(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウインドシールドの縁部と車体部材に設けられた車体側支持部とに支持されて、これらウインドシールドの縁部と車体側支持部との間のカウル部を覆うカバー本体部、前記車体側支持部とこの車体側支持部に対向する相手部材との間に上下方向に沿って延びる縦壁部、この縦壁部の上端部に連続して設けられ前記相手部材と対向する相手部材対向部、及び、前記縦壁部の下端部に連続して設けられ車体側支持部に支持される車体取付部を備えるカウルトップカバーであって、
前記縦壁部は、前記カバー本体部に対して連結部により連結されてこの連結部から延設され、
少なくとも前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの一部に亘って開口された開口部を備え、前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの残りの部分の少なくとも一部をなすカウルトップカバー本体と、
このカウルトップカバー本体と別体で、前記開口部に取り付けられてこの開口部を閉塞することで前記連結部の一部を含んで前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの一部をなすとともに、上方からの所定以上の外力により前記開口部から離脱可能なカバー部材と
を具備したことを特徴とするカウルトップカバー。
カバー部材は、カバー本体部の一部をなす主面部、及び、この主面部の下部に突設されてこの主面部とともに断面略コ字状をなす係止部を有する係止爪部を開口部に対向する位置に備え、
カウルトップカバー本体は、前記開口部の縁部に突設され、前記係止爪部の主面部と係止部との間に挿入されて前記係止爪部を受ける係止受部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のカウルトップカバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動車の車体レイアウトは多種多様であり、例えば上記のようにフードシール面部がパネル載せ面部よりも前方にレイアウトされないカウルトップカバーの場合には、上記のような構成は採用できない。
【0006】
特に、フードシール面部がパネル載せ面部よりも前方にレイアウトされないカウルトップカバーにおいて、フードシール面部及び縦壁部以上の範囲でカウルトップカバー本体の剛性をより低下させる必要がある場合に対応することが望まれる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、剛性の低下によって衝撃をより確実に緩和できるカウルトップカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のカウルトップカバーは、ウインドシールドの縁部と車体部材に設けられた車体側支持部とに支持されて、これらウインドシールドの縁部と車体側支持部との間のカウル部を覆うカバー本体部、前記車体側支持部とこの車体側支持部に対向する相手部材との間に上下方向に沿って延びる縦壁部、この縦壁部の上端部に連続して設けられ前記相手部材と対向する相手部材対向部、及び、前記縦壁部の下端部に連続して設けられ車体側支持部に支持される車体取付部を備えるカウルトップカバーであって、
前記縦壁部は、前記カバー本体部に対して連結部により連結されてこの連結部から延設され、少なくとも前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの一部に亘って開口された開口部を備え、前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの残りの部分の少なくとも一部をなすカウルトップカバー本体と、このカウルトップカバー本体と別体で、前記開口部に取り付けられてこの開口部を閉塞することで
前記連結部の一部を含んで前記カバー本体部、前記縦壁部及び前記相手部材対向部のそれぞれの一部をなすとともに、上方からの所定以上の外力により前記開口部から離脱可能なカバー部材とを具備したものである。
【0009】
請求項2記載のカウルトップカバーは、請求項1記載のカウルトップカバーにおいて、カバー部材は、カバー本体部の一部をなす主面部、及び、この主面部の下部に突設されてこの主面部とともに断面略コ字状をなす係止部を有する係止爪部を開口部に対向する位置に備え、カウルトップカバー本体は、前記開口部の縁部に突設され、前記係止爪部の主面部と係止部との間に挿入されて前記係止爪部を受ける係止受部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のカウルトップカバーによれば、少なくともカバー本体部、縦壁部及び相手部材対向部のそれぞれの一部に亘って開口されたカウルトップカバー本体の開口部を覆うカバー部材に上方からの所定以上の外力が作用すると
