特許第6185670号(P6185670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185670対象体の弾性特性を獲得する方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185670
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】対象体の弾性特性を獲得する方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A61B8/08ZDM
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-538870(P2016-538870)
(86)(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公表番号】特表2016-528021(P2016-528021A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】KR2014009371
(87)【国際公開番号】WO2015053515
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0119457
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シム,ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン−テ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヒョン−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ユン−ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ビョン−グン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ミン−グ
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−065670(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/085812(WO,A2)
【文献】 Stephen McAleavey, et al.,Shear Modulus Imaging with Spatially Modulated UltrasoundRadiation Force,Ultrasonic Imaging,米国,2009年10月,31(4),p.217-234
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波装置のプローブによって生成されるフォーカシングされていない第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成されるフォーカシングされていない第1グレーティングローブ信号とを前記プローブに垂直ではない方向に沿って対象体に照射し、前記対象体内部に第1剪断波を誘導する段階と、
前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、
前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定する段階と、
前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含む対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項2】
前記第1剪断波を誘導する段階は、
前記プローブに含まれた複数のエレメントを利用して、同一ステアリング角度を有する複数の第1プッシュ超音波信号と、前記複数の第1プッシュ超音波信号それぞれに対応する複数の第1グレーティングローブ信号とを前記対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1剪断波を誘導する段階を含む請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項3】
前記第1剪断波を誘導する段階は、
前記第1プッシュ超音波信号を第1ステアリング角度でステアリングし、前記対象体に照射する段階を含む請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項4】
前記対象体の弾性特性の獲得方法は、
前記第1ステアリング角度と異なる第2ステアリング角度でステアリングされた第2プッシュ超音波信号と、前記第2プッシュ超音波信号に対応して生成される第2グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に第2剪断波を誘導する段階と、
前記対象体内において、前記第2剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、
前記反射信号に基づいて、前記第2剪断波の剪断波特性を示す第2剪断波パラメータを測定する段階と、をさらに含むが、
前記対象体の弾性特性を獲得する段階は、
前記第1剪断波パラメータと、前記第2剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階を含む請求項に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項5】
前記反射信号を受信する段階は、
前記第1剪断波が伝播される領域に、前記追跡超音波信号を複数回照射し、前記対象体に複数回照射された前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から複数回受信する段階を含み、
前記第1剪断波パラメータを測定する段階は、
数回受信された前記反射信号に対して交差相関を適用し、前記第1剪断波パラメータを測定する段階を含む請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項6】
前記対象体の弾性特性の獲得方法は、
前記弾性特性を黒白スケールまたはカラースケールにマッピングし、前記対象体の弾性映像を生成する段階をさらに含む請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項7】
前記反射信号を受信する段階は、
前記第1剪断波が伝播される領域のうち第1地点に第1追跡超音波信号を照射し、前記第1剪断波が伝播される領域のうち第2地点に第2追跡超音波信号を照射する段階と、
