(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、炭素原料を触媒存在下で反応させて製造される。
従来、カーボンナノチューブの製造方法として、化学気相成長法(CVD法)、レーザアブレーション法、およびアーク放電法等が知られている。
【0003】
CVD法では、炭素原料を気相で反応炉内に供給し、基板ないし粒子上に担持された触媒粒子あるいは気相中に浮遊した触媒粒子を用いて、炭素原料ガスを分解して、カーボンナノチューブを製造する(特許文献1等)。この方法では、純度の高いカーボンナノチューブを製造できるが、炭素原料の無触媒反応による分解を抑えるべく反応温度は比較的低温(500〜1200℃)にされるため、他の方法に比べて結晶性が劣り、導電性が低い傾向がある。
【0004】
アーク放電法およびレーザアブレーション法では、固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料の双方を高温加熱し、反応させる(特許文献2等)。これらの方法では、気相中の冷却過程でカーボンナノチューブが生成される。これらの方法では、CVD法と比べ、高結晶のカーボンナノチューブが得られるが、生成されるカーボンナノチューブの繊維長が短くなる傾向がある。
導電材料の用途では、カーボンナノチューブ同士の接点抵抗を低減でき、導電性を向上できることから、カーボンナノチューブの繊維長が長いことが好ましい。
【0005】
特許文献3には、アーク放電法において、反応容器の温度を温度制御装置(9)によって1000〜4000℃に加熱制御しておくことで、従来より繊維長が長く、長さと直径の分布が揃った単層カーボンナノチューブが得られることが報告されている(要約書)。
しかしながら、反応容器の外部から反応容器の温度を1000〜4000℃に加熱制御する構造は非常に高価である。そのため、低コストに簡便にカーボンナノチューブを製造することは困難である。
【0006】
本発明の関連技術として、以下の特許文献4〜8がある。
【0007】
特許文献4には、アーク放電法において、水素ガスあるいは酸素ガスなどの炭素と反応するガスを添加することで、堆積物柱におけるカーボンナノチューブの品質を向上できることが記載されている(段落0022)。ここで言う「品質」は純度等を意味すると思われる。
特許文献4には、「カーボンナノチューブは例えば、直径は4〜50nm程度であり、長さは1〜10μmオーダである。」ことが記載されている(段落0002)。この文献には一応、数平均長が1.8μm以上の長繊維について記載がある。しかしながら、この文献は品質向上を目的とし、長繊維化を目的としたものではなく、長繊維化に好適な反応条件を開示していない。また、この文献は複層カーボンナノチューブに関し(段落0022)、単層カーボンナノチューブに関するものではない。
【0008】
特許文献5には、アーク放電法において、「不純物除去のために、不活性ガス雰囲気中に酸素ガス、オゾン、あるいは水等の酸化剤を混入してもよい。たとえば酸化剤として水を添加する場合には、30ppm程度混入することが考慮される。」ことが記載されている(段落0048)。この文献には、「不活性ガス雰囲気中に酸化剤を混合することで、不純物を酸化除去することができ、2層カーボンナノチューブの純度を高めることができる。」ことが記載されている(段落0049)。
特許文献5は、高純度化を目的とし、長繊維化を目的としたものではなく、数平均長1.8μm以上の長繊維化について記載がなく、長繊維化に好適な反応条件を開示していない。また、この文献は複層カーボンナノチューブに関し(段落0048)、単層カーボンナノチューブに関するものではない。
【0009】
特許文献6には、アーク放電法またはレーザアブレーション法において、反応場内に水を存在させる高純度カーボンナノチューブの製造方法が開示されている(請求項1、5)。
特許文献6は、高純度化を目的とし、長繊維化を目的としたものではなく、数平均長1.8μm以上の長繊維化について記載がなく、長繊維化に好適な反応条件を開示していない。
この文献には、「水は反応に用いられた炭素源を基準として1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。」ことが記載されている(請求項3、段落0018)。この水の量は、後記[実施例]の項において、本発明に係る実施例1〜3で使用されている水の量の10〜100倍である。この水の量は過多であり、カーボンナノチューブの長繊維化は難しい(後記[実施例]の項の比較例2を参照)。
【0010】
特許文献7には、CVD法において、原料ガスに水素等の還元性ガスを含有させ、さらには水等の酸化性ガスを含有させるカーボンナノチューブの製造方法が開示されている(要約書)。
特許文献7には、上記方法により、良質のカーボンナノ構造物を高効率に製造することができ、例えば全長7mmというこれまでに例の無いカーボンナノチューブの製造が可能となることが記載されている(要約書)。
