(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記当接部には、前記係合体の一端側に係合する係合部が設けられ、前記蓋体を取り外すことにより前記通孔から前記係合体の一端側が引き出されることを特徴とする請求項1に記載の管材接続装置。
管継手本体と、請求項1から3のいずれか一項に記載の管材接続装置と、を備え、前記接続体が前記管継手本体の基端に一体式又は脱着式に取着されることを特徴とする管継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の連結装置では、挿入方向後方の第2のストッパ面(14.1)から掛け金要素後端(34)の固定ノーズ(34.1)が外れると、開口(14)から掛け金要素(30)が飛び出して、管(40)の接続が不意に解除される虞がある。より具体的には、弾性の掛け金要素(30)が、固有の弾性の作用により、第1のストッパ面(13.1)と第2のストッパ面(14.1)との間に規制されている。それ故、掛け金要素(30)に挿入方向の外力が加わり、弾性変形して第2のストッパ面(14.1)から固定ノーズ(34.1)が一旦外れると、その弾性変形の反発力(弾性復帰力)により、第1のストッパ面(13.1)から掛け金要素前端(33)が離脱し、開口(14)から掛け金要素(30)が飛び出してしまう不具合が考えられる。特に、掛け金要素(30)の先端(33)は、開口(14)を介して外部に露出されているため、外部から物理的な影響を受け易く、固定ノーズ(34.1)が第2のストッパ面(14.1)から簡単にずれることが考えられる。すなわち、特許文献2の連結装置では、管材の接続が不意に解除される虞があり、管材接続の安定性に乏しいことが問題であった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、抜け止め状態で受け口に挿入された管材を、簡単且つ迅速に受け口から離脱させることを可能とし、尚且つ、管材の接続状態をより安定的に維持することが可能な管材接続装置、管継手及び接続体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の管材接続装置は、周方向の一部が切断され、当該周方向に展開変形可能な環状の帯状体、及び、この帯状体から突出し、接続される管材の外面に係合する係止爪を有する係合体と、
管材が挿入される受け口、この受け口の内方に形成されて係合体を収容可能な収容部、及び、係合体を収容部の内外に挿通するための通孔を形成すべく取り外し可能に形成された蓋体を有する接続体と、を備え、
蓋体には、収容部内で係合体の一端が当接して、係合体の周方向への回動を規制する当接部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の管材接続装置は、請求項1に記載の管材接続装置において、当接部には、係合体の一端側に係合する係合部が設けられ、蓋体を取り外すことにより通孔から係合体の一端側が引き出されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の管材接続装置は、請求項1又は2に記載の管材接続装置において、蓋体は、収容部の周壁に一体形成されており、蓋体の周囲にスリットが穿設されている。
【0011】
請求項4に記載の管継手は、管継手本体と、請求項1から3のいずれか一項に記載の管材接続装置と、を備え、接続体が管継手本体の基端に一体式又は脱着式に取着されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の接続体は、管材を管継手本体に接続するための接続体であって、
管材が挿入される受け口と、
周方向の一部が切断され、当該周方向に展開変形可能な環状の帯状体、及び、該帯状体から突出し、管材の外面に係合する係止爪を有する係合体を収容し、受け口の内方に形成された収容部と、
係合体を収容部の内外に挿通するための通孔を形成すべく取り外し可能に形成された蓋体と、
蓋体に設けられ、収容部内で係合体の一端が当接して、係合体の周方向への回動を規制する当接部と、
