(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シャーシ上の防音室の内部に、発電機と、前記発電機を駆動するエンジンと、前記エンジンに接続され冷却用ファンを有するラジエータと、外気を前記防音室の内部に導入する吸気口と、導入した外気を前記防音室の外部に排出する排気口と、マフラと、前記発電機による発電の出力を供給する出力端子と、前記発電機、前記エンジンを操作するための制御箱と、を備える電源車において、
前記防音室は、
前記発電機、前記エンジン、前記ラジエータが設置される発電機室と、
前記吸気口、および、前記発電機室への吸気通過口を有する吸気室と、
前記マフラが設置され、前記発電機室からの排気通過口、および、前記排気口を有するマフラ室と、
前記出力端子、前記制御箱が設置される操作室と、
第一遮音室と、
第二遮音室と、に区画されており、
前記吸気室と、前記発電機室と、前記マフラ室と、前記第二遮音室とは、前記電源車の走行方向にこの順で配置され、
前記操作室と、前記発電機室と、前記第一遮音室とは、前記電源車の幅方向にこの順で配置され、
上面視で、前記発電機室は、前記吸気室と、前記第一遮音室と、前記マフラ室と、前記操作室と、によって囲まれている
ことを特徴とする電源車。
前記操作室と前記発電機室との隔壁には、前記発電機室に設置されている前記発電機から出ている発電機口出線を前記操作室に設置されている前記出力端子に遮断器を介して接続するための配線接続部が設置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電源車。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電源車の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1〜
図5に示した「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の各方向は、次の通りである。「前」は電源車1の前方を指し、「後」はその逆方向を指す。「左」は電源車1から「前」を見た場合の左方を指し、「右」はその逆方向を指す。「上」は鉛直上方を指し、「下」はその逆方向を指す。
【0011】
図1に示すように、電源車1は、前方にキャブ2(運転台)、後方に防音室3、シャーシ4、および、電源車1内の各装置に燃料を供給する燃料タンク5を備える。防音室3は、シャーシ4上に設定され、扉6〜15、天井パネル100、スライドカバー101を備える(
図1(a))。
【0012】
図2(特に
図2(a))も合わせて参照すると、防音室3内は、吸気室31、発電機室32、第一遮音室33、操作室34、マフラ室35、および、第二遮音室36に区画されている。吸気室31と、発電機室32と、マフラ室35と、第二遮音室36とは、電源車1の走行方向(前後方向)の前から後に向かってこの順で配置されている。
【0013】
また、操作室34と、発電機室32と、第一遮音室33とは、電源車1の幅方向にこの順で配置されている。そして、上面視で、発電機室32は、吸気室31と、第一遮音室33と、マフラ室35と、操作室34と、によって囲まれている。各室31〜35をこのように仕切る隔壁W1〜W5は、
図2(a)に示すように配置されている。
【0014】
吸気室31は、外気を防音室3の内部に導入するために底全体が開いていることで形成されている吸気口31a(
図1(b))、および、発電機室32との隔壁W1の上部において吸気通過口44(
図2(c))を有する。
【0015】
発電機室32には、発電機16、発電機16を駆動するエンジン17、エンジン17に接続され前から後の方向に送風する冷却用ファンを有するラジエータ18が設置される。
マフラ室35は、マフラ19が設置されるとともに、導入した外気を防音室3の外部に排出する排気口(スライドカバー101がスライドしてできる開口部)を有する。なお、この排気口からは、導入した外気のほかに、マフラ19の排気ガスも排出する。
【0016】
操作室34には、発電機16による発電の出力を供給する出力端子21と、発電機16、エンジン17、スライドカバー101の動作制御のための操作を行うための制御箱20が設置される。
また、
図2(d)に示すように、隔壁W4には、発電機室32からマフラ室35に吸気を排出させるための排気通過口45と、エンジン17からマフラ19まで延びるエキゾーストパイプを通すためのエキゾーストパイプ貫通穴46と、が設けられている。
【0017】
天井パネル100は、手動で取り外し可能で、発電機室32に対して発電機16などを出し入れする場合に取り外され、それによってあいた空間からクレーンなどを使って発電機16などを出し入れすることができる。
【0018】
スライドカバー101は、例えば、制御箱20の制御盤20a(
図3(b))のトグルスイッチを用いた操作によりスライド可能で、マフラ室35から外部に排気を行う際に開放される。また、スライドカバー101の開閉状態は、制御盤20a(
図3(b))の表示灯で表示する。また、スライドカバー101が完全に開いた状態以外では、エンジン17の始動ができない制御とする。
【0019】
このような構造の電源車1において、ラジエータ18の冷却用ファンの働きによって吸気室31の底部に設けられた吸気口31a(
図1(b))から取り入れられた外気は、隔壁W1に設けられた吸気通過口44(
図2(c))を通過し、発電機室32に入り、発電機16と、エンジン17と、ラジエータ18と、を冷却した後、隔壁W4に設けられた排気通過口45(
図2(d))を通過し、マフラ19を冷却し、マフラ室35の排気口(スライドカバー101がスライドしてできる開口部)から外部に排出される。なお、
図1(a)〜(c)では、便宜上、スライドカバー101がスライドしていない状態(未開放状態)を示しているが、外気を排出するときはスライドカバー101が例えば後方にスライドして排気口としての開口部が露出する。
【0020】
