(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、反射部材とニップ形成部材が別体に形成されているため、定着ベルトの径方向内側に配置される部材の総熱容量が大きくなり、定着ベルトの昇温性能が低下する恐れがある。
【0007】
また、上記のように反射部材とニップ形成部材が別体に形成されているため、ニップ形成部材を介して反射部材の熱を定着ニップに効率的に伝達することは困難であり、定着ニップの温度が低下しやすくなる恐れがある。
【0008】
また、特許文献1に記載されたような定着装置において、定着ベルトの回転時に定着ベルトが変形すると、定着ベルトが他の部材に接触して破損したり、定着ベルトと温度検知部の間隔が変化して定着ベルトの温度を正確に検知できなくなったりする恐れがある。そのため、定着ベルトの変形を抑制する必要がある。
【0009】
本発明は上記事情を考慮し、定着ベルトの径方向内側に配置される部材の総熱容量を小さくすると共に、定着ベルトの変形及び定着ニップの温度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の定着装置は、回転可能に設けられる定着ベルトと、前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成し、回転可能に設けられる加圧部材と、前記定着ベルトの径方向内側に配置され、輻射熱を放射する熱源と、前記熱源から放射される輻射熱を前記定着ベルトの内周面に向かって反射する反射部と、前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する押圧部と、前記定着ベルトの内周面に接触するガイド部と、を一体に有する反射部材と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記のように反射部、押圧部及びガイド部が反射部材に設けられることで、反射部、押圧部及びガイド部がそれぞれ別の部材に設けられる場合と比較して、定着ベルトの径方向内側に配置される部材の総熱容量を小さくすることが可能となる。これに伴って、定着ベルトの昇温性能を向上させることが可能となる。
【0012】
また、上記のようにガイド部が定着ベルトの内周面に接触することで、定着ベルトの回転時における定着ベルトの変形を抑制し、定着ベルトの走行を安定させることが可能となる。
【0013】
また、上記のように反射部と押圧部が反射部材に設けられることで、反射部の温度が上昇した場合に、押圧部を介して反射部の熱を定着ニップに効率的に伝達することが可能となる。これに伴って、定着ニップの温度の低下を抑制することが可能となる。
【0014】
前記反射部は、記録媒体の搬送方向上流側に向かって前記定着ニップ側に傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、記録媒体の搬送方向下流側に向かって前記定着ニップ側に傾斜する第2傾斜部と、を備えていても良い。
【0015】
このような構成を採用することで、熱源のうちで反射部によって覆われる領域を小さくすることが可能となる。これに伴って、反射部に照射される輻射熱の量を少なくし、定着ベルトの内周面に照射される輻射熱の量を多くすることが可能となる。そのため、定着ベルトの昇温性能を向上させることが可能となる。
【0016】
前記反射部は、記録媒体の搬送方向上流側に向かって前記定着ニップ側に傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、記録媒体の搬送方向上流側に向かって前記定着ニップ側に傾斜する第2傾斜部と、を備えていても良い。
【0017】
このような構成を採用することで、第2傾斜部によって熱源からの輻射熱を定着ベルトの定着ニップ進入前の部分に反射することができる。これに伴って、定着ベルトの定着ニップ進入前の部分を効率的に加熱することが可能となり、定着ニップの温度の低下を一層確実に抑制することが可能となる。
【0018】
前記反射部は、記録媒体の搬送方向に沿って設けられ、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部を連結する連結部を更に備えていても良い。
【0019】
このような構成を採用することで、熱源と反射部の距離を離しやすくなるため、反射部材の昇温を抑制することが可能となる。これに伴って、反射部材の長寿命化を図ることができる。
【0020】
前記ガイド部は、前記定着ベルトの回転方向において前記定着ニップの上流側に形成されていても良い。
【0021】
このような構成を採用することで、定着ベルトの回転方向における定着ニップの上流側において定着ベルトの変形を確実に抑制することが可能となる。
【0022】
