特許第6185812号(P6185812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185812脆性材料基板のブレイク方法並びにブレイク装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185812
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】脆性材料基板のブレイク方法並びにブレイク装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 5/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B28D5/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-203710(P2013-203710)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66832(P2015-66832A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】武田 真和
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−121906(JP,U)
【文献】 特開平01−178408(JP,A)
【文献】 特開2010−280043(JP,A)
【文献】 特開2013−082182(JP,A)
【文献】 特開2013−071335(JP,A)
【文献】 特開2012−131216(JP,A)
【文献】 特開2011−212963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
C03B 33/033
B26F 3/00
B32B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体の一方の面に形成された樹脂層の表面に凸部が形成され、前記基板本体の他方の面にスクライブラインが形成されている脆性材料基板を、前記樹脂層の面からブレイクバーを押圧することにより前記脆性材料基板を撓ませて前記スクライブラインに沿ってブレイクする脆性材料基板のブレイク方法であって、
前記ブレイクバーの先端の直線状稜線部で、ブレイクされる脆性材料基板の前記凸部に相対する部分に、当該凸部が嵌まり込む凹部を形成して、ブレイクバーの押圧時に脆性材料基板のブレイクバー押圧面全域に均等な押圧荷重がかかるようにしてブレイクするようにしたことを特徴とする脆性材料基板のブレイク方法。
【請求項2】
基板本体の一方の面に形成された樹脂層の表面に凸部が形成され、前記基板本体の他方の面にスクライブラインが形成されている脆性材料基板を、前記樹脂層の面からブレイクバーを押圧することにより前記脆性材料基板を撓ませて前記スクライブラインに沿ってブレイクする脆性材料基板のブレイク装置であって、
前記ブレイクバーの先端の直線状稜線部で、ブレイクされる脆性材料基板の前記凸部に相対する部分に、当該凸部が嵌まり込む凹部が形成されていることを特徴とする脆性材料基板のブレイク装置。
【請求項3】
前記ブレイクバーの凹部の深さが前記脆性材料基板の凸部の高さと等しく形成され、前記凹部の幅は、前記凸部が余裕をもって嵌まり込むことができる寸法で形成されている請求項2に記載の脆性材料基板のブレイク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスやセラミック等の脆性材料からなる基板本体の片面にシリコン等の樹脂層が形成された基板に対し、基板本体に形成されたスクライブライン(切溝)に沿って基板をブレイクするブレイク方法並びにブレイク装置に関する。特に本発明は、樹脂層表面に凸部が形成され、基板本体の裏面に前段工程でスクライブラインが形成された脆性材料基板のブレイク方法並びにそのブレイク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の表面にカッターホイール(スクライビングホイールともいう)や固定刃、もしくはレーザービーム等のスクライブ手段を用いて、互いに直交するX方向並びにY方向のスクライブラインを形成し、その後、当該スクライブラインの反対側の面から外力を印加して基板を撓ませたり、押し曲げたりすることにより、基板をスクライブラインに沿ってブレイクしてチップ等の単位製品を取り出す方法は知られており、例えば、特許文献1〜特許文献3等で開示されている。
【0003】
また、基板をスクライブラインに沿って撓ませてブレイクするための手段は、従来から各種のものが知られている。
図6は、一般的に用いられているブレイク方法の一例を示す図である。図6(a)に示すように、基板本体W1の表面に樹脂層W2が形成された基板W’は、ダイシングリング(図示略)に支持された弾力性のある粘着性のダイシングテープ16に貼り付けられる。基板本体W1の下面には、前段工程で互いに直交する複数条のスクライブラインSが形成されており、この基板W’を貼り付けたダイシングテープ16を、水平なテーブル17上にクッションシート18を介して載置する。このとき、基板W’のスクライブラインSが形成されている面が下側となるようにする。そして、図6(b)に示すように、基板W’の上方からブレイクバー19を降下させて基板W’を撓ませることにより、基板本体W1のスクライブラインSの亀裂(クラック)を厚み方向に進展させて、基板本体W1をブレイクすると同時に樹脂層W2もブレイクする。
