例に関するトレランスリングの斜視図を示す。
図2図2は、実施例に関する複数列の突起を有するトレランスリングの斜視図を示す。
図3図3は、実施例に関するトレランスリングの上面図を示す。
図4A図4Aは、実施例に関するトレランスリングの側面平面図を示す。
図4B図4Bは、実施例に関するトレランスリングの拡大側面平面図を示す。
図4C図4Cは、図4Aの線4C−4Cから見た実施例に関するトレランスリングの上断面図を示す。
図5図5Aは、図3の線5−5から見た実施例に関するトレランスリングの断面側面図を示す。図5Bは、図5Aから見た実施例に関するトレランスリングの拡大断面側面図を示す。
図6図6は、実施例に関する内側構成要素に係合するトレランスリングの側面平面図を示す。
図7図7は、実施例に関する内側構成要素に係合し、外側構成要素に部分的に係合するトレランスリングの側面平面図を示す。
図8図8は、実施例に関する内側および外側構成要素に係合するトレランスリングの側面平面図を示す。
図9図9は、実施例に関する内側および外側構成要素に係合するトレランスリングの上面図を示す。
図10図10Aは、図9の線10−10から見た実施例に関する内側および外側構成要素に係合するトレランスリングの断面側面図を示す。図10Bは、図10Aから見た実施例に関するトレランスリングの拡大断面側面図を示す。
図11図11は、実施例に関する内側および外側構成要素に係合するトレランスリングを示す。
【0012】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の物品を示す。
【0013】
当業者は図面の要素が簡潔かつ明確に示されたものであり、正確な縮尺率で描く必要がないことをよく理解している。例えば、図面のいくつかの要素の寸法は、発明の実施例の理解の向上を助けるため、他の要素に対して強調される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、図面を併用しながら、ここで開示された技術の理解を助けるものである。以下の説明は、技術の特定の実装および実施例に焦点をあてる。技術の説明を助けるためにこの焦点がもたらされたのであって、当該技術の範囲あるいは利用性に限定して解釈されるべきではない。しかしながら、他の実施例を、本出願で開示される技術に基づいて利用することができる。
【0015】
“comprises,”“comprising,”“includes,”“including,”“has,”“having”あるいはこれらの他の変形の用語は、排他せず包含することを意図する。例えば、機能一覧を具備する方法、物、あるいは機械は、それらの機能に必ずしも限定されるものではなく、一覧で明確にされない、あるいはこのような方法、物、機械に特有の他の特徴を包含する場合がある。さらに、別段に明示されない限り、“or”は、包含的or、つまり、排他的orでないことを示す。例えば、条件Aまたは条件Bは、以下のいずれかにより満たされる。Aは真で(あるいは存在し)、Bは偽である(あるいは、存在しない)、Aは偽で(あるいは存在しない)Bは真である(あるいは、存在する)、そして、AおよびBの両方が真である(あるいは、存在する)。
【0016】
また、“a”あるいは“an”は、ここで説明される要素および構成の説明のために用いられる。これは、理解しやすくして、包括的に発明の範囲を認識するためになされる。この説明は、特段の意味が明確にされない限り、1つ、少なくとも1つ、単数(複数を含む)、あるいはその逆を含むように読まれるべきである。例えば、単数の物がここで説明される場合、複数の物が単数の物の位置付けで使用される場合がある。同様に、複数の物がここで説明される場合、単数の物が複数の物に置き換わる場合がある。
【0017】
特段の定義がなければ、ここで使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野における当業者に一般に理解される意味と同義の意味を持つ。素材、方法、例は単なる例示であって、限定されることを意図したものでない。ここで説明されない限り、特定素材および工程についての詳細は従来のものであり、書物に説明される場合があり、トレランスリングの技術の範囲内のものもある。
【0018】
概念は、本発明の範囲を示し当該範囲を限定しない以下の実施例を考慮することで一層理解される。以下の説明は、トレランスリング、特に、実質的にトルクを加える際の内側構成要素と外側構成要素との滑りを抑えるトレランスリングに関するものである。1つの態様においては、トレランスリングは、内側構成要素の外周に設けることができ、外側構成要素はトレランスリングの外周に取り付けることができる。あるいは、トレランスリングを、第二構成要素に挿入することができ、内側構成要素を、トレランスリングに挿通することもできる。
【0019】
一般的なトレランスリングにおいては、内側構成要素と外側構成要素の間に締り嵌めをもたらすことができる。これにより、内側構成要素および外側構成要素は静止して連結され、共に回転することができる。内側構成要素と外側構成要素の間のトルクが締り嵌めの力より大きくなると、内側構成要素および外側構成要素は互いに対して回転することができる。内側構成要素および外側構成要素の間のトルクが締り嵌めの力より小さい場合は、当該2部品は、互いに再び係合することができる。
