特許第6185880号(P6185880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185880
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法及び配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20170814BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20170814BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20170814BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H05K3/28 B
   H05K3/46 B
   H05K1/18 J
   H05K3/34 502D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-99319(P2014-99319)
(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-216293(P2015-216293A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年12月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109298
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 昇
(72)【発明者】
【氏名】林 貴広
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−222944(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103258807(CN,A)
【文献】 米国特許第6667190(US,B2)
【文献】 特開平11−54896(JP,A)
【文献】 特開平4−287326(JP,A)
【文献】 特開平8−264941(JP,A)
【文献】 特開2013−149948(JP,A)
【文献】 特開2005−347333(JP,A)
【文献】 特開2006−287640(JP,A)
【文献】 特開2003−60334(JP,A)
【文献】 特開昭58−188142(JP,A)
【文献】 特開平7−66552(JP,A)
【文献】 特開平4−299893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層上に接続端子を含む配線層を形成する工程と、
前記配線層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層をパターニングし、前記配線層から離間する絶縁性のダミー部を前記第1の絶縁層上に形成する工程と、
前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に第3の絶縁層を形成する工程と、
前記接続端子の上端側および前記ダミー部の上端側が前記第3の絶縁層から突出し、前記接続端子の下端側および前記ダミー部の下端側が前記第3の絶縁層に埋設した状態で前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部を前記第3の絶縁層に形成する工程と
を同順に有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第3の絶縁層は、感光性を有し、
前記開口部を形成する工程では、前記第3の絶縁層を露光現像することにより前記開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
第1の絶縁層上に接続端子を含む配線層を形成する工程と、
前記配線層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層をパターニングし、前記配線層から離間する絶縁性のダミー部を前記第1の絶縁層上に形成する工程と、
前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に第3の絶縁層を形成する工程と、
前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部を前記第3の絶縁層に形成する工程と
を同順に有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項4】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に形成された接続端子を含む配線層と、
前記第1の絶縁層上に形成され、前記配線層から離間した絶縁性のダミー部と、
前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に積層され、前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部が形成された第3の絶縁層と
を備え、
前記第3の絶縁層から前記接続端子の上端側および前記ダミー部の上端側が突出し、前記第3の絶縁層に前記接続端子の下端側および前記ダミー部の下端側が埋設されていることを特徴とする配線基板。
【請求項5】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に形成された接続端子を含む配線層と、
前記第1の絶縁層上に形成され、前記配線層から離間した絶縁性のダミー部と、