前記第1地点から、前記第1追跡超音波信号に対する第1反射信号を受信し、前記第2地点から、前記第2追跡超音波信号に対する第2反射信号を受信する段階と、を含み、
前記第1剪断波パラメータを測定する段階は、
前記第1反射信号から、前記第1剪断波の第1位相を測定し、前記第2反射信号から、前記第1剪断波の第2位相を測定する段階と、
前記第1位相と前記第2位相との位相差、及び前記第1地点と前記第2地点との距離を利用し、前記第1剪断波の伝播速度を、前記第1剪断波パラメータとして測定する段階と、を含む請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項8】
超音波装置のプローブによって生成されるフォーカシングされていない第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成されるフォーカシングされていない第1グレーティングローブ信号とを前記プローブに垂直ではない方向に沿って対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1プッシュ超音波信号によって生じる第1サブ剪断波と、前記第1グレーティングローブ信号によって生じる第2サブ剪断波とを誘導する段階と、
前記対象体内において、前記第1サブ剪断波及び前記第2サブ剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、
前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定する段階と、
前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含む対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項9】
前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定する段階は、
前記反射信号に第1方向性フィルタを適用し、前記反射信号のうち、前記第1サブ剪断波に対応する信号を遮断し、前記反射信号に第2方向性フィルタを適用し、前記反射信号のうち、前記第2サブ剪断波に対応する信号を遮断する段階と、
前記第2サブ剪断波に対応する信号が遮断された前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータを測定し、前記第1サブ剪断波に対応する信号が遮断された前記反射信号に基づいて、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータを測定する段階と、を含む請求項に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項10】
請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータで判読可能な記録媒体。
【請求項11】
請求項に記載の対象体の弾性特性の獲得方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータで判読可能な記録媒体。
【請求項12】
超音波装置のプローブによって生成されるフォーカシングされていない第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成されるフォーカシングされていない第1グレーティングローブ信号とを前記プローブに垂直ではない方向に沿って対象体に照射し、前記対象体内部に第1剪断波を誘導する剪断波誘導部と、
前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する剪断波感知部と、
前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定し、前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する制御部と、を含む超音波装置。
【請求項13】
超音波装置のプローブによって生成されるフォーカシングされていない第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成されるフォーカシングされていない第1グレーティングローブ信号とを前記プローブに垂直ではない方向に沿って対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1プッシュ超音波信号によって生じる第1サブ剪断波と、前記第1グレーティングローブ信号によって生じる第2サブ剪断波とを誘導する剪断波誘導部と、
前記対象体内において、前記第1サブ剪断波及び前記第2サブ剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する剪断波感知部と、
前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定し、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する制御部と、を含む超音波装置。
【請求項14】
前記第1グレーティングローブ信号は、前記プローブの垂直軸を中心に前記第1プッシュ超音波信号と互いに対称方向に沿って照射される、請求項1に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【請求項15】
前記第1グレーティングローブ信号は、前記プローブの垂直軸を中心に前記第1プッシュ超音波信号と互いに対称方向に沿って照射される、請求項8に記載の対象体の弾性特性の獲得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断分野に係り、さらに具体的には、超音波装置を利用して、対象体の弾性特性を獲得する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な超音波装置は、非浸襲検査装置であって、身体内の構造的細部事項、内部組織及び流体の流れを示す。
【0003】
超音波装置は、対象体に超音波信号を送信し、対象体から反射する応答信号を利用して、対象体の超音波映像を生成する。超音波映像は、主に、組織間のインピーダンス差による反射係数を利用するBモード映像として表現される。しかし、悪性腫瘍のように、周りの組織と比較し、反射係数の差が大きくない部分は、Bモード映像において観察され難い。
【0004】
すなわち、Bモード映像では、正常組織と非正常組織との散乱効率の差が大きくなく、その区別が困難であるので、外部から圧力を加えるときと、加えないときとの媒質の弾性特性を獲得し、正常組織と非正常組織との区別を可能にする方法が提示されている。
【0005】
