(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の照明制御システムに関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
<照明制御システムの構成例>
本発明の実施形態における照明制御システム100の構成例を
図1に示す。
図1に示した照明制御システム100は、車両上に搭載し、車両上の複数の照明の点灯/消灯等の動作を統一的に制御するために利用することを想定して構成されている。勿論、車両以外の用途に本発明を適用することも可能である。
【0019】
図1に示すように、この照明制御システム100は、照明統括制御部11と、2つの調光回路12A及び12Bと、スイッチング回路12Cと、3つの独立した照明光源13A、13B、及び13Cと、上位ECU(電子制御ユニット)20とを備えている。
図1の例では3つの独立した照明光源13A〜13Cを制御する場合を想定しているが、2つの照明光源だけを制御対象としても良いし、照明光源の数を4以上に増やしても良い。
【0020】
照明光源13A、13B、及び13Cの代表例としては、車体の外側に配置されるヘッドライト、フォグランプ、テールランプ、車幅灯などを想定することができる。また、車室内に配置される複数のルームランプや、計器板の照明灯などを制御対象とすることも考えられる。
【0021】
図1に示した構成においては、照明光源13A及び13Bのそれぞれは光量の調節を必要とする灯具であり、照明光源13Cは点灯/消灯の切り替えだけを必要とする灯具である。したがって、照明光源13Aは調光回路12Aの出力に接続されており、照明光源13Bは調光回路12Bの出力に接続されている。また、照明光源13Cはスイッチング回路12Cの出力に接続されている。
【0022】
スイッチング回路12Cは、例えばトランジスタのようなスイッチング素子、或いはリレーを内蔵し、車両の電源から照明光源13Cへの通電のオンオフを二値的に切り替えることができる。照明光源13Cの通電のオンオフは、照明統括制御部11から入力される制御信号CON_Cの状態により定まる。
【0023】
調光回路12Aは、例えばトランジスタのようなスイッチング素子を内蔵しており、車両の電源から照明光源13Aへの通電のオンオフを制御できる。また、周期的に発生するパルス信号を用いて通電のオンオフを周期的に繰り返し、パルス幅の調節によりオンオフデューティを制御することにより、照明光源13Aに流れる電流の平均値を調整することができる。これにより、照明光源13Aの発光光量の調節が可能になる。調光回路12Aは、照明統括制御部11から入力される制御信号CON_Aに従い、照明光源13Aの通電のオンオフと、2段階以上の段階的な電流調節を行うことができる。
【0024】
同様に、調光回路12Bは、トランジスタのようなスイッチング素子を内蔵しており、車両の電源から照明光源13Bへの通電のオンオフを制御できる。また、周期的に発生するパルス信号を用いて通電のオンオフを周期的に繰り返し、パルス幅の調節によりオンオフデューティを制御することにより、照明光源13Bに流れる電流の平均値を調整することができる。調光回路12Bは、照明統括制御部11から入力される制御信号CON_Bに従い、照明光源13Bの通電のオンオフと、2段階以上の段階的な電流調節を行うことができる。
【0025】
照明統括制御部11は、例えばマイクロコンピュータを主体とする論理回路により構成され、事前に組み込んだプログラムに従って、比較的複雑な制御を実施することができる。
図1に示した照明制御システム100においては、照明統括制御部11は、3つの照明光源13A、13B、及び13Cをそれぞれ個別に制御したり、統一的に制御することができる。また、照明統括制御部11は車両上の所定の通信ネットワークを経由して、上位ECU20との間でデータ通信を行うことができ、様々な情報を取得して状況を識別することができる。
【0026】
例えば、ユーザの手動操作により照明光源13A、13B、及び13Cの各々の点灯/消灯や光量を個別に切り替えるための操作スイッチ(図示せず)の状態は、上位ECU20によって読み取られ、情報として照明統括制御部11に伝達される。照明統括制御部11は入力された情報に基づき、制御信号CON_A、CON_B、又はCON_Cを制御して、照明光源13A、13B、又は13Cの状態を切り替える。
【0027】
また、例えば車両の走行状況に応じてヘッドライトなどの複数の照明光源の状態を自動的に切り替えたり、ドアの開閉状況などに応じてルームランプなどの複数の照明光源の状態を自動的に切り替える必要がある。このような状況においては、照明統括制御部11は上位ECU20から入力される様々な情報に基づき、照明光源13A、13B、及び13Cの2つ又は3つの統一的な制御の切り替えが必要か否かを、事前に定めた条件の比較により識別することができる。そして、状況に応じて複数の照明光源の点灯/消灯などの切り替えを統一的に実施する。