カバー本体部と縦壁部とを連結する連結部の一部を含むカバー部材が開口部から離脱するので、少なくともカバー本体部、縦壁部及び相手部材対向部のそれぞれの位置でカウルトップカバーの剛性が低下されて容易に変形し、外力に対する反力のピークが低下して衝撃をより確実に緩和できる。
【0011】
請求項2記載のカウルトップカバーによれば、請求項1記載のカウルトップカバーの効果に加え、カバー部材の開口部に対向する位置に、主面部、及び、この主面部の下部に突設された係止部により断面略コ字状をなす係止爪部を設定し、かつ、カウルトップカバー本体の開口部の縁部に、係止爪部の主面部と係止部との間に挿入されて係止爪部を受ける係止受部を突設することで、カバー部材の開口部に対向する位置及びカウルトップカバー本体の開口部の縁部がそれぞれフランジ状断面となってカバー部材及びカウルトップカバー本体の面剛性が向上し、カバー部材及びカウルトップカバー本体の成形変形をそれぞれ抑制できる。そこで、カバー部材を開口部に取り付けた状態でのカウルトップカバー本体とカバー部材との合わせ品質を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のカウルトップカバーの第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし
図4において、10は車両である自動車の車体で、この車体10には、エンジンルーム11を覆う相手部材としてのフード12と、車室13の前側に位置するウインドシールドとしてのフロントガラス14との間のカウル部15を覆い、カウルトップカバー16が車体10に取り付けられている。なお、以下、前後、上下、及び両側などの方向については、車体10の直進方向を基準として説明し、矢印F方向が前方、矢印U方向が上方、矢印W方向が両側方向である車幅方向である。
【0015】
そして、このカウル部15は、エアボックスなどとも呼ばれるもので、例えば鉄板にて形成された図示しないカウルトップパネルと、例えば鉄板にて形成され車体を構成する車体部材としての車体パネル22とにより、上側を開口した樋状に形成されている。そして、カウルトップパネルの上側部には、ホットメルトなどの液密に密着するゴム質の接着剤などの図示しないシール材により、フロントガラス14がカウルトップパネルに固定されている。また、車体パネル22は、エクステンションパネルなどとも呼ばれるもので、後側部がカウルトップパネルに固着された図示しない底板部となり、この底板部の前側部が前側上方に立ち上げられた前板部25と、この前板部25の上端部が前側に略水平に延設された車体側支持部としての支持板部26とが設けられている。そして、このカウル部15には、車室13内に外気を導入する図示しない空調装置の空気取入部が接続されているとともに、このカウル部15の一側である右側には、図示しないワイパーのワイパーアームを駆動するモータなどが配置されている。
【0016】
また、フード12は、車体10の前部に位置してエンジンルーム11を開閉可能に覆うボンネットフードであり、外側すなわち閉じた状態で上側に位置するフードアウタ部と、このフードアウタ部の内側すなわち閉じた状態で下側に若干の間隔を介して位置するフードインナ部とが、一体あるいは別体に形成されている。
【0017】
そして、カウルトップカバー16は、カウルカバーなどとも呼ばれ、カウル部15すなわち車体パネル22の上側を覆って外観を向上するように、カウル部15に沿って車体10の両側方向すなわち車幅方向を長手方向とする長尺な略板状に形成されている。また、このカウルトップカバー16は、例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド系合成樹脂などの熱可塑性樹脂を金型を用いて射出成形し、弾性的に変形可能な一体形成の長尺な樹脂成型品として形成されている。また、このカウルトップカバー16の平面形状は、中央部分が前側に突出するように緩やかに湾曲している。
【0018】
このカウルトップカバー16の断面形状は、基本的には、カバー本体部31を備えるとともに、このカバー本体部31の先端部である前端部の連結部32から上下方向に沿って傾斜して延設される縦壁部33を備え、カバー本体部31がフロントガラス14の縁部14aと支持板部26との間のカウル部15を覆い、縦壁部33が支持板部26とこの支持板部26の上方に対向するフード12との間すなわちエンジンルーム11とカウル部15との間を区画するようになっている。さらに、カバー本体部31の後端部である基端部には、カバー取付部34が設けられ、縦壁部33の上端部には相手部材対向部としてのフード対向部であるフードシール面部35が連続して設けられ、縦壁部33の下端部にはパネル載せ面部である車体取付部36が連続して設けられている。そして、このカウルトップカバー16は、互いに別体のカウルトップカバー本体38及びカバー部材としてのキャップカバー39とに分割されている。なお、以下、縦壁部33は、連結部32より上側の部分を第1の縦壁部としての上部縦壁部41とし、連結部32より下側の部分を第2の縦壁部としての下部縦壁部42として説明する。また、カウルトップカバー16は、上記の断面形状が車幅方向全体に亘って連続している。