前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に積層され、前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部が形成された第3の絶縁層と
を備えることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子を含む配線層が形成された配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板は、絶縁層及び導体層を積層した積層体上に接続端子を含む配線層を形成した後、この配線層及び積層体上にソルダーレジスト層を形成し、その後、ソルダーレジスト層に接続端子を露出させるための開口部を形成している。
【0003】
しかしながら、配線層を構成する配線や接続端子の配置密度に違いがあると、形成されるソルダーレジスト層の厚みに差が生じる。具体的には、配線や接続端子の配置密度が高い領域では、ソルダーレジスト層が厚くなり、配線や接続端子の配置密度が低い領域では、ソルダーレジスト層が薄くなる。このため、ソルダーレジスト層に形成される開口部から接続端子が露出しない不具合や、逆に、露出し過ぎて、接続端子の側面がソルダーレジスト層から完全に露出する不具合が生じている。
【0004】
なお、ソルダーレジスト層に開口部を形成するものではないが、従来の配線基板には、ダミー配線を形成して、ソルダーレジスト層の表面の凹凸を低減するよう提案したものがある(例えば、特許文献1)。また、ソルダーレジスト層上に、接続端子に対応する位置に開口を有するマスクを形成した後、ウェットブラストによりソルダーレジスト層を除去して接続端子の上面を露出させるよう提案したものがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3310617号
【特許文献2】特許第5138277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、ダミー配線を形成することが提案されているものの、ダミー配線が導電性膜で形成されている。このため、ダミー配線により、配線基板のインダクタンスが変化してしまう虞がある。なお、特許文献1では、ダミー配線を絶縁性膜で形成してもよい旨が記載されているが、具体的な製造方法については提示していない。
【0007】
特許文献2では、ウェットブラストによりソルダーレジスト層を除去することが開示されているが、ウェットブラストによりソルダーレジスト層を除去する場合、ソルダーレジスト層の表面全体が均一に除去される。このため、ウェットブラストでは、ソルダーレジスト層の厚みの差は解消されない。
【0008】
また、特許文献2では、接続端子の表面しかソルダーレジスト層から露出しないため、接続端子に十分な半田がコートされない虞がある。このため、接続端子にコートした半田をリフローして電子部品等の他の部品と接続する際に接触不良を生じ、電子部品等の他の部品との接続信頼性が低下してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に対処してなされたものであり、電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上した配線基板の製造方法及び配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、第1の絶縁層上に接続端子を含む配線層を形成する工程と、前記配線層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層をパターニングし、前記配線層から離間する絶縁性のダミー部を前記第1の絶縁層上に形成する工程と、前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に第3の絶縁層を形成する工程と、前記接続端子の上端側および前記ダミー部の上端側が前記第3の絶縁層から突出し、前記接続端子の下端側および前記ダミー部の下端側が前記第3の絶縁層に埋設した状態で前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部を前記第3の絶縁層に形成する工程とを同順に有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、配線層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成した後、該第2の絶縁層をパターニングして、配線層から離間する絶縁性のダミー部を第1の絶縁層上に形成している。さらに、接続端子の上端側が第3の絶縁層から突出し、接続端子の下端側が第3の絶縁層に埋設した状態で接続端子を露出させる開口部を第3の絶縁層に形成している。
【0012】
このため、配線や接続端子の配置密度の違いにより第1の絶縁層上に形成される第3の絶縁層の厚みに差が生じることを低減することができる。この結果、第3の絶縁層に形成した開口部から露出する接続端子の突出量にばらつきが生じるのを低減することができる。また、接続端子の上端側が第3の絶縁層から突出しているので電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上する。また、接続端子の下端側が第3の絶縁層に埋設しているので、接続端子が剥がれたり、倒れたりする不具合が抑制される。さらに、ダミー部を絶縁性材料で形成しているので、ダミー部により配線基板のインダクタンスが変化する虞を低減することができる。
【0013】
本発明の一態様においては、前記第3の絶縁層は、感光性を有し、前記開口部を形成する工程では、前記第3の絶縁層を露光現像することにより前記開口部を形成することを特徴とする。本発明の一態様によれば、前記第3の絶縁層は、感光性を有するので、第3の絶縁層を露光現像するだけで接続端子の突出量と開口部の深さを制御することができる。