前記ガイド部は、前記定着ベルトの回転方向において前記定着ニップの下流側に形成されていても良い。
【0023】
このような構成を採用することで、定着ベルトの回転方向における定着ニップの上流側において熱源から定着ベルトの内周面に向かう輻射熱がガイド部によって遮られるのを防止することが可能となる。これに伴って、定着ニップの温度の低下を一層確実に抑制することが可能となる。
【0024】
前記ガイド部は、前記定着ベルトの回転方向において前記定着ニップの上流側と下流側にそれぞれ形成されていても良い。
【0025】
このような構成を採用することで、定着ベルトの変形を確実に抑制し、定着ベルトの走行をより一層安定させることが可能となる。
【0026】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、定着ベルトの径方向内側に配置される部材の総熱容量を小さくすると共に、定着ベルトの変形及び定着ニップの温度の低下を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、
図1を用いて、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
【0030】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には、用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の側方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
【0031】
プリンター本体2の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0032】
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部19が設けられている。搬送経路15の下方には、両面印刷用の反転経路20が形成されている。
【0033】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0034】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0035】
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(
図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
【0036】
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部19から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
【0037】
次に、定着装置18について詳細に説明する。以下、説明の便宜上、
図2における紙面手前側を定着装置18の前側(正面側)とする。
図2の矢印Yは、用紙の搬送方向(本実施形態では、左右方向)を示している。
図3、
図4に付される矢印Frは、定着装置18の前側(正面側)を示している。
図4に付される矢印Iは、前後方向内側を示し、
図4に付される矢印Oは、前後方向外側を示している。
【0038】
図2等に示されるように、定着装置18は、箱型形状の定着フレーム21と、定着フレーム21の上部に収容される定着ベルト22と、定着フレーム21の下部に収容される加圧ローラー23(加圧部材)と、定着ベルト22の径方向内側に配置されるヒーター24(熱源)と、定着ベルト22の径方向内側においてヒーター24の下側に配置される反射部材25と、定着ベルト22の径方向内側において反射部材25に覆われるように配置される支持部材26と、を備えている。
【0039】
定着フレーム21は、板金によって形成されている。
図3等に示されるように、定着フレーム21は、互いに連結される上フレーム部31及び下フレーム部32によって構成されている。
【0040】
定着フレーム21の上フレーム部31は、前後一対の上側両端板33と、上側両端板33の上端部を連結する天板34と、を備えている。
【0041】
図4等に示されるように、上フレーム部31の各上側両端板33の外面には、ヒーター取付板35が固定されている。各上側両端板33の内面には、ベルト取付台36が固定されている。各ベルト取付台36の前後方向内側の端部には、円弧状のベルト支持部37が設けられている。ベルト支持部37の外周には、円環状の蛇行規制リング38が設けられている。
【0042】
上フレーム部31の天板34には、前後一対の第1サーミスター40が固定されている。
図3等に示されるように、各第1サーミスター40は、定着ベルト22の外周面の中央部と後部にそれぞれ接触している。
【0043】
