【0015】
[ポリエチレン樹脂]
本発明に使用されるポリエチレンは、押出成形および射出成形などの成形方法で成形される樹脂として使用される従来公知のポリエチレン樹脂である。ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは0.945〜0.970g/cm
3であり、より好ましくは0.946〜0.969g/cm
3、さらに好ましくは0.947〜0.968g/cm
3である。ポリエチレン樹脂の密度が0.945〜0.970g/cm
3であると、成形した樹脂組成物は、配水管として用いるのに十分な曲げ弾性率、剛性および耐圧性を有するようになる。ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.001〜10g/10分であり、より好ましくは0.01〜5g/10分であり、さらに好ましくは0.02〜1.0g/10分である。ポリエチレン樹脂のMFRが0.001〜10g/10分であると、分子量が増大し流動性が低下してポリエチレン樹脂の成形性が確保できなくなることを抑制できるとともに、成形した樹脂組成物の耐衝撃性が低下したり、耐久性が低下したりすることを抑制できる。なお、ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K6922−1,2:1997に準拠して測定されたものであり、ポリエチレン樹脂のMFRは、JIS K6922−2:1997に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgにおいて測定されたものである。
【実施例】
【0026】
次に実施例および比較例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例における評価方法を以下に示す。
【0027】
[塩素水試験]
実施例および比較例の試験片を用いて、JIS K 6762に準拠した下記試験条件の耐塩素水性試験を行った。
(試験条件)
・塩素水濃度 :2000±100ppm
・試験温度 :60±1℃
・塩素水pH :6.5±0.5
・試験時間 :168時間
【0028】
[色調の測定]
分光測色計(ミノルタ株式会社製、SPECTROMETER CM−3600D)を使用して、塩素水試験前および塩素水試験後の試験片のマンセル標準色表における色相、明度および彩度を測定した。なお、色調の測定において、試験片のマンセル標準色表における色相、明度および彩度が、色相10B〜10PB、明度2〜6および彩度4〜14の色立体範囲に入る場合、後述の表1および表2において、「OK」と表し、上記色立体範囲に入らない場合、「NG」と表した。
【0029】
[外観試験]
上記塩素水試験後の試験片を目視にて観察して、試験片の膨れの発生の有無を調べた。なお、後述の表1および表2において、外観試験において膨れの発生がない場合「OK」と表し、膨れの発生がある場合、「NG」と表した。
【0030】
実施例及び比較例の試験片の作製例を以下に示す。
[実施例1の試験片の作製例]
高密度ポリエチレン(密度:0.949g/cm
3、MFR:0.05g/10分)100質量部、ポリエチレンワックス(密度:0.94g/cm
3、分子量3000)0.0023質量部、銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:3)0.0005質量部、ベンズイミダゾロン(C.I.Pigment Red 185)0.0003質量部、および二酸化チタン(C.I.Pigment White 6)0.003質量部を混合して作製した混合物を二本ロールにより185℃の混練温度で2分間混練し樹脂組成物を得た。次いで、230℃の加熱温度および20kg/cm
2の圧力で2分間予熱し、230℃の加熱温度および200kg/cm
2の圧力で2分間加圧し、20℃の冷却温度で10分間冷却することにより、厚さ4mmのプレスシートを作製した。そして、そのプレスシートから20mm×60mm×4mmの大きさの試験片を切り出し、実施例1の試験片を作製した。
【0031】
[実施例2の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.13質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.035質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.02質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.015質量部に変更した点を除いて、実施例2の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0032】
[実施例3の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.2質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.07質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.03質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.2質量部に変更した点を除いて、実施例3の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0033】
[実施例4の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.14質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.06質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.03質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.1質量部に変更した点を除いて、実施例4の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0034】
[実施例5の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.044質量部に、銅フタロシアニンブルー0.0005質量部から無金属フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 16)0.01質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.004質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.06質量部に変更した点を除いて、実施例5の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0035】
[比較例1の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.518質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.005質量部に、ベンズイミダゾロン0.0003質量部から群青0.395質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.017質量部に変更した点を除いて、比較例1の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0036】
[比較例2の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.02質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.006質量部に、ベンズイミダゾロン0.0003質量部からジメチルキナクリドン(C.I.Pigment Red 122)0.004質量部およびDPPレッド(C.I.Pigment Red 254)0.001質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.017質量部に変更した点を除いて、比較例2の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0037】
[比較例3の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.036質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.01質量部に、ベンズイミダゾロン0.0003質量部から無置換キナクリドン(C.I.Pigment Violet 19)0.012質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.033質量部に変更した点を除いて、比較例3の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0038】
[比較例4の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.034質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.01質量部に、ベンズイミダゾロン0.0003質量部からポリアゾレッド(C.I.Pigment Red 144)0.004質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.042質量部に変更した点を除いて、比較例4の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0039】
[比較例5の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.032質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.01質量部に、ベンズイミダゾロン0.0003質量部からジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 37)0.005質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.038質量部に変更した点を除いて、比較例5の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0040】
[比較例6の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.13質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.1質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.01質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.04質量部に変更した点を除いて、比較例6の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0041】
[比較例7の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.19質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.15質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.02質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.04質量部に変更した点を除いて、比較例7の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0042】
[比較例8の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.11質量部に、銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.05質量部に、ベンズイミダゾロンの配合量を0.0003質量部から0.04質量部に、および二酸化チタンの配合量を0.003質量部から0.04質量部に変更した点を除いて、比較例8の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0043】
[比較例9の試験片の作製例]
ポリエチレンワックスの配合量を0.0023質量部から0.002質量部に、および銅フタロシアニンブルーの配合量を0.0005質量部から0.0003質量部に変更した点を除いて、比較例9の試験片は、実施例1の試験片と同様の方法で作製された。
【0044】
実施例1〜5における評価結果を表1に、比較例1〜9における評価結果を表2にそれぞれ示す。
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
[結果]
実施例1〜5と比較例1〜5とを比較することにより、フタロシアニンブルー顔料、ベンズイミダゾロン顔料および二酸化チタン顔料の組み合わせにより、塩素水に長期間接触しても青色の色調バランスを維持できる配水管用着色樹脂組成物を得られることがわかった。また、実施例1〜5と比較例6〜9とを比較することにより、ポリエチレン樹脂100質量部当たりのフタロシアニンブルー顔料の含有量を0.0005〜0.07質量部、ポリエチレン樹脂100質量部当たりのベンズイミダゾロン顔料の含有量を0.0001〜0.03質量部、およびポリエチレン樹脂100質量部当たりの二酸化チタン顔料の含有量を0.001〜0.2質量部にすることにより、コバルト顔料を含まなくても青色を呈し、耐塩素水性に優れ、塩素水に長期間接触しても青色の色調バランスを維持できる配水管用着色樹脂組成物を得られることがわかった。