(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量情報部は、前記個別計測異常検出部にて異常が検出された際、他の正常な複数の計測流路に対する流量情報と、それぞれの前記流量比率から異常が発生した計測流路を通過する流体の流量を推測して前記流入口から前記流出口を通過する流量の総和を求めることを特徴とした請求項1に記載の流量計測装置。
前記流量情報部は、前記個別計測異常検出部にて異常が検出された際、他の正常な複数の計測流路のうちの1つの正常な計測流路に対する流量情報と、前記流量比率から異常が発生した計測流路を通過する流体の流量を推測して前記流入口から前記流出口を通過する流量の総和を求めることを特徴とした請求項1に記載の流量計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、流体が流れ込む流入口と該流体が流出する流出口との間において並列に設けられた複数の計測流路と、前記複数の計測流路のそれぞれに対応して設けられ通過する流体の個別流量を計測する個別流量計測部と、前記個別流量計測部における計測異常を検出する個別計測異常検出部と、前記個別流量計測部からの流量の出力を受け前記流入口から前記流出口を通過する流体の流量の総和を求める流量情報部とを備え、前記流量情報部は、予め前記個別流量計測部が正常であるときの前記複数の計測流路を通過する流体の流量比率を記憶する流量比率記憶部を有し、前記個別計測異常検出部にて異常が検出された際、異常が検出された計測流路の流量を正常な前記計測流路の流量情報と前記流量比率から算出した流量として前記流入口から前記流出口を通過する流体の流量の総和を求めるように構成したことにより、複数の計測流路の内、1つの計測流路に異常が生じて、この計測流路を通過する流体の流量を求めることができないような場合であっても、他方の計測流路に設けられた個別流量検出部によって求められた流体の流量と流量比率とから異常が生じた計測流路に通過する流体の流量を推測し、前記流入口から前記流出口を通過する流体の流量の総和を求めることができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明の流量計測装置において、前記流量情報部は、前記個別計測異常検出部にて異常が検出された際、他の正常な複数の計測流路に対する流量情報と、それぞれの前記流量比率から異常が発生した計測流路を通過する流体の流量を推測して前記流入口から前記流出口を通過する流量の総和を求めるように構成したもので、ある計測流路において異常が発生した際でも、他の正常な複数の計測流路の流量から異常が発生した計測流路の流量を推測し、異常な計測流路における流量の真の値により近似した流量の値を得ることができる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明の流量計測装置において、前記流量情報部は、前記個別計測異常検出部にて異常が検出された際、他の正常な複数の計測流路のうちの1つの正常な計測流路に対する流量情報と、前記流量比率から異常が発生した計測流路を通過する流体の流量を推測して前記流入口から前記流出口を通過する流量の総和を求めるように構成したもので、ある計測流路において異常が発生した際でも、1つでも正常な計測流路があればその正常な計測流路における流量から異常な計測流路の流量を推測し流体の総流量を求めることができる。
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
(実施の形態1)
(ガス計測装置の構成)
まず、
図1および
図2を参照して実施の形態1に係るガス計測装置(流量計測装置)1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態のガス計測装置1における流量計測処理に係る構成を示す平面図である。
図2は、本実施の形態に係るガス計測装置1における主制御部9および補助制御部6を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態に係るガス計測装置1は、ガス配管の途中に設置されて、消費されるガス流量(ガス使用量)を求める超音波式ガスメータである。なお、ガス計測装置1は、このような超音波式ガスメータに限定されるものではない。例えば、電子的な検出原理を利用したフローセンサ、あるいはフルイディクセンサ等の瞬時流量計によってガス流量を求めるように構成されていてもよい。
【0017】
ガス計測装置1は、
図1に示すように、流路ユニット(流路)2、上流側超音波センサ4a〜4d、下流側超音波センサ5a〜5d、補助制御部6a〜6d、流入口7、流出口8、主制御部9、電池10、表示部11、保安用センサ12および電子回路基板30を備えてなる構成である。なお、ここでガスは、流入口7から流出口8に向かって流路ユニット2内を一方向に流れるものとする。