【0014】
本発明の他の態様においては、第1の絶縁層上に接続端子を含む配線層を形成する工程と、前記配線層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層をパターニングし、前記配線層から離間する絶縁性のダミー部を前記第1の絶縁層上に形成する工程と、前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に第3の絶縁層を形成する工程と、前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部を前記第3の絶縁層に形成する工程とを同順に有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様においては、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成された接続端子を含む配線層と、前記第1の絶縁層上に形成され、前記配線層から離間した絶縁性のダミー部と、前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に積層され、前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部が形成された第3の絶縁層とを備え、前記第3の絶縁層から前記接続端子の上端側および前記ダミー部の上端側が突出し、前記第3の絶縁層に前記接続端子の下端側および前記ダミー部の下端側が埋設されていることを特徴とする。本発明の他の態様によれば、第1の絶縁層上に形成され、配線層から離間した絶縁性のダミー部と、配線層、ダミー部及び第1の絶縁層上に積層され、接続端子を露出させる開口部が形成された第3の絶縁層とを備え、第3の絶縁層から接続端子の上端側が突出し、第3の絶縁層に接続端子の下端側が埋設されている。このため、配線や接続端子の配置密度の違いにより第1の絶縁層上に形成される第3の絶縁層の厚みに差が生じることを低減することができる。この結果、第3の絶縁層に形成した開口部から露出する接続端子の突出量にばらつきが生じるのを低減することができる。また、接続端子の上端側が第3の絶縁層から突出しているので電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上する。また、接続端子の下端側が第3の絶縁層に埋設しているので、接続端子が剥がれたり、倒れたりする不具合が抑制される。さらに、ダミー部を絶縁性材料で形成しているので、ダミー部により配線基板のインダクタンスが変化する虞を低減することができる。
【0016】
本発明の他の態様においては、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成された接続端子を含む配線層と、前記第1の絶縁層上に形成され、前記配線層から離間した絶縁性のダミー部と、前記配線層、前記ダミー部及び前記第1の絶縁層上に積層され、前記接続端子および前記ダミー部の両方を露出させる開口部が形成された第3の絶縁層とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上した配線基板の製造方法及び配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る配線基板の平面図(表面側)。
図2】実施形態に係る配線基板の平面図(裏面側)。
図3】実施形態に係る配線基板の拡大断面図。
図4】接続端子付近の拡大断面図。
図5】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図6】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図7】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図8】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図9】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図10】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図11】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図12】実施形態に係る配線基板の製造工程図。
図13】他の実施形態に係る配線基板の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態に係る配線基板はあくまでも一例であり、接続端子を含む配線層を有する配線基板であれば特に限定されるものではない。例えば、以下の実施形態では、コア基板を有する配線基板を例に本発明を説明している。しかしながら、本発明は、コア基板を有しない、いわゆるコアレス配線基板についても適用可能である。なお、以下の説明では、半導体チップ等の電子部品が接続される側を表面側とし、マザーボードやソケット等(以下、マザーボード等と称する)が接続される側を裏面側として説明する。
【0020】
(配線基板)
初めに本実施形態に係る配線基板100の構成について説明する。図1は、配線基板100の表面側の平面図である。図2は、配線基板100の裏面側の平面図である。図3は、図1及び2に示すA−A線に沿って配線基板100を切断した一部を拡大した断面図である。
【0021】
図1図3に示す配線基板100は、コア基板2と、コア基板2上に積層された絶縁層41〜44及び導体層33〜36と、ダミー部61と、導体層35,ダミー部61及び絶縁層43上に形成されたソルダーレジスト層71と、導体層36及び絶縁層44上に形成されたソルダーレジスト層72とを備える。