特許文献8には、CVD法において、反応雰囲気中に水分を存在させる単層または複層のカーボンナノチューブの製造方法が開示されている(請求項1、請求項5〜7)。
特許文献7、8はCVD法に関し、炭素原料と触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱する方法に関するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「長繊維単層カーボンナノチューブの製造方法」
本発明は、数平均長が1.8μm以上の長繊維単層カーボンナノチューブの製造方法に関する。
一般に、カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブが束になったバンドルの形態で得られる。本発明の製造方法では、数平均長1.8μm以上の長繊維単層カーボンナノチューブが束になったバンドルの形態で得られる。
【0020】
(反応工程)
本発明の長繊維単層カーボンナノチューブの製造方法は、
固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱し、酸化剤の存在下で反応を実施する反応工程を有する。
【0021】
固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱し、反応を実施する方法としては特に制限なく、アーク放電法およびレーザアブレーション法が好ましい。
固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱し、反応を実施する方法としては上記の他、電気炉を用いる方法およびプラズマを用いる方法がある。
上記の中でも、カーボンナノチューブの結晶性および収率の観点から、アーク放電法が特に好ましい。
【0022】
<アーク放電装置>
以下、アーク放電法を例とし、図面を参照して、本発明に係る一実施形態の反応装置とこれを用いた反応工程について、説明する。
図1は、本実施形態の反応装置の模式断面図である。
図2は、設計変更例を示す模式断面図である。
【0023】
本実施形態の反応装置1は、アーク放電法により、炭素原料を触媒存在下で反応させて単層カーボンナノチューブCNTを製造する装置(アーク放電装置)である。
【0024】
反応装置1は、反応容器10を備える。反応容器10には、反応容器10内のガスを排気するロータリーポンプ13と、反応容器10内にガスを供給するガス供給手段14とが接続されている。
【0025】
本実施形態において、反応容器10は、底部10Aと胴部10Bと頭部10Cとからなる。
【0026】
ガスとしては、
ヘリウムガス、ネオンガス、およびアルゴンガス等の希ガス;
水素;
窒素;
アンモニア;
およびこれらの組合せ等が挙げられる。
図中、符号V1、V2はバルブであり、符号P1は圧力計である。
【0027】
反応容器10の内部には、互いに離間して対向配置された一対の棒状のアーク放電電極21、22が備えられている。
一方(図示左方)のアーク放電電極21は、反応容器10の外部から内部に延びて設けられた金属ロッド(電極支持材)23の先端部に取り付けられている。
同様に、他方(図示右方)のアーク放電電極22は、反応容器10の外部から内部に延びて設けられた金属ロッド(電極支持材)24の先端部に取り付けられている。
図中、符号11、12は、反応容器10において、一対の金属ロッド23、24を保持する電極保持部である。
電極保持部11、12は、反応容器10の胴部10Bに設けられている。
【0028】
図中、符号25は、一方の金属ロッド23を図示矢印方向(図示左右方向)に平行移動させることが可能なモータドライブである。
他方の金属ロッド24については、手動にて、図示矢印方向(図示左右方向)に平行移動させることが可能である。
上記構成により一対の金属ロッド23、24の位置が調整され、一対のアーク放電電極21、22の離間距離が調整される。
一対のアーク放電電極21、22の離間距離は特に制限なく、5mm程度が好ましい。
【0029】
なお、反応容器10の形状、および、反応容器10への一対のアーク放電電極21、22の取付け態様等は、適宜設計変更可能である。
【0030】
本実施形態において、一対のアーク放電電極21、22に電流が供給されると、これら一対のアーク放電電極21、22間でアーク放電が起こり、一対のアーク放電電極21、22間に放電電流が流れる。
一対のアーク放電電極21、22間の電極離間部およびその近傍が、アーク放電場となる。
【0031】
本発明の製造方法では、固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱し、酸化剤の存在下で反応を実施する。
【0032】
以下、固相の炭素原料と固相の触媒原料とを用いる場合の態様について説明する。
一対のアーク放電電極21、22のうち少なくとも一方は、グラファイト(黒鉛)およびコークス等の固相の炭素原料を含むことができる。
一対のアーク放電電極21、22のうち少なくとも一方は、タングステン等の非炭素原料を含むことができる。