【0028】
<動作の説明>
<動作例の概要>
図1に示した照明制御システム100における動作例の概要を
図4に示す。
図4において、各グラフの横軸は時間を表し、縦軸の光量レベルは、L3が最大(光量が100%)、L0が消灯(光量が0%:オフレベル)、L1及びL2はL0〜L3の中間的な光量の比率を表している。また、
図4の照明A、照明B、及び照明Cは、それぞれ
図1中の照明光源13A、13B、及び13Cの状態に相当する。
【0029】
図4に示すように、例えば照明Cをオフ(OFF:L0)からオン(ON:L3)に切り替える際には、実際の光量レベルがL0からL3に遷移するまでにある程度の時間を要する。すなわち、各光源の固有の発光/消灯の切り替わり特性や、各光源の通電状態を切り替える回路の特性などの影響を受けて、光量レベルの遷移に要する時間が定まる。
【0030】
実際の照明制御システム100においては、制御対象の複数の照明光源の光量遷移特性(立ち上がり/立ち下がりの傾き)が共通である場合もあるし、照明光源毎に光量遷移特性が異なる場合もあるし、各照明光源の光量遷移特性が状況に応じて切り替わる場合もある。
【0031】
図4に示す例では、照明Aは光量遷移特性の傾きが比較的大きく(フェード速め)、照明B及び照明Cは光量遷移特性の傾きが標準的(フェード標準)である場合を想定している。例えば、
図4において時刻t01で照明A及び照明Bの光量遷移を同時に開始しているが光量レベルがL0からL3に到達するまでの所要時間は照明Aが短く、照明Bが長いので、照明Aの光量遷移が先に終了する。また、
図4において時刻t01で照明B及び照明Cの光量遷移を同時に開始しているが、光量レベルがL0からL3に到達するまでの所要時間はほぼ同じであるため、照明B及び照明Cの光量遷移はほぼ同時に終了する。
【0032】
また、
図4に示す例では、照明Cはオンオフ制御だけしかできないので、照明Cの光量レベルはオフレベル(L0)とオンレベル(L3)のいずれかのみに切り替えることができる。また、照明A及び照明Bについては、オンオフ制御以外に、調光(1)(L3。図中では、「(1)」を○の中に1で記載)及び調光(2)(L1。図中では、「(2)」を○の中に2で記載)の選択的な切り替えが可能である。
【0033】
図4に示す例では、時刻t01〜t04の区間、及び時刻t05〜t06の区間で「個別操作」を行い、時刻t04〜t05の区間、及び時刻t06〜t07の区間で「統一制御」を行っている。「個別操作」は、例えばユーザのスイッチ操作等に基づき、特定の照明の点灯/消灯や調光状態を切り替えることを意味している。また「統一制御」は、照明統括制御部11の制御により、複数の照明を同時に操作する場合に統一的な制御を行うことを意味している。
【0034】
図4の動作例では、「個別操作」により、時刻t1で、照明AのL0からL3への遷移開始と、照明BのL0からL3への遷移開始と、照明CのL0(オフ)からL3(オン)への遷移開始とを行っている。また、時刻t2で、照明AのL3からL1への遷移開始と、照明BのL3からL1への遷移開始と、照明CのL3からL0への遷移開始とを行っている。更に、時刻t03で照明AのL1からL0への遷移開始を行い、時刻t5で、照明AのL3からL1への遷移開始と、照明BのL3からL1への遷移開始を行っている。
【0035】
また、「統一制御」に関しては、時刻t4で、照明AのL0からL3への遷移開始と、照明BのL1からL3への遷移開始と、照明CのL0からL3への遷移開始とを行っている。また、時刻t06〜t07の「統一制御」区間では、各照明の遷移開始タイミングがそれぞれ異なっているが、照明A、照明B、及び照明Cの光量の遷移が終了するのは共通の時刻t07である。このような「統一制御」を照明統括制御部11が実行する。
【0036】
<特徴的な処理手順の説明>
図1に示した照明制御システム100の制御に適用可能な照明統一制御(1)の処理手順を
図2に示す。また、
図2に示した処理手順を実行する場合の詳細な動作例を
図3に示す。
【0037】
例えば、
図1中の照明統括制御部11のマイクロコンピュータが
図2に示す「照明統一制御」の処理手順を実行することにより、
図4に示した「統一制御」や、
図3に示したような動作が可能になる。
【0038】
図2に示した処理手順においては、制御対象の3つの照明A、照明B、及び照明C(13A、13B、13Cに相当)が、例えば
図3に示すような特性を有する場合を想定している。つまり、制御対象の3つの照明A、照明B、及び照明Cの中に、遷移開始時及び遷移終了時の少なくとも一方の光量レベルが2種類又はそれ以上存在している。また、光量レベルを低減するための切り替えを行う場合の傾き特性(Kd0)は1種類のみである。
【0039】
