特許第6185811号(P6185811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185811外装材施工用下地材及び外装材の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185811
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】外装材施工用下地材及び外装材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20170814BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E04F13/08 101A
   E04B2/56 642E
   E04B2/56 621J
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200943(P2013-200943)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-67983(P2015-67983A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年5月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年6月 刊行物「NICHIHA内外装建材総合カタログ2013.6」第398頁にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】南川 雅也
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−133431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/07−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の壁面に固定されるアタッチメントと、
前記壁面と平行に長手方向に延び、前記アタッチメントに固定されるとともに表面側に外装材が固定される金属胴縁本体とからなる外装材施工用下地材において、
前記アタッチメントは金属製の第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をなし、前記長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は金属製の第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする外装材施工用下地材。
【請求項2】
前記内壁部は、前記長手方向の一端側で前記基板部から屈曲された第1内壁部と、前記長手方向の他端側で前記基板部から屈曲され、前記第1内壁部と対面する第2内壁部とからなり、
前記支持部は、前記長手方向の一端側で前記第1内壁部から前記基板部と平行になるように屈曲されて前記基板部から遠ざかる方向に延びる第1支持部と、前記長手方向の他端側で前記第2内壁部から前記基板部と平行になるように屈曲されて前記基板部から遠ざかる方向に延びる第2支持部とからなり、
前記外壁部は、前記長手方向の一端側で前記第1支持部から前記壁面に向けて屈曲されて前記壁面に近づくように延びる第1外壁部と、前記長手方向の他端側で前記第2支持部から前記壁面に向けて屈曲されて前記壁面に近づくように延びる第2外壁部とからなる請求項1記載の外装材施工用下地材。
【請求項3】
前記当接部は、互いに平行に延びる第1当接部及び第2当接部からなり、
前記側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり、
前記固定部は、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に形成されている請求項2記載の外装材施工用下地材。
【請求項4】
前記側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり、
前記固定部は、前記第1側壁部から延びる第1固定部と、前記第2側壁部から延びる第2固定部とからなる請求項2記載の外装材施工用下地材。
【請求項5】
躯体の壁面にアンカーボルトによってアタッチメントを固定する第1工程と、
前記アタッチメントに金属胴縁本体を被せ、前記金属胴縁本体を前記アタッチメントにビスによって固定する第2工程と、
前記金属胴縁本体に外装材を固定する第3工程とを備え、
前記アタッチメントは第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をなし、長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする外装材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外装材施工用下地材及び外装材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の外装材施工用下地材が開示されている。この外装材施工用下地材は、躯体の壁面と平行に長手方向に延び、表面側に外装材が固定される金属胴縁と言われている。この外装材施工用下地材は金属製の板材がその断面が略C字形状になるように屈曲されてなる。
