【文献】
小野順貴、外3名,“聴覚系を模倣した単耳音源定位システム”,電子情報通信学会技術研究報告,2000年 8月16日,Vol.100,No.255,p.25−32
【文献】
中島弘道、外2名,“スペクトルの特徴マップを用いた上下方向音源定位学習システム”,電子情報通信学会論文誌.D−II,情報・システム,II−パターン処理,日本,2004年11月1日,Vol.J87−D−II,p.2034−2044
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射体のそれぞれは、実質的に長方形の形状を有し、前記受信機のそれぞれは、前記対応する反射体の短い両縁部に関して非対称にかつ前記対応する反射体の長い両縁部に関して対称に位置し、
前記回折波は、前記それぞれの反射体の前記短い両縁部で生じる、請求項5に記載の装置。
前記システムは、前記装置によって測定される前記対応するユーザの前記送信機の前記3D座標に従って、映像効果および/または音響効果を各ユーザに個別に提供するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
受信機および反射体の2つの組を使って、送信機によって送信される不連続波を受信する段階であって、前記受信機が、前記反射体に非対称に取り付けられ、前記送信機からの直接波およびその回折波を受信するように構成され、前記回折波が、前記反射体のエッジで回折される、段階と、
2つの前記受信機によって受信される信号を処理して、前記送信機の3D座標を測定する際、2つの前記受信機によって受信された前記直接波および回折波に基づいて、前記送信機の3D座標を求める、信号を処理する段階と、
を含み、前記信号を処理する段階は、
前記受信機からの前記受信信号に基づいて速度ポテンシャル応答またはその時間導関数を計算する段階と、
前記受信機によって受信される前記回折波に起因する前記速度ポテンシャル応答またはその時間導関数での変曲点またはピーク点を検出する段階と、
前記検出される変曲点またはピーク点に基づいて前記送信機の前記3D座標を測定する段階と
を含む、前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
すべては、本明細書で述べられる少なくともいくつかの実施形態に従って配置される。
【0011】
次の記述は、特許請求される主題の完全な理解を提供するために具体的な詳細とともにさまざまな例を説明する。しかしながら、特許請求される主題は、本明細書で開示される一部または多数の具体的な詳細なしに実施されてもよいことが当業者には理解されよう。さらに、いくつかの状況では、十分に周知の方法、手順、システム、構成要素および/または回路は、特許請求される主題を不必要にわかりにくくすることを避けるために詳細に述べられなかった。
【0012】
次の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する、付随する図面が、参照される。図面では、同様の記号は典型的には、別段文脈により示されない限り、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲で述べられる例示的な実施形態は、限定することを意図されない。本明細書で提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が、利用されてもよく、他の変形が、なされてもよい。本開示の態様は、本明細書で一般的に述べられ、図で説明されるように、すべてが本明細書で明確に熟考される多種多様の異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計されてもよいことが容易に理解されよう。
【0013】
最初は、本開示の一部が基礎を置く基本原理が、述べられる。
【0014】
速度ポテンシャル応答についての計算方法の例が、述べられる。ここで、FFT(高速フーリエ変換)を使用する例が、述べられる。
【0015】
速度ポテンシャル応答は、次の方程式、
【0016】
【数1】
を満たし、ただし、ρは、媒体密度であり、*は、畳み込み積分演算子を表す。x(t)は、音波パルスが音波マーカによって放射される無響室でマイクロフォンを使って受信される直接波(パルス)の音圧である。y(t)は、帯状の(リボン状の)反射体(例えば、
