特許第6186004号(P6186004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186004
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】紙葉類集積装置、及び紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20170814BHJP
   B65H 29/40 20060101ALI20170814BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65H5/36
   B65H29/40
   G07D9/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-544710(P2015-544710)
(86)(22)【出願日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2013079514
(87)【国際公開番号】WO2015063908
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2015年9月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝男
(72)【発明者】
【氏名】南新 勇人
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄二
(72)【発明者】
【氏名】林 諭志
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−070018(JP,A)
【文献】 特開2008−143633(JP,A)
【文献】 特開平02−043165(JP,A)
【文献】 実開昭62−191748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 29/38−29/40
B65H 29/52
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収容する収容部と、
羽根車本体及び前記羽根車本体の外周に設けられた複数の羽根を有し、互いに隣接する前記羽根の間に挿入された前記紙葉類を回転しながら搬送する羽根車と、
互いに対向するように配置され、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1のガイド部及び第2のガイド部と、
前記羽根車へと搬送される前記紙葉類の通過を検知する通過検知センサと、
前記第1のガイド部を、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1の位置と、前記羽根の間に挿入された前記紙葉類との干渉を回避する第2の位置とに移動させる駆動部と、
前記通過検知センサによる前記紙葉類の検知結果に基づき、前記第1のガイド部を前記第1の位置と前記第2の位置とに移動させる制御を前記駆動部に対し行う制御部と、を備え、
前記第1のガイド部は、前記紙葉類の搬送方向の先端部分に、先端に近づくほど前記第2のガイド部から遠ざかるように傾斜している先端傾斜部を有し、前記第2のガイド部よりも前記羽根車の回転方向の下流側に位置し、
前記通過検知センサは、前記羽根車よりも前記紙葉類の前記搬送方向における上流側に位置し、
前記制御部は、前記紙葉類の前記搬送方向における前端が前記通過検知センサにより検知されてから所定時間経過後に、前記紙葉類の前記前端が前記羽根の間に侵入すると判断し、前記前端が前記羽根の間に侵入すると判断した後、前記第1のガイド部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる制御を行い、
前記制御部は、前記紙葉類の前記搬送方向における後端が前記通過検知センサにより検知されてから所定時間経過後に、前記紙葉類の前記後端が前記第1のガイド部と前記第2のガイド部との間から抜け出たと判断し、前記後端が前記第1のガイド部と前記第2のガイド部との間から抜け出たと判断した後、前記第1のガイド部を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる制御を行う、
ことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項2】
前記第1のガイド部は、前記紙葉類の前記搬送方向における前記第1のガイド部の上流側の端部に位置する回動軸を中心に回動することで、前記第1の位置と前記第2の位置とに移動することを特徴とする請求項1記載の紙葉類集積装置。
【請求項3】
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路により搬送される前記紙葉類を集積する紙葉類集積装置と、を含み、
前記紙葉類集積装置は、
前記紙葉類を収容する収容部と、
羽根車本体及び前記羽根車本体の外周に設けられた複数の羽根を有し、互いに隣接する前記羽根の間に挿入された前記紙葉類を回転しながら搬送する羽根車と、
