特許第6185750号(P6185750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185750
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】配管装置及び配管システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 5/00 20060101AFI20170814BHJP
   F16K 11/076 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E03B5/00 B
   F16K11/076 Z
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-96639(P2013-96639)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2014-218789(P2014-218789A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】中原 利博
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−004418(JP,B1)
【文献】 特開2007−085127(JP,A)
【文献】 特開2008−261276(JP,A)
【文献】 米国特許第04355659(US,A)
【文献】 特許第4308389(JP,B2)
【文献】 特許第4434392(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 5/00
F16K 11/076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流出入を制御するように構成された、給水装置の配管装置であって、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1水室と第2水室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、
を備え、
前記第1弁箱部は、給水元への接続口に接続される第1流入口と、複数のポンプの各吸込口にそれぞれ接続される複数の第1流出口とを有するとともに、前記第1水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、前記複数のポンプの各吐出口にそれぞれ接続される複数の第2流入口と、需要先への接続口に接続される第2流出口とを有し、前記第2水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1流入口又は前記第1流出口と重なり合うことによって前記第1水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第1開口と、前記第2流入口又は前記第2流出口と重なり合うことによって前記第2水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第2開口とを有し、
前記第2水室から前記第1水室への水流が、常に禁止されるように構成されており、
前記第1流入口と前記複数の第1流出口とは、配管装置の周方向に沿って配列されており、
前記複数の第2流入口と前記第2流出口とは、前記周方向に沿って配列されており、
前記第1流入口は、前記第2流出口と、前記軸線方向に沿って配列されており、
前記複数の第1流出口は、それぞれ前記複数の第2流入口と、前記軸線方向に沿って配列されていることを特徴とする、給水装置の配管装置。
【請求項2】
水の流出入を制御する配管装置であって、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1水室と第2水室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、
を備え、
前記第1弁箱部は、水が流入する第1流入口と、水が流出する第1流出口とを有するとともに、前記第1水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、水が流入する第2流入口と、水が流出する第2流出口とを有し、前記第2水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1流入口又は前記第1流出口と重なり合うことによって前記第1水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第1開口と、前記第2流入口又は前記第2流出口と重なり合うことによって前記第2水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第2開口とを有し、
前記第2水室から前記第1水室への水流が、常に禁止されるように構成されており、
前記弁体は、
前記第1水室と前記第2水室とを接続するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1水室から前記第2水室への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えている、配管装置。
【請求項3】
前記弁体は、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えている、請求項1に記載の給水装置の配管装置。
【請求項4】
前記弁箱は、
前記第1流入口又は第1流出口に接続された第1連通管と、
前記第2流入口又は第2流出口に接続された第2連通管と、
前記第1連通管と前記第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1連通管から前記第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えている、請求項3に記載の給水装置の配管装置。
【請求項5】
前記第1流入口が給水元への接続口に接続され、
複数の前記第1流出口が複数のポンプの各吸込口にそれぞれ接続され、
複数の前記第2流入口が前記複数のポンプの各吐出口にそれぞれ接続され、
前記第2流出口が需要先への接続口に接続される、請求項に記載の配管装置。
【請求項6】
水の流出入を制御する配管装置を複数備えた配管システムであって、
前記配管装置は、それぞれ、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1水室と第2水室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、
を備え、
前記配管装置のそれぞれにおいて、
