(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
監視対象に設置された警備装置と、通信回線と接続されて他の通信装置と通信を行う通信装置と、前記警備装置および前記通信装置と通信を行うセンタ装置とを備える通信システムであって、
前記警備装置は、
前記監視対象に設置された異常状態を検出するセンサと、
前記センサと接続され、前記センサが異常を検出したとき異常信号を前記センタに送信する送信部とを備え、
前記通信装置は、
前記通信装置の動作モードとして、外部への情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部を備え、
前記センタ装置は、
前記通信装置の動作モードを記憶する記憶部と、
前記警備装置から異常信号を受信したときには前記通信装置の動作モードを解除モードに設定すべきと判定する判定部と、
前記判定部が解除モードに設定すべきと判定すると、前記通信装置に解除モード設定信号を送信する設定送信部と、
を備え、
前記モード設定部は、前記解除モード設定信号を受信したときに解除モードに設定することを特徴とする通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、防犯サービスの分野で通信装置が利用される場合には、警備員が監視対象である施設や邸宅で発生した異常に対処する際に通信装置を用いて取り扱う情報は、業務上知り得た秘匿すべき情報であることが多く、その情報が第三者に漏洩するのを防ぐ必要がある。また、警備員が業務以外の目的で私的に通信装置を利用(不正利用)することも禁止する必要がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、また、通信装置からの情報漏洩を防ぐことのできる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信装置は、通信回線と接続され、他の通信装置と通信を行う通信装置であって、前記通信装置のユーザの勤務状態情報を取得する勤務状態取得部と、前記通信装置の動作モードとして、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部と、前記勤務状態情報と前記動作モードとを対応付けた動作テーブルを記憶する記憶部と、前記取得した勤務状態情報と前記動作テーブルとを比較して、前記モード設定部が設定すべき動作モードの判定を行う判定部と、を備え、前記モード設定部は、前記判定部の判定結果に基づいて前記動作モードを設定するものである。
【0007】
本発明の通信装置によれば、例えば、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」でない場合、通信装置が制限モードに設定され、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される。一方、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」である場合、通信装置が解除モードに設定され、情報送信の制限が解除される。これにより、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の通信装置は、前記ユーザが自己の勤務状態を入力する操作部を備えてもよい。
【0009】
これにより、操作部からのユーザ入力に基づいて、通信装置のユーザの勤務状態を把握することができ、通信装置の動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0010】
また、本発明の通信装置は、前記通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置情報から前記ユーザの勤務状態を推定する勤務状態推定部と、を備えてもよい。
【0011】
これにより、通信装置の現在位置に基づいて、通信装置のユーザの勤務状態を推定することができ、通信装置の動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0012】
また、本発明の通信装置では、前記制限モードには、電話の発信およびメールの送信が制限され、電話の着信およびメールの受信は制限されない第1の制限モードと、電話の発着信およびメールの送受信が制限される第2の制限モードと、が含まれてもよい。
【0013】
これにより、制限モードを段階的に設けることができる。例えば、通信装置のユーザの勤務状態が「待機」である場合、通信装置が第1の制限モードに設定される。第1の制限モードでは、電話の発信やメールの送信が制限されるので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。ただし、第1の制限モードでは、電話の着信やメールの受信は制限されない。したがって、例えば、監視センタなどからの電話やメールによる緊急の連絡を受けることができる。