【0020】
ここで説明される1またはそれ以上の実施例についてのトレランスリングは、トレランスリング本体から径方向内向きあるいは外向きに延びる複数の突起を含むことができる。トレランスリングは、軸の周りに取り付けることができ、ボアを伴う外側構成要素を、トレランスリングの外周に取り付けることができ、トレランスリングから外れた構成要素が軸に対して内側に変形して、軸の外側表面に食い込む。こうして、トレランスリングは径方向および軸方向の高いグリップ特性を見せることが可能となる。
【0021】
特定の態様においては、ここに記載される1またはそれ以上の実施例についてのトレランスリングを、メインフレームとコンプレッサハウジングの間、下部フレームとコンプレッサハウジングの間、ステータとコンプレッサハウジングの間、あるいは、これらの組み合わせの間のコンプレッサアッセンブリに取り付けることができる。一つの態様において、トレランスリングを内側構成要素(例えば、メインフレーム、下部フレーム、ステータ等)の外周に設け、外側構成要素をトレランスリングの周りに係合することができる。
【0022】
まず、図1を参照すると、トレランスリング1が示されている。トレランスリング1は、対向する軸端4、6および外周端8、10を有し、弾性部材、例えば、ばね鋼からなる細帯2を含むことができる。細帯2は、未変形部14、および少なくとも一列の波形構造100を含むことができる。波形構造100は、プレス成形、例えば細帯2にスタンピングされてもよい。波形構造100は、長さがLWSであり、軸端4と6との間に少なくとも部分的に延びている。各波形構造100は、実質的に大きさおよび形は同じとすることができ、トレランスリング1の周りに均等な径方向の圧縮が可能となる。あるいは、各波形構造100は、独特なあるいは異なった特徴を有することができる。
【0023】
特定の態様において、多数の波形構造、NWSをトレランスリング1の周りに配置することができる。NWSは、少なくとも3とすることができ、例えば、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、あるいは少なくとも16である。NWSは、40以下とすることができ、例えば、35以下、30以下、25以下、20以下、15以下あるいは10以下である。NWSは、また上記記載の値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0024】
さらに、図2のとおり、各波形構造100は、より小さな波形構造100からなる多数列(外周に延びる)のNSWSを含むことができる。NSWSは、少なくとも2とすることができ、例えば、少なくとも3、または少なくとも4である。NSWSは、6以下とすることができ、例えば、5以下、4以下、または3以下である。NSWSは、また上記記載の値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0025】
この態様において、ここで示されるすべての引用波形構造100は図1に示されるように単一の波形構造100を含むものとできるし、上記で定義した範囲内の、あるいは図2に示されるような複数の波形構造NSWSを含むものともできることが理解されるべきである。さらに、各波形構造100は、同様のあるいは異なる寸法および物理的特徴を有することができることも理解されるべきである。特定の態様において、波形構造100は、トレランスリング1の外周のほうぼうで形および寸法サイズを変えることができる。別の態様においては、すべての波形構造100は実質的には同様とすることができる。
【0026】
図3を参照して、細帯2は、湾曲し、外周端8、10を相対向させる形で環状リングを形成することができる。加えて、細帯2は、湾曲し、端8および10との間に重複部分を形成し、リング1が有する寸法範囲を大きくすることができる。得られるトレランスリング1は、中心点38、未変形部14の外面に沿って測定される外周Cを有する。
【0027】
トレランスリング1は、さらに、波形構造100の最外側径方向表面に接する円36によって定まる実外周Cを備えることができる。CとCの比は少なくとも1.025、少なくとも1.05、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.75、または少なくとも2.0とすることができる。CとCの比は、5以下、4以下、3以下、2以下、または1.5以下とすることができる。CとCの比は、上記記載の比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0028】
特定の態様において、各波形構造100は外頂部40を有する円弧状の断面を有することができる。波形構造は、リング1の中心38から頂部40の外面まで垂直に測定される、実半径Rを規定する。リング1は、また、リング1の中心38から未変形部14の外面まで垂直に測定される、基礎円半径Rを有することができる。各波形構造100の径方向の高さはRとRとの差により定まる。
