特許第6185794号(P6185794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185794
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ドアグラスラン
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20170814BHJP
   B60J 10/22 20160101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60J10/76
   B60J10/22
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-181743(P2013-181743)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-47991(P2015-47991A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】飛田 規夫
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−020612(JP,A)
【文献】 特開2008−239104(JP,A)
【文献】 特開2007−314002(JP,A)
【文献】 特開平11−034670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00−10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのドアサッシュに装着されて昇降式のドアガラスを案内しつつ当該ドアガラスの周縁部をシールするドアグラスランの構造にして、
断面略コ字状をなす本体部の開口縁からそのコ字状空間に向けて内向きに突出形成されてそれぞれドアガラスに弾接することになるアウタシールリップおよびインナシールリップを有しているとともに、
上記ドアガラスの縦辺部に相当する縦辺相当部では、上記本体部のコ字状空間に対し上記アウタシールリップよりも外向きで且つ当該アウタシールリップとともにドアガラスの室外側の面に弾接することになる外向きリップが上記アウタシールリップに近接して突出形成されているドアグラスランの構造であって、
上記縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分では外向きリップのうちドアウエスト部に近い直近部分を残してそれ以外の部分が消失しているとともに、
その外向きリップが消失した部分に当該外向きリップと連続するようにガラスガイド部を延長形成してあり、
上記ガラスガイド部では、その突出方向が上記本体部のコ字状空間に対し外向きリップよりもさらに外向きに設定されていることを特徴とするドアグラスラン。
【請求項2】
上記外向きリップとガラスガイド部との接続部近傍では、外向きリップの向きが徐々に変化してガラスガイド部の向きと整合する徐変部となっていることを特徴とする請求項1に記載のドアグラスラン。
【請求項3】
上記ガラスガイド部は外向きリップよりも厚肉のものとして形成されていることを特徴とする請求項2に記載のドアグラスラン。
【請求項4】
上記ガラスガイド部の突出方向先端位置を上記断面略コ字状の本体部を形成している室外側の側壁部内面の延長線よりも外側に位置させてあることを特徴とする請求項3に記載のドアグラスラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュに装着されて昇降式のドアガラスを案内しつつ当該ドアガラスの周縁部をシールするドアグラスランの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアグラスランにおいては、断面略コ字状をなす本体部の開口縁からそのコ字状空間の内方に向けて室内側のシールリップであるインナシールリップと室外側のシールリップであるアウタシールリップとをそれぞれに突出形成し、これら双方のシールリップをドアガラスの表裏両面に弾接させることを基本としている。
【0003】
その上で、特に上記ドアグラスランにおける室外側のシール性や遮音性の一層の向上を図るために、上記アウタシールリップに近接して当該アウタシールリップよりもさらに外側を指向する外向きリップを付加したものが特許文献1等にて知られている。
【0004】
