(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と前記搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階で前記搬器が取りうる状態を動作フェーズとするとき、
離れた場所から行なわれる車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の日時を指定した予約を受け付ける予約受付手段と、
前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定する、待機状態設定手段と、
前記予約の前処理動作の際、当該予約の予約者が到着して操作をするか前記予約が解除されるまでは、前記待機状態設定手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させる、待機手段と、
を備えることを特徴とする、機械式駐車設備の制御装置。
搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と前記搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階で前記搬器が取りうる状態を動作フェーズとするとき、
離れた場所から行なわれる車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の日時を指定した予約を受け付ける予約受付手段と、
前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定する、待機状態設定手段と、
車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を即時に実行すべき旨の指示を受け付ける、即時指示受付手段と、
前記即時指示受付手段により受け付けられた前記指示に基づいて車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を実行する、即時指示実行手段と、
前記予約の前処理動作の際、当該予約の予約者が到着して操作をするか前記予約が解除されるまでは、前記即時指示実行手段を動作させず、前記待機状態設定手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させる、待機手段と、
を備えることを特徴とする、機械式駐車設備の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、機械式駐車設備の場合、入出庫の予約とは独立して、即時に車両の入出庫を行うために、任意に、運転操作盤等から直接入出庫の呼び登録(以下、単に「呼び登録」ともいう)が行われる場合がある。そのため、上記したように入出庫の予約をした者と運転操作盤等から呼び登録をした者との均衡を保つ必要がある。
【0010】
本発明は、入出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な入出庫を行うことができる機械式駐車設備の入出庫制御方法及びその入出庫制御装置とこれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
予約を受け付け可能な機械式駐車設備において、例えば、予約者を優先させ、入出庫扉を明ければ直ちに出庫ができるように、予約者の車両を指定された日時に予め搬送しておくことが考えられる。しかしながら、かかる構成では、予約者が指定された日時に現れなかった場合等、予約が解除されると、予約者の車両を再度格納部へと運搬し、改めて、呼び登録にかかる車両を取り出す必要がある。この場合、呼び登録をした者に長時間の待ち時間が発生する。
【0012】
一方で、呼び登録をした者を優先させ、出庫の予約が入っていても、予約の前処理動作(予約された日時の所定時間前に開始され、待機状態に移行するまでの動作)が終わってから予約者が実際に車両の出庫をする直前までの間、搬器を空の状態で昇降路に待機させれば、指定された日時に予約者が現れた場合に、予約者の車両を改めて取り出す必要がある。この場合、予約者に長時間の待ち時間が発生しうる。
【0013】
実際に機械式駐車設備が使用される局面では、予約者を優先すべき場合もあれば、呼び登録をした者を優先すべき場合もある。そこで、搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と前記搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階で前記搬器が取りうる状態を動作フェーズとし、前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定することに想到した。かかる構成では、予約の前処理動作が終わってから予約者が実際に車両の出庫をする直前までの間、搬器をどの段階(動作フェーズ)で待機させるかを適宜に選択できるため、予約者と呼び登録をした者との均衡を図ることができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る機械式駐車設備の制御
装置は、搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と前記搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階で前記搬器が取りうる状態を動作フェーズとするとき、
離れた場所から行なわれる車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の
日時を指定した予約を受け付ける
予約受付手段と
、前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定する、待機状態設定
手段と
、前記予約の
前処理動作の際、当該予約の予約者が到着して操作をするか前記予約が解除されるまでは
、前記待機状態設定
手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させる、待機
手段と、を備えることを特徴とする。
また、車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を即時に実行すべき旨の指示を受け付ける、即時指示受付手段と、前記即時指示受付手段により受け付けられた前記指示に基づいて車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を実行する、即時指示実行手段と、を備え、前記待機手段は、前記予約の前処理動作の際、当該予約の予約者が到着して操作をするか前記予約が解除されるまでは、前記即時指示実行手段を動作させず、前記待機状態設定手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させるようにしてもよい。