互いに対向するように配置され、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1のガイド部及び第2のガイド部と、
前記羽根車へと搬送される前記紙葉類の通過を検知する通過検知センサと、
前記第1のガイド部を、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1の位置と、前記羽根の間に挿入された前記紙葉類との干渉を回避する第2の位置とに移動させる駆動部と、
前記通過検知センサによる前記紙葉類の検知結果に基づき、前記第1のガイド部を前記第1の位置と前記第2の位置とに移動させる制御を前記駆動部に対し行う制御部と、を備え、
前記第1のガイド部は、前記紙葉類の搬送方向の先端部分に、先端に近づくほど前記第2のガイド部から遠ざかるように傾斜している先端傾斜部を有し、前記第2のガイド部よりも前記羽根車の回転方向の下流側に位置し、
前記通過検知センサは、前記羽根車よりも前記紙葉類の前記搬送方向における上流側に位置し、
前記制御部は、前記紙葉類の前記搬送方向における前端が前記通過検知センサにより検知されてから所定時間経過後に、前記紙葉類の前記前端が前記羽根の間に侵入すると判断し、前記前端が前記羽根の間に侵入すると判断した後、前記第1のガイド部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる制御を行い、
前記制御部は、前記紙葉類の前記搬送方向における後端が前記通過検知センサにより検知されてから所定時間経過後に、前記紙葉類の前記後端が前記第1のガイド部と前記第2のガイド部との間から抜け出たと判断し、前記後端が前記第1のガイド部と前記第2のガイド部との間から抜け出たと判断した後、前記第1のガイド部を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる制御を行う、
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記紙葉類集積装置は、前記紙葉類取扱装置において一時的に前記紙葉類を収容する一時収容部であり、前記収容部に収容された前記紙葉類を前記搬送路に繰出す繰出し手段を更に備えることを特徴とする請求項3記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類(例えば、紙幣、小切手、有価証券など)を集積する紙葉類集積装置、及び、この紙葉類集積装置を備える紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)などの紙葉類取扱装置において、紙幣、小切手、有価証券などの紙葉類を集積する紙葉類集積装置が配置されている。このような紙葉類集積装置において、搬送される紙葉類を、羽根車の互いに隣接する羽根の間に受け入れて回転搬送し、集積部に集積する技術が知られている。羽根車を用いた集積装置は、サイズの異なる複数種類の紙葉類を整列させる能力に優れている。
【0003】
羽根車を用いた集積装置において、紙葉類を羽根車までガイドするガイド手段と、紙葉類のサイズに応じてガイド手段を退避させる退避手段とを備える集積装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、印刷機の排紙装置に関する技術ではあるが、羽根車を挟んで位置する一対の紙ガイド部材が位置調整可能に取り付けられる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−143633号公報
【特許文献2】実開昭62−191748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3A及び図3Bは、第1の参考技術に係る紙葉類集積装置110を示す側面図である。
【0007】
図3A及び図3Bに示す紙葉類集積装置110は、収容部111と、羽根車112と、第1のガイド部113と、第2のガイド部114と、搬送ローラ115と、を備える。
【0008】
収容部111には、羽根車112により搬送された紙幣100が斜めに積み重ねられていく。収容部111に収容された紙幣100は、搬送方向(矢印D11)における前端100aが斜め下向きで、後端100bが斜め上向きに位置する。
【0009】
羽根車112は、羽根車本体112aと、この羽根車本体112aの外周に設けられた複数の羽根112bと、を有する。羽根車112は、回転軸112cを中心に回転しながら(矢印D12)、互いに隣接する羽根112bの間に挿入された紙幣100を搬送する。
【0010】
第1のガイド部113及び第2のガイド部114は、羽根車112の上流に互いに対向するように配置されている。また、第1のガイド部113及び第2のガイド部114は、搬送ローラ115により羽根車112に向けて搬送される紙幣100をガイドする。なお、第1のガイド部113は、第2のガイド部114よりも羽根車112の回転方向(矢印D12)の下流側(図3A及び図3Bでは右上側)に位置する。
【0011】
第1のガイド部113の搬送方向(矢印D11)の下流側の先端部分には、先端に近づくほど第2のガイド部114から遠ざかるように傾斜した先端傾斜部113aが形成されている。
【0012】