図4を参照)を備えるマイクロフォンを使って受信される音圧である。
【0017】
離散フーリエ変換(DFT)は、y(t)および
ψ(t)からx(t)を与え、
【0018】
【数2】
ただし、F[]は、DFT演算を表す。ここで、畳み込み積分およびDFTの特性から、次の方程式、
【0021】
次に、視角と速度ポテンシャル応答との間の関係が、述べられる。
図1で示されるように、視角θは、点P’および時間τにおける観測点Pでの音の源である音源または反射点の組の広がりによって定義される扇形の中心角を表す。P’は、Pから音源平面または反射体平面まで引かれる垂線の足である。速度ポテンシャル応答は、視角に比例することが周知である。直接波については、その符号は、変わらないままであるが、しかしながら、回折波については、波は固定端で反射されたので、その符号は、反転される。
図2で示されるように、無限バッフル平面で円形ピストン振動表面によって放射される速度ポテンシャル応答を幾何形状から得ることができる。
図2の場合には、視角θは、次の公式、
【0022】
【数5】
によって得られる。これは、点源から放射され、円形開口を備えるマイクロフォンによって取り込まれる音波パルスの速度ポテンシャル応答と同等であることが周知である。
【0023】
t≧d/cについての速度ポテンシャル応答
ψ(t)は、次の公式、
【0024】
【数6】
によって与えられる。半径a=5cmの円形ピストンによって作成される、距離d=50
cmでの速度ポテンシャル応答
ψ(t)は、
図3で描写される。直接波速度ポテンシャル
の分析は、速度ポテンシャル応答の時間幅が、円形開口に対応する指向性情報を含むこと
を明らかにする。
【0025】
図4は、本明細書で述べられる少なくともいくつかの実施形態に従って配置される装置例10を説明する略図である。装置10は、以下の本明細書で述べられるように送信機の3D座標を測定するために使用されてもよい。
【0026】
送信機は、不連続波を送信するように構成されてもよい。不連続波は、短パルス波であってもよい。例えば、送信機は、1つまたは複数の超音波パルスを送信してもよい。送信機は、規則的な間隔で不連続波を送信してもよい。送信機は、任意の移動体に設けられてもよい。移動体は、ロボット、人間(ユーザ)、ユーザによって所有されるデバイスなどを含んでもよい。デバイスは、携帯型デバイスであってもよい。例えば、デバイスは、ユーザが眼鏡のように身に着ける表示デバイスであってもよい。
【0027】
装置10は、受信機100および反射体200を含んでもよい。
【0028】
受信機100は、マイクロフォンを含んでもよい。マイクロフォンは、
図4で示されるように、MEMS(微小電気機械システム)マイクロフォンまたはコンデンサマイクロフォンであってもよい。マイクロフォンは、可聴周波数帯域(30Hzから20kHz)の音波だけでなく、超音波帯域(20kHz以上)の音波もまた検出することができる。マイクロフォンは、反射体200に非対称に取り付けられてもよい。マイクロフォンは、任意の形状を持つ開口を有してもよい。例えば、マイクロフォンは、
図4で示されるような円形開口を有してもよい。マイクロフォンは、単一指向性マイクロフォンであってもよい。
【0029】
反射体200は、実質的に平坦であってもよい。反射体200は、細長い形状を有してもよい。例えば、反射体200は、実質的に長方形の形状を有してもよい。言い換えれば、反射体200は、多くの草食動物の耳に似た帯状(リボン状)であってもよい。反射体200は、任意の製品に取り付けられるように構成される独立した反射プレートであってもよい。別法として、反射体200は、任意の製品のケーシングまたは筺体の一部であってもよい。例えば、反射体200は、携帯電話またはラップトップコンピュータのケーシングまたは筺体の一部であってもよい。
【0030】
受信機100は、反射体200の両縁部に関して非対称の位置に設けられてもよい。例えば、受信機100は、
図4で示されるように、長方形の反射体200の短い両縁部202、204に関して非対称の位置に設けられてもよい。この場合には、受信機100は、
図4で示されるように、長方形の反射体200の長い両縁部206、208に関して対称の位置に設けられてもよい。
【0031】
反射体200は、その表面で非対称の位置に音圧を受信するための穴を有してもよい。受信機100は、反射体200に形成される穴の中に設けられてもよい。
