(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185994
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電気炉を利用した発電装置
(51)【国際特許分類】
F01K 27/00 20060101AFI20170814BHJP
F22B 1/28 20060101ALI20170814BHJP
F22B 37/30 20060101ALI20170814BHJP
F22G 1/16 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
F01K27/00 Z
F22B1/28 Z
F22B37/30 A
F22B37/30 L
F22G1/16
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-527358(P2015-527358)
(86)(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公表番号】特表2015-535319(P2015-535319A)
(43)【公表日】2015年12月10日
(86)【国際出願番号】KR2013004563
(87)【国際公開番号】WO2014027741
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年5月23日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0088344
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515039627
【氏名又は名称】ソ、ヨンホ
【氏名又は名称原語表記】SEO,Young Ho
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ヨンホ
【審査官】
佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第00/042293(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0005802(US,A1)
【文献】
米国特許第04399657(US,A)
【文献】
特開平04−324001(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/090778(WO,A1)
【文献】
特開2010−169356(JP,A)
【文献】
米国特許第04377737(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 1/00−27/02
F01D 13/00−25/36
F22B 1/00− 3/08
F22B 37/30
F22G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気に作る電気炉と、
前記電気炉で噴出される蒸気を案内する蒸気管と、
前記蒸気管の出口に配置されて、前記蒸気で可動されるタービンと、
前記タービンで可動されて電気を発生させる発電機と、
前記タービンを可動させた後排出される蒸気を凝縮させる復水器と、
前記復水器で凝縮された凝縮液を過熱させて、前記電気炉に供給する過熱器とを含み、
前記電気炉は、
水を収容するハウジングと、
外部から放熱棒を挿入することができるように、前記ハウジングに装着された複数の放熱棒容器と、
電気を利用して前記ハウジングに収容された水を加熱させるために、前記それぞれの放熱棒容器に挿入される複数の放熱棒と、
前記放熱棒容器を固定させることができるように前記ハウジングに装着された固定体とを備え、
前記放熱棒容器は、一端が前記ハウジングの外部に固定されるように前記ハウジングの外部から半径方向に挿入装着されて、前記ハウジングの円周方向に沿って複数が装着されて多層に形成され、
前記固定体は垂直方向に前記ハウジングの中心に固定設置されて、前記放熱棒容器の他端を固定させることを特徴とする電気炉を利用した発電装置。
【請求項2】
外部から放熱棒を挿入することができるように前記蒸気管に装着された複数の放熱棒容器と、
電気を利用して前記蒸気管に流れる蒸気を加熱させるために、前記蒸気管に装着されたそれぞれの放熱棒容器に挿入される複数の放熱棒とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電気炉を利用した発電装置。
【請求項3】
前記ハウジングの内部で発生された蒸気のみを前記蒸気管に送るために、蒸気を排出させることができる複数の貫通孔が形成された水蒸気濾板を前記ハウジングの上部で前記貫通孔が互いにずれるように多段で備えた気水分離器をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電気炉を利用した発電装置。
【請求項4】
前記水蒸気濾板は、前記貫通孔を囲むように垂直に突起された濾し突起が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の電気炉を利用した発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気炉を利用した発電装置に関するもので、より詳しくは、電気炉で電気を利用してお湯を沸し水蒸気を発生させた後、この水蒸気を利用してタービンを回して電気を発生させる電気炉を利用した発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