管材継手本体に固定するための固定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、接続体の収容部内で管材外面に係合体が係合した接続状態において、収容部が係合体の周方向に閉塞されているため、係合体が収容部の外に飛び出ることが防止される。また、蓋体に当接部が形成されていることにより、収容部内において、切断された係合体の一端が当接部に当接して、係合体の周方向への回動が阻止される。すなわち、本発明の管材接続装置は、係合体を収容部内に確実に保持し、接続状態をより安定的に維持することができる。さらに、当該接続状態を解除する場合には、蓋体を取り外して、係合体を収容部内外に挿通可能な通孔を形成することにより、管材外面に係合する係合体を接続体の通孔から引き出して、管材を受け口から簡単且つ迅速に離脱させることができる。すなわち、本発明の管材接続装置では、接続体と管継手本体とをばらばらに分解することなく、管材を受け口から簡単に離脱させることができる。したがって、本発明は、管材の接続状態をより安定的に維持すると共に、必要に応じて該接続状態を簡単且つ迅速に解除することができる管材接続装置を提供する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、係合部によって係合体の一端側が当接部に連結されるため、蓋体を取り外すのと同時に係合体の一端側を収容部から簡単に引き出すことができる。すなわち、管材の接続状態をより一層簡単且つ迅速に解除することが可能である。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、蓋体周囲のスリットにより、蓋体と接続体周壁との一体的な結合が弱まり、接続体から蓋体を簡単に取り外すことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかの発明を管継手として発揮することができる。すなわち、本発明は、管材の接続状態をより安定的に維持すると共に、必要に応じて該接続状態を簡単且つ迅速に解除することができる管継手を提供する。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、接続体の収容部内で管材外面に係合体が係合した接続状態において、収容部が係合体の周方向に閉塞されているため、係合体が収容部の外に飛び出ることが防止される。また、蓋体に当接部が形成されていることにより、収容部内において、切断された係合体の一端が当接部に当接して、係合体の周方向への回動が阻止される。すなわち、本発明の接続体によれば、係合体を収容部内に確実に保持し、管継手本体への管材の接続状態をより安定的に維持することができる。さらに、当該接続状態を解除する場合には、蓋体を取り外して、係合体を収容部内外に挿通可能な通孔を形成することにより、管材外面に係合する係合体を接続体の通孔から引き出して、管材を受け口から簡単且つ迅速に離脱させることができる。すなわち、本発明の接続体では、接続体を管継手本体から分離することなく、管材を受け口から簡単に離脱させることができる。したがって、本発明は、管材の接続状態をより安定的に維持すると共に、必要に応じて該接続状態を簡単且つ迅速に解除することができる接続体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0020】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施形態の管継手100及び管材接続装置101の分解斜視図である。該管継手100は、その一端100aから順に、管継手本体110、止水部材150、挟圧部材140、係合体130及び接続体120を組み合わせてなる。そして、本実施形態の管材接続装置101は、接続体120及び係合体130を備える。なお、ここで例示する管継手100は、コンクリート製の地中埋設箱の傾斜する側壁Wの貫通孔Hに止水状態で設置されるように構成されている。以下、各部材について、
図1〜5を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に示すとおり、管継手本体110は、(筒)軸方向の両端に開口しており、貫通孔Hを貫通可能に基端(他端100b)から先端(一端100a)に延びる中空円筒形状を有する筒状部111と、当該筒状部111の先端からその半径方向に突出した正面視略円形状のフランジ部112と、該フランジ部112の略中央に形成された開口部113と、を備える。当該筒状部111は、貫通配置される壁材(側壁W)の肉厚よりも長くなるように長手状に設計されている。そして、筒状部111の外周面には、後述する挟圧部材140及び接続体120が螺着可能な外周螺子部111aが形成されている。さらに、接続体120が接続される筒状部111基端の端面には、鋸歯111bが形成されている。また、フランジ部112は、貫通孔Hの内径よりも大きい外径の円板形状に形成されている。
【0022】
図2(a)及び(b)は、本実施形態の接続体120の他端側からの斜視図及び一端側からの斜視図である。
図3(a)、(b)及び(c)は、該接続体120の側面図、A−A断面図及びB−B断面図である。