図2のステップS11では、3つの照明A、照明B、及び照明Cが消灯の状況で、照明A、照明B、及び照明Cの全てを同時点灯するためのトリガが発生したか否かを照明統括制御部11が識別する。例えば、車両の走行状態の変化やドアの開閉状態などの条件を識別した結果として、特定の状況下で上位ECU20又は照明統括制御部11の内部で前記トリガが発生すると、
図2のS11からS12に進む。
【0040】
ステップS12では、照明統括制御部11が、制御信号CON_A、CON_B、及びCON_Cのそれぞれを、オフ(OFF)からオン(ON)に切り替える。これにより、例えば
図4に示す時刻t04の動作のように、照明Aの光量遷移と、照明Bの光量遷移と、照明Cの光量遷移とが同時に開始される。
【0041】
ステップS13では、3つの照明A、照明B、及び照明Cが点灯している状況で、照明A、照明B、及び照明Cの全てを同時に消灯、若しくは現在よりも低い光量レベルに切り替えるためのトリガが発生したか否かを照明統括制御部11が識別する。例えば、車両の走行状態の変化やドアの開閉状態などの条件を識別した結果として、特定の状況下で上位ECU20又は照明統括制御部11の内部で前記トリガが発生すると、
図2のS13からS14に進む。
【0042】
ステップS14では、照明統括制御部11が3つの照明A、照明B、及び照明Cの全てに共通の光量低減時遷移傾き値Kd0(
図3参照)を取得する。この光量低減時遷移傾き値Kd0については、システムに固有の値として、事前に決定し照明統括制御部11内のメモリに保存してあるデータを利用することができる。
【0043】
ステップS15では、照明統括制御部11が、照明Aに対応付けられた遷移開始時の光量パラメータPAs、及び遷移終了時の光量パラメータPAeを取得する。例えば
図3に示す例では、同時消灯トリガが発生した時の光量パラメータPAsはL2、光量パラメータPAeはL0である。これらの光量パラメータPAs、PAeについては、事前に定めたシステム固有の情報(L0,L1,L2,L3)と、現在の制御状況(切り替え前後の光量レベル)とに基づいて特定することができる。
【0044】
ステップS16では、照明統括制御部11が、照明Aにおける光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。つまり、
図3に示すように、遷移開始時の光量パラメータPAsと、遷移終了時の光量パラメータPAeと、光量低減時遷移傾き値Kd0とに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Aから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdAを算出できる。
TdA=te_ABC−ts_A
=(PAs−PAe)/Kd0 ・・・(1)
【0045】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、パラメータPAs、PAe、Kd0から適切なTdAを選択的に取得することが可能である。
【0046】
ステップS17では、S15と同様に、照明統括制御部11が、照明Bに対応付けられた遷移開始時の光量パラメータPBs、及び遷移終了時の光量パラメータPBeを取得する。例えば
図3に示す例では、同時消灯トリガが発生した時の光量パラメータPBsはL1、光量パラメータPBeはL0である。これらの光量パラメータPBs、PBeについては、事前に定めたシステム固有の情報(L0,L1,L2,L3)と、現在の制御状況(切り替え前後の光量レベル)とに基づいて特定することができる。
【0047】
ステップS18では、照明統括制御部11が、照明Bにおける光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。つまり、
図3に示すように、遷移開始時の光量パラメータPBsと、遷移終了時の光量パラメータPBeと、光量低減時遷移傾き値Kd0とに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Bから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdBを算出できる。
TdB=te_ABC−ts_B
=(PBs−PBe)/Kd0 ・・・(2)
【0048】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、パラメータPBs、PBe、Kd0から適切なTdBを選択的に取得することが可能である。
【0049】
ステップS19では、S15と同様に、照明統括制御部11が、照明Cに対応付けられた遷移開始時の光量パラメータPCs、及び遷移終了時の光量パラメータPCeを取得する。例えば
図3に示す例では、同時消灯トリガが発生した時の光量パラメータPCsはL3、光量パラメータPCeはL0である。これらの光量パラメータPCs、PCeについては、事前に定めたシステム固有の情報(L0,L1,L2,L3)と、現在の制御状況(切り替え前後の光量レベル)とに基づいて特定することができる。