【0022】
なお、絶縁層43は第1の絶縁層を、導体層35は配線層を、ソルダーレジスト層71は第3の絶縁層を、それぞれ構成する。また、コア基板2及びコア基板2上に積層された絶縁層41〜44及び導体層33〜36は、積層体を構成する。
【0023】
コア基板2は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状の樹脂製基板である。コア基板2には、ドリル等により穿設されたスルーホール21が形成され、その内壁面には導体層31及び導体層32を電気的に接続するスルーホール導体22が形成されている。さらに、スルーホール導体22内は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材23により充填されている。
【0024】
コア基板2の表面側には、絶縁層41,43及び導体層33,35が交互に積層されている。また、コア基板2の裏面側には、絶縁層42,44及び導体層34,36が交互に積層されている。
【0025】
絶縁層41〜44は、熱硬化性(例えば、エポキシ系)の樹脂フィルムで構成されている。絶縁層41〜44には、厚さ方向に貫通するビアホール41A〜44Aがそれぞれ形成されている。ビアホール41A〜44A内には、ビアホール41A〜44Aを埋設するようにしてビア導体51〜54がそれぞれ充填されている。ビア導体51は導体層31及び導体層33を、ビア導体52は導体層32及び導体層34を、ビア導体53は導体層33及び導体層35を、ビア導体54は導体層34及び導体層36をそれぞれ電気的に接続する。
【0026】
導体層31〜34は、ビア導体51〜54と電気的に接触するビアランド31A〜34Aと、ビア導体51〜54と接触していない配線31B〜34Bとをそれぞれ備える。導体層31〜34のビアランド31A〜34A及び配線31B〜34Bは、電気的良導体である銅(Cu)等で構成される。
【0027】
導体層35(配線層)は、ビア導体53と電気的に接触するビアランド35Aと、ビア導体53と接触していない配線35Bと、接続端子35Cとを備える。ビアランド35A、配線35B及び接続端子35Cは、電気的良導体である銅(Cu)等で構成される。
【0028】
ここで、接続端子35Cは、半導体チップ(不図示)をフリップチップ接続するためのパッド(FCパッド)であり半導体素子搭載領域35E内にアレイ(格子)状に設けられている。半導体素子搭載領域35Eは、配線基板100表面の中心部に設けられた矩形状の領域である。
【0029】
導体層36は、ビア導体54と電気的に接触するビアランド36Aと、ビア導体54と接触していない配線36Bと、接続端子36Cとを備える。ビアランド36A、配線35B及び接続端子36Cは、電気的良導体である銅(Cu)等で構成される。接続端子36Cは、配線基板100をマザーボードに接続するためのランド(LGAパッド)であり、配線基板100の裏面にアレイ状に配列されている。
【0030】
なお、接続端子35C,36Cの表面上に金属めっき層を形成してもよい。金属めっき層は、例えば、Ni層、Sn層、Ag層、Pd層、Au層等の金属層から選択される単一又は複数の層で構成される。また、金属めっき層の代わりに、半田をコートしてもよい。さらに、金属めっき層の代わりに、防錆用のOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施してもよい。
【0031】
ダミー部61は、絶縁層43上に絶縁性材料、例えば、感光性樹脂組成物を光硬化させて形成されている。ダミー61は、絶縁層43上の導体層35を構成するビアランド35A、配線35B及び接続端子35Cの配置密度が低い領域に形成されている。ここで、配置密度が低い領域とは、絶縁層43上の他の領域に比べビアランド35A、配線35B及び接続端子35Cの形成密度が低い領域のことである。
【0032】
ソルダーレジスト層71,72は、例えば、液状の感光性樹脂組成物を塗布して形成されている。ソルダーレジスト層71には、厚み方向に窪む開口部71Aが形成され、ソルダーレジスト層72には、厚み方向に貫通する開口部72Aが形成されている。各開口部71A,72Aからは、接続端子35C,36Cがそれぞれ露出している。
【0033】
図4(a)は、絶縁層43上に形成された接続端子35Cの拡大断面図である。図4(a)に示すように、ダミー部61は、絶縁層43上の導体層35の配置密度が低い領域に形成されている。このため、絶縁層43上に形成されるソルダーレジスト層71の厚みT1に差が生じることを抑制できる。この結果、ソルダーレジスト層71に形成した開口部71Aから露出する接続端子35Cの突出量にばらつきが生じるのを低減することができる。
【0034】
また、ダミー部61を導体層35から離間して形成しているので、接続端子35Cの上端U側がソルダーレジスト層71から突出し、接続端子35Cの下端L側がソルダーレジスト層71に埋設した状態で開口部71Aから接続端子35Cを露出させることができる。このため、接続端子35Cの上端U側に十分な半田がコートされる。その結果、電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上する。また、接続端子35Cの下端U側が絶縁層43に埋設しているので、接続端子35Cが剥がれたり、倒れたりする不具合が抑制される。
【0035】
さらに、ダミー部61を絶縁性材料で形成しているので、ダミー部61により配線基板100のインダクタンスが変化する虞を低減することができる。なお、ダミー部61はソルダーレジスト層71と同じ材料を用いて形成されていても良く、ダミー部61の厚みは、導体層35の厚み以下であっても良い。
【0036】
