特許第6185763号(P6185763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185763
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電力供給装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/00 20060101AFI20170814BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04L13/00 T
   H02J1/00 308P
   H02J1/00 304A
   H02J1/00 306Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-125300(P2013-125300)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-2399(P2015-2399A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】本木 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 学
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0313571(US,A1)
【文献】 特開2006−065616(JP,A)
【文献】 特開2005−149293(JP,A)
【文献】 特開2012−123673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/00
H02J 1/00
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、
前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、
前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と
前記電力線の電圧を低下させる第1ディスチャージ回路と
を備え、
前記制御回路は、前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離し
前記スイッチをオンからオフに転じた後、前記第1ディスチャージ回路によって前記電力線の電圧を第1の目標電圧値まで低下させることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記スイッチのオン/オフに関係なく、前記電源から前記制御回路への電力が供給されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記スイッチのオン/オフのタイミングを制御するタイマー回路と、
前記タイマー回路の制御にしたがって前記スイッチのオン/オフを行うスイッチドライバと
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記電力線の電圧値を監視する第1電圧監視回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記第1電圧監視回路からの前記電力線の電圧値に基づいて、前記第1ディスチャージ回路のディスチャージ処理を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記電源の出力電圧を低下させる第2ディスチャージ回路をさらに備え、
前記スイッチをオンからオフに転じた後、第2ディスチャージ回路によって前記電源の出力電圧を第2の目標電圧値まで低下させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【請求項6】
電源と、
前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、
前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、
前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と、
前記電源の出力電圧を低下させる第2ディスチャージ回路と
を備え、
前記制御回路は、前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離し、
前記スイッチをオンからオフに転じた後、第2ディスチャージ回路によって前記電源の出力電圧を第2の目標電圧値まで低下させることを特徴とする電力供給装置
【請求項7】
前記電源の出力電圧値を監視する第2電圧監視回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記第2電圧監視回路からの前記電源の出力電圧値に基づいて、前記第2ディスチャージ回路のディスチャージ処理を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記電力線の電圧が前記第1の目標電圧値に到達したのをトリガーとして、前記タイマー回路は、前記スイッチをオンに戻すタイミングを所定の期間ウェイトさせることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記タイマー回路は、前記第1電圧監視回路からの前記電力線の電圧値に基づいて、前記スイッチをオンに戻すタイミングを制御することを特徴とする請求項8に記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記制御回路は、USB−PDコントローラであり、前記電力線は、USBの電源供給に用いられる電力線であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【請求項11】