図2及び
図3に示すとおり、接続体120は、軸方向の両端で開口した短円筒形状を有しており、一端側端面120aが開口し、且つ、他端側端面120bには、管材Pを挿入するための受け口121が形成されている。そして、当該受け口121に隣接するように、係合体130を収容するための収容部122が設けられている。当該収容部122は、受け口121と、接続体120の内周面と、当該内周面に沿って部分的に突出した凸壁部126とによって形成された空間である。
【0023】
そして、収容部122と連通するように、収容部122周囲の周壁には、少なくとも1つの(本実施形態では1つであるが、複数形成してもよい)矩形状の蓋体123が一体的に設けられている。当該蓋体123の周囲の上下左右に複数のスリット123aが穿設されており、該複数のスリット123a間の狭小な肉部によって収容部122の周壁に蓋体123が連結されている。すなわち、該蓋体123は、この肉部を切断することにより接続体120の周壁から取り外し可能に設けられている。この蓋体123が接続体120から除去されることにより、係合体130が通過可能な(軸方向の)幅及び(周方向の)長さを有する通孔128が形成される。換言すると、収容部122に連通する通孔128を取り外し可能な蓋体123が閉塞している。なお、管材Pの接続状態において、蓋体123によって収容部122が閉塞されるため、埃や塵が接続体120内部に侵入することが防止される共に、収容部122内に配置される係合体130が露出しないように保護される。
【0024】
図3(b)及び(c)に示すとおり、接続体120の内周面において、蓋体123の周方向の一方の縁部近傍には、蓋体123の軸方向に沿って当接部124が内方に突出形成されている。当該当接部124は、係合体130の切断部133における切断面133a、133bと係合し、係合体130の周方向への回転を係止(又は阻止)すると共に係合体130の位置決め手段として機能する。
【0025】
また、当該接続体120の内周面の一端側には、管継手本体110の筒状部111の外周螺子部111aに対応した(固定部としての)内周螺子部125が形成されている。すなわち、接続体120は管継手本体110に螺着可能に構成されている。そして、
図3(b)及び(c)に示すとおり、当該接続体120の収容部122内周面には、蓋体123に対向する位置で軸方向に沿って直線状に延びる突条127が突出形成されている。この突条127の突出幅は、収容された係合体130が係止されることがないように、当接部124の突出幅よりも小さい。
【0026】
さらに、接続体120の収容部122下方の周壁外面から4つの外方突出部129が等間隔で放射状に突出している。すなわち、各外方突出部129は、互いに約90度で離隔している。該外方突出部129は、接続体120の一端側端面120aで周方向に延在する基部129aと、該基部129aの略中央から軸方向に沿って(略垂直上方に)略中間位置まで延びる立設部129bとからなる。なお、当該外方突出部129により、接続体120を把持し易くなり、接続体120を管継手本体110に螺着するときに手又は治具を外方突出部129に引っ掛けて接続体120を容易に回転させることができる。
【0027】
図4は、本実施形態の係合体130を示している。
図4(a)及び(b)に示すとおり、係合体130は、可撓性を有する円環状の帯状体131と、当該帯状体131から半径方向内側に突出する複数の係止爪132と、を備える。環状の帯状体131は、長尺方向において1箇所の切断部133(係合体端部)で切断されており、(係合体の一端又は他端で)第1切断面133a及び第2切断面133bを形成する。当該係合体130は、その可撓性により、第1切断面133a及び第2切断面133bが互いに離れるように円環形状から略紐形状へと展開(引き伸ばし)変形可能である。
【0028】
また、係合体130の帯状体131が管材Pの外周に巻き付いたときに、係止爪132が管材Pの外周面の蛇腹に嵌合するように構成されている。そして、係合体130が管材Pの外周面に係合する際、管材Pの差込方向への移動は許容されるが、管材Pの離脱方向への移動が係止されるように、係止爪132の先端が帯状体131の半径方向内側に屈曲している。つまり、係合体130が接続体120の収容部122に配置された状態で受け口121に管材Pを挿入すると、管材Pの蛇腹と当接して係合爪132が半径方向外側に撓み変形するため、管材Pを受け口121に押し込むことが可能であるが、反対方向に管材Pを引っ張っても、係止爪132が撓み変形せずに管材Pを係止するため、管材Pを受け口121から引き抜くことができない。
【0029】
挟圧部材140は、
