特許第6185714号(P6185714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6185714-金属コイルの管理方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185714
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】金属コイルの管理方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20170814BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20170814BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65G1/137 E
   G06K7/10 244
   G06K19/077 220
   G06K19/077 248
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-265627(P2012-265627)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-108890(P2014-108890A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年9月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000159618
【氏名又は名称】吉川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】布田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】澤田 喜久三
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−192161(JP,A)
【文献】 特開2009−087193(JP,A)
【文献】 特開平04−298492(JP,A)
【文献】 特開平07−172762(JP,A)
【文献】 特開2007−230717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/10
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属コイルを管理する方法であって、
RFIDタグに金属コイルを識別する固有情報を保持させる工程と、
前記金属コイルの中心軸に沿って形成されている空洞内に前記RFIDタグを設置するタグ設置工程と、
前記RFIDタグから読み出した前記固有情報を用いて、前記金属コイルを特定する特定工程とを備え、
前記特定工程が、前記中心軸の延在方向を揃えて並べられた複数の前記金属コイルにそれぞれ設置された前記RFIDタグのうち少なくとも1つから前記固有情報を読み出し、読み出した前記固有情報を用いて前記金属コイルを特定する工程であり、読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイルの空洞の端部と電波リーダーとの距離および前記電波リーダーの電波を供給する位置と読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイルの中心軸の延在方向との距離を調節し、前記RFIDタグと前記電波リーダーとの情報の通信に極超短波を用い、前記電波リーダーの電波を供給する位置を、1つのRFIDタグからの情報のみが前記電波リーダーによって読み出され、かつ他のRFIDタグからの情報が電波干渉されるようになるまで前記金属コイルに近づけながら前記固有情報を読み出すことを特徴とする金属コイルの管理方法。
【請求項2】
前記タグ設置工程と前記特定工程との間に、前記金属コイルを移動させる移動工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属コイルの管理方法。
【請求項3】
前記移動工程が、前記金属コイルを移動させながら、前記金属コイルを移動させる移動手段に取り付けられた電波リーダーに、前記RFIDタグから前記固有情報を読み出させ、得られた前記固有情報を用いて前記金属コイルを特定する移動時特定工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の金属コイルの管理方法。
【請求項4】
前記タグ設置工程と前記特定工程との間に、前記金属コイルを梱包する梱包工程を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
【請求項5】
前記金属コイルが、鋼材からなるものであり、直径2600mm以下、前記空洞の直径610mm〜800mmのものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
【請求項6】
電波リーダーを前記空洞の略延在方向に沿って配置して、前記RFIDタグから前記固有情報を読み出すことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属コイルの管理方法に関し、特に、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイルの移動を容易に高精度で管理できる金属コイルの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板の巻取コイルなどの金属コイルは、一般に、製造後、梱包されて、工場内の製品置場に設けられた所定の置場番地で保管される。そして、出荷時に、出荷される巻取コイルが、出荷されるべき所定の製品であることを確認する製品照合を行なってから、出荷される。
従来、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイルの移動を管理する方法として、バーコードを用いる方法が用いられていた。
【0003】
