特許第6185757号(P6185757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185757照明器具の回転制御装置及びそれを用いた照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185757
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】照明器具の回転制御装置及びそれを用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20170814BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H02P29/00
   H05B37/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-114647(P2013-114647)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-236527(P2014-236527A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100143557
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 美保
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】北野 高通
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−021487(JP,B1)
【文献】 特開平02−206378(JP,A)
【文献】 実開昭55−053641(JP,U)
【文献】 特開平07−312296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動して照明器具を少なくとも1つの回転軸回りに回転させる回転手段と、
外部からの回転指示信号に応じて、前記照明器具の回転範囲内における前記モータの駆動制御を行う駆動制御装置とを備え、
前記駆動制御装置は、
各回転軸について、前記照明器具の回転範囲の両側の端部を検出可能な1つの検出器を含み、前記照明器具の回転位置が前記回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したときに判別信号を出力する回転範囲制御部と、
前記回転範囲制御部から出力された判別信号に基づいて、前記モータの回転駆動を停止させる停止制御部と、
前記停止制御部により前記モータの回転駆動が停止された後に、入力される前記回転指示信号の回転指示方向が、前記モータの回転駆動が停止した一方の端部から前記回転範囲の他方の端部へ向けた移動となる回転方向であるときに、前記モータを駆動するための駆動制御信号を出力する駆動制御部と、
前記駆動制御部から出力された駆動制御信号に基づいて、前記モータに駆動信号を出力して前記モータを駆動させるモータ駆動部とを備え、
前記駆動制御部は、情報を書き込み可能な半導体不揮発性メモリと、前記駆動制御信号を出力する演算処理部とを有し、
前記駆動制御部は、前記照明器具の回転位置が前記回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したときに、前記半導体不揮発性メモリに前記モータの停止直前の回転方向に関する情報を書き込み、
前記演算処理部は、前記半導体不揮発性メモリに書き込まれた前記モータの停止直前の回転方向に関する情報と前記回転範囲制御部から出力された判別信号とに基づき、前記駆動制御信号を出力する、照明器具の回転制御装置。
【請求項2】
前記回転範囲制御部は、
前記モータの回転に伴い回転するとともに、前記照明器具の回転範囲を設定する回転範囲設定部と、
前記検出器を用いて、前記照明器具が前記回転範囲設定部により設定された回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別する判別部とを備える、請求項1に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項3】
前記回転範囲制御部は、
前記照明器具の回転範囲を設定する回転範囲設定部と、
前記モータの回転に伴い回転するとともに、前記検出器を用いて、前記照明器具が前記回転範囲設定部により設定された回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別する判別部とを備える、請求項1に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項4】
前記回転範囲設定部は、前記照明器具の回転範囲に対応する範囲識別手段を有するものであり、