【0029】
さらに、RとRの比は、少なくとも1.01、例えば、少なくとも1.05、少なくとも1.1、少なくとも1.15、少なくとも1.2、少なくとも1.25、少なくとも1.3、少なくとも1.35、少なくとも1.4、あるいは少なくとも1.45とすることができる。RとRの比は、1.9以下、例えば、1.85以下、1.8以下、1.75以下、1.7以下、1.65以下、1.6以下、1.55以下、1.5以下、1.45以下、または1.4以下とすることができる。RとRの比は、また上記記載した比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0030】
トレランスリング1は、未変形部14から径方向外向きに延びる波形構造100を有することができる。波形構造100は部分的に未変形部14から結合を解くことができる。波形構造100の未変形部14から外れた部分は、内側構成要素200の径方向の把持を高めるよう機能することが可能となる。波形構造100から外れた部分の径方向の屈曲を大きくすることにより、内側構成要素の把持または係合を容易に高めてもよい。さらに、波形構造100と未変形部14との結合解除により、内側構成要素200に接し、食い込むことのできる、少なくとも1つの有限の端面30をもたらすことができる。結果として、トレランスリング1は、結合を解く波部を欠く他のトレランスリングを超えて高い把持力を見せることが可能となる。
【0031】
図4A図4B図4Cに示すように、各波形構造100は第一および第二の対向する軸端16、18を含むことができる。波形構造100の軸端16および18は、それぞれ幅WWSにより規定される端面20、22を有することができる。波形構造100は、また端面20と22との間で測定される、前後長LWSを有することができる。LWSとWWSの比は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20とすることができる。LWSとWWSの比は、100以下、75以下、50以下、25以下、20以下、15以下、10以下、または5以下とすることができる。LWSとWWSの比は、また上記記載の比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0032】
さらに、WWSとCの比は0.25以下、例えば、0.2以下、0.15以下、0.1以下、0.05以下、あるいは0.04以下とすることができる。WWSとCの比は、0.01以上、例えば、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.1以上、または0.15以上とすることができる。WWSとCの比は、また上記記載の比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0033】
特定の態様において、WWSが増加すると、NWSは減少する。別の態様では、WWSが増加すると、Cは増加する。またさらに別の態様では、WWSが波間の未形成部の距離を増加させると、第一波形構造100の第一の長手側面32と第二波形構造100の第二の長手側面34の間で測定されるDUPは減少する。あるいは、WWSが減少すると、NWSは増加する。また別の態様では、WWSが増加すると、Cは減少する。またさらに別の態様では、WWSが増加すると、WUPは増加する。
【0034】
特定の態様において、波形構造100は、第一長手側面32、第二長手側面34および端面20、22の面積によって定められる基礎占有面積AWSを有する。端部16は、LD1とWWSとの面積によって定められる占有面積AES1を有することができる。端部18は、LD2とWWSとの面積によって定められる占有面積AES2を有することができる。
【0035】
特定の態様において、AES1とAWSの比は、0.3以下、例えば、0.25以下、0.2以下、0.15以下、0.1以下、0.05以下、0.04以下、または0.03以下とすることができる。AES1とAWSの比は、少なくとも0.01、例えば、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.04、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.15、または少なくとも0.2とすることができる。AES1とAWSの比は、また上記記載の比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0036】
同様に、AES2とAWSの比は、0.3以下、例えば、0.25以下、0.2以下、0.15以下、0.1以下、0.05以下、0.04以下、または0.03以下とすることができる。AES2とAWSの比は、少なくとも0.01、例えば、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.04、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.15、または少なくとも0.2とすることができる。AES2とAWSの比は、また上記記載の比値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。