定着フレーム21の下フレーム部32は、前後一対の下側両端板41と、下側両端板41の下部を連結する底板42と、を備えている。
【0044】
下フレーム部32の各下側両端板41の前後方向内側には、揺動フレーム43が設けられている。各揺動フレーム43の右端側には支軸44が設けられており、各支軸44を支点に各揺動フレーム43が揺動するように構成されている。後側の下側両端板41の後側(前後方向外側)には、入力ギア45が各支軸44と同軸上に設けられている。入力ギア45は、モーター等によって構成される駆動源46と接続されている。
【0045】
図2等に示されるように、下フレーム部32には、第2サーミスター47が固定されている。第2サーミスター47は、加圧ローラー23の外周面に接触している。下フレーム部32には、進入ガイド48及び排出ガイド49が設けられている。
【0046】
定着ベルト22は、前後方向に長い略円筒状を成している。定着ベルト22は、可撓性を有しており、周方向には無端状である。定着ベルト22は、例えば、直径30mmである。
【0047】
定着ベルト22は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。定着ベルト22の基材層は、例えば、厚さ30μmのSUSなどの金属によって形成されている。なお、定着ベルト22の基材層は、PI(ポリイミド)などの樹脂によって形成されていても良い。定着ベルト22の弾性層は、例えば、厚さ270μmのシリコンゴムによって形成されている。定着ベルト22の離型層は、例えば、厚さ30μmのPFAチューブによって形成されている。なお、各図において、定着ベルト22の各層(基材層、弾性層、離型層)は、特に区別されずに表示されている。定着ベルト22の内周面には、熱吸収率を高めるための黒色コーティングが施されている。
【0048】
定着ベルト22の前後両端部には、上フレーム部31の各ベルト取付台36に設けられたベルト支持部37(
図4等参照)が挿入されている。これにより、定着ベルト22が上フレーム部31に回転可能に支持されている。定着ベルト22は、前後方向に延びる回転軸A(
図4参照)を中心に回転可能となっている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ベルト22の回転軸方向である。定着ベルト22の前後両端面は、上フレーム部31の各ベルト取付台36に設けられた蛇行規制リング38の前後方向内側に配置されている。これにより、定着ベルト22の蛇行(前後方向外側への移動)が規制されている。
【0049】
加圧ローラー23(
図2等参照)は、前後方向に長い略円柱状を成している。加圧ローラー23は、例えば、直径25mmである。
【0050】
加圧ローラー23は、例えば、円柱状の芯材50と、この芯材50に周設される弾性層51と、この弾性層51を被覆する離型層(図示せず)と、によって構成されている。加圧ローラー23の芯材50は、例えば、直径18mmの鉄等の金属によって形成されている。加圧ローラー23の弾性層51は、例えば、厚さ3.5mmのシリコンゴムによって形成されている。加圧ローラー23の離型層は、例えば、PFAチューブによって形成されている。
【0051】
加圧ローラー23は、定着ベルト22の下側(外側)に配置されている。加圧ローラー23は、定着ベルト22に圧接しており、定着ベルト22と加圧ローラー23の間には定着ニップ52が形成されている。加圧ローラー23は、定着フレーム21の揺動フレーム43の長手方向中央部(本実施形態では左右方向中央部)に回転可能に支持されており、揺動フレーム43が支軸44を中心に揺動することで、加圧ローラー23が昇降し、定着ニップ52の圧力が切り替わるようになっている。
【0052】
図3に示されるように、加圧ローラー23の後端部には、駆動ギア53が固定されている。駆動ギア53は、入力ギア45に噛合しており、入力ギア45を介して駆動源46に接続されている。
【0053】
ヒーター24(
図5等参照)は、例えば、ハロゲンヒーターによって構成されている。ヒーター24は、定着ベルト22の径方向内側の空間Sにおける上側の領域R1(定着ニップ52から離間する側の領域)に配置されている。ヒーター24の前後両端部は、定着フレーム21の上フレーム部31のヒーター取付板35(
図4等参照)に取り付けられている。ヒーター24は、通電によって発熱し、輻射熱を放射するように構成されている。
【0054】
反射部材25(
図5等参照)は、前後方向に長い形状を成している。反射部材25は、ヒーター24の中心Zを通過する鉛直線Lを中心として左右非対称形状を成している。反射部材25は、例えば、光輝アルミニウム等の金属によって形成されている。反射部材25は、一枚の板金を屈曲させることによって形成されている。
【0055】