【0019】
そして、カバー本体部31は、フロントガラス14側に向かって形成される形状であり、連結壁とも呼び得る一般面であり、エンジンルーム11やフード12の形状及びワイパーの配置などに応じて適宜の形状を採るものであるが、本実施の形態では、基本的には、車幅方向を長手方向とし、フロントガラス14と略平行に傾斜した平板状に形成されている。そして、このカバー本体部31には、カウル部15に外気を導入可能な格子状などのエアインテークとも呼ばれる空気取入口45やワイパーの軸が貫通する孔部であるワイパーピボット穴部46が形成されている。
【0020】
また、カバー取付部34は、ガラス合わせ部、ウインドシールド当接部、あるいはウインドシールド取付部などとも呼ばれるクリップ状の嵌着部であり、カバー本体部31の後端部が屈曲して延設された平板状の上部嵌着片48と、この上部嵌着片48の裏面側すなわち下側に沿って配置される下部嵌着片49とを備えている。そして、下部嵌着片49は、爪部とも呼び得るもので、上部嵌着片48に対して後方へとL字状に屈曲して突設され、上部嵌着片48とともに断面略コ字状となっている。そこで、このカバー取付部34は、上部嵌着片48と下部嵌着片49との隙間をフロントガラス14の縁部14aにあてがって、カウルトップカバー16を所定方向である後方に押し込むことにより、上下の嵌着片48,49がフロントガラス14を弾性的に挟持し、フロントガラス14の縁部14aに嵌着して取り付けられるようになっている。
【0021】
また、縦壁部33は、連結部32から上側に上部縦壁部41が延設され、連結部32から下側に下部縦壁部42が延設されているとともに、これら縦壁部41,42はそれぞれカバー本体部31の前方に向かってそれぞれ傾斜状に形成され、連結部32が上部縦壁部41と下部縦壁部42との分岐点となっている。すなわち、この縦壁部33は、上端のフードシール面部35から、上部縦壁部41が後側下方に傾斜して延設され、連結部32を介し、下部縦壁部42は上部縦壁部41に対して屈曲するように車両前方下側に傾斜して車体取付部36まで延設されているとともに、上部縦壁部41と下部縦壁部42との交点付近よりフロントガラス14に向かってカバー本体部31が延設されている。したがって、この縦壁部33は、フードシール面部35に対して後方に位置している。具体的に、本実施の形態では、上部縦壁部41は、連結部32から若干前方に延び、その位置から前方上側に向かって直線状に傾斜している。したがって、この上部縦壁部41は、連結部32よりも前方の位置で上方へと屈曲している。また、下部縦壁部42は、連結部32から前方下側に向かって直線状に傾斜している。
【0022】
また、フードシール面部35は、シール取付部あるいはフードシール取付部などとも呼び得るもので、フード12の後部下面に対向して縦壁部33の上端部すなわち上部縦壁部41の上端部に設けられ、本実施の形態では、上部縦壁部41の上端部から前側に向かって水平状に突設された平板状に形成されている。そして、このフードシール面部35の上部には、上側から接着あるいは嵌合などして、弾性変形可能なシール部材としてのフードシール51が配置されている。そして、このフードシール51は、例えばゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製の筒状をなし、閉じた状態のフード12に液密に密着し、エンジンルーム11からの熱気や臭気を遮蔽するようになっている。
【0023】
さらに、車体取付部36は、固定部とも呼び得るもので、前方に向けて延び支持板部26上に載置して支持される略水平な板状をなす車体取付板部44を備え、この車体取付板部44の所定の位置に形成された複数の取付孔などの図示しない取付部が、支持板部26の図示しない取付受部に挿入されるリベットなどの取付具を用いて、車体パネル22の支持板部26に固定されている。また、必要に応じて、車体取付部36と支持板部26との間には、シール材が配置され、エンジンルーム11からの音振、熱気及び臭気などを遮蔽するようになっている。
【0024】
そして、カウルトップカバー本体38は、カウルトップカバー16の大半部分を構成する大型の部材であり、カバー取付部34及び車体取付部36の全体をそれぞれ構成しているとともに、カバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35に亘って開口された開口部53を除き、これらカバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35のそれぞれの大半部分を構成する主カバー本体部54、主縦壁部55及び主フードシール面部56を備えている。