図1に示すとおり、軸方向両端で開口した正面視円形の短筒状に形成されており、その内周面に雌螺子部141が形成されている。当該雌螺子部141は筒状部111の外周螺子部111aに対応しており、挟圧部材140を筒状部111に他端側から螺着させることができる。また、挟圧部材140の一端側の端面には、弾性体(本実施形態ではゴム)である止水パッキン142が側壁外面に密接可能に取着されている。さらに、挟圧部材140の外周には、周方向に直交するように突出したリブ143が形成されている。挟圧部材140を回転させるときに、当該リブ143に手又は治具が引っ掛かるため、挟圧部材140による螺着及び挟圧を迅速に行うことができる。
【0030】
図5は、本実施形態の止水部材150を示している。
図5(a)〜(c)に示すとおり、止水部材150は、平面視円環形状及び側面視略T字形状を有しており、弾性体(本実施形態ではゴム)から形成されている。止水部材150は、筒状の基部151と、当該基部151の一端から外方に延出していると共に、その延出幅が一端(フランジ部112側)から他端(側壁W側)にかけて増加する裾広がり形状の当接片152と、基部151及び当接片152の間に形成された環状凹部153と、を備える。
【0031】
基部151は、フランジ部112と当接すべく、その一端側の端面に形成された平坦な取着面155と、筒状部111の一端部近傍の外周面と密着するように形成された内周面156と、を有する。つまり、基部151の内周面156が筒状部111の一端部近傍の外周面と密着し、且つ、取着面155がフランジ部112と密着することにより、止水部材150が管継手本体110に密着状態で取着される。すなわち、この取着面155は、フランジ部112によって側壁Wに対して押圧されるため、押圧面として機能する。
【0032】
そして、断面視略三角形状の当接片152が、当該基部151の取着面155の反対側に延出するように、斜め方向(
図5(b)の下方向及び半径外側方向)に垂れ下がっている。換言すると、基部151と当接片152との間に、裾広がり状の空間である環状凹部153が形成されている。この環状凹部153が当接片152の可動領域を創出し、当接片152が半径方向の内外に弾性変形することが可能となるため、当該当接片152の他端(側壁W側)端面及びその近傍には、側壁内面W2に密接する当接面154が形成される。当該当接面154は、当接片152(又は止水部材150が圧縮変形)が圧縮変形して側壁Wの外面に当接する箇所であり、当接片152の端面から裾面に亘る略円環状の領域である。なお、止水部材150の素材は弾性体が好ましいが、圧縮されて可撓変形可能であればよい。
【0033】
なお、本実施形態の管継手100では、管継手本体110、挟圧部材140本体、接続体120、及び、係合体130は、硬質合成樹脂でそれぞれ一体成形されることにより作製されている。また、止水材150及び止水パッキン142は、弾性体であるゴムから形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、当業者であれば、その材質及び製法を任意に選択可能である。
【0034】
図6は、管継手100がコンクリート製の地中埋設箱の側壁Wに設置された設置構造10を示している。
図6に示すとおり、側壁Wは、地中埋設箱の外壁面を構成する側壁外面W1と、傾斜角α(約2〜3度)で傾斜した側壁内面W2を有し、該側壁Wには貫通孔Hが穿設されている。本実施形態の設置構造10は、側壁Wの貫通孔Hに配置された管継手本体110と、側壁Wの外側で該管継手本体110の基端に螺着され、受け口121に管材Pを接続する接続体120と、該接続体120の収容部122内に配置され、管材Pを脱抜防止に保持する係合体130と、管継手本体110のフランジ部112と協働して側壁Wを挟圧する挟圧部材140と、側壁Wの内側の空間でフランジ部112及び側壁Wによって圧縮変形して側壁内面W2に密着した止水部材150と、を備える。この設置構造10では、側壁内面W2とフランジ部112との間が止水部材150によって止水されていると共に、側壁外面W1と筒状部111との間が止水パッキン142によって止水されている。また、管材Pの外周にはパッキンP1が配置されており、管材P外面と筒状部111内周との間を止水する。つまり、地中埋設箱内に雨水等が侵入しないように、管継手100が地中埋設箱に固定又は設置されている。
【0035】
そして、
