特許第6185669号(P6185669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンホワ(ハンチョウ) マイクロ チャンネル ヒート イクスチェンジャー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6185669-熱交換器 図000002
  • 特許6185669-熱交換器 図000003
  • 特許6185669-熱交換器 図000004
  • 特許6185669-熱交換器 図000005
  • 特許6185669-熱交換器 図000006
  • 特許6185669-熱交換器 図000007
  • 特許6185669-熱交換器 図000008
  • 特許6185669-熱交換器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185669
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/053 20060101AFI20170814BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20170814BHJP
   F28F 1/30 20060101ALI20170814BHJP
   B21D 53/08 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F28D1/053 A
   F28F1/32 V
   F28F1/30 A
   B21D53/08 L
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-537088(P2016-537088)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-534314(P2016-534314A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】CN2014070732
(87)【国際公開番号】WO2015027680
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】201310381531.5
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516023984
【氏名又は名称】サンホワ(ハンチョウ) マイクロ チャンネル ヒート イクスチェンジャー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エン イエン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ホワジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ チエン
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−090806(JP,A)
【文献】 特開2002−243381(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0181058(US,A1)
【文献】 特開2005−090760(JP,A)
【文献】 特開平04−136690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/047,1/053
F25B 39/00−39/04
F24F 1/00,1/18
B21D 53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ヘッダーと、第二ヘッダーと、両端がそれぞれ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーに連結しており、前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーの軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている複数の扁平管と、隣接する前記扁平管の間に設けられたフィンとを備える熱交換器において、折り曲げ部と、前記折り曲げ部と隣接している直線部とを有し、
前記直線部における前記フィンが第一フィンであり、前記折り曲げ部における前記フィンが第二フィン及び第三フィンであり、前記第二フィンの幅が前記第三フィンの幅より大きく、且つ少なくとも一つの前記第二フィンと少なくとも一つの前記第三フィンとが前記軸方向に沿って交互に配置されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記第二フィン及び前記第三フィンは、一つの前記第二フィンと一つの前記第三フィン、二つの隣接している前記第二フィンと一つの前記第三フィン、一つの前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィン、及び二つの隣接している前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィンの少なくとも一種の組合わせで繰り返すように配置されているものである
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第三フィンの数に対する前記第二フィンの数の比は、1:3〜3:1である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第二フィンの幅は、前記第一フィンの幅と等しい