また、薄鋼板などのコイルを工場内で保管する場合の置場管理を行う現品置場管理システムとして、バーコードまたはRFID(電波による固体識別)タグを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−195583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、バーコードを用いて、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイルの移動を管理する方法としては、具体的には、例えば、以下に示す方法が行われていた。
まず、製造後の金属コイルそのものや、金属コイルを結束する結束部材などの外面から確認できる場所に、製品番号などに対応する個々の金属コイルを識別するバーコードの記載されたラベルを貼り付ける。そして、金属コイルを梱包する際に、バーコードの記載されたラベルを一旦はがし、金属コイルの中心軸周辺に形成されている空洞内に再度貼り付ける。その後、工場内の製品置場の所定の置場番地に金属コイルを搬送し、所定の番地に配置された金属コイルが、その置場番地で保管されるべき所定の金属コイルであることを、ラベルに記載されたバーコードを読み取って特定し、確認する。また、出荷時に行う製品照合においても、出荷される巻取コイルが、出荷されるべき所定の製品であることを、ラベルに記載されたバーコードを読み取って特定し、確認する。
【0006】
しかしながら、バーコードを用いて工場内での金属コイルの移動を管理する場合、所定の金属コイルであることを、ラベルに記載されたバーコードを読み取って特定するため、以下に示す問題があった。
すなわち、ラベルに記載されたバーコードを読み取るためには、バーコードリーダを、外部に露出されている特定の1つの読み取りたいバーコードに近接して対向させる必要がある。したがって、読み取りたいバーコードを1つずつバーコードリーダで読み取らなければならないし、読み取る際のバーコードとバーコードリーダとの位置関係の条件も厳しいものであった。このため、バーコードを用いて工場内での金属コイルの移動を管理する場合、バーコードの読み取りに手間がかかり、しかも、金属コイルを特定する作業の自動化や作業効率の向上が困難であった。
【0007】
また、バーコードを読み取るためには、バーコードが外部に露出されていなければならないため、製造してから出荷するまでの間に、製造後に最初に金属コイルに貼り付けられた位置では、ラベルに記載されたバーコードが読み取れなくなってしまう場合があった。例えば、金属コイルを梱包することによってバーコードが梱包材に覆われてしまう場合、バーコードが読み取れなくなるので、バーコードの記載されたラベルを一旦はがして外部に露出された位置に再度貼り付けるか、または同じバーコードの記載された別のラベルを用意して梱包後に外部に露出された位置に貼り付ける必要があった。
【0008】
また、製造後に最初に金属コイルに貼り付けられたラベルが汚れたり傷ついたりして、バーコードが読み取れなくなる場合あった。この場合、同じバーコードの記載された別のラベルを用意して、再度、金属コイルにラベルを貼り付ける必要があった。
このように、バーコードの記載されたラベルを一旦はがして再度貼り付けたり、同じバーコードの記載された別のラベルを貼り付けたりすると、バーコードと個々の金属コイルとの組み合わせの信頼性が低下する。このため、バーコードを用いて工場内での金属コイルの移動を管理する場合、管理の精度を向上させることは困難であった。
【0009】
バーコードを用いた場合の問題を解決するために、バーコードに代えてRFIDタグを用い、RFIDタグに、製品番号などに対応する個々の金属コイルを識別する情報を保持させて工場内での金属コイルの移動を管理することが考えられる。
電波リーダーを用いてRFIDタグに保持された情報を読み取る場合、電波リーダーとRFIDタグとの距離を、バーコードリーダとバーコードとの距離と比較して離すことができ、しかも、電波リーダーを用いて複数のRFIDタグに保持された情報を同時に読み取ることができる。
【0010】
しかし、金属コイルは、RFIDタグと電波リーダーとの間の電波の妨げになるものである。このため、RFIDタグに保持された情報が読み取りにくく、RFIDタグと電波リーダーとの間での通信不良により、金属コイルを特定できない場合があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイルの移動を容易に高精度で管理できる金属コイルの管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決するため検討を重ねた。その結果、金属コイルの中心軸に形成されている空洞内にRFIDタグを設置し、空洞内のRFIDタグと通信される電波への干渉を、空洞壁面を形成している金属コイルによって制御すればよいことを見出した。より詳細には、金属コイルの空洞内にRFIDタグを設置した場合、RFIDタグと通信される空洞の幅方向の電波は金属コイルによって妨げられるが、空洞の長さ方向である金属コイルの幅方向の電波は金属コイルによって妨げられにくい。このことにより、RFIDタグと電波リーダーとの間で通信される情報が誤認識されることを防止でき、金属コイルを容易に特定でき、高精度で管理できることが分かり、本発明を想到した。
【0013】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)金属コイルを管理する方法であって、RFIDタグに金属コイルを識別する固有情報を保持させる工程と、前記金属コイルの中心軸に沿って形成されている空洞内に前記RFIDタグを設置するタグ設置工程と、前記RFIDタグから読み出した前記固有情報を用いて、前記金属コイルを特定する特定工程とを備え、前記特定工程が、前記中心軸の延在方向を揃えて並べられた複数の前記金属コイルにそれぞれ設置された前記RFIDタグのうち少なくとも1つから前記固有情報を読み出し、読み出した前記固有情報を用いて前記金属コイルを特定する工程であり、読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイルの空洞の端部と電波リーダーとの距離および前記電波リーダーの電波を供給する位置と読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイルの中心軸の延在方向との距離を調節し、前記RFIDタグと前記電波リーダーとの情報の通信に極超短波を用い、前記電波リーダーの電波を供給する位置を、1つのRFIDタグからの情報のみが前記電波リーダーによって読み出され、かつ他のRFIDタグからの情報が電波干渉されるようになるまで前記金属コイルに近づけながら前記固有情報を読み出すことを特徴とする金属コイルの管理方法。