一対のアーク放電電極21、22のうち少なくとも一方は、固相の触媒原料を含むことができる。
一対のアーク放電電極21、22のうち少なくとも一方に添加可能な触媒原料は、硫黄、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金、またはこれらの組合せ等を含むことが好ましい。
上記触媒原料は、1種または2種以上の遷移金属を含むことが好ましい。
触媒原料に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、およびこれらの組合せ等が好ましい。
【0033】
固相の炭素原料と固相の触媒原料とを用いる場合、以下のように、単層カーボンナノチューブCNTが合成される。
反応開始に先立ち、一対のアーク放電電極21、22の離間距離を好適な範囲内に調整しておく。一対のアーク放電電極21、22の離間距離は例えば、5mm程度が好ましい。
ロータリーポンプ13を用いて反応容器10内を真空排気した後、ガス供給手段14より反応容器10内に不活性ガスを含むガスを導入する。この状態で、一対のアーク放電電極21、22間に電流および電圧を印加すると、アーク放電が生じる。アーク放電により発生した熱により、一対のアーク放電電極21、22から炭素原料と触媒原料とが蒸発する。
反応場に供給された触媒原料は、原子化され冷却される過程において、単層カーボンナノチューブCNTが成長する。
【0034】
アーク放電場の最高温度は1500℃以上である。
固体炭素をアーク放電により昇華する場合には、アーク放電場の最高温度は3500℃以上が好ましい。これによって、触媒原料の分解と原子状蒸気の生成が効率良く進む。
電極離間部から離れる程、温度は降下する。この温度降下の度合は、ガスの流入条件に影響を受ける。温度の降下に合わせて触媒の原子状蒸気が凝縮して触媒ナノ粒子NPの生成が効率良く進み、単層カーボンナノチューブCNTの合成に適した粒径の触媒ナノ粒子NPが効率良く生成されるとともに、触媒ナノ粒子NPによる炭素原料の分解と単層カーボンナノチューブCNTの生成が始まる。
炭素原料と触媒ナノ粒子NPとの反応温度は、1000〜1500℃が好ましい。
【0035】
固相の炭素原料の代わりに、または固相の炭素原料と併用して、炭素原料を気相で反応場に供給することができる。
この場合、ガス供給手段14により、不活性ガスをキャリアガスとして、反応場に炭素原料を気相で供給することができる。
【0036】
気相で供給可能な炭素原料としては、
メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチレン、プロピレン、およびアセチレン等の非芳香族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、およびアントラセン等の芳香族炭化水素;
フォルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メタノール、エタノール、一酸化炭素、および二酸化炭素等の炭素および酸素含有有機化合物;
およびこれらの組合せ等が挙げられる。
常温で液体の炭素原料は、蒸気化して使用する。
キャリアガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、およびアルゴンガス等の希ガス、水素、窒素、アンモニア、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
【0037】
固相の触媒原料の代わりに、または固相の触媒原料と併用して、触媒原料を気相で反応場に供給することができる。
この場合、ガス供給手段14により、不活性ガスをキャリアガスとして、反応場に触媒原料を気相で供給することができる。
なお、炭素原料と触媒原料の双方を気相で反応場に供給する場合、気相の炭素原料を供給するガス供給管と、気相の触媒原料を供給するガス供給管とを別個に用意し、これらの原料が反応場に供給される前に互いに混じらないようにする。
【0038】
反応場に触媒原料を気相で供給する場合、触媒原料は、硫黄、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金、およびこれらの組合せ等を含むことが好ましい。
上記触媒原料は、1種または2種以上の遷移金属を含むことが好ましい。
触媒原料に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、およびこれらの組合せ等が好ましい。
蒸気化が容易なことから、触媒原料は、遷移金属および1つ以上の配位子を含む有機金属化合物であることが好ましい。
上記配位子は、C、H、およびOの元素のみを含み、合成を阻害せず分解が容易な単純な分子であることが好ましい。
上記配位子は、カルボン酸塩、アルコキシド、ケトン、ジケトン、アミン、アミド、アルキル、およびアリルから選ばれる1つ以上の官能基を有していてもよい。