電源と、前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と、前記電力線の電圧を低下させる第1ディスチャージ回路とを備える電力供給装置を前記制御回路が制御する制御方法であって、
前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離すステップと、
前記スイッチをオンからオフに転じた後、前記第1ディスチャージ回路によって前記電力線の電圧を第1の目標電圧値まで低下させるステップと
を有することを特徴とする電力供給装置の制御方法。
【請求項12】
前記電力供給装置は、前記電源の出力電圧を低下させる第2ディスチャージ回路をさらに備えており、
前記スイッチをオンからオフに転じた後、前記第2ディスチャージ回路によって前記電源の出力電圧を第2の目標電圧値まで低下させるステップと、
前記電力線の電圧が前記第1の目標電圧値に到達したのをトリガーとして、前記スイッチをオンに戻すタイミングを所定の期間ウェイトさせるステップと、
前記所定の期間が経過した後、前記スイッチをオンに戻すステップと
を備えることを特徴とする請求項11に記載の電力供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置およびその制御方法に関し、特に、電力線(VBUS)を電力供給線として用いて周辺機器などに電力供給する技術に好適な電力供給装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給を伴う通信規格に対応した端末装置と電力線搬送通信ネットワークとの間で相互通信可能な直流コンセントが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
データ線を用いた電力供給技術には、パワーオーバーイーサネット(PoE:Power Over Ethernet)技術やユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)技術がある(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
USB技術には、供給電力レベルに応じて、最大2.5WのUSB2.0、最大4.5WのUSB3.0、最大7.5Wのバッテリー充電規格BCS1.2がある。
【0005】
また、USBパワーデリバリー仕様1.0は、従来のケーブルやコネクタとも互換性を備え、USB2.0やUSB3.0、USBバッテリー充電規格BCS1.2とも共存する独立した規格である。この規格では、電圧5V〜12V〜20V、電流1.5A〜2A〜3A〜5Aの範囲内で、充電電流・電圧を選択可能であり、10W・18W・36W・65W・最大100WまでUSB充電・給電可能である。
【0006】
このような電力供給を実施する電源として、DC/DCコンバータがある。DC/DCコンバータには、ダイオード整流方式と同期整流方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−82802号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“特集 データ線で電力供給”、日経エレクトロニクス、2012年10月9日、pp.23−40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、別電源を用意することなく、ハードリセット(Hard Reset)などのプロトコルを実現可能な電力供給装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、電源と、前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と、前記電力線の電圧を低下させる第1ディスチャージ回路とを備え、前記制御回路は、前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離し、前記スイッチをオンからオフに転じた後、前記第1ディスチャージ回路によって前記電力線の電圧を第1の目標電圧値まで低下させる電力供給装置が提供される。また、本発明の他の態様によれば、電源と、前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と、前記電源の出力電圧を低下させる第2ディスチャージ回路とを備え、前記制御回路は、前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離し、前記スイッチをオンからオフに転じた後、第2ディスチャージ回路によって前記電源の出力電圧を第2の目標電圧値まで低下させる電力供給装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、電源と、前記電源から供給された電力を外部に供給する電力線と、前記電源と前記電力線との間に接続されたスイッチと、前記電力線に接続され、前記電源から電力を供給される制御回路と、前記電力線の電圧を低下させる第1ディスチャージ回路とを備える電力供給装置を前記制御回路が制御する制御方法であって、前記電力線を通じて前記外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、前記スイッチをオンからオフにして前記電源と前記電力線とを切り離すステップと、前記スイッチをオンからオフに転じた後、前記第1ディスチャージ回路によって前記電力線の電圧を第1の目標電圧値まで低下させるステップとを有する制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、別電源を用意することなく、ハードリセットなどのプロトコルを実現可能な電力供給装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】比較例に係る電力供給装置の模式的回路ブロック構成図。