【0014】
(2)前記タグ設置工程と前記特定工程との間に、前記金属コイルを移動させる移動工程を含むことを特徴とする(1)に記載の金属コイルの管理方法。
(3)前記移動工程が、前記金属コイルを移動させながら、前記金属コイルを移動させる移動手段に取り付けられた電波リーダーに、前記RFIDタグから前記固有情報を読み出させ、得られた前記固有情報を用いて前記金属コイルを特定する移動時特定工程を含むことを特徴とする(2)に記載の金属コイルの管理方法。
【0015】
(4)前記タグ設置工程と前記特定工程との間に、前記金属コイルを梱包する梱包工程を含むことを特徴とする(1)〜()のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
(5)前記金属コイルが、鋼材からなるものであり、直径2600mm以下、前記空洞の直径610mm〜800mmのものであることを特徴とする(1)〜()のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
(6)電波リーダーを前記空洞の略延在方向に沿って配置して、前記RFIDタグから前記固有情報を読み出すことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の金属コイルの管理方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の金属コイルの管理方法は、RFIDタグに金属コイルを識別する固有情報を保持させる工程と、金属コイルの中心軸に形成されている空洞内に前記RFIDタグを設置するタグ設置工程と、RFIDタグから読み出した前記固有情報を用いて、前記金属コイルを特定する特定工程とを備えているので、空洞内のRFIDタグと通信される電波への干渉を、空洞壁面を形成している金属コイルによって制御でき、空洞内のRFIDタグとの通信の信頼性に優れた管理方法となる。
しかも、本発明の金属コイルの管理方法では、RFIDタグを金属コイルの空洞以外の場所に設置する場合と比較して、RFIDタグが汚れたり傷ついたりしにくいので、RFIDタグの損傷に起因する通信不良が生じにくい。
【0017】
さらに、本発明の金属コイルの管理方法では、RFIDタグが梱包材によって覆われていて外部に露出されていないとしても、梱包材を介してRFIDタグに保持された情報を読み取ることができるので、梱包工程を行う際に、RFIDタグを製造後に最初に金属コイルに設置された位置から外したり、移動させたりしなくて済む。このため、梱包工程を行う際に、RFIDタグを外したり、移動させたりした場合と比較して、容易に高精度で、金属コイルを管理できる。
このように、本発明の金属コイルの管理方法は、RFIDタグとの通信の信頼性に優れ、RFIDタグの損傷に起因する通信不良が生じにくく、金属コイルを容易に高精度で管理できる方法であるので、例えば、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイルの移動の管理に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)〜(c)は、本発明の金属コイルの管理方法の一例を説明するための図であり、本発明の金属コイルの管理方法の一工程を説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の金属コイルの管理方法の一例を説明するための図であり、本発明の金属コイルの管理方法の一工程を説明するための概略斜視図である。
本実施形態においては、本発明の金属コイルの管理方法の一例として、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイル2の移動を管理する方法を例に挙げて説明する。
【0020】
本実施形態の金属コイル2の管理方法は、RFIDタグ1に金属コイル2を識別する固有情報を保持させる工程と、図1(a)に示すように、金属コイル2の中心軸に沿って形成されている空洞2a内にRFIDタグ1を設置する工程と、図1(b)に示すように、金属コイル2を移動させる移動工程と、図1(c)に示すように、RFIDタグ1から読み出した固有情報を用いて、金属コイル2を特定する工程とを備えている。
【0021】
本実施形態の管理方法において用いられるRFIDタグ1は、電波リーダー4と電波を通信するためのアンテナと、固有情報を保持するためのIC(集積回路)チップとを備えるものであり、従来公知の如何なるRFIDタグを用いてもよい。例えば、RFIDタグ1としては、電波リーダー4からの電波をエネルギー源として動作するパッシブタグ(受動タグ)と、電池を備えたアクティブタグ(能動タグ)のいずれを用いてもよい。なお、パッシブタグは、アクティブタグのように、電池を交換する手間がなく、電池残量等を管理する必要もなく、電池残量に起因する電波リーダー4との間での通信の信頼性の低下などの不都合が生じないため、金属コイル2を容易に高精度で管理でき、好ましい。
【0022】
また、RFIDタグ1のアンテナとしては、例えば、線状アンテナタイプや平面アンテナタイプのものを用いることができる。線状アンテナタイプは、アンテナに対して垂直方向および水平方向の指向性を有するものであり、薄型化が可能である。線状アンテナタイプのアンテナとしては、微小ダイポールまたはメアンダラインを用いることが好ましい。メアンダラインとしては、例えば、商品名:YS−A2AOT0〜T3吉川工業製や商品名:ベルト(Belt)UPM社製、商品名:コンボ(combo)UPM社製などが挙げられる。また、平面アンテナタイプは、アンテナに対して垂直方向の指向性を有するものであり、金属の影響を受けにくく、小型化が可能である。平面アンテナタイプは、垂直方向の指向性を有するものであるので、平面アンテナタイプのアンテナを備えるRFIDタグ1を、金属コイル2の中心軸方向にアンテナを向けて金属コイル2に設置した場合、電波リーダー4との通信において金属コイル2の影響を受けにくくなるとともに、電波リーダー4から金属コイル2の中心軸方向に電波を供給した場合に、電波リーダー4からの電波の方向に強い指向性が得られ、金属コイル2を高精度で管理でき、好ましい。