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第一〜第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線が前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いに重なっている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記フィンの幅に対する前記扁平管の幅の比は2以下である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記扁平管の幅に対する前記第二フィンの幅の比は0.75より大きく且つ1以下であり、前記扁平管の幅に対する前記第三フィンの幅の比は0.75以下である
ことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第二フィンの幅に対する前記第三フィンの幅の比は0.4以上であり且つ1未満である
ことを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第二フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線と前記第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線とが前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いにずれている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
第一ヘッダーと、第二ヘッダーと、両端がそれぞれ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーに連結しており、且つ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーの軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている複数の扁平管と、隣接する前記扁平管の間に設けられたフィンとを備える熱交換器において、折り曲げ部と、前記折り曲げ部と隣接している直線部とを有し、
前記直線部における前記フィンが第一フィンであり、前記折り曲げ部における前記フィンが第二フィン及び第三フィンであり、前記第二フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線と前記第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線とが前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いにずれている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項11】
前記第二フィン及び前記第三フィンは、一つの前記第二フィンと一つの前記第三フィン、二つの隣接している前記第二フィンと一つの前記第三フィン、一つの前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィン、及び二つの隣接している前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィンの少なくとも一種の組合わせで繰り返すように配置されているものである
ことを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第二フィンの幅と前記第三フィンの幅とが互いに異なる
ことを特徴とする請求項10または11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第三フィンの数に対する前記第二フィンの数の比は、1:3〜3:1である
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記フィンの幅に対する前記扁平管の幅の比は2より大きい
ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、具体的には、パラレルフロー型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術分野において、折り曲げによる熱交換性能に対する悪影響を回避するように、ヘッダーに沿って折り曲げ成形された熱交換器、例えば微小通路熱交換器が折り曲げ領域において、例えば、折り曲げ領域において扁平管及びフィンを配置せず、フラップを利用して遮蔽するか、または折り曲げ領域において扁平管を配置し、扁平管同士の間に押出成形物を利用して支持及び連結を行うか、もしくは折り曲げ領域においてフィンの片側と扁平管とを溶接するという多種類の措置を取る。
【0003】
しかしながら、上述の措置には、依然として、いくつかの問題がある。折り曲げ領域においてフラップを利用する熱交換器が折り曲げられる場合には、折り曲げ領域において、支持構造及び熱交換フィンがないため、熱交換器の構造安定性が良くなくなり、且つ熱交換性能が低減する。扁平管同士の間に押出成形物を利用して支持及び連結を行うことは、通風抵抗を増加し、熱交換のためのフィンが減少し、製品の熱交換性能全体に影響を与える。フィンの片側と扁平管とを溶接することは、折り曲げ領域における部分の扁平管がフィンを効果的に利用して熱交換を行わない。しかも、当該部分の扁平管がフィンに連結しないため、強度上でフィンの支持を得られず、腐食の面で、フィンの保護を得られず、熱交換器の寿命を短くする。また、折り曲げ領域におけるフィンの幅を減少することは、フィンが折り曲げ部の外側に引き裂かれ、折り曲げ部の内側にフィンのスクイズ変形が大きすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくともある程度までは、関連技術に存在する上述の技術問題点の1つを解決することを趣旨とする。