前記判別部は、前記検出器により前記範囲識別手段を検出し、その検出結果が前記モータの回転に伴い変化することを検出する、請求項2又は3に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項5】
前記回転範囲設定部は、前記照明器具の回転範囲を設定するための外形形状を有し、
前記判別部は、前記検出器を用いて前記回転範囲設定部の外形形状を判別することで、前記照明器具の回転位置が前記回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別したとき、前記判別信号を出力する、請求項2から4のいずれか1項に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項6】
前記半導体不揮発性メモリは、EEPROMである、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項7】
前記演算処理部は、前記回転範囲制御部から出力された判別信号が入力された後、前記半導体不揮発性メモリに書き込まれた前記モータの停止直前の回転方向に関する情報に基づいて、その後に入力される前記回転指示信号の回転指示方向が、前記モータの回転駆動が停止した一方の端部から前記回転範囲の他方の端部へ向けた移動となる回転方向であると判定したとき、前記駆動制御信号を前記モータ駆動部に出力する、請求項1から6のいずれか1項に記載の照明器具の回転制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の回転制御装置と、
前記回転制御装置により少なくとも一軸方向に回転駆動される照明器具と、
前記照明器具を回転させるための回転指示信号を前記回転制御装置に送信する送信装置とを備える、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転制御装置及びそれを用いた照明装置に関し、特に、照明装置に取り付けられ、照明器具の光の照射方向を変更可能な回転制御装置及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具の光源や反射板などの位置や姿勢を変更し、光の照射方向を変更可能な照明装置がある(例えば、下記特許文献1参照)。このような照明装置において光の照射方向を変更させるために照明器具を回転させる際には、使用しているケーブル類が絡まったり、破損したりすることを防止する必要がある。そのため、通常、このような照明装置においては、照明器具の回転範囲を制限する仕組みが用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、照明器具本体の回転範囲を設定するため、各回転範囲の両端に2つのリミットスイッチを用いた照明器具の構成が開示されている。リミットスイッチは、照明器具の各回転方向につき1つずつ配置されており、照明器具を回転させるためのモータのオン、オフを行う。照明器具本体が回転範囲の一方の端部まで回動したとき、第1のリミットスイッチがオフとなり、モータが停止する。また、照明器具本体が回転範囲の他方の端部まで回動したとき、第2のリミットスイッチがオフとなり、モータが停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−16255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の特許文献1に記載されているような照明器具では、以下のような問題がある。すなわち、特許文献1に記載されている照明器具は、1つの回転軸周りの回転範囲を設定するために2つのスイッチを用いているため、部品点数が多く、配線や回路構成が複雑である。部品点数が多く、構造が複雑であると、部品コストや組立工数などに係る製造コストが高くなる。回転方向が多い照明器具ほど、設けるべきリミットスイッチ数が多くなり、このような問題点の影響が大きくなる。
【0006】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、照明器具の回転範囲を安価かつ確実に設定できる照明器具の回転制御装置及び照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、照明器具の回転制御装置は、モータを駆動して照明器具を少なくとも1つの回転軸回りに回転させる回転手段と、外部からの回転指示信号に応じて、照明器具の回転範囲内におけるモータの駆動制御を行う駆動制御装置とを備え、駆動制御装置は、各回転軸について、照明器具の回転範囲の両側の端部を検出可能な1つの検出器を含み、照明器具の回転位置が回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