好ましい配位子としては、メチル、シクロヘキシル、カルボニル、シクロペンタジエニル、シクロオクタジエン、エチレン、ベータ− ジケトン、ホスフィン、有機リン配位子、ポリエーテル、ジチオカルバメート、大環状配位子(例えば、クラウンエーテル等) 、ベンゼン配位子、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
【0039】
上記したように、本発明の製造方法では、酸化剤の存在下で反応工程を実施する。
酸化剤としては特に制限されず、酸素、水、二酸化炭素、一酸化炭素、過酸化水素、メタノール、エタノール、および、イソプロピルアルコールから選ばれる少なくとも1種の酸化剤が好ましい。
上記の中でも、反応性の観点から、水が特に好ましい。
なお、実際の反応場では、水は水蒸気またはOH
−イオン等の形態で存在する。
【0040】
一態様において、反応場に酸化剤を気相で供給することができる。この場合、酸化剤としては、常温で気体の酸化性ガス、および/または、常温で液体の酸化剤(以下、「液体酸化剤」とも言う。)を蒸気化した蒸気化酸化剤を使用できる。
酸化性ガスおよび/または蒸気化酸化剤は、ガス供給手段14により、不活性ガスをキャリアガスとして、反応場に供給することができる。
【0041】
常温で気体の酸化性ガスを用いる場合、酸化性ガスが充填された酸化性ガスボンベと不活性ガスが充填された不活性ガスボンベとを用意し、これらガスボンベから供給された酸化性ガスと不活性ガスとを混合して供給ガスとし、これを反応場に供給することができる。
供給ガス中の酸化性ガス濃度は、酸化性ガスと不活性ガスの混合比により調整できる。これらのガスの混合比は、マスフローコントローラ(mass flow controller、MFC)およびニードルバルブ流量計等の公知のガス流量制御装置を用いて、調整できる。
【0042】
常温で液体の酸化剤を蒸気化した蒸気化酸化剤を用いる場合、容器内に入れられた液体酸化剤中に不活性ガスをバブリングすることで、第1の酸化剤添加不活性ガスを得ることができる。第1の酸化剤添加不活性ガス中の酸化剤濃度を一定に保つために、液体酸化剤の容器は、ヒータ等を用いて所定温度に加熱することが好ましい。
上記のようにして得られた第1の酸化剤添加不活性ガスを供給ガスとして反応場にそのまま供給することができる。
好ましくは、第1の酸化剤添加不活性ガスにさらに不活性ガスを添加混合して第2の酸化剤添加不活性ガスを得、これを供給ガスとして反応場に供給する。この場合、供給ガス中の酸化剤濃度を容易に調整することができる。
酸化剤として水を用いる場合、第1の酸化剤添加不活性ガスまたは第2の酸化剤添加不活性ガス中の水分濃度は、露点計等を用いて測定することができる。
【0043】
他態様において、固相の炭素原料に酸化剤が添加された酸化剤入り炭素原料を用いて、反応を実施することができる。すなわち、少なくとも一方のアーク放電電極21、22に、酸化剤を添加することができる。
固相の炭素原料に添加可能な酸化剤としては、水、メタノール、およびエタノール等が挙げられる。
【0044】
例えば、酸化剤として水を用いる場合、予め乾燥し水分を除去したアーク放電電極を水蒸気含有ガスと接触させることで、炭素原料を主成分とするアーク放電電極に水を添加することができる。
アーク放電電極の水分除去方法としては特に制限されず、加熱乾燥、減圧乾燥、および減圧加熱乾燥が好ましく、減圧加熱乾燥がより好ましい。12時間以上の減圧加熱乾燥が特に好ましい。
水蒸気含有ガスとしては、水蒸気添加不活性ガスが好ましい。
予め乾燥し水分を除去した固相のアーク放電電極と水蒸気含有ガスとの接触方法は特に制限されない。例えば、予め乾燥し水分を除去したアーク放電電極を、水蒸気含有ガスで満たされ、水分濃度が調整された空間内に載置する方法が挙げられる。この操作は、反応容器10とは別に用意された容器等を用いて実施してもよいし、反応容器10内にアーク放電電極をセットした状態で実施することもできる。
アーク放電電極に対する水添加量の調整方法は特に制限されない。例えば、水蒸気含有ガス中の水分濃度および/またはアーク放電電極と水蒸気含有ガスとの接触時間により、アーク放電電極に対する水添加量を調整することができる。
【0045】
単層カーボンナノチューブCNTは、触媒ナノ粒子NPの表面から繊維状に成長する。ここで、触媒ナノ粒子NPの表面に単層カーボンナノチューブ以外の不純物が堆積していると、触媒活性が低下し、単層カーボンナノチューブCNTの繊維状成長が妨げられ、短繊維化してしまう。
本発明の製造方法では、酸化剤によって触媒ナノ粒子NPの表面に堆積する不純物を酸化除去し、不純堆積物による触媒ナノ粒子NPの失活を抑制することができる。
特に酸化剤は炭素との反応性が高く、触媒ナノ粒子NPの表面に堆積するグラファイトおよび/またはアモルファスカーボン等の炭素含有副生成物を効果的に酸化除去することができる。
【0046】
以下に酸化剤と炭素との反応式の例を示す。
C + O
2 → CO
2、
C + H
2O → CO + H
2
【0047】