米国特許5810731号明細書などでは、対象体に、フォーカシングされた(focused)超音波信号を照射し、対象体内部に剪断波(shear wave)を誘導して、剪断波特性を測定して対象体の弾性特性を獲得する方法を開示している。
【0006】
しかし、かような方法は、フォーカシングされた超音波信号をプローブに垂直方向に沿って対象体に照射し、フォーカシングされた超音波信号の進行方向に垂直方向に剪断波を誘導するために、対象体内において、ユーザがプローブを位置させた地点に垂直領域(すなわち、フォーカシングされた超音波信号が進む領域)には、剪断波が誘導されないという短所がある。言い換えれば、ユーザが、対象体の一部領域の弾性特性を測定しようとして対象体にプローブを位置させても、従来の方法によるならば、プローブが位置した地点下の対象体領域の弾性特性は獲得されない。
【0007】
また、従来の方法は、フォーカシングされた超音波信号を利用して、対象体内部に剪断波を誘導するので、フォーカシングされた超音波信号の高い負圧による危険性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、対象体の弾性特性を正確であって迅速に獲得する対象体の弾性特性を獲得する方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ(push)超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ(grating lobe)信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に第1剪断波(shear wave)を誘導する段階と、前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播(propagation)される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定する段階と、前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】対象体に、第1プッシュ超音波信号と、第1グレーティングローブ信号とを照射する本発明の一実施形態による超音波装置を図示する図面である。
図2】本発明の一実施形態による、対象体の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による、超音波装置が対象体内部に第1剪断波を誘導する例示的な方法について説明するための図面である。
図4】本発明の一実施形態による、超音波装置が対象体内部に第1剪断波を誘導する例示的な方法について説明するための図面である。
図5】本発明の他の実施形態による、対象体の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による、超音波装置が第1剪断波の伝播速度を測定する方法について説明するための図面である。
図7】本発明のさらに他の実施形態による、対象体の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態による超音波装置の構成を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態による、対象体(object)の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ(push)超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ(grating lobe)信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に、第1剪断波(shear wave)を誘導する段階と、前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播(propagation)される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定する段階と、前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含んでもよい。
【0012】
前記第1プッシュ超音波信号は、フォーカシングされていない(unfocused)超音波信号を含んでもよい。
【0013】
前記第1剪断波を誘導する段階は、前記プローブに含まれた複数のエレメントを利用して、同一ステアリング(steering)角度を有する複数の第1プッシュ超音波信号と、前記複数の第1プッシュ超音波信号それぞれに対応する複数の第1グレーティングローブ信号とを前記対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1剪断波を誘導する段階を含んでもよい。
【0014】
前記第1剪断波を誘導する段階は、前記第1プッシュ超音波信号を第1ステアリング角度でステアリングし、前記対象体に照射する段階を含んでもよい。
【0015】
前記対象体の弾性特性の獲得方法は、前記第1ステアリング角度と異なる第2ステアリング角度でステアリングされた第2プッシュ超音波信号と、前記第2プッシュ超音波信号に対応して生成される第2グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に第2剪断波を誘導する段階と、前記対象体内において、前記第2剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第2剪断波の剪断波特性を示す第2剪断波パラメータを測定する段階と、をさらに含むが、前記対象体の弾性特性を獲得する段階は、前記第1剪断波パラメータと、前記第2剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階を含んでもよい。
【0016】
前記反射信号を受信する段階は、前記第1剪断波が伝播される領域に、前記追跡超音波信号を複数回照射し、前記対象体に複数回照射された追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から複数回受信する段階を含み、前記第1剪断波パラメータを測定する段階は、前記複数回受信された反射信号に対して交差相関(cross-correlation)を適用し、前記第1剪断波パラメータを測定する段階を含んでもよい。
【0017】
前記対象体の弾性特性の獲得方法は、前記弾性特性を黒白スケールまたはカラースケールにマッピングし、前記対象体の弾性映像を生成する段階をさらに含んでもよい。
【0018】