【0023】
また、本実施形態の管理方法において用いられるRFIDタグ1の外面には、RFIDタグ1を金属コイル2に固定するための固定手段(図示略)が備えられていることが好ましい。RFIDタグ1が固定手段を有するものである場合、固定手段を用いてRFIDタグ1と金属コイル2とを一体化できるので、金属コイル2の移動などによってRFIDタグ1が金属コイル2から離れてしまうことを防止でき、金属コイル2の管理の信頼性をより一層向上できる。
固定手段は、RFIDタグ1を金属コイル2に固定できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、磁石や接着シートなどを挙げることができる。なお、固定手段として磁石が用いられている場合、RFIDタグ1を金属コイル2の空洞2a内に容易に設置でき、しかもRFIDタグ1を外した後に、金属コイル2に傷や跡が残りにくく、好ましい。
【0024】
本実施形態においては、RFIDタグ1に金属コイル2を識別する固有情報を保持させる。固有情報としては、金属コイル2を識別する可能な固有の情報を含むものであればよく、特に限定されないが、例えば、製品番号、金属コイル2の材料や製造履歴など金属コイル2の品質に関わる情報、金属コイル2の製品置場の置場番地など管理に関わる情報、金属コイル2の用途や出荷日などに関する情報から選ばれる1以上の情報などが挙げられる。
【0025】
RFIDタグ1に金属コイル2を識別する固有情報を保持させる方法としては、図1(a)に示すように、電波リーダー4からRFIDタグ1に固有情報に対応する電波を所定の出力強度で供給し、RFIDタグ1のアンテナで受信して、ICチップに固有情報を書き込む方法が挙げられる。
RFIDタグ1と電波リーダー4との間での情報の通信に用いられる電波としては、極超短波(UHF(ultra high frequency))を用いることが好ましい。
【0026】
電波リーダー4としては、RFIDタグ1との間での情報を通信できるものであれば、従来公知の如何なるものであってもよい。電波リーダー4としては、RFIDタグ1と電波リーダー4との間の距離に応じて、RFIDタグ1に供給する電波の出力強度を調整できるものを用いることが好ましい。また、電波リーダー4は、RFIDタグ1から読み出した固有情報を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示装置や、RFIDタグ1から読み出した固有情報を印字する印字手段を備えるものであることが好ましい。
【0027】
また、電波リーダー4は、照合処理装置(図示略)との間で情報を通信(送受信)できるものであることが好ましい。この場合、電波リーダー4は、照合処理装置からの固有情報をRFIDタグ1に書き込む書込信号を受信することにより、RFIDタグ1に所定の固有情報を書き込み、照合処理装置からの固有情報を読み出す指示信号を受信することにより、RFIDタグ1から固有情報を読み出して、得られた固有情報を照合処理装置に送信するものとされていることが好ましい。
【0028】
照合処理装置は、電波リーダー4との間で情報を送受信できるものであり、情報を記録する記録媒体を備えるPC(パーソナルコンピュータ)などからなるものである。照合処理装置の記録媒体には、本実施形態の管理方法を用いて管理される全ての金属コイルにそれぞれ設置されるRFIDタグに保持されている固有情報の全てが、記録されている。
【0029】
照合処理装置は、電波リーダー4に、特定の金属コイル2に対応する特定の固有情報をRFIDタグ1に書き込む書込信号および、特定の金属コイル2に設置された特定のRFIDタグ1から固有情報を読み出す指示信号を送信するものであり、電波リーダー4から送信された特定のRFIDタグ1から読み出された固有情報の信号を、電波リーダー4から受信するものである。本実施形態においては、照合処理装置は、電波リーダー4から固有情報の信号を受信すると、受信した固有情報が、指示信号において読み出すことを指示した特定の金属コイル2に対応する記録媒体に記録されている特定の固有情報と一致するか否かを照合するものとされている。
【0030】
また、照合処理装置は、電波リーダー4との間で送受信される情報、記録媒体に記録された固有情報、照合の結果などを表示する液晶ディスプレイ等からなる表示装置を備えるものであることが好ましい。また、照合処理装置が表示装置を備えるものである場合、照合の結果に基づいて特定の金属コイル2の工場内での現在地を表示可能とされていることが好ましい。表示装置に代えてまたは表示装置とともに、電波リーダー4との間で送受信される情報、記録媒体に記録された固有情報、照合の結果などを印字する印字手段が備えられていてもよい。
【0031】
本実施形態の管理方法を用いて管理される金属コイル2としては、熱延コイルなどの鋼材からなるものが挙げられる。なお、金属コイル2は、鋼材からなるものに限定されるものではなく、Al、Al合金、ステンレス、チタンなど他の金属材料からなるものであってもよい。また、図1(a)に示す金属コイル2は、圧延後の金属帯を巻き取って結束部材(図示略)で結束された状態のものであり、梱包される前のものである。
【0032】
図1に示す金属コイル2は、円筒形状であり、金属コイル2の中心軸に沿って空洞2aが形成されているものである。金属コイル2の寸法は特に限定されるものではないが、直径d1が900mm〜2600mmであって、空洞2aの直径d2が610mm〜800mm(24インチ〜30インチ)のものであることが好ましい。
金属コイル2が鋼材からなるものであり、直径d1および空洞2aの直径d2が上記の範囲内である場合、空洞2aの壁面を形成している金属コイル2の厚みが充分に厚いものとなるため、RFIDタグ1と通信される空洞2aの幅方向の電波を充分に妨げることができる。よって、空洞2a内のRFIDタグ1と通信される電波への干渉を効果的に防止でき、RFIDタグ1と電波リーダー4との間で通信される情報が誤認識されることを防止できる。
【0033】