【0014】
また、通信装置のユーザの勤務状態が「休憩中」である場合、通信装置が第2の制限モード(第1の制限モードより厳しいモード)に設定される。第2の制限モードでは、電話の発着信やメールの送受信が制限されるので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0015】
本発明の通信システムは、通信回線と接続されて他の通信装置と通信を行う通信装置と、前記通信装置と通信を行うセンタ装置とを備える通信システムであって、前記通信装置は、前記通信装置の動作モードとして、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部を備え、前記センタ装置は、前記通信装置のユーザの勤務状態情報を取得する勤務状態取得部と、前記勤務状態情報と前記動作モードとを対応付けた動作テーブルを記憶する記憶部と、前記取得した勤務状態情報と前記動作テーブルとを比較して、前記モード設定部が設定すべき動作モードの判定を行う判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記通信装置にモード設定信号を送信する設定信号送信部と、を備え、前記モード設定部は、前記モード設定信号に基づいて前記動作モードを設定するものである。
【0016】
本発明の通信システムによっても、例えば、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」でない場合、通信装置が制限モードに設定され、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される。一方、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」である場合、通信装置が解除モードに設定され、情報送信の制限が解除される。これにより、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0017】
また、本発明の通信システムでは、前記通信装置は、前記通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置情報を前記センタ装置へ送信する位置情報送信部と、を備え、前記センタ装置は、前記現在位置情報を受信する位置情報受信部と、前記現在位置情報から前記ユーザの勤務状態を推定する勤務状態推定部と、を備えてもよい。
【0018】
これにより、通信装置の現在位置に基づいて、通信装置のユーザの勤務状態を推定することができ、通信装置の動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0019】
また、本発明の通信システムでは、前記制限モードには、電話の発信およびメールの送信が制限され、電話の着信およびメールの受信は制限されない第1の制限モードと、電話の発着信およびメールの送受信が制限される第2の制限モードと、が含まれてもよい。
【0020】
これにより、制限モードを段階的に設けることができる。例えば、通信装置のユーザの勤務状態が「待機」である場合、通信装置が第1の制限モードに設定される。第1の制限モードでは、電話の発信やメールの送信が制限されるので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。ただし、第1の制限モードでは、電話の着信やメールの受信は制限されない。したがって、例えば、監視センタなどからの電話やメールによる緊急の連絡を受けることができる。
また、通信装置のユーザの勤務状態が「休憩中」である場合、通信装置が第2の制限モード(第1の制限モードより厳しいモード)に設定される。第2の制限モードでは、電話の発着信やメールの送受信が制限されるので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0021】
本発明の通信システムは、監視対象に設置された警備装置と、通信回線と接続されて他の通信装置と通信を行う通信装置と、前記警備装置および前記通信装置と通信を行うセンタ装置とを備え、前記警備装置は、前記監視対象に設置された異常状態を検出するセンサと、前記センサと接続され、前記センサが異常を検出したとき異常信号を前記センタに送信する送信部とを有する警備装置とを備えており、前記通信装置は、前記通信装置の動作モードとして、外部への情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部を備えており、前記センタ装置は、前記通信装置の動作モードを記憶する記憶部と、前記警備装置から異常信号を受信したときには前記通信装置の動作モードを解除すると判定する判定部と、前記判定部の結果に基づいて前記通信装置にモード設定信号を送信する設定信号送信部とを備えており、前記モード設定部は、解除モード信号を受信したときに解除モードに設定することを特徴とする。
【0022】