前記第1弁箱部は、水が流入する第1流入口と、水が流出する第1流出口とを有するとともに、前記第1水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、水が流入する第2流入口と、水が流出する第2流出口とを有し、前記第2水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1流入口又は前記第1流出口と重なり合うことによって前記第1水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第1開口と、前記第2流入口又は前記第2流出口と重なり合うことによって前記第2水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第2開口とを有し、
前記第2水室から前記第1水室への水流が、常に禁止されるように構成されており、
前記配管システムは、隣接する2つの前記配管装置のうちの、
一方の配管装置の複数の前記第1流出口のうち1つが、他方の配管装置の前記第1流入口と接続され、
一方の配管装置の複数の前記第2流入口のうち1つが、他方の配管装置の前記第2流出口と接続されている、配管システム。
【請求項7】
前記複数の配管装置のうち少なくとも1つの配管装置の前記弁体が、
前記第1水室と前記第2水室とを接続するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1水室から前記第2水室への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えており、
他の配管装置の前記弁体が、それぞれ、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えている、請求項6に記載の配管システム。
【請求項8】
前記複数の配管装置の前記弁体が、それぞれ、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えている、請求項6に記載の配管システム。
【請求項9】
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの、前記第1流入口又は第1流出口に接続された第1連通管と、
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの、前記第2流入口又は第2流出口に接続された第2連通管と、
前記第1連通管と前記第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1連通管から前記第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えている、請求項8に記載の配管システム。
【請求項10】
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの配管装置の前記第1流入口及び第2流出口が、それぞれ給水元への接続口及び需要先への接続口に接続され、
前記複数の配管装置の各々における前記複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される、請求項6〜8のいずれか一項に記載の配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水装置等に用いることができる配管装置及び配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商業建造物や集合住宅等、上水を大量に消費する需要先に充分な給水をすべく、上水道配水管と需要先との間には、給水装置が設けられることがある。
【0003】
このような従来の給水装置として、特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。これらの給水装置は、並列流路内に配置された複数のポンプと、配管装置とを備えている。この配管装置は、上水道配水管の給水水圧が所定値に満たない場合は、水をポンプで昇圧させてから需要先に送るが、夜間の使用水量の少ない時など、上水道配水管の給水水圧が所定値を超えた場合は、上水道配水管の給水水圧を利用して水を直接需要先に送ることでポンプの消費電力を節約するものである。いずれかのポンプに故障が発生した場合、この配管装置は、他の正常なポンプを運転させることで、給水停止を招かないようにする。そして、このような機能を実現すべく、この配管装置は、ポンプ毎に、ポンプの吸込口及び吐出口にそれぞれ接続された一対の三方向弁を有しており、同一ポンプに接続された一対の三方向弁が、同一の回転軸の周りに回転されることによって、同時に弁の切替えが行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4308389号公報
【特許文献2】特許第4434392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示される配管装置は、給水装置のポンプ毎に、同一の回転軸周りに同時に回転される一対の三方向弁が割り当てられていることから、配管装置が大型化してしまうとともに、操作性に関して改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためにされたものであり、小型化が可能であるとともに操作性を向上させることのできる配管装置及び配管システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、次の通りである。
【0008】
本発明による配管装置は、
水の流出入を制御する配管装置であって、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1水室と第2水室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、
を備え、
前記第1弁箱部は、水が流入する第1流入口と、水が流出する第1流出口とを有するとともに、前記第1水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、水が流入する第2流入口と、水が流出する第2流出口とを有し、前記第2水室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1流入口又は前記第1流出口と重なり合うことによって前記第1水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第1開口と、前記第2流入口又は前記第2流出口と重なり合うことによって前記第2水室と配管装置の外部との間の水流を許容する第2開口とを有し、
前記第2水室から前記第1水室への水流が、常に禁止されるように構成されている。
この発明によれば、例えば、第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、複数の第1流出口及び第2流入口が複数のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される場合に、各ポンプへの水流を、1つの弁体の回転によって制御することができる。これにより、配管装置の小型化と操作性の向上とが可能になる。また、上記の場合に、少なくとも水圧が十分でないときに水をポンプに送って昇圧させることができるとともに、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