先端傾斜部113aは、第2のガイド部114との間隔が大きくなるように傾斜するほど、羽根112bの間に侵入するまで十分に紙幣100をガイドすることができない。そのため、特に、前端100aが反っているなどの変形した紙幣100が、図3BのA部に示すように、羽根112bの間に侵入することができず、ジャムや収容部111における不整列が起こり得る。このような集積装置110におけるジャムや不整列は、係員による紙幣100の除去などの作業を必要とする。
【0013】
図4は、第2の参考技術に係る紙葉類集積装置120を示す側面図である。
図4に示す紙葉類集積装置120は、第1のガイド部123の先端傾斜部123aが図3A及び図3Bに示す第1のガイド部113の先端傾斜部113aよりも第2のガイド部114との間隔が小さくなるように傾斜する点のみにおいて図3A及び図3Bに示す紙葉類集積装置110と相違する。
【0014】
図4に示す先端傾斜部123aは、図3A及び図3Bに示す先端傾斜部113aと比較して、大きく開放していないため、紙幣100を羽根112bに侵入するまで、より十分にガイドすることができる。しかし、図4のB部に示すように、前端100aが羽根112bの間に侵入した紙幣100は、後端100b側の部分において先端傾斜部123aに接触して、紙幣100が羽根112bの間から脱落することがある。これにより、図4に示す紙葉類集積装置120においても、図3A及び図3Bに示す紙葉類集積装置110と同様に、ジャムや収容部111における不整列が起こり得る。
【0015】
このような紙葉類集積装置110,120におけるジャムや不整列は、羽根車112へ侵入するまでの紙幣100の確実なガイドと、羽根112bに侵入した紙幣100の第1のガイド部113に対する接触の回避とを両立させることが困難であることにより生ずる。そのため、上記のような、紙葉類を羽根車までガイドするガイド手段と、紙葉類のサイズに応じてガイド手段を退避させる退避手段とを備える集積装置(例えば、特許文献1参照)においても同様の問題が起こり得る。
【0016】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、紙葉類を確実に集積することができる紙葉類集積装置及び紙葉類取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
開示の紙葉類集積装置は、紙葉類を収容する収容部と、羽根車本体及び前記羽根車本体の外周に設けられた複数の羽根を有し、互いに隣接する前記羽根の間に挿入された前記紙葉類を回転しながら搬送する羽根車と、互いに対向するように配置され、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1のガイド部及び第2のガイド部と、を備え、前記第1のガイド部は、前記第2のガイド部よりも前記羽根車の回転方向の下流側に位置し、前記第1のガイド部は、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1の位置と、前記羽根の間に挿入された前記紙葉類との干渉を回避する第2の位置とに移動する。
【0018】
開示の紙葉類取扱装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、前記搬送路により搬送される前記紙葉類を集積する紙葉類集積装置と、を含み、前記紙葉類集積装置は、前記紙葉類を収容する収容部と、羽根車本体及び前記羽根車本体の外周に設けられた複数の羽根を有し、互いに隣接する前記羽根の間に挿入された前記紙葉類を回転しながら搬送する羽根車と、互いに対向するように配置され、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1のガイド部及び第2のガイド部と、を備え、前記第1のガイド部は、前記第2のガイド部よりも前記羽根車の回転方向の下流側に位置し、前記第1のガイド部は、前記羽根車に向けて搬送される前記紙葉類をガイドする第1の位置と、前記羽根の間に挿入された前記紙葉類との干渉を回避する第2の位置とに移動する。
【発明の効果】
【0019】
開示の紙葉類集積装置及び紙葉類取扱装置によれば、紙葉類を確実に集積することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】実施の形態に係る紙葉類取扱装置の内部構造を示す側面図(その1)である。
図1B】実施の形態に係る紙葉類取扱装置の内部構造を示す側面図(その2)である。
図2A】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その1)である。
図2B】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その2)である。
図2C】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その3)である。
図2D】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その4)である。
図2E】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その5)である。