これにより、通信装置が解除モードに設定されると、業務に支障をきたすことなく使用でき、制限モードでは、電話の発信やメールの送信が制限されるので、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0023】
本発明の方法は、通信回線と接続されて他の通信装置と通信を行う通信装置と、前記通信装置と通信を行うセンタ装置とを備える通信システムで実行される方法であって、前記通信装置では、前記通信装置の動作モードとして、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードが設定され、前記センタ装置では、前記通信装置のユーザの勤務状態情報と前記動作モードとを対応付けた動作テーブルが記憶されており、前記方法は、前記センタ装置が、前記通信装置のユーザの勤務状態情報を取得し、前記取得した勤務状態情報と前記動作テーブルとを比較して、前記通信装置が設定すべき動作モードの判定を行い、前記判定結果に基づいて、前記通信装置にモード設定信号を送信し、前記通信装置が、前記モード設定信号に基づいて前記動作モードを設定するものである。
【0024】
また、本発明の方法は、通信回線と接続され、他の通信装置と通信を行う通信装置で実行される方法であって、前記通信装置では、前記通信装置の動作モードとして、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードが設定され、前記通信装置のユーザの勤務状態情報と前記動作モードとを対応付けた動作テーブルが記憶されており、前記方法は、前記通信装置のユーザの勤務状態情報を取得することと、前記取得した勤務状態情報と前記動作テーブルとを比較して、前記通信装置が設定すべき動作モードの判定を行うことと、前記判定結果に基づいて前記動作モードを設定することと、を含むものである。
【0025】
また、本発明のプログラムは、通信回線と接続され、他の通信装置と通信を行う通信装置で実行されるプログラムであって、前記通信装置では、前記通信装置の動作モードとして、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される制限モード、または、前記情報送信の制限が解除される解除モードが設定され、前記通信装置のユーザの勤務状態情報と前記動作モードとを対応付けた動作テーブルが記憶されており、前記プログラムは、コンピュータに、前記通信装置のユーザの勤務状態情報を取得する処理と、前記取得した勤務状態情報と前記動作テーブルとを比較して、前記通信装置が設定すべき動作モードの判定を行う処理と、前記判定結果に基づいて前記動作モードを設定する処理と、を実行させるものである。
【0026】
これらの方法やプログラムによっても、上記の通信装置や通信システムと同様に、例えば、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」でない場合、通信装置が制限モードに設定され、ユーザ入力に基づく情報送信が制限される。一方、通信装置のユーザの勤務状態が「対処」である場合、通信装置が解除モードに設定され、情報送信の制限が解除される。これにより、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、通信装置の業務以外の不正利用を禁止することができ、また、通信装置からの情報漏洩を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態の通信装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視対象である施設や建物の防犯システム等に用いられる通信装置の場合を例示する。以下に説明するように、本実施の形態の通信装置は種々の機能を備えている。これらの機能は、通信装置のメモリに格納されたプログラムによって実現することができる。
【0030】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態の通信装置が適用される防犯システムについて、図面を参照しながら説明しておく。
図1は、本実施の形態の警備システムの説明図である。
図1に示すように、本実施の形態の防犯システムでは、警備員Pがユーザとして通信装置(携帯端末やスマートフォンなど)を所持している。通信装置は、インターネット網や移動体通信回線などの通信回線NWに接続されており、監視センタCに設置されているセンタ装置(外部装置)や、他の警備員Pが所持している他の通信装置と通信可能である。
【0031】
そして、監視対象である施設や邸宅(以下、「物件」という)100に設置されているセンサーや監視カメラ(図示せず)から、監視センタCへ異常発生の通報が行われると、監視センタCから警備員Pの所持する通信装置に対して「対処」の指示が送られる。警備員Pは、通信装置を用いて監視センタCとの連絡や連携をとりながら、物件100で発生した異常(不審者の侵入、火災の発生など)に対処する。
【0032】