前記反射信号を受信する段階は、前記第1剪断波が伝播される領域のうち第1地点に第1追跡超音波信号を照射し、前記第1剪断波が伝播される領域のうち第2地点に第2超音波信号を照射する段階と、前記第1地点から、前記第1追跡超音波信号に対する第1反射信号を受信し、前記第2地点から、前記第2追跡超音波信号に対する第2反射信号を受信する段階と、を含み、前記第1剪断波パラメータを測定する段階は、前記第1反射信号から、前記第1剪断波の第1位相を測定し、前記第2反射信号から、前記第1剪断波の第2位相を測定する段階と、前記第1位相と前記第2位相との位相差、及び前記第1地点と前記第2地点との距離を利用し、前記第1剪断波の伝播速度を、前記第1剪断波パラメータとして測定する段階と、を含んでもよい。
【0019】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1プッシュ超音波信号によって生じる第1サブ剪断波と、前記第1グレーティングローブ信号によって生じる第2サブ剪断波とを誘導する段階と、前記対象体内において、前記第1サブ剪断波及び前記第2サブ剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定する段階と、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含んでもよい。
【0020】
前記第1プッシュ超音波信号は、フォーカシングされていない超音波信号を含んでもよい。
【0021】
前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定する段階は、前記反射信号に第1方向性フィルタを適用し、前記反射信号のうち、前記第1サブ剪断波に対応する信号を遮断し、前記反射信号に第2方向性フィルタを適用し、前記反射信号のうち、前記第2サブ剪断波に対応する信号を遮断する段階と、前記第2サブ剪断波に対応する信号が遮断された反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータを測定し、前記第1サブ剪断波に対応する信号が遮断された反射信号に基づいて、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータを測定する段階を含んでもよい。
【0022】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータで判読可能な記録媒体において、前記対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に第1剪断波を誘導する段階と、前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定する段階と、前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含んでもよい。
【0023】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータで判読可能な記録媒体において、前記対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1プッシュ超音波信号によって生じる第1サブ剪断波と、前記第1グレーティングローブ信号によって生じる第2サブ剪断波とを誘導する段階と、前記対象体内において、前記第1サブ剪断波及び前記第2サブ剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する段階と、前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定する段階と、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する段階と、を含んでもよい。
【0024】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に第1剪断波を誘導する剪断波誘導部と、前記対象体内において、前記第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する剪断波感知部と、前記反射信号に基づいて、前記第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定し、前記第1剪断波パラメータを利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する制御部と、を含んでもよい。
【0025】
一実施形態による対象体の弾性特性の獲得方法は、超音波装置のプローブによって生成される第1プッシュ超音波信号と、前記第1プッシュ超音波信号に対応して生成される第1グレーティングローブ信号とを対象体に照射し、前記対象体内部に、前記第1プッシュ超音波信号によって生じる第1サブ剪断波と、前記第1グレーティングローブ信号によって生じる第2サブ剪断波とを誘導する剪断波誘導部;前記対象体内において、前記第1サブ剪断波及び前記第2サブ剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、前記追跡超音波信号に対する反射信号を、前記対象体から受信する剪断波感知部;及び前記反射信号に基づいて、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとを測定し、前記第1サブ剪断波の剪断波パラメータと、前記第2サブ剪断波の剪断波パラメータとの平均値を獲得し、前記獲得された平均値を利用して、前記対象体の弾性特性を獲得する制御部;を含んでもよい。
【0026】
本発明の利点、特徴、及びそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され、ただし、本実施形態は、本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野で当業者に、発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の範疇によって定義されるのみである。明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を指す。
【0027】
本実施形態で使用される「部」という用語は、ソフトウェア、FPGA(field-programmable gate array)またはASIC(application specific integrated circuit)のようなハードウェア構成要素を意味し、「部」は、何らかの役割を遂行する。しかしながら、「部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」は、アドレッシングすることができる記録媒体にあるように構成されもするが、またはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されもする。従って、一例として「部」は、ソフトウェア構成要素、客体志向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウエア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数を含む。構成要素及び「部」において提供される機能は、さらに少数の構成要素及び「部」に結合されたり、追加的な構成要素と「部」とにさらに分離されたりする。