図2F】実施の形態に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その6)である。
図3A】第1の参考技術に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その1)である。
図3B】第1の参考技術に係る紙葉類集積装置を示す側面図(その2)である。
図4】第2の参考技術に係る紙葉類集積装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態に係る紙葉類取扱装置及び紙葉類集積装置について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1A及び図1Bは、実施の形態に係る紙葉類取扱装置1の内部構造を示す側面図である。なお、図1Aに示す搬送経路D1,D2及び図1Bに示す搬送経路D3,D4は、搬送路50における紙幣100の流れを表すものである。
【0023】
図1A及び図1Bに示す紙葉類取扱装置1は、紙葉類集積装置10と搬送路50とを備える。例えば、紙葉類取扱装置1は、入出金部モジュール20、上部モジュール30、及び下部モジュール40の計3つのモジュールを組立てられて構成されている。
【0024】
入出金部モジュール20は、上部モジュール30の前方側(図1A及び図1Bでは右側)の上部に配置されている。入出金部モジュール20は、入金部21と、出金部22とを有する。なお、入出金部モジュール20には、後述する紙葉類集積装置10が配置されている。
【0025】
入金部21は、顧客により投入される紙幣100を受け入れる。紙幣100は、紙葉類の一例である。紙葉類としては、紙幣100に限らず、小切手、有価証券などを用いることもできる。
【0026】
出金部22は、紙葉類取扱装置1の外部へ排出される紙幣100、すなわち顧客へ返却される紙幣100を紙葉類取扱装置1の内部から受け入れる。
【0027】
上部モジュール30は、下部モジュール40の上部に配置されている。上部モジュール30は、鑑別部31を有する。この鑑別部31は、搬送路50における紙幣100の搬送経路中(図1Aに示す搬送経路D1,D2及び図1Bに示す搬送経路D3,D4)に配置されている。鑑別部31は、紙幣100が正常券であるか受付不可券(偽券など)であるかを鑑別する。
【0028】
下部モジュール40は、紙幣100が収容される第1〜第4のカセット41〜44と、リジェクトボックス45とを有する。第1〜第4のカセット41〜44及びリジェクトボックス45は、下部モジュール40のほぼ全体を占めるように配置され、各々に紙幣100が積層された状態で収容される。
【0029】
例えば、第1〜第4のカセット41〜44には再利用される紙幣100が収容され、リジェクトボックス45には汚れや破損があるために再利用されない紙幣100が収容される。
【0030】
搬送路50は、入出金部モジュール20と、上部モジュール30と、下部モジュール40とに亘って配置されている。搬送路50においては、駆動ローラ又は従動ローラである搬送ローラ51によって紙幣100が搬送される。もちろん、搬送ベルトなどの他の搬送手段が紙幣100を搬送してもよい。
【0031】
図1Aに示すように、搬送路50においては、入金部21から鑑別部31へと搬送された紙幣100が鑑別部31により正常券であると判断されると、紙幣100は、紙葉類集積装置10へと搬送される(搬送経路D1)。また、鑑別部31により受付不可券であると判断された紙幣100は、出金部22へと搬送される(搬送経路D2)。尚、受付不可券とは、紙幣でない券や所定以上に汚れや破損度の大きく正常と読み取れない紙幣等を示す。
【0032】
その後、顧客の操作により紙葉類集積装置10にある正常券のみ預金又は貯金する指示があった場合には、図1Bに示すように、紙葉類集積装置10に一時的に収容された紙幣100は、再び鑑別部31を通過するように搬送される。このときの鑑別部31による鑑別で再利用できると鑑別された紙幣100は、第1〜第4のカセット41〜44へと搬送される(搬送経路D3)。また、再利用しない紙幣或いは汚れなどがあり交換が必要な紙幣と鑑別された紙幣100は、リジェクトボックス45へと搬送される(搬送経路D4)。
【0033】
なお、紙葉類集積装置10は、紙葉類取扱装置1において一時的に紙幣100を収容する一時収容部として配置されている。但し、紙葉類集積装置10は、紙幣100を収容するものであれば、第1〜第4のカセット41〜44やリジェクトボックス45などの他の装置として配置されてもよい。
【0034】
図2A図2Fは、実施の形態に係る紙葉類集積装置10を示す側面図である。
図2A図2Fに示す紙葉類集積装置10は、収容部11と、羽根車12と、第1のガイド部13と、第2のガイド部14と、第3のガイド部15と、通過検知センサ16と、駆動部17と、制御部18と、繰出しローラ19と、を備える。
【0035】
収容部11は、第1の収容プレート11aと第2の収容プレート11bとを有し、紙幣100を収容する(図2E図2F参照)。
【0036】