なお、本発明において「断面円環状」とは、配管装置の軸線に対して垂直な方向の断面において円環状であることを意味する。また、「接続」とは、複数の流路どうしが直接接続される場合に限られず、複数の流路どうしが連通管等の部品を介して接続される場合も含む。
【0009】
この発明の配管装置において、
前記弁体は、
前記第1水室と前記第2水室とを接続するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1水室から前記第2水室への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、第1流出口及び第2流入口がポンプの吸込口及び吐出口にそれぞれ接続される場合に、ポンプへの流路を遮断するときに、上水道配水管から流れる水のすべてをバイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。また、バイパス管及び逆止弁が弁体内に設けられるので、配管装置が大型化することはない。
【0010】
この発明の配管装置において、
前記弁体は、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、第1流入口及び第2流出口がそれぞれ受水槽への接続口及び需要先への接続口に接続され、第1流出口及び第2流入口がポンプの吸込口及び吐出口にそれぞれ接続される場合に、受水槽から流れる水のすべてをポンプに送って昇圧させてから需要先に送ることができる。
【0011】
この発明の配管装置において、
前記弁箱は、
前記第1流入口又は第1流出口に接続された第1連通管と、
前記第2流入口又は第2流出口に接続された第2連通管と、
前記第1連通管と前記第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1連通管から前記第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、第1流出口及び第2流入口がポンプの吸込口及び吐出口にそれぞれ接続される場合に、ポンプを運転させないときに、上水道配水管から流れる水のすべてをバイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
【0012】
この発明の配管装置において、
前記第1流入口が給水元への接続口に接続され、
複数の前記第1流出口が複数のポンプの各吸込口にそれぞれ接続され、
複数の前記第2流入口が前記複数のポンプの各吐出口にそれぞれ接続され、
前記第2流出口が需要先への接続口に接続されることが好ましい。
この構成によれば、各ポンプへの水流を、1つの弁体の回転によって制御することができるので、配管装置の小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0013】
本発明による配管システムは、上述したような配管装置を複数備えており、
隣接する2つの前記配管装置のうちの、
一方の配管装置の複数の前記第1流出口のうち1つが、他方の配管装置の前記第1流入口と接続され、
一方の配管装置の複数の前記第2流入口のうち1つが、他方の配管装置の前記第2流出口と接続されているものである。
この構成によれば、例えば、いずれか1つの配管装置の第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、各配管装置における複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される場合に、配管システムの小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0014】
本発明による配管システムにおいて、
前記複数の配管装置のうち少なくとも1つの配管装置の前記弁体が、
前記第1水室と前記第2水室とを接続するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1水室から前記第2水室への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えており、
他の配管装置の前記弁体が、それぞれ、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、少なくとも1つの配管装置の第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、各配管装置における複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される場合に、ポンプへの流路を遮断するときに、上水道配水管から流れる水のすべてを上記バイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。また、バイパス管及び逆止弁が配管装置の弁体内に設けられるので、配管システムが大型化することはない。
【0015】
本発明による配管システムにおいて、
前記複数の配管装置の前記弁体が、それぞれ、前記第1水室と前記第2水室との間の水流を禁止するように構成された隔壁をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、いずれか1つの配管装置の第1流入口及び第2流出口がそれぞれ受水槽への接続口及び需要先への接続口に接続され、各配管装置における複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、それぞれ1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される場合に、受水槽から流れる水のすべてをポンプに送って昇圧させてから需要先に送ることができる。
【0016】
本発明による配管システムは、
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの、前記第1流入口又は第1流出口に接続された第1連通管と、
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの、前記第2流入口又は第2流出口に接続された第2連通管と、
前記第1連通管と前記第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、
前記バイパス管内に設けられ、前記第1連通管から前記第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、
をさらに備えてもよい。
この構成によれば、例えば、少なくとも1つの配管装置の第1流入口及び第2流出口がそれぞれ上水道配水管への接続口及び需要先への接続口に接続され、各配管装置における複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される場合に、ポンプを運転させないときに、上水道配水管から流れる水のすべてを上記バイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