【0032】
図5Aは、送信機によって放出される超音波パルスの例を説明する略図である。
図5Bは、反射体からの回折パルスによって影響を受ける受信パルスの例を説明する略図である。
図5Bで示されるように、受信パルスは、反射体200からの回折パルスによって影響を受けることもある。具体的には、送信機によって放出されたパルスは、反射体200の固定端(すなわち、エッジ202、204、206または208)で反射され、回折されて反転音圧パルスになることもある。受信機100は、
図5Bで示されるように、直接パルスおよび回折パルスの混合物を受信することもある。
【0033】
図6は、音源(すなわち、送信機)がマイクロフォン開口軸上にあるときの
図4で示される装置10についての速度ポテンシャル応答を説明する略図である。
【0034】
図6では、送信機の例であってもよい音波マーカは、比較的小さい音源であり、P
1は、その位置であると仮定される。P
2は、半径aの開口を備える受信機100の中心位置であるともまた仮定される。受信機100は、2つの成分、直接波および反射体での固定端反射によって反転される符号を有する回折波を受信する。直接波についての計算は、その視角を使用して前に述べられた方法で行われてもよい。回折波については、簡単にするために、受信機100の点P
2(すなわち、円形マイクロフォンの中心座標)は、点音源P
1によって放射される波を取り込むと仮定される。
【0035】
図6では、点音源P
1が受信機100の中心軸上に(すなわち、マイクロフォン開口軸上に)ある場合が、仮定される。この場合には、
図6で示されるように、伝搬時間τで反射体200に達する音波は、楕円体表面と反射体200との間の交差点の1つまたは複数の円弧状の組を一貫して形成する。それ故に、
図6では、逆速度ポテンシャル曲線上の変曲点は、矢印Y2〜Y4によって示されるように、反射体200の幾何形状に1対1で対応する。例えば、矢印Y3に関係する変曲点は、反射体200の左の短いエッジ202(固定端)での回折波に起因して生成される。さらに、矢印Y4に関係する変曲点は、反射体200の右の短いエッジ204(固定端)での回折波に起因して生成される。
【0036】
図7は、音源がマイクロフォン開口軸上にないときの
図4で示される装置10についての速度ポテンシャル応答を説明する略図である。
【0037】
図7では、音源の相対位置は、
図6でのそれに関して変化する。具体的には、
図7は、音源から反射体200の表面に垂直に引かれる直線が、反射体200の表面に足を有する場合を示す。
図7で示される場合は、伝搬経路差が
図6と比較してより小さいので、
図6でのそれらとは異なる変曲点を有する。言い換えれば、変曲点は、反射体200に関する音源の相対位置についての情報を含む。同様に、音源から反射体200の表面への垂線が、反射体200の表面の外側にその足を有するとき、変曲点を検出できることに留意されたい。それ故に、回折波の変曲点の時間を得ることによって、音源の幾何学的位置は、一意的に識別できる。
【0038】
装置10は、処理デバイス300を含んでもよい。処理デバイス300は、受信機100によって受信される信号(例えば、
図5Bを参照)を処理するように構成されてもよい。
【0039】
図8は、本明細書で述べられる少なくともいくつかの実施形態に従って配置される処理デバイス300の構成要素の例を説明する略図である。
【0040】
処理デバイス300は、増幅器302、A/D変換器304、逆畳み込み計算器306、伝搬時間計算器308および3D座標計算器310を含んでもよい。処理デバイス300はまた、コマンド送信機312を含んでもよい。
【0041】
増幅器302は、受信機100に結合されてもよい。増幅器はまた、受信機100によって受信される信号を増幅するように構成されてもよい。超音波マーカが送信機として使用される場合、高域通過フィルター(HPF)または帯域通過フィルター(BPF)が、環境雑音を除去し、超音波成分だけを引き出すために使用されてもよいことに留意されたい。
【0042】
A/D変換器304は、増幅器302に結合されてもよい。A/D変換器304は、増幅された信号をデジタル形式に変換するように構成されてもよい。
【0043】