韓国の4大エネルギー構成源は石油、石炭、原子力、液化天然ガス(LNG)の順である。今後石油及び石炭の比重が減少する一方、原子力及びLNGの比重は増加されることと見込まれる。一方、代替エネルギーは技術水準及び市場基盤造成が充分でなく、現実的代案としてはまだ不十分であるが、政府の力強い政策意志及び支援政策の実行が至急な状況である。
【0003】
エネルギーの専門家たちは「50年後に石油が相当枯渇されるだろう」と予測し、「太陽光、風力、埋立ガス発電などの代替エネルギーの開発に拍車をかけなければならない」と主張している。しかし、韓国国内の代替エネルギーを活発に開発するためには、低い技術レベル、専門人力の不足、投資規模の不十分などの問題を至急解決しなければならないと指摘されている。
【0004】
現在、火力発電の場合、公害及び環境破壊を誘発するなどの問題点を有し、原子力発電の場合、チェルノブイリと福島原発事故のような莫大な危険性を抱いていながらも全世界的に原子力の発電を使っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決するためのものである。本発明は火力発電と原子力発電の問題点を補完することができる新概念の電力発電所であって、1次的に深夜電気を利用して発電した後、発電した電気(2次)を再利用(Peedback)して発電することができる方法を提供することを目的とする。この時、電気炉内に放熱管が装着される場合、熱効率を非常に高めることができ、蒸気の高温高圧装置も充分調整可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電気炉を利用した発電装置は、電気炉と、蒸気管と、タービンと、発電機と、復水器と、過熱器とを含む。上記電気炉は水を加熱して蒸気に作る。上記蒸気管は上記電気炉で噴出される蒸気を案内する。上記タービンは上記蒸気管の出口に配置されて上記蒸気で可動される。上記発電機は上記タービンで可動されて電気を発生させる。上記復水器は上記タービンを可動させた後排出される蒸気を凝縮させる。上記過熱器は上記復水器で凝縮された凝縮液を過熱させて上記電気炉に供給する。
【0007】
また、上記電気炉を利用した発電装置において、上記電気炉は、ハウジングと、複数の放熱棒容器と、複数の放熱棒と、固定体とを備えることが好ましい。上記ハウジングは水を収容する。上記放熱棒容器は外部から放熱棒を挿入することができるように上記ハウジングに装着される。上記放熱棒は電気を利用して上記ハウジングに収容された水を加熱させるために、上記それぞれの放熱棒容器に挿入される。上記固定体は上記放熱棒容器を固定させることができるように上記ハウジングに装着される。
【0008】
また、上記電気炉を利用した発電装置において、上記放熱棒容器は一端が上記ハウジングの外部に固定されるように上記ハウジングの外部から半径方向に挿入装着されて、上記ハウジングの円周方向に沿って複数が装着されて多層に形成されることが好ましい。この場合、上記固定体は垂直方向に上記ハウジングの中心に固定設置されて上記放熱棒容器の他端を固定させる。
【0009】
また、上記電気炉を利用した発電装置は、複数の放熱棒容器と、複数の放熱棒とをさらに含むことが好ましい。上記放熱棒容器は外部から放熱棒を挿入することができるように上記蒸気管に装着される。そして、放熱棒は電気を利用して上記蒸気管に流れる蒸気を加熱させるために上記蒸気管に装着されたそれぞれの放熱棒容器に挿入される。
【0010】
また、上記電気炉を利用した発電装置は気水分離器をさらに含むことが好ましい。この場合、気水分離器は上記ハウジングの内部で発生された蒸気のみを上記蒸気管に送るために蒸気を排出させることができる複数の貫通孔が形成された水蒸気濾板を上記ハウジングの上部で上記貫通孔が互いにずれるように多段で備える。
【0011】
また、上記電気炉を利用した発電装置において、上記水蒸気濾板は上記貫通孔を囲むように垂直に突起された濾し突起が形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、深夜電力を使って電気炉のお湯を沸して水蒸気を発生させて電気を生産することができる。それにより、火力発電や原子力発電で発生する公害及び環境破壊の問題点を誘発させないで発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による電気炉を利用した発電装置の一実施例の概念図である。
【
図2】
図1に示した実施例の電気炉の概念図である。
【
図3】
図1に示した実施例の電気炉に装着された放熱棒容器及び放熱棒の概念図である。
【
図4】
図1に示した実施例の水蒸気濾板の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図5を参照して本発明による電気炉を利用した発電装置の一実施例を説明する。
【0015】
本発明による電気炉を利用した発電装置は、電気炉10と、気水分離器15と、蒸気管20と、タービン25と、発電機30と、復水器35と、過熱器40とを含む。
【0016】
電気炉10は水を加熱して高温・高圧蒸気に作る。このために、電気炉10はハウジング11と、複数の放熱棒容器14と、複数の放熱棒12と、固定体13とを備える。
【0017】
