【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、本出願人等は、支持層、前記支持層中に分散された少なくとも1つの接着剤層、及びUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスを発明した。本発明の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ0.5ミル〜5ミル(12.7μm〜127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングは、厚さ約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0011】
本発明の別の一実施形態によれば、支持層は、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアセタートフィルム、及び金属化ポリエステルフィルムからなる群から選択される。
【0012】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、活性医薬成分及び鉱油を含む。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン又はスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の量で存在し、好ましくは、活性剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約2質量%〜約20質量%の量で存在し、最も好ましくは、活性剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約2質量%〜約15質量%の量で存在する。
【0013】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンブレンド、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、アクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される接着剤を含む。
【0014】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層に存在する接着剤の量は、接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%、好ましくは接着剤層の質量の約38質量%〜約57質量%、最も好ましくは接着剤層の質量の約51質量%〜約55質量%である。
【0015】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、可塑剤、粘着付与剤(tackifier)、粘着促進添加剤(cohesion−promoting additive)、安定化剤、着色剤、染料、UV吸収化合物、抗酸化剤、及び充填剤からなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約15質量%までの量で存在し、好ましくは1種以上の添加剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約10質量%の量で存在する。
【0016】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜
鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、及びクロスポビドンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約15質量%までの量で存在し、好ましくは、粘着促進剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約15質量%の量で存在する。
【0017】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは、1つの接着剤層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、第1接着剤層及び第2接着剤層を含み、第1及び第2接着剤層はそれぞれ同じであるか又は異なる量及び/又は種類の活性医薬成分、接着剤材料、及び/又は鉱油を含有する。本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、第1接着剤層と第2接着剤層の間の膜層又は不織層を含む。
【0018】
本発明の別の一実施形態によれば、支持層、活性医薬成分及び鉱油を含む薬物リザーバ接着剤層、並びにUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスである。本発明の別の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ約0.5〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングの厚さは、約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0019】
本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン又はスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約15質量%の量で存在し、好ましくは、少なくとも1種の活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約5質量%〜約10質量%の量で存在し、最も好ましくは、少なくとも1種の活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約6質量%〜約9質量%の量で存在する。
【0020】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンブレンド、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、アクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される接着剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、接着剤の量は、薬物接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%の範囲であり、好ましくは、接着剤は接着剤層の質量の約35質量%〜約60質量%の量で存在し、最も好ましくは、接着剤は接着剤層の質量の約38質量%〜約55質量%の量で存在する。
【0021】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約40質量%までの量で存在する。
【0022】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、及びクロスポビドンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約8質量%までの量で存在する。
【0023】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、0又は少なくとも1種の
医薬成分、鉱油、及び接着剤を有する、薬物リザーバ接着剤層と剥離ライナの間の皮膚接触接着剤層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、薬物リザーバ接着剤層と皮膚接触接着剤層との間の膜層を含む。
【0024】
本発明の別の一実施形態によれば、a)支持層、b)支持層に隣接する薬物リザーバ接着剤層、c)薬物リザーバ接着剤層に隣接する皮膚接触接着剤層、及びd)UV硬化シリコーンで被覆された、皮膚接触接着剤層に隣接する剥離ライナを含む経皮送達デバイスである。
【0025】
本発明の別の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ約0.5〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングは、厚さ約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0026】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ活性医薬成分及び鉱油を含む。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン及びスコラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の範囲であり、活性医薬成分は、皮膚接触接着剤層の質量の約0質量%〜約5質量%の範囲である。