【0028】
本明細書において「映像」は、離散的な映像要素(例えば、二次元映像におけるピクセル、及び三次元映像におけるボクセル)によって構成された多次元(multi-dimensional)データを意味する。例えば、映像は、CT(computed tomography)、MRI(magnetic resonance imaging)、超音波、及び他の医療イメージング装置によって獲得された対象体の医療映像などを含んでもよい。
【0029】
また、本明細書において「対象体)」は、人または動物、あるいは人または動物の一部を含んでもよい。例えば、該対象体は、肝臓、心臓、子宮、脳、乳房、腹部などの臓器、または血管を含んでもよい。また、「対象体」は、ファントム(phantom)を含んでもよい。ファントムは、生物の密度と、実効原子番号に非常に近似する体積とを有する物質を意味し、身体と類似した性質を有する球形のファントムを含んでもよい。
【0030】
また、本明細書において「ユーザ」は、医療専門家として、医師、看護婦、臨床病理士、医療映像専門家にもなり、医療装置を修理する技術者にもなるが、それらに限定されるものではない。
【0031】
図1は、対象体10に、第1プッシュ超音波信号113と、第1グレーティングローブ信号115とを照射する本発明の一実施形態による超音波装置100を図示する図面である。
【0032】
図1に図示された超音波装置100は、プローブ110を含み、プローブ110は、対象体10に超音波信号を照射し、対象体10から反射する反射信号を受信することができる。超音波装置100は、受信された反射信号を利用して、対象体10の映像を生成することができる。プローブ110は、超音波装置100によって個別的に制御される複数のエレメント111を含む配列型プローブ110を含んでもよい。
【0033】
本発明の一実施形態による超音波装置100は、プローブ110を介して、対象体10に、第1プッシュ超音波信号113と、第1プッシュ超音波信号113に対応して生成される第1グレーティングローブ信号115とを対象体10に照射し、対象体10内部に、第1プッシュ超音波信号113及び第1グレーティングローブ信号115によって生成される第1剪断波を誘導する。
【0034】
第1グレーティングローブ信号115は、プローブ110によって生成される非軸方向(non-axial direction)の信号である。一般的に、グレーティングローブ信号は、超音波映像の側方向対照度を低下させるので、除去しなければならない対象である。グレーティングローブ信号は、プローブ110のエレメント幅を、超音波信号の1/2波長以下のサイズに狭めることによって弱化させることができる。
【0035】
しかし、本発明の一実施形態は、プローブ110によって生成されるグレーティングローブ信号を弱化したり除去したりすることよりも、グレーティングローブ信号の強度が、メインビームの強度と対等になるようにプローブ110を設計し、グレーティングローブ信号によっても、対象体10内部に剪断波が誘導されるようにする。それにより、一回のスキャンによって2つの信号を照射し、対象体10の弾性特性をさらに正確であって迅速に獲得することができる。
【0036】
第1プッシュ超音波信号113は、フォーカシングされていない超音波信号を含んでもよい。本発明の一実施形態による超音波装置100は、フォーカシングされていない第1プッシュ超音波信号113を対象体10に照射することにより、高い負圧による危険性を低減させることができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態による超音波装置100は、第1プッシュ超音波信号113を第1ステアリング角度aでステアリングし、対象体10に照射することができる。ステアリング角度は、既設定の基準軸117と、超音波信号が進む方向との角度を意味する。例えば、超音波装置100は、第1プッシュ超音波信号113の第1ステアリング角度aを0゜ないし90゜の角度に設定する。それにより、対象体10において、プローブ110が位置した地点に垂直領域にも、剪断波が誘導される。
【0038】
また、本発明の一実施形態による超音波装置100は、第1グレーティングローブ信号115のステアリング角度bが、第1プッシュ超音波信号113の第1ステアリング角度aと既設定の角度差があるように、第1グレーティングローブ信号115を生成することができる。例えば、第1グレーティングローブ信号115のステアリング角度bは、180゜から、第1プッシュ超音波信号113の第1ステアリング角度aを差し引いた角度に設定される。それにより、第1プッシュ超音波信号113と、第1グレーティングローブ信号115は、プローブ110の垂直軸118を中心に、互いに対称する方向に沿って対象体10に照射される。第1グレーティングローブ信号115のステアリング角度bは、プローブ110のエレメントのピッチ(pitch)及び幅を調節することによって制御される。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態による、対象体10の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。
【0040】
S210段階において、超音波装置100は、プローブ110によって生成される第1プッシュ超音波信号113と、第1プッシュ超音波信号113に対応して生成される第1グレーティングローブ信号115とを対象体10に照射する。前述のように、第1プッシュ超音波信号113は、フォーカシングされていない超音波信号を含んでもよい。超音波装置100は、第1プッシュ超音波信号113を第1ステアリング角度aでステアリングして対象体10に照射することができる。
【0041】
S220段階において、超音波装置100は、対象体10内部に、第1プッシュ超音波信号113と、第1グレーティングローブ信号115によって生成される第1剪断波とを誘導する。対象体10内部で誘導される第1剪断波については、図3を参照して説明する。
【0042】
S230段階において、超音波装置100は、対象体10において、第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射する。
【0043】