また、空洞2aの直径d2が610mm以上のものである場合、RFIDタグ1と通信される空洞2aの長さ方向(金属コイル2の幅方向)の電波が、金属コイル2によって妨げられにくいものとなるので、RFIDタグ1と電波リーダー4との間での情報の通信をより一層高精度で行うことができる。
また、金属コイル2の直径d1が2600mm以下であると、空洞内にRFIDタグの設置された金属コイルを中心軸の延在方向を揃えて複数並べた場合に、隣接する複数の金属コイル同士を容易に近づけて配置することができる。このため、隣接する複数の金属コイルのRFIDタグ1に保持された情報を、電波リーダー4を用いて容易に同時に読み取ることができ、管理の対象である金属コイル2が複数である場合に、効率よく管理できる。
【0034】
本実施形態においては、図1(a)に示すように、金属コイル2の空洞2a内にRFIDタグ1を設置する(タグ設置工程)。金属コイル2の空洞2a内にRFIDタグ1を設置する方法は、特に限定されないが、ロボットなどの自動化可能な機械装置を動作させることより行うことが好ましい。本実施形態においては、金属コイル2の空洞2a内にRFIDタグ1を設置するので、RFIDタグ1を金属コイル2の空洞2a以外の場所に設置した場合と比較して、RFIDタグ1が汚れたり傷ついたりすることを防止できるとともに、金属コイル2の移動などによってRFIDタグ1が金属コイル2から離れてしまうことを防止でき、金属コイル2の管理の信頼性をより一層向上できる。
【0035】
次に、金属コイル2を梱包する梱包工程を行う。金属コイル2を梱包する方法は、従来公知の如何なる方法を用いてもよく、特に限定されないが、自動化可能な機械装置を動作させることより行うことが好ましい。
本実施形態においては、電波リーダー4を用いてRFIDタグ1に保持された情報を読み取るので、梱包材によってRFIDタグ1が覆われていて、外部に露出されていないとしても、梱包材を介してRFIDタグ1に保持された情報を読み取ることができる。つまり、本実施形態においては、RFIDタグ1が外部に露出されていても露出されていなくても、支障なくRFIDタグ1に保持された情報を読み取ることができる。したがって、本実施形態においては、梱包工程を行う際にRFIDタグ1を、製造後に最初に金属コイル2に設置された位置から外したり、移動させたりする必要はない。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、梱包された金属コイル2を、移動手段を用いて移動させて、工場内の製品置場の所定の置場番地に設置する(移動工程)。本実施形態における製品置場の置場番地は、金属コイルの空洞の延在方向に沿う第1方向と、第1方向に平面視で直交する第2方向とによって決定される特定の位置とされている。
【0037】
金属コイル2を移動させる移動手段としては、図1(b)に示すように、クレーン(図示略)と、クレーンの下部に取り付けられたリフター3とを備えるものを用いることが好ましい。リフター3は、金属コイル2を保持しつつ上下方向に移動させるものである。図1(b)に示すように、リフター3は、リフター3をクレーンに上下方向に移動可能に取り付けるための取付部3aと、取付部3aの下部から分岐するように形成された2本のアーム31a、31bとを有している。アーム31a、31bは、金属コイル2をつかむためのものであり、図1(b)に示すように、アーム31a、31bの先端には、それぞれ金属コイル2を保持する際に金属コイル2の空洞2a内に挿入される爪32a、32bが設けられている。
【0038】
また、一方のアーム31bの爪32bには、電波リーダー4が取り付けられている。なお、図1(b)に示すリフター3では、一方のアーム31bの爪32bに電波リーダー4が取り付けられているが、電波リーダー4の移動手段への取り付け位置は、金属コイル2を吊るした状態で電波リーダー4がRFIDタグ1と通信可能である位置に取り付けられていればよく、特に限定されない。
【0039】
図1(b)に示すリフター3では、アーム31aの爪32aを空洞2aの一端側から空洞2a内に挿入し、アーム31bの爪32bを空洞2aの他端側から空洞2a内に挿入することによって、金属コイル2を吊るすことができるようになっている。
また、アーム31bの爪32bを空洞2a内に挿入することによって、空洞2a内に電波リーダー4が配置されるようになっている。
【0040】
本実施形態においては、移動工程において、金属コイル2を移動させながら、リフター3に取り付けられた電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給して、RFIDタグ1から固有情報を読み出させ、得られた固有情報を用いて金属コイル2を特定する(移動時特定工程)。
本実施形態においては、一方のアーム31bの爪32bに、電波リーダー4が取り付けられているので、移動時特定工程において、電波リーダー4にRFIDタグ1から固有情報を読み出させる際には、情報を通信すべきRFIDタグ1の設置されている金属コイル2の空洞2a内に、電波リーダー4が配置されていることになる。したがって、空洞2a壁面を形成している金属コイル2によって、電波リーダー4とRFIDタグ1との情報の通信に用いられる電波が干渉されることを防止でき、RFIDタグ1と電波リーダー4との通信の信頼性に優れた管理方法となる。
【0041】
本実施形態において、固有情報を用いて金属コイル2を特定する方法としては、例えば、電波リーダー4として、表示装置および/または印字手段を備えるものを用いた場合、RFIDタグ1から読み出した固有情報を表示装置に表示させる(および/または印字手段に印字させる)ことで、移動中の金属コイル2が、移動させるべき所定の金属コイル2であることを確認できる。
【0042】
また、電波リーダー4として、照合処理装置との間で情報を通信できるものを用いた場合、例えば、以下に示す方法により、固有情報を用いて金属コイル2を特定する。