【0018】
流入口7は、ガス供給側のガス配管からガスがガス計測装置1に流れ込む入り口である。本実施の形態に係るガス計測装置1では、その上面に流入口7が設けられ、ガス供給側のガス配管と流路ユニット2とをつなぐように構成されている。
【0019】
流出口8は、ガス計測装置1からガス消費側のガス配管にガスが流れ出る出口である。本実施の形態に係るガス計測装置1では、その上面に流出口8が設けられ、ガス消費側のガス配管と流路ユニット2とをつなぐように構成されている。
【0020】
流路ユニット2は、需要者に供給するガスが流れる断面が矩形を成す筒状の管である。流路ユニット2は、
図1に示すように、複数の計測流路22a〜22dと、この計測流路22a〜22dのそれぞれに上流側超音波センサ4a〜4d、下流側超音波センサ5a〜5dを備えて構成されている。
【0021】
ここで、計測流路22a〜22dは、消費されるガスの流量(ガス計測装置1を通過するガスの流量)を計測するための流路である。計測流路22a〜22dそれぞれの流路断面積は同じであってもよいし、それぞれ異なるものであってもよい。なお、計測流路22a〜22dをそれぞれ区別して説明する必要が無い場合は、単に計測流路22と称するものとする。
【0022】
また、流路ユニット2よりも上流側には入口バッファ21、下流側には出口バッファ23を備えている。入口バッファ21、流路ユニット2、および出口バッファ23は連通しており、入口バッファ21と出口バッファ23との間を通過するガスの流量を流路ユニット2で計測するように構成されている。
【0023】
また、ガス計測装置1は、流路ユニット2の上流(入口バッファ21よりも上流側)に遮断弁3を備えている。遮断弁3は、例えば、ガス計測装置1からガス機器までの間でガス漏れなどの異常が検出された場合、あるいは、外部からの流路ユニット2の遮断要求等に応じて、流路ユニット2の流路を塞ぎ、ガスの流れを遮断するものである。遮断弁3は、主制御部9からの制御指示に基づき、流入口7と入口バッファ21との間の流路を塞いだり、開放したりすることができる。この遮断弁3は、流路ユニット2の流路を塞ぐための弁体(不図示)と、該弁体の動力源であるステッピングモータ(不図示)とを備えた構成であり、より具体的には、以下のようにして流路ユニット2の流路を塞いだり、開放したりする。
【0024】
すなわち、遮断弁3では、主制御部9からの制御指示に応じて、ステッピングモータが有するステータのコイル(不図示)に位相差を持ったパルス状電流が印加される。そして、この電流の印加によりステッピングモータのロータ(不図示)が正回転する。このロータの正回転により弁体が弁座(不図示)側に前進し、流路を塞ぐ。これにより、ガス計測装置1においてガスの流れを遮断することができる。逆に、流路を開放させる場合は、遮断弁3においてステッピングモータを逆回転させ、これにより弁座から弁体が離れるように構成されている。
【0025】
上流側超音波センサ4a〜4dおよび下流側超音波センサ5a〜5dは、相互に超音波を送受信するものである。上流側超音波センサ4a〜4dならびに下流側超音波センサ5a〜5dは計測流路22a〜22dそれぞれに設けられている。なお、上流側超音波センサ4a〜4dそれぞれを特に区別して説明する必要がない場合は、単に上流側超音波センサ4と称する。同様に、下流側超音波センサ5a〜5dを特に区別して説明する必要がない場合は、単に下流側超音波センサ5と称するものとする。
【0026】
また、これら上流側超音波センサ4と下流側超音波センサ5との組は、それぞれ各計測流路22に対応づけて設けられている補助制御部6a〜6dからの制御指示に応じて駆動するように構成されている。補助制御部6a〜6dについても、特に区別して説明する必要がない場合は、単に補助制御部6と称するものとする。
【0027】
すなわち、上流側超音波センサ4は、計測流路22における上流側の側壁に、下流側超音波センサ5は計測流路22における下流側の側壁に、両者が対向するように設けられている。そして、主制御部9から補助制御部6を介して、上流側超音波センサ4に駆動信号(制御信号)が入力されると、上流側超音波センサ4は超音波を下流側超音波センサ5に向かって出力する。
【0028】
上流側超音波センサ4から出力した超音波は、計測流路22内を下流側に向かって斜め下方向に進み、下流側超音波センサ5に向かって伝搬する。逆に、主制御部9から補助制御部6を介して、下流側超音波センサ5に駆動信号が入力されると、この下流側超音波センサ5は超音波を上流側超音波センサ4に向かって出力する。下流側超音波センサ5から出力した超音波は、計測流路22内を上流側に向かって斜め上方向に進み、上流側超音波センサ4に向かって伝搬する。