S240段階において、超音波装置100は、対象体10から、追跡超音波信号に対する反射信号を受信する。
【0044】
S250段階において、超音波装置100は、対象体10から受信された反射信号に基づいて、第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定する。第1剪断波パラメータは、第1剪断波の伝播速度(propagation velocity)、及び第1剪断波の減衰係数(attenuation coefficient)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0045】
第1剪断波の伝播速度Vsは、次の数式(1)によって獲得され、第1剪断波の減衰係数αは、次の数式(2)によって獲得される。以下の数式(1),(2)において、R及びXのそれぞれは、対象体10の音響インピーダンス(acoustic impedance)の実数成分及び虚数成分であり、ρは、対象体10の密度であり、ωは、第1剪断波の角周波数(angular frequency)である。
【0046】
【数1】
また、本発明の一実施形態による超音波装置100は、第1剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を複数回の照射し、対象体10に複数回照射された追跡超音波信号に対する反射信号を、対象体10から複数回受信した後、複数回受信された反射信号に対して交差相関(cross-correlation)を適用し、第1剪断波パラメータを測定することもできる。
【0047】
前述の方法以外に、対象体10内部に誘導された第1剪断波の第1剪断波パラメータは、当業者に自明な範囲内で、多様な方法で測定される。
【0048】
S260段階において、超音波装置100は、第1剪断波パラメータを利用して、対象体10の弾性特性を獲得することができる。
【0049】
対象体10の弾性特性は、対象体10の剪断弾性係数(shear modulus)、ヤング弾性係数(Young’s modulus)及び剪断粘性(shear viscosity)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0050】
対象体10の剪断弾性係数Gは、以下の数式(3)によって獲得され、ヤング弾性係数Eは、以下の数式(4)によって獲得され、剪断粘性ηは、以下の数式(5)によって獲得される。
【0051】
【数2】
一方、本発明の一実施形態による超音波装置100は、対象体10の弾性特性を黒白スケールまたはカラースケールにマッピングし、対象体10の弾性映像を生成し、生成された弾性映像を、ディスプレイを介して出力することもできる。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態による、超音波装置100が対象体10内部に第1剪断波を誘導する例示的な方法について説明するための図面である。
【0053】
第1プッシュ超音波信号113によって対象体10内部で誘導された第1サブ剪断波114は、第1プッシュ超音波信号113が進む方向の垂直方向であるA方向に伝播される。また、第1グレーティングローブ信号115によって対象体10内部で誘導された第2サブ剪断波116は、第1グレーティングローブ信号115が進む方向の垂直方向であるB方向に伝播される。
【0054】
第1グレーティングローブ信号115のステアリング角度を、180゜から第1プッシュ超音波信号113のステアリング角度を差し引いた角度に設定した場合、第1プッシュ超音波信号113によって誘導された第1サブ剪断波114と、第1グレーティングローブ信号115によって誘導された第2サブ剪断波116のとx軸成分は相殺され、ただy軸成分だけが残ることになる。結果として、第1サブ剪断波114及び第2サブ剪断波116がいずれも存在する領域には、第1サブ剪断波114と第2サブ剪断波116とが合成されてC方向に進む第1剪断波が存在することになる。
【0055】
本発明の一実施形態による超音波装置100は、C方向に進む第1剪断波の第1剪断波パラメータを測定し、対象体10の弾性特性を獲得することができる。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態による、超音波装置100が対象体10内部に第1剪断波を誘導する例示的な方法について説明するための図面である。
【0057】
図4を参照すれば、本発明の一実施形態による超音波装置100は、プローブ110に含まれた複数のエレメント111を利用して、同一ステアリング角度を有する複数の第1プッシュ超音波信号113と、複数の第1プッシュ超音波信号113それぞれに対応する複数の第1グレーティングローブ信号115とを対象体10に照射し、対象体10内部に複数の第1プッシュ超音波信号113と、複数の第1グレーティングローブ信号115とによって生成される第1剪断波を誘導することもできる。
【0058】
1つの第1プッシュ超音波信号113及び1つの第1グレーティングローブ信号115のみを利用して、対象体10内部に第1剪断波を誘導する場合、第1剪断波の強度が弱いために、複数の第1プッシュ超音波信号113と、複数の第1グレーティングローブ信号115とを利用して、対象体10内部に第1剪断波を誘導するのである。このとき、複数の第1プッシュ超音波信号113それぞれによって誘導されるサブ剪断波114を互いに重畳させるために、複数の第1プッシュ超音波信号113それぞれの離隔距離を調節する必要がある。
【0059】
図5は、本発明の他の実施形態による対、象体10の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。図5に図示された対象体10の弾性特性の獲得方法は、図2に図示されたS260段階の代わりに遂行される。
【0060】
S510段階において、超音波装置100は、第1プッシュ超音波信号113の第1ステアリング角度と異なる第2ステアリング角度でステアリングされた第2プッシュ超音波信号と、第2プッシュ超音波信号に対応して生成される第2グレーティングローブ信号とを対象体10に照射する。
【0061】
S520段階において、超音波装置100は、対象体10内部において、第2プッシュ超音波信号と、第2グレーティングローブ信号とによって生成される第2剪断波を誘導する。
【0062】
S530段階において、超音波装置100は、対象体10において、第2剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射する。
【0063】
S540段階において、超音波装置100は、追跡超音波信号に対する反射信号を対象体10から受信する。
【0064】