そのため、本発明は熱交換器を提供することを1つの目的とする。当該熱交換器が折り曲げられる場合には、フィンの引き裂き及びスクイズ変形を低減し、折り曲げが熱交換器性能に対する影響を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の実施例による熱交換器は、第一ヘッダーと、第二ヘッダーと、両端がそれぞれ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーに連結しており、前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーの軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている複数の扁平管と、隣接する前記扁平管の間に設けられたフィンとを備える熱交換器において、折り曲げ部と、前記折り曲げ部と隣接している直線部とを有し、前記直線部における前記フィンが第一フィンであり、前記折り曲げ部における前記フィンが第二フィン及び第三フィンであり、前記第二フィンの幅が前記第三フィンの幅より大きく、且つ前記第二フィンと前記第三フィンとが前記軸方向に沿って交互に配置されている。
【0006】
本発明の実施例の熱交換器によれば、第二フィンと第三フィンとを第一ヘッダー及び第二ヘッダーの軸方向に沿って交互に配置し、折り曲げ部のフィンが折り曲げ部の内側に有する圧縮量及び折り曲げ部の外側に有する伸び量を両立する。これによって、熱交換器が折り曲げられた後に、フィンが折り曲げ部の外側で引き裂かれず、折り曲げ部の内側でフィンのスクイズ変形が小さくなるため、熱交換性能の損失を減少し、熱交換器が折り曲げられる場合にフィンと扁平管との間の引き裂き及び大きなスクイズ変形を効果的に回避する。
【0007】
さらに、熱交換器の扁平管全体は、フィンに直接に連結されているため、熱交換効果を向上し、しかも、風量の損失及び通風抵抗の増大がないため、性能を向上する。扁平管同士の間にフィンが連結されているため、扁平管が腐食される確率を大きく低減する。
【0008】
本発明のいくつかの実施例において、前記熱交換器は、前記第二フィン及び前記第三フィンは、一つの前記第二フィンと一つの前記第三フィン、二つの隣接している前記第二フィンと一つの前記第三フィン、一つの前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィン、及び二つの隣接している前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィンの少なくとも一種の組合わせで繰り返すように配置されているものである。
【0009】
本発明のいくつかの実施例において、前記第三フィンの数に対する前記第二フィンの数の比は、1:3〜3:1である。
【0010】
本発明のいくつかの実施例において、前記第二フィンの幅は、前記第一フィンの幅と等しい。
【0011】
本発明のいくつかの実施例において、前記第一〜第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線が前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いに重なっている。
【0012】
本発明のいくつかの実施例において、前記フィンの幅に対する前記扁平管の幅の比は2以下である。
【0013】
本発明のいくつかの実施例において、前記扁平管の幅に対する前記第二フィンの幅の比は0.75より大きく且つ1以下であり、前記扁平管の幅に対する前記第三フィンの幅の比は0.75以下である。
【0014】
本発明のいくつかの実施例において、前記第二フィンの幅に対する前記第三フィンの幅の比は0.4以上であり且つ1未満である。
【0015】
本発明のいくつかの実施例において、前記第二フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線と前記第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線とが前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いにずれている。
【0016】
本発明の第二の実施例による熱交換器は、第一ヘッダーと、第二ヘッダーと、両端がそれぞれ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーに連結しており、且つ前記第一ヘッダー及び前記第二ヘッダーの軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている複数の扁平管と、隣接する前記扁平管の間に設けられたフィンとを備え、折り曲げ部と、前記折り曲げ部と隣接している直線部とを有し、前記直線部における前記フィンが第一フィンであり、前記折り曲げ部における前記フィンが第二フィン及び第三フィンであり、前記第二フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線と前記第三フィンの前記扁平管の厚さ方向に沿って延在している中心線とが前記扁平管の長さ方向と直交する平面において、互いにずれている。
【0017】
本発明のいくつかの実施例において、前記熱交換器は、前記第二フィン及び前記第三フィンは、一つの前記第二フィンと一つの前記第三フィン、二つの隣接している前記第二フィンと一つの前記第三フィン、一つの前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィン、及び二つの隣接している前記第二フィンと二つの隣接している前記第三フィンの少なくとも一種の組合わせで繰り返すように配置されているものである。