ここで、通信装置のユーザである警備員Pの勤務状態について説明しておく。警備員Pの勤務状態(勤務開始から勤務終了までの状態)は、「対処」している状態と「対処」していない状態とに大別される。対処している状態には、現場で「対処」を行っている状態のほか、現場へ「移動」している状態も含まれる。また、対処していない状態には、事業所で「待機」をしている状態や、「休憩」をしている状態などが含まれる。
【0033】
通信装置の状態についても説明しておくと、通信装置は、警備員Pが勤務開始したときにその警備員Pとの紐付け(警備員Pと該当通信装置との紐付け)が行われ、その通信装置が「使用可」の状態になる。そして、その警備員Pが勤務終了すると、その警備員Pとの紐付けが切断され、通信装置は「使用不可」の状態になり、他の警備員Pとの紐付けが可能な状態になる。通信装置が使用可/使用不可になるときに、監視センタCに警備員IDと端末IDが送られ、どの警備員Pがどの通信装置を使用しているかが管理される。
【0034】
つぎに、本実施の形態の通信装置の構成を、図面を参照して説明する。
図2は、本実施の形態の通信装置のブロック図である。
図2に示すように、通信装置1は、制御部2とタッチパネル3と通信部4と記憶部5を備えている。制御部2は、モード設定部6と判定部7と勤務状態取得部8を備えている。また、タッチパネル3は、表示部9と操作部10で構成されている。
【0035】
表示部9は、種々の情報(例えば、監視センタCから送信される指示情報など)を表示する機能を備えている。また、操作部10は、警備員Pが通信装置1の入力を行う機能を備えている。この操作部10は、警備員Pが自己の勤務状態(例えば「対処」など)を入力するのに用いられる。勤務状態取得部8は、操作部10から入力された勤務状態の情報を取得する機能を備えている。
【0036】
モード設定部6は、二つの動作モード(制限モードと解除モード)を設定する機能を有している。制限モードは、警備員Pの入力に基づく情報送信が制限されるモードであり、警備員Pが「対処」をしていないときに設定される。制限モードには、第1の制限モードと第2の制限モードが含まれる。第1の制限モードでは、電話の発信およびメールの送信が制限され、電話の着信およびメールの受信は制限されない。この第1の制限モードは、例えば、警備員Pが「待機」をしているときに設定される。第2の制限モードでは、電話の発着信およびメールの送受信が制限される。この第2の制限モードは、例えば、警備員Pが「休憩」をしているときに設定される。なお、制限モードであっても、特定の相手(事前に設定しておいた電話番号やメールアドレス)や緊急通報用の電話番号(110番や119番など)への電話の発信やメールの送信は制限されない。一方、解除モードは、ユーザ入力に基づく情報送信の制限が解除されるモードであり、警備員Pが「対処」をしているときに設定される。
【0037】
記憶部5には、勤務情報である勤務開始時間や勤務終了時間が記憶されている。これら勤務情報は予め事業所や監視センタCにて入力されてもよいし、警備員Pが勤務開始時や勤務終了時に操作部10を介して入力されてもよい。また、勤務状態情報と動作モードとを対応付けた動作テーブルが記憶されている。例えば、動作テーブルでは、「対処」と「解除モード」が対応付けられており、「待機」や「休憩」が「制限モード」と対応付けられている。制限モードは、制限の範囲が多段階(例えば2段階)に設定されていてもよい。本実施の形態では、「待機」が「第1の制限モード」に対応付けられており、「休憩」が「第2の制限モード」に対応付けられている。
【0038】
判定部7は、勤務状態取得部8が取得した勤務状態情報と記憶部5に記憶されている動作テーブルとを比較して、通信装置1に設定すべき動作モードの判定を行う。例えば、勤務状態が「対処」である場合には「解除モード」に設定すべきであると判定する。また、勤務状態が「待機」である場合には「第1の制限モード」に設定すべきであると判定する。また、勤務状態が「休憩」である場合には「第2の制限モード」に設定すべきであると判定する。モード設定部6は、この判定部7の判定結果に従って、通信装置1の動作モードを設定する。
【0039】
以上のように構成された第1の実施の形態の通信装置1について、
図3のフロー図を参照してその動作を説明する。
【0040】
図3に示すように、本実施の形態の通信装置1は、初期設定(デフォルト設定)として、制限モードに設定されており、警備員Pの入力に基づく情報送信(例えば、電話の発信およびメールの送信)が制限されている(S10)。この通信装置1で、警備員Pが勤務情報である勤務開始および警備員IDを操作部10から入力すると(S11)、当該通信装置1が「使用可」の状態となる(S12)。制御部2は入力された警備員P(警備員ID)と当該通信装置1との紐付けを行い(S13)、記憶部5に記憶させるとともに通信部4を介して監視センタCに警備員IDと端末ID(通信装置1)が送信される。
【0041】