したときに判別信号を出力する回転範囲制御部と、回転範囲制御部から出力された判別信号に基づいて、モータの回転駆動を停止させる停止制御部と、停止制御部によりモータの回転駆動が停止された後に、入力される回転指示信号の回転指示方向が、モータの回転駆動が停止した一方の端部から回転範囲の他方の端部へ向けた移動となる回転方向であるときに、モータを駆動するための駆動制御信号を出力する駆動制御部と、駆動制御部から出力された駆動制御信号に基づいて、モータに駆動信号を出力してモータを駆動させるモータ駆動部とを備え、駆動制御部は、情報を書き込み可能な半導体不揮発性メモリと、駆動制御信号を出力する演算処理部とを有し、駆動制御部は、照明器具の回転位置が回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したときに、半導体不揮発性メモリに前記モータの停止直前の回転方向に関する情報を書き込み、演算処理部は、半導体不揮発性メモリに書き込まれたモータの停止直前の回転方向に関する情報と回転範囲制御部から出力された判別信号とに基づき、駆動制御信号を出力する
【0008】
好ましくは、回転範囲制御部は、モータの回転に伴い回転するとともに、照明器具の回転範囲を設定する回転範囲設定部と、検出器を用いて、照明器具が回転範囲設定部により設定された回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別する判別部とを備える。
【0009】
好ましくは、回転範囲制御部は、照明器具の回転範囲を設定する回転範囲設定部と、モータの回転に伴い回転するとともに、検出器を用いて、照明器具が回転範囲設定部により設定された回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別する判別部とを備える。
【0010】
好ましくは、回転範囲設定部は、照明器具の回転範囲に対応する範囲識別手段を有するものであり、判別部は、検出器により範囲識別手段を検出し、その検出結果がモータの回転に伴い変化することを検出する。
【0011】
好ましくは、回転範囲設定部は、照明器具の回転範囲を設定するための外形形状を有し、判別部は、検出器を用いて回転範囲設定部の外形形状を判別することで、照明器具の回転位置が回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したことを判別したとき、判別信号を出力する。
【0012】
好ましくは、半導体不揮発性メモリは、EEPROMである
【0014】
好ましくは、演算処理部は、回転範囲制御部から出力された判別信号が入力された後、半導体不揮発性メモリに書き込まれたモータの停止直前の回転方向に関する情報に基づいて、その後に入力される回転指示信号の回転指示方向が、モータの回転駆動が停止した一方の端部から回転範囲の他方の端部へ向けた移動となる回転方向であると判定したとき、駆動制御信号をモータ駆動部に出力する。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、照明装置は、上述のいずれかに記載の回転制御装置と、回転制御装置により少なくとも一軸方向に回転駆動される照明器具と、照明器具を回転させるための回転指示信号を回転制御装置に送信する送信装置とを備える。
【発明の効果】
【0016】
これらの発明に従うと、各回転軸について、照明器具の回転範囲の両側の端部を検出可能な1つの検出器を用いて回転範囲の両側の端部のいずれか一方に達したときにモータの回転駆動が停止され、その後回転指示方向が他方の端部へ向けた移動となる回転方向であるときに、モータが駆動される。したがって、簡易な構成で、照明器具の回転範囲を安価かつ確実に設定できる照明器具の回転制御装置及びそれを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態の1つにおける照明装置の構成を示すブロック図である。
図2】照明装置の一具体例を示す図である。
図3】モータが設けられている部位の回転範囲制御部の構造を示す図である
図4】回転範囲制御部においてマイクロスイッチがオフの状態を示す図である。
図5】回転範囲制御部においてマイクロスイッチがオンの状態を示す図である。
図6】マイクロスイッチの状態と、照明器具の回転範囲との関係を示す図である。
図7】回転指示信号を受信したとき制御回路部の動作を示すフローチャートである。
図8】回転範囲制御部の第1の変型例を示す図である。
図9】回転範囲制御部の第2の変型例を示す例である。
図10】回転範囲制御部の第3の変型例を示す例である。
図11図10を側方から見た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の1つにおける照明装置について説明する。
【0019】