【0015】
この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「予約が解除される」は、予約者により予約が解除される場合も含むし、予約により指定された日時から所定時間を経過しても予約者が現れなかった場合に、時間切れで予約が解除される場合も含む。
【0016】
この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う」は、パレット式の機械式駐車設備において、車両が載ったパレットを格納部から搬器に移動させること、および、車両が載ったパレットを搬器から格納部に移動させることを含み、かつ、櫛歯式の機械駐車設備において、車両を格納部から搬器に載せること、および、車両を搬器から格納部に載せることを含む。
【0017】
「搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階」とは、出庫の処理および入庫の処理において機械式駐車設備が経過するあらゆる段階を含み、例えば空のパレットを載せた搬器が格納部と入出庫部との間の階で停止している段階(ロッキングはされていてもいなくてもよい)および空のパレットを載せた搬器が格納部に隣接して(格納部と同じ階で)停止している段階(ロッキングはされていてもいなくてもよい)等を含む。
【0018】
この構成により、予約の前処理動作(予約された日時の所定時間前に開始され、待機状態に移行するまでの動作)が終わってから予約者が実際に車両の出庫をする直前までの間、搬器をどの段階(動作フェーズ)で待機させるかを適宜に選択できるため、入出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な入出庫を行うことができる。
【0019】
少なくとも2以上の動作フェーズは、その1つは機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と搬器との間で車両の出し入れを行う時により近い動作フェーズであり、残りのうちの1つは搬器と格納部との間で車両の出し入れを行う時により近い動作フェーズとしうる。
【0020】
一方、本発明に係る機械式駐車設備の制御装置は、搬器と機械式駐車設備の内部にある格納部との間で車両の出し入れを行う時から機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と前記搬器との間で車両の出し入れを行う時に至る複数の段階で前記搬器が取りうる状態を動作フェーズとするとき、車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の予約を受け付ける予約受付手段と、前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定する、待機状態設定手段と、車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を即時に実行すべき旨の指示を受け付ける、即時指示受付手段と、前記即時指示受付手段により受け付けられた前記指示に基づいて車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を実行する、即時指示実行手段と、前記予約の処理時に、前記予約に基づく車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方が完了するか前記予約が解除されるまでは、前記即時指示実行手段を動作させず、前記待機状態設定手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させる、待機手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成により、搬器をどの段階(動作フェーズ)で待機させるかを適宜に選択できるため、入出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な入出庫を行うことができる。
【0022】
また、上記制御装置において、前記予約受付手段は、少なくとも車両の出庫の予約を受け付けるように構成され、前記即時指示受付手段は、少なくとも車両の出庫を即時に実行すべき旨の指示を受け付けるように構成され、前記即時指示実行手段は、前記即時指示受付手段により受け付けられた前記指示に基づいて少なくとも車両の出庫を実行するように構成され、前記待機手段は、前記予約の処理時に、少なくとも前記予約に基づく車両の出庫が完了するか前記予約が解除されるまでは、前記即時指示実行手段を動作させず、前記待機状態設定手段により前記選択された動作フェーズにて前記搬器を待機させるように構成されていてもよい。
【0023】
この構成により、搬器をどの段階(動作フェーズ)で待機させるかを適宜に選択できるため、出庫の予約と出庫の呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な出庫を行うことができる。
【0024】
また、上記制御装置において、前記動作フェーズは、機械式駐車設備の外部にある入出庫用通路と搬器との間で車両の出し入れを行う時に搬器が取る状態である、車両を保持している搬器が車両を出し入れ可能な状態で前記入出庫用通路に隣接している状態と、車両を保持している搬器が車両を搬送可能な状態で前記入出庫用通路に隣接している状態と、車両を保持している搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされていない状態と、車両を保持している搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされている状態と、搬器と格納部との間で車両の出し入れを行う時に搬器が取る状態である、車両を載せていない搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされている状態と、の内の少なくとも2つを含んでもよい。
【0025】
このように構成すれば、車両を保持している搬器が車両を出し入れ可能な状態で前記入出庫用通路に隣接している状態と、車両を保持している搬器が車両を搬送可能な状態で前記入出庫用通路に隣接している状態と、車両を保持している搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされていない状態と、車両を保持している搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされている状態と、車両を載せていない搬器が当該車両の格納部に隣接すると共にロッキングされている状態のいずれの状態で搬器を待機させるかを適宜に選択できるため、出庫の予約と出庫の呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な出庫を行うことができる。