【0004】
図7は別のブレイク方法を示す図である。この方法では、上記クッションシート18に代えて、スクライブラインSを挟んで基板W’を受ける一対の受刃20、20を配置する。そして、ダイシングテープ16に貼り付けられた基板W’の、スクライブラインSを設けた面とは反対側の面からブレイクバー19を基板W’に押し付けることにより、基板W’を上記同様にスクライブラインSに沿って撓ませてブレイクするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−071335号公報
【特許文献2】特開2012−131216号公報
【特許文献3】特開2011−212963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブレイクされる基板W’は、多くの場合、ブレイクバーが押し付けられる面が平坦な面で形成されている。したがって、図8に示すように、ブレイクバー19の直線状の下端稜線部19aを基板W’に対してその全域にわたって均等な押圧荷重で押し付けることができる。
しかし基板によっては、例えば図1(a)に示すように、樹脂層W2の表面に凸部1が基板Wの周辺部に沿って形成され、この凸部1によって囲まれた領域内に、単位製品を区分けするX−Y方向のスクライブラインSが基板本体W1の下面に形成されている場合がある。
このような場合、図8のように先端稜線部19aがその全長にわたって直線状に形成されているブレイクバー19で図1の基板Wを押し付けると、凸部1近傍の押圧力が他の部分より強くなって基板Wの上面にかかる荷重が不均等になる。このため、基板本体W1のスクライブラインSのクラックが斜めに走ったり、チッピング(欠け)等が発生したりするとともに、樹脂層W2の内部に不規則な亀裂が生じたりすることがあって不良品となり、製品歩留まりが悪化するといった問題点があった。
また、ブレイクバー19の刃先となる先端稜線部19aにおいて、樹脂層W2の凸部1の当接する部分が他の部分より大きな荷重を受けるため、繰り返し使用するうちに局部的な摩耗が発生し、平坦な表面を有する基板のブレイク用として使用できなくなるといった問題点もあった。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決し、樹脂層表面に凸部を有する脆性材料基板をブレイクバーできれいにブレイクすることができるブレイク方法並びにブレイク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明に係る脆性材料基板のブレイク方法は、基板本体の一方の面に形成された樹脂層の表面に凸部が形成され、前記基板本体の他方の面にスクライブラインが形成されている脆性材料基板を、前記樹脂層の面からブレイクバーを押圧することにより前記脆性材料基板を撓ませて前記スクライブラインに沿ってブレイクする脆性材料基板のブレイク方法であって、前記ブレイクバーの先端の直線状稜線部で、ブレイクされる脆性材料基板の前記凸部に相対する部分に、当該凸部が嵌まり込む凹部を形成して、ブレイクバーの押圧時に脆性材料基板のブレイクバー押圧面全域に均等な押圧荷重がかかるようにしてブレイクするようにした。
【0009】
また、別の観点からなされた本発明の脆性材料基板のブレイク装置は、基板本体の一方の面に形成された樹脂層の表面に凸部が形成され、前記基板本体の他方の面にスクライブラインが形成されている脆性材料基板を、前記樹脂層の面からブレイクバーを押圧することにより前記脆性材料基板を撓ませて前記スクライブラインに沿ってブレイクする脆性材料基板のブレイク装置であって、前記ブレイクバーの先端の直線状稜線部で、ブレイクされる脆性材料基板の前記凸部に相対する部分に、当該凸部が嵌まり込む凹部が形成されるようにしてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ブレイクバーの先端稜線部に、ブレイクされる脆性材料基板の凸部が嵌まり込む凹部を形成して、ブレイクバーの押圧時に脆性材料基板のブレイクバー押圧面全域に均等な押圧荷重がかかるようにしてブレイクするようにしたので、ブレイク時に従来のような荷重不均等による不規則な亀裂の発生や、分断面でのチッピングの発生を抑制して、脆性材料基板をスクライブラインに沿ってきれいにブレイクすることが可能となった。
【0011】
本発明において、前記ブレイクバーの凹部の深さが前記脆性材料基板の凸部の高さと等しく形成され、前記凹部の幅は、前記凸部が余裕をもって嵌まり込むことができる寸法で形成されている構成とするのがよい。
これにより、ブレイクバーを脆性材料基板の凸部並びに平坦な表面部分に対して均等な荷重で押し付けることができると共に、ブレイクバーの凹部が脆性材料基板の凸部に嵌まり込むときに凸部のエッジに当たって破損するような不具合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のブレイク方法並びにブレイク装置によってブレイクされる基板の一例を示す図。