【0018】
本発明のいくつかの実施例において、前記第二フィンの幅と前記第三フィンの幅とが互いに異なる。
【0019】
本発明のいくつかの実施例において、前記第三フィンの数に対する前記第二フィンの数の比は、1:3〜3:1である。
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、前記フィンの幅に対する前記扁平管の幅の比は2より大きい。
【0021】
本発明の実施例の熱交換器によれば、折り曲げ部における異なる幅を有する第二フィン及び第三フィンを、第一ヘッダー及び第二ヘッダーの軸方向に沿って交互に配置させるか、または、第二フィンの前記扁平管の厚さ方向における中心線と前記第三フィンの前記扁平管の厚さ方向における中心線とを、前記扁平管の厚さ方向に互いにずれさせることによって、折り曲げ部のフィンが折り曲げ部の内側に有する圧縮量及び折り曲げ部の外側に有する伸び量を両立する。これによって、熱交換器が折り曲げられた後に、フィンが折り曲げ部の外側で引き裂かれなく、折り曲げ部の内側でフィンのスクイズ変形が小さくなるため、熱交換性能の損失を減少し、熱交換器が折り曲げられる場合に、フィンと扁平管との間の引き裂き及び大きなスクイズ変形を効果的に回避する。
【0022】
さらに、熱交換器の扁平管全体は、フィンに直接に連結されているため、熱交換効果を向上し、しかも、風量の損失及び通風抵抗の増大がないため、性能を向上する。扁平管同士の間にフィンが連結されているため、扁平管が腐食される確率を大きく低減する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る熱交換器の概略図である。
図2】本発明の実施例に係る熱交換器が折り曲げられる前の概略図である。
図3】本発明の一つの実施例に係る熱交換管の上部が取り外されたヘッダーの部分上面図である(そのうち、一つの折り曲げ部が示される)。
図4図3に示す折り曲げ部が展開された後の概略図である。
図5】本発明の別の実施例に係る熱交換器の折り曲げ部が展開された後の概略図である。
図6】本発明のもう一つの実施例に係る熱交換器の折り曲げ部が展開された後の概略図である。
図7】本発明の別の実施例に係る熱交換管の上部が取り外されたヘッダーの部分上面図である(そのうち、一つの折り曲げ部が示される)。
図8図7に示す折り曲げ部が展開された後の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。前記実施例の例示が図面において示されるが、一貫して同一または類似する符号は、相同又は類似の部品、或いは、相同又は類似の機能を有する部品を表す。以下に、図面を参照しながら説明される実施例が例示のものであり、本発明を解釈するためだけに用いられるものであって、本発明を制限するように理解されてはならない。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の一つの実施例による熱交換器を説明する。図1〜4に示すように、本発明の実施例による熱交換器は、第一ヘッダー1と、第二ヘッダー2と、扁平管3と、フィン4とを備える。
【0026】
扁平管3の一端(図1及び図2における上端)が第一ヘッダー1に連結しており、扁平管3の他端が(図1及び図2における下端)が第二ヘッダー2に連結している。これによって、第一ヘッダー1と第二ヘッダー2とを連通する。フィン4は、隣接する 扁平管3の間に設けられている。
【0027】
第一ヘッダー1及び第二ヘッダー2が熱交換器の長さ方向(即ち、扁平管の厚さ方向、第一ヘッダー1及び第二ヘッダー2の軸方向)Xに沿って略平行に延在しているとともに、それぞれ間隔を置いており、複数の扁平管3がX方向に沿って、それぞれ間隔を置いて配置されている。各扁平管3が熱交換器の高さ方向(即ち、扁平管の長さ方向)Yに沿って延在している。言い換えれば、扁平管3の長さ方向と熱交換器の高さ方向Yとが一致し、扁平管3の厚さ方向と、熱交換器の長さ方向と、第一ヘッダー1及び第二ヘッダー2の軸方向とが一致し、扁平管3の幅方向と、フィン4の幅方向と、熱交換器の厚さ方向Zとが一致する。
【0028】
図1及び図2に示すように、熱交換器は、折り曲げ部Sと、折り曲げ部Sと隣接している直線部Tとを有し、直線部Tにおけるフィンが第一フィン41であり、折り曲げ部Sにおけるフィンが第二フィン42及び第三フィン43であり、第二フィン42の幅H1は第三フィン43の幅より大きく、且つ第二フィン42及び第三フィン43がX方向に沿って交互に配置されている。
【0029】
図1に示す実施例において、熱交換器は、三つの折り曲げ部Sと四つの直線部Tとを有するが、本発明はこれらに限られない。応用に応じて、熱交換器は、任意の適当な数の折り曲げ部Sを有することができる。
【0030】
本発明の実施例の熱交換器によれば、折り曲げ部における異なる幅を有する第二フィン42及び第三フィン43を、第一ヘッダー1及び第二ヘッダー2の軸方向に沿って交互に配置すると同時に、折り曲げ部のフィンが折り曲げ部の内側に有する圧縮量及び折り曲げ部の外側に有する伸び量を配慮したことによって、熱交換器が折り曲げられた後に、フィンが折り曲げ部の外側で引き裂かれず、折り曲げ部の内側でフィンのスクイズ変形が小さくなるため、熱交換性能の損失を減少し、熱交換器が折り曲げられる場合にフィンと扁平管との間の引き裂き及び大きなスクイズ変形を効果的に回避する。
【0031】
さらに、熱交換器の扁平管全体は、フィンに直接に連結されているため、熱交換効果を向上し、しかも、風量の損失及び通風抵抗の増大がないため、性能を向上する。扁平管同士の間にフィンが連結されているため、扁平管が腐食される確率を大きく低減する。
【0032】