図6に示すとおり、(側壁外面W1側の)地中埋設箱の外空間において、当該設置構造10の管継手100に管材Pが受け口121を介して接続されている。この管材Pは、長手方向に複数の凹凸が設けられた一般的な蛇腹管である。本設置構造10では、係合体130が接続体120の収容部122内に配置され、該係合体130の帯状体131が管材Pの外周を包囲すると共に係止爪132が管材Pの蛇腹谷部内に嵌り込んでいる。このとき、係止爪132は、管材Pの挿入方向への移動は許容するが、管材Pの反対側の離脱方向への移動を係止するように、管材Pに係合している。すなわち、管材Pが係合体130に係合して脱抜不能に受け口121に接続されている。
【0036】
図7は、
図6の設置構造10において、接続体120及び係合体130で管材Pを管継手本体110に接続した管材Pの接続状態を示すD−D断面図である。
図7に示すとおり、接続状態では、収容部122は周方向において蓋体123で閉塞されている。そして、係合体130の帯状体131が管材Pの外周を包囲した状態で、係合体130の切断部133の第2切断面133b(係合体のいずれか一端)が、蓋体123の内面側に配置されていると共に蓋体123から突出する当接部124に当接している。すなわち、接続体120の当接部124の位置と係合体130の切断部133の位置とが合致し、当接部124が第1及び第2切断面133a、bの間に配置されるように係合体130の位置合わせがなされている(つまり、
図7のように第2切断面133bが当接部124に当接していなくてもよい。)。この接続状態では、当接部124によって収容部122内での係合体130の周方向への回動(周回)が規制され、尚且つ、収容部122が閉塞されていることによって係合体130が外部に露出することなく収容部122内に確実に保持されている。
【0037】
次に、
図8を参照して、
図6及び
図7の設置構造10を構築すべく、管継手100を側壁Wに設置する方法を説明する。
【0038】
まず、止水部材150を継手本体110の筒状部111及びフランジ部112に密着状態で取着し、且つ、接続体120の収容部122内に受け口121又はその反対側の開口を介して係合体130を収容する。なお、継手本体110及び接続体120に止水部材150及び係合体130を出荷時等に予め組み付けておくことにより、係合体130などの小さい部品が紛失等する虞を軽減させることができる。また、管材Pを受け口121に接続した状態で製品として出荷することも可能である。この場合、製品の流通の点では有利であるが、管継手設置時に部分的に一旦分解する必要がある。
【0039】
そして、切断部133の第1切断面133a又は第2切断面133bが接続体120の当接部124に当接するように係合体130の位置決めを行う。後述するように、当該位置決めによって、管材Pを受け口121から離脱させるときに、係合体130を通孔123から引き抜くことが容易になる。なお、管材接続後に管材Pを回転させて、係合体130の位置決めをしてもよい。
【0040】
次に、
図8(a)に示すとおり、管継手本体110の筒状部111の基端が側壁外面W1から突出するように、筒状部111を貫通孔Hに該側壁内面W2側から挿通する。そして、側壁外面W1側から挟圧部材140を筒状部111の基端に螺着し、フランジ112が止水部材150を介して側壁内面W2に当接すると共に止水パッキン142が側壁外面W1に当接するまで当該挟圧部材140を螺進させる。さらに、筒状部111基端に接続体120を同様に螺着し、凸壁部126が筒状部111他端の端面に当接するまでしっかりと締め付ける。
【0041】
次いで、挟圧部材140を強く締め付けると、
図8(b)に示すとおり、フランジ部112と側壁内面W2との間の止水部材150が弾性圧縮変形する。そして、貫通孔Hの周縁で傾斜する側壁内壁W2に密接すると共に、止水パッキン142が貫通孔Hの周縁で直立する側壁外面W1に密接するように、フランジ部112と挟圧部材140とで側壁Wを挟圧させる。こうして、管継手100の設置構造10が構築される。この設置構造10に対して、受け口121に管材Pを押し込むことにより、係合体130の係止爪132が半径方向外側に撓み変形して管材Pの蛇腹に抜け防止状態で係合し、管材Pが地中埋設箱に対して接続される。
【0042】
続いて、
図9〜
図11を参照して、
図6及び
図7の設置構造10における管材Pの接続状態を解除すべく、管材Pを受け口121から離脱させる方法を説明する。なお、以下に説明する方法は、管継手100を分解しないで管材Pを受け口121から離脱する方法であり、分解に係る手間を大幅に省略することができる。
【0043】
まず、
図9(a)に示すとおり、蓋体123を接続体120の周壁から取り外すべく、スリット123aにマイナスドライバー等の先が尖った工具Dを差し込む。そして、差し込んだ工具Dに力を加え、蓋体123と接続体120周壁とを結合するスリット123a間の肉部を切断する。これにより、