【0037】
特定の実施例において、AES1はAES2と等しくすることができる。等しい寸法面積であるAES1とAES2により、容易に性能を高めることが可能となる。
【0038】
図5Aおよび図5Bで示されるように、波形構造100の端面20、22は、未変形部14と端面20、22の表面との間の角度により定められる、角度Aを有するテーパ面を形成することができる。
【0039】
特定の態様において、Aは少なくとも20°、例えば、少なくとも30°、少なくとも40°、少なくとも50°、少なくとも60°、または少なくとも70°とすることができる。Aは、90°以下、例えば85°以下、80°以下、70°以下、60°以下、50°以下、40°以下、または30°以下とすることができる。Aは、また、上記記載の値の間、およびいずれかを含む範囲内とすることもできる。テーパ面が直線でなく(断面からわかるように)円弧状である限り、中ほどのテーパ面に接する線とトレランスリングの中心軸により角度が測定される。
【0040】
一実施例において、波形構造100の各軸端16、18は、未変形部14から結合を解かれた端部24、26を含むことができる。端部24、26は、端面20および22のそれぞれからLWSに沿って測定される、結合を解かれる長さLD1およびLD2をそれぞれ有することができる。
【0041】
特に、LD1は0.2LWS以下、例えば、0.15LWS以下、0.1LWS以下、0.05LWS以下、0.04LWS以下、0.03LWS以下、または0.02LWS以下とすることができる。LD1は、少なくとも0.01LWS、例えば、少なくとも0.02LWS、少なくとも0.03LWS、少なくとも0.04LWS、少なくとも0.05LWS、少なくとも0.1LWS、または少なくとも0.15LWSとすることができる。
【0042】
D2は0.2LWS以下、例えば、0.15LWS以下、0.1LWS以下、0.05LWS以下、0.04LWS以下、0.03LWS以下、または0.02LWS以下とすることができる。LD2は、少なくとも0.01LWS、例えば、少なくとも0.02LWS、少なくとも0.03LWS、少なくとも0.04LWS、少なくとも0.05LWS、少なくとも0.1LWS、または少なくとも0.15LWSとすることができる。
【0043】
特定の実施例において、LD1はLD2と等しくすることができる。
【0044】
所定のスリップトルク条件が必要とされる場合は、LD1およびLD2の値を異なったものとすることが望ましい場合がある。特に、端部24、26の屈曲特性は、選択された結合を解かれる長さLD1およびLD2に応じて変化することができる。結合をより広く解かれる端部24、26は、より高い屈曲特性、およびトレランスリング1のグリップ性を強める径方向へのさらなる可撓性をもたらす。
【0045】
図6に示されるように、トレランスリング1は、内側構成要素200の外周に設けることができる。トレランスリング1を内側構成要素200に面一に設けることができ、波形構造100は径方向外向きに突出することができる。そして、図7図8および図9に示すように、外側構成要素300が、トレランスリング1の外周に取り付けられる。
【0046】
図10Aおよび10Bを参照し、各波形構造100の中心部28と比べると、端部24、26は高い径方向への可撓性を見せることが可能となる。結果として、端部24、26は、強いグリップを提供しながら、内向きの高い屈曲特性を有し、内側構成要素200に食い込むことが可能となる。図5が示すように、各端部24、26の径方向最内面30が、少なくとも部分的に内側構成要素200に該内面30を嵌め込むために、内側構成要素200の素材を十分に変位させながら内側構成要素200に食い込む点に、特徴を有することができる。最内面30が内側構成要素200に食い込んだ後は、内側構成要素200とトレランスリング1との間で滑りを見せるのに必要な力が大きくなる。なお、面30の内側構成要素200の素材への貫通は、面30と内側構成要素200との上記関係を明確にするため、図10Aおよび図10Bに拡大される。
【0047】
特定の態様において、内側構成要素200とトレランスリング1の間で滑りを見せるのに必要な力は、最内面30の形状と硬さ、例えば、最内面30の角度、形、厚み、素材および内側構成要素200の硬さによる。滑り特性は、さらに素材の選択により調節することができる。特定の実施例において、比較的硬い内側構成要素200、例えば、硬質鋼は、最内面30の内側への食い込みに対して高い抵抗を見せる。あるいは、比較的軟質の内側構成要素200、例えば、軟真鍮は、最内面30により大きな変位および食い込みを見せる。
【0048】