【0017】
本発明による配管システムにおいて、
前記複数の配管装置のうちいずれか1つの配管装置の前記第1流入口及び第2流出口が、それぞれ給水元への接続口及び需要先への接続口に接続され、
前記複数の配管装置の各々における前記複数の第1流出口及び第2流入口のうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続されることが好ましい。
この構成によれば、配管システムの小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0018】
本発明による他の配管装置は、
液体の流出入を制御する配管装置であって、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1液体室と第2液体室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、
を備え、
前記第1弁箱部は、複数の第1弁箱開口を有するとともに、前記第1液体室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、複数の第2弁箱開口を有するとともに、前記第2液体室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1弁箱開口と重なり合うことによって前記第1液体室と配管装置の外部との間の液体の流動を許容する第1弁体開口と、前記第2弁箱開口と重なり合うことによって前記第2液体室と配管装置の外部との間の液体の流動を許容する第2弁体開口とを有し、
前記第2液体室から前記第1液体室への液体流が、常に禁止されるように構成された、仕切り部を、前記第1液体室と前記第2液体室との間に有する。
この構成によれば、配管装置の小型化と操作性の向上とが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型化が可能であるとともに操作性を向上させることのできる配管装置及び配管システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る配管装置を用いた給水装置を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る配管装置を示す部分断面斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る配管装置を示す分解斜視図である。
図4】1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を形成している場合の水の流路を示す模式図である。
図5】1号ポンプへの流路を遮断する場合の水の流路を示す模式図である。
図6】2号ポンプへの流路を遮断する場合の水の流路を示す模式図である。
図7】1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を遮断する場合の水の流路を示す模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る配管システムにおける水の流路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0022】
[配管装置]
本発明の一実施形態に係る配管装置を、図1図7を参照して説明する。
【0023】
図1図4に示すように、本実施形態に係る配管装置30は、本例では、水の流出入を制御するものであり、給水装置4に組み込まれて使用されるものである。ただし、本実施形態に係る配管装置30は、給水装置4以外の構成を持つ給水装置や、給水装置以外の装置に、組み込まれて使用されてもよい。図に示す給水装置4は、上水道配水管への接続口17と需要先への接続口18との間の流路に設けられており、逆流防止器16と、配管装置30と、並列流路内に配置された1号ポンプ1及び2号ポンプ2と、仕切弁20と、圧力タンク19と、を備えている。また、図4に示すように、本例の配管装置30は、1号ポンプ1及び2号ポンプ2の吸込口に接続された第1多方向弁(図の例では、三方向弁)5と、1号ポンプ1及び2号ポンプ2の吐出口に接続された第2多方向弁(図の例では、三方向弁)6と、第1多方向弁5及び第2多方向弁6を同時に軸線9周りに回転させる際に操作されるハンドル7と、第1多方向弁5と第2多方向弁6との間に接続された逆止弁33と、を備えている。
【0024】
次に、配管装置30の具体的な構成について説明する。図2図3に示すように、配管装置30は、断面円環状の内周面313を有する弁箱31と、弁箱31内に収容され、弁箱31に対して配管装置30の軸線9の周りに回転可能に支持される弁体32と、を備えている。弁箱31は、配管装置30の軸線9の方向(以下、「軸線方向」という場合がある。)に沿って配列された第1弁箱部311と第2弁箱部312とが一体的に構成されている。
【0025】
第1弁箱部311は、水が流入する第1流入口311aと、水が流出する複数(図の例では、2つ)の第1流出口311b、311cとを有する。第2弁箱部312は、水が流入する複数(図の例では、2つ)の第2流入口312b、312cと、水が流出する第2流出口312aとを有する。
【0026】
本例では、第1流入口311aが逆流防止器16を介して上水道配水管(給水元)への接続口17に接続され、2つの第1流出口311b、311cが2つのポンプ1、2の各吸込口にそれぞれ接続され、2つの第2流入口312b、312cがこれらのポンプ1、2の各吐出口にそれぞれ接続され、第2流出口312aが需要先への接続口18に接続される。
【0027】
図3に示すように、本例では、第1弁箱部311において、第1流入口311aと2つの第1流出口311b、311cとが、配管装置30の周方向(以下、「周方向」という場合がある。)に沿って配列されている。そして、第1流入口311aの中心軸線と一方の第1流出口311bの中心軸線とが90度の角度をなし、一方の第1流出口311bの中心軸線と他方の第1流出口311cの中心軸線とが90度をなすように配置されている。同様に、第2弁箱部312において、2つの第2流入口312b、312cと第2流出口312aとが、配管装置30の周方向に沿って配列されている。そして、第2流出口312aの中心軸線と一方の第2流入口312bの中心軸線とが90度をなし、一方の第2流入口312bの中心軸線と他方の第2流入口312cの中心軸線とが90度をなすように配置されている。また、第1弁箱部311の第1流入口311a、第1流出口311b、311cは、それぞれ第2弁箱部312の第2流出口312a、第2流入口312b、312cと、軸線方向に沿って配列されている。
【0028】
弁箱31は、さらに、弁箱31の軸線方向の第1弁箱部311側の端面を塞ぐ端壁314と、弁箱31の軸線方向の第2弁箱部312側の端面を塞ぐ端壁315とを備えている。図の例では、第1弁箱部311側の端壁314が、弁箱31の該端壁314以外の部分と別体に構成されている。これにより、配管装置30の製造時において、弁箱31の軸線方向の第1弁箱部311側の開放した端面から、弁体32等の配管装置30の構成部品を弁箱31内に収容した後に、該端面を端壁314によって塞ぐようにしている。