逆畳み込み計算器306は、A/D変換器304に結合されてもよい。逆畳み込み計算器306は、速度ポテンシャル応答を計算するためにA/D変換器304からのデジタル化信号を逆畳み込みするように構成されてもよい。速度ポテンシャル応答についての計算は、直接波および受信信号についての周知の情報に基づいて上で述べられた方法でFFTまたは逆畳み込み計算を使って行われてもよいことに留意されたい。例えば、FFTは、事前登録された直接パルスパターンおよび受信信号(すなわち、受信回折パルス信号)から速度ポテンシャル応答を計算するために使用されてもよい。遠い位置からの直接波の直接パルスパターンは、使用される送信機の伝達関数または観測されるデータに基づいて導き出されてもよい。
【0044】
伝搬時間計算器308は、逆畳み込み計算器306に結合されてもよい。伝搬時間計算器308は、速度ポテンシャル応答での変曲点の時間(すなわち、回折波到着時間)を検出する(引き出す)ように構成されてもよい。伝搬時間計算器308はまた、直接波到着の時間を計算してもよい。例えば、伝搬時間計算器308は、
図9で示されるように、計算された速度ポテンシャル応答に基づいて直接波到着時間t
0ならびに回折波到着時間t
1およびt
2を計算してもよい。
【0045】
3D座標計算器310は、伝搬時間計算器308に結合されてもよい。3D座標計算器310は、変曲点の時間に基づいて送信機(すなわち、音源)の3D座標を計算するように構成されてもよい。送信機の3D座標を計算する方法は、
図6および
図7に関連して述べられる原理に基づいていてもよい。
【0046】
コマンド送信機312は、伝搬時間計算器308に結合されてもよい。コマンド送信機312は、不連続波を送信するために送信機(
図8では示されず)にコマンドを発行するように構成されてもよい。コマンド送信機312は、不規則にまたは規則的に(すなわち、所定の時間間隔で)送信機にコマンドを発行してもよい。コマンド送信機312は、伝搬時間計算器308にコマンドの発行を通知してもよい。
【0048】
ここで、反射体200の寸法d
1およびd
2は、
図10で示されるように定義される。
図10では、d
1は、受信機100の円形開口の中心と反射体200の1つのエッジ202(受信機100に関してより近いエッジ)との間の距離であり、d
2は、受信機100の円形開口の中心と反射体200のもう1つのエッジ204(受信機100に関してより遠いエッジ)との間の距離である。距離d
2は、距離d
1よりも実質的に長くてもよい。以下の本明細書では、エッジ204が受信機100に関して位置する側は、「より長い端部−開口距離側」と呼ばれてもよく、エッジ202が受信機100に関して位置する側は、「より短い端部−開口距離側」と呼ばれてもよい。
【0049】
図11Aは、音源がより短い端部−開口側に存在する場合を説明する略図である。この場合には、次の関係、
L
0=ct
0
L
1=ct
1−d
1
L
2=ct
2−d
2
が成立し、ただしc[m/s]は、光の速度である。さらに、
図9で示されるように、t
0は、直接波到着時間であり、t
1は、第1の回折波到着時間であり、t
2は、第2の回折波到着時間である。第1の回折波到着時間t
1は、エッジ202での回折波に関係し、第2の回折波到着時間t
2は、エッジ204での回折波に関係することに留意されたい。
【0050】
図11Bは、音源がより長い端部−開口側に存在する場合を説明する略図である。この場合には、次の関係、
L
0=ct
0
L
1=ct
2−d
1
L
2=ct
1−d
2
が成立する。第1の回折波到着時間t
1は、エッジ204での回折波に関係し、第2の回折波到着時間t
2は、エッジ202での回折波に関係することに留意されたい。
【0051】
図11Aまたは
図11Bで示されるいずれの場合にも、送信機の3D座標は、次の計算原理を使用して計算されてもよい。
【0052】
ここで、2つのチャンネルを使った測定が、
図12で示されるように仮定される。具体的には、受信機100および反射体200の2つの組10L、10Rを含む装置10が、
図12で示されるように使用されてもよい。
【0053】
第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200は、任意の向きを有してもよい。例えば、第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200は、互いに関して平行に配置されてもよい。第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200は、