図4(b)は、比較例に係る配線基板の絶縁層43上に形成された接続端子35Cの拡大断面図である。図4(b)に示すように、この比較例では、絶縁層43上の導体層35の配置密度が低い領域Bにダミー部61が形成されていない。このため、絶縁層43上に形成されるソルダーレジスト層71の厚みに差が生じる。具体的には、導体層35の配置密度が低い領域Bでは、ソルダーレジスト層71の厚みT2が薄くなり、導体層35の配置密度が高い領域Cでは、ソルダーレジスト層71の厚みT3が厚くなる。
【0037】
この結果、ソルダーレジスト層71に形成した開口部71Aから露出する接続端子35Cの突出量にばらつきが生じる。具体的には、ソルダーレジスト層71の厚みT2が薄い領域Bでは、接続端子35Cの側面Sがソルダーレジスト層71から完全に露出する不具合が生じる。完全に露出した場合、接続端子35Cの側面Sとソルダーレジスト層71との隙間にアンダーフィル等の充填剤が十分に充填されずボイドが発生する虞がある。また、ソルダーレジスト層71の厚みT3が厚い領域Cでは、ソルダーレジスト層71に形成された開口部71Aから接続端子35Cが露出しない不具合が生じる虞がある。
【0038】
(配線基板の製造方法)
次に、図3及び図5図12を参照して、本実施形態における配線基板100の製造方法について説明する。なお、図5図12に示す断面図は、図3に示す配線基板100の断面図に対応している。
【0039】
板状の樹脂製基板の表面及び裏面に銅箔が貼付された銅張積層板を準備する。また、銅張積層板に対してドリルを用いて孔あけ加工を行い、スルーホール21となる貫通孔を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、スルーホール21形成工程の後、加工部分のスミアを除去するデスミア処理を行うことが望ましい。
【0040】
次に、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでスルーホール21の内壁にスルーホール導体22を形成し、銅張積層板の両面に銅めっき層を形成する。 その後、スルーホール導体22内をエポキシ樹脂等の樹脂穴埋め材23で充填し、さらに、銅張積層板の両面の銅箔上に形成された銅めっき層を所望の形状にエッチングして銅張積層板の表面及び裏面に導体層31,32を構成するビアランド31A,32A及び配線31B,32Bをそれぞれ形成する(図5参照)。
【0041】
なお、導体層31,32を構成するビアランド31A,32A及び配線31B,32Bの表面は、銅表面粗化剤(例えば、メックエッチンボンドCZ:メック社製)により粗化しておくことが好ましい。
【0042】
次に、コア基板2の表面側及び裏面側に熱硬化性の樹脂フィルムを積層し、真空下において加圧加熱することにより硬化させて絶縁層41,42を形成する。これにより、コア基板2の表面及び裏面が絶縁層41,42により覆われる。次に、絶縁層41,42に対して、例えばCOガスレーザやYAGレーザから所定強度のレーザ光を照射し、ビアホール41A,42Aをそれぞれ形成する(図6参照)。
【0043】
その後、ビアホール41A,42Aを含む絶縁層41,42に対して粗化処理を実施する。なお、絶縁層41,42がフィラーを含む場合、粗化処理を実施するとフィラーが遊離して絶縁層41,42上に残存するため適宜水洗を行う。
【0044】
次に、ビアホール41A,42Aに対してデスミア処理及びアウトラインエッチングを施し、ビアホール41A,42A内を洗浄する。なお、上記水洗とデスミア処理との間にエアーブロー処理を行ってもよい。水洗により遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブロー処理によりフィラーの残存をより確実に抑制することができる。
【0045】
次に、絶縁層41,42に対して、電解めっきのためのシード層(第1の導体層)を形成する。なお、シード層は、従来公知の手法、例えば、無電解銅めっき、スパッタ(PVD)や真空蒸着等により形成することができる。
【0046】
その後、絶縁層41,42上のシード層上に所望のパターンの開口を有する感光性樹脂からなるレジスト層を形成し、レジスト層の非形成部分に電解銅めっきを行うことにより、第2の導体層を形成する。その結果、ビア導体51,52がそれぞれ形成されるとともに、導体層33,34を構成するビアランド33A,34A及び配線33B,34Bがそれぞれ形成される。ビア導体51,52、ビアランド33A,34A及び配線33B,34Bをそれぞれ形成した後、レジスト層及びレジスト層の下のシード層を除去する(図7参照)。
【0047】
なお、導体層33,34を構成するビアランド33A,34A及び配線33B,34Bの表面は、銅表面粗化剤(例えば、メックエッチンボンドCZ:メック社製)により粗化しておくことが好ましい。
【0048】
次に、導体層33,34を覆うようにして、絶縁層41,42上に熱硬化性の樹脂フィルムを積層し、真空下において加圧加熱することにより硬化させて絶縁層43,44をそれぞれ形成する。
【0049】
次に、図6を参照して説明した場合と同様にして、絶縁層43,44に対して、例えばCOガスレーザやYAGレーザから所定強度のレーザ光を照射し、ビアホール43A,44Aをそれぞれ形成する(図8参照)。
【0050】
その後、ビアホール43A,44Aを含む絶縁層43,44に対して粗化処理を実施する。なお、絶縁層43,44がフィラーを含む場合、粗化処理を実施するとフィラーが遊離して絶縁層43,44上に残存するため適宜水洗を行う。
【0051】
次に、ビアホール43A,44Aに対してデスミア処理及びアウトラインエッチングを施し、ビアホール43A,44A内を洗浄する。次に、絶縁層43,44に対して、電解めっきのためのシード層(第1の導体層)を形成する。なお、シード層は、従来公知の手法、例えば、無電解銅めっき、スパッタ(PVD)や真空蒸着等により形成することができる。