ただし、この代わりに、第2弁箱312側の端壁315を、弁箱31の該端壁315以外の部分と別体に構成してもよい。
【0029】
弁体32は、軸線方向に沿って配列された第1水室321と第2水室322とを有し、断面円環状の外周面320を有する。そして、第1弁箱部311は、第1水室321の、配管装置30の径方向外側に配置されており、第2弁箱部312は、第2水室322の、配管装置30の径方向外側に配置されている。さらに、弁体32は、第1流入口311a又は第1流出口311b、311cと重なり合うことによって第1水室321と配管装置30の外部との間の水流を許容する複数(図の例では、3つ)の第1開口321aと、第2流入口312b、312c又は第2流出口312aと重なり合うことによって第2水室322と配管装置30の外部との間の水流を許容する複数(図の例では、3つ)の第2開口322aと、2つの水流遮断部323、324とを有する。
【0030】
図の例では、弁体32の第1水室321側の部分において、3つの第1開口321aと、水流遮断部323とが、配管装置30の周方向に沿って等間隔に配列されている。同様に、弁体32の第2水室322側の部分において、3つの第2開口322aと、水流遮断部324とが、配管装置30の周方向に沿って等間隔に配列されている。そして、第1開口321aと第2開口322aとが、それぞれ1つずつ、軸線方向に沿って配列されており、2つの水流遮断部323、324が、軸線方向に沿って配列されている。
また、図の例では、弁体32における第1開口321a及び水流遮断部323と、第2開口322a及び水流遮断部324との間の、軸線方向の間隔は、弁箱31における第1流入口311a及び第1流出口311b、311cと、第2流入口312b、312c及び第2流出口312aとの間の、軸線方向の間隔と等しくされている。
【0031】
そして、弁体32は、弁箱31に対して軸線9周りに回転されることにより、弁箱31の第1流入口311a、第1流出口311b、311c、第2流入口312b、312c及び第2流出口312aの各々を、同時に開閉するように構成されている。具体的に、図の例では、弁体32が弁箱31に対して軸線9周りに回転されることにより、軸線方向に沿う弁箱31の第1流入口311a及び第2流出口312aの列と、一方の第1流出口311b及び一方の第2流入口312bの列と、他方の第1流出口311c及び他方の第2流入口312cの列とが、それぞれ同時に、弁体32の第1開口321a及び第2開口322aの列又は水流遮断部323、324の列と重なり合う。このとき、軸線方向に沿う弁箱31の第1流入口311a及び第2流出口312aの列と、一方の第1流出口311b及び一方の第2流入口312bの列と、他方の第1流出口311c及び他方の第2流入口312cの列とは、それぞれ、弁体32の第1開口321a及び第2開口322aの列と重なり合う場合に開状態にされ、弁体32の水流遮断部323、324の列と重なり合う場合に閉状態にされる。
【0032】
そして、弁体32の第1水室321側の部分が、図4の第1多方向弁(図の例では、三方向弁)5を構成しており、弁体32の第2水室322側の部分が、図4の第2多方向弁(図の例では、三方向弁)6を構成している。
【0033】
なお、弁体32が、弁箱31に対して軸線9周りに回転されることにより、弁箱31の第1流入口311a、第1流出口311b、311c、第2流入口312b、312c及び第2流出口312aの各々を、同時に開閉するように構成されている限り、弁箱31における第1流入口311a、第1流出口311b、311c、第2流入口312b、312c及び第2流出口312aの配置や、弁体32における第1開口321a、第2開口322a及び水流遮断部323、324の配置及び構成は、本例のものと異なっていてもよい。
例えば、第1弁箱部311の第1流入口311a、第1流出口311b、311cは、それぞれ第2弁箱部312の第2流出口312a、第2流入口312b、312cと、軸線方向に沿って配列されなくてもよい。
【0034】
弁体32は、第2水室322から第1水室321への水流が、常に禁止されるように構成されている。具体的に、弁体32は、図2に示すように、本例において、第1水室321と第2水室322とを接続するバイパス管38と、バイパス管38内に設けられ、第1水室321から第2水室322への水流のみを許容する逆止弁33と、をさらに備えている。
【0035】
図の例において、配管装置30は、弁体32に固定されて、軸線方向に沿って弁箱31の一端から外部に突出する弁棒34をさらに備えている。弁棒34は、弁体32とともに弁箱31に対して軸線9周りを回転可能に構成されており、外部に突出する弁棒34の部分にハンドル7(図1)が取り付けられる。ユーザによりハンドル7が操作されると、弁棒34及び弁体32が弁箱31に対して軸線9周りに回転される。
なお、弁体32と弁棒34は、一体的に構成されてもよい。
【0036】
また、本例では、図2及び図3に示すように、弁棒34と弁箱31の軸線方向の一方の端壁314との間に支持部材37が設けられているとともに、弁体32と弁箱31の軸線方向の他方の端壁315との間に支持部材36が設けられている。さらに、弁体32の外周面320と弁箱31の内周面313との間に、パッキン325が設けられている。
【0037】
なお、圧力タンク19は、内部に圧縮空気が封入されており、ポンプが停止されて水が不使用の状態にあるとき、圧縮空気の作用によって給水装置4の配管内の水圧を充分な値に保持する。圧力タンク19の交換又は点検時には、仕切弁20を閉めた上で、圧力タンク19内の圧縮空気を、別途設けた排出口から外部に排出させることで、圧力タンク内の圧力を低減させてから、交換又は点検を行うようにしてもよい。
【0038】
次に、図2図7を参照して、本実施形態に係る配管装置30の作用を説明する。図4は、1号ポンプ1及び2号ポンプ2への流路を形成している場合の水の流路を示す図である。本例の給水装置4は、上水道配水管の給水圧力が、ポンプで昇圧しなくても需要先で必要かつ十分な給水が出来るように定められた設定値以下である場合、1号ポンプ1又は2号ポンプ2を運転させて、給水圧力を当該設定値まで昇圧させるものである。この場合、例えば、1号ポンプ1と2号ポンプ2とは、それぞれの運転時間が平均化するように交互に運転され、同時に運転されることは無いようにしてもよいし、同時に運転されてもよい。このとき、図2図3において、弁体32の3つの第1開口321aと3つの第2開口322aとは、それぞれ、弁箱31の第1流入口311a及び第1流出口311b、311cと、第2流入口312b、312c及び第2流出口312aと、重なり合って、これらを開状態にしている。
【0039】
この開状態で、1号ポンプ1を運転させるとき、上水道配水管の接続口17から流れる水は、逆流防止器16、弁箱31の第1流入口311a、弁箱31の一方の第1流出口311b、1号ポンプ1の吸込口、1号ポンプ1の吐出口、弁箱31の一方の第2流入口312b、弁箱31の第2流出口312a、需要先への接続口18の順に流れる。