【0003】
より具体的には、この外装材施工用下地材は、壁面と当接可能な当接部と、当接部と一体をなし、当接部の幅方向の両端から直角に屈曲されて壁面から離間するように延びる一対の側壁部と、各側壁部と一体をなし、各側壁部から当接部と平行になるように屈曲されて互いに近づく方向に延び、外装材が固定される固定部とからなる。当接部には複数の孔が形成されている。
【0004】
この外装材施工用下地材を用いて外装材を壁面に固定する場合、まず当接部を壁面に当て、この状態で複数の孔にアンカーボルトやビスを通し、各アンカーボルト等で外装材施工用下地材を壁面に固定する。そして、固定部に外装材を固定する。この際、外装材が金属製であれば、ビスによって外装材が固定部に固定されることが一般的である。また、外装材が窯業製品であれば、外装材施工用下地材と外装材との間に留付具が用いられることが一般的である。
【0005】
また、特許文献2、3に他の外装材施工用下地材が開示されている。これらの外装材施工用下地材は、壁面に固定される複数のアタッチメントと、壁面と平行に長手方向に延び、各アタッチメントに固定されるとともに表面側に外装材が固定される金属胴縁本体とからなる。
【0006】
これらの金属胴縁本体は金属製の板材がその断面が略ハット形状になるように屈曲されてなる。より具体的には、これらの金属胴縁本体は、壁面と当接可能な一対の当接部と、各当接部と一体をなし、各当接部から直角に屈曲されて壁面から離間するように延びる一対の側壁部と、各側壁部と一体をなし、各側壁部から各当接部と平行になるように屈曲されて延び、外装材が固定される固定部とからなる。各当接部及び各側壁部は互いに平行に延びている。両側壁部には互いに対面するようにピン穴が貫設されている。固定部は各側壁部の間に形成されている。
【0007】
特許文献2のアタッチメントは、壁面から突出するボルトによって固定される板状のプレートである。金属胴縁本体の両当接部はビスによってアタッチメントに固定される。
【0008】
また、特許文献3のアタッチメントは、壁面から突出するボルトによって固定される基板部と、この基板部と一体をなし、基板部の幅方向の両端から直角に屈曲されて壁面から離間するように延びる一対の壁部と、各壁部と一体をなし、各壁部から基板部と平行になるように屈曲されて互いに遠ざかる方向に延びる支持部とからなる。基板部にはコ字形状の部材が壁面側から固定され、その部材の一対のピン受け板部が金属胴縁本体の両側壁部内に設けられるようになっている。金属胴縁本体は、ピン穴を通じて両ピン受け板部に挿通されるピンにより、アタッチメントと固定されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−207114号公報
【特許文献2】特開2011−132777号公報
【特許文献3】特許第4231384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1の外装材施工用下地材は、主にアンカーボルトによって壁面に直接固定されるものであることから、壁面に固定する位置が制限されてしまう。例えば、外装材施工用下地材を固定しようとする壁面内にそのアンカーボルトと干渉する鉄筋等が存在する場合には、その位置にその外装材施工用下地材を固定することができず、その位置からずれた位置にその外装材施工用下地材を固定しなければならない。このような不具合は、躯体内のどこに鉄筋等が存在するのかが必ずしも明らかでないリフォームの場合に顕著である。また、新築の躯体であっても、鉄筋等を存在させやすい出隅部等に外装材を施工する場合もこの不具合は顕著になる。すなわち、これらの場合、外装材の施工が困難となる。
【0011】
一方、上記特許文献2、3のような外装材施工用下地材は、金属胴縁本体とともにアタッチメントを採用している。このため、これらの外装材施工用下地材を採用すれば、アタッチメントを固定しようとする位置に鉄筋等が存在する場合、他の位置にアタッチメントを固定し、金属胴縁本体自体の位置は変更しないようにすることも可能と考えられる。この場合、特許文献1の上記問題点は解消可能である。
【0012】
しかしながら、特許文献2、3のような外装材施工用下地材は、アタッチメントが金属胴縁本体の当接部と重なったり、当接部からはみ出したりする。このため、これらの外装材施工用下地材を用いて外装材を施工すると、壁面と外装材との間の持ち出し距離が大きくなり、壁面と外装材との間に確保される通気空間が厚くなってしまう。このため、狭小地でその施工が困難であったり、外装材を固定するためのビス等の大きさに制限が生じたりする。この場合、未だ外装材の施工性が十分であるとは言えない。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、外装材の施工性をより優れたものとすることが可能な外装材施工用下地材と、外装材の施工方法とを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の外装材施工用下地材は、躯体の壁面に固定されるアタッチメントと、