【0026】
また、上記制御装置において、前記機械式駐車設備は、パレット式の機械式駐車設備であってもよい。
【0027】
機械式駐車設備が、パレット式の機械式駐車設備である場合、パレットを格納部へ返却するために時間を要することから、待ち時間短縮の要請が特に高くなる。上記のように構成すれば、かかる場合でも待ち時間を有効に短縮できる。
【0028】
また、上記制御装置において、現在時刻を検出する計時手段を備え、前記待機状態設定手段は、前記予約の処理時に前記搬器を待機させる状態を、前記計時手段により検出された現在時刻に応じて、少なくとも2以上の前記動作フェーズの中から選択して設定するように構成されていてもよい。
【0029】
「現在時刻」は、必ずしも時分等を必須の要素とするものではない。「現在時刻」は、例えば、冬季とそれ以外の別を判断したり、夏休み期間とそれ以外の期間とを判別したりするために必要となる、月日のみの情報からなるものであってもよい。
【0030】
このように構成すれば、例えば曜日や時間帯に応じて搬器を待機させる段階(動作フェーズ)を選択できるため、より円滑な入出庫を行うことができる。
【0031】
また、本発明に係る機械式駐車設備は、前記搬器と、前記格納部と、上記のいずれかに記載の制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、入出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な入出庫を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備の一つである下部90°乗入れ方式のエレベータ式駐車設備1を例に説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、
図1に示すエレベータ式駐車設備1に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0035】
図1に示すように、エレベータ式駐車設備1は、4隅の鉛直方向に設けられた主柱3と、この主柱3を水平方向に連結する梁(図示略)等とによって鉄骨構造体が形成され、この鉄骨構造体の外面に外装板5が設けられて駐車塔2が形成されている。この駐車塔2は、地上1階が入出庫部6となっており、入出庫部6の乗入れ床7にはピット8が形成されている。また、入出庫部6の左方向には入出庫口9が設けられ、この入出庫口9には、開閉式の入出庫口扉10が設けられている。入出庫口9の正面には、入出庫用通路50が形成されている。入出庫用通路50は、エレベータ式駐車設備1の外部にある通路である。入出庫用通路50は、エレベータ式駐車設備1の内部と外部との間で車両を入出庫させる際に車両60が通行する通路であればどのような通路でもよい。また、入出庫口9の外部側方には、運転操作盤11が配設されている。
【0036】
このようなエレベータ式駐車設備1は、駐車塔2の中央部鉛直方向に平面視が矩形状の昇降路12が設けられている。昇降路12は、平面視で駐車塔2の前後方向が長寸で、左右方向が短寸の矩形状となっている。また、この昇降路12を挟んで図の左右両側の鉛直方向に複数段の格納部(格納棚)13が設けられている。各格納部13には、図示する左右方向に延びる棚レール14が設けられている。棚レール14は、上記主柱3と、この主柱3と平行に鉛直方向に設けられた棚柱15とに固定されている。この棚レール14に沿って、パレット27が左右方向に払出し/引込みされる。
【0037】
また、上記昇降路12には、パレット27を搬送する搬器(エレベータ搬器)16が設けられている。搬器16には、パレット移載機構17が設けられており、このパレット移載機構17によってパレット27を搬器16と各格納部13の棚レール14との間で払出し/引込みがなされる。さらに、ピット8内には、上記搬器16のパレット27を持上げて旋回させるパレット持上旋回装置18が備えられており、このパレット持上旋回装置18により、パレット27が入出庫部6で入出庫口9の方向に旋回させられる。これらのパレット移載機構17及びパレット持上旋回装置18は、公知の手段が採用されうる。
【0038】
さらに、このエレベータ式駐車設備1では、上記駐車塔2の上部に設けられた機械室4に、上記搬器16を昇降路12に沿って昇降させる昇降駆動装置20が設けられている。昇降駆動装置20には、昇降路12に垂下されたワイヤロープ21が転向ローラ19を介して掛けられている。この実施形態では、上記昇降駆動装置20をエレベータ式駐車設備1の上部駆動方式に適用しているため、機械室4に設けられた昇降駆動装置20の駆動シーブ23に掛けられたワイヤロープ21は、機械室4では水平方向に延びるように配置され、このワイヤロープ21の一端が昇降路12の上方に設けられた転向ローラ19で曲げられて搬器16に向けて垂下し、下端に搬器16が吊下げられている。従って、昇降駆動装置20の駆動シーブ23を駆動することにより、ワイヤロープ21で吊下げられた搬器16が昇降路12で昇降させられる。また、ワイヤロープ21の他端側は、転向ローラ19によって格納部13の後方部分で垂下され、昇降駆動装置20による巻上げ力を軽減するカウンタウェイト22に連結されている。
【0039】
そして、この実施形態のエレベータ式駐車設備1では、上記入出庫部6に入出庫制御装置30が設けられている。この入出庫制御装置30は、エレベータ式駐車設備1の外部に設けられていて、エレベータ式駐車設備1を制御するように接続された構成であってもよい。
【0040】
次に、
図2に基づいて、上記入出庫制御装置30の構成を説明する。入出庫制御装置30は、アクセス手段(通信手段)40と接続された制御部たるコンピュータ31を備えている。コンピュータ31は、中央演算処理装置(以下、単に「CPU」という)32と、データを記憶するデータストア33(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶媒体)及び現在日時取得手段34(例えば、カレンダー回路、電波時計など)を有している。
【0041】
上記アクセス手段40としては、日時指定予約入力手段41がインターネット網を使用する場合のルーターや、日時指定予約入力手段41がローカルエリアネットワーク(以下、単に「LAN」という)を使用する場合のハブなどがある。アクセス手段40として、電話回線等を用いてもよい。利用者は、このアクセス手段40を介して、例えば、入出庫制御装置30によって設けられた予約サイトにアクセスし、日時指定予約入力手段41によって日時指定予約が行われる。日時指定予約入力手段41としては、インターネット網やLANに接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、単に「パソコン」という)、携帯電話、機械式駐車場設備が付属するマンションの各戸に取り付けられたインターフォンなどが用いられる。