上記開状態で、2号ポンプ2を運転させるとき、上水道配水管の接続口17から流れる水は、逆流防止器16、弁箱31の第1流入口311a、弁箱31の他方の第1流出口311c、2号ポンプ2の吸込口、2号ポンプ2の吐出口、弁箱31の他方の第2流入口312c、弁箱31の第2流出口312a、需要先への接続口18の順に流れる。
なお、1号ポンプ1又は2号ポンプ2を運転させる場合、各ポンプがそれぞれ内部に逆止弁を備えるため、運転中のポンプによって昇圧される水が停止中のポンプに逆流するおそれはないので、配管装置30には、これらの場合の流路内に逆止弁を設けていない。
また、逆流防止器16により、配管装置30からの水が上水道配水管への接続口17に逆流するのを防止している。
【0040】
一方、上水道配水管の給水圧力が、上記設定値を超えた場合、ポンプによる昇圧が必要ではないことから、1号ポンプ1及び2号ポンプ2のいずれも運転させない。この場合、上水道配水管の接続口17から流れる水は、逆流防止器16、弁箱31の第1流入口311a、バイパス管38(及び逆止弁33)、弁箱31の第2流出口312a、需要先への接続口18の順に流れることとなる。
このように、給水圧力が充分である場合に、バイパス管38に水を流すことで、ポンプの消費電力を節約することができる。さらに、バイパス管38内を流れる水が、逆止弁33を通過することにより、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。また、バイパス管38及び逆止弁33が弁体32内に設けられるので、配管装置30が大型化することはない。
【0041】
図5図6は、それぞれ1号ポンプ1、2号ポンプ2への流路を遮断した場合の水の流路を示す図である。例えば1号ポンプ1又は2号ポンプ2が故障し、修理のために当該故障したポンプの運転を停止し又は給水装置4から当該ポンプを取り外さなければならない場合、ハンドル7を操作して弁体32を弁箱31に対して軸線9周りに回転させることにより、故障したポンプと配管装置30との間の水流を遮断するとともに、正常なポンプと配管装置30との間の水流を可能にする。そして、給水圧力が上述した設定値以下である場合は、正常なポンプを運転させ、給水圧力が当該設定値を超えた場合は、正常なポンプも運転させずに、水をバイパス管38に流す。
【0042】
図5において、例えば1号ポンプ1が故障した場合、弁体32の水流遮断部323、324が、1号ポンプ1の吸込口及び吐出口にそれぞれ接続された弁箱31の第1流出口311b及び第2流入口312bを塞いで、これらを閉状態にする。一方、弁体32の2つの第1開口321aと2つの第2開口322aとが、それぞれ、弁箱31の第1流入口311a及び他方の第1流出口311cと、第2流出口312a及び他方の第2流入口312cと、重なり合って、これらを開状態にする。これにより、正常な2号ポンプ2を運転可能とする。
図6において、例えば2号ポンプ2が故障した場合、弁体32の水流遮断部323、324が、2号ポンプ2の吸込口及び吐出口にそれぞれ接続された弁箱31の第1流出口311c及び第2流入口312cを塞いで、これらを閉状態する。一方、弁体32の2つの第1開口321aと2つの第2開口322aとが、それぞれ、弁箱31の第1流入口311a及び他方の第1流出口311bと、第2流出口312a及び他方の第2流入口312bと、重なり合って、これらを開状態にする。これにより、正常な1号ポンプ1を運転可能とする。
【0043】
図7は、1号ポンプ1及び2号ポンプ2への流路を遮断する場合の水の流路を示す図である。例えば、1号ポンプ1と2号ポンプ2とが故障し、修理のために当該故障したポンプの運転を停止し又は給水装置4からこれらのポンプを取り外さなければならない場合、ハンドル7を操作して弁体32を軸線9周りに回転させることにより、これらのポンプ1、2と配管装置30との間の水流を遮断する。この場合、弁体32の水流遮断部323、324が、弁箱31の第1流入口311aと第2流出口312aとをそれぞれ塞いで、これらを閉状態にしている。したがって、配管装置30の内部には水が流れない状態となる。
【0044】
なお、1号ポンプ1又は2号ポンプ2が正常な場合でも、必要に応じて1号ポンプ1又は2号ポンプ2への流路を遮断してもよい。
【0045】
本実施形態によれば、配管装置30の弁体32が、弁箱31に対して軸線9周りに回転させられることにより、第1流入口311a、第1流出口311b、311c、第2流入口312b、312c、及び第2流出口312aの各々を、同時に開閉するように構成されているので、複数のポンプ1、2への水流を、1つの弁体32の回転によって、制御することができる。これにより、配管装置の小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0046】
また、配管装置30の弁体32は、第2水室322から第1水室321への水流が常に禁止されるように構成されているので、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
【0047】
なお、上水道配水管への接続口17と配管装置30との間の流路に、受水槽を設けてもよい。この場合、上水道配水管への接続口17からの水が、一旦受水槽に溜められ、これが給水元となって必要時に水が配管装置30に送られる。受水槽を設けることで、仮に断水した場合でも、一定期間給水が可能になる。なお、仮に配管装置30から受水槽に水が逆流した場合でも、受水槽から上水道配水管への接続口17に水が逆流するおそれはないため、逆流防止器16は設けなくてもよい。ただし、受水槽からの給水圧力は、需要先で必要かつ十分な給水が出来るほど高くはないおそれがあるため、常にポンプで昇圧されることが好ましい。この観点から、受水槽を給水元とする場合、弁体32は、バイパス管38及び逆止弁33を設ける代わりに、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁(図示せず)を備えることが好ましい。これによれば、受水槽から流れる水のすべてをポンプに送って昇圧させてから需要先に送ることができる。
【0048】
また、上述した配管装置30は、複数のポンプ1、2に接続されるものであるが、1つのポンプのみに接続されるものであってもよい。この場合、弁箱31の第1流出口及び第2流入口は、それぞれ1つずつ設けられる。この構成によっても、配管装置の小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0049】
また、上述した実施形態において、弁体32の複数の第1開口321a及び複数第2開口322aを、それぞれ1つの第1開口及び1つの第2開口に置き換えてもよい。この場合、例えば、第1開口及び第2開口を、弁体の円周に沿って、それぞれ弁体32の、水流遮断部323、324が設けられていない部分に延在させるようにしてもよい。
【0050】