S550段階において、超音波装置100は、反射信号に基づいて、第2剪断波の剪断波特性を示す第2剪断波パラメータを測定する。反射信号に基づいて、剪断波パラメータを測定する方法については、図2を参照して説明したので、詳細な説明は省略する。
【0065】
S560段階において、超音波装置100は、図2のS250段階で測定された第1剪断波パラメータと第2剪断波パラメータとの平均値を獲得する。超音波装置100は、第1剪断波パラメータ及び第2剪断波パラメータのそれぞれに、所定の加重値を適用した後、第1剪断波パラメータと第2剪断波パラメータとの平均値を獲得することもできる。
【0066】
S570段階において、超音波装置100は、獲得された平均値を利用して、対象体10の弾性特性を獲得する。
【0067】
本発明の他の実施形態による、対象体10の弾性特性の獲得方法によれば、第1プッシュ超音波信号113及び第1グレーティングローブ信号115によって誘導された第1剪断波の第1剪断波パラメータと、第2プッシュ超音波信号及び第2グレーティングローブ信号によって誘導された第2剪断波の第2剪断波パラメータとの平均値を求めた後、対象体10の弾性特性を獲得するので、対象体10の弾性特性をさらに正確に獲得することができる。
【0068】
図6は、本発明の一実施形態による、超音波装置100が第1剪断波の伝播速度を測定する方法について説明するための図面である。図6は、図2と係わって説明した第1剪断波の第1剪断波パラメータを測定する方法以外の他の例示的な方法について説明するための図面である。
【0069】
本発明の一実施形態による超音波装置100は、第1剪断波が伝播される領域のうち第1地点601に、第1追跡超音波信号610を照射し、第1地点601から反射する第1反射信号を受信することができる。次に、超音波装置100は、第1剪断波が伝播される領域のうち第2地点603に、第2追跡超音波信号630を照射し、第2地点603から反射する第2反射信号を受信することができる。超音波装置100は、第1反射信号から、第1剪断波の第1位相を測定し、第2反射信号から、第1剪断波の第2位相を測定することができる。
【0070】
具体的には、超音波装置100は、第1反射信号を介して、第1地点601を通過する第1剪断波の位相を測定し、第2反射信号を介して、第2地点603を通過する第1剪断波の第2位相を測定する。超音波装置100は、第1位相と第2位相との位相差、及び第1地点601と第2地点603との距離dを利用して、第1剪断波の伝播速度を第1剪断波パラメータとして測定することができる。
【0071】
例えば、超音波装置100は、第1剪断波の伝播速度Csを、次の数式(6)を介して獲得することができる。数式(6)においてωは、第1剪断波の角周波数であり、Δrは、第1地点と第2地点との距離dであり、Δφは、第1位相と第2位相との位相差である。
【0072】
【数3】
以上、対象体10内部に誘導された第1剪断波の第1剪断波パラメータを測定すると説明したが、第1プッシュ超音波信号113によって、対象体10内部に誘導された第1サブ剪断波114の剪断波パラメータ、及び第1グレーティングローブ信号115によって、対象体10内部に誘導された第2サブ剪断波116の剪断波パラメータを測定し、それらを利用して、対象体10の弾性特性を獲得することも可能である。
【0073】
図7は、本発明のさらに他の実施形態による、対象体10の弾性特性の獲得方法の順序を図示するフローチャートである。
【0074】
S710段階において、超音波装置100は、超音波装置100のプローブ110によって生成される第1プッシュ超音波信号113と、第1プッシュ超音波信号113に対応して生成される第1グレーティングローブ信号115とを対象体10に照射する。
【0075】
S720段階において、超音波装置100は、対象体10内部に、第1プッシュ超音波信号113によって生成される第1サブ剪断波114、及び第1グレーティングローブ信号115によって生成される第2サブ剪断波116を誘導する。
【0076】
S730段階において、超音波装置100は、対象体10において、第1サブ剪断波114及び第2サブ剪断波116が伝播される領域に、追跡超音波信号を照射する。
【0077】
S740段階において、超音波装置100は、追跡超音波信号に対する反射信号を対象体10から受信する。
【0078】
S750段階において、超音波装置100は、反射信号に基づいて、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとを測定する。
【0079】
第1サブ剪断波114と第2サブ剪断波116は、対象体10内部で互いに相殺されるので、超音波装置100は、反射信号を方向性フィルタに適用した後、フィルタリングされた反射信号を利用して、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとを測定することもできる。
【0080】
例えば、超音波装置100は、対象体10から受信された反射信号に、第1方向性フィルタを適用し、反射信号のうち、第1サブ剪断波114に対応する信号を遮断し、対象体10から受信された反射信号に、第2方向性フィルタを適用し、反射信号のうち、第2サブ剪断波116に対応する信号を遮断することができる。次に、超音波装置100は、第2サブ剪断波116に対応する信号が遮断された反射信号に基づいて、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータを測定し、第1サブ剪断波114に対応する信号が遮断された反射信号に基づいて、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータを測定することができる。方向性フィルタは、当業者に自明な事項であり、本明細書においては、詳細な説明を省略する。
【0081】
S760段階において、超音波装置100は、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとの平均値を獲得する。超音波装置100は、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータ、及び第2サブ剪断波116の剪断波パラメータのそれぞれに所定加重値を適用した後、加重値が適用された第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとの平均値を獲得することもできる。
【0082】
S770段階において、超音波装置100は、S760段階で獲得された平均値を利用して、対象体10の弾性特性を獲得する。
【0083】
本発明のさらに他の実施形態による、対象体10の弾性特性の獲得方法によれば、超音波装置100は、1回のスキャンにより、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとを測定し、測定された結果を利用して、対象体10の弾性特性を、正確であって迅速に獲得することができる。