【0050】
ステップS20では、照明統括制御部11が、照明Cにおける光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。つまり、
図3に示すように、遷移開始時の光量パラメータPCsと、遷移終了時の光量パラメータPCeと、光量低減時遷移傾き値Kd0とに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Cから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdCを算出できる。
TdC=te_ABC−ts_C
=(PCs−PCe)/Kd0 ・・・(3)
【0051】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、パラメータPCs、PCe、Kd0から適切なTdCを選択的に取得することが可能である。
【0052】
ステップS21では、照明統括制御部11が適切な遷移終了時刻te_ABCを決定する。つまり、現在の時刻に、3つの光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCの中の最大値よりも大きい時間を加算した結果を、遷移終了時刻te_ABCとして定める。
【0053】
ステップS22では、照明統括制御部11が、照明Aにおける遷移開始時刻ts_Aを次式に従い決定する。
ts_A=te_ABC−Td_A ・・・(4)
【0054】
ステップS23では、照明統括制御部11が、照明Bにおける遷移開始時刻ts_Bを次式に従い決定する。
ts_B=te_ABC−Td_B ・・・(5)
【0055】
ステップS24では、照明統括制御部11が、照明Cにおける遷移開始時刻ts_Cを次式に従い決定する。
ts_C=te_ABC−Td_C ・・・(6)
【0056】
ステップS25では、照明統括制御部11が、ts_A、ts_B、及びts_Cの各時刻になったタイミングで、制御信号CON_A、CON_B、及びCON_Cをオンからオフに、若しくは遷移開始時レベルから遷移終了時レベルに切り替える。
【0057】
<特徴的な動作の説明>
図2に示した処理手順を実行することにより、
図3に示すように、照明Aの光量低減時の遷移終了時刻と、照明Bの光量低減時の遷移終了時刻と、照明Cの光量低減時の遷移終了時刻とを共通の遷移終了時刻te_ABCに合わせることができる。つまり、照明毎の光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCに基づき、それぞれ適切なタイミングts_A、ts_B、ts_Cで光量の遷移を開始することにより、複数の照明の光量遷移終了時刻を統一的に制御することが可能になる。その結果、運転者等のユーザが知覚する車両上の複数の照明の光量制御に統一感が得られるので、違和感がなく、照明システム全体として高品質の質感を実現することが可能になる。
【0058】
<第2実施形態>
<概要の説明>
第2実施形態は、前述の第1実施形態の変形例である。第2実施形態においても、
図1と同じ構成の照明制御システム100を利用することができる。
【0059】
例えば、
図3に示した動作例においては、制御対象の複数の照明について、光量低減時遷移傾き値Kd0が1種類の状況を想定している。しかし、例えば
図1に示す調光回路12A及び12Bがそれぞれパルス幅変調(PWM)制御を実施して光量を調節するような状況であれば、照明光源13A、及び13Bの光量を切り替える際の遷移の傾き(Kd0に相当)を複数種類の中から選択することも可能である。そして、光量を切り替える際の遷移の傾きが可変の場合には、例えば
図3に示した光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCが傾きに従って変化することになり、
図2の制御を適用する場合には遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになる。
【0060】
第2実施形態の照明制御システム100においては、
図2の制御の代わりに、
図5に示した照明統一制御(2)の処理手順を適用する。これにより、遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになるのを避けることができる。
【0061】
<処理手順の説明>
図5に示した照明統一制御(2)の処理手順について以下に説明する。尚、
図5において
図2と対応するステップは同一の番号を付けて示してある。
図2の処理と同じステップについては以下の説明を省略する。
【0062】