【0025】
開口部53は、カウルトップカバー本体38とキャップカバー39とを分割する分割ラインとなっており、正面から見て車幅方向に長手状の略四角形状でカバー本体部31から縦壁部33の下部縦壁部42に亘って開口された開口部本体61と、この開口部本体61に連続して縦壁部33の上部縦壁部41及びフードシール面部35に亘って切り欠き形成された切欠部62とを備え、カウルトップカバー16(カウルトップカバー本体38)の長手方向である車幅方向の一側、本実施の形態では、ワイパーピボット穴部46と反対側の側部である左側に偏倚して位置している。したがって、この開口部53は、主カバー本体部54から主縦壁部55及び主フードシール面部56により縁部が区画されている。そして、この開口部53は、カウルトップカバー本体38を前後方向に貫通するように形成されている。
【0026】
開口部本体61は、例えばカウル部15内に上方に向けて位置する部品としてのボルト64などの増し締めなどの作業を行うための作業用開口の機能を有し、カウルトップカバー16を車体10に対して取り付けた状態で、カウル部15の前側上方に位置している。また、この開口部本体61の内縁部の後部には、主カバー本体部54と連続し下方に向けて壁状に突出する係止受部66が突設されている。この係止受部66は、主カバー本体部54(カバー本体部31)に対して鈍角をなすように略垂直下方に突出している。したがって、この係止受部66は、略鉛直方向に沿い、前後に面を有している。また、この係止受部66には、幅方向に複数、例えば3つの位置決め開口部67が四角形状に開口されているとともに、これら位置決め開口部67の下方に、車幅方向に沿ってリブ状(板状)のリブ部68が前方に向けて突設されている。また、開口部本体61の内縁部の両側部ないし前部には、主縦壁部55に連続する対向壁部71が設けられている。この対向壁部71は、縦壁部33の下部縦壁部42の後部に、この下部縦壁部42と略平行に形成されている。また、この対向壁部71には、両側の位置に側部位置決め開口部73が四角形状に開口されている。そして、この対向壁部71の下部の位置には、縦壁部33の下部縦壁部42(主縦壁部55)との間に、キャップカバー39の下部を支持するカバー部材支持部としての下部支持部74が段差状に形成されている。すなわち、この下部支持部74は、側面視でL字状に形成され、キャップカバー39の下端及びその後側を支持しており、キャップカバー39の下端の前側を支持していない。
【0027】
また、切欠部62は、開口部本体61の前部に連続し、エンジンルーム11内を露出させるようになっている。
【0028】
主カバー本体部54は、カバー本体部31が開口部53の開口部本体61の後側上部により四角形状に切り欠かれて構成されている。
【0029】
主縦壁部55は、縦壁部33の上部縦壁部41が開口部53の切欠部62により車幅方向に分断されるように切り欠かれ、かつ、縦壁部33の下部縦壁部42が開口部53の開口部本体61の前側下部により四角形状に切り欠かれて構成されているものである。
【0030】
主フードシール面部56は、フードシール面部35が開口部53の切欠部62により車幅方向に分断されるように切り欠かれて構成されている。
【0031】
また、キャップカバー39は、カウルトップカバー16のカウルトップカバー本体38以外の残りの一部分を構成する小型の部材(カウルトップカバー本体38よりも相当小さい部材)であり、カバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35のそれぞれのうち、カウルトップカバー本体38の主カバー本体部54、主縦壁部55及び主フードシール面部56を除く部分を構成する副カバー本体部77、副縦壁部78及び副フードシール面部79を備え、開口部53を閉塞してカウルトップカバー本体38とともにカウルトップカバー16全体を構成するようになっている。具体的に、キャップカバー39は、長手方向である両側方向の寸法が、カウルトップカバー16の例えば1/4以下に形成されている。
【0032】
副カバー本体部77は、カバー本体部31から主カバー本体部54を除いた部分であり、板状に形成され、キャップカバー39が開口部53に取り付けられた状態で主カバー本体部54と連続することでカバー本体部31を構成するものである。この副カバー本体部77の後端部には、開口部53(開口部本体61)の後部に対向し開口部53(開口部本体61)の縁部である主カバー本体部54の前部に位置する係止受部66と係合する係止爪部81が設けられている。
【0033】
