【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特定の実施形態の目的は、プランジャ要素と中間要素の接触領域との間で、潤滑剤を沿わせて流すことができるタイプの流体連通経路を断続的に提供する方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明の特定の実施形態の目的は、プランジャの動作サイクル中の1つまたは複数の時点で少なくとも瞬間的にタペットから離れるようにプランジャを偏倚させることである。
【0008】
本発明の特定の実施形態の目的は、構成要素部品上の並置される表面の間での腐食速度および摩耗速度を低下させるために、タペットなどの中間要素の接触領域とプランジャ要素の端部との間で潤滑剤を選択的に流すことができるポンプ組立体を提供することである。
【0009】
本発明の特定の実施形態の目的は、各負荷サイクルの前に新しい潤滑剤を用いて接触領域を洗い流すのを可能にすることによりポンプ組立体の腐食速度および摩耗速度を低下させることである。
【0010】
本発明の特定の実施形態の目的は、構成要素部品が負荷を受けていないときにポンプ組立体内の構成要素部品の間に小さい隙間を選択的に開くことである。
【0011】
本発明の特定の実施形態の目的は、ポンプ組立体内のプランジャ要素および中間要素の対向する表面の間にスクイズフィルム(squeeze film)を提供することである。
【0012】
本発明の特定の実施形態の目的は、ポンプ組立体のプランジャ要素とプランジャ要素に駆動力を提供する中間要素との間を潤滑する方法を提供することである。
【0013】
本発明の第1の態様によると、プランジャ要素とプランジャ要素を駆動させる中間要素の接触領域との間に流体連通経路を選択的に形成するための装置が提供され、この装置が、
第1の端部領域を備える細長いプランジャ要素と、
プランジャ要素の別の端部領域に選択的に当接してその別の端部領域を押圧するように構成される接触領域を備える中間要素と、
上記別の端部領域のばねシート部材と、を備え、ばねシート部材は、プランジャ要素の動作サイクルの一部分中に中間要素から離れるように別の端部領域を偏倚させることによって、上記別の端部領域の当接表面と上記接触領域との間に流体連通経路を形成する。
【0014】
適宜、中間要素が、ポンプ組立体のポンプハウジングのハウジング孔内で往復摺動動作を行うように受け入れられるタペットを備える。
【0015】
適宜、タペットが円筒形側壁および/またはその底部壁に少なくとも1つの貫通孔を備え、上記貫通孔が上記流体連通経路に接続される流体経路部分を形成する。
【0016】
適宜、流体連通経路が、プランジャ要素のリターンサイクルの終了時に上記当接表面と上記接触領域との間に潤滑流体を供給する。
【0017】
適宜、上記プランジャ要素の第1の端部領域がポンプ組立体のポンプヘッドのポンプ孔の閉端部(blind end)の中に配置可能であり、
中間要素が、上記当接表面に対して上記接触領域を押圧するようにポンプ組立体のカムまたはカムライダ要素によって駆動可能である駆動表面をさらに備える。
【0018】
適宜、装置が、ポンプ組立体のポンプヘッドから離れるようにばねシート要素の表面を押圧するリターンスプリング部材をさらに備える。
【0019】
適宜、ばねシート部材およびプランジャ要素が一体に形成されるか、または、ばねシート部材が上記プランジャ要素と共に移動するように上記プランジャ要素に固定される。
【0020】
本発明の第2の態様によると、ポンプ組立体が提供され、このポンプ組立体が、
軸方向に延在する開口部および上記開口部から概して径方向に延在する少なくとも1つのハウジング孔を備えるポンプハウジングと、
各ハウジング孔内に往復摺動動作を行うようにそれぞれ受け入れられる、内部チャンバ領域を備える少なくとも1つの中間要素と、
閉端部を有するポンプ孔を備え、上記ポンプハウジングに固定される少なくとも1つのポンプヘッドと、
各ポンプ孔によって形成されるポンピングチャンバ内の流体を加圧する第1の端部領域と、別の端部領域とを備え、各中間要素を介して使用時に駆動可能である、各チャンバ領域内にある細長いプランジャ要素と、
カム駆動シャフトと協働可能である内側表面および上記中間要素の駆動表面と協働可能である外側表面を有する、上記軸方向に延在する開口部内にあるカムおよび/またはカムライダ要素と、
別の端部領域の当接表面と上記接触領域との間に流体連通経路を形成するために、プランジャ要素の動作サイクルの一部分中に中間要素の接触領域から離れるように別の端部領域を偏倚させる、各プランジャ要素の別の端部領域にそれぞれ存在する少なくとも1つのばねシート部材と
を備える。
【0021】
適宜、ばねシート部材および上記プランジャ要素が一体に形成されるか、または、ばねシート部材が上記プランジャ要素と共に移動するように上記プランジャ要素に固定される。
【0022】
本発明の第3の態様によると、ポンプ組立体のプランジャ要素とプランジャ要素に駆動力を提供する中間要素との間を潤滑する方法が提供され、この方法が、
ポンプヘッドのポンプ孔の閉端部に対して第1の往復動作においてプランジャ要素の第1の端部領域を駆動させるステップであって、別の往復動作においてプランジャ要素の別の端部領域に近接する中間要素の接触領域を選択的に押圧することにより第1の端部領域を駆動させるステップと、
プランジャ要素の別の端部領域にあるばねシート部材を介して、プランジャ要素の動作サイクルの一部分中に中間要素から離れるようにプランジャ要素を偏倚させるステップと、
中間要素から離れるように別の端部領域が偏倚されるときに上記別の端部領域の当接表面と上記接触領域との間に潤滑流体を供給するステップと
を含む。
【0023】
適宜、本方法が、潤滑流体を介して、当接表面と上記接触領域との間を冷却し、当接表面と上記接触領域との間からデブリを除去することをさらに含む。
【0024】
適宜、本方法が、潤滑流体を介して、当接表面と上記接触領域との間にスクイズフィルム層を形成することをさらに含む。
【0025】
適宜、本方法が、プランジャ要素のサイクルごとに上記当接表面と上記接触領域との間の隙間を開閉することをさらに含む。
【0026】
適宜、サイクルの一部分が、ポンプ孔内の流体が膨張するときであるプランジャ要素のリターンサイクルの終了時を含み、上記第1の往復動作が、ポンプ孔内の流体が圧縮されるときであるポンプサイクル部分をさらに含む。
【0027】
適宜、本方法が、上記プランジャ要素と共に一体に形成されるばねシート部材を介して、または、上記プランジャ要素と共に移動するように上記プランジャ要素に固定されるばねシート部材を介して、別の端部領域を偏倚させることをさらに含む。
【0028】
本発明の特定の実施形態は、プランジャの端部とタペットなどの中間要素の接触領域との間に流体連通経路が提供されるという利点を提供する。これにより、対向する面の間の領域に潤滑剤を引き入れることと、冷却を行うことと、潤滑を行うことと、デブリを洗い流すこととが可能となる。また、これにより、対向する面が再び閉じるときに対向する面の間にスクイズフィルムが提供され、それにより、それ以外の場合の従来の既知のシステムで可能となるよりも長時間これらの面が分離されて維持される。このような長時間により、駆動動作および/または往復ポンピング動作の一部分として誘発される避けられない側方動作によって起こる摩耗が軽減される。
【0029】
本発明の特定の実施形態が、腐食および摩耗を低減するための、および、ポンプ組立体の高圧ヘッド内のデブリを除去するための方法を提供する。
【0030】
次いで、以下で、添付図面を参照しながら単に例として本発明の実施形態を説明する。