第1の収容プレート11aは、羽根車本体12aから第2の収容プレート11bの近傍に亘って配置されている。そして、第1の収容プレート11aは、羽根車12により搬送される紙幣100を、紙幣100の前端100aに当接した状態で第2の収容プレート11b側までガイドする。
【0037】
なお、第1の収容プレート11aは、羽根車12の羽根12bと干渉しないように、搬送方向(搬送経路D1)に延び互いに間隔を隔てて位置する複数の帯状の板材により形成するとよい。或いは、第1の収容プレート11aは、羽根12bとの干渉部分を切り欠いて形成されていてもよい。
【0038】
第2の収容プレート11bは、第1の収容プレート11aと直交するように配置されている。第2の収容プレート11bには、第1の収容プレート11aによりガイドされた紙幣100が斜めに積み重ねられていく。収容部11に収容された紙幣100は、搬送方向(搬送経路D1)における前端100aが斜め下向きで、後端100bが斜め上向きに位置する。
【0039】
羽根車12は、円板状又は円柱状の羽根車本体12aと、この羽根車本体12aの外周に設けられた複数の羽根12bと、を有する。複数の羽根12bは、羽根車本体12aの外周面の周方向に等間隔に配置され、全体として渦巻き状をなすようにそれぞれが湾曲して形成されている。羽根12bは、可撓性を有する。
【0040】
羽根車12は、回転軸12cを中心に、回転しながら(矢印D5:図2A図2Fでは時計回り)、互いに隣接する羽根12b−1,12b−2(図2C図2E参照)の間に挿入された紙幣100を搬送する。紙幣100が羽根12bの間から抜け落ちないように、羽根12bの表面の摩擦係数は高いことが望ましい。なお、羽根車12は、共通の回転軸12cに複数配置(例えば、図2A図2Fの紙面に直交する方向に並列配置)されていて、複数の羽根車12が協働して単一の紙幣100を搬送してもよい。
【0041】
第1のガイド部13及び第2のガイド部14は、互いに対向するように配置され、羽根車12に向けて搬送される紙幣100をガイドする。なお、第1のガイド部13は、第2のガイド部14よりも羽根車12の回転方向(矢印D5)の下流側(図2A図2Fでは右上側)に位置する。また、第1のガイド部13は、第3のガイド部15の搬送方向(搬送経路D1)における前方(進行方向)側に位置する。そして、第1のガイド部13及び第3のガイド部15の両方が、第2のガイド部14に対向して位置する。
【0042】
第1のガイド部13、第2のガイド部14、及び第3のガイド部15は、図1A及び図1Bに示す紙葉類取扱装置1の搬送路50の一部であってもよい。搬送路50の搬送ローラ51は、第1のガイド部13、第2のガイド部14、及び第3のガイド部15にも配置され、紙幣100を羽根車12へと搬送する(搬送経路D1)。
【0043】
なお、第1のガイド部13及び第2のガイド部14は、第1の収容プレート11aと同様に、羽根車12の羽根12bと干渉しないように、搬送方向(搬送経路D1)に延び互いに間隔を隔てて位置する複数の帯状の板材により形成するとよい。或いは、第1のガイド部13及び第2のガイド部14は、羽根12bとの干渉部分を切り欠いて形成されていてもよい。
【0044】
第1のガイド部13は、搬送方向(搬送経路D1)における第1のガイド部13の上流側の端部に位置する回動軸13aを中心に所定角度内の範囲を回動(両方向に回転)する。これにより、第1のガイド部13は、第1の位置P1(図2A図2B、及び図2F参照)と第2の位置P2(図2C図2E)とに移動する。
【0045】
第1のガイド部13は、図2A図2B、及び図2Fに示す第1の位置P1において、羽根車12に向けて搬送される紙幣100をガイドする。また、第1のガイド部13は、図2C図2Eに示す第2の位置P2において、羽根12bの間に挿入された紙幣100の後端100b側との干渉を回避する。
【0046】
なお、第1のガイド部13は、第1の位置P1と第2の位置P1との間を、回動軸13aを中心に回動するのではなく、第2のガイド部14に接近又は離隔する方向などにスライド移動するようにしてもよい。また、第1のガイド部13は、第1の位置P1及び第2の位置P2とは異なる他の位置に更に移動してもよく、移動範囲は第1の位置P1と第2の位置P2との間に限られない。例えば、第1のガイド部13は、第2の位置P2よりも第1の位置P1に接近又は離隔した他の位置に移動してもよい。
【0047】
第1のガイド部13には、搬送方向(搬送経路D1)の先端部分に、先端傾斜部13bが形成されている。この先端傾斜部13bは、先端に近づくほど第2のガイド部14から遠ざかるように傾斜している。
【0048】
通過検知センサ16は、羽根車12へと搬送される紙幣100の通過を検知する。例えば、通過検知センサ16は、第2のガイド部14及び第3のガイド部15を挟み込むように発行部分と受光部分とが配置され、検知用の光が紙幣100により遮断されることで、紙幣100の通過を検知する。
【0049】
なお、通過検知センサ16は、図2A図2Fの位置より上流側に配置され、紙幣100が第1のガイド部13、第2のガイド部14、及び第3のガイド部15に搬送されてくる前に(例えば、図1A及び図1Bに示す搬送路50において)紙幣100の通過を検知してもよい。
【0050】