図12で示されるように、同じ平面内に配置されてもよい。
【0054】
さらに、第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200は、指定の距離だけ離して配置されてもよい。理論上は、指定の距離は、任意の距離であってもよい。指定の距離は、第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200がその上に設けられてもよい部材(
図14で示されるマスタユニット500のケーシングなど)のサイズに依存することもある。第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200は、任意の方向に配置されてもよい。
【0055】
ここで、簡単にするために、
図12では、第1の組10Lの反射体200および第2の組10Rの反射体200がx−y平面にある座標系が、仮定され、y軸は、第1および第2の組10L、10Rの反射体200の縦(垂直)方向と平行であり、x軸は、第1および第2の組10L、10Rの受信機100の中心上にあり、原点は、x軸の(水平)方向で第1の組10Lの反射体200と第2の組10Rの反射体200との間の中間点に定義され、より長い端部−開口距離側は、y軸で正である。
【0056】
点(−h,−d
1,0)および(h,−d
1,0)は、第1および第2の組10Lおよび10Rの反射体200のエッジ202のそれぞれの中間点に対応する。点(−h,0,0)および(h,0,0)は、第1および第2の組10Lおよび10Rの受信機100のそれぞれの中心に対応する。点(−h,d
2,0)および(h,d
2,0)は、第1および第2の組10Lおよび10Rの反射体200のエッジ204のそれぞれの中間点に対応する。
図11Aおよび
図11Bを参照して述べられるように、音源の未知の座標(x,y,z)から既知のそれぞれの座標(−h,−d
1,0)、(−h,0,0)、(−h,d
2,0)、(h,−d
1,0)、(h,0,0)および(h,d
2,0)までのそれぞれの距離L
1R、L
0R、L
2R、L
1L、L
0LおよびL
2Lは、次の6つの方程式、
【0057】
【数7】
によって表すことができる。距離L
1R、L
2R、L
1LおよびL
2Lは、音源がより長い端部−開口側またはより短い端部−開口側に存在するという仮定に基づいて導き出されてもよいことに留意されたい。3つの未知の変数x、yおよびzは、これらの6つの方程式から導き出すことができる。例えば、方程式7番での第2および第3の方程式は、未知の変数yを次の通りに与える。
【0058】
【数8】
さらに、方程式7番での第5および第6の方程式もまた、未知の変数yを次の通りに与える。
【0059】
【数9】
方程式8番および9番によって得られるyの値は、精度を改善するために平均化されてもよいことに留意されたい。さらに、方程式7番での第1および第4の方程式はまた、未知の変数xも次の通りに与える。
【0060】
【数10】
最後に、未知の変数zは、得られた変数yおよびxを6つの方程式(方程式7番を参照)の1つに代入することによって導き出すことができる。音源がより長い端部−開口側またはより短い端部−開口側に存在するという仮定が間違っている場合、6つの方程式から得られるzの値は、異なることに留意されたい。それ故に、音源がより長い端部−開口側(
図11Bを参照)かまたはより短い端部−開口側(
図11Aを参照)に存在するかを決定することができる。さらに、分散が6つの方程式から得られるzの6つの値に基づいて計算される場合、音源がより長い端部−開口側かまたはより短い端部−開口側に存在するかを決定することができる。
【0061】
たとえ直接波到着時間t
0ならびに回折波到着時間t
1およびt
2が、送信機からの不連続波(例えば、パルス波)の送信のタイミングについての情報が利用できないという事実のために導き出すことができなくても、音源の3D座標(x,y,z)は、これらの6つの方程式から導き出すことができることに留意されたい。この場合には、変数の数は、なお方程式の数(すなわち、6)未満である4まで増加するだけである。
【0062】