前記壁面と平行に長手方向に延び、前記アタッチメントに固定されるとともに表面側に外装材が固定される金属胴縁本体とからなる外装材施工用下地材において、
前記アタッチメントは金属製の第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をなし、前記長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は金属製の第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする。
【0015】
本発明の外装材施工用下地材では、金属胴縁本体の固定部内にアタッチメントの支持部を長手方向で収納できるため、アタッチメントを躯体の壁面に固定する際、金属胴縁本体の固定部内の長手方向で鉄筋等を回避して、アンカーボルトを固定する位置を比較的自由に変更することができる。そして、金属胴縁本体自体の位置は変更しないようにすることができる。このため、アタッチメントを固定する位置の自由度が増え、施工状況に応じた外装材施工用下地材の固定が可能となる。
【0016】
また、この外装材施工用下地材では、金属胴縁本体の当接部と壁面との間にアタッチメントが存在しないことから、壁面と外装材との間の持ち出し距離が過剰に大きくなることがない。このため、壁面と外装材との間に確保される通気空間が厚くならない。
【0017】
したがって、本発明の外装材施工用下地材は、より優れた外装材の施工性を発揮することが可能である。
【0018】
アタッチメントの内壁部は、長手方向の一端側で基板部から屈曲された第1内壁部と、長手方向の他端側で基板部から屈曲され、第1内壁部と対面する第2内壁部とからなり得る。また、支持部は、長手方向の一端側で第1内壁部から基板部と平行になるように屈曲されて基板部から遠ざかる方向に延びる第1支持部と、長手方向の他端側で第2内壁部から基板部と平行になるように屈曲されて基板部から遠ざかる方向に延びる第2支持部とからなり得る。さらに、外壁部は、長手方向の一端側で第1支持部から壁面に向けて屈曲されて壁面に近づくように延びる第1外壁部と、長手方向の他端側で第2支持部から壁面に向けて屈曲されて壁面に近づくように延びる第2外壁部とからなり得る。
【0019】
このアタッチメントは、基板部から長手方向の両側で対称となり、壁面への固定時の方向性を解消できる。このため、外装材施工用下地材は、施工が容易になり、コストの低廉化を実現できる。
【0020】
金属胴縁本体の当接部は、互いに平行に延びる第1当接部及び第2当接部からなり得る。また、側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり得る。さらに、固定部は、第1側壁部と第2側壁部との間に形成され得る。
【0021】
この金属胴縁本体は、躯体の一般部における壁面に使用される。この金属胴縁本体は、固定部内にアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部が長手方向及び幅方向で収納されることとなる。この金属胴縁本体の第1、2当接部は壁面に複数のビス等により固定できる。このため、この金属胴縁本体では、特許文献2、3の金属胴縁本体のようにアタッチメントに固定されるのではなく、第1、2当接部が直接的に壁面に固定される。このため、この金属胴縁本体は、躯体に強固に固定可能である。
【0022】
金属胴縁本体の側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり得る。また、固定部は、第1側壁部から延びる第1固定部と、第2側壁部から延びる第2固定部とからなり得る。
【0023】
この金属胴縁本体は、躯体の接合部用として使用される。例えば、この接合部用金属胴縁本体は、壁面の土台部、出隅部、入隅部及び外装材の上下接合部等の施工を行う場合に使用される。この金属胴縁本体の当接部は、壁面に複数のビス等によって固定できる。そして、この金属胴縁本体の第1固定部又は第2固定部は、アッタチメントの支持部にビス等により固定できる。その第1固定部又は第2固定部に外装材をビス等によって固定できる。
【0024】
第1固定部内にはアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部を長手方向及び幅方向で収納し、第2固定部内にはアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部を長手方向だけで収納するよう、第1固定部を第2固定部よりも幅広とすることも可能である。
【0025】
本発明の外装材の施工方法は、躯体の壁面にアンカーボルトによってアタッチメントを固定する第1工程と、
前記アタッチメントに金属胴縁本体を被せ、前記金属胴縁本体を前記アタッチメントにビスによって固定する第2工程と、
前記金属胴縁本体に外装材を固定する第3工程とを備え、