図2】本発明に係るブレイク装置の一例を示す斜視図。
図3図2のブレイク装置によるブレイク工程を示す図。
図4】基板をダイシングテープに貼り付けた状態を示す斜視図。
図5図2のブレイク装置によるブレイク工程を示す断面図。
図6】従来の一般的なブレイク方法の一例を示す説明図。
図7】従来のブレイク方法の別の例を示す説明図。
図8】従来のブレイク方法におけるブレイクバーの形態を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の基板ブレイク方法並びに基板ブレイク装置の実施の態様を図1図5に基づいて説明する。図1は本発明によってブレイクされる脆性材料基板Wの形態の一例を示す図である。脆性材料基板Wは、ガラスやセラミック等の脆性材料からなる基板本体W1と、当該基板本体W1の上面に形成されたシリコン等の樹脂層W2とからなる。樹脂層W2の表面には、図1(a)の斜視図、図1(b)の断面図、図1(c)の平面図に示すように、上面周辺部に沿って凸部1が四角形のループを描くように形成され、この凸部1によって囲まれた領域内で、基板本体W1の下面に単位製品を区分けするX−Y方向のスクライブラインSが前段工程で形成されている。以下において、この脆性材料基板Wを単に「基板W」という。
【0014】
図2は本発明に係るブレイク装置Aの一例を示す図である。
ブレイク装置Aは、基板Wを載置して保持するテーブル2を備えている。テーブル2は、水平なレール3に沿ってY方向に移動できるようになっており、モータMによって回転するネジ軸4により駆動される。さらにテーブル2は、モータを内蔵する回転駆動部5により水平面内で回動できるようになっている。
【0015】
テーブル2を挟んで設けてある両側の支持柱6、6と、X方向に水平に延びるビーム(横桟)7とからなるブリッジ13が、テーブル2上を跨ぐようにして設けられている。ビーム7には、流体シリンダ8によってテーブル2に向かって上下動する長尺板状のブレイクバー9が設けられている。ブレイクバー9は、その下端に先端部を細くした直線状の稜線部9aを備えている。この稜線部9aの所定位置、すなわち、後述するブレイク動作時においてテーブル2上に載置された基板Wの凸部1に相対する位置に、凸部1が嵌まり込む凹部9bが設けられている(図3(a)参照)。
【0016】
図3(a)に示すように、ブレイクバー9の凹部9bの深さHは基板Wの凸部1の高さhと等しく、凹部9bの幅L1は、基板Wの凸部1が余裕をもって嵌まり込むことができるように凸部1の幅L2より少し長く形成されている。
【0017】
基板Wをブレイクするにあたっては、まず、図4に示すように、基板Wをダイシングリング10に支持された弾力性のある粘着性のダイシングテープ11に対して、スクライブラインSが下方になるようにして貼り付ける。そして図3(a)に示すように、この基板Wを貼り付けたダイシングテープ11を、クッションシート12を介してブレイク装置Aのテーブル2上に載置保持する。このとき、基板WのスクライブラインSが形成されている面が下側となるようにする。
【0018】
そして図3(b)に示すように、基板Wの上方からブレイクバー9をスクライブラインSに向かって降下させて基板Wを押し付け、スクライブラインSをクッションシート12上で撓ませてスクライブラインSの亀裂を厚み方向に浸透させて基板Wをブレイクする。
このブレイクバー9によるブレイク時において、図5(a)、(b)に示すように、基板Wの凸部1はブレイクバー9の凹部9bに嵌まり込むと共に、凹部9bの深さHが凸部1の高さhと等しく形成されているので、ブレイクバー9の凹部9bと直線状の稜線部9aの基板Wに対する押圧荷重が均等になる。これにより、従来のように荷重不均等によって、基板本体W1のスクライブラインSから外れて斜めにブレイクしたり、樹脂層W2の内部に不規則な亀裂を生じたりすることなく、基板WをスクライブラインSに沿ってきれいにブレイクすることができる。
【0019】
本発明において、上記実施例では基板Wの下面にクッションシート12を敷設して、ブレイクバー9を押し付けることにより基板Wを撓ませるようにしたが、クッションシート12に代えて、図7に示したようなスクライブラインSを挟んで基板W’を受ける一対の受刃20、20を配置するようにしてもよい。
【0020】
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例構造のみに特定されるものでない。例えば、上記したダイシングテープ11を省略することも可能である。その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、基板本体の片面に樹脂層が形成され、樹脂層表面に凸部が形成された脆性材料基板のブレイクに適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
A ブレイク装置
S スクライブライン
W 脆性材料基板
W1 基板本体
W2 樹脂層
1 凸部
2 テーブル
9 ブレイクバー
9a ブレイクバーの直線状の稜線部
9b ブレイクバーの凹部
11 ダイシングテープ
12 クッションシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8