送信機の3D座標を計算する上述の方法によると、受信機100および反射体200の2つの組10L、10Rが、使用されるが、しかしながら、組の数は、任意である。例えば、精度を高めるために3つよりも多い組を使用することができる。さらに、追加の情報が、送信機の3D座標を識別するために必要とされるけれども、受信機100および反射体200の1つの組を使用することもできる。追加の情報は、任意の方法で得られてもよい。例えば、受信機100および反射体200の組ならびに他の測定デバイスの組合せを使用することもできる。さらに、追加の情報は、2つの垂直方向に反射体200に関して非対称に受信機100を置くことによって得られてもよい。この場合には、2つのチャンネルの測定は、受信機100および反射体200の1つの組によって実施できる。例えば、
図4で示される例では、受信機100は、長方形の反射体200の短い両縁部202、204に関してかつ長い両縁部206、208に関して非対称の位置に設けられてもよい。この場合には、受信機100の中心からそれぞれのエッジ202、204、206、208までの距離は、互いに異なってもよい。この配置によると、全部で4つの変曲点を得ることができるので、6つの方程式(方程式7番を参照)の代わりに全部で5つの方程式が、得られてもよい。それ故に、3つの未知の変数x、yおよびz(すなわち、音源の3D座標)は、これらの5つの方程式から導き出すことができる。
【0063】
次に、装置10を使用することができるシステムの例が、述べられる。
【0064】
図13は、システム20の実施形態を説明する略図である。システム20は、装置10および1つまたは複数の送信機400を含んでもよい。
【0065】
前に述べたように、各送信機400は、パルス波などの不連続波を送信するように構成されてもよい。例えば、各送信機400は、超音波パルスを送信してもよい。各送信機400は、規則的な間隔で不連続波を送信してもよい。各送信機400は、任意の移動体に設けられてもよい。移動体は、ロボット、人間(ユーザ)、ユーザによって所有されるデバイスなどを含んでもよい。例えば、デバイスは、ユーザが眼鏡のように身に着ける表示デバイスであってもよい。
【0066】
各送信機400は、装置10からの要求に応答してパルス波などの不連続波を送信するように構成されてもよい。そのような要求は、装置10のコマンド送信機312によって送信されてもよい(
図8を参照)。その要求は、装置10以外の任意のデバイスによって送信されてもよい。その要求は、規則的な間隔でまたは各送信機400の3D座標が必要になるときに送信されてもよい。その要求は、時分割方式でそれぞれの送信機400に送信されてもよい。
【0067】
装置10は、前に述べたように1つまたは複数の送信機400の3D座標を測定するように構成されてもよい。
【0068】
システム20は、装置10によって測定される1つまたは複数の送信機400の3D座標が任意の機能または効果を実施するために使用されてもよいさまざまな用途のために使用されてもよい。
【0069】
図14は、システム20の実装形態の例を説明する略図である。
【0070】
システム20は、マスタユニット500および表示デバイス600を含んでもよい。
【0071】
マスタユニット500は、装置10を実装してもよい。具体的には、受信機100および反射体200の第1の組10Lは、マスタユニット500のケーシングの左側に取り付けられてもよい。受信機100および反射体200の第2の組10Rは、マスタユニット500のケーシングの右側に取り付けられてもよい。処理デバイス300は、マスタユニット500に組み込まれてもよい。マスタユニット500は、デジタルHPFまたはデジタルBPFを使用してもよい。マスタユニット500は、映像/画像コンテンツを放送するように構成される「ユビキタスコンピューティング(Ubicomp)」端末によって実施されてもよい。
【0072】
ステレオ音声入力デバイスなどの、音声入力機能を備える端末は通常、ステレオ音声を受け入れることに留意されたい。多くのコンデンサマイクロフォンまたはMEMSマイクロフォンはまた、それらは通常小さく、高い共振周波数を有するので、20kHzから60kHzに至るまでの超音波も検出する。それ故に、この20kHz以上の帯域は、音源(すなわち、送信機400)の3D座標を決定するのを実行するために利用されてもよい。この場合には、反射体200を追加するなどの小さな物理的変更が、必要なこともある。