駆動部17は、第1のガイド部13を、回動軸13aを中心に回動させることで、第1の位置P1と第2の位置P2とに移動させる。例えば、駆動部17は、駆動源及びその駆動力を伝達する伝達機構である。
【0051】
制御部18は、通過検知センサ16による紙幣100の検知結果に基づき、第1のガイド部13を第1の位置P1と第2の位置P2とに移動させる制御を駆動部17に対し行う。例えば、制御部18は、紙葉類集積装置10又は紙葉類取扱装置1の各部を制御する制御回路基板又はコンピュータである。
【0052】
また、詳しくは後述するが、制御部18は、紙幣100の検知結果に基づき、図2B及び図2Cに示すように紙幣100の搬送方向(搬送経路D1)における前端100aが羽根車12の羽根12bの間に侵入したこと、及び、図2E及び図2Fに示すように紙幣100の搬送方向(搬送経路D1)における後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出たことを判断する。そして、制御部18は、その判断に応じて第1のガイド部13を第1の位置P1と第2の位置P2とに移動させる制御を行う。
【0053】
繰出しローラ19は、収容部11において複数配置され、収容部11に収容された紙幣100を例えば図1Bに示す搬送路50(例えば、第1〜第4のカセット41〜44及びリジェクトボックス45へと続く搬送経路D3,D4)に繰出すように回転する。繰出しローラ19は、繰出し手段の一例である。
【0054】
次に、紙葉類集積装置10における紙幣100の集積について、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら、図2A図2Fを参照しながら説明する。
【0055】
まず、図2Aに示すように、搬送ローラ51が第2のガイド部14と第3のガイド部15との間において紙幣100を搬送する。そして、通過検知センサ16が紙幣100の前端100aを検知する。
【0056】
制御部18は、紙幣100の前端100aが通過検知センサ16により検知されてから所定時間経過後に、図2Bに示すように紙幣100の前端100aが羽根車12の羽根12bの間に侵入すると判断する。
【0057】
紙幣100の前端100aが羽根12bの間に侵入したと制御部18が判断すると、制御部18は、第1のガイド部13を図2Bに示す第1の位置P1から図2Cに示す第2の位置P2へ移動させる制御を駆動部17に対し行う。
【0058】
なお、通過検知センサ16は、紙幣100の前端100aが羽根12bの間に侵入する位置において、紙幣100の通過を検知してもよい。その場合、制御部18は、通過検知センサ16が紙幣100の通過を検知した時点で、前端100aが羽根車12の羽根12bの間に侵入したと判断することができる。
【0059】
また、制御部18は、紙幣100の前端100aだけでなく、より広い範囲に亘って羽根12bの間に侵入したと判断した後、第1のガイド部13を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させる制御を行ってもよい。また、制御部18は、紙幣100の前端100aが羽根12bの間に侵入する直前に第1のガイド部13を第1の位置P1から第2の位置P2に移動させてもよいが、前端100aが羽根12bの間に侵入した後に第1のガイド部13を移動させることがより望ましい。
【0060】
その後、羽根車12は、互いに隣接する羽根12b−1,12b−2の間に挿入された紙幣100を、回転しながら(矢印D5)収容部11へと搬送する。その後、図2Dに示すように、紙幣100の後端100bが通過検知センサ16により検知される。
【0061】
制御部18は、紙幣100の後端100bが通過検知センサ16により検知されてから所定時間経過後に、図2Eに示すように紙幣100の後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出たと判断する。なお、通過検知センサ16は、紙幣100の後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出る位置において紙幣100の通過を検知してもよい。その場合、制御部18は、通過検知センサ16が紙幣100の通過を検知した時点で、後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出たと判断することができる。
【0062】
紙幣100の後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出たと制御部18が判断すると、制御部18は、第1のガイド部13を図2Eに示す第2の位置P2から図2Fに示す第1の位置P1へ移動させる制御を駆動部17に対し行う。なお、制御部18は、後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出る直前に第1のガイド部13を第2の位置P2から第1の位置P1に移動させてもよいが、後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出た後に第1のガイド部13を移動させることがより望ましい。
【0063】