【0052】
その後、絶縁層43,44上のシード層上に所望のパターンの開口を有する感光性樹脂からなるレジスト層を形成し、レジスト層の非形成部分に電解銅めっきを行うことにより、第2の導体層を形成する。その結果、ビア導体53,54がそれぞれ形成されるとともに、導体層35,36を構成するビアランド35A,36A,配線35B,36B及び接続端子35C,36Cがそれぞれ形成される。ビア導体53,54、ビアランド35A,36A,配線35B,36B及び接続端子35C,36Cをそれぞれ形成した後、レジスト層及びレジスト層の下のシード層を除去する(図9参照)。
【0053】
なお、導体層35,36を構成するビアランド35A,36A及び配線35B,36Bの表面は、銅表面粗化剤(例えば、メックエッチンボンドCZ:メック社製)により粗化しておくことが好ましい。
【0054】
次に、感光性樹脂からなる絶縁性のレジスト材を、導体層35及び絶縁層43上に塗布してレジスト層Rを形成する(図10参照)。ここで、レジスト層Rは、第2の絶縁層を構成する。
【0055】
次に、レジスト層Rを露光及び現像によりパターニングし、導体層35から離間する絶縁性のダミー部61を絶縁層43上に形成する(図11参照)。
【0056】
次に、感光性樹脂からなるソルダーレジスト材を、導体層35,36を含む絶縁層43,44上にそれぞれ塗布し、ソルダーレジスト層71,72を形成する(図12参照)。次に、接続端子35C,36Cを露出させる開口部71A,72Aを、露光及び現像によりソルダーレジスト層71,72に形成し、本実施形態の配線基板100を得る(図3参照)。
【0057】
なお、本実施形態においては、必要に応じて、ソルダーレジスト層71,72の開口部71A,72Aから露出する接続端子35C,36Cを覆うようにして、金属めっき層を形成してもよい。金属めっき層は、例えば、Ni層、Sn層、Ag層、Pd層、Au層等の金属層から選択される単一又は複数の層で構成される。また、金属めっき層の代わりに、半田をコートしてもよい。さらに、金属めっき層の代わりに、防錆用のOSP処理を施してもよい。
【0058】
以上のように本実施形態の配線基板の製造方法及び配線基板では、図4(a)に示すように、絶縁層43上の導体層35の配置密度が低い領域にダミー部61が形成されている。このため、絶縁層43上に形成されるソルダーレジスト層71の厚みT1に差が生じることを抑制できる。この結果、ソルダーレジスト層71に形成した開口部71Aから露出する接続端子35Cの突出量にばらつきが生じるのを低減することができる。
【0059】
また、ダミー部61を導体層35から離間して形成しているので、接続端子35Cの上端U側がソルダーレジスト層71から突出し、接続端子35Cの下端L側がソルダーレジスト層71に埋設した状態で開口部71Aから接続端子35Cを露出させることができる。このため、接続端子35Cの上端U側に十分な半田がコートされる。その結果、電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上する。また、接続端子35Cの下端U側が絶縁層43に埋設しているので、接続端子35Cが剥がれたり、倒れたりする不具合が抑制される。
【0060】
また、ダミー部61を絶縁性材料で形成しているので、ダミー部61により配線基板100のインダクタンスが変化する虞を低減することができる。さらに、ソルダーレジスト層71を液状の感光性樹脂組成物を塗布して形成されている。このため、ソルダーレジスト層71に開口部71Aを形成する工程において、ソルダーレジスト層71を露光現像するだけで開口部71Aの深さ、つまり接続端子35Cの突出量を制御することができる。
【0061】
(他の実施形態)
図13は、他の実施形態に係る配線基板200の拡大断面図である。なお、図13では、図3を参照して説明した実施形態に係る配線基板100と同一の構成には、同一の符号を付している。上記の実施形態では、ソルダーレジスト層71に形成された一つの開口部71A内に一つの接続端子35Cが配置する形態について説明した。しかし、図13に示すように、本発明は、ソルダーレジスト層71に形成された一つの開口部71A内に複数の接続端子35Cが配置される、いわゆるNSMD(ノン・ソルダー・マスク・ディファインド)にも適用することができる。
【0062】
この場合、開口部71A内にダミー部61が露出することになるが、ダミー部61を絶縁性材料で形成しているため、ダミー部61上に半田等がコートされることがない。このため、ダミー部61に半田等が多くコートされ、接続端子35Cに半田等がほとんどコートされない不具合を低減することができる。このため、接続端子35Cに半田等が十分にコートされる。また、ダミー部61にコートされた半田により、接続端子35Cが他の接続端子35Cや配線35Bと短絡(ショート)することもない。この結果、電子部品等の他の部品との接続信頼性が向上する。その他の効果は、図1図12を参照して説明した実施形態に係る配線基板100と同じである。
【0063】
また、上記実施形態では、ダミー部61を絶縁層43上にだけ形成しているが、コア基板2や、他の絶縁層41,42,44上に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2…コア基板
21…スルーホール
22…スルーホール導体
23…樹脂製穴埋め材
31〜36…導体層
31A〜36A…ビアランド
31B〜36B…配線
35C,36C…接続端子
41〜44…絶縁層
41A〜44A…ビアホール
51〜54…ビア導体
61…ダミー部
71,72…ソルダーレジスト層
71A,72A…開口部
100,200…配線基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13