係止爪部81は、カバー本体部31(副カバー本体部77)の一部である上面部をなす主面部83、及び、この主面部83の先端部である後端部よりも基端側である前側に離間された位置にて下部に断面L字状に屈曲して突設された係止部84を備え、この主面部83と係止部84とにより断面略コ字状に形成されている。すなわち、これら主面部83と係止部84との間には、後方に向けて開口し係止受部66が挿入される空間部85が区画されている。また、主面部83の後端部には、車幅方向の複数、例えば3箇所に、位置決め開口部67にそれぞれ挿入される舌片状の位置決め片部87が後方に向けて突設されている。そして、この係止爪部81は、係止受部66に対して前方から後方に向けて係合されるようになっている。
【0034】
主面部83は、係止爪部81を係止受部66に係合した状態で主カバー本体部54と略面一となるように形成され、リブ部68よりも上方に位置している。
【0035】
係止部84は、係止受部66の下端部の下部に挿入されてこの係止受部66を下部から受ける部分である。すなわち、この係止部84は、リブ部68よりも下方に位置している。また、この係止部84の主面部83に対向する上面には、空間部85内に位置して、係止爪部81を係止受部66に対して係合した状態で係止受部66の下端部の前部に当接して係止受部66の空間部85内での前後方向の位置を規制する当接部89がリブ状に突設されている。
【0036】
各位置決め片部87の先端部である後端部は、主面部83及び係止部84の後端部よりも後方に突出している。
【0037】
副縦壁部78は、縦壁部33から主縦壁部55を除いた部分であり、キャップカバー39が開口部53に取り付けられた状態で主縦壁部55と連続することで、縦壁部33の上部縦壁部41及び下部縦壁部42を構成するものである。したがって、この副縦壁部78は、切欠部62に嵌合して上部縦壁部41の一部をなす副上部縦壁部91、及び開口部本体61の前側下部の位置で対向壁部71の前部に下端部が重ねられて下部縦壁部42の一部をなす副下部縦壁部92を備え、これら副上部縦壁部91と副下部縦壁部92とが、連結部32の一部をなす副連結部93の位置で上下に分岐されている。
【0038】
副上部縦壁部91は、副連結部93から前側上方に向けて突出しており、先端部である前端部が副フードシール面部79と連続している。したがって、この副上部縦壁部91は、副フードシール面部79よりも後方に位置している。
【0039】
副下部縦壁部92は、副連結部93から前側下方に向けて突出しており、先端部である下端部に、後方に向けて略水平状に折り返された折返部96が形成され、この折返部96が、カウルトップカバー本体38の下部支持部74により下方から支持されることで、キャップカバー39が開口部53に取り付けられる被支持部となっている。また、この副下部縦壁部92の車幅方向両側縁部の後部には、側部位置決め開口部73にそれぞれ挿入される舌片状の側部位置決め片部97がそれぞれ後方に向けて突設されている。
【0040】
副フードシール面部79は、フードシール面部35から主フードシール面部56を除いた部分であり、キャップカバー39が開口部53に取り付けられた状態で主フードシール面部56と連続することでフードシール面部35を車幅方向に連続するように構成されている。
【0041】
そして、カウルトップカバー16は、カウルトップカバー本体38の開口部53にキャップカバー39を取り付けて構成される。具体的に、キャップカバー39の各位置決め片部87及び側部位置決め片部97を、カウルトップカバー本体38の位置決め開口部67及び側部位置決め開口部73に挿入して上下左右方向を位置決めしつつ係止爪部81を開口部53に位置する係止受部66に対して前方から係合し、かつ、折返部96を下部支持部74に対して前側から取り付けて支持することで、開口部53をキャップカバー39により閉塞する。この状態で、主カバー本体部54の表面側である上面側と副カバー本体部77(主面部83)の表面側である上面側とが略面一となり、主縦壁部55と副縦壁部78とが連結されて縦壁部33が車幅方向に連続するとともに、主フードシール面部56の表面側である上面側と副フードシール面部79の表面側である上面側とが略面一となるようにこれら主フードシール面部56と副フードシール面部79とが連結されてフードシール面部35が車幅方向に連続する。また、係止受部66及びリブ部68が係止爪部81の空間部85内に挿入されて係止受部66が当接部89と当接して、開口部53(開口部本体61)の後縁部に副カバー本体部77(主面部83)の後縁部が略隙間なく沿い、折返部96が対向壁部71の前部と当接して、開口部53(開口部本体61)の前縁部に副縦壁部78(副下部縦壁部92)の下端部が略隙間なく沿って、開口部53(開口部本体61)がキャップカバー39により略隙間なく覆われる。すなわち、カウルトップカバー本体38とキャップカバー39とが互いに一体的に連結される。
【0042】