【0042】
このような入出庫制御装置30によれば、エレベータ式駐車設備1から離れた場所において、アクセス手段40を介して日時指定予約を行うとその日時指定予約データはコンピュータ31のデータストア33に記憶され、また、エレベータ式駐車設備1の運転操作盤11から呼び登録を行うとその呼び登録データもコンピュータ31のデータストア33に記憶され、それらのデータが後述するように処理されて、日時指定予約と呼び登録との処理が効率良く行われる。
【0043】
上記データストア33では、アクセス手段40を介して登録される日時指定予約データ(車両の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の予約)が日時指定予約データ記憶手段35に記憶され、運転操作盤11から入力される呼び登録データが呼び登録データ記憶手段36に記憶される。また、運転操作盤11から入力される待機状態設定データ(少なくとも2以上の動作フェーズの中から選択して設定された、予約の処理時に搬器16を待機させる状態)が、待機状態設定データ記憶手段37に記憶される。
【0044】
上記データストア33では、CPUを予約受付手段(車両60の入庫および出庫の少なくともいずれか一方の予約を受け付ける手段)と、待機状態設定手段(予約の処理時に搬器16を待機させる状態を、少なくとも2以上の動作フェーズの中から選択して設定する手段)と、即時指示受付手段(車両60の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を即時に実行すべき旨の指示を受け付ける手段)と、即時指示実行手段(即時指示受付手段により受け付けられた指示に基づいて車両60の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を実行する手段)と、待機手段(予約の処理時に、予約に基づく車両60の入庫および出庫の少なくともいずれか一方が完了するか予約が解除されるまでは、即時指示実行手段を動作させず、待機状態設定手段により選択された動作フェーズにて搬器16を待機させる手段)として動作させるためのプログラムも記憶されている。
【0045】
なお、動作フェーズとは、搬器16とエレベータ式駐車設備1の内部にある格納部13との間で車両60の出し入れを行う時からエレベータ式駐車設備1の外部にある入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れを行う時に至る複数の段階で搬器16が取りうる状態をいう。いずれの段階を動作フェーズとして選択可能とするかは特に限定されない。
【0046】
エレベータ式駐車設備1の外部にある入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れを行う時に搬器16が取る状態は、車両60を保持している搬器16が車両60を出し入れ可能な状態で入出庫用通路50に隣接している状態としうる。かかる状態は、動作フェーズの一例である。
【0047】
「車両60を出し入れ可能な状態」とは、例えば、更なるパレット旋回をしなくても、入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れが可能な状態をいう。
【0048】
「入出庫用通路50に隣接している状態」とは、例えば、入出庫用通路50と搬器16とが同じ階にある状態をいう。
【0049】
車両60を保持している搬器16が車両60を搬送可能な状態で入出庫用通路50に隣接している状態も、動作フェーズの一例である。
【0050】
「搬送可能な状態」とは、搬器16が車両60を保持したまま移動しうる状態をいい、例えば、更なるパレット旋回をしなくても、搬器16が昇降路12を上下移動可能な状態をいう。
【0051】
なお、入出庫時にパレット旋回を要しない機械式駐車設備の場合には、車両60を保持している搬器16が車両60を出し入れ可能な状態で入出庫用通路50に隣接している状態と、車両60を保持している搬器16が車両60を搬送可能な状態で入出庫用通路50に隣接している状態とは、同一の動作フェーズとなりうる。
【0052】
車両60を保持している搬器16が車両60の格納部13に隣接すると共にロッキングされていない状態も、動作フェーズの一例である。
【0053】
「ロッキング」とは、搬器16とその外部との間で車両60を出し入れする際に、搬器16が揺れないように、搬器16を支柱などに固定することをいう。
【0054】
車両60を保持している搬器16が車両60の格納部13に隣接すると共にロッキングされている状態も、動作フェーズの一例である。
【0055】
搬器16と格納部13との間で車両60の出し入れを行う時に搬器16が取る状態は、搬器16が車両60の格納部13に隣接すると共にロッキングされている状態としうる。かかる状態も、動作フェーズの一例である。
【0056】
「搬器16が車両60の格納部13に隣接する」とは、例えば、車両60が格納されている格納部13と搬器16とが同じ階にある状態をいう。
【0057】
ここでは、待機状態設定手段において、第1待機モード(予約の処理時に搬器16を待機させる状態を、昇降路12内で、目的パレット(ここでは、予約者の車両60を載せたパレット27をいう)を保持しつつロッキングが解除された状態で、目的パレットが格納されていた棚の横に搬器16が配置されている動作フェーズとするモード)と第2待機モード(予約の処理時に搬器16を待機させる状態を、入出庫部6において、目的パレットを保持している状態で、かつ、入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れを可能とする状態にするためのパレット旋回が完了している動作フェーズとするモード)のいずれかが選択されるものとする。ただし、第1待機モードおよび第2待機モードは、上記に限定されず、それぞれが、いずれの動作モードで搬器16を待機させるものでもよい。また、待機状態設定手段は、3以上の動作モードの中から選択可能に構成されてもよい。
【0058】
これら日時指定予約データ記憶手段35、呼び登録データ記憶手段36及び待機状態設定データ記憶手段37は、図では別体で記載しているが、それぞれのデータを記憶しておけるものであれば一体的に構成されたものでもよい。また、運転操作盤11から入力される呼び登録は、エレベータ式駐車設備1の動作中や日時指定予約の時間中でも入力可能となっていてもよい。
【0059】
また、上記コンピュータ31は、日時指定予約データの呼び動作の実行完了後、日時指定予約者の運転操作盤操作により入出庫口扉10を開くようになっている。なお、予め必要なデータをコンピュータ31から後述するプログラマブルコントローラ26に受け渡しておいて、プログラマブルコントローラ26側でこの制御を行わせてもよい。これにより、日時指定予約を行った利用者が運転操作盤による出庫操作を行わなければ入出庫口扉10が開放しないので、日時指定予約のパレット27が入出庫部6に着床した状態で他の利用者が入出庫部6に入るのを防止することができる。