反射部材25は、反射部56と、反射部56の下側に配置される押圧部57と、反射部56の右下側に配置される上流側ガイド部58(ガイド部)と、反射部56の左側に配置される下流側ガイド部59(ガイド部)と、を一体に備えている。つまり、反射部56、押圧部57及び各ガイド部58、59は、一体に形成されている。
【0056】
反射部56の上面(ヒーター24側の面)は、ヒーター24から放射される輻射熱を定着ベルト22の内周面に向かって反射する反射面(鏡面)である。反射部56は、支持部材26の上側(ヒーター24側)を覆うように配置されている。反射部56は、ヒーター24と支持部材26の間を仕切るように設けられている。
【0057】
反射部56は、第1傾斜部61と、第1傾斜部61よりも左側(用紙の搬送方向下流側)に設けられる第2傾斜部62と、第1傾斜部61と第2傾斜部62を連結する連結部63と、を備えている。
【0058】
第1傾斜部61は、右側(用紙の搬送方向上流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜している。第2傾斜部62は、左側(用紙の搬送方向下流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜している。連結部63は、左右方向(用紙の搬送方向)に沿って設けられている。連結部63は、ヒーター24と間隔を介して対向している。
【0059】
反射部56は、上側(ヒーター24側)に向かって凸となるように屈曲している。換言すると、反射部56は、下側(支持部材26側)に向かって凹となるように屈曲している。そのため、反射部56の下側(支持部材26側)には、第1傾斜部61、第2傾斜部62及び連結部63によって囲まれるようにして凹部66が形成されている。
【0060】
押圧部57の下面は、定着ベルト22を下側(加圧ローラー23側)に向かって押圧している。押圧部57の下面と定着ベルト22の内周面の間には、シート部材90が介装されている。シート部材90は、例えば、PTFE等のフッ素系樹脂によって形成されており、押圧部57よりも摩擦係数が低い。なお、押圧部57の下面と定着ベルト22の内周面の間には、潤滑剤(グリス)が塗布されていても良い。
【0061】
上流側ガイド部58は、定着ベルト22の内周面に接触している。上流側ガイド部58は、定着ベルト22の回転方向(
図5の矢印C参照)において定着ニップ52の上流側に形成されている。上流側ガイド部58は、反射部56の第1傾斜部61と押圧部57を連結している。上流側ガイド部58は、反射部56の第1傾斜部61の右端部(用紙の搬送方向上流側の端部)から定着ベルト22の回転方向における下流側に向かって屈曲している。上流側ガイド部58は、定着ベルト22の回転方向に沿って円弧状に湾曲している。上流側ガイド部58は、押圧部57と連続して設けられている。
【0062】
下流側ガイド部59は、定着ベルト22の内周面に接触している。下流側ガイド部59は、定着ベルト22の回転方向(
図5の矢印C参照)において定着ニップ52の下流側に形成されている。下流側ガイド部59は、反射部56の第2傾斜部62の左端部(用紙の搬送方向下流側の端部)から定着ベルト22の回転方向における下流側に向かって屈曲している。下流側ガイド部59は、定着ベルト22の回転方向に沿って円弧状に湾曲している。下流側ガイド部59は、押圧部57と隙間を介して設けられている。
【0063】
支持部材26は、前後方向に長い形状を成している。支持部材26の上部は、反射部材25の反射部56の下側に形成される凹部66に挿入されている。支持部材26は、上流側ステイ71及び下流側ステイ72を備えている。上流側ステイ71及び下流側ステイ72は、例えば、厚さ2.0mmのSECC(亜鉛メッキ鋼板)等の板金によって形成されている。
【0064】
上流側ステイ71は、上下方向に延びる上流側ベース板73と、上流側ベース板73の下端部から右側(用紙の搬送方向上流側)に向かって屈曲される上流側支持板74と、上流側支持板74の右端部から右上側に向かって屈曲される上流側ガイド板75と、を備えている。
【0065】
下流側ステイ72は、上下方向に延びる下流側ベース板80と、下流側ベース板80の下端部から左側(用紙の搬送方向下流側)に向かって屈曲される下流側支持板81と、下流側支持板81の左端部から左上側に向かって屈曲される下流側ガイド板82と、を備えている。下流側ベース板80は、ビス84によって上流側ベース板73に固定されている。
【0066】
支持部材26の下面(詳しくは、上流側ステイ71の上流側支持板74の下面及び下流側ステイ72の下流側支持板81の下面)は、反射部材25の押圧部57の上面に当接している。これにより、押圧部57が支持部材26に支持されると共に、押圧部57の反り(定着荷重による変形)が抑制されている。
【0067】