また、弁体32がバイパス管38及び逆止弁33を備える代わりに、弁箱31がバイパス管及び逆止弁を設けてもよい。この場合、弁箱31は、第1流入口又は第1流出口に接続されて弁箱31の外部に向けて延在する第1連通管と、第2流入口又は第2流出口に接続されて弁箱31の外部に向けて延在する第2連通管と、第1連通管と第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、バイパス管内に設けられ、第1連通管から第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、をさらに備えることが好ましい。この場合、弁体32は、バイパス管38及び逆止弁33を備える代わりに、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁(図示せず)を備えることが好ましい。この構成によれば、ポンプを運転させない場合に、上水道配水管から流れる水のすべてをバイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
【0051】
なお、本発明の他の配管装置は、給水装置以外のものに組み込むこともでき、すなわち次の構成を持つものでもある:
液体の流出入を制御する配管装置であって、
配管装置の軸線方向に沿って配列された第1弁箱部と第2弁箱部とが一体的に構成されてなり、断面円環状の内周面を有する、弁箱と、
前記弁箱内に収容され、該弁箱に対して配管装置の軸線の周りに回転可能に支持されるとともに、前記軸線方向に沿って配列された第1液体室と第2液体室とを有し、断面円環状の外周面を有する、弁体と、を備え、
前記第1弁箱部は、複数の第1弁箱開口を有するとともに、前記第1液体室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記第2弁箱部は、複数の第2弁箱開口を有するとともに、前記第2液体室の、配管装置の径方向外側に配置され、
前記弁体は、
前記第1弁箱開口と重なり合うことによって前記第1液体室と配管装置の外部との間の液体の流動を許容する第1弁体開口と、前記第2弁箱開口と重なり合うことによって前記第2液体室と配管装置の外部との間の液体の流動を許容する第2弁体開口とを有し、
前記第2液体室から前記第1液体室への液体流が、常に禁止されるように構成された、仕切り部を、前記第1液体室と前記第2液体室との間に有する。
【0052】
ここで、「液体」とは、水や油等、任意の液体とすることができる。「第1弁箱部」、「第2弁箱部」、「弁箱」は、上記の実施形態における第1弁箱部311、第2弁箱部312、弁箱31にそれぞれ対応する。「第1液体室」、「第2液体室」、「弁体」は、上記の実施形態における第1水室321、第2水室322、弁体32にそれぞれ対応する。「複数の第1弁箱開口」は、上記の実施形態における第1流入口311a、第1流出口311b、311cに対応する。「複数の第2弁箱開口」は、上記の実施形態における第2流出口312a、第2流入口312b、312cにそれぞれ対応する。「第1弁体開口」、「第2弁体開口」は、上記の実施形態における第1開口321a、第2開口322aにそれぞれ対応する。「仕切り部」は、上記の実施形態におけるバイパス管38及び逆止弁33に対応し、また、上記の変形例における隔壁に対応する。
【0053】
[配管システム]
本発明の一実施形態に係る配管システムを、主に図8を参照して説明する。
【0054】
本実施形態に係る配管システム50は、図2〜7を参照して上述した配管装置を複数(本例では、2つの配管装置30、30’)備え、これらが互いに接続されており、本例では、給水装置4に組み込まれて使用されるものである。ただし、本実施形態に係る配管システム50は、給水装置4以外の構成を持つ給水装置や、給水装置以外の装置に、組み込まれて使用されてもよい。図8に示す給水装置4は、上水道配水管への接続口17と需要先への接続口18との間の流路に設けられており、逆流防止器16と、配管システム50と、並列流路内に配置された複数(図の例では、3つ)のポンプ1〜3と、仕切弁20と、圧力タンク19と、を備えている。なお、配管システム50を構成する各配管装置30、30’の構成は、基本的には上述したものと同様であるので、以下では、上述した構成と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
図8は、本実施形態に係る配管システム50における水の流路を示している。本例の配管システム50において、2つの配管装置30、30’のうち、上流側(上水道配水管への接続口17に近い側)に配置された第1弁箱部311を有する配管装置(以下、「上流側の配管装置」という。)30は、1号ポンプ1の吸込口及び吐出口にそれぞれ接続された第1多方向弁5(図の例では、三方向弁)及び第2多方向弁6(図の例では、三方向弁)を有している。一方、下流側(上水道配水管への接続口17から遠い側)に配置された第1弁箱部311を有する配管装置(以下、「下流側の配管装置」という。)30’は、2号ポンプ2及び3号ポンプ3の吸込口に接続された第1多方向弁5と、2号ポンプ2及び3号ポンプ3の吐出口に接続された第2多方向弁6とを、有している。2つの配管装置30、30’は、それぞれの第1多方向弁5どうしと、第2多方向弁6どうしとが、互いに接続されている。
【0056】
次に、図2図3及び図8を参照して、配管システム50の具体的な構成について説明する。上流側の配管装置30の第1流入口311a及び第2流出口312aは、それぞれ上水道配水管への接続口17及び需要先への接続口18に接続される。上流側の配管装置30の複数の第1流出口のうち1つ311cは、下流側の配管装置30’の第1流入口311aと接続されている。また、上流側の配管装置30の複数の第2流入口のうち1つ312cは、下流側の配管装置30’の第2流出口312aと接続されている。上流側の配管装置30における複数の第1流出口及び第2流入口のうち、下流側の配管装置30’と接続されていない第1流出口311b及び第2流入口312bは、1号ポンプ1の吸込口及び吐出口にそれぞれ接続される。下流側の配管装置30’における複数の第1流出口311b、311cは、それぞれ2号ポンプ2及び3号ポンプ3の各吸込口に接続される。下流側の配管装置30’における複数の第2流入口312b、312cは、それぞれ2号ポンプ2及び3号ポンプ3の各吐出口に接続される。
【0057】
各配管装置30、30’の弁体32は、第2水室322から第1水室321への水流が、常に禁止されるように構成されている。具体的に、図8の例では、上流側の配管装置30の弁体32が、バイパス管38と逆止弁33とを備えており、下流側の配管装置30’の弁体32が、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁を備えている。
【0058】
次に、本実施形態に係る配管システム50の作用を説明する。図8の流路は、1〜3号ポンプ1〜3への流路を形成している場合を示している。図8において、本例の給水装置4は、上水道配水管の給水圧力が、ポンプで昇圧しなくても需要先で必要かつ十分な給水が出来るように定められた設定値以下である場合、1〜3号ポンプ1〜3のいずれかを運転させて、給水圧力を当該設定値まで昇圧させる。この場合、例えば、1〜3号ポンプ1〜3は、それぞれの運転時間が平均化するように交互に運転され、同時に運転されることは無いようにしてもよいし、同時に運転させてもよい。