【0029】
そして、それぞれの超音波の到達時間を、補助制御部6における個別流量計測部31が計測し、到達時間の差から流路ユニット2を流れるガスの流速を求める。そして、個別流量計測部31は求めた流速に流路ユニット2の断面積等をかけあわせて流量を求める。個別流量計測部31は、ガス流量を求めると、この求めた結果を主制御部9における流量情報部33に出力し、流量情報部33にてガス計測装置1全体を流れるガス総流量を求める。
【0030】
主制御部9は、ガス計測装置1の各部における各種動作の制御を行うものであり、流量情報部33で算出されたガス総流量に基づいて最大流量オーバーの異常判断や、異常を検知する保安用センサ12のセンシング結果から異常の発生の有無を判定したり、外部からガス計測装置1内に形成されている流路の遮断指示を受信したか否か判定したりする。そして、異常が発生していると判定した場合、あるいは遮断指示を受信したと判定した場合、主制御部9は遮断弁3に電流を印加して上述したように流路ユニット2の流路を塞ぐように制御する。
【0031】
また、主制御部9は、流量情報部33で算出されたガス総流量に基づく流量の積算値をLCD等で構成された表示部11で表示するなど様々な情報を表示するように制御する。また、主制御部9は、「異常発生時流量計測処理」として、流量情報部33と流量比率記憶部34も備えており、計測流路に異常が発生した場合その流路における流量を推測することができる。本実施の形態に係るガス計測装置1における「異常発生時流量計測処理」についての詳細は後述する。
【0032】
また、補助制御部6a〜6dは、それぞれ個別計測異常検出部32a〜32dを備えており、計測流路における異常を検知することもできる。
【0033】
なお、上記した補助制御部6は、例えば、超音波計測用のLSI(Large Scale Integration)によって実現できる。この超音波計測用LSIは、超音波測定を可能とするアナログ回路と、超音波の伝搬時間を計測する動作をシーケンシャルで行うデジタル回路とから構成される。一方、主制御部9は、例えば、CPUによって実現できる。
【0034】
(異常発生時流量計測処理に係る構成)
ここで、本実施の形態に係るガス計測装置1における「ガス流量計測処理」に係る構成について
図1、
図2に加え、
図3を参照してより具体的に説明する。
図3は、流量計測装置における流量情報部および個別流量計測部を示す図である。
【0035】
図2に示すように主制御部9は、「異常発生時流量計測処理」に係る構成として、流量比率記憶部34を備える。そして、流量比率記憶部34には、各計測流路における流量から他の計測流路との流量比率が流量比率データとして記憶されている。
【0036】
なお、補助制御部6a〜6dは、個別流量計測部31a〜31d、個別計測異常検出部32a〜32dを備えており、それぞれを特に区別して説明する必要が無い場合は、単に個別流量計測部31、個別計測異常検出部32と称するものとする。
【0037】
個別流量計測部31は、上流側超音波センサ4および下流側超音波センサ5により得られた上述の超音波の到達時間の差から計測流路22を流れる単位時間あたりのガスの流速を求め、この求めた流速と計測流路22の断面積等に基づき計測流路22を流れたガスの流量を求める。そして、主制御部9における流量情報部33へ出力する。上流側超音波センサ4と下流側超音波センサ5とこの個別流量計測部31とによって、本発明の流量測定手段を実現する。
【0038】
本実施形態では2秒ごとに上流側超音波センサ4および下流側超音波センサ5において相互に超音波を複数回送受信するように構成されている。このため、本実施の形態に係るガス計測装置1では、2秒ごとにガスの流量変化を確認する構成となる。
【0039】
個別計測異常検出部32は、ガスの流量変化を確認するごとに計測流路の異常を監視するように構成されている。このため、本実施の形態に係るガス計測装置1では、2秒ごとに計測流路の異常を監視する構成となる。
【0040】
流量情報部33は、個別流量計測部31から計測流路の流量情報や異常検出情報を受け取り、流量の総和を求める。また、異常検出情報を受け取った際は、流量比率記憶部34に記憶されている流量比率データを参照して、他の正常な計測流路において測定された流量から当該計測流路における流量を推測し流量の総和を求める。
【0041】
流量比率記憶部34は、流量情報部33が実施する流量の総和を求める際に利用する流量比率データ等の情報を記憶している読み書き可能な記憶装置である。例えば、流量比率記憶部34は読み書き可能なRAMまたはROMなどの半導体記憶装置によって実現できる。