その一方、上記アウタシールリップと外向きリップとの関係に着目した場合に、ドアグラスランの長手方向においてアウタシールリップと外向きリップとを並列的に設けることなく、ドアグラスランの長手方向においてアウタシールリップと外向きリップの位置を互いに異ならせて、実質的にアウタシールリップと外向きリップとを直列的に設けるようにしたものが特許文献2にて提案されている。
【0005】
この特許文献2に記載されたドアグラスランの構造では、外向きリップが設定された部分をドアウエスト部よりも上側のドアサッシュ側とし、アウタシールリップが設定された部分をドアウエスト部よりも下側のドア本体内に配置することで、ドアガラス組付時の組付作業性の改善に寄与することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−314002号公報
【特許文献2】特開平11−34670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されている技術に特許文献2に記載されたドアグラスランの構造を採用した場合、アウタシールリップと外向きリップとを並列的に設けることを前提としているが故に、昇降式のドアガラス組付時における外向きリップの巻き込み対策としては不十分で、外向きリップが狙い通りに撓み変形せずに、外向きリップがドアガラスによってなおも内側に巻き込まれてしまうおそれがある。
【0008】
また、ドアガラス組付時に外向きリップを巻き込んでしまうことなくドアガラスを正しく組み付けることができたとしても、ドアガラスを昇降動作させた際に、同様に外向きリップを内側に巻き込んでしまうおそれがあり、なおも改善の余地を残している。
【0009】
さらに、特許文献2に記載された技術では、突出方向が互いに大きく異なるアウタシールリップと外向きリップとを直列的に形成するにあたり、いわゆる可変断面押出工法のほか、アウタシールリップを有するドアグラスランと外向きリップを有するドアグラスランとを別々に押出成形した上で、後からそれら両者を接続する方式としているため、いずれの場合にも大幅なコストアップが余儀なくされることとなって好ましくない。
【0010】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、ドアグラスランの室外側のシールを司る部分においてアウタシールリップと外向きリップとを並列的に併存させることを前提に、昇降式のドアガラス組付時であるか通常の昇降動作時であるかにかかわらず、外向きリップの巻き込みを防止してそのその外向きリップの機能を安定的に発揮でき、しかも製造コストを低減することができるようにしたドアグラスランの構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュに装着されて昇降式のドアガラスを案内しつつ当該ドアガラスの周縁部をシールするドアグラスランの構造にして、断面略コ字状をなす本体部の開口縁からそのコ字状空間に向けて内向きに突出形成されてそれぞれドアガラスに弾接することになるアウタシールリップおよびインナシールリップを有しているとともに、上記ドアガラスの縦辺部に相当する縦辺相当部では、上記本体部のコ字状空間に対し上記アウタシールリップよりも外向きで且つ当該アウタシールリップとともにドアガラスの室外側の面に弾接することになる外向きリップが上記アウタシールリップに近接して突出形成されているドアグラスランの構造である。
【0012】
その上で、上記縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分では外向きリップのうちドアウエスト部に近い直近部分を残してそれ以外の部分が消失しているとともに、その外向きリップが消失した部分に当該外向きリップと連続するようにガラスガイド部を延長形成してあり、上記ガラスガイド部では、その突出方向が上記本体部のコ字状空間に対し外向きリップよりもさらに外向きに設定されていることを特徴とする。
【0013】
この場合において、ガラスガイド部の機能からすれば、請求項2に記載のように、上記外向きリップとガラスガイド部との接続部近傍では、外向きリップの向きが徐々に変化してガラスガイド部の向きと整合する徐変部となっていることが望ましい。
【0014】
また、同様の理由から、請求項3に記載のように、上記ガラスガイド部は外向きリップよりも厚肉のものとして形成されていることが望ましく、さらに、請求項4に記載のように、上記ガラスガイド部の突出方向先端位置を、上記断面略コ字状の本体部を形成している室外側の側壁部内面の延長線よりも外側に位置させてあることが望ましい。