本発明の製造方法では、酸化剤により触媒ナノ粒子NPの表面の不純堆積物を効果的に除去し、触媒活性を維持することができるので、単層カーボンナノチューブCNTが安定的に長繊維成長することができる。
【0048】
触媒原料の量以外の条件が同一の条件においては、触媒原料の量が少なくなる程、単層カーボンナノチューブが長繊維化する傾向がある(後記[実施例]の項の表2および
図4Aを参照)。ただし、触媒原料の量以外の条件が同一の条件においては、触媒原料の量が少なくなる程、収率が低下する傾向がある(後記[実施例]の項の表3および
図4Bを参照)。
触媒原料の量が少なくなる程、生成される触媒ナノ粒子NPの数が少なくなり、個々の触媒ナノ粒子NPに供給される炭素原料の量が増加して、長繊維成長しやすくなると考えられる。ただし、触媒原料の量が少なくなる程、生成される触媒ナノ粒子NPの数が少なくなるので、収率は低下すると考えられる。
【0049】
単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できることから、
反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたとき、
触媒原料の量は好ましくは9質量%以下である。
単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化でき、かつ、良好な収率が得られることから、
反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたとき、
触媒原料の量はより好ましくは3〜9質量%であり、特に好ましくは3〜5質量%である。
【0050】
また、後記[実施例]の項の表2および
図4Aに示すように、反応に用いる炭素原料の種類と量、触媒原料の種類と量、および酸化剤の種類等に応じて、単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できる酸化剤の使用量には好適な範囲がある。
反応場中の炭素原料の量に対して酸化剤の量が過少あるいは過多では、単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できない。
酸化剤の量が過少では、触媒ナノ粒子NPの表面に堆積するグラファイトおよび/またはアモルファスカーボン等の炭素含有副生成物の酸化除去効果による長繊維化の効果が不充分となると考えられる。
酸化剤の使用量が過多では、触媒ナノ粒子NPの表面が酸化剤で過度に酸化され、触媒活性が低下すると考えられる。
【0051】
反応場に酸化剤として水を存在させる場合、
単層カーボンナノチューブCNTを効果的に長繊維化できることから、
反応場中の炭素原料の量を100質量%としたとき、
反応場に、酸化剤としての水を、好ましくは0.001〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.02質量%、特に好ましくは0.005〜0.01質量%存在させる。
【0052】
上記したように、酸化剤として水を用いる場合、実際の反応場では、水は水蒸気またはOH
−イオン等の形態で存在する。
本明細書において、「反応場に酸化剤として水を存在させる」とは、酸化剤として水を用い、これを反応場に水蒸気またはOH
−イオン等の形態で存在させることを指し、反応場中の水の実際の存在形態に関係なく、反応場中の量は水の量で規定してある。
【0053】
本発明の製造方法において、
単層カーボンナノチューブCNTを効果的に長繊維化できることから、
公知のヒータ等の加熱手段(図示略)を用いて放電部の装置外壁を加熱することが好ましい。
例えば、放電部の装置外壁を100〜800℃の温度に調温することが好ましい。
放電部の装置外壁を上記のように加熱することで、反応場の温度(反応容器10の温度)が単層カーボンナノチューブCNTの合成に適した温度よりも低下することを抑制し、反応場の温度を好適な範囲に保持することができる。これにより、単層カーボンナノチューブCNTをより効果的に長繊維化することができる。
本実施形態では、放電部の装置外壁は、反応容器10の外壁である。
【0054】
例えば、
図2に示す設計変更例の反応装置2のように、反応容器10の胴部10Bの周りにヒータ等の加熱手段50を設けることができる。加熱手段50は、図示する例のように反応容器10に接して設けてもよいし、離して設けてもよい。
反応容器10の胴部10Bの周りにヒータ等の加熱手段50を設けて、放電部の装置外壁を100〜800℃の温度に加熱することで、反応場の温度を好適な範囲に保持し、単層カーボンナノチューブCNTをより効果的に長繊維化することができる。
【0055】
(後工程)
<捕集工程>
反応容器10内において放電場の下流側で、触媒ナノ粒子NPおよび単層カーボンナノチューブCNTを含む堆積物を捕集することができる。堆積物は、装置内壁に堆積するため、ブラシ等を用いて捕集することができる。
【0056】
<精製工程>