まず、照明装置のハードウェア構成について説明する。
【0020】
[照明装置のハードウェア構成の説明]
【0021】
図1は、照明装置200の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示されるように、照明装置200は、光源を含む照明器具100と、回転制御装置1と、リモートコントローラ(遠隔制御装置;送信装置の一例)80とを備えている。照明装置200は、回転制御装置1により照明器具100を回転させ、照明器具100からの光の照射方向を変更可能である。
【0023】
回転制御装置1は、モータ50と、駆動制御装置2とを有している。
【0024】
モータ50は、アーム60(図2に示す)と共に、照明器具100を一軸方向に(1つの回転軸回りに)回転させる回転手段として機能する。
【0025】
駆動制御装置2は、照明器具100の回転範囲において、モータ50を駆動制御する。駆動制御装置2は、回転制御装置1の外部のリモートコントローラ80から送信される回転指示信号Sdに基づいて、モータ50の駆動制御を行う。
【0026】
なお、後述の図2に示されるように、照明装置200には、二軸方向(例えば、水平方向、垂直方向)に照明器具100を回転させることができるように構成されており、モータ50は、各回転軸につき1つが設けられている(モータ50a,50b)。以下の照明器具100の回転制御に関する説明においては、この2軸の回転方向を互いに区別する必要がないときには、この2軸の回転方向のうち一方の回転軸周りの制御について説明を行うことで、他方の説明も兼ねることとする。
【0027】
駆動制御装置2は、回転範囲制御部3と、制御回路部(制御部;停止制御部の一例、駆動制御部の一例)4と、モータ駆動回路(モータ駆動部の一例)5とを備える。
【0028】
回転範囲制御部3は、回転範囲設定部31と、判別部32とを有している。回転範囲設定部31は、モータ50とともに、各回転軸について設けられている。なお、図1において、回転範囲設定部31とモータ50とを接続する二本線や、回転範囲設定部31と照明器具100とを接続する二本線は、これらが互いに物理的に結合されている状態を意味している。
【0029】
回転範囲設定部31は、モータ50の回転に伴って回転する。回転範囲設定部31は、照明器具100の回転範囲を設定する。なお、本実施の形態では、回転範囲設定部31として、カム形状の外形形状を有するもの(図2のカム31a,31b)が、回転範囲に対応する範囲識別手段として用いられる。
【0030】
判別部32は、1つの検出器を含んでいる。検出器は、1つの回転軸について、照明器具100の回転範囲の両側の端部(回転端)を検出可能である。判別部32は、検出器を用いて検出した結果がモータの回転に伴い変化することを検出し、照明器具100が回転範囲設定部31により設定された回転範囲の回転端のいずれか一方に達したことを判別する。判別部32は、照明器具100の回転位置が回転端のいずれか一方に達したことを判別したとき、判別信号S2を出力する。判別信号S2は、制御回路部4に入力される。なお、本実施の形態では、判別部32として、マイクロスイッチ(図2のマイクロスイッチ32a,32b)が用いられる。
【0031】
制御回路部4は、マイコン(マイクロコンピュータ;演算処理部の一例)41と、EEPROM(記憶部の一例)42とを有している。
【0032】
マイコン41には、回転範囲制御部3から出力された判別信号S2と、リモートコントローラ80から送信された回転指示信号Sdが入力される。マイコン41は、リモートコントローラ80から送信された回転指示信号Sdで示される回転指示方向に、照明器具100を回転させる制御を行う。
【0033】
なお、マイコン41は、駆動制御信号S4をモータ駆動回路5に出力することで、モータ50の駆動を制御する。
【0034】
ここで、マイコン41は、判別信号S2に基づいて、モータ駆動回路5を制御し、モータ50の回転駆動を停止させる。これにより、照明器具100の回転位置が回転端のいずれか一方に達したときに、モータ50の回転駆動が停止し、照明器具100の回転が停止する。そして、マイコン41は、モータ50の回転駆動を停止させた後に、次のような制御を行う。すなわち、入力された回転指示信号Sdの回転指示方向が、モータ50の前回停止直前の回転方向(最終回転方向)とは反対の方向であるとき、モータ50を駆動させる。換言すると、マイコン41は、モータ50の回転停止後に入力された回転指示信号Sdの回転指示方向が、モータ50の回転停止時に照明器具100が位置する回転端から照明器具100を回転範囲の他方の回転端に向けて回転移動させる方向であるときに、モータ50を駆動させるための駆動制御信号S4を出力する。
【0035】