このカウルトップカバー16は、後端部のカバー取付部34をフロントガラス14の縁部14aに前側から挿入して嵌着し、前端下部の車体取付部36を支持板部26上に載置し取付具を用いて固定することにより、車体10に取り付けられる。また、フード12を閉じた状態で、フードシール面部35に支持されたフードシール51が変形してフード12に密着し、エンジンルーム11からの熱気や臭気を遮蔽し、カバー本体部31の空気取入口から車室13内に取り入れないようにしている。なお、
図1においては、フードシール51は変形していない自然状態の形状を破線により示しているが、
図1に示すフード12を閉じた状態では、フードシール51は上下方向に潰れるように変形した状態となっている。
【0043】
次に、外部から力が加わった際の動作を説明する。
【0044】
フード12を閉じた
図1(a)に示す通常の状態で、
図1(b)に破線A及び矢印Bに示すように歩行者がフード12に上方前側から衝突した際など所定以上の強い外力を受けた際には、フード12が下方へと変形し、このフード12に対してフードシール51を介して接触するカウルトップカバー16のフードシール面部35を下方に向けて押し下げる。この荷重により、フードシール面部35の一部を構成する副フードシール面部79を備えたキャップカバー39は、2点鎖線に示す状態から実線に示す状態まで、折返部96が下部支持部74に対して下方前側へとずれ、係止爪部81の係止部84と係止受部66の下端部との接触位置を中心として前方へと係止爪部81が係止受部66に対して回動することで係止爪部81が係止受部66から下方前側へと外れてカウルトップカバー本体38の開口部53から下方に離脱(脱落)する。この結果、カウルトップカバー16の特にカバー本体部31及び縦壁部33の下部縦壁部42が開口部53(開口部本体61)により一部開口されて略ロ字状の脆弱構造となるとともに、縦壁部33及びフードシール面部35が、開口部53(切欠部62)により分断された主縦壁部55及び主フードシール面部56となり、カウルトップカバー16の剛性が開口部53の位置で低下され、車体10側に残留したカウルトップカバー本体38が容易に変形して衝撃を吸収する。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、自動車のカウルトップカバー16の構造について、カバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35のそれぞれの一部に亘って開口されたカウルトップカバー本体38の開口部53を覆うキャップカバー39に上方からの所定以上の外力が作用するとキャップカバー39が開口部53から離脱するので、カバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35のそれぞれの位置で外力作用時のカウルトップカバー16の剛性が低下されて容易に変形し、外力に対する反力のピークが低下して衝撃をより確実に緩和できる。
【0046】
すなわち、キャップカバー39がカバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35に亘る多面の一部を構築するため、開口部53からのキャップカバー39の離脱によって外力作用時のカウルトップカバー16の剛性を容易に低下させることができる。
【0047】
特に、カウルトップカバー16の長手方向に連続していわば強度保持用のリブとして作用する縦壁部33及びフードシール面部35が開口部53からのキャップカバー39の離脱によって分断されることとなり、外力作用時のカウルトップカバー16の剛性をより容易かつ確実に低下させることができる。
【0048】
この結果、カウルトップカバー本体38(カウルトップカバー16)の長手方向の端部近傍及びワイパーピボット穴部46近傍など、外力に対する反力が比較的高くなりやすい位置を備えるカウルトップカバー16であっても、確実に反力のピークを低下させることができ、歩行者保護性能をより向上できる。
【0049】
このようにして、車体10のフード12とフロントガラス14との間のカウル部15を覆うカウルトップカバー16として好適な特性の衝撃吸収構造を実現できる。
【0050】
しかも、開口部53として、ボルト64の増し締めをするなどの作業用開口を利用できるため、構成の共通化を図ることができ、より容易かつ安価に製造できる。
【0051】