図5のステップS14Bにおいては、照明統括制御部11は、定数である全照明共通の光量低減時遷移傾き値の基準値Kdrを取得し、照明光源13A、13B、及び13Cの全ての遷移特性の傾きが、基準値Kdrに固定されるように制御する。例えば、照明光源13Cの傾き値が変更できない場合には、この傾き値を基準値Kdrとし、照明光源13A及び13Bの遷移特性の傾きを基準値Kdrに変更する。例えば、調光回路12Aの制御するオンオフデューティと、調光回路12Bの制御するオンオフデューティを調整することにより、照明光源13A及び13Bの遷移特性の傾きを基準値Kdrに合わせることが可能である。
【0063】
ステップS16Bでは、照明統括制御部11が、照明Aにおける光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。つまり、
図3に示した遷移開始時の光量パラメータPAsと、遷移終了時の光量パラメータPAeと、共通の光量低減時遷移傾き値Kdrとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Aから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。
TdA=te_ABC−ts_A
=(PAs−PAe)/Kdr ・・・(7)
【0064】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、パラメータPAs、PAe、Kdrから適切なTdAを選択的に取得することが可能である。
【0065】
同様に、ステップS18Bでは、照明統括制御部11が、照明Bにおける光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。つまり、
図3に示した遷移開始時の光量パラメータPBsと、遷移終了時の光量パラメータPBeと、共通の光量低減時遷移傾き値Kdrとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Bから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。
TdB=te_ABC−ts_B
=(PBs−PBe)/Kdr ・・・(8)
【0066】
同様に、ステップS20Bでは、照明統括制御部11が、照明Cにおける光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。つまり、
図3に示した遷移開始時の光量パラメータPCsと、遷移終了時の光量パラメータPCeと、共通の光量低減時遷移傾き値Kdrとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Cから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。
TdC=te_ABC−ts_C
=(PCs−PCe)/Kdr ・・・(9)
【0067】
<第3実施形態>
<概要の説明>
第3実施形態は、前述の第1実施形態の変形例である。第3実施形態においても、
図1と同じ構成の照明制御システム100を利用することができる。
【0068】
第3実施形態においては、照明光源13A、13B、13Cの光量を低減する際の遷移の傾き特性が複数種類存在する場合を想定している。例えば、
図9に示した動作例では、照明Aの遷移傾き値KdAと、照明Bの遷移傾き値KdBと、照明Bの遷移傾き値KdBとが互いに異なっている。このような状況では、例えば
図3に示した光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCが傾きに従って変化することになり、
図2の制御を適用する場合には遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになる。
【0069】
第3実施形態の照明制御システム100においては、
図2の制御の代わりに、
図6に示した照明統一制御(3)の処理手順を適用する。これにより、遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになるのを避けることができる。
【0070】
<処理手順の説明>
図6に示した照明統一制御(3)の処理手順について以下に説明する。尚、
図6において
図2と対応するステップは同一の番号を付けて示してある。
図2の処理と同じステップについては以下の説明を省略する。
【0071】
図6のステップS14Cでは、照明統括制御部11が照明毎の現在の遷移傾き値KdA、KdB、KdCをそれぞれ取得する。実際には、照明光源13A、13B、及び13Cの固有の発光遷移特性を表す定数や、現在の調光回路12A及び12Bの制御状態(デューティの変化速度等)に基づいて、各遷移傾き値KdA、KdB、KdCを特定できる。
ステップS16Cでは、照明統括制御部11が、照明Aにおける光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。つまり、