【0015】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ドアグラスランの縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分では、実質的に外向きリップが消失しているので、昇降式のドアガラスの組み付けに際して邪魔になるものがなくなり、ドアガラスの組付作業性、特にドアグラスランの縦辺相当部でのガラス挿入性が良好なものとなるとともに、当然のことながらドアグラスランの縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分における外向きリップの巻き込みも解消できることになる。
【0016】
また、ガラスガイド部は外向きリップに比べてその突出方向がさらに外向きに設定されているので、ドアガラスの昇降動作時にドアガラスがガラスガイド部に引っ掛かることもなければ、当該ガラスガイド部の案内効果のためにそのガラスガイド部よりも上側の外向きリップの一般部の巻き込みをも未然に防止できるようになる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、ドアグラスランの縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分では、ドアウエスト部に近い直近部分を残してそれ以外の外向きリップが消失しているので、昇降式のドアガラスの組み付けに際して邪魔になるものがなくなり、ドアガラスの挿入性をはじめとするドアガラスの組付作業性が良好なものとなるとともに、ドアグラスランの縦辺相当部のうちドアウエスト部より下側の部分における外向きリップの巻き込みを防止できる。また、ガラスガイド部の案内効果のためにそのガラスガイド部よりも上側の外向きリップの一般部の巻き込みをも未然に防止できる。さらに、当該ドアグラスランの製法としては、例えば押出成形された縦辺相当部における外向きリップの一部をカットした上でガラスガイド部を金型成形することで、外向きリップにガラスガイド部を接続することができるので、製造コスト的にも有利となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、外向きリップとガラスガイド部との接続部近傍では徐変部となっているため、ガラスガイド部よりも上側の外向きリップの巻き込みを一段と防止できるようになる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、ガラスガイド部の厚肉化によりそのガラスガイド部の剛性が高められているので、特に昇降式のドアガラスの組付時におけるガラスガイド部の案内効果が安定したものとなり、ドアグラスランの縦辺相当部でのガラス挿入性が良好なものとなるとともに、仮にドアガラスの位置が室外側にばらついたような場合でもドアガラスの昇降動作時にガラスガイド部を巻き込んでしまうことがない。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、ガラスガイド部の突出方向先端位置を断面略コ字状の本体部を形成している室外側の側壁部内面の延長線よりも外側に位置させてあるので、先に述べた請求項3に記載の発明の効果が一段と顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るドアグラスランが適用される自動車の前斜視図。
図2図1の自動車における前後のドアグラスランの概略構造を示す説明図。
図3】本発明に係るドアグラスランの具体的な実施の形態を示す図で、図2の前側の縦辺相当部におけるQ部の拡大斜視図。
図4図3のD方向矢視図。
図5図3のA−A線に沿う拡大断面図。
図6図3のB−B線に沿う拡大断面図。
図7図3のC−C線に沿う拡大断面図。
図8図5の前側の縦辺相当部でドアガラスを受容した状態を示す断面図。
図9図7の前側の縦辺相当部におけるドアガラス組付時の断面説明図。
図10図7のM部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜10は本発明に係るドアグラスランを実施するためのより具体的な形態を示し、図1はいわゆる4ドア型車の前斜視図を示し、また図2図1に示した自動車のフロントドアD1およびリアドアD2に適用されるドアグラスランの概略構造を示している。
【0023】
図1,2に示すように、フロント側のドアグラスラン1は、図1に示すフロントドアD1のドア本体P1とアーチ状のドアサッシュS1とまたがるかたちで配設されていて、断面形状が略コ字状をなす長尺状のものとして形成されている。なお、ドアグラスラン1の材質は例えばEPDMまたはTPV材である。そして、そのコ字状空間に昇降式のドアガラスG1を受容して、ドアガラスG1を案内しながら当該ドアガラスG1の周縁部をシールする役目をする。