前記アタッチメントは第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をなし、長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする。
【0026】
本発明の外装材の施工方法では、第1工程において、躯体の壁面にアンカーボルトによってアタッチメントを固定する。第2工程において、そのアタッチメントに金属胴縁本体を被せ、金属胴縁本体をアタッチメントにビスによって固定する。そして、第3工程において、金属胴縁本体に外装材を固定する。ここで、金属胴縁本体及びアタッチメントが上記の作用効果を奏する。
【0027】
したがって、本発明の外装材の施工方法では、より優れた施工性を発揮することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の外装材施工用下地材は、より優れた外装材の施工性を発揮することが可能である。また、本発明の外装材の施工方法では、より優れた施工性を発揮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例1に係り、アタッチメントと一般部用の金属胴縁本体とを示す斜視図である。
図2】実施例1に係り、外装材施工用下地材に外装材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】実施例1に係り、外装材施工用下地材に外装材を取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
図4】実施例1に係り、外装材施工用下地材に外装材を取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
図5】実施例2に係り、一つのアタッチメントと、二つの一般部用の金属胴縁本体とを壁面に固定した状態を示す斜視図である。
図6】実施例2に係り、図5の要部拡大断面図である。
図7】実施例3に係り、一つのアタッチメントと、二つの接合部用の金属胴縁本体とを壁面に固定した状態を示す斜視図である。
図8】実施例4に係り、外装材施工用下地材に外装材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図9】変形例に係り、接合部用の金属胴縁本体と補助部材と外装材の下端とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の外装材施工用下地材1は、アタッチメント3と一般部用の金属胴縁本体5とから構成されている。1本の金属胴縁本体5に対しては、複数個のアタッチメント3が用いられ得る。
【0032】
アタッチメント3は、厚さ1.6mm、幅35mm、長さ179mmの帯状をなす金属製の第1板材が屈曲されて形成されている。第1板材は、溶融亜鉛を母材とし、この母材にアルミニウム及びマグネシウム合金からなるめっきを施したものである。
【0033】
このアタッチメント3は、図4にも示すように、35mm×25mmの四角形状の基板部3aと、35mm×13.5mmの四角形状の第1、2内壁部3b、3cと、35mm×50mmの四角形状の第1、2支持部3d、3eと、35mm×13.5mmの四角形状の第1、2外壁部3f、3gとからなる。
【0034】
基板部3aは幅方向の長さがW1とされている。基板部3aには、図3及び図4に示すように、その中心部にアンカーボルト9を貫通するための貫通孔3hが設けられている。
【0035】
図4に示すように、第1内壁部3bは、長手方向Dの一端側で基板部3aから直角に屈曲されている。第2内壁部3cは、長手方向Dの他端側で基板部3aから直角に屈曲されている。第1、2内壁部3b、3cは互いに対面している。第1、2内壁部3b、3cは高さLで延びている。
【0036】
第1支持部3dは、長手方向Dの一端側で第1内壁部3bから基板部3aと平行になるように直角に屈曲されて基板部3aから遠ざかる方向に延びている。第2支持部3eは、長手方向Dの他端側で第2内壁部3cから基板部3aと平行になるように直角に屈曲されて基板部3aから遠ざかる方向に延びている。第1、2支持部3d、3eは同一長さで延びている。
【0037】
第1外壁部3fは、長手方向Dの一端側で第1支持部3dから基板部3aに向けて直角に屈曲されている。第2外壁部3gは、長手方向Dの他端側で第2支持部3eから基板部3aに向けて直角に屈曲されている。第1、2外壁部3f、3gは第1、2内壁部3b、3cと等しく高さLで延びている。
【0038】
このアタッチメント3は、アンカーボルト9を基板部3aの貫通孔3hに挿通し、壁面7に打ち込むことにより、壁面7に固定される。
【0039】
図1に示すように、金属胴縁本体5は、厚さ1.2mm、幅105mm、長さ2990mmの帯状をなす金属製の第2板材が屈曲されて形成されている。第2板材も第1板材と同一の金属からなる。この金属胴縁本体5は、躯体の壁面7のうち、一般部に使用される。
【0040】
この金属胴縁本体5は長手方向Dに延びている。この金属胴縁本体5は、帯状の第1、2当接部5a、5eと、帯状の第1、2側壁部5b、5dと、帯状の固定部5cとからなる。
【0041】
第1、2当接部5a、5eは同一平面において互いに平行に延びている。
【0042】