捕集された単層カーボンナノチューブCNTを含む堆積物は、公知方法により精製することができる。
精製方法は特に制限されず、単層カーボンナノチューブCNTを含む堆積物に対して60〜70質量%程度の硝酸水溶液を添加し、80〜90℃で1〜3日間反応(湿式酸化)させる方法等が好ましい。
上記反応後、回収した単層カーボンナノチューブに対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム水溶液を添加混合し、超音波分散することで、単層カーボンナノチューブ分散液を得ることができる。この分散液に対して、孔径200nm程度の中空糸膜を用いたクロスフロー濾過を実施することができる。これにより、副生成物等の不純固形物および繊維長が概ね0.5μm以下の短繊維単層カーボンナノチューブを除去することができる。
【0057】
本発明の製造方法によれば、硝酸水溶液を用いた精製および濾過回収後において、数平均長が1.8μm以上の長繊維単層カーボンナノチューブCNTを製造することができる。
本発明の製造方法によれば、硝酸水溶液を用いた精製および濾過回収後において、例えば、数平均長が1.8〜3.5μmの長繊維単層カーボンナノチューブCNTを製造することができる(後記[実施例]の項の表2を参照)。
【0058】
本発明の製造方法では、固相または気相の炭素原料と固相または気相の触媒原料とを1500℃以上の温度に加熱し、反応を実施するので、反応温度の低いCVD法等と異なり、高結晶の単層カーボンナノチューブCNTを製造することができる。
本発明の製造方法では、反応場に酸化剤を存在させることで、単層カーボンナノチューブCNTの長繊維化が可能である。
本発明の製造方法では、反応場に酸化剤を存在させるだけで長繊維化が可能であるので、従来のアーク放電装置等の製造装置を変更することなく、低コストかつ簡便に長繊維単層カーボンナノチューブCNTを製造することができる。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、低コストかつ簡便に高結晶かつ長繊維の単層カーボンナノチューブCNTを製造することが可能な長繊維単層カーボンナノチューブの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造される単層カーボンナノチューブCNTは長繊維であるので、導電材料として使用する場合、カーボンナノチューブ同士の接点抵抗が低く、良好な導電性を発現することができる。
【0060】
「設計変更」
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
【実施例】
【0061】
本発明に係る実施例および比較例について説明する。
【0062】
(実施例1)
図1に示したのと同様の反応装置(アーク放電装置)を用意し、固相の炭素原料と固相の触媒原料とを用い、アーク放電法により単層カーボンナノチューブの製造を実施した。
【0063】
陽極として、触媒原料として4.5質量%のFeNi基合金触媒を含む、直径8mm長さ200mmのグラファイト棒(FeNi基合金触媒入りグラファイト棒)を用意した。
陰極として、直径8mm長さ200mmの純グラファイト棒を用意した。
上記の陽極と陰極とを反応装置(アーク放電装置)にセットした。
陽極と陰極との離間距離は5mmとした。
【0064】
35℃に調温された容器内に入れられた水の中にヘリウムガスをバブリングすることで、第1の水蒸気添加ヘリウムガスを得、さらにヘリウムガスを添加混合し、水分濃度600ppmの第2の水蒸気添加ヘリウムガスを得た。
反応容器内をロータリーポンプにより排気した後、ガス供給手段よりアーク放電場およびその近傍に上記第2の水蒸気添加ヘリウムガス(水分濃度600ppm)を40sccmで供給した。これによって、反応容器内に水を1.17×10
−5g/minの速度にて導入した。
【0065】
放電場の装置外壁(反応容器の胴部の外壁)は、20〜25℃の常温水を用いた除熱により、50℃以下に保持した。
【0066】
陽極−陰極間に電圧30Vを印加した。これによりアーク放電が開始し、陽極材料中の炭素原料が0.189g/minの速度にて蒸発した。
【0067】
実施例1では、反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたときの触媒原料の量は、陽極中の触媒原料の濃度(以下、単に「陽極中の触媒量」と略記する場合がある。)に相当し、4.5質量%であった。
実施例1では、反応場中の炭素原料の量を100質量%としたときの酸化剤としての水の量は0.006質量%であった。
実施例1では、アーク放電を用いており、放電場の最高温度は2000〜4000℃の範囲内である。
【0068】
上記アーク放電を継続したところ、反応容器内において放電場の下流側に、連続的に単層カーボンナノチューブを含む堆積物が生成された。
装置内壁に堆積した堆積物をブラシを用いて回収した。
【0069】
上記堆積物に対して63%硝酸水溶液を添加し、85℃で2日間反応(湿式酸化)させた後、遠心分離により単層カーボンナノチューブを沈殿物として回収した。