上記のように構成された定着装置18において、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動源46を駆動させる。このように駆動源46が駆動すると、駆動源46の回転が入力ギア45及び駆動ギア53を介して加圧ローラー23に伝達され、
図2に矢印Bで示されるように、加圧ローラー23が回転する。このように加圧ローラー23が回転すると、
図2に矢印Cで示されるように、加圧ローラー23に圧接する定着ベルト22が加圧ローラー23とは逆方向に従動回転する。このように定着ベルト22が回転すると、定着ベルト22が反射部材25の押圧部57及びシート部材90に対して摺動する。
【0068】
また、用紙にトナー像を定着させる際には、ヒーター24を稼働(点灯)させる。このようにヒーター24が稼働すると、ヒーター24から輻射熱が放射される。ヒーター24から放射された輻射熱の一部は、
図2に矢印Dで示されるように、定着ベルト22の内周面に直接照射され、吸収される。また、ヒーター24から放射された輻射熱の別の一部は、
図2に矢印Eで示されるように、反射部材25の反射部56によって定着ベルト22の内周面に向かって反射され、定着ベルト22の内周面に吸収される。以上のような作用により、ヒーター24によって定着ベルト22が加熱される。この状態で、用紙が定着ニップ52を通過すると、トナー像が加熱されて溶融し、用紙にトナー像が定着される。
【0069】
本実施形態では上記のように、反射部56、押圧部57及び各ガイド部58、59が反射部材25に設けられている。そのため、反射部56、押圧部57及び各ガイド部58、59がそれぞれ別の部材に設けられる場合と比較して、定着ベルト22の径方向内側に配置される部材の総熱容量を小さくすることが可能となる。これに伴って、定着ベルト22の昇温性能を向上させることが可能となる。
【0070】
また、上記のように各ガイド部58、59が定着ベルト22の内周面に接触しているため、定着ベルト22の回転時における定着ベルト22の変形を抑制し、定着ベルト22の走行を安定させることが可能となる。本実施形態では特に、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側と下流側にそれぞれガイド部58、59が形成されているため、定着ベルト22の変形を確実に抑制し、定着ベルト22の走行をより一層安定させることが可能となる。
【0071】
また、上記のように反射部56と押圧部57が反射部材25に設けられているため、反射部56の温度が上昇した場合に、押圧部57を介して反射部56の熱を定着ニップ52に効率的に伝達することが可能となる。これに伴って、定着ニップ52の温度の低下を抑制することが可能となる。また、各ガイド部58、59を介して定着ニップ52と対応する部分以外の部分においても反射部56の熱を定着ベルト22に伝達することが可能となり、定着ベルト22の昇温性能を向上させることが可能となる。
【0072】
また、反射部56は、右側(用紙の搬送方向上流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜する第1傾斜部61と、第1傾斜部61よりも左側(用紙の搬送方向下流側)に設けられ、左側(用紙の搬送方向下流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜する第2傾斜部62と、を備えている。このような構成を採用することで、ヒーター24のうちで反射部56によって覆われる領域を小さくすることが可能となる。これに伴って、反射部56に照射される輻射熱の量を少なくし、定着ベルト22の内周面に照射される輻射熱の量を多くすることが可能となる。そのため、定着ベルト22の昇温性能を向上させることが可能となる。
【0073】
また、反射部56は、左右方向(用紙の搬送方向)に沿って設けられ、第1傾斜部61と第2傾斜部62を連結する連結部63を更に備えている。このような構成を採用することで、ヒーター24と反射部56の距離を離しやすくなるため、反射部材25の昇温を抑制することが可能となる。これに伴って、反射部材25の長寿命化を図ることができる。
【0074】
また、上流側ガイド部58は、定着ベルト22の回転方向において定着ニップ52の上流側に形成されている。このような構成を採用することで、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側において定着ベルト22の変形を確実に抑制することが可能となる。
【0075】
また、下流側ガイド部59は、定着ベルト22の回転方向において定着ニップ52の下流側に形成されている。このような構成を採用することで、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側においてヒーター24から定着ベルト22の内周面に向かう輻射熱が下流側ガイド部59によって遮られるのを防止することが可能となる。これに伴って、定着ニップ52の温度の低下を一層確実に抑制することが可能となる。