図9に示した遷移開始時の光量パラメータPAsと、遷移終了時の光量パラメータPAeと、光量低減時遷移傾き値KdAとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Aから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。
TdA=te_ABC−ts_A
=(PAs−PAe)/KdA ・・・(10)
【0072】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、パラメータPAs、PAe、KdAから適切なTdAを選択的に取得することが可能である。
【0073】
同様に、ステップS18Cでは、照明統括制御部11が、照明Bにおける光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。つまり、
図9に示した遷移開始時の光量パラメータPBsと、遷移終了時の光量パラメータPBeと、光量低減時遷移傾き値KdBとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Bから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。
TdB=te_ABC−ts_B
=(PBs−PBe)/KdB ・・・(11)
【0074】
同様に、ステップS20Cでは、照明統括制御部11が、照明Cにおける光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。つまり、
図9に示した遷移開始時の光量パラメータPCsと、遷移終了時の光量パラメータPCeと、光量低減時遷移傾き値KdCとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Cから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。
TdC=te_ABC−ts_C
=(PCs−PCe)/KdC ・・・(12)
【0075】
図6に示した処理を実行することにより、
図9のように照明毎に光量遷移の傾き特性が異なる場合であっても、適切な光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCを算出し、適切なタイミング(ts_A、ts_B、ts_C)で光量遷移を開始することができ、全照明の遷移終了時刻te_ABCを揃えることができる。
【0076】
<第4実施形態>
<概要の説明>
第4実施形態は、前述の第3実施形態の変形例である。第4施形態においても、
図1と同じ構成の照明制御システム100を利用することができる。
【0077】
第4実施形態においては、第3実施形態と同様に照明光源13A、13B、13Cの光量を低減する際の遷移の傾き特性が複数種類存在するが、遷移開始時の光量レベル及び遷移終了時の光量レベルは全ての照明で共通である場合を想定している。
【0078】
第4実施形態の照明制御システム100においては、
図6の制御の代わりに、
図7に示した照明統一制御(4)の処理手順を適用する。これにより、遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになるのを避けることができる。
【0079】
<処理手順の説明>
図7に示した照明統一制御(4)の処理手順について以下に説明する。尚、
図7において
図2及び
図6と対応するステップは同一の番号を付けて示してある。
図2及び
図6の処理と同じステップについては以下の説明を省略する。
【0080】
図7のステップS15Dでは、照明統括制御部11が、全照明共通の遷移開始時の光量パラメータP0s、及び遷移終了時の光量パラメータP0eを取得する。これらの光量パラメータP0s、P0eについては、事前に定めたシステム固有の定数を利用することができる。
【0081】
ステップS16Dでは、照明統括制御部11が、照明Aにおける光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。つまり、共通の遷移開始時の光量パラメータP0sと、遷移終了時の光量パラメータP0eと、光量低減時遷移傾き値KdAとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Aから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdAを算出する。
TdA=te_ABC−ts_A
=(P0s−P0e)/KdA ・・・(13)
【0082】
なお、事前に計算を行った結果を定数データとして照明統括制御部11内部のメモリに保存してある場合には、計算を行わなくても、KdAから適切なTdAを選択的に取得することが可能である。