図9(b)のように、蓋体123が接続体120から除去されて、蓋体123のあった位置に通孔128が形成される。
【0044】
次に、
図10(a)に示すとおり、通孔128を介して第2切断面133b側の端部を治具又は手で引っ張って、帯状体131を引き伸ばすように可撓変形させながら、係合体130を通孔128から引き出す。そして、
図10(b)に示すとおり、係合体130の端部をさらに引っ張ると、帯状体131が長手状に展開すると共に係止爪132が管材Pの蛇腹谷部からその半径方向外側に外れながら、帯状体131が収容部122の内周面に沿って周方向に移動していき、係合体130が通孔128から引き出される。完全に係合体130を通孔128から外に引き抜くことにより、係合体130と管材Pとの係合が解除される。
図11は、係合体130を完全に引き抜いた状態を示しており、管材Pを受け口121から簡単に離脱させることができる。
【0045】
他方、再度、管材Pを受け口121に接続する場合には、係合体130を可撓変形させつつ、第1切断面133a側の端部を通孔128から差し込むことで、係合体130を収容部122の所定位置に再配置することができる。そして、管材Pを受け口121に挿入することにより、管材Pが管継手100に接続固定される。なお、この差込作業は、管材Pを受け口121に内包した状態でも可能であり、係合体130を収容部122内に挿入すると、管材Pが係合体130に係合して管継手100に接続固定される。すなわち、この作業は、例えば、管材Pをその長尺方向に移動不能である状況等、管材P及び接続体120を管継手本体110から取り外し不可能な状況において特に重宝される。
【0046】
なお、ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略することも可能である。
【0047】
以下、本発明に係る一実施形態の管継手100(管材接続装置101、接続体120)の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態の管継手100(管材接続装置101、接続体120)によれば、接続体120の収容部122内で管材Pの蛇腹外面に係合体130が係合した接続状態において、収容部122が係合体130の周方向に閉塞されているため、係合体130が収容部122の外に飛び出ることが防止される。また、蓋体123に当接部124が形成されていることにより、収容部122内において、切断された係合体130の切断面133a、133bの少なくとも一方が当接部124に当接して、係合体130の周方向への回動が阻止される。これにより、管材Pが係合体130と共に回転することを防いで接続の安定感が増加する。すなわち、本実施形態の管継手100は、係合体130を収容部122内に確実に保持し、接続状態をより安定的に維持することができる。
【0049】
さらに、当該接続状態を解除する場合には、蓋体123を取り外して、係合体130を収容部122内外に挿通可能な通孔128を形成することにより、管材P外面に係合する係合体130を接続体120の通孔128から引き出して、管材Pを受け口121から簡単且つ迅速に離脱させることができる。つまり、係合体130の切断端部を通孔128から治具又は手で引っ張ることにより、係合体130を可撓変形させつつ、管材Pと係止爪132の係合を解除しながら係合体130を接続体120の収容部122から引き出すことができる。これにより、接続体120と管継手本体110とをばらばらに分解することなく、管材Pを受け口121から簡単に離脱させることができる。さらに、接続状態において、係合体130の切断面133a、bが当接部124に当接可能に係合体130が位置決めされる。この位置決めにより、蓋体123を除去して係合体130を接続体120から引き抜く際、通孔128から係合体130の端部を容易に把持することができ、管材Pの離脱作業をさらに迅速化する。したがって、本実施形態の管継手100は、管材Pの接続状態をより安定的に維持すると共に、必要に応じて該接続状態を簡単且つ迅速に解除することができる。
【0050】
(実施例2)
図12及び
図13を参照して、本発明の別実施形態の管継手200及び管材接続装置201を説明する。実施例2の管継手200は、管継手本体210、接続体220、係合体230、挟圧部材240及び止水部材250、を備える。また、管材接続装置201は、接続体220及び係合体230から構成される。本実施形態の管材接続装置201(接続体220及び係合体230)の一部の構成が実施例1の管材接続装置101と異なっている。他方、実施例2の管継手200の管継手本体210、挟圧部材240及び止水部材250は、実施例1の管継手100の管継手本体110、挟圧部材140及び止水部材150と共通しており、共通する部材の説明を省略する。