【0076】
また、
図5等に示されるように、定着ベルト22の径方向内側の空間Sにおける上側の領域R1(定着ニップ52から離間する側の領域)にヒーター24が配置されている。このような構成を採用することで、上記空間Sにおける右側の領域R2(用紙の搬送方向上流側の領域)や左側の領域R3(用紙の搬送方向下流側の領域)にヒーター24が配置される場合と比較して、定着ニップ52の周辺に配置される支持部材26とヒーター24との距離を離すことが可能となる。これに伴って、支持部材26の昇温を抑制することが可能となる。
【0077】
また、反射部材25の反射部56は、ヒーター24と支持部材26の間を仕切るように設けられている。このような構成を採用することで、ヒーター24からの輻射熱が支持部材26に直接照射されるのを防止することが可能となる。これに伴って、支持部材26に奪われる熱を少なくすることができ、定着ベルト22の昇温性能を向上させ、定着装置18の省エネルギー性を高めることが可能となる。
【0078】
本実施形態では、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側と下流側にそれぞれガイド部58、59が形成される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、
図6、
図7に示されるように、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側のみにガイド部が形成されていても良い。また、特に図示はしないが、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の下流側のみにガイド部が形成されていても良い。
【0079】
本実施形態では、下流側ガイド部59が反射部56の第2傾斜部62の左端部(用紙の搬送方向下流側の端部)から定着ベルト22の回転方向における下流側に向かって屈曲する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、下流側ガイド部59が反射部56の第2傾斜部62の左端部から定着ベルト22の回転方向における上流側に向かって屈曲しても良い。
【0080】
本実施形態では、反射部56の第2傾斜部62が左側(用紙の搬送方向下流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、
図7に示されるように、反射部56の第2傾斜部62が右側(用紙の搬送方向上流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜していても良い。このような構成を採用することで、
図7に矢印Fで示されるように、第2傾斜部62によってヒーター24からの輻射熱を定着ベルト22の右側部分(定着ニップ52進入前の部分)に反射させることができる。これに伴って、定着ベルト22の右側部分を効率的に加熱することが可能となり、定着ニップ52の温度の低下を一層確実に抑制することが可能となる。
【0081】
また、上記のように反射部56の第2傾斜部62が右側(用紙の搬送方向上流側)に向かって下側(定着ニップ52側)に傾斜する場合、
図7に示されるように、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側のみにガイド部58が形成されていても良いし、
図8に示されるように、定着ベルト22の回転方向における定着ニップ52の上流側と下流側にそれぞれガイド部58、59が形成されていても良い。なお、
図8では、下流側ガイド部59が反射部56の第2傾斜部62の左端部から定着ベルト22の回転方向における上流側に向かって屈曲されているが、他の異なる実施形態では、下流側ガイド部59が反射部56の第2傾斜部62の左端部から定着ベルト22の回転方向における下流側に向かって屈曲されていても良い。
【0082】
本実施形態では、定着ベルト22の径方向内側に1個のヒーター24を配置する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルト22の径方向内側にヒーター24を複数配置しても良い。
【0083】
本実施形態では、ハロゲンヒーターをヒーター24として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、セラミックヒーターなどをヒーター24として用いても良い。
【0084】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。