【0042】
流量比率記憶部34は、単位時間あたりに各計測流路22を流れたガスの流量から、他の計測流路22に対する計測流路22の流量比率を記憶している。
【0043】
具体的には、流量比率記憶部34は、
図4に示すように、計測流路22a〜22dを流れるガス流量に応じて定められる流量比率を記憶している。すなわち、予め各計測流路22a〜22dを流れるガス流量が分かっている状態で、1つの計測流路の流量と他の1つまたは複数の計測流路の流量との比率が流量比率データとして流量比率記憶部34に記憶されている。これら流量比率記憶部34として記録されている流量比率データは、各計測流路22a〜22dを流れるガス流量(Qa〜Qd)の変動に応じて変化する値となっている。
【0044】
しかしながら、流量比率データはこれに限定されるものではない。例えば、流量比率データは、計測流路22a〜22dを流れるガス流量の大小に関わらず一定となる固定値になる場合もあり得る。
【0045】
そして、流量情報部33は、正常な計測流路において測定された流量と、流量比率データとして記録されている流量比率記憶部34を参照して、異常な計測流路の流量を推測し、計測流路22を流れたガスの総流量を演算する。
【0046】
次に、上述した構成を有するガス計測装置1における、ガス計測装置1を流れるガスの総流量を求める「ガス流量計測処理」の処理フローについて
図5を参照して説明する。
図5は、本実施の形態に係るガス計測装置1に係る処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0047】
(異常発生時流量計測処理方法)
まず、事前処理として流量比率データを流量比率記憶部34にそれぞれ記憶させる(ステップS11)。
【0048】
より具体的には、事前に計測流路22が正常であるときに予めガス流量が分かっているガスを流入口7から流し、この時の計測流路22a〜22dそれぞれで計測された流量(Qa〜Qd)を記録する。そして、計測された各流量を比較し、各流路に流れる流量の比率を算出する。この操作を通過させる流量を変更させて複数回行い、各流路に流れる流量の比率を流量比率記憶部34にそれぞれ記憶させておく。
【0049】
なお、上記実施の形態では、計測流路22a〜22dの流量比率データが
図4に示すような流量域で、個々に異なる特性を持つものとして説明したが、計測流路22a〜22dの流量比率データが同じ傾きを有する直線で表させる場合は、流量を変更させて複数回行う必要はなく、1回で行うことが可能であることは言うまでもない。
【0050】
上述した事前処理を実施した後、実際に使用するためにガス計測装置1が設置される。そして、ガス計測装置1と繋がっているガス機器等によってガスの利用が開始される。なお、このとき遮断弁3は流路ユニット2の流路を開状態としているものとする。
【0051】
ガスの利用が開始されると、流入口7から入ってきたガスは、入口バッファ21を通じて計測流路22a〜22dそれぞれに分かれて出口バッファ23に向かって流れる。各個別流量計測部31a〜31dでは、上流側超音波センサ4a〜4dと下流側超音波センサ5a〜5dとによって測定した超音波の到達時間の差から、計測流路22a〜22dを流れるガスの流速を求める。そして求めた各流速から、各計測流路22a〜22dにおける各ガスの流量を算出する(ステップS12)。
【0052】
さらに、各個別流量計測部31では、各個別計測異常検出部32より各計測流路において異常はないか否かの異常検出情報を取得する(ステップS13)。
【0053】
その後、各個別流量計測部31は計測流路における流量情報と異常検出情報を流量情報部33へ出力する(ステップS14)。
【0054】
次に、流量情報部33において、異常検出された計測流路があるか判定する(ステップS15)。異常有と判定された場合は、流量比率記憶部34から流量比率データを読み出し、流量比率データと他の計測流路における流量を用いて異常計測流路の流量を推測する(ステップS16)。例えば、計測流路22aが異常であった場合、流量比率記憶部34から計測流路22aの流量(Qa)と他の1つの計測流路22b〜22dの流量(Qb〜Qd)との比率を表す流量比率データを読み出し、他の計測流路における流量(Qb〜Qd)を用いて異常計測流路の流量(Qa)を推測する。他の計測流路を用いて3種類の流量が推測でき、これらの平均値を算出し、異常計測流路の流量(Qa)であると推測する。ステップS15にて異常無と判定された場合は、ステップS16の処理は省く。
【0055】
なお、ステップS16にて流量を推測する際には、上記のように他の計測流路を用いて平均値から推測する方法の他に、1つの正常な計測流量の流量情報を用いて異常計測流路の流量を推測する方法も考えられる。