【0084】
図8は、本発明の一実施形態による超音波装置800の構成を図示するブロック図である。
【0085】
図8を参照すれば、本発明の一実施形態による超音波装置800は、剪断波誘導部810、剪断波感知部830及び制御部850を含んでもよい。剪断波誘導部810、剪断波感知部830及び制御部850は、マイクロプロセッサでもって構成される。
【0086】
剪断波誘導部810は、プローブ110を制御し、プローブ110によって生成される第1プッシュ超音波信号113と、第1プッシュ超音波信号113に対応して生成される第1グレーティングローブ信号115とが対象体10に照射されるようにすることにより、対象体10内部に、第1プッシュ超音波信号113と、第1グレーティングローブ信号115とによって生成される第1剪断波を誘導する。第1プッシュ超音波信号113は、フォーカシングされていない超音波信号を含み、0゜ないし90゜のステアリング角度を有することができる。第1剪断波は、第1プッシュ超音波信号113によって生成される第1サブ剪断波114、及び第1グレーティングローブ信号115によって生成される第2サブ剪断波116が合成された剪断波を含む。
【0087】
剪断波誘導部810は、超音波装置800のプローブ110に含まれた複数のエレメント111を利用して、同一ステアリング角度を有する複数の第1プッシュ超音波信号113と、複数の第1プッシュ超音波信号113それぞれに対応する複数の第1グレーティングローブ信号115とを対象体10に照射し、対象体10内部に、複数の第1プッシュ超音波信号113と、複数の第1グレーティングローブ信号115とによって生成される第1剪断波を誘導することもできる。
【0088】
また、剪断波誘導部810は、第1プッシュ超音波信号113の第1ステアリング角度と異なる第2ステアリング角度を有する第2プッシュ超音波信号と、第2プッシュ超音波信号に対応して生成される第2グレーティングローブ信号とを対象体10に照射し、対象体10内部に、第2プッシュ超音波信号及び第2グレーティングローブ信号によって生成される第2剪断波を誘導することもできる。
【0089】
剪断波感知部830は、プローブ110を制御し、対象体10において、第1剪断波または第2剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を照射し、追跡超音波信号に対する反射信号を、対象体10から受信する。
【0090】
剪断波感知部830は、対象体10において、第1剪断波または第2剪断波が伝播される領域に追跡超音波信号を複数回照射し、対象体10に複数回照射された追跡超音波信号に対する反射信号を、対象体10から複数回受信することもできる。
【0091】
制御部850は、プローブ110が受信した反射信号に基づいて、第1剪断波の剪断波特性を示す第1剪断波パラメータを測定し、第1剪断波パラメータを利用して、対象体10の弾性特性を獲得する。
【0092】
また、制御部850は、プローブ110が受信した反射信号に基づいて、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとを測定し、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとの平均値を獲得した後、獲得された平均値を利用して、対象体10の弾性特性を獲得することもできる。このとき、制御部850は、第1サブ剪断波114の剪断波パラメータと、第2サブ剪断波116の剪断波パラメータとの正確な値を測定するために、プローブ110が受信した反射信号に、第1方向性フィルタと第2方向性フィルタとを適用することもできる。
【0093】
また、制御部850は、剪断波感知部830が、対象体10において、第2剪断波が伝播される領域から反射信号を受信した場合、第2剪断波の剪断波特性を示す第2剪断波パラメータを測定し、第1剪断波パラメータと第2剪断波パラメータとの平均値を求めた後、平均値を利用して、対象体10の弾性特性を獲得することもできる。
【0094】
図8には図示されていないが、本発明の一実施形態による超音波装置800は、対象体10の弾性特性を、黒白スケールまたはカラースケールにマッピングし、対象体10の弾性映像を生成する映像生成部、及び対象体10の弾性映像を出力するディスプレイをさらに含んでもよい。
【0095】
ディスプレイは、CRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、LCD(liquid crystal display)ディスプレイ、PDP(plasma display panel)ディスプレイ、OLED(organic light emitting diode)ディスプレイ、FED(field emission display)ディスプレイ、LED(light emitting diode)ディスプレイ、VFD(vacuum fluorescent display)ディスプレイ、DLP(digital light processing)ディスプレイ、PFD(primary flight display)ディスプレイ、3D(three-dimensional)ディスプレイ、透明ディスプレイなどを含み、その他当業者に自明な範囲内で多様なディスプレイ装置を含んでもよい。
【0096】
一方、前述の本発明の実施形態は、コンピュータで実行されるプログラムに作成可能であり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を利用して、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現される。
【0097】
前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック記録媒体(例えば、ROM(read only memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD(compact disc)−ROM、DVD(digital versatile disc)など)及びキャリアウエーブ(例えば、インターネットを介した伝送)のような記録媒体を含む。
【0098】
以上のように、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態でもって実施されるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述した実施形態は、全ての面において、例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8