【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1の外装材施工用下地材は、主にアンカーボルトによって壁面に直接固定されるものであることから、壁面に固定する位置が制限されてしまう。例えば、外装材施工用下地材を固定しようとする壁面内にそのアンカーボルトと干渉する鉄筋等が存在する場合には、その位置にその外装材施工用下地材を固定することができず、その位置からずれた位置にその外装材施工用下地材を固定しなければならない。このような不具合は、躯体内のどこに鉄筋等が存在するのかが必ずしも明らかでないリフォームの場合に顕著である。また、新築の躯体であっても、鉄筋等を存在させやすい出隅部等に外装材を施工する場合もこの不具合は顕著になる。すなわち、これらの場合、外装材の施工が困難となる。
【0011】
一方、上記特許文献2、3のような外装材施工用下地材は、金属胴縁本体とともにアタッチメントを採用している。このため、これらの外装材施工用下地材を採用すれば、アタッチメントを固定しようとする位置に鉄筋等が存在する場合、他の位置にアタッチメントを固定し、金属胴縁本体自体の位置は変更しないようにすることも可能と考えられる。この場合、特許文献1の上記問題点は解消可能である。
【0012】
しかしながら、特許文献2、3のような外装材施工用下地材は、アタッチメントが金属胴縁本体の当接部と重なったり、当接部からはみ出したりする。このため、これらの外装材施工用下地材を用いて外装材を施工すると、壁面と外装材との間の持ち出し距離が大きくなり、壁面と外装材との間に確保される通気空間が厚くなってしまう。このため、狭小地でその施工が困難であったり、外装材を固定するためのビス等の大きさに制限が生じたりする。この場合、未だ外装材の施工性が十分であるとは言えない。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、外装材の施工性をより優れたものとすることが可能な外装材施工用下地材と、外装材の施工方法とを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の外装材施工用下地材は、躯体の壁面に固定されるアタッチメントと、
前記壁面と平行に長手方向に延び、前記アタッチメントに固定されるとともに表面側に外装材が固定される金属胴縁本体とからなる外装材施工用下地材において、
前記アタッチメントは金属製の第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をなし、前記長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は金属製の第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする。
【0015】
本発明の外装材施工用下地材では、金属胴縁本体の固定部内にアタッチメントの支持部を長手方向で収納できるため、アタッチメントを躯体の壁面に固定する際、金属胴縁本体の固定部内の長手方向で鉄筋等を回避して、アンカーボルトを固定する位置を比較的自由に変更することができる。そして、金属胴縁本体自体の位置は変更しないようにすることができる。このため、アタッチメントを固定する位置の自由度が増え、施工状況に応じた外装材施工用下地材の固定が可能となる。
【0016】
また、この外装材施工用下地材では、金属胴縁本体の当接部と壁面との間にアタッチメントが存在しないことから、壁面と外装材との間の持ち出し距離が過剰に大きくなることがない。このため、壁面と外装材との間に確保される通気空間が厚くならない。
【0017】
したがって、本発明の外装材施工用下地材は、より優れた外装材の施工性を発揮することが可能である。
【0018】
アタッチメントの内壁部は、長手方向の一端側で基板部から屈曲された第1内壁部と、長手方向の他端側で基板部から屈曲され、第1内壁部と対面する第2内壁部とからなり得る。また、支持部は、長手方向の一端側で第1内壁部から基板部と平行になるように屈曲されて基板部から遠ざかる方向に延びる第1支持部と、長手方向の他端側で第2内壁部から基板部と平行になるように屈曲されて基板部から遠ざかる方向に延びる第2支持部とからなり得る。さらに、外壁部は、長手方向の一端側で第1支持部から壁面に向けて屈曲されて壁面に近づくように延びる第1外壁部と、長手方向の他端側で第2支持部から壁面に向けて屈曲されて壁面に近づくように延びる第2外壁部とからなり得る。