【0073】
マスタユニット500は、それぞれの送信機400の3D座標に従ってそれぞれの表示デバイス600を介して映像効果および/または音響効果を各ユーザに個別に提供するように構成されてもよい。これらのプロセスは、処理デバイス300またはマスタユニット500での他の処理デバイスによって実行されてもよい。
【0074】
表示デバイス600は、無線通信経路を介してマスタユニット500に結合されてもよい。表示デバイス600は、ユーザが身に着けることができるゴーグルの形態であってもよい。表示デバイス600は、ユーザ(それを身に着ける)に映像効果および/または音響効果を提供してもよい。表示デバイス600は、送信機400として超音波マーカを含んでもよい。表示デバイス600は、それぞれのユーザに従って番号付けされてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、超音波マーカとして具体化される送信機400は、
図15に従って動作するように構成されてもよい。具体的には、コマンドの受信時に、送信機400は、受信コマンドを得ることができる(S1400)。コマンドは、マスタユニット500によって送信されてもよい。例えば、マスタユニット500は、規則的にかつ連続して超音波パルスを送信するように各ユーザの番号付き表示デバイス600に命令して(すなわち、コマンドを発行して)もよい。マスタユニット500は、コマンドを発行するために有線インターフェース、赤外線インターフェースまたは無線インターフェース(例えば、ジグビー(ZigBee)またはブルートゥース(Bluetooth(登録商標)))を使用してもよい。次いで、送信機400は、得られたコマンドがパルス送信コマンドであるかどうかを決定することができる(S1402)。得られたコマンドがパルス送信コマンドである場合、送信機400は、短い超音波パルスを送信することができる(S1404)。次いで、送信機400は、次のコマンドの受信のために待機状態に戻ることができる。
【0076】
超音波マーカとして具体化される送信機400は、
図16で示されるように、バッファーおよび圧電素子を含んでもよい。短い超音波パルスは、
図16で示されるように、圧電素子をデジタル的に駆動することによって放出できる。短い超音波パルスは、
図17で示されるようであってもよい。この例では、2と2分の1の駆動パルスが、超音波パルスの1つの放出のために使用されるが、しかしながら、放出されるパルスの幅は、超音波マーカの伝達関数特性に起因してより大きいこともある。圧電素子は、例えば約3.3Vの電圧で駆動できることに留意されたい。圧電素子の負荷は、原則として容量性であり、間欠的に駆動されるので、それは、少量の電池エネルギーを消費する。
【0077】
図18は、システム20を使用することができる用途の例を説明する略図である。システム20は、
図18で示されるように、ユーザの送信機400の3D座標に従って映像効果および/または音響効果をユーザに個別に提供するように構成されてもよい。
【0078】
ここで、拡張現実のさまざまな用途では、複数のユーザは、同時にシステムを共有する必要があることが認識された。そのような用途のためにもっと現実性を生じさせるためには、対応するユーザの位置の3D座標に従って映像効果および音響効果をユーザに個別に提供することが、重要なこともある。共有される拡張現実は、
図18で示されるように、装置10によって測定されるユーザの位置の3D座標に従って個別に変換されてもよく、そのような変換された現実は、各ユーザに設けられて、個人用拡張現実を生じさせる。その実装形態によると、それらは、極めて小さなサイズのハードウェアおよび低い処理作業負荷で送信機400の3D座標を検出する追加の能力を提供することができるので、複数のユーザは、各ユーザの位置に合わせたサービスとともに拡張現実を共有することができる。その実装形態は、ユビキタスコンピューティングシステム以外の多数の拡張現実システムに応用できることに留意されたい。
【0079】
前述では、速度ポテンシャル応答は、送信機の3D座標を測定するために使用されるが、しかしながら、音圧インパルス応答が、速度ポテンシャル応答の代わりに使用されてもよい。言い換えれば、音圧インパルス応答は、速度ポテンシャル応答の時間導関数(時間微分)と同等であるので、同様の手順が、音圧インパルス応答のために使用できる。速度ポテンシャル応答の時間導関数の場合には、ピーク点は、それらが速度ポテンシャル応答での変曲点と同等であるので、変曲点の代わりに使用されてもよい。