特定の態様において、トレランスリング1は、350以上、例えば、375以上、400以上、425以上、または450以上とすることができるビッカーズ硬度、VPNを含むことができる。VPNはまた、600以下、500以下、または450以下とすることができる。VPNは、ここで記載したVPN値の間、およびいずれかを含む範囲内のものとすることもできる。一つの特定の実施例において、内側構成要素200は、トレランスリングVPNTR以下のVPNICを持つ、すなわち、VPNICはVPNTR以下である素材からなるものとできる。これにより、トレランスリング1は、内側構成要素200よりも硬い素材で製造することができる。結果として、トレランスリング1の最内面30は、アッセンブリの内側構成要素200に刻み目を打ち出すことができる。
【0049】
動作中、波形構造100は、径方向内向きに圧縮するようになっており、波形構造100の中心部28がリング1の中心点38に対して径方向に圧縮されると、端部24、26は内側に屈曲しながら、波形構造100の中心部28が内向きに変形する。これにより、トレランスリング1は、内側構成要素200と外側構成要素300の直径の欠陥を補完しながら、それらの間のグリップを高めている。
【0050】
再び、図5Aを参照すると、端部24、26は結合を解かれる長さLD1とLD2を有することができる。該結合解除部により、トレランスリング1のグリップ性を高めることが可能となる波屈曲を増大させることができる。
【0051】
特定の態様において、LD1とLWSの比は0.2以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、または0.15以下とすることができる。同様に、LD2とLWSの比は、0.2以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、または0.15以下とすることができる。
【0052】
別の実施例において、波形構造100は、少なくとも一端を未変形部14から結合を解くことができる。
【0053】
再び、図4Cを参照し、各波形構造100は、トレランスリング1の未変形部14の曲率半径R以下である曲率半径RWSを有することができる。RWSは、0.9R以下、0.8R以下、0.7R以下、0.6R以下、0.5R以下、0.4R以下、0.3R以下、または0.2R以下とすることができる。RWSは、少なくとも0.05R、少なくとも0.1R、少なくとも0.2R、少なくとも0.3R、少なくとも0.4R、または少なくとも0.5Rとすることができる。波形構造100が変化する曲率(例えば、パラボラ形状)を有する場合、RWSは、波形構造100内の最良適合円に従って測定される。
【0054】
実施例によれば、技術設計状態を超えた高いグリップ性を見せるトレランスリングが提供される。
【0055】
一般的に、トレランスリングは、挿入される環状領域よりもわずかに大きいものが選択される。15%以下、例えば10%以下などの、波形構造100の径方向内向きの圧縮が好適である場合がある。実施例のなかには、最小の径方向圧縮が例えば、2%以上、4%以上、5%以上などに特定されたものがある。1つの好適な動作範囲は、5%〜15%である。上記説明した径方向圧縮値により、リングは軸方向のばらつきを吸収しながら、同時に高いスリップ制限コントロールを提供することができる。
【0056】
開示されているトレランスリング1のスリップトルク特性は、同様のトレランスリングに対して測定できるものであるが、参考例の結合解除部を欠くトレランスリングに対して測定することができる。スリップトルクの比較を行うために、ここでの実施例および参考例は、同じ負荷(径方向圧縮)がかけられた、同様の内側および外側構成要素の間で展開される。試験では、径方向圧縮は概ね7%あるいは8%に固定される。
【0057】
特定の態様において、内側構成要素にはそれぞれ、滑りが起きるまで増強される同じトルク負荷を与えることができる。そのトルクを、スリップトルクTと表記する。実施例では、T(参考)に対して、例えば1.01以上、1.05以上、1.10以上、1.15以上、1.20以上、1.25以上、あるいは1.30以上などのように、 T (実施例)の比を向上させる。増加するスリップトルク比は、例えば上限を1.50までとすることができる。
【0058】
トレランスリングの多くの異なる態様および実施例が可能であり、トレランスリングは、ここで記載された特定の態様に限定されない。
【0059】
なお、全体の説明に記載された上記全行為が必要なわけでなく、一部の特定行為が必要というわけでもなく、1またはそれ以上のさらなる部分が上記に加えて行われる場合がある。
【0060】
項目1.第一軸端および第二軸端を規定する側壁を備える略円筒形本体を含むトレランスリングであって、前記側壁は、未変形部と、前記未変形部から突出した複数の波形構造とを有し、各波形構造は第一および第二の対向する軸端を有しており、
(i) 対向する各軸端は前記未変形部から結合を解かれた端部を有し、または
(ii) 各波形構造は、第一および第二の長手側面を有し、各長手側面は全長がLWSであり、該波形構造の末端部から測定される該第一の長手側面と該第二の長手側面と前記未変形部との結合解除により規定された、結合を解かれる長さLを有しており、Lは0.2LWS以下であり、または
(iii) 少なくとも1つの軸端は、前記未変形部から結合を解かれ、該軸端に