まず、照合処理装置から固有情報を読み出す指示信号が電波リーダー4に送信される。電波リーダー4に指示信号が受信されると、電波リーダー4から所定の出力強度の電波がRFIDタグ1に供給されて、RFIDタグ1から固有情報が読み出される。RFIDタグ1から読み出された固有情報の信号は、電波リーダー4から照合処理装置に送信される。照合処理装置に固有情報の信号が受信されると、照合処理装置によって、FIDタグ1から読み出された固有情報と、指示信号において読み出すことを指示した特定の金属コイル2ついて記録媒体に記録されている固有情報とが一致するか否かが照合される。そして、照合処理装置によって照合した結果が一致していることにより、移動中の金属コイル2が、移動させるべき所定の金属コイル2であることを確認できる。なお、照合処理装置が、表示装置および/または印字手段を備えるものである場合、照合の結果を表示装置に表示させる(および/または印字手段に印字させる)ことで、移動中の金属コイル2が、移動させるべき所定の金属コイル2であることを容易に確認できる。
【0043】
なお、固有情報として、金属コイル2の製品置場の置場番地がRFIDタグ1に保持されている場合には、移動時特定工程を行うことによって、移動中の金属コイル2の移動させるべき置場番地を確認できる。
また、本実施形態においては、金属コイル2の空洞2a内にRFIDタグ1を設置したので、RFIDタグ1と通信される空洞2aの幅方向の電波は金属コイル2によって妨げられるが、空洞2aの長さ方向である金属コイル2の幅方向の電波は金属コイル2によって妨げられにくい。このことにより、RFIDタグ1と電波リーダー4との間で通信される情報が誤認識されることが防止され、金属コイル2を容易に特定でき、高精度で管理できる。
【0044】
次に、本実施形態においては、製品置場の置場番地に設置された金属コイル2のRFIDタグ1から電波リーダー4が読み出した固有情報を用いて、例えば、上述した移動時特定工程と同様の方法により、金属コイル2を特定する(特定工程)。
本実施形態において、製品置場の置場番地に設置された金属コイル2を特定する場合、固有情報を用いて金属コイル2を特定する方法としては、上述した移動時特定工程と同じ方法を用いるが、電波リーダー4にRFIDタグ1から固有情報を読み出させる方法は異なる。
【0045】
製品置場の置場番地に設置された金属コイル2を特定するために、電波リーダー4にRFIDタグ1から固有情報を読み出させる場合、移動時特定工程と異なり、電波リーダー4の位置が固定されていないので、電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給しながら、図1(c)に示すように、移動手段5に取り付けられた電波リーダー4をRFIDタグ1と通信可能な距離に近づけて、RFIDタグ1から固有情報を読み出させる。
【0046】
また、電波リーダー4にRFIDタグ1から固有情報を読み出させる方法は、製品置場の置場番地に設置された特定したい金属コイル2の周囲に他の金属コイルが配置されているか否か、周囲に他の金属コイルが配置されている場合には、特定したい金属コイル2の数によっても異なる。
【0047】
本実施形態においては、移動工程により金属コイル2の移動された製品置場に、特定したい金属コイル2の他に、図1(c)に示すように、特定したい金属コイル2の幅方向両側に、金属コイル21、22が設置されている場合を例に挙げて説明する。
図1(c)に示す金属コイル21、22は、空洞21a、22a内にRFIDタグ11、12が設置され、その後梱包されたものである。製品置場に設置されている金属コイル2、21、22は、いずれも図1(c)に示すように、金属コイル2、21、22の中心軸の延在方向および空洞の端部の位置を揃えて並べられている。
【0048】
なお、図1(c)においては、製品置場に中心軸の延在方向および空洞の端部の位置を揃えて3つの金属コイル2、21、22が設置されている場合を例に挙げて説明したが、製品置場に設置されている特定したい金属コイルの周囲には他の金属コイルが配置されていなくてもよいし、特定したい金属コイルの幅方向片側にのみ他の金属コイルが配置されていてもよいし、4つ以上の金属コイルが、中心軸の延在方向および空洞の端部の位置を揃えて並べられていてもよい。また、製品置場に複数の金属コイルが設置されている場合、金属コイルの中心軸の延在方向および/または空洞の端部の位置は、揃えられていなくてもよい。
【0049】
本実施形態においては、製品置場の置場番地に設置された金属コイル2を特定する方法として、製品置場から出荷用の置場への移動する前に、金属コイル2、21、22にそれぞれ設置されたRFIDタグ1、11、12のうち、製品置場から出荷用の置場に搬送される金属コイル2のRFIDタグ1から電波リーダー4が固有情報を読み出し、読み出した固有情報を用いて、上述した移動時特定工程と同様の方法により金属コイル2を特定する(特定工程)場合を例に挙げて説明する。このことにより、置場番地に配置された金属コイル2が、その置場番地で保管されるべき所定の金属コイル2であること、および製品置場から出荷用の置場に搬送される金属コイル2が、搬送されるべき所定の金属コイル2であることを確認できる。
【0050】
複数の金属コイル2、21、22にそれぞれ設置されたRFIDタグ1、11、12のうち、製品置場から出荷用の置場に搬送される1つの特定したい金属コイル2のRFIDタグ1から電波リーダー4によって固有情報を読み出す場合、電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給しながら、移動手段5によって電波リーダー4を、RFIDタグ1との通信できない距離から読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2に、電波リーダー4の電波を供給する位置を中心軸の延在方向に合わせて近づけていくことが好ましい。
【0051】
この場合、特定したい金属コイル2の空洞2a壁面を形成している金属コイル2によって、電波リーダー4とRFIDタグ1との通信に用いられる電波への干渉が防止されるとともに、金属コイル2によって電波リーダー4とRFIDタグ1との通信に用いられる電波が妨げられにくく、電波リーダー4によってRFIDタグ1からの情報のみが容易に読み出される。
【0052】
より詳細には、本実施形態においては、特定したい金属コイル2による読み出したいRFIDタグ1と電波リーダー4との間で通信される電波に対する干渉防止効果は、読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2の空洞2aの端部に電波リーダー4を近づけるにつれて高くなり、遠ざけるにつれて低くなる。また、上記の干渉防止効果は、電波リーダー4の電波を供給する位置が、読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2の中心軸の延在方向に近いほど高くなり、遠いほど低くなる。