【0070】
得られた単層カーボンナノチューブ20mgに対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業社製)500mgと、0.005M水酸化ナトリウム水溶液100gとを添加混合し、超音波分散して、単層カーボンナノチューブ分散液を得た。超音波装置としては、エスエムテー社製「ULTRASONIC HOMOGENIZER MODEL UH-600SR」を用いた。得られた分散液に対して、中空糸膜(孔径200nm、膜面積105cm
2(SPECTRUM社製))を用いたクロスフロー濾過を実施した。これにより、不純固形物および繊維長が概ね0.5μm以下の短繊維単層カーボンナノチューブを除去した。
以上のようにして得られた単層カーボンナノチューブ分散液の走査型プローブ顕微鏡写真を
図3に示す。数平均長が1.8μm以上の長繊維単層カーボンナノチューブが得られている様子が確認された。
繊維長(数平均長)を測定したところ、2.7μmであった。
【0071】
(実施例2)
ヒータを用いて放電部の装置外壁(反応容器の胴部の外壁)を250℃に調温した以外は実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの合成、精製、および回収を実施した。
精製および回収後の単層カーボンナノチューブの繊維長(数平均長)を測定したところ、3.2μmであった。
【0072】
(比較例1)
陽極中の触媒原料の濃度(陽極中の触媒量)を15質量%とし、酸化剤を用いずに合成を行った以外は実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの合成、精製、および回収を実施した。
比較例1では、反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたときの触媒原料の量は、陽極中の触媒原料の濃度(陽極中の触媒量)に相当し、15質量%であった。
比較例1では、供給ガスとして第2の水蒸気添加ヘリウムガスの代わりにヘリウムガスを用いた。水分濃度は5ppm未満であった。
比較例1では、反応場中の炭素原料の量を100質量%としたときの酸化剤としての水の量は0質量%であった。
精製および回収後の単層カーボンナノチューブの繊維長(数平均長)を測定したところ、1.7μmであった。
【0073】
(比較例2)
水の供給速度を1.17×10
−4g/minとして合成を行った以外は実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの合成、精製、および回収を実施した。
比較例2では、反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたときの触媒原料の量は、陽極中の触媒原料の濃度(陽極中の触媒量)に相当し、4.5質量%であった。
比較例2では、反応場中の炭素原料の量を100質量%としたときの酸化剤としての水の量は0.06質量%であった。
精製および回収後の単層カーボンナノチューブの繊維長(数平均長)を測定したところ、1.5μmであった。
【0074】
(実施例1、2および比較例1、2の評価結果)
実施例1、2および比較例1、2の各例において、主な製造条件と評価結果を表1に示す。
表1中、10
−5は「E−05」、10
−4は「E−04」と表記してある(後記表5についても、同様。)。
【0075】
実施例1と比較例1との比較から、反応場に酸化剤である水を存在させることで、単層カーボンナノチューブを長繊維化できることが示された。
ただし、比較例2のように、酸化剤である水の量が過多では、単層カーボンナノチューブの長繊維化の効果が見られなかった。酸化剤の使用量が過多では、触媒ナノ粒子NPの表面が酸化剤で過度に酸化され、触媒活性が低下すると考えられる。
【0076】
実施例1と実施例2との比較から、放電部の装置外壁を加熱し、好ましくは100〜800℃の温度に調温することで、単層カーボンナノチューブをより効果的に長繊維化できることが示された。
【0077】
(実施例3)
陽極中の触媒原料の量(陽極中の触媒量)と第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度との組合せを変更する以外は実施例1と同様にして、単層カーボンナノチューブの合成、精製、および回収を実施した。
陽極中の触媒原料の量(陽極中の触媒量)は、3質量%、4.5質量%、および10質量%の3条件とした。
第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度は、150ppm、600ppm、および1000ppmの3条件とした。
3条件×3条件の組合せ、すなわち計9条件で単層カーボンナノチューブの合成を実施した。
陽極中の触媒量が3質量%(表5中、「Cat.3%」と略記。)のときの、アーク放電時の陽極材料中の炭素原料の蒸発速度は0.182g/minであった。