一方、上水道配水管の給水圧力が、上記設定値を超えた場合、ポンプによる昇圧が必要ではないことから、1〜3号ポンプ1〜3のいずれも運転させない。この場合、上水道配水管の接続口17から流れる水は、逆流防止器16、上流側の配管装置30の弁箱31の第1流入口311a、上流側の配管装置30のバイパス管38(及び逆止弁33)、上流側の配管装置30の弁箱31の第2流出口312a、需要先への接続口18の順に流れることとなる。このように、給水圧力が充分である場合に、バイパス管38に水を流すことで、ポンプの消費電力を節約することができる。さらに、バイパス管38内を流れる水が、逆止弁33を通過することにより、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。また、バイパス管38及び逆止弁33が弁体32内に設けられるので、配管システム50が大型化することはない。
例えば、いずれかのポンプが故障した場合、当該故障したポンプに接続された配管装置のハンドル7を操作して弁体32を弁箱31に対して軸線9周りに回転させることにより、故障したポンプと該故障したポンプに接続された配管装置との間の水流を遮断する。そして、給水圧力が上述した設定値以下である場合は、正常なポンプを運転させ、給水圧力が当該設定値を超えた場合は、正常なポンプも運転させずに、水をバイパス管38に流す。
【0059】
本実施形態によれば、複数のポンプ1〜3への水流を、ポンプの数よりも少ない数の弁体32の回転によって制御することができるので、配管システムの小型化と操作性の向上とが可能になる。
【0060】
なお、配管システム50が、3つ以上の配管装置を備える場合、それらを次のように接続して使用するのがよい。いずれか1つの配管装置の第1流入口311a及び第2流出口312aが、それぞれ上水道配水管への接続口17及び需要先への接続口18に接続される。そして、隣接する2つの配管装置のうち、一方の配管装置の複数の第1流出口311b、311cのうち1つが、他方の配管装置の第1流入口311aと接続され、一方の配管装置の複数の第2流入口312b、312cのうち1つが、他方の配管装置の第2流出口312aと接続される。さらに、各配管装置における複数の第1流出口311b、311c及び第2流入口312b、312cのうち、他の配管装置と接続されていない1つ以上の第1流出口及び第2流入口が、1つ以上のポンプの各吸込口及び各吐出口にそれぞれ接続される。
【0061】
また、配管システム50では、少なくとも1つの配管装置の弁体32が、バイパス管38及び逆止弁33を備えていればよい。この場合、他の配管装置の弁体32が、それぞれ、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁を備えるものとする。ただし、複数の配管装置のうち、最も上流側の配管装置の弁体32が、バイパス管38及び逆止弁33を備えるようにすれば、他の配管装置がこれらを備える場合と比べて、上水道配水管への接続口17からバイパス管38を通って需要先への配管接続口18に至る流路を最も短くすることができるので、最も効率的である。
【0062】
なお、上水道配水管への接続口17と配管システム50との間の流路に、受水槽を設けてもよい。この場合、上水道配水管への接続口17からの水が、一旦受水槽に溜められ、これが給水元となって必要時に水が配管システム50に送られる。なお、仮に配管システム50から受水槽に水が逆流した場合でも、受水槽から上水道配水管への接続口17に水が逆流するおそれはないため、逆流防止器16を設ける必要はない。ただし、受水槽からの給水圧力は、需要先で必要かつ十分な給水が出来るほど高くはないおそれがあるため、常にポンプで昇圧されることが好ましい。この観点から、受水槽を給水元とする場合、全ての配管装置30、30’、・・・が、弁体32に、バイパス管38及び逆止弁33を備える代わりに、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁(図示せず)を備えることが好ましい。これによれば、受水槽から流れる水のすべてをポンプに送って昇圧させてから需要先に送ることができる。
【0063】
また、弁体32がバイパス管38及び逆止弁33を備える代わりに、弁箱31がバイパス管及び逆止弁を設けてもよい。この場合、弁箱31は、複数の配管装置30、30’のうちいずれか1つの、第1流入口又は第1流出口に接続されて弁箱31の外部に向けて延在する第1連通管と、複数の配管装置30、30’のうちいずれか1つの、第2流入口又は第2流出口に接続されて弁箱31の外部に向けて延在する第2連通管と、第1連通管と第2連通管とのそれぞれに開口するバイパス管と、バイパス管内に設けられ、第1連通管から第2連通管への水流のみを許容する逆止弁と、をさらに備えることが好ましい。この場合、各配管装置30、30’の弁体32は、バイパス管38及び逆止弁33を備える代わりに、第1水室321と第2水室322との間の水流を禁止するように構成された隔壁(図示せず)を備えることが好ましい。この構成によれば、ポンプを運転させない場合に、上水道配水管から流れる水のすべてをバイパス管を介して需要先に送ることができるとともに、このときに需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止することができる。
【0064】
なお、上述した配管装置及び配管システムは、水以外の液体(例えば海水や油等)にも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る配管装置及び配管システムは、商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するための、ブースタポンプや加圧給水装置等を備えた給水装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1:1号ポンプ、 2:2号ポンプ、 3:3号ポンプ、 4:給水装置5:第1多方向弁、 6:第2多方向弁、 7:ハンドル、 9:配管装置の軸線、 16:逆流防止器、 17:上水道配水管への接続口、 18:需要先への接続口、 19:圧力タンク、 20:仕切弁、 30:配管装置、 31:弁箱、 32:弁体、 33:逆止弁、 34:弁棒、 36、37:支持部材、 38:バイパス管、 50:配管システム、 311:第1弁箱部、 311a:第1弁箱部の第1流入口、 311b、311c:第1弁箱部の第1流出口、 312:第2弁箱部、 312a:第2弁箱部の第2流出口、 312b、312c:第2弁箱部の第2流入口、 313:弁箱の内周面、 314、315:弁箱の軸線方向の端壁、 320:弁体の外周面、 321:第1水室、 321a:第1開口、 322:第2水室、 322a:第2開口、 323、324:水流遮断部、 325:パッキン
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