【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の実施例における各種物性の測定法を下記する。
<高密度ポリエチレンの密度>
密度は、JIS K6922−1:1998に準拠して密度勾配管法で測定する。
【0035】
<高密度ポリエチレン及びエチレン共重合体のMFR>
メルトマスフローレイト(MFR)は、東洋精機製作所社製のセミオートメルトインデクサー2Aを用い、JIS K 7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法により測定する。測定条件は、試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度190℃、試験荷重21.18N、ピストン移動距離(インターバル)25mmとする。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトマスフローレイト(g/10分)の値とする。
<高密度ポリエチレン及びエチレン系共重合体の融点>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんする。充填後、窒素ガス流量20mL/分のもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持する。保持後、−40℃から220℃まで昇温し(1st Heating)、10分間保持する。次いで、220℃から−40℃まで降温し(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/分で行い、基準物質としてアルミナを用いる。本明細書において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値である。
【0036】
<高密度ポリエチレン及びエチレン系共重合体の軟化温度>
JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法に準拠し測定する。
すなわち、樹脂試料を180℃で5分間熱プレスして、厚み1mm、直径10mmの円盤プレート状試験片を作製する。熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、窒素雰囲気下で針入試験モード(針の先端 φ1mm、石英製プローブ)、荷重500mNで、試験片に針を当てて、30℃から昇温速度5℃/分で温度を上げていきTMA曲線を得る。得られたTMA曲線を装置付属の解析ソフトで石英係数設定による補正を行い、TMA曲線の圧子(針)が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針入温度とし、その針入温度をこの樹脂試料の軟化温度とする。なお、TMA曲線から針入温度の規定方法を
図1に示す。
【0037】
<発泡粒子の嵩密度>
発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。まず、発泡粒子をメスシリンダに500cm
3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、発泡粒子が一粒でも500cm
3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した発泡粒子の重量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その重量をW(g)とする。次式により発泡粒子の嵩密度を算出する。
発泡粒子の嵩密度(kg/m
3)=W/500×1000
【0038】
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、50℃で4時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(kg/m
3)を求める。
【0039】
<発泡成形体の加熱寸法変化率>
発泡成形体の加熱寸法変化率をJIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定する。具体的には、発泡成形体から縦150mm×横150mm×高さ20mmの試験片を切り出す。前記試験片の表面に、縦方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入すると共に、横方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入する。しかる後、試験片を80℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間に亘って放置した後に取出し、標準状態(20±2℃、湿度65±5%)の場所にて1時間に亘って放置する。次に、試験片の表面に記入した6本の直線の長さをそれぞれ測定し、6本の直線の長さの相加平均値L1を算出する。下記の式に基づいて変化度Sを算出し、変化度Sの絶対値を加熱寸法変化率(%)とする。
S=100×(L1−50)/50
加熱寸法変化率について、
○(良) :0≦S<1.5;寸法変化率が低く、寸法の安定性が良好であった
×(不可):S≧1.5;寸法の変化が著しく見られた。
と判定する。
【0040】
<発泡成形体の燃焼速度>
燃焼速度は、米国自動車安全基準FMVSS 302に準拠した方法で測定する。
試験片は、350mm×100mm×12mm(厚み)とし、少なくとも350mm×100mmの二面には表皮が存在するものとする。
燃焼速度は、以下の基準で評価する。
○(良) :所定の密度の発泡成形体において、燃焼速度が80mm/分より小さい場合もしくは、所定の密度の発泡成形体において、測定開始点に達する前に消火した場合。なお、この場合の燃焼速度を0mm/分(自己消化性)とする。
×(不可):所定の密度の発泡成形体において、燃焼速度が80mm/分より大きい場合
【0041】
<発泡成形体の落球衝撃値>
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に記載の方法に準拠して落球衝撃強度を測定する。
所定の密度の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から40mm×215mm×20mm(厚さ)の試験片(6面とも表皮なし)を切り出す。
次いで、支点間の間隔が150mmになるように試験片の両端をクランプで固定し、重さ321gの剛球を所定の高さから試験片の中央部に落下させて、試験片の破壊の有無を観察する。
試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で剛球の落下高さ(試験高さ)を変えて試験して、落球衝撃値(cm)、すなわち50%破壊高さを次の計算式により算出する。
H50=Hi+d[Σ(i・ni)/N±0.5]
【0042】
式中の記号は次のことを意味する。
H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし,1つずつ増減する高さ水準(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負の数、破壊しなかったデータを使用するときは正の数を採用
○(良) :落球衝撃値が30cm以上
△(可) :落球衝撃値が25cm以上30cm未満の範囲
×(不可):落球衝撃値が25cm未満
【0043】
<発泡成形体の耐薬品性>
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、23℃、湿度50%の条件で24時間放置する。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表皮から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出す。次に、試験片の上面にガソリン1gを均一に塗布し、23℃、湿度50%の条件で60分放置する。その後、試験片の上面から薬品を拭き取り、試験片の上面を目視観察して下記基準に基づいて判断する。