図2】ハードリセット時の電力線(VBUS)の電圧の遷移を説明するための模式図。
図3】実施の形態に係る電力供給装置の模式的回路ブロック構成図。
図4】実施の形態に係る別の電力供給装置の模式的回路ブロック構成図。
図5】ハードリセット時の電源出力電圧の遷移を説明するための模式図であって、図2に示した模式図に対応した図。
図6】実施の形態に係る電力供給装置に適用可能な電源の模式的回路ブロック構成図。
図7図5に示した電力供給装置をさらに具現化した模式的回路ブロック構成図。
図8】実施の形態に係る電力供給装置による制御方法を説明するための概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[比較例に係る電力供給装置]
比較例に係る電力供給装置1Aの模式的回路ブロック構成図は、図1に示すように、第1の電源12Aと、第1の電源12Aと電源用の電力線VBUSとの間に接続されたインダクタンスLと、キャパシタCを介して電力線VBUSに接続され、電力供給等の制御を行うUSB−PD(USB Power Delivery)コントローラ10Aと、第1の電源12Aとは別の第2の電源12Bとを備える。比較例に係る電力供給装置1Aにおいては、USB−PDコントローラ10AがキャパシタCを介して電力線VBUSに接続されるため、通信機能を備えた可変電源として機能する。
【0017】
このように構成された比較例に係る電力供給装置1Aにおいて、例えば、接続された周辺機器等からハードリセットプロトコルを受信した場合、電力線VBUSの電圧値を一旦0V(より具体的には図2に示す電圧VS0以下)に落とし、ハードリセット完了後に再び初期値の電圧値である、例えば、5V(図2に示す電圧VS5)に復帰させる必要がある。この動作を行う場合、電力線VBUSの電圧を0Vにするために、第1の電源12Aの出力電圧も0Vまで下げる必要がある。しかしながら、それに伴いUSB−PDコントローラ10Aへの給電も途切れるため、USB−PDコントローラ10Aの動作を保てなくなる。そこで、第1の電源12Aとは別の第2の電源12Bを配置し、ハードリセット処理中は、第2の電源12BからUSB−PDコントローラ10Aに電源を供給するようにしている。
【0018】
いくつかの電源系統を有する装置内で、比較例に係る電力供給装置1Aを使用する場合は、このような別系統の電源手段を用いることは困難ではない。しかし、例えば、ACアダプタ等の電源装置においては、通常、単一の電源(例えば第1の電源12A)のみしか有しておらず、ハードリセットプロトコルを実現するためには、新たな電源(例えば第2の電源12B)を用意する必要がある。したがって、電力供給装置1Aのサイズやコストを増大させるという問題がある。
【0019】
[実施形態に係る電力供給装置]
実施形態に係る電力供給装置1の模式的回路ブロック構成図は、図3に示すように、電源12と、電源12から供給された電力を外部に供給する電力線VBUSと、電源12と電力線VBUSとの間に接続されたスイッチ6と、キャパシタCを介して電力線VBUSに接続され、電源12から電力を供給される制御回路8とを備え、制御回路8は、電力線VBUSを通じて外部からハードリセットプロトコルを受信した場合、スイッチ6をオンからオフにして電源12と電力線VBUSとを切り離す。実施形態に係る電力供給装置1においても、USB−PDコントローラ10がキャパシタCを介して電力線VBUSに接続されるため、通信機能を備えた可変電源として機能する。
【0020】
より具体的には、実施形態に係る電力供給装置1の模式的回路ブロック構成図は、図3に示すように、電力線VBUSおよび制御回路8に電力を供給する電源12と、電源12と電源用の電力線VBUSとの間に接続されたインダクタンスLと、キャパシタCを介して電力線VBUSに接続され、電力供給等の制御を行う制御回路8と、電源12とインダクタンスLとの間に接続されたスイッチ6(SW)とを備える。実施形態に係る電力供給装置1は、例えばPoE、USB、その他同種のものなどのデータ線を用いて電力供給を行う電力供給装置として用いる。
【0021】
このように構成された実施形態に係る電力供給装置1において、例えば、接続された周辺機器等からハードリセットプロトコルを受信した場合、電力線VBUSの電圧をVBから一旦0V(図2に示す電圧VS0以下)に落とし、ハードリセット完了後に再び初期値の電圧である、例えば、5V(図2に示す電圧VS5)に復帰させる必要がある。ここで、VBの値は、例えば、約5V〜約20Vであり、VS0の値は、例えば、約0V〜約0.2Vである。この動作を行う場合、スイッチ6をオフにする(電源12と電力線VBUSとを切り離す)ように制御することにより、制御回路8の電圧を0Vに落とさずに、電源12から電力線VBUSへの電力供給のみを遮断することができる。一方で、後述する図5に例示するように、スイッチ6のオン/オフ(開/閉)に関係なく、電源12から制御回路8への電力供給を継続することができる。
【0022】