さらに、キャップカバー39の開口部53(開口部本体61)に対向する位置に、主面部83、及び、この主面部83の下部に突設された係止部84により断面略コ字状をなす係止爪部81を設定し、かつ、カウルトップカバー本体38の開口部53(開口部本体61)の縁部に、係止爪部81の主面部83と係止部84との間に挿入されて係止爪部81を受ける係止受部66を突設することで、キャップカバー39の開口部53に対向する位置である端末部(後端部)及びカウルトップカバー本体38の開口部53の縁部がそれぞれフランジ状断面となって、これらキャップカバー39及びカウルトップカバー本体38の面剛性が向上する。この結果、キャップカバー39及びカウルトップカバー本体38の成形変形をそれぞれ抑制できる。そこで、キャップカバー39を開口部53に取り付けた状態でのカウルトップカバー本体38とキャップカバー39との合わせ品質を向上できる。具体的に、カウルトップカバー本体38とキャップカバー39との分割ラインである開口部53の縁部とキャップカバー39の端末部とにおいて段差が発生しにくく、かつ、この分割ラインの蛇行が生じにくい。
【0052】
なお、カウルトップカバー16の前側下部の車体パネル22への固定方法すなわち取付構造、フロントガラス14の縁部14aへの嵌合構造などの取付構造、あるいは、フードシール51の取付構造やフードシール51自体の構造は、種々の構成を採ることができる。
【0053】
例えば、縦壁部33の上端部のフードシール面部35について、上部縦壁部41の上端部から車両前方側ではなく車両後方側に延びる形状に形成してもよい。
【0054】
次に、第2の実施の形態を
図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態のカバー本体部31が、カウル部15の位置でフード12の後縁部に沿って上方へと山状に突出する突出部99を有し、縦壁部33の上端部から後方に向かって突出するフードシール面部35とカバー本体部31の突出部99とが前後に連続しているものである。すなわち、本実施の形態では、カウルトップカバー16は連結部32を備えておらず、縦壁部33は上下に分岐されていない。
【0056】
突出部99は、例えば雪などのエンジンルーム11への侵入を阻止するもので、カウルトップカバー16の長手方向である両側方向に亘って連続している。
【0057】
また、開口部53は、カバー本体部31、突出部99、フードシール面部35及び縦壁部33に亘って開口されている。
【0058】
したがって、キャップカバー39は、カバー本体部31の一部をなす副カバー本体部77、突出部99の一部をなす副突出部100、フードシール面部35の一部をなす副フードシール面部79及び縦壁部33の一部をなす副縦壁部78が連続して形成されている。
【0059】
そして、本実施の形態においても、フード12を閉じた
図5(a)に示す通常の状態で、
図5(b)に破線A及び矢印Bに示すように歩行者がフード12に上方前側から衝突した際など所定以上の強い外力を受けた際には、フード12が下方へと変形し、このフード12に対してフードシール51を介して接触するカウルトップカバー16のフードシール面部35を下方に向けて押し下げる。この荷重により、フードシール面部35の一部を構成する副フードシール面部79を備えたキャップカバー39は、2点鎖線に示す状態から実線に示す状態まで、折返部96が下部支持部74に対して下方前側へとずれ、カウルトップカバー本体38の開口部53から下方に離脱(脱落)する。この結果、カウルトップカバー16の特にカバー本体部31、縦壁部33及び突出部99が開口部53により一部開口されて略ロ字状の脆弱構造となるとともに、縦壁部33、フードシール面部35及び突出部99が、開口部53により分断され、カウルトップカバー16の剛性が開口部53の位置で低下され、車体10側に残留したカウルトップカバー本体38が容易に変形して衝撃を吸収するなど、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
なお、上記の各実施の形態において、カバー取付部34は、フロントガラス14の縁部14a近傍を上下から挟む構造に限られず、例えば平板状として、フロントガラス14の上面に圧接などして載るように当接する構成とすることもできる。
【0061】
また、上記の実施の形態では、縦壁部33の構成は、カウルトップカバー16の全長あるいは略全長に亘って形成したが、この構成に限られず、カウルトップカバー16の長手方向の一部のみに設けることもできる。この場合には、開口部53を縦壁部33に対応する位置に形成して、この開口部53をキャップカバー39で覆うようにすることで、同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
さらに、開口部53は、少なくともカバー本体部31、縦壁部33及びフードシール面部35に亘って開口すれば、外力に対する反力を低下させたい任意の箇所に設定することが可能である。
【0063】
そして、カウルトップカバー16のカウルトップカバー本体38は、例えば車幅方向などに分割し、連結構造により組み合わせて構成することもできる。また、カウルトップカバー16は、車体10の前部以外の部分に設け、例えば、リアガラスとリアのトランクフードとの間に配置することもできる。