【0060】
エレベータ式駐車設備1の電源装置、駆動モータ、各種センサなどを含むパレット駆動手段(上記搬器16の昇降駆動装置20、パレット移載機構17、パレット持上旋回装置18等を含む)25は、上記入出庫制御装置30におけるコンピュータ31のCPU32と接続されたプログラマブルコントローラ26によって駆動制御されるようになっている。このように、エレベータ式駐車設備1におけるパレット27の移動動作などの運転状態は、プログラマブルコントローラ26によって制御されるようになっている。この運転状態には、所定のパレット27を移動するために動作している状態(起動中)、どのパレット27を移動させるかの指示を待っている指示待ち状態等も含まれる。また、上記入出庫制御装置30のコンピュータ31は、このプログラマブルコントローラ26を介してエレベータ式駐車設備1の運転状態の情報を得るようになっている。
【0061】
さらに、エレベータ式駐車設備1の入出庫口9に設けられた運転操作盤(呼び登録入力手段)11も、上記プログラマブルコントローラ26と接続されており、この運転操作盤11から入力された呼び登録データが上記CPU32を介して上記データストア33の呼び登録データ記憶手段36に記憶されるようになっている。
【0062】
以下、エレベータ式駐車設備1の制御方法(入出庫制御装置30の動作)について説明する。以下では、出庫の予約と出庫の即時指示とが入力された場合を例として説明する。
【0063】
[1:予約受付ステップ]
日時指定予約入力手段41からの予約に関する入力を、予約受付手段たるCPU32が受け取り、日時指定予約データを生成して、データストア33に設けられた日時指定予約データ記憶手段35に記憶させる。なお、予約に関する入力が、運転操作盤11を介して実行されるように構成されてもよい。
【0064】
日時指定予約データには、例えば、パレット番号、マンションの部屋番号、出庫予定の日時等が含まれうる。
【0065】
[2:待機状態設定ステップ]
運転操作盤11からの待機状態設定に関する入力を、待機状態設定手段たるCPU32が受け取り、待機状態設定データを生成して、データストア33に設けられた待機状態設定データ記憶手段37に記憶させる。運転操作盤11からの待機状態の入力は、例えば、切替スイッチを操作することによりされてもよいし、テンキーを介して入力されてもよい。待機状態の設定は管理者のみ可能とし、待機状態設定ステップにおいて暗証コードの入力を要求してもよい。なお、待機状態設定に関する入力が、日時指定予約入力手段41を介して実行されるように構成されてもよい。
【0066】
待機状態設定データには、例えば、第1待機モードと第2待機モードのいずれが選択されているかの情報が含まれうる。
【0067】
[3:即時指示受付ステップ]
運転操作盤11からの即時指示(車両60の入庫および出庫の少なくともいずれか一方を即時に実行すべき旨の指示)に関する入力を、即時指示受付手段たるCPU32が受け取り、呼び登録データを生成して、データストア33に設けられた呼び登録データ記憶手段36に記憶させる。なお、即時指示に関する入力は、日時指定予約入力手段41から実行されるように構成されてもよい。
【0068】
呼び登録データには、例えば、パレット番号、マンションの部屋番号等が含まれうる。
【0069】
運転操作盤11から入力される呼び登録データは、入庫と出庫を複数入力でき、入力順に上記データストア33の呼び登録データ記憶手段36に記憶されてもよい。呼び登録データを複数入力できるようにすることで、現地での呼び登録による入出庫待ちが複数あっても、予め予約入力できるので、待っている人の負担を少なくできる。この場合において、呼び登録は可及的速やかに入出庫を行うことを要求するものであって、特定の日時を指定して予約をするものではない。この意味において、呼び登録データと日時指定予約データとは異なる。
【0070】
[4:即時指示実行ステップ]
呼び登録データ記憶手段36への呼び登録データの記憶が完了すると、その時点で実行されるべき予約が入っていなければ、即時指示実行手段たるCPU32は、呼び登録データに基づいて、即時指示を実行する。具体的には例えば、呼び登録データに含まれるパレット番号等に基づいて、格納部13から、目的パレット(ここでは、即時指示にかかる車両60を保持するパレット27)を取り出し、入出庫部6へと搬送する。入出庫部6に到着した搬器16は、90度旋回して、車両60の前方を入出庫口9へと向ける。その後、入出庫口扉10が開かれ、運転手が車両60に乗り込んで、車両60を出庫させる。入出庫口扉10は再び閉められ、即時指示の実行が完了する。
【0071】
なお、即時指示実行ステップについては、公知のステップとしうるので、詳細な説明を省略する。
【0072】
[5:待機ステップ]
日時指定予約データ記憶手段35に記憶されている日時指定予約データに含まれる日時までの残り時間が所定時間以下になると、待機手段たるCPU32は、日時指定予約データに基づいて、予約を処理する。すなわち、日時指定予約データに含まれるパレット番号等に基づいて、格納部13から、目的パレット(ここでは、予約者の車両60を載せたパレット27、以下本実施形態の待機ステップにおいて同様)を取り出し、入出庫部6へと搬送する動作を開始する。このとき、待機手段たるCPU32は、予約に基づく車両60の出庫が完了するか予約が解除されるまでは、即時指示実行ステップを停止する。また、待機手段たるCPU32は、待機状態設定ステップにおいて選択された動作フェーズにて搬器16を待機させる。
【0073】
図3は、
図2に示す入出庫制御装置30によるエレベータ式駐車設備1の、待機ステップにおける制御動作の一例を示すフローチャートである。
図4は、
図3中の制御動作に含まれる、目的パレットを取り出す動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、
図3中の制御動作に含まれる、パレットを返却する動作の一例を示すフローチャートである。以下、
図3〜5を参照しつつ、待機ステップにおける制御動作を説明する。なお、待機ステップは、例えば、ステップS107以降のステップとすることができる。
【0074】
即時指示が入力されるか、日時指定予約データ記憶手段33に記憶されている日時指定予約データに含まれる日時までの残り時間が所定時間以下になると、入出庫制御装置30によるエレベータ式駐車設備1の動作が開始される(スタート)。
【0075】
その後、まず、予約呼びであるか否か、すなわち予約に基づいて出庫がされるのか、即時指示に基づいて出庫がされるのかの判定がされる(ステップS101)。
【0076】