【0083】
同様に、ステップS18Dでは、照明統括制御部11が、照明Bにおける光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。つまり、共通の遷移開始時の光量パラメータP0sと、遷移終了時の光量パラメータP0eと、光量低減時遷移傾き値KdBとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Bから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdBを算出する。
TdB=te_ABC−ts_B
=(P0s−P0e)/KdB ・・・(14)
【0084】
同様に、ステップS20Dでは、照明統括制御部11が、照明Cにおける光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。つまり、共通の遷移開始時の光量パラメータP0sと、遷移終了時の光量パラメータP0eと、光量低減時遷移傾き値KdCとに基づき、次式により遷移開始時刻ts_Cから遷移終了時刻te_ABCまでの時間差に相当する光量低減時遷移所要時間TdCを算出する。
TdC=te_ABC−ts_C
=(P0s−P0e)/KdC ・・・(15)
【0085】
<第5実施形態>
<概要の説明>
第5実施形態は、前述の第3実施形態の変形例である。第5施形態においても、
図1と同じ構成の照明制御システム100を利用することができる。
【0086】
第5実施形態においては、第3実施形態と同様に照明光源13A、13B、13Cの光量を低減する際の遷移の傾き特性が複数種類存在するが、少なくとも一部の照明については、傾き特性の調整が可能な場合を想定している。例えば、
図1に示す照明光源13Aの光量を切り替える場合の光量遷移の傾きは照明光源13Aの固有の特性により定まるが、例えば調光回路12Aにおけるオンオフデューティの調節によって傾きを小さくすることが可能である。
【0087】
第5実施形態の照明制御システム100においては、
図6の制御の代わりに、
図8に示した照明統一制御(5)の処理手順を適用する。これにより、照明毎に遷移開始時刻ts_A、ts_B、ts_Cを個別に決定しなくても、遷移終了時刻te_ABCが照明毎にバラバラになるのを避けることができる。
【0088】
<処理手順の説明>
図8に示した照明統一制御(5)の処理手順について以下に説明する。尚、
図8において
図2及び
図6と対応するステップは同一の番号を付けて示してある。
図2及び
図6の処理と同じステップについては以下の説明を省略する。
【0089】
図8のステップS31では、照明統括制御部11は、各照明の光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、及びTdCを揃えるために必要な照明毎の遷移傾き値KdA2、KdB2、及びKdC2を決定する。
【0090】
つまり、変更前の遷移傾き値KdA、KdB、及びKdCの状態のままでは、
図10に示すように光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCが異なり、同じ時刻tsで光量遷移を開始した場合に、遷移終了時刻te_ABCが揃わなくなる。光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCを、同じ長さのTdA2、TdB2、TdC2に変更し、tsからte_ABCまでの長さを揃えるために必要な遷移傾き値KdA2、KdB2、及びKdC2をS31で求める。
【0091】
例えば、
図10の例では、3つの光量低減時遷移所要時間TdA、TdB、TdCの中で長さが最大のTdCに合わせるように、TdA2及びTdB2を調整する。具体的には、照明Aの遷移傾き値KdAを小さくすれば、光量低減時遷移所要時間TdAが長くなるので、TdA2をTdCの長さと一致させることが可能になる。これが一致する時の傾きがKdA2である。照明Bについても同様である。
【0092】
ステップS32では、照明統括制御部11は、S31で決定した遷移傾き値KdA2、KdB2、及びKdC2になるように、各照明を制御する。例えば、調光回路12Aのオンオフデューティを調節して、
図10に示すように照明光源13Aの遷移傾きKdAをKdA2に変更したり、調光回路12Bのオンオフデューティを調節して照明光源13Bの遷移傾きKdBをKdB2に変更する。
【0093】
ステップS33では、照明統括制御部11は、所定の共通のタイミングts(
図10参照)で、各制御信号CON_A、CON_B、CON_Cをオンからオフに切り替える。これにより、
図10のように共通のタイミングtsで照明A、照明B、照明Cの各々の光量遷移が開始される。
【0094】