このように、実施形態に係る電力供給装置1によれば、ハードリセット中においても、電源12から電力線VBUSへの電力供給のみを遮断し、電源12から制御回路8への電力供給が途切れることはない。よって、比較例のように別系統の電源(第1の電源12Aとは別の第2の電源12B)などを用意する必要がなくなり、電力供給装置のサイズやコストの増大を回避できる。
【0023】
[実施形態に係る別の電力供給装置]
図4は、実施の形態に係る別の電力供給装置1を例示しており、図3に示した電力供給装置1における制御回路8の代わりに、USB−PDコントローラ10を備える。図4に示す実施形態に係る別の電力供給装置1において、接続された周辺機器等からハードリセットプロトコルを受信した場合、USB−PDコントローラ10が、スイッチ6をオフにする(電源12と電力線VBUSとを切り離す)ように制御することにより、USB−PDコントローラ10の電圧を0Vに落とさずに、電源12から電力線VBUSへの電力供給のみを遮断することができる。一方で、後述する図5に例示するように、スイッチ6のオン/オフ(開/閉)に関係なく、電源12から制御回路8への電力供給を継続することができる。
【0024】
図4に示す電力供給装置1によれば、USB−PD規格に準拠した電力供給装置にて行われるハードリセットにおいても、電源12から電力線VBUSへの電力供給のみを遮断し、電源12からUSB−PDコントローラ10への電力供給が途切れることがない。よって、比較例のように、別系統の電源(第1の電源12Aとは別の第2の電源12B)などを用意する必要がなくなり、電力供給装置のサイズやコストの増大を回避できる。
【0025】
[電源]
実施形態に係る電力供給装置1に適用できる電源12は、図6に示すように、AC入力・DC出力間に配置され、トランス15・ダイオードD1・キャパシタC1およびトランス15の1次側インダクタンスL1と接地電位との間に直列接続されるMOSトランジスタQ1などから構成されるDC/DCコンバータ13と、MOSトランジスタQ1を制御する制御部1(符号30)と、AC入力と制御部1(符号30)間に接続され、制御部1(符号30)に電源を供給するAC/DCコンバータと、DC/DCコンバータ13の出力とDC出力間に接続され、誤差補償用の制御部2(符号18)と、制御部2(符号18)に接続され、出力情報を制御部1(符号30)にフィードバックする絶縁回路20とを備える。
【0026】
AC/DCコンバータは、図6に示すように、AC入力に接続され、フィルタ回路11・ダイオード整流ブリッジ14などから構成される。
【0027】
DC/DCコンバータ13はダイオード整流方式の構成を備え、DC入力ラインには、接地電位との間にキャパシタC3が接続され、DC出力ラインには、接地電位との間にキャパシタC2が接続されている。
【0028】
絶縁回路20には、キャパシタ、フォトカプラ、トランスなどを適用可能である。また、用途に応じて、絶縁ドライバ付き双方向トランス、双方向素子などを適用しても良い。
【0029】
[電力供給装置の詳細構成例]
図7に示すように、実施形態に係る電力供給装置1の詳細構成例は、図4に示した電源12、電力線VBUS、USB−PDコントローラ10、LC回路、およびスイッチ6に加えて、スイッチ6のオン/オフ動作を行うスイッチドライバ4と、電力線VBUSの電圧を低下させる第1ディスチャージ回路22と、電源12の出力電圧を低下させる第2ディスチャージ回路24と、電力線VBUSの電圧値を監視する第1電圧監視回路26と、電源12の出力電圧値を監視する第2電圧監視回路28と、スイッチ6のオン/オフ動作のタイミングを制御するタイマー回路32とを備える。キャパシタCpは、電源12の出力キャパシタ、キャパシタC0は、VBUSラインの出力キャパシタを示す。
【0030】
なお、第1電圧監視回路26および第2電圧監視回路28の一方若しくは両方を省略して、後述するタイマー回路32によるタイミング制御のみによって、実施形態に係る電力供給装置1の制御方法を実現することもできる。
【0031】
あるいは、図7に例示した電力供給装置1を構成する各要素の一部若しくは全部を、別の要素の一部若しくは全部と統合してIC化することもできる。例えば、電源12のうちの一部(例えば、出力電圧を可変にする機能部分)と、第2電圧監視回路28とを統合してIC化することもできる。
【0032】
また、第2ディスチャージ回路24は、電源12若しくは第2電圧監視回路28に内蔵されていても良い。また、タイマー回路32は、USB−PDコントローラ10に内蔵されていても良い。
【0033】
あるいは、第2電圧監視回路28とスイッチ6をディスクリート部品として構成し、それ以外の部品をUSB−PDコントローラ10内に統合してIC化することもできる。
【0034】
[電力供給装置の制御方法]
実施形態に係る電力供給装置1の制御方法例は、図8に示すように、ステップS0から開始される。
【0035】
ステップS1においてハードリセットプロトコルを受信すると、USB−PDコントローラ10は、ステップS2において、スイッチ6をオフに転じるようにスイッチドライバ4を制御する。それにしたがって、スイッチドライバ4は、スイッチ6をオフに転じさせる信号SWOFFをスイッチ6に送信する。その結果、スイッチ6がオフに転じ、電源12から電力線VBUSへの電力供給は遮断される。
【0036】
ステップS3において、USB−PDコントローラ10は、電源12からの出力電圧値を初期値である電圧値(この例ではVS5)に設定する。
【0037】
ステップS4において、USB−PDコントローラ10は、電力線VBUSの電圧を低下させるように、第1ディスチャージ回路22を制御し、それに呼応して、第1ディスチャージ回路22は、電力線VBUSの電圧を低下させ始める(図2における時刻t1)。
【0038】