EEPROM42は、マイコン41が制御を行うときに利用する種々の情報を記憶する。本実施の形態において、EEPROM42は、モータ50の最終回転方向(モータ50の前回停止直前の回転方向)を記憶する。マイコン41は、EEPROM42に記憶されている最終回転方向の記憶情報S3と、判別部32から出力された判別信号S2とに基づいて、上述のように、モータ50を駆動させるための駆動制御信号S4を出力する。
【0036】
モータ駆動回路5は、モータ50を駆動するための駆動制御信号S4がマイコン41から送信されると、駆動制御信号S4に基づいて、モータ50を駆動させる駆動信号S1をモータ50に出力する。モータ50は、モータ駆動回路5から出力された駆動信号S1に基づいて回転する。
【0037】
図2は、照明装置200の一具体例を示す図である。
【0038】
図2に示されるように、照明器具100は、例えばスポットライトである。照明器具100は、アーム60に保持されている。なお、駆動制御装置2のうち回転範囲制御部3を除く部分は、例えば回路基板上に実装し、照明装置200の任意の位置に配置可能である。例えば、駆動制御装置2は、アーム60あるいは保持体201の任意の位置に設置できる。
【0039】
照明装置200において、照明器具100は、1つのアーム60と2つのモータ50(モータ50a,50b)により、垂直方向Bと水平方向Dとの二軸方向に回転可能である。垂直方向Bについて、モータ50aと、カム(回転範囲設定部の一例)31aと、マイクロスイッチ(検出器の一例)32aとが配置されている。水平方向Dについて、モータ50bと、カム(回転範囲設定部の一例)31bと、マイクロスイッチ(検出器の一例)32bとが配置されている。
【0040】
照明器具100は、リモートコントローラ80からユーザの指示などに基づいて回転指示信号Sd(例えば、赤外線の信号)が出力されると、回転する。すなわち、回転制御装置1は、回転指示信号Sdに応じて、モータ50a,50bを駆動する。モータ50aが回転方向Aに回転すると、照明器具100は垂直方向Bに回転する。モータ50bが回転方向Cに回転すると、照明器具100は水平方向Dに回転する。
【0041】
ここで、カム31aはモータ50aのシャフトに固定されており、シャフトの回転に伴って回転する。マイクロスイッチ32aは、アーム60に固定されており、モータ50aのシャフトが回転しても、マイクロスイッチ32aの位置は変化しない。
【0042】
図3は、モータ50bが設けられている部位の回転範囲制御部3の構造を示す図である。
【0043】
他方、カム31bは、モータ50bの本体とともに、保持体201に固定されている。図3に示されるように、カム31bは、モータ50bのシャフトが回転しても回転しない。マイクロスイッチ32bは、アーム60に固定されており、モータ50bのシャフトの回転に伴ってアーム60と共に回転する。モータ50bのシャフトには、ジョイント部70が設けられている。ジョイント部70は、カム31bには結合しないようにしてカム31bの中空部に配置されるとともに、モータ50bのシャフト及びアーム60に設けられた孔部に結合するようにして配置されている。
【0044】
マイクロスイッチ32bのレバー34b(図4参照)は、カム31bの外形部(カム面)に接するように配置されている。カム31bは、回転範囲の回転端(両端)の位置に応じた形状のカム面を有している。照明器具100の回転に伴ってカム31bに対してマイクロスイッチ32bが回転することで、レバー34bによってマイクロスイッチ32bのボタン34c(図4参照)がマイクロスイッチ本体34a(図4参照)に向けて押され、マイクロスイッチ32bがオン状態となるように構成されている。
【0045】
[回転範囲制御部3の構造]
【0046】
図4は、回転範囲制御部3においてマイクロスイッチ(検出器の一例)32bがオフの状態を示す図である。
【0047】
図4では、判別部32としてマイクロスイッチ32bを用いた場合において、マイクロスイッチ32bがオフの状態(照明器具100の回転位置が、回転範囲内であって回転端ではない状態)が示されている。
【0048】
図4に示されるように、カム(回転範囲設定部の一例)31bの一部の範囲には、カム本体33aから若干外側に張り出し、回転範囲を制限するためのリブ(範囲識別手段の一例)33bが設けられている。リブ33bは、カム31bの中心軸(ジョイント部70の中央部と同位置)からカム面までの距離が比較的大きくなるように、所定の範囲に設けられている。このようなカム31bの外形形状は、照明器具100の回転範囲として許容できる範囲に対応するように設定されている。
【0049】
図4に示される例では、マイクロスイッチ32bのレバー34bは、カム31bの回転制限用のリブ33bが設けられていない位置にあり、カム本体33aのカム面に接触している。このような状態では、レバー34bによるボタン34cの押下操作は行われておらず、マイクロスイッチ32bはオフ状態になっている。