【0053】
したがって、電波リーダー4を、電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給しながら、RFIDタグ1との通信できない距離から読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2に、電波リーダー4の電波を供給する位置を中心軸の延在方向に合わせて近づけていくと、電波リーダー4から出力される電波の強度が一定以上であって、電波リーダー4と特定したい金属コイル2との距離が一定以上離れている場合には、RFIDタグ1、11、12に保持された情報のうち複数の情報が同時に読み出される。
しかし、電波リーダー4を、読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2に、電波リーダー4の電波を供給する位置を中心軸の延在方向に合わせてさらに近づけていくと、上記の干渉防止効果が高まって、RFIDタグ1からの情報のみが電波リーダー4によって読み出されるようになる。
【0054】
また、複数の金属コイル2、21、22にそれぞれ設置されたRFIDタグ1、11、12のうち、製品置場から出荷用の置場に搬送される1つの特定したい金属コイル2のRFIDタグ1から電波リーダー4によって固有情報を読み出す場合、電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給しながら、移動手段5によって電波リーダー4を、RFIDタグ1との通信できない距離から読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2に、電波リーダー4の電波を供給する位置を中心軸の延在方向に合わせて近づけていくことが、1つの特定したい金属コイル2のRFIDタグ1に対する上記の干渉防止効果を最大限利用できるために好ましいが、電波リーダー4の電波を供給する位置を中心軸の延在方向に合わせなくてもよい。
【0055】
すなわち、電波リーダー4の電波を供給する位置が、読み出したいRFIDタグ1の設置されている金属コイル2の中心軸の延在方向の位置とずれていたとしても、読み出したいRFIDタグ1の設置されている特定したい金属コイル2の空洞2aの端部に向かって電波リーダー4を十分に近づけていくことによって、上記の干渉防止効果が高まるため、RFIDタグ1からの情報のみが電波リーダー4に読み出されるようになる。
なお、読み出したいRFIDタグ1の設置されている特定したい金属コイル2に、金属コイル2の金属帯表面に向かって電波リーダー4を近づけていった場合、空洞2a壁面を形成している金属コイル2によって、RFIDタグ1と通信される電波が妨げられるため、電波リーダー4によってRFIDタグ1からの情報を読み出すことができない場合がある。
【0056】
次に、図1(c)に示す金属コイル2、21、22にそれぞれ設置されたRFIDタグ1、11、12のすべてから、電波リーダー4によって固有情報を読み出し、読み出した固有情報を用いて、上述した移動時特定工程と同様の方法により金属コイル2、21、22を特定する(特定工程)場合を例に挙げて説明する。
このように、特定したい金属コイル2、21、22が複数である場合、電波リーダー4を複数の情報を読み出すことが可能な範囲で金属コイル2、21、22の端部から十分に離間させて、各空洞2a、21a、22a壁面を形成している金属コイル2、21、22による干渉防止効果を低くすればよい。
【0057】
このように本実施形態においては、金属コイル2、21、22の中心軸に形成されている空洞2a、21a、22a内にRFIDタグ1、11、12を設置しているので、各RFIDタグ1、11、12と通信される電波への干渉を、それぞれ空洞2a、21a、22a壁面を形成している金属コイル2、21、22によって制御できる。
また、本実施形態においては、金属コイル2、21、22が、中心軸の延在方向を揃えて並べられているので、読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイル2、21、22の空洞2a、21a、22aの端部と電波リーダー4との距離および/または電波リーダー4の電波を供給する位置と読み出したいRFIDタグの設置されている1以上の金属コイル2、21、22の中心軸の延在方向との距離を調節することにより、読み出したいRFIDタグと電波リーダー4との電波に対する干渉防止効果を制御することで、電波リーダー4によって複数のRFIDタグ1、11、12から選ばれる所望のRFIDタグの情報のみを容易に読み出すことができる。
【0058】
そして、このようにして読み出された所望のRFIDタグの固有情報を用いて、例えば、上述した移動時特定工程と同様の方法により、読み出されたRFIDタグに対応する特定したい金属コイルを特定できる。したがって、本実施形態によれば、読み出したいRFIDタグが1つであっても複数であっても、読み出したいRFIDタグと電波リーダー4との間で通信される情報が誤認識されることを効果的に防止でき、1つまたは複数の金属コイルを容易に特定でき、高精度で管理できる。
【0059】
次に、本実施形態においては、このようにして特定された製品置場の置場番地に設置された複数の金属コイル2、21、22のうちの1つである金属コイル2を、上述した移動工程と同様の移動手段を用いて移動させて、所定の出荷用の置場に搬送する。
【0060】
本実施形態においては、金属コイル2を製品置場から出荷用の置場への移動させる際においても、上述した移動工程と同様に、金属コイル2を移動させながら、リフター3に取り付けられた電波リーダー4に、RFIDタグ1から固有情報を読み出させ、得られた固有情報を用いて金属コイル2を特定する(移動時特定工程)。この場合、上述した移動工程と同様にして、移動中の金属コイル2が、移動させるべき所定の金属コイル2であることを確認できる。また、固有情報として、金属コイル2の製品置場の置場番地がRFIDタグ1に保持されている場合には、移動時特定工程を行うことによって、移動中の金属コイル2がどの置場番地に設置されていたものかを確認できる。