第1側壁部5bは、第1当接部5aの幅方向の一端側で直角に屈曲されている。第2側壁部5dは、第2当接部5eの幅方向の他端側で直角に屈曲されている。第1、2側壁部5b、5dも互いに平行に延びている。
【0043】
固定部5cは、第1側壁部5bの先端から第1当接部5aと平行になるように直角に屈曲されているとともに、第2側壁部5dの先端から第2当接部5eと平行になるように直角に屈曲されている。固定部5cは、第1側壁部5bと第2側壁部5dとの間に形成されている。第1、2側壁部5b、5dが屈曲されてなる固定部5cの壁面7からの高さLは、第1、2内壁部3b、3cの高さLと等しくされている。また、第1側壁部5bの内面と第2側壁部5dの内面とで形成される固定部5cの幅は長さがW2とされている。長さW2は長さW1より大きくされている。
【0044】
第1、2当接部5a、5eには、ビス13を挿通するための大小2種の貫通孔5fが一定間隔毎に複数設けられている。この金属胴縁本体5は、ビス13を貫通孔5fに挿通して、壁面7にねじ込むことにより、壁面7に固定される。
【0045】
以上のように構成された外装材施工用下地材1を用い、以下のように外装材11を壁面7に施工する。
【0046】
まず、第1工程として、壁面7にアンカーボルト9によってアタッチメント3を固定する。この際、アタッチメント3は長手方向Dが水平になるようにする。ここでは、躯体は、鉄筋コンクリート製の既存の壁である。この際、アタッチメント3を固定しようとする壁面7内にそのアンカーボルト9と干渉する鉄筋等が存在する場合、長手方向Dについてはアタッチメント3の位置を比較的自由にずらすことが可能である。また、幅方向については、図3に示すように、W2−W1の範囲内でアタッチメント3の位置を自由にずらすことが可能である。
【0047】
次いで、第2工程として、図1、3、4に示すように、アタッチメント3に金属胴縁本体5を被せ、金属胴縁本体5をアタッチメント3に平頭ビス15によって固定する。つまり、アタッチメント3と金属胴縁本体5とは、第1、2支持部3d、3eと固定部5cとに平頭ビス15をねじ込むことによって、両者は強固に固定される。この際、金属胴縁本体5も長手方向Dが水平になるようにする。また、金属胴縁本体5の少なくとも両端がアタッチメント3に固定される。
【0048】
ここで、この外装材施工用下地材1では、金属胴縁本体5の固定部内5cにアタッチメント3の基板部3a、第1、2内壁部3b、3c、第1、2支持部3d、3e及び第1、2外壁部3f、3gが長手方向D及び幅方向で収納可能とされている。このため、金属胴縁本体5自体の位置は変更しないようにすることができる。このため、アタッチメント3を固定する位置の自由度が増え、施工状況に応じた外装材施工用下地材1の固定が可能となる。
【0049】
この後、第3工程として、図2に示すように、金属胴縁本体5に金属製の外装材11を固定する。つまり、金属胴縁本体5と外装材11とは、固定部5c上にステンレス製のテクスネジ17をねじ込むことによって、両者は強固に固定される。外装材11の設置方向は縦である。テクスネジ17は、隣に設けられる外装材11によって隠蔽される合わせ面内にねじ込まれている。こうして、外装材11の施工方法が完了する。
【0050】
そして、この外装材施工用下地材1では、金属胴縁本体5の第1、2当接部5a、5eと壁面7との間にアタッチメント3が存在しないことから、壁面7と外装材11との間の持ち出し距離が過剰に大きくなることがない。このため、壁面7と外装材11との間に確保される通気空間が厚くならない。
【0051】
したがって、この外装材施工用下地材1は、より優れた外装材の施工性を発揮することが可能である。また、この外装材11の施工方法では、より優れた施工性を発揮することが可能である。
【0052】
また、アタッチメント3は、基板部3aから長手方向Dの両側で対称となっているため、壁面7への固定時の方向性を解消できる。このため、外装材施工用下地材1は、より施工が容易になり、コストの低廉化を実現できる。
【0053】
(実施例2)
実施例2は、図5及び図6に示すように、一つのアタッチメント3に対し、二つの金属胴縁本体5を固定する場合の使用例である。
【0054】
まず、アタッチメント3の第1支持部3dに対し、平頭ビス15によって一方の金属胴縁本体5の固定部5cを固定する。また、アタッチメント3の第2支持部3eに対し、平頭ビス15によって他方の金属胴縁本体5の固定部5cを固定する。なお、二つの金属胴縁本体5間には、長手方向Dに一定の間隔が確保されている。他の工程及び構成は実施例1と同様である。
【0055】
この場合も実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0056】
(実施例3)
実施例3は、図7に示すように、実施例1、2と同種のアタッチメント3と、接合部用の金属胴縁本体6とからなる外装材施工用下地材2を用いている。金属胴縁本体6は、帯状の当接部6aと、帯状の第1、2側壁部6b、6cと、帯状の第1、2固定部6d、6eとからなる。
【0057】
当接部6aは平行に延びている。
【0058】