【0027】
本発明の別の一実施形態によれば、接着剤は、ポリイソブチレン及びポリイソブチレンブレンドからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、接着剤は、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%、好ましくは接着剤層の質量の約35質量%〜約60質量%の範囲である。
【0028】
本発明の別の一実施形態によれば、鉱油は、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層の質量の約20質量%〜約60質量%の範囲である。本発明の別の一実施形態によれば、前記薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、前記薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0029】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、薬物リザーバ接着剤層と皮膚接触接着剤層の間の膜層又は不織層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、膜層又は不織層は、微多孔質膜又は織物材料である。
【0030】
本発明の別の一実施形態によれば、
a)活性医薬成分、鉱油、接着剤、及び溶媒を含む、湿潤接着剤ブレンドを形成するステップ、
b)湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延するステップ、
c)流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥して、乾燥接着剤を形成するステップ、
d)支持フィルムを乾燥接着剤に積層するステップ、及び
e)ステップd)で製造した積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜く(die−cutting)ステップを含む、経皮送達デバイスを製造する方法が見出された。
【0031】
本発明の別の一実施形態において、溶媒は、ヘプタン及び酢酸エチルからなる群から選
択される。本発明の別の一実施形態において、活性医薬成分は、クロニジン及びスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態において、接着剤は、ポリイソブチレン及びポリイソブチレンブレンドからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態において、鉱油と接着剤の比は、約0.3:1.28〜約0.5:0.9である。本発明の別の一実施形態において、湿潤接着剤ブレンドは更に、粘着促進剤を含む。
【0032】
本発明によれば、経皮送達デバイスを製造する方法は、
a)i)第1湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第1湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第1剥離ライナに流延し、
iii)流延第1湿潤接着ブレンドを乾燥して、第1剥離ライナ上に薬物放出接着剤層を形成し、
iv)支持フィルムを薬物放出接着剤層に積層し、
v)第1剥離ライナを薬物放出接着剤層から取り除くことによって、薬物リザーバ接着剤/支持層積層物を形成するステップ、
b)i)第2湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第2湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第2剥離ライナに流延し、
iii)流延第2湿潤接着ブレンドを乾燥して、第2剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を形成することによって、皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物を形成するステップ、並びにc)皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物の上面を薬物リザーバ接着剤/支持層積層物の上面に積層するステップ、並びに
d)ステップ(c)の積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜くステップを含む。
【0033】
本発明の別の一実施形態において、第1湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.65〜約0.6:1.25である。本発明の別の一実施形態において、第2湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.28〜約0.6:0.9である。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤、着色剤、染料、抗酸化剤、UV吸収化合物、及び充填剤からなる群から選択される添加剤を含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織層を薬物接着剤/支持層積層物の接着面に積層するステップを更に含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織フィルムは、鉱油で予め飽和されている。
【0034】
本発明によれば、経皮送達デバイスを製造する方法は、
a)i)第1湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第1湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第1剥離ライナに流延し、
iii)流延第1湿潤接着ブレンドを乾燥して、第1剥離ライナ上に薬物放出接着剤層を形成し、
iv)支持フィルムを薬物放出接着剤層に積層し、
v)第1剥離ライナを薬物放出接着剤層から取り除くことによって、薬物リザーバ接着剤/支持層積層物を形成するステップ、
b)鉱油で予め飽和されていてもよい多孔質膜又は不織フィルムを薬物リザーバ/支持層積層物の接着面に積層するステップ、
c)i)第2湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第2湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第2剥離ライナに流延し、
iii)流延第2湿潤接着ブレンドを乾燥して、第2剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を
形成することによって、皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物を形成するステップ、
d)皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物の上面を薬物リザーバ接着剤/支持層積層物の上面に積層するステップ、並びに
d)ステップ(d)の積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜くステップを含む。
【0035】
本発明の別の一実施形態において、第1湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.65〜約0.6:1.25である。本発明の別の一実施形態において、第2湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.28〜約0.6:0.9である。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤、着色剤、染料、抗酸化剤、UV吸収化合物、及び充填剤からなる群から選択される添加剤を含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織層を薬物接着剤/支持層積層物の接着面に積層するステップを更に含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織フィルムは、鉱油で予め飽和されている。
【0036】
UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナは、完成したパッチを長期間、周囲温度又は高温で保管した後でも、剥離ライナが活性医薬成分を含有する接着剤層から小さい力のみで剥離するのを可能にすることが意外にも見出された。剥離ライナの除去が容易であるため、接着剤層は原形を保ち、損傷を受けないままであり、完全で障害のない経皮薬物送達が可能になる。更に、除去が容易であるため、デバイスのいずれの層の完全性も犠牲にすることなく、又はコストのかかる新しい製造システム又はプロセスを必要とすることなく、多層経皮デバイスを製造する簡易な方法が可能になる。