【0056】
そして、上記によって求められた各計測流路の流量の総和を演算し、その結果を、ガス計測装置1を流れたガスの実際の総流量であると決定する(ステップS17)。
【0057】
(効果)
以上のようにして、各計測流路22a〜22dについて求められたガス流量からガス計測装置1を流れる全体のガス総流量を求めることができる。
【0058】
ところで、ガス計測装置1の使用において、計測流路22a〜22dに備えられた上流側超音波センサ4a〜4d、下流側超音波センサ5a〜5d、および補助制御部6a〜6dのいずれかにおいて異常が生じ、計測流路22a〜22dを流れるガスの流量を正しく計測できない場合がある。
【0059】
異常が生じた際の対処方法として、従来例で説明したように、個別流量計測部31a〜31dが正常な計測流路において計測された流量と等倍流量を異常な計測流路における流量とし推測する構成が考えられるが、これは各計測流路に流れる流量が同じであることを前提としたものである。しかしながら、実際には、計測流路22a〜22dの断面積を同じにしても、流入口7から各計測流路に至る流れの状態を同等にすることは困難であり、各計測流路を流れる流量を同じにすることはできず、ガス計測装置1を流れる全体のガス総流量を得ることができない。
【0060】
これに対して、本実施の形態に係るガス計測装置1では、上記したように各計測流路22a〜22dにおいてそれぞれの流量を補助制御部6a〜6dがそれぞれ求め、異常が検出された際も主制御部9において異常な計測流路22の流量を推測できるため、ガス流量を正しく計測できなかった計測流路22を除く他の計測流路22において求められた流量を用いて、正しく計測できなかった計測流路22の流量を推測することができ、ガス計測装置1を流れる全体のガス総流量を得ることができる。
【0061】
即ち、各計測流路22a〜22dに流れる流量が同一でなくても、予め正常時に求めいておいた計測流路間の流量比率データを用いて、正常な計測流路の流量を元に、異常が発生した計測流路の流量を求めることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係るガス計測装置1では、事前に予め総流量が分かっているガスをガス計測装置1の流入口7から流し、この時の計測流路22a〜22dそれぞれで計測された流量(Qa〜Qd)から、各計測流路22との流量比率を示す流量比率データを算出する構成である。つまり、一度、総流量が分かっているガスを流入させれば、主制御部9に備えられている流量情報部33で利用する流量比率データをまとめて求めることができる。
【0063】
(変形例)
なお、本実施の形態に係るガス計測装置1では、計測流路22を4つ備える構成であったがこれに限定されるものではなく、例えば2つや3つ備える構成であってもよいし、5つ以上備える構成であってもよく、使用されるガス流量の大きさ等を考慮し、適宜、計測流路22の数が決定されることが好ましい。
【0064】
また、本実施の形態に係るガス計測装置1では、異常が発生した計測流路22において、流量比率記憶部34からの流量比率データを用いて、他の正常な計測流路22の流量から平均値を取り、異常が発生した計測流路の流量を推測する構成であったが、この構成に限定されるものではない。
【0065】
例えば、異常が発生した計測流路22は、複数の正常な計測流路22のうち1つの正常な計測流路22の流量比率データから、異常が発生した計測流路のガス流量を推測する構成であってもよい。
【0066】
更に、複数の正常な計測流路22のそれぞれで計測された流量と流量比率データから異常が発生した計測流路のガス流量をそれぞれで推測し、この複数の推測流量の最大値と最小値とを除いた値の平均値を異常が発生した計測流路におけるガスの流量と決定する構成としてもよい。もしくは、他の推定流量と比較して所定値以上値が大きくなる、もしくは小さくなる推定流量を除いて平均値を求め、実際の流量と決定する構成としてもよい。あるいは、異常が発生した計測流路22は、正常な計測流路22との流量比率データから、それぞれで求められた異常計測流路のガスの推定流量の中央値または最頻値を実際の流量と決定する構成であってもよい。実際に得られる推定流量の分布から最も真の値に近似する近似値を得られる方法を採用して、流量情報部33は実際のガスの流量を決定することが好ましい。
【0067】
なお、上記した実施形態ではガス使用量を計測するガス計測装置1を例に挙げて説明したが、計測対象はガスに限定されるものではなく、流体であればよい。
【0068】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。