即時指示に基づいて出庫がされる場合には、判定結果がNOとなり、ステップS102に進んで、直接呼び動作(即時指示実行ステップ)が実行される。即時指示実行ステップについては、上述の通りとしうるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
予約に基づいて出庫がされる場合には、判定結果がYESとなり、搬器16がパレット27を保持しているか否かの判定がされる(ステップS103)。
【0078】
ステップS103の判定結果がNOであれば、目的パレットが取り出され(ステップS104)、再びステップS103の判定が行われる。
【0079】
ステップS103の判定結果がYESとなると、搬器16の上にあるパレット27が目的パレットであるか否かの判定が行われる(ステップS105)。判定結果がNOであれば、パレット27が返却され(ステップS106)、再びステップS103の判定が行われる。
【0080】
ステップ105の判定結果がYESとなると、第1待機モードが選択されているか否かの判定が行われる(ステップS107)。
【0081】
第2待機モードが選択されており、ステップS107の判定結果がNOとなった場合には、まず、搬器16の現在位置(現階床)が、入出庫部6のある階(乗入階)であるか否かの判定が行われる(ステップS108)。判定結果がNOであれば、搬器16がロッキングがされているか否かの判定がされ(ステップS109)、ロッキングされていればロッキングが解除され(ステップS110)た上で、搬器16を乗入階へ移動させ(ステップS111)、再度ステップS108の判定が行われる。
【0082】
ステップS108の判定結果がYESであれば、車両60の向きが入出庫の可能な方向であるか否かの判定が行われる(ステップS112)。判定結果がNOであれば、パレット27の旋回が実行されて、車両60の向きが入出庫可能な方向とされ(ステップS113)、再度ステップS112の判定が行われる。
【0083】
ステップS112の判定結果がYESであれば、搬器16をその状態(入出庫部6において、目的パレットを保持している状態で、かつ、入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れを可能とする状態にするためのパレット旋回が完了している状態)で維持したまま、待機状態となる(ステップS114)。
【0084】
待機状態では、まず、予約者が到着したか否かの判定が行われる(ステップS115)。例えば、入出庫口9に来た予約者が運転操作盤11を操作することで、予約者が到着したことを入出庫制御装置30へと通知してもよい。ステップS115の判定結果がNOである場合には、待機時間(例えば、3分)を経過したか否かの判定が行われ(ステップS116)、待機時間が経過するまで、ステップS115とステップS116とを繰り返す。待機時間が経過したら、待機動作が終了し(エンド)、その時点で即時指示が入力されて未処理であれば、ステップS102へと進み、直接呼び動作(即時指示実行ステップ)が実行される。
【0085】
ステップS115の判定結果がYESである場合には、入出庫口扉10が開かれ(ステップS117)、運転手が車両60に乗り込んで、車両60を出庫させ(ステップS118)、入出庫口扉10が再び閉められて(ステップS119)、待機動作が終了する(エンド)。その時点で即時指示が入力されて未処理であれば、ステップS102へと進み、直接呼び動作(即時指示実行ステップ)が実行される。
【0086】
第1待機モードが選択されており、ステップS107の判定結果がYESとなった場合には、まず、搬器16がロッキングされているか否かの判定がされ(ステップS120)、ロッキングされていればロッキングが解除され(ステップS121)た上で、搬器16をその状態(昇降路12内で、目的パレットを保持しつつロッキングが解除された状態で、目的パレットが格納されていた棚の横に搬器16が配置されている状態)で維持したまま、待機状態となる(ステップS122)。
【0087】
原則として、搬器16は、ステップS104において目的パレットを取り出した状態にあることから、目的パレットが格納されていた階に、ロッキングが解除された状態で、待機することになる。なお、搬器16が偶然に目的パレットを保持していた場合に備え、目的パレットが格納されていた階へと搬器16を移動させるステップが実行されてもよい。
【0088】
待機状態では、まず、予約者が到着したか否かの判定が行われる(ステップS123)。該判定はステップS115と同様の方法で実行されうる。ステップS123の判定結果がNOである場合には、待機時間(例えば、3分)を経過したか否かの判定が行われ(ステップS124)、待機時間が経過するまで、ステップS123とステップS124とを繰り返す。待機時間が経過したら、待機動作が終了し(エンド)、その時点で即時指示が入力されて未処理であれば、ステップS102へと進み、直接呼び動作(即時指示実行ステップ)が実行される。
【0089】
ステップS123の判定結果がYESである場合には、搬器16を乗入階へ移動させ(ステップS125)、パレット27の旋回が実行されて、車両60の向きを入出庫可能な方向とする(ステップS126)。その後、入出庫口扉10が開かれ(ステップS127)、運転手が車両60に乗り込んで、車両60を出庫させ(ステップS128)、入出庫口扉10が再び閉められて(ステップS129)、待機動作が終了する(エンド)。その時点で即時指示が入力されて未処理であれば、ステップS102へと進み、直接呼び動作(即時指示実行ステップ)が実行される。
【0090】
以下、
図4を参照しつつ、ステップS104の詳細を説明する。
【0091】
目的パレットの取り出し動作が開始されると(スタート)、まず、搬器16の現在位置(現階床)が、目的パレットの格納されている階であるか否かの判定が行われる(ステップS201)。判定結果がNOであれば、ロッキングがされているか否かの判定がされ(ステップS202)、ロッキングされていればロッキングが解除され(ステップS203)た上で、搬器16を、目的パレットの格納されている階へと移動させる(ステップS204)。そして、再度ステップS201の判定が行われる。
【0092】
ステップS201の判定結果がYESとなると、ロッキングがされているか否かの判定がされ(ステップS205)、ロッキングされていなければロッキングが実行され(ステップS206)た上で、目的パレットが搬器16の上へと移動され(ステップS207)、目的パレットの取り出し動作が完了する(エンド)。
【0093】
以下、
図5を参照しつつ、ステップS106の詳細を説明する。
【0094】