【0024】
また、フロント側のドアグラスラン1は、前側の縦辺相当部2と上辺部3および後側の縦辺相当部4とからなり、これらの三者が前後のコーナー型成形部5,6を介して相互に接続されている。そして、これらのドアグラスラン1のうちドアウエスト部(ドアウエストライン)Wdより下側の部分がドア本体P1内に図示外のロアサッシュとともに格納されている。
【0025】
ここで、前側の縦辺相当部2にはさらに別の型成形部としてガラスガイド部14が付帯しているが、これについては後述する。また、かかるドアグラスラン1の構造はリア側のドアグラスラン20についても基本的に同様であるので、リア側のドアグラスラン20の詳細な説明については省略する。
【0026】
図3図2の前側の縦辺相当部2におけるQ部の拡大図を示してして、図4図3のD方向矢視図である。また、図5〜7は、図3のA−A線、B−B線およびC−C線に沿ったそれぞれの断面図を示している。
【0027】
図3,4および図5から明らかなように、前側の縦辺相当部2では、互いに対向する室内側の側壁部8と室外側の側壁部9およびそれらの双方の側壁部8,9同士を接続している底壁部10とで断面略コ字状の長尺な本体部7が形成されている。本体部7の開口縁である室内側の側壁部8の端縁からはコ字状空間に向けて内向きに室内側のシールリップであるインナシールリップ11が斜状に突出形成されているとともに、同様に本体部7の開口縁である室外側の側壁部9の端縁からはコ字状空間に向けて内向きに室外側のシールリップであるアウタシールリップ12が斜状に突出形成されている。さらに、アウタシールリップ13に近接して、室外側の側壁部9の端縁からコ字状空間の外側に向けて外向きに外向きリップ13が斜状に突出形成されている。
【0028】
そして、図8のようなドアガラスG1の閉め切り状態においては、ドアガラスG1の室内側の面にはインナシールリップ11が弾接するとともに、ドアガラスG1の室側の面にはアウタシールリップ12と外向きリップ13とがそれぞれ弾接して、車室内外を仕切るべくドアガラスG1の周縁部がシールされることになる。特に、ドアガラスG1の室外側の面にはアウタシールリップ12とともに外向きリップ13が弾接することでいわゆる二重シールのかたちとなり、水密性および遮音性の向上が図られている。
【0029】
ここで、図1,2から明らかなように、前側の縦辺相当部2のうちドアウエスト部Wdより上側の部分はドアウエスト部Wdより上側のドアサッシュS1に収容されているのに対して、前側の縦辺相当部2のうちドアウエスト部Wdより下側の部分はドア本体P1内に格納されて隠蔽され、外部には露出しないようになっている。
【0030】
そこで、図3,4に示すように、前側の縦辺相当部2のうちドアウエスト部Wdより下側の部分では、外向きリップ13のうちドアウエスト部Wdに近い直近部分をウエスト下端末部Lとしてわずかに残して、それ以外の外向きリップ13を切除することで当該外向きリップ13を消失させてある。そして、外向きリップ13が切除されている部分では、ウエスト下端末部Lの下端から下方に向けて所定長さにわたって、外向きリップ13よりも厚肉のガラスガイド部14をウエスト下端末部Lに接続させるべく長手方向に延長形成してある。
【0031】
ここでは、均一断面形状のものとして押出成形された前側の縦辺相当部2について、外向きリップ13のうちウエスト下端末部Lを残してそれより下側部分を切除し、代わってそのウエスト下端末部Lに接続させるべくガラスガイド部14を金型成形により成形して付帯させるものとする。
【0032】
そして、図3のA−A線、B−B線およびC−C断面である図5〜7同士を比較すると明らかにように、ウエスト下端末部Lのうちガラスガイド部14に近い部分ではいわゆる徐変部Lbとなっていて、そのウエスト下端末部Lにおける外向きリップ13の突出方向が下側に向かって徐々に外向きに変化していて、最終的にはガラスガイド部14の突出方向と整合一致している。
【0033】
より詳しくは、外向きリップ13のウエスト下端末部Lのうち徐変部Lb以外の部分を一般部Laと定義するならば、外向きリップ13の一般部Laとガラスガイド部14とは長手方向で互いに連続しつつも捻れの関係にあって、図5に示すように、断面略コ字状の本体部7がドアガラスG1を受容していない状態では、外向きリップ13の一般部Laの突出方向はインナシールリップ11と重なり合うような方向を指向しているものの、図6に示すように徐変部Lbでは外向きリップ13の突出方向が図5に比べて徐々に起き上がり、外向きリップ13の突出方向が本体部7のコ字状空間に対し一般部Laよりも外向きに徐々に変化していることになる。そして、図7に示すガラスガイド部14では、そのガラスガイド部14がインナシールリップ11から大きく離間して、その突出方向が上記本体部7のコ字状空間に対し徐変部Lbよりもさらに外向きに設定されている。