【0019】
このアタッチメントは、基板部から長手方向の両側で対称となり、壁面への固定時の方向性を解消できる。このため、外装材施工用下地材は、施工が容易になり、コストの低廉化を実現できる。
【0020】
金属胴縁本体の当接部は、互いに平行に延びる第1当接部及び第2当接部からなり得る。また、側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり得る。さらに、固定部は、第1側壁部と第2側壁部との間に形成され得る。
【0021】
この金属胴縁本体は、躯体の一般部における壁面に使用される。この金属胴縁本体は、固定部内にアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部が長手方向及び幅方向で収納されることとなる。この金属胴縁本体の第1、2当接部は壁面に複数のビス等により固定できる。このため、この金属胴縁本体では、特許文献2、3の金属胴縁本体のようにアタッチメントに固定されるのではなく、第1、2当接部が直接的に壁面に固定される。このため、この金属胴縁本体は、躯体に強固に固定可能である。
【0022】
金属胴縁本体の側壁部は、互いに平行に延びる第1側壁部及び第2側壁部からなり得る。また、固定部は、第1側壁部から延びる第1固定部と、第2側壁部から延びる第2固定部とからなり得る。
【0023】
この金属胴縁本体は、躯体の接合部用として使用される。例えば、この接合部用金属胴縁本体は、壁面の土台部、出隅部、入隅部及び外装材の上下接合部等の施工を行う場合に使用される。この金属胴縁本体の当接部は、壁面に複数のビス等によって固定できる。そして、この金属胴縁本体の第1固定部又は第2固定部は、アッタチメントの支持部にビス等により固定できる。その第1固定部又は第2固定部に外装材をビス等によって固定できる。
【0024】
第1固定部内にはアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部を長手方向及び幅方向で収納し、第2固定部内にはアタッチメントの基板部、第1、2内壁部、第1、2支持部及び第1、2外壁部を長手方向だけで収納するよう、第1固定部を第2固定部よりも幅広とすることも可能である。
【0025】
本発明の外装材の施工方法は、躯体の壁面にアンカーボルトによってアタッチメントを固定する第1工程と、
前記アタッチメントに金属胴縁本体を被せ、前記金属胴縁本体を前記アタッチメントにビスによって固定する第2工程と、
前記金属胴縁本体に外装材を固定する第3工程とを備え、
前記アタッチメントは第1板材が屈曲されてなり、
前記アタッチメントは、前記壁面にアンカーボルトによって固定される基板部と、前記基板部と一体をな
し、長手方向の端側で前記基板部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる内壁部と、前記内壁部と一体をなし、前記内壁部から前記基板部と平行になるように前記長手方向の端側で屈曲されて延びる支持部と、前記支持部と一体をなし、前記各支持部から前記長手方向の端側で屈曲されて前記壁面に近づくように延びる外壁部とを有し、
前記金属胴縁本体は第2板材が屈曲されてなり、
前記金属胴縁本体は、前記壁面と当接可能な当接部と、前記当接部と一体をなし、前記長手方向と直交する幅方向で前記当接部から屈曲されて前記壁面から離間するように延びる側壁部と、前記側壁部と一体をなし、前記側壁部から前記当接部と平行になるように屈曲されて前記長手方向に延び、前記外装材が固定される固定部とを有し、
前記金属胴縁本体における前記固定部内の高さは、前記アタッチメントにおける前記壁面から前記支持部までの高さ以上であることを特徴とする。
【0026】
本発明の外装材の施工方法では、第1工程において、躯体の壁面にアンカーボルトによってアタッチメントを固定する。第2工程において、そのアタッチメントに金属胴縁本体を被せ、金属胴縁本体をアタッチメントにビスによって固定する。そして、第3工程において、金属胴縁本体に外装材を固定する。ここで、金属胴縁本体及びアタッチメントが上記の作用効果を奏する。
【0027】
したがって、本発明の外装材の施工方法では、より優れた施工性を発揮することが可能である。