パレット27の返却動作が開始されると(スタート)、まず、搬器16の現在位置(現階床)が、乗入階であるか否かの判定が行われる(ステップS301)。判定結果がYESであれば、車両60の向きが、搬器16が昇降路12を昇降可能な方向であるか否かの判定が行われ(ステップS302)、昇降可能な方向でなければ、パレット27の旋回が実行されて、車両60の向きが、搬器16が昇降路12を昇降可能な方向とされ(ステップS303)、再度ステップS302の判定が実行される。ステップS302の判定の結果がYESであれば、ステップS307(後述)へと進む。
【0095】
ステップS301の判定結果がNOであれば、現階床が、搬器16の保持するパレット27を格納すべき階であるか否かの判定が行われる(ステップS304)。判定結果がNOであれば、ロッキングがされているか否かの判定がされ(ステップS305)、ロッキングされていればロッキングが解除され(ステップS306)た上で、搬器16を、搬器16の保持するパレット27を格納すべき階へと移動させる(ステップS307)。
【0096】
ステップS307が終了すると、または、ステップS304の判定結果がYESである場合には、ロッキングがされているか否かの判定がされ(ステップS308)、ロッキングされていなければロッキングが実行され(ステップS309)た上で、パレット27が格納棚13へと移動され(ステップS310)、パレット27の返却動作が完了する(エンド)。
【0097】
以上のような動作によれば、第1待機モードが選択されている場合には、エレベータ式駐車設備1は、昇降路12内で、予約者の車両60を保持しつつロッキングが解除された状態で、かつ、予約者の車両60が格納されていた棚の横に搬器16が配置されている状態で、待機する。
【0098】
予約者が到着せず時間切れで予約が解除されたり、待機中に予約が解除されれば、エレベータ式駐車設備1は、直ちに予約者の車両60を棚に戻し、即時指示に基づいて、入出庫口9で待つ利用者(即時指示を入力した者、以下同様)による車両60の入出庫動作を実行できる。このため、入出庫口9で待つ利用者の待ち時間を効果的に削減できる。
【0099】
一方、待機中に予約者が現れれば、昇降路12中で搬器16を降下させ、パレット27を旋回させることで、予約者の車両60の出庫が可能となる。第2待機モードに比べれば予約者の待ち時間は長くなるが、予約を受け付けない構成に比べれば、予約者の待ち時間を効果的に削減できる。
【0100】
これに対し、第2待機モードが選択されている場合には、エレベータ式駐車設備1は、入出庫部6において、目的パレットを保持している状態で、かつ、入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れを可能とする状態にするためのパレット旋回が完了している状態で、待機する。
【0101】
待機中に予約者が現れれば、入出庫口扉10を開くだけで予約者の車両60を直ちに出庫できる。よって、予約者の待ち時間を極めて短くできる。
【0102】
一方、予約者が到着せず時間切れで予約が解除されたり、待機中に予約が解除されれば、予約者の車両60を再度格納部13へと戻す必要がある。
【0103】
以上の点から、第1待機モードは、例えば、入出庫口9で待つ利用者の待ち時間を減らすことがより優先される時間帯に好適であり、より具体的には例えば、頻繁に入出庫が行われる平日の早朝や夕方等に好適である。一方、第2待機モードは、例えば、予約者の待ち時間を減らすことがより優先される時間帯に好適であり、より具体的には例えば、入出庫の頻度が相対的に低い、昼間や週末等に好適である。
【0104】
このように、本実施形態のエレベータ式駐車設備1によれば、予約処理時、予約の前処理動作(予約された日時の所定時間前に開始され、待機状態に移行するまでの動作)が終わってから予約者が実際に車両の出庫をする直前(例えば、予約者が入出庫口に来て、運転操作盤11を介して出庫の指示をする直前)までの間、搬器16をどの段階(動作フェーズ)で待機させるかを適宜に選択できるため、出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらを円滑に処理して両立を図り、円滑な出庫を行うことができる。
【0105】
[変形例1:出庫予約と入庫の呼び登録とが混在した場合]
出庫予約と入庫の呼び登録とが混在した場合の構成は、
図3に示すステップS102の直接呼び動作において、搬器16により空のパレット27が取り出されて入出庫部6に移送され、入出庫口9で待つ利用者による入庫が行われる。以上の点を除けば、第1実施形態(
図3〜5)と同様の構成とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0106】
[変形例2:入庫予約と出庫の呼び登録とが混在した場合]
入庫予約と出庫の呼び登録とが混在した場合の構成は、
図3〜5において、「目的パレット」を「空のパレット」と読み替えた構成とすることができる。以上の点を除けば、第1実施形態(
図3〜5)と同様の構成とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0107】
なお、ハイルーフ車などの特殊車両も駐車可能な機械式駐車設備において、パレット27の種類(それぞれのパレット27に対応付けられた格納部13の種類を含む、以下同様)が車種により異なる場合には、日時指定予約データに車種やパレット27の種類に関する情報が含まれていてもよい。あるいは、日時指定予約データにパレット番号、マンションの部屋番号等が含まれており、かかる情報に基づいて、入庫予約の処理時にどの種類のパレット27を搬器16上に取り出しておくべきかが決定されてもよい。マンションの部屋番号に基づいてパレット27の種類が決定される場合には、部屋番号とパレット27の種類とを対応付ける情報が予めデータストア33に記憶されていてもよい。
【0108】
[変形例3:入庫予約と入庫の呼び登録とが混在した場合]
入庫予約と入庫の呼び登録とが混在した場合の構成は、
図3〜5において、「目的パレット」を「空のパレット」と読み替え、さらに、
図3に示すステップS102の直接呼び動作において、搬器16により空のパレット27が取り出されて入出庫部6に移送され、入出庫口9で待つ利用者による入庫が行われる。以上の点を除けば、第1実施形態(
図3〜5)と同様の構成とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0109】
なお、ハイルーフ車などの特殊車両も駐車可能な機械式駐車設備において、パレット27の種類が車種により異なる場合には、日時指定予約データおよび呼び登録データに車種やパレット27の種類に関する情報が含まれていてもよい。あるいは、日時指定予約データおよび呼び登録データにパレット番号、マンションの部屋番号等が含まれており、かかる情報に基づいて、入庫予約および呼び登録の処理時にどの種類のパレット27を空のパレット27として搬器16上に取り出すべきかが決定されてもよい。マンションの部屋番号に基づいてパレット27の種類が決定される場合には、部屋番号とパレット27の種類とを対応付ける情報が予めデータストア33に記憶されていてもよい。