【0034】
すなわち、図3,4のほか図5〜7に示すように、外向きリップ13のウエスト下端末部Lでは、一般部Laから徐変部Lbに向かうに従ってリップ自体の突出方向が徐々に起き上がるように徐変していて、最終的にはガラスガイド部14の突出方向と整合一致していることになる。
【0035】
その上で、図7に示すように、ガラスガイド部14の内側の根元部14aおよび突出方向先端位置14bの位置関係として、断面略コ字状の本体部7を形成している室外側の側壁部9を基準とした場合に、ガラスガイド部14の内側の根元部14aおよび突出方向先端位置14bは、共に室外側の側壁部9の内面の延長線Rよりも外側(室外側)に位置するように設定してある。なお、先に述べたように、ガラスガイド部14は金型成形により成形して付帯させたものである。
【0036】
したがって、このように構成されたドアグラスラン1の構造では、昇降式のドアガラスG1を組み付けるにあたっては、ドアグラスラン1がドアサッシュS1からドア本体P1内に及ぶように装着されている状態で、例えばドアガラスG1を傾けながら前側の縦辺相当部2および後側の縦辺相当部4にそれぞれ差し込み、ドアガラスG1をドアウエスト開口部からドア本体P1内に一旦落とし込んだ上で、その後のレギュレータ機構との結合や建て付け調整等を行うことになる。
【0037】
この場合において、図3,4に示すように、前側の縦辺相当部2のうち外部から目視しにくいドアウエスト部Wdよりも下側の部分では、実質的に外向きリップ13が消失している一方で、代わってガラスガイド部14が設定されているので、図9に示すように、ドアガラスG1の挿入に際して外向きリップ13がドアガラス組付時の邪魔にならないばかりでなく、ガラスガイド部14によるドアガラスG1の案内効果が発揮されて、ドアガラスG1をスムーズに縦辺相当部2のコ字状空間に受容させることができる。
【0038】
そのため、縦辺相当部2のコ字状空間側への外向きリップ13の巻き込みを未然に防止することができる。しかも、ガラスガイド部14が厚肉で且つ剛性の高いものとして形成されているとともに、図7に示すように、ガラスガイド部14の内側の根元部14aおよび突出方向先端位置14bが共に室外側の側壁部9の内面の延長線Rよりも外側に位置するように設定してあるので、ガラスガイド部14によるドアガラスG1の案内効果が一段と顕著となり、ドアガラスG1の組付作業性が良好なものとなる。
【0039】
また、図3,4に示すように、外向きリップ13のウエスト下端末部Lにおける徐変部Lbの下側にガラスガイド部14が連続しているので、ドアガラスG1を下降位置から上昇させる場合には、剛性の高いガラスガイド部14に案内されているドアガラスG1は、徐変部Lbからその上の一般部Laに向かって外向きリップ13を徐々に外向きに押し広げるようにして撓み変形させることになるので、ドアガラスG1が外向きリップ13のウエスト下端末部lに引っ掛かることもなければ、ガラスガイド部14やウエスト下端末部Lを本体部7におけるコ字状空間の内側に巻き込んでしまうこともない。
【0040】
ここで、図3,4に示す外向きリップ13について、その徐変部Lbまでもガラスガイド部14と共に金型成形により形成するようにしても良い。
【0041】
また、図7のM部を拡大した図10に示すように、同図の点線の輪郭線Eをもって示したように、ガラスガイド部14は実質的に外向きリップ13と同等の厚みのものとして形成していも良いが、先に述べたようなガラスガイド部14の本来の機能よりして、余盛部14cを付加して同図のような厚肉形状のものとすることが望ましい。
【0042】
さらに、本実施の形態では、ガラスガイド部14を図2に示したフロント側のドアグラスラン1の縦辺相当部2に適用した場合について説明したが、必要に応じて後側の縦辺相当部4のほか、リア側のドアグラスラン20にも同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…ドアグラスラン
2…前側の縦辺相当部
7…本体部
8…室内側の側壁部
9…室外側の側壁部
10…底壁部
11…インナシールリップ
12…アウタシールリップ
13…外向きシールリップ
14…ガラスガイド部
14b…突出方向先端位置
L…ウエスト下端末部
La…一般部
Lb…徐変部
R…室外側の側壁部内面の延長線
Wd…ドアウエスト部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10