ハウジング11は水を収容する。放熱棒12はハウジング11に装着されて、電気を利用してハウジング11に収容された水を加熱させて蒸気に作る。このために、放熱棒12がハウジング11に装着されることができるように放熱棒容器14がハウジング11に設置される。
【0018】
放熱棒容器14は、放熱棒12を装着させる役割を果たし、放熱棒12が外部から装着されることができるように、一端14aがハウジング11の外部に固定されるように、ハウジング11の外部から半径方向に挿入装着される。そして、放熱棒容器14がハウジング11の円周方向に沿って円周方向に複数が装着され、円周方向に沿って複数装着されたものが多段に形成される。この時、水が加熱されて蒸気になると、放熱棒容器14が蒸気によって揺れることがある。これを防止するために、固定体13はハウジング11の内部で放熱棒容器12を固定させる役割を果たす。固定体13はハウジング11の中心で垂直方向に設置されて、放熱棒容器14の他端12bを固定させる。即ち、固定体13はハウジング11の中心で垂直に立てられて固定され、放熱棒容器14の他端12bが固定体13に固定される。そして、固定体13の上部は揺れないようにハウジング11に固定される。このようにして放熱棒12は外部から放熱棒容器14に挿入して装着させることができる。放熱棒12を長時間使用すると寿命になり取り替らなければならない。この場合、放熱棒容器14から分離して放熱棒12を取り替えることができる。放熱棒12に電気が供給されると、放熱棒12が加熱されてハウジング11の内部の水を加熱させて蒸気に作る。
【0019】
気水分離器15はハウジング11の内部に蒸気が発生した場合、蒸気のみを濾して蒸気管20に送る役割を果たす。このために、気水分離器15は多段の水蒸気濾板16を備える。
【0020】
水蒸気濾板16は複数の貫通孔17が形成され、貫通孔17から蒸気が噴出されることができる。そして水蒸気濾板16には貫通孔17を囲むように垂直に突起された濾し突起18が形成される。水蒸気濾板16はハウジング11の上部で多段に設置され、この時水蒸気濾板16で貫通孔17が互いにずれるように水蒸気濾板16が設置される。このようにして、ハウジング11でお湯が沸いて貫通孔17から出る場合、1次的に濾し突起18にぶつかって水分の一部は濾し突起18に宿り、残りは貫通孔17から出る。一方、水蒸気濾板16が多段に形成され、この時、貫通孔17が互いにずれるように形成されているので、各段の貫通孔17を出ながら水分は除去され、蒸気のみ蒸気管20で噴出されることができる。図面には示していないが、この時、水蒸気濾板16は若干ドーム形式に突出して形成されることが好ましい。この場合、さらに蒸気を集めて排出させることができる。
【0021】
蒸気管20はハウジング11で発生した蒸気をタービン25に案内する役割を果たす。この時、蒸気管20には蒸気の温度及び圧力を高めるために、蒸気管20で排出される蒸気を加熱させる必要がある。このために、蒸気管20にも複数の放熱棒容器14と複数の放熱棒12が設置される。この時、放熱棒容器14は蒸気の流れによって揺れることを防止するために、その両端が蒸気管20に固定されるように設置される。放熱棒容器14が蒸気管20に固定されると、放熱棒12を外部から放熱棒容器14に挿入して装着させることができる。蒸気管20に設置された放熱棒12は蒸気管20に流れる蒸気を加熱させて蒸気の圧力と温度を高める。一方、放熱棒容器14を蒸気管20に設置する時、放熱棒容器14の入口を互いにずれるように設置することが好ましい。
【0022】
タービン25は蒸気管20の出口に設置されて、蒸気管20で排出される蒸気によって可動される。
【0023】
発電機30はタービン25で作動して電気を生産することができるようにタービン25に連結される。
【0024】
復水器35はタービン25を可動させた後、タービン25で排出された蒸気を水で冷却させる。
【0025】
過熱器40は復水器35で冷却された水を加熱して電気炉10に供給する。タービン25、発電機20、復水器35及び過熱器40は従来の発電装置と同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0026】
電気炉10のハウジング11の内部の放熱棒12が加熱されると、ハウジング11に収容された水が加熱されて蒸気が発生される。蒸気が発生する場合、上昇気流が発生して放熱棒12が揺れることができるが、放熱棒12は放熱棒容器14に設置され、放熱棒容器14の一端14aはハウジング11に固定され、他端14bは固定体13に固定されているので、放熱棒容器14が揺れることを防止することができる。
【0027】
ハウジング11で発生された蒸気は水蒸気濾板16の貫通孔17から排出され、多段で設置された水蒸気濾板16の貫通孔17を通過しながら蒸気のみ排出されて蒸気管20に流入される。蒸気管20に流入された蒸気は蒸気管20に設置された放熱棒12によって蒸気管20で蒸気がもう一度加熱されて温度及び圧力が上昇される。蒸気管20を通過しながら圧力が上昇された蒸気はタービン25で排出されてタービン25を作動させる。それにより、タービン25は発電機30を作動させて電気を生産する。
【符号の説明】
【0028】
10:電気炉
11:ハウジング
12:放熱棒
13:固定体
14:放熱棒容器
14a:放熱棒容器の一端
14b:放熱棒容器の他端
15:気水分離器
16:水蒸気濾板
17:貫通孔
18:濾し突起
20:蒸気管
25:タービン
30:発電機
35:復水器