おける前記波形構造の曲率半径RWSは、0.9R以下など前記本体の曲率半径R以下である、
からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を備えるトレランスリング。
【0061】
項目2.外側構成要素と、内側構成要素と、前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に取り付けられた請求項1のトレランスリングとを備えるアッセンブリ。
【0062】
項目3. 前記本体の軸方向全長に沿って延びる隙間であって、前記本体に割れ目を形成する隙間をさらに備える、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0063】
項目4.各波形構造はさらに、第一端面、第二端面を備え、各端面は、第一長手側面と第二長手側面間で測定される幅がWEFである前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0064】
項目5.第一端部の前記第一および第二の長手側面は、LWSに亘る前記波形構造の前記第一軸端から測定される長さLD1に沿って、前記未変形部から部分的に結合を解かれると共に、第二端部の前記第一および第二の長手側面は、LWSに亘る前記波形構造の前記第二軸端から測定される長さLD2に沿って、前記未変形部から部分的に結合を解かれた、項目1〜4のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0065】
項目6.LD1は0.20LWS以下、例えば、0.15LWS以下、0.10LWS以下、0.05LWS以下、0.04LWS以下、0.03LWS以下、または0.02LWS以下である、項目5のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0066】
項目7.LD1は0.01LWS以上、例えば、0.02LWS以上、0.03LWS以上、0.04LWS以上、0.05LWS以上、0.10LWS以上、または0.15LWS以上である、項目5あるいは6のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0067】
項目8.LD2は、0.20LWS以下、例えば、0.15LWS以下、0.10LWS以下、0.05LWS以下、0.04LWS以下、0.03LWS以下、あるいは0.02LWS以下である、項目5〜7のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0068】
項目9.LD2は、0.01LWS以上、例えば、0.02LWS以上、0.03LWS以上、0.04LWS以上、0.05LWS以上、0.10LWS以上、または0.15LWS以上である、項目5〜8のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0069】
項目10.LD1はLD2と等しい、項目5〜9のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0070】
項目11.各波形構造は、第一および第二長手側面との間で測定される、周方向幅WWSを備え、WWSは、0.30LWS以下、例えば、0.25LWS以下、0.20LWS以下、0.15LWS以下、0.10LWS以下、または0.05LWS以下である、項目1〜10のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0071】
項目12.WWSは、0.02LWS以上、例えば、0.03LWS以上、0.04LWS以上、0.05LWS以上、0.10LWS以上、または0.15LWS以上である、項目11のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0072】
項目13.本体は外周Cを有し、WWSは、0.25C以下、例えば、0.20C以下、0.15C以下、0.10C以下、0.05C以下、または0.04C以下である、項目11または項目12のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0073】
項目14. WWSは、0.01C以上、例えば、0.02C以上、0.03C以上、0.04C以上、0.05C以上、0.10C以上、または0.15C以上である、項目13のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0074】
項目15.波形構造はLLSとWWSとの面積で定まる基礎面積AWSを有し、第一端部は、LD1とWWSとの面積で測定される面積AES1を有し、第二端部は、LD2とWWSとの面積で測定される面積AES2を有する、項目11〜14のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0075】
項目16.AES1は、0.30AWS以下、例えば、0.25AWS以下、0.20AWS以下、0.15AWS以下、0.10AWS以下、0.05AWS以下、0.04AWS以下、または0.03AWS以下である、項目15のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0076】