第二フィン42及び第三フィン43が交互に配置されていることは、広く理解されるべきである。例えば、方向Xに沿って左から右へ、一つの第二フィン42と一つの第三フィン43の組合わせ、または一つの第二フィン42と複数の隣接している第三フィン43の組合わせで繰り返すように配置されることができ、同様に、一つの第三フィン43と一つの第二フィン42の組合わせ、または一つの第三フィン43と複数の隣接している第二フィン42の組合わせで繰り返すように配置されることができる。
【0033】
以下に、図3及び図4を参照して、本発明の一つの好ましい熱交換器を説明する。図3は本発明の一つの実施例に係る熱交換管の上部が取り外されたヘッダーの部分上面図である(そのうち、一つの折り曲げ部が示される)。図4図3に示す折り曲げ部が展開された後の概略図である。
【0034】
図3及び図4に示すように、第二フィン42及び第三フィン43は、一つの第二フィン42と一つの第三フィン43の組合わせで繰り返すように配置されている。
【0035】
図3及び図4に示す実施例において、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L2と第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L3とが、扁平管の長さ方向Yと直交する平面(例えば、図1及び図2における水平面、図3における観察者の視線と直交する平面)において、互いに重なっている。
【0036】
より好ましくは、第一フィン41、第二フィン42及び第三フィン43の扁平管3の厚さ方向に沿って延在している中心線L1、L2及びL3が互いに重なっている。
【0037】
当然ながら、本発明は、これらに限られない。例えば、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L2と第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L3とが扁平管の長さ方向Yと直交する平面において、互いにずれている。例えば、扁平管3の長さ方向Yと直交する平面において、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L2が第一フィン41の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L1の下に位置しており、第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L3が第一フィン41の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L1の上に位置している。
【0038】
図3及び図4に示す実施例において、第二フィン42の幅H1は、第一フィン41の幅と等しい。これによって、第二フィン42の幅H1及び第一フィン41の幅全体は、第三フィン43の幅H2より大きい。
【0039】
本発明の選択可能な実施例において、図5に示すように、第二フィン42及び第三フィン43は、二つの隣接している第二フィン42と二つの隣接している第三フィン43の組合わせで繰り返すように配置されている。
【0040】
図6に示すように、任意選択で、第二フィン42及び第三フィン43は、一つの第二フィン42と二つの隣接している第三フィン43の組合わせで繰り返すように配置されている。
【0041】
理解すべきなのは、第二フィン42及び第三フィン43が交互に配置される方式は、上述の方式に限られない。例えば、上述の方式以外の組合わせの方式で配置されることができる。
【0042】
本発明の好ましい実施例において、第三フィン43の数に対する第二フィン42の数の比は、1:3〜3:1である。
【0043】
本発明の好ましい実施例において、フィン4の幅に対する扁平管3の幅の比は2以下である。更に具体的には、扁平管3の幅に対する第二フィン42の幅の比は0.75より大きく且つ1以下であり、扁平管3の幅に対する第三フィン43の幅の比は0.75以下である。
【0044】
より好ましくは、第二フィンの幅に対する第三フィン43の幅の比は0.4以上であり且つ1未満である。
【0045】
本発明の発明者は、上記の措置を通じて、熱交換性能を更に向上し、フィンの引き裂き及びスクイズ変形を低減することを予想外に発見した。特に、フィン4幅に対する扁平管3の幅の比は2以下である場合、第二フィン42と第三フィン43とをX方向に沿って交互に配置させることによって、フィンの引き裂き及び大きな変形を更に回避することができる。
【0046】
以下に、図1図2及び図7図8を参照しながら本発明の別の実施例による熱交換器を説明する。図7は本発明の別一つの実施例に係る熱交換管の上部が取り外されたヘッダーの部分上面図である(そのうち、一つの折り曲げ部が示される)。図8図7に示す折り曲げ部が展開された後の概略図である。
【0047】
図7図8に示すように、本発明の当該実施例による熱交換器は、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L2と第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線L3とが扁平管3の長さ方向Yと直交する平面において、互いにずれている。
【0048】
本発明の当該実施例の熱交換器によれば、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線と第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線とを扁平管3の長さ方向Yと直交する平面において、互いにずれさせると共に、折り曲げ部のフィンが折り曲げ部の内側に有する圧縮量及び折り曲げ部の外側に有する伸び量を配慮したことによって、熱交換器が折り曲げられた後に、フィンが折り曲げ部の外側で引き裂かれなく、折り曲げ部の内側でフィンのスクイズ変形が小さくなるため、熱交換性能の損失を減少し、熱交換器が折り曲げられる場合にフィンと扁平管との間の引き裂き及び大きなスクイズ変形を効果的に回避する。