【0110】
パレット27の種類が一つしかない場合、入庫予約の処理時には常に第2待機モードが選択されてもよい。かかる構成では、予約が解除された場合に、入出庫口9で待つ利用者による入庫を直ちに行うことができる。
【0111】
[変形例4:必要とされる旋回が異なる場合]
上述の説明では、下部90°乗入れ方式のエレベータ式駐車設備について説明したが、例えば、下部180°乗入れ方式でパレット呼び時にパレット旋回を行なうエレベータ式駐車設備としてもよい。この場合、ステップS113、S126、ステップS303におけるパレット旋回の角度が、90°ではなく180°となる点を除けば、第1実施形態または変形例1〜3と同様の動作とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0112】
また、入庫時と出庫時と昇降時の車両の向きが同一であり、パレット旋回を必要としないエレベータ式駐車設備や、下部180°乗入れ方式でパレット格納時にパレット旋回を行なうエレベータ式駐車設備としてもよい。この場合、ステップS112〜S113、ステップS126、ステップS302〜S303が省略される点を除けば、第1実施形態または変形例1〜3と同様の動作とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0113】
なお、乗入階、最下階である必要は必ずしもなく、いずれの階に設けられてもよい。
【0114】
[変形例5:時間帯により待機モードが自動的に切り替わる場合]
現在時刻を検出する計時手段を備え、待機状態設定手段は、予約の処理時に搬器を待機させる状態を、計時手段により検出された現在時刻に応じて、少なくとも2以上の動作フェーズの中から選択して設定するように構成されていてもよい。
【0115】
この場合、計時手段は、
図2の現在日時取得手段34とすることができる。
【0116】
例えば、頻繁に入出庫が行われる平日の早朝や夕方等には第1待機モードとし、入出庫の頻度が相対的に低い昼間や週末等には第2待機モードとする場合を考える。待機状態設定手段たるCPU32は、予約処理時、データストア33に記憶されているプログラムに従い、現在日時取得手段34から取得した現在日時情報に従い、現在が平日の早朝や夕方に該当するか、昼間や週末に該当するかの判定を行う。そして、現在が平日の早朝や夕方に該当すれば、第1モードが選択される結果、ステップS107の判定結果はYESとなる。一方、現在が昼間や週末に該当すれば、第2モードが選択される結果、ステップS107の判定結果はNOとなる。
【0117】
かかる構成によれば、待機モードの選択および設定が自動的に最適化されるため、入出庫の予約と呼び登録とが混在しても、それらをさらに円滑に処理して両立を図り、さらに円滑な入出庫を行うことができる。
【0118】
[変形例6:櫛歯式の機械式駐車設備の場合]
櫛歯式の機械式駐車設備の場合には、第1実施形態および
図3〜5の記載において、以下の変更を加える。
【0119】
すなわち、ステップS103の、搬器16上にパレット27があるか否かの判定を、搬器16が車両を保持しているか否かの判定とする。ステップS104の目的パレットを取り出す動作を、目的車両を取り出す動作とする。ステップS105の、搬器16が保持しているパレット27が目的パレットであるか否かの判定を、搬器16が保持している車両が目的車両であるか否かの判定とする。ステップS106の、パレット27を返却する動作を、車両60を格納部13へ返却する動作とする。
【0120】
ステップS109〜S110、ステップS120〜S121、ステップS202〜S203、ステップS205〜S206、ステップS305〜S306、ステップS308〜S309を削除する。
【0121】
ステップS113、S126、S303のパレット旋回を、搬器16の旋回とする。
【0122】
ステップS204の、搬器16を目的パレット階へ移動させる動作を、搬器16を目的車両が格納されている階へ移動させる動作とする。
【0123】
ステップS207の、目的パレットを搬器16上へ移動する動作を、目的車両を搬器16上に載せる動作とする。
【0124】
ステップS304の、現階床が搬器16の保持するパレット27を格納すべき階であるか否かの判定を、現階床が搬器16の保持する車両60を格納すべき階であるか否かの判定とする。
【0125】
ステップS307の、搬器16を、搬器16の保持するパレット27を格納すべき階へと移動させる動作を、搬器16を、搬器16の保持する車両60を格納すべき階へと移動させる動作とする。
【0126】
ステップS310の、パレット27を格納棚13へと移動させる動作を、車両60を格納棚13へと移動させる動作とする。
【0127】
第1待機モードは、予約の処理時に搬器16を待機させる状態を、昇降路12内で、目的車両を保持した状態で、目的車両が格納されていた棚と近接するように(例えば、目的車両を搬器に載せ終わった位置に)搬器16が配置されている動作フェーズとするモードとしうる。
【0128】
第2待機モードは、予約の処理時に搬器16を待機させる状態を、入出庫部6において、搬器16が目的車両を保持している状態で、かつ、入出庫用通路50と搬器16との間で車両60の出し入れが可能な状態にある動作フェーズとするモードとしうる。
【0129】
以上の点を除けば、第1実施形態または変形例1〜3と同様の動作とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0130】
[他の変形例]
上記機械式駐車設備において、待機ブロック(待機スペース)を設けず、格納部の収容台数(例えば、パレット式の機械式駐車設備の場合におけるパレットの個数)を、機械式駐車設備の駐車可能台数と等しくしてもよい。かかる構成では、出庫予約ができるようにした駐車設備において、複数台の予約車を停車させることができる待機ブロック(待機スペース)を設けるようにしたものに比べ、スペースをより有効に活用でき、同一容積では機械式駐車設備の駐車可能台数をより多くすることができる。
【0131】
[その他]
上記エレベータ式駐車設備1によれば、日時指定予約と直接操作の呼び登録とを行う利用者の待ち時間を適切な時間にして両立を図ることができ、円滑な入出庫を行うことができるエレベータ式駐車設備1(機械式駐車設備)を構成することが可能となる。
【0132】
なお、上記実施形態では、下部乗入れ方式のエレベータ式駐車設備を例に説明したが、機械式駐車設備としては、入出庫部を備え、車両を搬器により所定の格納部と入出庫部との間で搬送する構成であれば適用でき、機械式駐車設備は上記実施形態に限定されるものではない。
【0133】
また、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。