警備員Pによって、自己の勤務状態を操作部10から入力されると(S14)、勤務状態取得部8にて勤務状態情報として取得される(S15)。判定部7は取得された勤務状態情報に基づき動作モードの判定を行う(S16)。
【0042】
例えば、上述のように、勤務状態が「対処」と入力された場合には通信装置1の動作モードを「解除モード」に設定すべきであると判定される。また、勤務状態が「待機」と入力された場合には「第1の制限モード」に設定すべきであると判定される。また、勤務状態が「休憩」と入力された場合には「第2の制限モード」に設定すべきであると判定される。そして、これらの判定結果に基づいて動作モードが設定される(S17)。
【0043】
警備員Pが勤務情報である勤務終了および警備員IDを操作部10から入力すると(S18)、当該通信装置1が「使用不可」の状態となる(S19)。制御部2は入力された警備員P(警備員ID)と当該通信装置1との紐付けを切断し(S20)、記憶部5に記憶された警備員IDと警備員P(警備員ID)と当該通信装置1との紐付けを消去せるとともに通信部4を介して監視センタCに警備員IDと端末ID(通信装置1)が送信される。こうして、当該通信装置1は他の警備員Pとの紐付けが可能となる。
【0044】
このような第1の実施の形態の通信装置1によれば、通信装置1の業務以外の不正利用を禁止することができ、また、通信装置1からの情報漏洩を防ぐことができる。
【0045】
すなわち、本実施の形態では、例えば、通信装置1の警備員Pの勤務状態が「対処」でない場合、通信装置1が制限モードに設定され、警備員Pの入力に基づく情報送信が制限される。一方、通信装置1の警備員Pの勤務状態が「対処」である場合、通信装置1が解除モードに設定され、情報送信の制限が解除される。これにより、通信装置1の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0046】
また、本実施の形態では、操作部10からの警備員Pの入力に基づいて、通信装置1を携帯する警備員Pの勤務情報や勤務状態を把握することができ、通信装置1の使用可否を勤務時間に応じて、また動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、制限モードを段階的に設定することができる。例えば、警備員Pの勤務状態が「待機」である場合、通信装置1が第1の制限モードに設定される。第1の制限モードでは、電話の発信やメールの送信が制限されるので、通信装置1の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。ただし、第1の制限モードでは、電話の着信やメールの受信は制限されない。したがって、例えば、監視センタCなどからの電話やメールによる緊急の連絡を受けることができる。
【0048】
また、警備員Pの勤務状態が「休憩中」である場合、通信装置1が第2の制限モード(第1の制限モードより厳しいモード)に設定される。第2の制限モードでは、電話の発着信やメールの送受信が制限されるので、通信装置1の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0049】
(変形例)
図4には、第1の実施の形態の通信装置1の変形例の構成が示されている。
図4に示すように、通信装置1は、位置情報取得部11と勤務状態推定部12を備えてもよい。
【0050】
位置情報取得部11は、GPSなどを利用して、通信装置1の現在位置の情報(現在位置情報)を取得する機能を有している。勤務状態推定部12は、通信装置1の現在位置情報から、その通信装置1を携帯する警備員Pの勤務状態を推定する機能を備えている。例えば、警備員Pの現在位置が「事業所」である場合、その警備員Pの勤務状態が「待機」または「休憩」であると推定される。また、警備員Pの現在位置が「物件100」や「物件100へのルート上」である場合には、その警備員Pの勤務状態が「対処」であると推定される。
【0051】
このような変形例によっても、上記の第1の実施の形態の通信装置1と同様の作用効果が奏される。さらに、この変形例によれば、通信装置1の現在位置に基づいて、その通信装置1の警備員Pの勤務状態を推定することができ、通信装置1の動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の通信装置について説明する。ここでは、第2の実施の形態の通信装置が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0053】
本実施の形態の通信システムの構成を、図面を参照して説明する。本実施の形態の通信システムは、通信装置20とセンタ装置30で構成される。
図5は、本実施の形態の通信装置20とセンタ装置30のブロック図である。
図5に示すように、通信装置20は、制御部21とタッチパネル22と通信部23と位置情報取得部24を備えている。制御部21には、モード設定部25が備えられている。また、タッチパネル22は、表示部26と操作部27で構成されている。一方、センタ装置30は、制御部31と通信部32と記憶部33を備えている。制御部31には、判定部34と勤務状態取得部35と勤務状態推定部36が備えられている。