【0051】
図12(a)及び(b)は、管材Pを管継手200に接続した状態の断面図及びその部分拡大図である。
図12に示すとおり、実施例2の管材接続装置201の接続体220は、実施例1の接続体120と基本的に同様の構造を有しているが、蓋体223及び当接部224の構造が相違している。すなわち、本実施例の接続体220では、当接部224が当接部124よりも大きく蓋体223から内方に突出している。そして、当接部224には、係合孔(係合部)224aが穿設されている。他方、実施例2の管材接続装置201の係合体230は、実施例1の係合体130と同様に、帯状体231、係止爪232及び切断部233を備える。そして、係合体230の切断部233の一方の切断面233bには、鉤状の係合爪234が突出形成されている。
図12(b)のように、管材Pの接続状態において、係合体230の係合爪234が、係合体一端側で当接部224の係合孔224aに係合(又は掛止)されている。
【0052】
当該管材接続装置201では、
図13(a)に示すとおり、管材Pの接続を解除すべく、蓋体223が接続体220の周壁から取り外されると、蓋体223に連結された係合体230の切断面233bが蓋体223と共に通孔228から外部に延び出される。そして、係合部(係合凸部234)によって係合体230の一端が当接部234に連結されているため、蓋体233ごと係合体230の一端を牽引することにより、係合体230を収容部232から通孔228を介して簡単に引き出すことができる。したがって、本実施形態の管材接続装置201は、管材Pの接続状態をより一層簡単且つ迅速に解除することが可能である。なお、本実施例のように係合部が係合体の一端に形成されなくても、一端近傍又は「係合体の一端側」に係合部が形成されれば、同様の作用効果を発揮することができる。
【0053】
(変形例)
本発明の管継手、管材接続装置及び接続体の形態は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の管継手は、少なくとも接続体、係合体及び管継手本体を備えていればよく、例えば、実施例1の挟圧部材140及び止水部材150を任意に省略してもよい。また、本発明の管継手又は管継手本体は、本実施形態の形態に限定されず、配管ボックスやコネクタなどの形態とすることができる。すなわち、本発明の技術的思想は管材を接続する用途であれば応用可能であることは言うまでもない。
【0054】
また、本発明の管材接続装置又は接続体の形状は任意に変更可能である。例えば、
図14の管材接続装置301では、接続体320が円筒でなく矩形状の筒体であり、且つ、係合体330が円環ではなく矩形環状の外形を有している。つまり、本変形例の接続体320は、角形の管材を接続可能に構成されており、当該変形例においても、
図14(a)〜(c)に示すとおり、係合体330を引き伸ばすように撓み変形させることで、接続体320の通孔323から引き出し可能である。なお、係合体330の四隅が円弧状に湾曲していることが係合体130を引出及び差込するのに好ましい。すなわち、本発明の係合体は、環状の帯状体であればよく、上記実施形態のような円環状に限定されることなく、当業者が考え得る限り、三角形、多角形などの種々の形状を選択可能である。
【0055】
そして、上記実施形態の管継手100では、管継手本体と接続体とが別体として構成されているが、本発明の管継手の形態は上記実施形態に限定されない。つまり、本発明の管継手では、接続体と管継手本体とを一体形成してもよい。なぜなら、本発明は、通孔を介して係合体を引き抜くことにより、管継手本体と接続体とをばらばらにすることなく、管材の接続状態を解除可能であるため、接続体と管継手本体とを一体化したとしても、管材接続解除における不具合が起こらないからである。このような一体化した形態では、部品点数を減少させ、製造コストをより一層削減することができる。
【0056】
さらに、上記実施形態の管材接続装置101では、蓋体123が接続体120の周壁に一体的に設けられているが、本発明の管材接続装置の形態は上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の蓋体は、接続体に対して脱着式であってもよい。例えば、本発明の蓋体は、管材接続の解除時に取り外し可能であればよく、通孔周縁に嵌着して通孔を選択的に閉塞するものをも含んでいる。
【0057】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。