ここで、各照明の遷移の傾きはS32でKdA2、KdB2、KdC2に変更されているので、照明Aの光量遷移が終了するまでの所要時間はTdA2であり、遷移終了時刻te_ABCで遷移が終了する。また、照明Bの光量遷移が終了するまでの所要時間はTdB2であり、遷移終了時刻te_ABCで遷移が終了する。つまり、共通のタイミングtsで全ての照明の光量遷移を開始しても、同じ時刻(te_ABC)に全ての照明の光量遷移を終了させることができる。
【0095】
ここで、上述した本発明に係る照明制御システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[8]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の照明光源(13A〜13C)と、
前記複数の照明光源の各々の発光のオンオフ、または2段階以上の発光光量調節が可能な光源駆動部(調光回路12A〜12C)と、
前記光源駆動部を制御することにより前記複数の照明光源の状態を統一的に制御する統括制御部(照明統括制御部11)と、
を備える照明制御システムであって、
前記統括制御部が、前記複数の照明光源の各々の発光光量を、第1の光量レベル(PAs,PBs,PCs)から前記第1の光量レベルよりも小さい第2の光量レベル(PAe,PBe,PCe)、またはオフレベル(L0)へ低減するための光量低減遷移を実施する際に、前記複数の照明光源の光量の遷移終了タイミング(te_ABC)がほぼ一致するように、前記光源駆動部を制御する(
図2、
図3参照)、
ことを特徴とする照明制御システム。
[2] 上記[1]に記載の照明制御システムであって、
前記第1の光量レベル(PAs,PBs,PCs)及び前記第2の光量レベル(PAe,PBe,PCe)の少なくとも一方が、前記複数の照明光源の各々について互いに異なる状況において、
前記統括制御部が、前記光量低減遷移を実施する際には、前記複数の照明光源のそれぞれについて、光量の遷移開始を独立したタイミング(ts_A,ts_B,ts_C)で実施する、
ことを特徴とする照明制御システム。
[3] 上記[2]に記載の照明制御システムであって、
前記光量低減遷移を実施する際に前記複数の照明光源の光量遷移の傾き特性が実質的に1種類(Kd0)である状況において、
前記複数の照明光源の各々の前記第1の光量レベル及び前記第2の光量レベルと、前記傾き特性と、光量の遷移終了タイミングとに基づいて、光量の遷移を開始するタイミングを、前記複数の照明光源のそれぞれについて独立して決定する(S16,S18,S20,S22〜S24)、
ことを特徴とする照明制御システム。
[4] 上記[3]に記載の照明制御システムであって、
前記複数の照明光源の光量遷移の傾き特性が2種類以上存在する状況において、
前記光量低減遷移を実施する際には、2種類以上の前記傾き特性の中で、事前に選択した1種類の前記傾き特性(Kdr)のみを利用する(
図5参照、S14B,S16B,S18B,S20B)、
ことを特徴とする照明制御システム。
[5] 上記[2]に記載の照明制御システムであって、
前記光量低減遷移を実施する際に前記複数の照明光源の光量遷移の傾き特性(KdA,KdB,KdC)が複数種類存在する状況において、
前記複数の照明光源の各々の前記第1の光量レベル及び前記第2の光量レベルと、前記複数の照明光源の各々の光量遷移の傾き特性と、光量の遷移終了タイミングとに基づいて、光量の遷移を開始するタイミングを、前記複数の照明光源のそれぞれについて独立して決定する(
図6参照、S14C,S16C,S18C,S20C,S22〜S24)、
ことを特徴とする照明制御システム。
[6] 上記[1]に記載の照明制御システムであって、
前記第1の光量レベル及び前記第2の光量レベルが前記複数の照明光源について実質的に共通であり、且つ前記光量低減遷移を実施する際に前記複数の照明光源の光量遷移の傾き特性が複数種類存在する状況において、
前記光量低減遷移を実施する際には、前記第1の光量レベル及び前記第2の光量レベルと、前記複数の照明光源の各々の光量遷移の傾き特性と、光量の遷移終了タイミングとに基づいて、光量の遷移を開始するタイミングを、前記複数の照明光源のそれぞれについて独立して決定する(
図7参照、S15D,S16D,S18D,S20D,S22〜S24)、
ことを特徴とする照明制御システム。
[7] 上記[1]に記載の照明制御システムであって、
前記複数の照明光源の少なくとも1つについて、前記光量低減遷移を実施する際の光量遷移の傾き特性(KdA,KdB,KdC)が可変である状況において、
前記光量低減遷移を実施する際には、前記複数の照明光源の光量の遷移開始を共通のタイミング(ts)で実施し(S33)、前記複数の照明光源の光量の遷移終了タイミング(te_ABC)がほぼ一致するように、前記複数の照明光源の少なくとも1つについて光量遷移の傾き特性を調整する(
図8、
図10参照、S31,S32)、
ことを特徴とする照明制御システム。