【0049】
図7図8に示す実施例において、第一フィン41、第二フィン42及び第三フィン43は、同じ幅を有する。以上に述べたように、第二フィン42と第三フィン43とが異なる幅を有してもよく、且つそれらの幅が第一フィン41の幅より小さい。
【0050】
第二フィン42及び第三フィン43の配置方式は、図3図6を参照して説明した方式と同じでもよく、ここで詳しく説明しない。
【0051】
本発明の当該実施例において、好ましくは、第三フィン43の数に対する第二フィン42の数の比は、1:3〜3:1であり、フィン4の幅に対する扁平管3の幅の比は2より小さい。
【0052】
特に、フィン4の幅に対する扁平管3の幅の比は2より小さい場合、第二フィン42の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線と第三フィン43の扁平管3の厚さ方向Xに沿って延在している中心線とを扁平管3の長さ方向Yと直交する平面において、互いにずれることによって、フィンの引き裂き及び大きなスクイズ変形を更に回避でき、熱交換効率を更に向上することができる。
【0053】
本発明の当該実施例による熱交換器が折り曲げられた後に、フィンが折り曲げ部の外側で引き裂かれず、折り曲げ部の内側でフィンのスクイズ変形が小さくなるため、熱交換性能の損失を減少し、熱交換器が折り曲げられる場合にフィンと扁平管との間の引き裂き及び大きなスクイズ変形を効果的に回避する。さらに、熱交換器の扁平管全体は、フィンに直接に連結されているため、熱交換効果を向上し、しかも、風量の損失及び通風抵抗の増大がないため、性能を向上する。扁平管同士の間にフィンが連結されているため、扁平管が腐食される確率を大きく低減する。
【0054】
本発明に対する説明において、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで表れる方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され、操作されると指示又は暗示するものではないため、発明に対する限定と理解してはいけない。
【0055】
なお、用語である「第一」、「第二」は説明のためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術特徴の数を黙示的に明示すると理解してはいけない。そこで、「第一」、「第二」が限定されている特徴は一つ又はより多くのこの特徴を含むことを明示又は暗示する。発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、二つ又は二つ以上のことを意味する。
【0056】
本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「それぞれ連結」、「接続」、「固定」などの用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。機械的な接続や、電気的接続や、あるいは通信でも可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、二つの部品の内部が連通することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の発明中の具体的な意味を理解することができる。
【0057】
本発明において、明確な規定と限定がない限り、第一特徴が第二特徴の「上」又は「下」にあることは、第一特徴と第二特徴とが直接接触することを含んでもよく、第一特徴と第二特徴とが直接接触することなくそれらの間に別の特徴を介して接触することを含んでもよい。また、第一特徴が第二特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より高いことだけを表す。第一特徴が第二特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より低いことだけを表す。
【0058】
本発明の説明において、「一つの実施例」、「一部の実施例」、「示例」、「具体示例」或いは「一部の示例」など用語を参考した説明とは、該実施例或いは示例に結合して説明された具体的特徴、構成、材料或いは特徴が、本発明の少なくとも一つの実施例或いは示例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な表述は、必ずしも同じ実施例或いは示例を示すことではない。又、説明された具体的特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれかの一つ或いは複数の実施例又は示例において適切に結合することができる。なお、当業者は、本明細書に記載された異なる実施例または示例に対して結合及び組合わせを行うことができる。
【0059】
本発明の実施例を示して説明したが、上述の実施例が例示性のものであり、本発明を制限するように理解されてはならない。当業者は、本発明の原理及び主旨から逸脱しない限りこれらの実施例に対して変化、補正、切り替え及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1:第一ヘッダー
2:第二ヘッダー
3:扁平管
4:フィン、41:第一フィン、42:第二フィン、43:第三フィン
S:折り曲げ部
T:直線部
X:熱交換器の長さ方向(扁平管の厚さ方向)
Y:熱交換器の高さ方向
Z:熱交換器の厚さ方向(扁平管とフィンの幅方向)
H1:第二フィンの幅
H2:第三フィンの幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8