項目17.AES1は、0.01AWS以上、例えば、0.02AWS以上、0.03AWS以上、0.04AWS以上、0.05AWS以上、0.10AWS以上、0.15AWS以上、または0.20AWS以上である、項目15または16のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0077】
項目18.AES2は、0.30AWS以下、例えば、0.25AWS以下、0.20AWS以下、0.15AWS以下、0.10AWS以下、0.05AWS以下、0.04AWS以下、または0.03AWS以下である、項目15〜17のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0078】
項目19.AES2は、0.01AWS以上、例えば、0.02AWS以上、0.03AWS以上、0.04AWS以上、0.05AWS以上、0.10AWS以上、0.15AWS以上、または0.20AWS以上である、項目15〜18のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0079】
項目20.AES1はAES2と等しい、項目15〜19のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0080】
項目21.各波形構造は、第一および第二長手側面間に延びる円弧状の波体を備える項目4〜20のいずれか1項目のトレランスリング。
【0081】
項目22.各波形構造は、前記リングの中心軸から頂部外面まで垂直方向に測定される該頂部半径がRである外頂部を備えると共に、前記リングの該中心軸から前記未変形部外面まで垂直方向に測定される基礎円半径はRであり、Rは1.01R以上、例えば1.05R以上、1.10R以上、1.15R以上、1.20R以上、1.25R以上、1.30R以上、1.35R以上、1.40R以上、または1.45R以上である項目1〜21のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0082】
項目23.Rは、1.90R以下、例えば、1.85R以下、1.80R以下、1.75R以下、1.70R以下、1.65R以下、1.60R以下、1.55R以下、1.50R以下、1.45R以下、または1.40R以下である、項目22のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0083】
項目24.前記波形構造の各端面はテーパ面を備え、該テーパ面は、前記未変形部と該テーパ面の表面との角度により定められる角度Aを有し、Aは20°以上、例えば、30°以上、40°以上、50°以上、60°以上、70°以上である、項目4〜23のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0084】
項目25.Aは99°以下、例えば、95°以下、90°以下、80°以下、70°以下、60°以下、50°以下、40°以下である、項目24のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0085】
項目26.リングの側壁は、該側壁の第一軸端から第二軸端まで測定される全長がLであり、LLSはL以下である、項目4〜25のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0086】
項目27.LLSは、1.00L以下、例えば、0.90L以下、0.80L以下、0.70L以下、0.60L以下、または0.50L以下である、項目26のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0087】
項目28.LLSは、0.20L以上、例えば、0.25L以上、0.30L以上、0.35L以上、0.40L以上、または0.45L以上である、項目26または27のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0088】
項目29.リングは、軸長さLを有し、LLSは、0.95L以下、例えば、0.90L以下、0.85L以下、0.80L以下、0.75L以下、0.70L以下、0.65L以下、または0.60L以下である、項目4〜28のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0089】
項目30.LLSは、0.40L以上、例えば、0.45L以上、0.50L以上、0.55L以上、0.60L以上、0.65L以上、0.70L以上、0.75L以上、0.80L以上、または0.85L以上である、項目29のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0090】