第1側壁部6bは、当接部6aの幅方向の一端側で直角に屈曲されている。第2側壁部6cは、当接部6aの幅方向の他端側で直角に屈曲されている。第1、2側壁部6b、6cは互いに平行に延びている。
【0059】
第1固定部6dは、第1側壁部6bの先端から当接部6aと平行になるように当接部6aから離れる方向に直角に屈曲されている。第2固定部6eは、第2側壁部6cの先端から当接部6aと平行になるように当接部6aから離れる方向に直角に屈曲されている。第1、2固定部6d、6eの壁面7からの高さLは、第1、2内壁部3b、3cの高さLと等しくされている。また、第1固定部6dの幅はアタッチメント3の幅W1より大きくされている。他方、第2固定部6eの幅はアタッチメント3の幅W1より小さくされている。
【0060】
実施例3においても、一つのアタッチメント3に対し、二つの金属胴縁本体6を固定する。
【0061】
まず、アタッチメント3の第1支持部3dに対し、平頭ビス15によって一方の金属胴縁本体6の第1固定部6dを固定する。また、アタッチメント3の第2支持部3eに対し、平頭ビス15によって他方の金属胴縁本体6の第1固定部6dを固定する。なお、アタッチメント3の第1支持部3dに対し、一方の金属胴縁本体6の第2固定部6eを固定し、アタッチメント3の第2支持部3eに対し、他方の金属胴縁本体6の第2固定部6eを固定してもよい。
【0062】
そして、外装材11を第1固定部6d又は第2固定部6eに固定する。他の工程及び構成は実施例1、2と同様である。
【0063】
この外装材施工用下地材2は、壁面7の接合部において、実施例1、2と同様の作用効果を奏する。
【0064】
(実施例4)
実施例4では、図8に示すように、アタッチメント3、金属胴縁本体5及び金属胴縁本体6からなる外装材施工用下地材4を用いて出隅部に外装材11を施工している。
【0065】
この場合、出隅部の両側にアタッチメント3をその長手方向Dを縦にして固定し、金属胴縁本体6をそれらアタッチメント3の第1固定部6dに固定する。他の工程及び構成は実施例1と同様である。
【0066】
この外装材施工用下地材4によれば、鉄筋等を存在させやすい出隅部において、外装材11容易に施工することが可能である。
【0067】
(変形例)
変形例は、図9に示すように、外装材11の下端において、接合部用の金属胴縁本体6と補助部材19とを使用した場合の使用例である。
【0068】
補助部材19は、略四角柱の形状を有する樹脂製の部材である。補助部材19はほぼ長さLの厚みを有している。
【0069】
金属胴縁本体6の当接部6aが壁面7との間に土台水切21を挟んだ状態とし、当接部6a及び土台水切21にビス13を挿通し、壁面7にねじ込むことにより、壁面7に固定した。また、金属胴縁本体6の第1固定部6d内に補助部材19を設け、平頭ビス15によって第1固定部6d内に補助部材19を固定した。これにより、補助部材19は、外装材11の下端部において、金属胴縁本体6と土台水切21との間に設置される。
【0070】
この補助部材19は、金属胴縁本体6と壁面7との間において、外装材11の荷重によって外装材11が壁面7に近づくように回転することを防止する。
【0071】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0072】
例えば、上記実施例1〜4では、金属製の外装材11を用いたが、窯業製品である外装材を用いる場合にも、本発明の外装材施工用下地材を採用することができる。この場合、金属胴縁本体5、6と外装材との間に留付具を用いることが好ましい。
【0073】
また、上記実施例1〜4では、鉄筋コンクリート製の既存の壁を躯体としているが、躯体はこれに限定されるものではない。例えば、その他の建物の構造としては、鉄骨造、鉄筋鉄骨コンクリート造、木造、組積造等であり得る。また、その外壁は、ALC、コンクリートパネル、モルタル、レンガ等であり得る。これらに対し、本発明の外装材施工用下地材を採用することができる。また、躯体は既存のものに限られず、新築であってもよい。
【0074】
さらに、上記実施例1〜4では、金属胴縁本体5、6を横に施工し、外装材11を縦に施工したが、金属胴縁本体5、6を縦に施工し、外装材11を横に施工してもよい。
【0075】
また、補助部材19を金属胴縁本体6に固定する場合、平頭ビス15を用いる他、接着剤、両面テープ、釘等を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、既存の躯体のリフォーム、新築の際に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1、2、4…外装材施工用下地材
3…アタッチメント
3a…基板部
3b…第1内壁部
3c…第2内壁部
3d…第1支持部
3e…第2支持部
3f…第1外壁部
3g…第2外壁部
5、6…金属胴縁本体
5a…第1当接部、
5e…第2当接部
6a…当接部
5b、6b…第1側壁部
5d、6c…第2側壁部
5c…固定部
6d…第1固定部
6e…第2固定部
7…壁面
9…アンカーボルト
11…外装材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9