【0061】
次に、本実施形態においては、出荷用の置場に搬送された金属コイル2のRFIDタグ1から読み出した固有情報を用いて、金属コイル2を特定する(特定工程)。この場合、上述した製品置場の置場番地に設置された金属コイル2を特定する場合と同様にして、出荷用の置場に搬送された出荷される金属コイル2が、出荷されるべき所定の金属コイル2であることを確認できる。
なお、出荷用の置場に、金属コイル2以外にも、図1(c)に示す製品置場と同様に、複数の金属コイル21、22が設置されている場合には、製品置場の置場番地に設置された金属コイル2を特定する場合と同様にして、1つまたは複数の金属コイルを特定すればよい。
【0062】
このように本実施形態の金属コイル2の管理方法によれば、製造してから出荷するまでの間の工場内での金属コイル2の移動を容易に高精度で管理できる。
【実施例】
【0063】
「実施例1」
鋼材からなる直径2100mm、空洞の直径762mmの図1(a)に示す金属コイル2を3個用意し、中心軸の延在方向および空洞の端部の位置を揃えて、隣接する金属コイル間に2500mmの間隔を空けて並べた。
また、外面に固定手段として磁石が設けられたパッシブタグであるRFIDタグ(商品名:YS−A2A0T0〜T3、吉川工業製)を3つ用意し、それぞれ各金属コイルを識別する固有情報を保持させた。
【0064】
その後、図1(c)に示すように、各金属コイル2、21、22の中心軸に沿って形成されている空洞2a、21a、22a内にRFIDタグ1、11、12を設置した。
次いで、印字手段を備える電波リーダー4(商品名:URP−SJ110(株)ウェルキャット製)から所定の出力強度の電波をRFIDタグ1に供給して、RFIDタグ1から固有情報を読み出させ、RFIDタグ1から読み出した固有情報を印字手段に印字させて、金属コイル2が所定の金属コイル2であることを特定した。
その結果、金属コイル2を特定できた。
【0065】
次に、以下に示すようにして、RFIDタグ1、11、12から読み出した固有情報を用いて、金属コイル2、21、22を特定した。その結果、金属コイル2、21、22を特定できた。
「金属コイル2、21、22の特定方法」
電波リーダー4から所定の出力強度の電波をRFIDタグに供給しながら、電波リーダー4を、RFIDタグとの通信できない距離から読み出したいRFIDタグの設置されている金属コイルの空洞に、空洞の略延在方向に沿って近づけていくことにより、3つのうち1つの特定したい金属コイルのRFIDタグから電波リーダー4によって固有情報を読み出した。そして、各金属コイル2、21、22のRFIDタグ1、11、12からそれぞれ読み出した固有情報を印字手段に印字させて、各金属コイル2、21、22が所定の金属コイルであることを特定した。
【0066】
「実施例2」
図1(b)に示す一方のアーム31bの爪32bに、電波リーダー4が取り付けられているリフター3を用いて、実施例1の金属コイル2を移動させながら、電波リーダー4に、RFIDタグ1から固有情報を読み出させ、得られた固有情報を用いて実施例1と同様にして金属コイル2を特定した。
その結果、金属コイルを特定できた。
【0067】
「比較例1」
金属コイルの最外層の金属帯表面にRFIDタグを設置したこと以外は、実施例1と同様にして、RFIDタグから読み出した固有情報を用いて、金属コイルを特定した。
その結果、RFIDタグと電波リーダーとの間での通信不良により、金属コイルを特定できなかった。
【0068】
「実験1」
鋼材からなる直径2100mm、空洞の直径762mmの図1(a)に示す金属コイル2を5個用意し、アンテナとして(商品名:YS−A2AOT0、吉川工業製)を備えたRFIDタグを5つ用意し、それぞれに固有情報を保持させた。
次に、金属コイル2の空洞の略延在方向に沿って、電波リーダー4(商品名URP−SJ110(株)ウェルキャット製)の電波を供給する位置を金属コイル2の空洞に近づけながら、表1に示す電波の出力強度(電力量(dBm))で各RFIDタグから固有情報を読み出し、電波の出力強度(電力量(dBm))に対する各RFIDタグの読み出し可能距離を測定した。
【0069】
「実験2」
アンテナとして(商品名:YS−A2AOT1、吉川工業製)を用いたこと以外は、実験1と同様にして、電波の出力強度(電力量(dBm))に対する各RFIDタグの読み出し可能距離を測定した。
その結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
「実験3」
金属コイル2の空洞の延在方向と略直交する方向に沿って、電波リーダー4の電波を供給する位置を金属コイル2の最外層の金属帯に近づけながら、各RFIDタグから固有情報を読み出したこと以外は、実験1と同様にして、電波の出力強度(電力量(dBm))に対する各RFIDタグの読み出し可能距離を測定した。
【0072】
「実験4」
アンテナとして実験2と同じものを用いたこと以外は、実験3と同様にして、電波の出力強度(電力量(dBm))に対する各RFIDタグの読み出し可能距離を測定した。
その結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表1および表2に示すように、RFIDタグのアンテナとして(商品名:YS−A2AOT0、吉川工業製)と(商品名:YS−A2AOT1、吉川工業製)のいずれのものを用いた場合でも、電波リーダーを、金属コイル2の空洞の略延在方向に沿って配置した場合(表1)、金属コイル2の空洞の延在方向と略直交する方向に沿って配置した場合(表2)と比較して、読み出し可能距離が長くなった。このことにより、金属コイル2の空洞内にRFIDタグを設置した場合、RFIDタグと通信される空洞の幅方向の電波は金属コイル2によって妨げられるが、空洞の長さ方向である金属コイル2の幅方向の電波は金属コイル2によって妨げられにくいことが分かった。
【符号の説明】
【0075】
1、11、12・・・RFIDタグ、2、21、22・・・金属コイル、2a、21a、22a・・・空洞、3・・・リフター、3a・・・取付部、31a、31b・・・アーム、32a、32b・・・爪、4・・・電波リーダー。
図1