【0054】
通信装置20の位置情報取得部24は、GPSなどを利用して、通信装置1の現在位置の情報(現在位置情報)を取得する機能を有しており、通信部23は、位置情報取得部24が取得した現在位置情報を監視センタCに設けたセンタ装置30に送信する機能を有している。
【0055】
センタ装置30の通信部32は、通信装置20から送信された現在位置情報を受信する機能を有しており、勤務状態推定部36は、通信装置20の現在位置情報(通信装置20から受信した現在位置情報)から、その通信装置20の警備員Pの勤務状態を推定する機能を備えている。勤務状態取得部35は、勤務状態推定部36によって推定された勤務状態の情報(勤務状態情報)を取得する。
【0056】
記憶部33には、第1の実施の形態の記憶部5と同様、警備員Pの勤務情報や勤務状態情報と動作モードとを対応付けた動作テーブルが記憶されている。なお、記憶部33には物件の警備モードや異常情報などが時間とともに記憶されている。そして、判定部34は、第1の実施の形態の判定部7と同様、勤務状態取得部35が取得した勤務状態情報と記憶部33に記憶されている動作テーブルとを比較して、通信装置20に設定すべき動作モードの判定を行う。
【0057】
センタ装置30の通信部32は、判定部34の判定結果に応じたモード設定信号を通信装置20に送信する。例えば、判定部34が「制限モード」に設定すべきであると判定した場合には、「制限モード」に設定すべき旨のモード設定信号を送信する。また、判定部34が「解除モード」に設定すべきであると判定した場合には、「解除モード」に設定すべき旨のモード設定信号を送信する。通信装置20の通信部23は、センタ装置30から送信されたモード設定信号を受信する機能を備えている。そして、通信装置20のモード設定部25は、モード設定信号に従って、通信装置20の動作モードを設定する。
【0058】
以上のように構成された第2の実施の形態の通信システム(通信装置20とセンタ装置30)について、
図6のシーケンス図を参照してその動作を説明する。
【0059】
図6に示すように、本実施の形態の通信装置20も、初期設定(デフォルト設定)として、制限モードに設定されており、警備員Pの入力に基づく情報送信(例えば、電話の発信およびメールの送信)が制限されている(S21)。勤務開始の入力などは
図3のステップ11から13と同様である。通信装置20は、自己の現在位置情報を取得すると(S22)、取得した現在位置情報をセンタ装置30へ送信する(S23)。
【0060】
センタ装置30は、通信装置20から現在位置情報を受信すると、その現在位置からその通信装置20を携帯している警備員Pの勤務状態を推定する(S24)。そして、推定した勤務状態と予め記憶してある動作テーブルに基づいて、その通信装置20で設定されるべき動作モードを判定し(S25)、判定した動作モードに応じたモード設定信号を通信装置20に送信する(S26)。
【0061】
通信装置20は、センタ装置30からモード設定信号を受信すると、そのモード設定信号に応じて動作モードの設定を行う(S27)。例えば、その通信装置20が「制限モード」に設定されているときに、「解除モード」に設定すべき旨のモード設定信号を受信すると、動作モードを「制限モード」から「解除モード」に変更する。なお、勤務終了の入力などは
図3のステップ18から20と同様である。
【0062】
このような第2の実施の形態の通信システムによっても、第1の実施の形態の通信装置1と同様の作用効果が奏される。すなわち、通信装置20の業務以外の不正利用を禁止することができ、また、通信装置20からの情報漏洩を防ぐことができる。
【0063】
本実施の形態でも、例えば、通信装置20の警備員Pの勤務状態が「対処」でない場合、通信装置20が制限モードに設定され、警備員Pの入力に基づく情報送信が制限される。一方、通信装置20を携帯している警備員Pの勤務状態が「対処」である場合、通信装置20が解除モードに設定され、情報送信の制限が解除される。これにより、通信装置20の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施の形態でも、通信装置20の現在位置に基づいて、その通信装置20を携帯している警備員Pの勤務状態を推定することができ、通信装置20の動作モードを勤務状態に応じて適切に設定することができる。
【0065】
また、本実施の形態でも、制限モードを段階的に設けることができる。例えば、通信装置20を携帯している警備員Pの勤務状態が「待機」である場合、通信装置20が第1の制限モードに設定される。第1の制限モードでは、電話の発信やメールの送信が制限されるので、通信装置20の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。ただし、第1の制限モードでは、電話の着信やメールの受信は制限されない。したがって、例えば、監視センタCなどからの電話やメールによる緊急の連絡を受けることができる。