陽極中の触媒量が4.5質量%(表5中、「Cat.4.5%」と略記。)のときの、アーク放電時の陽極材料中の炭素原料の蒸発速度は0.180g/minであった。
陽極中の触媒量が10質量%(表5中、「Cat.10%」と略記。)のときの、アーク放電時の陽極材料中の炭素原料の蒸発速度は0.170g/minであった
第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度[ppm]、反応場への水供給量[g/min]、および、各触媒量条件における反応場中の炭素原料に対する水の量[質量%]の関係は、表5に示すとおりであった。
【0078】
<繊維長(数平均長)>
各組合せ条件について、精製および回収後の単層カーボンナノチューブの繊維長(数平均長)を測定した。評価結果を表2及び
図4Aに示す。
【0079】
<収率>
各組合せ条件について、精製および回収後の単層カーボンナノチューブの収率を表3及び
図4Bに示す。
【0080】
<抵抗値と透過率>
各組合せ条件について、精製および回収後の単層カーボンナノチューブの水分散液をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗工し、乾燥し、さらにメタノールを用いた洗浄により界面活性剤を除去することで、透明導電膜を得た。
得られた透明導電膜について、抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)を用いて測定し、透過率をヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH-5000」)を用いて測定し、抵抗値150Ω/□での透過率を求めた。評価結果を表4及び
図4Cに示す。
【0081】
(実施例3の評価結果)
実施例3では、いずれの条件においても、酸化剤である水の存在下で、単層カーボンナノチューブの合成を実施した。
【0082】
表2および
図4Aに示すように、触媒原料の量以外の条件が同一の条件においては、触媒原料の量が少なくなる程、単層カーボンナノチューブが長繊維化する傾向があった。
表3および
図4Bに示すように、触媒原料の量以外の条件が同一の条件においては、触媒原料の量が少なくなる程、収率が低下する傾向があった。
上記評価結果から、以下の点が示唆された。
単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できることから、
反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたとき、
触媒原料の量は好ましくは9質量%以下である。
単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化でき、良好な収率が得られることから、
反応場中の炭素原料と触媒原料との合計量を100質量%としたとき、
触媒原料の量はより好ましくは3〜9質量%であり、特に好ましくは3〜5質量%である。
【0083】
表2および
図4Aに示すように、第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度以外の条件が同一の条件において、第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度が150ppm、600ppm、1000ppmの3条件では、水分濃度が600ppm(反応場への水供給量=1.17×10
−5g/min、反応場中の炭素原料に対する水の量=0.01質量%)のときに、単層カーボンナノチューブが最も長繊維となった。
反応場中の炭素原料の量に対して酸化剤の使用量が過少あるいは過多では、単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できないことが分かった。
上記評価結果から、以下の点が示唆された。
単層カーボンナノチューブを効果的に長繊維化できることから、
反応場に、酸化剤としての水を、0.001〜0.05質量%存在させることが好ましく、0.005〜0.02質量%存在させることがより好ましく、0.005〜0.01質量%存在させることが特に好ましい。
【0084】
図4Aと
図4Cとの比較から、触媒量と第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度の変化に対する同一抵抗値の透明導電膜の透過率の大小変化は、触媒量と第2の水蒸気添加ヘリウムガス中の水分濃度の変化に対する単層カーボンナノチューブの繊維長(数平均長)の大小変化と同様の傾向を示した。
単層カーボンナノチューブの数平均長が長くなる程、単層カーボンナノチューブ同士の接点抵抗が低減され、導電率が向上する傾向がある。したがって、抵抗値が同じ条件(=導電率が同じ条件)であれば、透明導電膜に使用する単層カーボンナノチューブの量が少なくなり、透過率が向上する。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】