耐薬品性について、
○(良) :変化なし
△(可) :表面軟化
×(不可):面陥没(収縮)
と判定する。
【0044】
<成型性>
発泡粒子を発泡成形機の300mm×400mm×30mmの金型内に充填し、水蒸気により加熱して発泡粒子を発泡させながら、発泡粒子同士を熱融着させて縦400mm×横300mmの上面を有し、厚み30mmの直方体形状の発泡成形体を得る。
水蒸気による加熱の際、水蒸気の蒸気圧を0.08MPaから0.25MPaまで0.01MPa刻みで変化させて20秒間水蒸気を導入し成型テストを実施する。
以上の成型の結果、得られた発泡成形体の、融着率が90%以上であった最も低い蒸気圧を元に、以下の基準で評価する。また、90%の融着率が得られた最も低い蒸気圧を成型時調圧と称する。
〇(良) :0.15MPa以下の蒸気圧で融着率90%以上の発泡成形体が得られた。低圧での成形が可能であり、生産性が高い。
×(不可):0.15MPaを越える蒸気圧が融着率90%以上の発泡成形体を得るためには必要であり、生産性に難が見られる。
融着率は、以下の手順で測定する。
発泡成形体の上面に、カッターで横方向に沿って長さ300mm、深さ約5mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡成形体を2分割する。そして、2分割された発泡成形体の破断面の発泡粒子について、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率を算出する。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
【0045】
実施例1
密度936kg/m
3、MFR2.6g/10分、融点123℃、軟化温度118℃の高密度ポリエチレン(東ソー社製、品番09S53B)100重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン共重合体、脂肪族飽和モノカルボン酸ビニルとエチレンとの共重合体:日本ポリエチレン製、品番LV115、MFR0.3g/10分、融点108℃、軟化温度80℃、酢酸ビニル由来成分含有量4重量%)67重量部とをタンブラーミキサーに投入し、10分間混合した。
次いで、この樹脂混合物を押出機に供給して温度230〜250℃で溶融混練し、水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)に切断し、高密度ポリエチレン系樹脂粒子(種粒子)を得た。なお、この高密度ポリエチレン系樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。
【0046】
次に、攪拌機付の5リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム40g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを純水2kgに分散させて分散用媒体を得た。分散用媒体に30℃で種粒子600gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。更に、この懸濁液に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.6g溶解させたスチレン300gを30分かけて滴下した。滴下後、30分間保持することで、種粒子中にスチレンを含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
次に、115℃に下げた懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを純水20gに分散させ10分かけて滴下した後、ジクミルパーオキサイドを4g溶解させたスチレン1100gを4時間30分かけて滴下した。滴下後、120℃で1時間保持することで、種粒子中にスチレンを含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で3時間保持して重合(第2重合)させた。この重合の結果、複合樹脂粒子を得ることができた(種粒子とポリスチレンとの重量比30/70)。
【0047】
その後、反応系の温度を60℃にして、この懸濁液中に、難燃剤としてトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製)50gと、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド10gとを投入した。投入後、反応系の温度を130℃に昇温し、2時間攪拌を続けることで難燃剤含有複合樹脂粒子を得た。
次いで、30℃以下まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。複合樹脂粒子2kgと水2リットル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0gとを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。更に、発泡剤としてブタン(n-ブタン:i-ブタン=7:3)15重量部(300g、520mL)をオートクレーブに入れた。この後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けることで発泡性粒子を得ることができた。その後、30℃以下まで冷却して、発泡性粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
【0048】
次いで、得られた発泡性粒子を嵩密度25kg/m
3に予備発泡させることで、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさの成形用金型に入れた。
その後、0.09MPaの水蒸気を20秒間導入して加熱し、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、融着率90%以上の密度25kg/m
3の発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0049】
実施例2
発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を21kg/m
3に変更すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は共に良好であった。
実施例3
発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33kg/m
3に変更すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0050】
実施例4
分散用媒体に30℃で種粒子800gを分散させ、第1の重合において、ジクミルパーオキサイドを0.8g溶解させたスチレン単量体400gを使用し、第2の重合において、ジクミルパーオキサイドを4g溶解させたスチレン単量体800gを使用することと、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33kg/m
3に変更することと、0.10MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
実施例5
高密度ポリエチレンを、密度953kg/m
3、MFR2.2g/10分、融点131℃、軟化温度128℃の高密度ポリエチレン(ブラスケム社製、品番SEG7252)に変更することと、0.13MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0051】