【0050】
図5は、回転範囲制御部3においてマイクロスイッチ32bがオンの状態を示す図である。
【0051】
図4に示される状態から、図4の矢印方向に照明器具100が回転すると、照明器具100及びアーム60とともにマイクロスイッチ32bが変位(回転)し、マイクロスイッチ32bとカム31bとの相対的位置関係が変化する。図5では、照明器具100の回転位置が、回転範囲の回転端の一方端に達し、マイクロスイッチ32bがオンになったときの状態が示されている。
【0052】
図5に示されるように、照明器具100の回転位置が回転範囲の一方端に達すると、マイクロスイッチ32bのレバー34bは、カム31bの回転制限用のリブ33bの一方端に乗り上げる。そうすると、ボタン34cが押下され、マイクロスイッチ32bはオン状態になる。その結果、判別部32から、判定信号として回転範囲の回転端に達したことを示す判別信号S2(例えば、High信号)が制御回路部4のマイコン41に出力される。
【0053】
なお、図4図5においては、水平方向Dへの回転の例を示すものであるが、垂直方向Bの回転時でも、マイクロスイッチ32aとカム31aとの相対的な位置関係が変化し、マイクロスイッチ32aのオン状態とオフ状態とが切り替わる点は、上述と同様である。
【0054】
図6は、マイクロスイッチ32bの状態と、照明器具100の回転範囲との関係を示す図である。
【0055】
図6に示されるように、マイクロスイッチ32bは、照明器具100の回転位置が回転範囲内であるときにはオフ状態となり、回転範囲の両側の端部(回転端)では、オン状態となる。すなわち、照明器具100の水平方向Dの回転範囲は、カム31bのうち、カム本体33aのカム面がある範囲E(図5)に対応する。カム31bのうち範囲Eの設定次第で、照明器具100の回転範囲が設定される。
【0056】
[制御回路部4の動作]
【0057】
図7は、回転指示信号Sdを受信したとき制御回路部4の動作を示すフローチャートである。
【0058】
制御回路部4のマイコン41は、次のようにして、照明器具100が回転範囲内で回転するように制御を行う。なお、本フローチャートは、回転指示信号Sdを受信したときに実行される手順であり、それ以外のときは、実行されない。
【0059】
図7に示されるように、ステップS11において、マイコン41は、照明装置200の電源オンが開始されたかどうかを判定する。開始された場合(YESの場合)、ステップS12の処理を行い、開始されていない場合(NOの場合)、ステップS13の処理を行う。
【0060】
ステップS12において、マイコン41は、EEPROM42に記憶されている記憶情報S3から最終回転方向を読み出し、ステップS13の処理を行う。
【0061】
ステップS13において、マイコン41は、判別部32(マイクロスイッチ)の状態を判定する。オフ状態(OFF)の場合、ステップS14の処理を行い、オン状態(ON)の場合、ステップS17の処理を行う。
【0062】
ステップS14において、マイコン41は、モータ50を回転指示方向に回転し、ステップS15の処理を行う。
【0063】
ステップS15において、マイコン41は、マイコン41内において、回転指示方向を最終回転方向として保存(一時保存)する。この保存された最終回転方向の情報は、照明装置200の電源がオンであるときには保持される。
【0064】
ステップS16において、マイコン41は、EEPROM42の書き込み用フラグをクリア(リセット)し、処理を終了する。
【0065】
ステップS17において、マイコン41は、フラグがセットされているかどうかを判定する。フラグがクリアされている場合は、ステップS18の処理を行い、フラグがセットされている場合は、ステップS20の処理を行う。
【0066】
ステップS18において、マイコン41は、EEPROM42に記憶情報S3として照明器具100の最終回転方向を記憶し、ステップS19の処理を行う。
【0067】
ステップS19において、マイコン41は、EEPROM42の書き込み用フラグをセットし、ステップS20の処理を行う。
【0068】
ステップS20において、マイコン41は、回転指示信号Sdの回転指示方向がEEPROM42に記憶された最終回転方向かどうかを判定する。最終回転方向ではない場合(NOの場合)、ステップS21の処理を行い、最終回転方向である場合(YESの場合)、処理を終了する。
【0069】
ステップS21において、マイコン41は、モータ50を回転指示方向に回転し、処理を終了する。
【0070】
このように、本実施の形態では、1つの回転方向(一軸方向)について、1個の検出器を含む判別部32で照明器具100の回転範囲を制御できる。したがって、回転制御装置1の部品数や配線数を低減でき、回転制御装置1のサイズを小さくすることができ、回転制御装置1の構造を簡素化できる。