【0066】
また、通信装置20を携帯している警備員Pの勤務状態が「休憩中」である場合、通信装置20が第2の制限モード(第1の制限モードより厳しいモード)に設定される。第2の制限モードでは、電話の発着信やメールの送受信が制限されるので、通信装置20の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0068】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態の警備システムに適用した通信システムについて説明する。本実施の形態の通信システムの構成を、図面を参照して説明する。本実施の形態の通信システムは、警備装置40、通信装置50とセンタ装置60で構成される。
【0069】
図7は、本実施の形態の通信システムを構成する警備装置40、通信装置50とセンタ装置60のブロック図である。
【0070】
本発明の第3の実施の形態は、センタ装置60にて勤務状態を判断し通信装置50に勤務状態の信号を送信することを特徴とする。
【0071】
図7に示すように、監視対象である物件100には、侵入や火災の発生を検知するセンサ41、顧客が物件100の警備モード(警備セットモード、警備解除モード)を状況に応じて設定する警備モード設定部42、これらセンサ41と警備モード設定部42と接続され、物件100の警備状況(警備モードや異常発生)を通信回線NWを介して監視センタC(センタ装置30)に送信する警備装置40が設置されている。警備装置40には通信回線NWを介してセンタ装置60に各種情報を送信する送信部43が備えて構成される。
【0072】
通信装置50は、制御部51、表示部52と通信部53を備えて構成される。制御部51は、通信部53を介してセンタ装置60から送信される動作モード信号を受信し、当該通信装置50の動作モードを制限モードまたは解除モードに設定するモード設定部54を有している。表示部52はセンタ装置60からの指示を警備員Pに対して表示する機能を有している。
【0073】
センタ装置60は、制御部61、入力部62、通信部63と記憶部64を備えて構成される。制御部61は、通信部63を介して物件100の警備モードを受信する警備モード受信部65と、対処すべきか否かを判定する判定部66と、動作モード指示部67および計時部68を備えて構成される。入力部62は、警備員Pの勤務情報に関する情報を入力する機能を有する。
【0074】
通信部63は、警備装置40や通信装置50からの各種情報(信号)を受信したり、通信装置50へセンタ装置60の情報(信号)を送信したりする。記憶部64は、入力部62から入力された各種情報や警備装置40から送信された物件100の警備モード信号や異常信号を記憶する。また、警備員Pの勤務状態情報と通信装置50の動作モードを対応付けた動作テーブルが記憶される。
【0075】
警備モード受信部65は、顧客により物件100の警備モードが警備装置40で警備セットモードや警備解除モードに設定されたり、警備員Pにより警備装置40にて巡回モードに設定されたりする警備モード信号を送信部43、通信回線NW、通信部63などを介して送付される警備モード信号を受信する。
【0076】
判定部66は、記憶部64から警備員Pの勤務情報つまり勤務開始時刻を読み出し、計時部68から現在の時刻を読み出して勤務開始時刻になれば該当する通信装置50に使用可の情報を、勤務終了時刻になれば使用不可の情報を通信部63から通信装置50に対して送信させる。
【0077】
また、判定部66は、物件100のセンサなどの検知信号や非常信号、警備モード信号などを警備装置40から通信回線NWと通信部63を介して受信すると、警備員Pを物件100に対処すべきか否かを判定する。
【0078】
動作モード指示部67は、判定部66にて判定された結果を受信して、「対処」即ち物件100が異常であれば通信装置50の動作モードを「解除モード」に、「対処終了」即ち物件100が正常に復旧であれば通信装置50の動作モードを「制限モード」にすべく、動作モード信号を通信部63を介して当該通信装置50に送信する。
【0079】
以上のように構成された第3の実施の形態の通信システムについて、
図8のシーケンス図を参照してその動作を説明する。
【0080】
まず、センタ装置60では、入力部62を介して警備員Pの勤務情報を入力する(S40)。例えば、勤務情報として、当日の勤務する警備員Pの名前、警備員ID、貸与する端末ID(通信装置50)、勤務する事業署名、勤務する時間帯つまり勤務開始時刻、勤務終了時刻(勤務時間でも良い)を入力する。ここでは説明の便宜上、センタ装置60で一括して入力するものとするが、これは事業所ごとに入力するようにしてもよい。これらの入力により警備員P(警備員ID)と貸与される端末ID(通信装置50)とが紐付けられる(S41)。
【0081】