項目31.リングの外周に設けられる波形構造NWSが多数あり、NWSは3以上、例えば、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、または16以上である、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0091】
項目32.NWSは40以下、例えば、35以下、30以下、25以下、20以下、15以下、または10以下である、項目31のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0092】
項目33.各波形構造は、多数のより小さな波形構造NSWSを備え、NSWSは1以上であり、例えば、2以上、3以上、または4以上である、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0093】
項目34.NSWSは6以下、例えば5以下、4以下、3以下である、項目33のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0094】
項目35.端部が端面を有し、端面全体が側壁から結合を解かれる、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0095】
項目36.RWSは0.8R以下、例えば、0.7R以下、0.6R以下、0.5R以下、0.4R以下、0.3R以下、0.2R以下である、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0096】
項目37.トレランスリングは少なくとも50のビッカーズ硬度HV、例えば、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、または少なくとも200のビッカーズ硬度HVを有する、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0097】
項目38.トレランスリングは600以下のビッカーズ硬度、例えば、550以下、400以下、450以下、400以下、350以下、300以下、250以下であるビッカーズ硬度を有する、前記項目のいずれか1項目のトレランスリングまたはアッセンブリ。
【0098】
項目39. 内側構成要素と、外側構成要素と、前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に取り付けられたトレランスリングとを備えるアッセンブリであって、前記トレランスリングは、第一軸端および第二軸端を規定する側壁を有する略円筒形本体を含み、前記側壁は、未変形部と、前記未変形部から突出した複数の波形構造とを含み、各波形構造の一部が、前記未変形部から結合を解かれたトレランスリングであって、前記トレランスリングは、スリップトルクTS1を有するようにされており、結合を解かれた波形構造を欠くトレランスリングはスリップトルクTS2を有し、TS1と TS2の比は1.01以上であるアッセンブリ。
【0099】
項目40.TS1と TS2の比は1.05以上、1.10以上、1.15以上、1.20以上、1.25以上、または1.30以上である、項目39のアッセンブリ。
【0100】
項目41.TS1と TS2の比は1.50以下である項目39〜40のいずれか1項目のアッセンブリ。
【0101】
項目42.請求項1の前記トレランスリングを準備することと、位置決めされる軸をボア内に配置することと、前記トレランスリングを前記軸の径方向外側に位置付けることと、前記ボアに前記トレランスリングを嵌合し、該トレランスリングの端部を径方向内側に変形させ、下方に配置された前記軸に押し込むこととを含む、ボアに対して前記軸を位置決めする方法。
【0102】
有益性、他の優位性、および課題の解決は、具体的な実施例に関して上記で説明した。しかしながら、当該有益性、当該優位性、当該課題の解決、および、いかなる有益性、優位性、解決を導く原因となる可能性があり、または、より顕著ないかなる特徴も、請求項のいずれかあるいはすべての、重要、必須、または本質的特徴であると解するべきでない。
【0103】
ここで記載した実施例の詳細と説明は、様々な実施例の構造の包括的理解をもたらすことを意図したものである。当該詳細と説明は、ここに記載される構造を使用する機械およびシステムあるいは方法のすべての要素および特徴の、徹底的かつ網羅的な説明として役立つことを意図するものではない。また、別々の実施例が、単一実施例で組み合わせて提供される場合もあれば、逆に、単一実施例で文言上、簡潔に記載された様々な特徴が、別々に、または部分的に組み合わせた形でもたらされる場合もある。
【0104】
さらに、範囲として定められた数値への言及は、当該範囲の各々および全ての数値を含むものとする。この明細書を読みさえすれば、他の実施例の多くは当業者にとっては明らかな場合がある。他の実施例は、当該開示をもとに利用され、当該開示に由来する可能性があり、構造上の代替、論理上の代替、または別の変更は、当該開示の範囲から逸脱することなくなされる可能性がある。従って、当該開示は、限定的でなくむしろ例示的であるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11