なお、操作室34は、吸気が通過する吸気室31と発電機室32とマフラ室35と気密に隔離されている。したがって、吸気音や、発電機室32内の発電機16やエンジン17から発生する音などは、操作室34内に入ってきたとしても小さく、さらに、操作室34内の空気層の存在によって、操作室34の外壁から外部に出ていく音は一層小さくなっているので、周囲への騒音を小さく抑えることができる。
【0021】
また、第一遮音室33は、吸気が通過する吸気室31と発電機室32とマフラ室35と気密に隔離されている。したがって、吸気音や、発電機室32内の発電機16やエンジン17から発生する音などは、第一遮音室33内に入ってきたとしても小さく、さらに、第一遮音室33内の空気層の存在によって、第一遮音室33の外壁から外部に出ていく音は一層小さくなっているので、周囲への騒音を小さく抑えることができる。
【0022】
また、第二遮音室36は、マフラ室35と気密に隔離されている。したがって、吸気音や、発電機室32内の発電機16やエンジン17から発生する音などは、第二遮音室36内に入ってきたとしても小さく、さらに、第二遮音室36内の空気層の存在によって、第二遮音室36の外壁から外部に出ていく音は一層小さくなっているので、周囲への騒音を小さく抑えることができる。
【0023】
次に、
図3、
図4を参照して、発電機16と出力端子21の接続状況について説明する。主に
図3(a)に示すように、操作室34と発電機室32との隔壁W2には、発電機室32に設置されている発電機16から出ている発電機口出線51を、操作室34に設置されている出力端子21に出力ケーブル53および遮断器54を介して接続するための配線接続部52が設置されている。
【0024】
この配線接続部52は、隔壁W2の配線接続部取付口42(
図2(b))の位置に、発電機室32と操作室34の間の気密性を保つために取付金具52a(
図4(a))を用いて絶縁物52bを介して隔壁W2における隙間がないように取り付けられている。なお、出力端子21は出力端子取付台56に取り付けられる。また、配線接続部52などを覆うように配線接続部カバー57が取り付けられる。また、隔壁W2における出力ケーブル53に対応する位置には、出力ケーブルメンテナンス口43(
図2(b))が設けられているが、出力ケーブル53などのメンテナンス時以外は気密性を保つためにカバー(不図示)で塞がれている。
【0025】
また、
図3(b)に示すように、出力端子21と制御箱20は、操作室34の内部において発電機室32との隔壁W2に沿って設置されている。操作者は、制御箱20の制御盤20aを用いた操作により、発電機16の動作、エンジン17の動作、スライドカバー101の開閉動作などを制御することができる。
【0026】
このように、本実施形態に係る電源車1によれば、防音効果と装置の冷却効果を高めることができる。前記した以外の作用効果は、次の通りである。
吸気室31と、発電機室32と、マフラ室35とが、一直線上に配置されていることで、発電機16、エンジン17、ラジエータ18、マフラ19の冷却用に取り込む外気の流れを一方向にすることができ、外気が流れやすくなるので冷却効果が上がる。
【0027】
また、吸気室31の底全体に吸気口31aを設けることで、吸気通過口44よりも吸気口31aを開口面積比較で大きくすることが容易にでき、吸気口31aで取り入れる外気の流速を下げることができるので、外気にともなって雨水が発電機室32内に入る可能性を低減することができる。また、吸気通過口44(
図2(c))の位置が高いことにより、外気にともなって雨水が発電機室32内に入る可能性をさらに低減することができる。
【0028】
また、マフラ室35の後方に第二遮音室36を配置することで、マフラ室35からの騒音が第二遮音室36内に伝わったとしても、第二遮音室36内の空気層の存在によって、第二遮音室36の外壁から外部に出ていく音は小さくなっているので、周囲への騒音を小さく抑えることができる。
また、気密性のある配線接続部52を設けることで、発電機室32から操作室34に伝わる騒音の大きさを大幅に減少させることができる。
【0029】
なお、発電機室32内で発生する音は、吸気室31の吸気口31aから外部に漏れる可能性もあるが、発電機室32から吸気口31aまでの距離が長いことや、隔壁W1があること、音は水平方向ではなく鉛直下方に出ることなどにより、電源車1の周囲にいる人に聞こえる音の量は小さく済む。
【0030】
また、発電機室32内で発生する音は、マフラ室35の天井の排気口(スライドカバー101がスライドしてできる開口部)から外部に漏れる可能性もあるが、発電機室32からその排気口までの距離が長いことや、本実施形態ではその排気口は地上からの高さが3.2メートルの高い位置にあること、音は水平方向ではなく鉛直上方に出ることなどにより、電源車1の周囲にいる人に聞こえる音の量は小さく済む。
【0031】
また、操作室34において長手方向の同じ面に出力端子21と制御箱20を設けることで(
図3(b))、作業者は一面の広いスペースで出力端子21と制御箱20のメンテナンスができる。例えば、
図5(a)のような状況で、遮断器54などを取り外す、取り付ける等の作業をしたり(
図5(b))、配線接続部カバー57を取り外す、取り付ける等の作業をしたり(
図5(c))する場合に、広いスペースなので作業しやすい。
【0032】
なお、第一遮音室33および第二遮音室36は、荷物の収納スペースとして利用してもよい。例えば、第一遮音室33は前後方向に長いので、長い荷物を収納することができる。
【0033】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
例えば、第一遮音室33と操作室34の場所を入れ替えた構成としてもよい。
また、第一遮音室33と発電機室32は完全に気密に隔離されていなくてもよく、発電機室32内の発電機16の吸気温度を下げるために、第一遮音室33と発電機室32の間の隔壁W3における発電機16の付近に、発電機16が低温の空気を取り入れやすく、かつ、騒音が漏れにくい位置および大きさの空気取入れ口(例えば、床面に近い位置における40cm四方の正方形の網目状の開口部)を設けてもよい。気密のための他の隔壁についても同様である。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。