【0071】
また、これに伴い、回転制御装置1の部品コストや組立工数を低減できるので、回転制御装置1全体の製造コストを低減することができる。
【0072】
照明器具100の回転位置が、回転範囲の回転端のどちらかに達したときに、そのときの最終回転方向が制御回路部4で記憶される。これにより、判別部32でオン状態であるとき、照明器具100が2つの回転端のうちどちらに停止しているかを判定できる。その結果、回転端に到達して停止した後に、新たに回転範囲外へ向かう方向を指示する回転指示信号Sdが入力されても、マイコン41は、その方向に向かう動作をしないように制御できる。結果として、各回転軸につき1つのスイッチを用いて、回転範囲を超える方向に回転する異常動作が発生することを防止でき、照明器具100の回転位置が確実に回転範囲内に納まるように制御できる。
【0073】
EEPROM42では、1つのアドレスについて記憶情報の書き込み回数に制限がある。しかしながら、本実施の形態では、判別部32のスイッチがオン状態となったときの最終回転方向だけがEEPROM42に記憶されるので、EEPROM42の記憶回数を低減することができる。
【0074】
なお、マイコン41は、EEPROM42の1つのアドレスで書き込み制限回数に達した場合は、最終回転方向を書き込むアドレスを他のアドレスに変更するようにしてもよい。これにより、最終回転方向を長期間に保存することが可能となる。
【0075】
なお、製品出荷状態では、EEPROM42などの記憶部に最終回転方向は記憶されていない。このような場合には、電源を最初にオンする前に、照明器具100の回転位置が回転範囲内の任意の位置にあることを確認し、回転範囲内にない場合は手動で照明器具100の回転位置を調整するようにすればよい。これにより、以後、上述のような制御で不具合なく、適正に動作させることができる。
【0076】
[回転範囲制御部3の変型例の説明]
【0077】
回転範囲制御部3の構成は、上述のようなカムとマイクロスイッチとを用いたものに限られない。回転範囲制御部3は、例えば、モータ50の回転に伴い変化する所定種の物理量を検出し、検出された物理量の変化や検出された物理量の照明器具100の回転範囲に対応する閾値との関係に基づいて、照明器具100の回転位置が回転範囲内であるか否かを判別できるように構成されていればよい。
【0078】
図8は、回転範囲制御部の第1の変型例を示す図である。
【0079】
図8に示される例は、判別部32の検出器として、リードスイッチ32cを用いたものである。本例では、例えば、回転範囲設定部31として、円盤状の設定体31cを用いればよい。設定体31cの外周部には、照明器具100の回転範囲に対応するように部分的に磁石35bが設けられている。リードスイッチ32cは、設定体本体35aが近接していないとき(磁石35bが近接していないとき)にはオフ状態となり、磁石35bが近接しているときにはオン状態となる。すなわち、リードスイッチ32cは、照明器具100の回転に伴い変化する磁界の強さが、リードスイッチ32cがオン状態になるレベル(値)か否かを検出する。これにより、カムとマイクロスイッチとを用いた場合と同様に、照明器具100の回転位置が回転範囲内であるか否かを判別し、照明器具100の回転範囲を設定できる。
【0080】
図9は、回転範囲制御部の第2の変型例を示す例である。
【0081】
図9に示される例は、判別部32の検出器として、カラー判別センサ32dを用いたものである。本例では、例えば、回転範囲設定部31として、円盤状の設定体31dを用いればよい。設定体31dの外周部には、照明器具100の回転範囲に対応するように、部分的に、その他の部位(設定体本体36a)の色とは異なる色で着色された着色部(範囲識別手段の一例)36bが設けられている。例えば、設定部本体36aは白色であり、着色部36bは黒色である。カラー判別センサ32dは、設定体31dのうち近接する部位の色に応じて、オン状態となったりオフ状態となったりする。例えば、設定体本体36aが近接していないとき(着色部36bが近接していないとき)にはオフ状態となり、着色部36bが近接しているときにはオン状態となる。カラー判別センサ32dとしては、例えば所定の波長の光の強度を検知するものなどを用いることができ、その検出結果(電流値など)が閾値を上回るか否かを判別することができる。これにより、カムとマイクロスイッチとを用いた場合と同様に、照明器具100の回転位置が回転範囲内であるか否かを判別し、照明器具100の回転範囲を設定できる。
【0082】
図10は、回転範囲制御部の第3の変型例を示す例である。図11は、図10を側方から見た状態を示す図である。
【0083】