ステップS5において、USB−PDコントローラ10は、電源12の出力電圧を低下させるように、第2ディスチャージ回路24を制御し、それに呼応して、第2ディスチャージ回路24は、電源12の出力電圧の電圧を低下させ始める(図5における時刻t1)。
【0039】
第1電圧監視回路26は、電力線VBUSの電圧値を監視しており、電力線VBUSの電圧値を測定値信号V26としてUSB−PDコントローラ10およびタイマー回路32に逐次報告している。同様に、第2電圧監視回路28は、電源12の出力電圧値を監視しており、電源12の出力電圧値を測定値信号V28としてUSB−PDコントローラ10およびタイマー回路32に逐次報告している。
【0040】
ステップS6において、USB−PDコントローラ10は、第1電圧監視回路26および第2電圧監視回路28からの測定値信号V26、V28に基づいて、電力線VBUSの電圧値および電源12の出力電圧値がそれぞれの目標電圧値に到達したか否かを判定する。
【0041】
ステップS6における判定の結果、第1電圧監視回路26からの測定値信号V26の値が目標電圧値(電圧VS0以下)に到達していない場合、USB−PDコントローラ10は、処理をステップS4に戻す。逆に、ステップS6における判定の結果、第1電圧監視回路26からの測定値信号V26の値が目標電圧値(この場合、電圧VS0以下)に到達した場合、ステップS7において、USB−PDコントローラ10は、電力線VBUSの電圧低下を停止するように第1ディスチャージ回路22を制御し、それに呼応して、第1ディスチャージ回路22は、電力線VBUSの電圧低下を停止する(図2における時刻t2)。
【0042】
他方で、ステップS6における判定の結果、第2電圧監視回路28からの測定値信号V28の値が目標電圧値(電圧VS5以下)に到達していない場合、USB−PDコントローラ10は、処理をステップS5に戻す。逆に、ステップS6における判定の結果、第2電圧監視回路28からの測定値信号V28の値が目標電圧値(電圧VS5以下)に到達した場合、ステップS8において、USB−PDコントローラ10は、電源12の出力電圧低下を停止するように第2ディスチャージ回路24を制御し、それに呼応して、第2ディスチャージ回路24は、電源12の出力電圧低下を停止する(図5における時刻t21)。
【0043】
ステップS6における判定の結果、第1電圧監視回路26からの測定値信号V26の値が目標電圧値(この場合、電圧VS0以下)に到達したのをトリガーとして、タイマー回路32は、ステップS9において、スイッチ6をオンに転じる処理を所定の期間(図2における(t3−t2)の期間)ウェイトさせる。
【0044】
所定の期間が経過した後、タイマー回路32は、ステップS10において、スイッチ6をオンに転じるようにスイッチドライバ4を制御する。それにしたがって、スイッチドライバ4は、スイッチ6をオンに転じさせる信号SWONをスイッチ6に送信する。その結果、スイッチ6がオンに転じ、電源12から電力線VBUSへの電力供給が再開する(図2および図5における時刻t3)。時刻t3において、電源出力電圧VOのVSPへの低下が観測されるが、これは、スイッチ6のオン動作に伴い、電源12の出力キャパシタCpの蓄積電荷が、VBUSラインの出力キャパシタC0へ放電される過渡現象に伴う波形である。この過渡現象期間t3〜t4における電圧変動は、数mV以下である。また、過渡現象期間t3〜t4も数msec以下である。
【0045】
時刻4以降、電力線VBUSの電圧が初期値VS5まで復帰した後、ステップS11において、電力線VBUSを通じて電圧VS5を接続先に出力する。
【0046】
なお、ステップS3の処理とステップS4の処理は、どちらか一方を先に行っても良いし、両方を同時に行っても良い。また、ステップS5の処理とステップS7の処理は、どちらか一方を先に行っても良いし、両方を同時に行っても良い。
【0047】
以上説明したように、実施形態に係る電力供給装置およびその制御方法によれば、ハードリセット中においても、電源12から電力線VBUSへの電力供給のみを遮断し、電源12から制御回路8への電力供給が途切れることはない。よって、別系統の電源などを用意する必要がなくなり、電力供給装置のサイズやコストの増大を回避できる。
【0048】
本実施形態によれば、別電源を用意することなく、ハードリセットなどのプロトコルを実現可能な電力供給装置およびその制御方法を提供することができる。
【0049】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0050】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の電力供給装置およびその制御方法は、PoE、USB、およびその他同種のものなどの電力線(VBUS)を用いて電力供給を行う電力供給装置およびその制御方法として用いることができ、家電機器、モバイル機器などに適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1、1A…電力供給装置
4…スイッチドライバ
6…スイッチ
8…制御回路
10、10A…USB−PDコントローラ
11…フィルタ回路
12…電源
12A…第1の電源
12B…第2の電源
13…DC/DCコンバータ
14…ダイオード整流ブリッジ
15…トランス
18…制御部2
20…絶縁回路
22…第1ディスチャージ回路
24…第2ディスチャージ回路
26…第1電圧監視回路
28…第2電圧監視回路
30…制御部1
32…タイマー回路
図1
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図8