そして、第1のガイド部13は、第1の位置P1において、次に搬送されてくる紙幣100をガイドする。また、羽根車12により収容部11へと搬送された紙幣100は、収容部11において一時的に収容され、その後、繰出しローラ19及び図1Bに示す搬送ローラ51によって第1〜第4のカセット41〜44及びリジェクトボックス45へと搬送される(搬送経路D3,D4)。
【0064】
以上説明した実施の形態では、第1のガイド部13は、第2のガイド部14よりも羽根車12の回転方向(矢印D5)の下流側に位置する。また、第1のガイド部13は、羽根車12に向けて搬送される紙幣(紙葉類の一例)100をガイドする第1の位置P1と、羽根車12の羽根12bの間に挿入された紙幣100との干渉を回避する第2の位置P2とに移動する。
【0065】
そのため、第1のガイド部13は、第1の位置P1において、前端100aが反っているなどの変形した紙幣100であっても羽根車12に搬送されるのを十分にガイドすることができる。また、第1のガイド部13は、第2の位置P2において、羽根12bの間に挿入された紙幣100に接触するのを防ぐことができる。これらにより、紙幣100が収容部11に確実に収容されるとともに、紙幣100が羽根車12から脱落するのを防ぐことができる。そのため、収容部11における紙幣100の不整列や、紙幣100のジャムが起こるのを回避することができる。よって、本実施の形態によれば、紙幣100を確実に集積することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、第1のガイド部13は、紙幣100の搬送方向(搬送経路D1)における上流側の端部に位置する回動軸13aを中心に回動することで、第1の位置P1と第2の位置P2とに移動する。これにより、簡素な構成で、第1のガイド部13の先端(先端傾斜部13b)の位置を大きく変化させることができるため、紙幣100をより確実に集積することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、制御部18は、通過検知センサ16による紙幣100の検知結果に基づき、第1のガイド部13を第1の位置P1と第2の位置P2とに移動させる制御を駆動部17に対し行う。これにより、第1のガイド部13を的確に移動させることができるため、紙幣100をより確実に集積することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、制御部18は、通過検知センサ16による紙幣100の検知結果に基づき、紙幣100の搬送方向(搬送経路D1)における前端100aが羽根車12の羽根12bの間に侵入した後、図2B及び図2Cに示すように、第1のガイド部13を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動させる制御を行う。これにより、第1のガイド部13は、第1の位置P1において、紙幣100が羽根車12に搬送されるのをより十分にガイドすることができるため、紙幣100をより確実に集積することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、制御部18は、通過検知センサ16による紙幣100の検知結果に基づき、紙幣100の搬送方向(搬送経路D1)における後端100bが第1のガイド部13と第2のガイド部14との間から抜け出た後、図2E及び図2Fに示すように、第1のガイド部13を第2の位置P2から第1の位置P1へ移動させる制御を行う。これにより、第1のガイド部13は、第2の位置P2において、羽根12bの間に挿入された紙幣100に接触するのをより確実に防ぐことができるため、紙幣100をより確実に集積することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、紙葉類集積装置10は、紙葉類取扱装置1において一時的に紙幣100を収容する一時収容部であり、収容部11に収容された紙幣100を搬送路50に繰出す繰出しローラ(繰り出し手段の一例)19を更に備える。そして、上述のように、紙葉類集積装置10は、紙幣100のジャムや収容部11における紙幣100の不整列が起こるのを回避することができる。そのため、紙葉類取扱装置1において紙幣100を確実に搬送することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0072】
1 紙葉類取扱装置
10 紙葉類集積装置
11 収容部
11a 第1の収容プレート
11b 第2の収容プレート
12 羽根車
12a 羽根車本体
12b 羽根
12c 回転軸
13 第1のガイド部
13a 回動軸
13b 先端傾斜部
14 第2のガイド部
15 第3のガイド部
16 通過検知センサ
17 駆動部
18 制御部
19 繰出しローラ
20 入出金部モジュール
21 入金部
22 出金部
30 上部モジュール
31 鑑別部
40 下部モジュール
41〜44 第1〜第4のカセット
45 リジェクトボックス
50 搬送路
51 搬送ローラ
100 紙幣
100a 前端
100b 後端
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4