実施例6
高密度ポリエチレンを、密度951kg/m
3、MFR2.5g/10分、融点132℃、軟化温度122℃の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、品番HY350)に変更することと、0.13MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
実施例7
エチレン共重合体をアクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体(日本ポリエチレン社製、品番A1100、MFR0.4g/10分、融点104℃、軟化温度83℃、アクリル酸エチル由来成分含有量10重量%)に、難燃助剤をビスクミルに変更することと、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0052】
実施例8
エチレン共重合体をアクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体(日本ポリエチレン社製、品番A1100)に、高密度ポリエチレンとアクリル含有共重合体との重量比を60:40に、難燃助剤をビスクミルに変更することと、0.09MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
実施例9
エチレン共重合体を日本ポリエチレン社製、品番LV430(MFR1.0g/10分、融点89℃、軟化温度73℃、酢酸ビニル由来成分含有量15重量%)に、難燃助剤をビスクミルに変更することと、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は共に良好であった。
【0053】
実施例10
エチレン共重合体を日本ポリエチレン社製、品番LV211(MFR0.3g/10分、融点103℃、軟化温度84℃、酢酸ビニル由来成分含有量6重量%)に変更すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
実施例11
エチレン共重合体をアクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体(日本ポリエチレン社製、品番A3100、MFR3g/10分、融点104℃、軟化温度75℃、アクリル酸エチル由来成分含有量10重量%)に、高密度ポリエチレンとアクリル含有共重合体との重量比を20:80に、難燃助剤をビスクミルに変更することと、0.10MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0054】
実施例12
エチレン共重合体をアクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体(日本ポリエチレン社製、品番A1100、MFR0.4g/10分、融点104℃、軟化温度83℃、アクリル酸エチル由来成分含有量10重量%)に、高密度ポリエチレンを密度951kg/m
3、MFR2.5g/10分、融点132℃、軟化温度122℃の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、品番HY350)に、難燃助剤をビスクミルに変更すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0055】
比較例1
種粒子として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、品番F744NP)のみからなる粒子を使用し、分散用媒体に30℃で種粒子800gを分散させ、第1の重合において、ジクミルパーオキサイドを0.8g溶解させたスチレン単量体400gを使用し、第2の重合において、ジクミルパーオキサイドを4g溶解させたスチレン単量体800gを使用することと、0.25MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
比較例2
種粒子として、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、品番NF444A、密度912kg/m
3、MFR2g/10分、融点121℃、軟化温度93℃)のみからなる粒子を使用することと、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0056】
比較例3
種粒子として、高密度ポリエチレンのみからなる粒子を使用することと、0.10MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
比較例4
エチレン共重合体をメタクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体(住友化学社製、品番WD201、MFR2g/10分、融点100℃、軟化温度75℃、メタクリル酸メチル由来成分含有量10重量%)に変更することと、0.10MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0057】
比較例5
高密度ポリエチレンとエチレン共重合体との重量比を10:90に変更することと、0.10MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
比較例6
高密度ポリエチレンとエチレン共重合体との重量比を20:80に変更することと、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
比較例7
種粒子として、高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、品番HY350)のみからなる粒子を使用することと、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33kg/m
3に変更すること、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0058】
比較例8
高密度ポリエチレン樹脂を低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、品番NF444A)に変更することと、0.08MPaの水蒸気を用いて加熱すること以外は実施例1と同様にして融着率90%以上の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
上記実施例及び比較例から得られた結果を表1〜3に示す。
表中、A樹脂はエチレン共重合体を、B樹脂は高密度ポリエチレンを、TAIC6Bはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを、BCはビスクミルを、DCPはジクミルパーオキサイドを、AEは自己消火性を、意味する。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
表1及び2から以下のことが分かる。
実施例と比較例1とから、高密度ポリエチレンに代えて、ポリプロピレンのみを使用すると、所望の倍数の発泡成形体を得るために高圧が必要となることが分かる。
実施例と比較例3から、高密度ポリエチレンのみを使用すると、落球衝撃値が低下することが分かる。
実施例と比較例4とから、エチレン共重合体がメタクリル酸アルキルエステルとエチレンとの共重合体であると、加熱寸法変化率が増加することが分かる。
実施例と比較例5から、種粒子中の高密度ポリエチレンが多すぎると、燃焼速度が増加することが分かる。
実施例と比較例6から、種粒子中の高密度ポリエチレンが少なすぎると、加熱寸法変化率が増加することが分かる。
実施例1、5及び6から、種粒子中の高密度ポリエチレンの密度が高いほど、加熱寸法変化率をより少なくできることが分かる。