制御部61は、入力された警備員Pの勤務開始時間を取得し(S42)、計時部68から現在の時刻を読み出して一致した場合に、当該警備員Pと紐付けられた通信装置50に勤務開始信号を送信する(S43)。これにより、通信装置50は、以後「使用可」となる(S44)。
【0082】
本実施の形態の通信装置50では、「使用可」となっても、初期設定(デフォルト設定)が制限モードに設定されており、電話の発信やメールの送信が制限されている(S45)。この場合、電話の着信やメールの受信は制限されないので、例えば、監視センタCなどからの電話やメールによる緊急の連絡を受けることができる。また、電話の着信やメールの受信も制限してもよく、これらの制限項目は適宜設定すればよい。
【0083】
警備装置40では、顧客により監視対象の物件100が、例えば警備セットモードに設定された場合(S46)、警備セットモード信号を通信回線NWを介してセンタ装置60に送信する(S47)。警備モード信号受信部65は、通信部63を介して警備セットモード信号を受信すると、記憶部64に当該物件100の警備モードが警備セットモードであることを記憶させる。
【0084】
警備装置40は、物件100内に設置されたセンサ41が異常を検出すると(S48)、センタ装置60に異常信号を送信する(S49)。なお、警備装置40は、侵入センサ41が異常を検知したとき、物件100の警備モードが警備セットモードに設定されていれば、センタ装置60に異常信号を送信するが、警備解除モードに設定されている場合には、異常発生とは判断せずセンタ装置60には異常信号を送信しない。ただし、物件100内が警備解除モードに設定されている場合であったとしても、火災センサ41の異常検知や非常ボタン(図示せず)の押下による非常信号の検出のときには異常発生として、異常信号をセンタ装置60に送信する。
【0085】
判定部66は、通信部63を介して異常信号を受信すると、警備員Pに対し、通信装置50を介して当該物件100への対処を指示する。また、判定部66は記憶部64に記憶されている動作テーブルから通信装置50の動作モードを「解除モード」に設定すると判定し(S50)、同様に通信装置50に解除モード設定信号を送信する(S51)。このとき、判定部66は記憶部64に当該物件100の警備ステータスが異常状態(異常の種別含む)であることを記憶させる。
【0086】
なお、2つの信号(対処指示信号と解除モード設定信号)を送信することで説明するが、対処指示信号だけでもよい。つまり、通信装置50は、対処指示信号を受信すると当該通信装置50を解除モードに設定するように予め定めておけばよい。
【0087】
警備員Pの所持する通信装置50は、モード設定部54によって「解除モード」に設定される(S52)。警備員Pは、当該物件100に対処する指示を受けるとすみやかに物件100に向かう。そして、警備員Pが物件100に到着するとこれから物件100の内外の点検・確認を実施するため警備モード設定部42を操作して巡回モードに設定する。この操作入力によって、物件100の警備モードは警備セットモード(異常発生)から巡回モードに設定され、巡回モード信号が送信部43を介してセンタ装置60に送信される。
【0088】
その後、警備員Pの物件100内における適切な対処によって異常から復旧した場合、つまり警備員Pは当該物件が正常状態に維持されていると判断した場合には、警備員は警備装置40にて警備セット操作を行うことで再度当該物件を巡回モードから警備セットモードに設定する(S53)。この警備セットモード信号(つまり、復旧信号)は上記と同様にセンタ装置60に送信される(S54)。
【0089】
なお、巡回モードの警備モードを有していない警備システムにおいては、例えば警備セットモードで侵入異常状況が発生し、その後警備員Pの適切な対処により侵入異常状況がなくなり正常に復旧するとセンタ装置70の当該物件の警備状況が警備セットモードとなる。これによって、監視センタCの監視員は警備員Pによる物件対処が終了したと判定する。
【0090】
警備モード受信部65は、警備セットモード信号(復旧信号)を受信すると、記憶部64に記憶されている動作テーブルから通信装置50の動作モードを「制限モード」と判定する(S55)。そして、通信部63を介して通信装置50のモード設定部54に制限モード設定信号を送信する(S56)。こうして、通信装置50は、動作モードを制限モードに設定する(S57)。
【0091】
制御部61は、記憶部64から警備員Pの勤務終了時間を取得し(S58)、計時部68から現在の時刻を読み出して一致した場合に、当該警備員Pと紐付けられた通信装置50との紐付けを切断し(S59)、勤務終了信号を通信装置50に送信する(S60)。これにより、通信装置50は、「使用不可」となる(S61)。
【0092】
このような第3の実施の形態の通信システムによっても、第1または第2の実施の形態の通信装置1、20と同様の作用効果が奏される。すなわち、通信装置70の業務以外の不正利用を禁止することができ、また、通信装置70からの情報漏洩を防ぐことができる。