図10及び図11に示される例は、判別部32の検出器として、フォトインタラプタ32eを用いたものである。本例では、例えば、回転範囲設定部31として、上述のカム31aと同様の、カム31eを用いている。カム31eの外周部には、照明器具100の回転範囲に対応するように、部分的に、その他の部位(カム本体37a)よりも中央部からの半径が大きいリブ(範囲識別手段の一例)37bが設けられている。フォトインタラプタ32eは、カム31eのうちリブ37bを挟み込むようにして配置されている。これにより、カム31eの回転に伴い所定の範囲(リブ37bが設けられていない範囲)でフォトインタラプタ32eの光がリブ37bにより遮られることで、フォトインタラプタ32eがオフ状態となる。これにより、カムとマイクロスイッチとを用いた場合と同様に、照明器具100の回転位置が回転範囲内であるか否かを判別し、照明器具100の回転範囲を設定できる。
【0084】
[その他]
【0085】
回転範囲制御部の具体的な構成は、上述の実施形態や変形例に限定されない。回転範囲設定部は、カム形状のものに限られず、回転範囲内であるか否かに対応するその他の形状を有するものなど、回転範囲内であるか否かを物理的に異なる識別情報として識別可能な範囲識別手段を有するものであればよい。判別部は、範囲識別手段を検出可能な1つの検出器を含み、その検出結果がモータの回転に伴い変化することを検出することで、照明器具の回転位置が回転範囲内であるか否かを判別できるようにすればよい。
【0086】
回転範囲制御部と、判別部の検出器とは、一方が固定されて、他方がモータのシャフトの回転に合わせて回転すればよく、その取付構造は限定されない。
【0087】
判別部の検出器は、本実施形態に限定されない。また、判別部は、検出器のみを有するような構成に限定されず、必要に応じて、検出器の検出信号を制御回路部における処理に適する判定信号に変換する回路を有していてもよい。
【0088】
照明器具は、スポットライトに限定されない。照明器具は、例えば、ダウンライトや、外灯や、防犯灯などであってもよい。また、照明器具の光源の種類は、特に限定されない。LED(発光ダイオード)、EL(エレクトロルミネセンス)素子、及び蛍光灯など、種々のものを用いることができる。
【0089】
送信装置は、上述の実施の形態に示されるようなリモートコントローラに限定されない。例えば、時計やラジオなどを備えた兼用タイプのリモートコントローラであってもよい。また、ワイヤレスで回転指示信号を送信するものに限定されず、有線であってもよい。ワイヤレスで回転指示信号を送信する場合、通信方式は、赤外線通信に限られず、種々の無線通信方式を利用可能である。
【0090】
また、送信装置は、照明装置に内蔵されているものであってもよい。送信装置は、事前に設定されたとおりの条件(例えば、予め設定された時刻、照度の変化など)に応じて、回転指示信号を送信するものであってもよい。
【0091】
駆動制御装置は、少なくともその一部をIC(集積回路)として集積化してもよい。また、少なくともその一部は、ソフトウェアで構成してもよい。例えば、マイコンが、EEPROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、上述のような制御動作が実行されるようにしてもよい。
【0092】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0093】
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0094】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 回転制御装置
2 駆動制御装置
3 回転範囲制御部
4 制御回路部(停止制御部の一例、駆動制御部の一例)
5 モータ駆動回路(モータ駆動部の一例)
31 回転範囲設定部
31a,31b,31e カム(回転範囲設定部の一例)
31c,31d 設定体(回転範囲設定部の一例)
32 判別部
32a,32b マイクロスイッチ(検出器の一例)
32c リードスイッチ(検出器の一例)
32d カラー判別センサ(検出器の一例)
32e フォトインタラプタ(検出器の一例)
33a,37a カム本体
33b,37b リブ(範囲識別手段の一例)
34a スイッチ本体
34b レバー
34c ボタン
35a,36a 設定体本体
35b 磁石(範囲識別手段の一例)
36b 着色部(範囲識別手段の一例)
41 マイコン(演算処理部の一例)
42 EEPROM(記憶部の一例)
50,50a,50b モータ
60 アーム
70 ジョイント部
80 リモートコントローラ(送信装置の一例)
100,100a 照明器具
200 照明装置
201 保持体
S1 駆動信号
S2 判別信号
S3 記憶情報
S4 駆動制御信号
Sd 回転指示信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11