【0080】
さらに、音波を使用する実装形態が、主に述べられるが、しかしながら、電波など他の波を使用することもできる。その実装形態は、受信機100をその非対称の位置に有する反射体200を使用するパッシブ座標検出を提供してもよい。例えば、現在のGPSシステムは、座標計算を実行するために4つの衛星が同時に利用可能であることを必要とする。多くの超高層ビルがある都市部では、位置を決定することは、衛星が真上にない場合には困難である。しかしながら、その実装形態は、それらがGPS測定に応用される場合、4つの衛星を必要としない。位置の決定は、1つまたは2つの衛星で可能である。同様に、ソナーシステムの場合には、2チャンネルアクティブソナーおよび3チャンネルパッシブソナーは、3D座標を決定することができることもある。
【0081】
前述の詳細な説明は、ブロック図、流れ図、および/または例の使用を介してデバイスおよび/またはプロセスのさまざまな実施形態を説明した。そのようなブロック図、流れ図、および/または例が、1つもしくは複数の機能および/または動作を含有する限りにおいて、そのようなブロック図、流れ図、もしくは例内の各機能および/または動作は、個別にかつ/または集合的に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または事実上それらの任意の組合せによって実施できることが、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、本明細書で述べられる主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、または他の統合されたフォーマットを介して実施されてもよい。しかしながら、本明細書で開示される実施形態のいくつかの態様は、全部または一部において、1つもしくは複数のコンピュータで走る1つもしくは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つもしくは複数のコンピュータシステムで走る1つもしくは複数のプログラムとして)、1つもしくは複数のプロセッサで走る1つもしくは複数のプログラムとして(例えば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサで走る1つもしくは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、または事実上それらの任意の組合せとして、集積回路に同等に実装できること、ならびに回路を設計しかつ/またはソフトウェアおよびもしくはファームウェアのためのコードを書くことは、この開示に照らして十分に当業者の技量の範囲内となることが、当業者には認識されよう。加えて、本明細書で述べられる主題のメカニズムは、いろいろな形態でのプログラム製品として配布でき、本明細書で述べられる主題の例示的な実施形態は、その配布を実際に実行するために使用される特定の種類の信号担持媒体にかかわらず適用されることが、当業者には理解されよう。信号担持媒体の例は、次の、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能型媒体、ならびにデジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波路、有線通信リンク、無線通信リンクなど)などの透過型媒体を含むが限定されない。
【0082】
さまざまな方法およびシステムを使用するある技術例が、本明細書で述べられ、図示されたが、特許請求される主題から逸脱することなく、さまざまな他の変更が、なされてもよく、等価物が、置換されてもよいことは、当業者には理解されるはずである。加えて、多くの変更が、本明細書で述べられる中心的な概念から逸脱することなく、特定の状況を特許請求される主題の教示に適合させるようになされてもよい。従って、特許請求される主題は、開示される特定の例に限定されなくてもよいが、しかしそのような特許請求される主題はまた、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るすべての実装形態を含んでもよいことが意図される。