(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口部を有するとともに対向配置された固定部を少なくとも一対備え、壁材に楕円形の壁孔又は複数の円形の穿孔を一部重合させて形成された壁孔を介して壁裏に配置されるとともに、前記固定部を利用して器具又は前記器具の器具枠が壁表に設置されることで、前記開口部が前記壁孔を介して壁表に臨む状態で、前記壁材を前記器具又は前記器具枠とで挟持して壁裏に固定される器具取付部材であって、
表面及び裏面を有するとともに、前記器具が挿通される挿通孔を前記開口部として有する枠本体を備え、
前記枠本体は、前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接する当接面を表面に有するとともに、少なくとも前記壁孔の内周面における対向する円弧部分それぞれに係止する係止突起が前記当接面を有する表面に突出形成され、
前記枠本体の裏面に第2の当接面が形成され、且つ、前記第2の当接面が前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接可能であり、前記係止突起は、前記枠本体の表面側にのみ突出し、前記固定部は、前記枠本体の表裏両面側いずれからも固定ビスが螺合可能になっていることを特徴とする器具取付部材。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明を器具固定枠に具体化した第1の実施形態を
図1〜
図7にしたがって説明する。また、本実施形態における器具固定枠10は、器具としてのスイッチSが保持された状態の器具枠Hを建築物の壁Wに一つ設置するために壁W裏に設置されるものである。
【0024】
まず、壁Wについて説明する。
図6に示すように、壁Wは、図示しない柱と、その柱の前後両面に立設される一対の壁材W1とによって構成されている。また、一対の壁材W1の間には中空部K(壁W裏)が形成されるとともに、中空部KにはケーブルCが配設されている。なお、本実施形態においては、開口形状が縦長楕円形状をなすカップ状のケーシングを備えた電動穿孔具60を用いて、壁材W1の所望位置に縦長楕円形状の壁孔W2が穿設される。
【0025】
図7に示すように、電動穿孔具60は、一端の開口形状が縦長楕円形をなすカップ状のケーシング61を備えるとともに、ケーシング61の他端には軸筒62が取り付けられている。この軸筒62には主軸(図示せず)が回転可能に支持され、主軸の一端にはケーシング61内に配置された駆動機構(図示せず)を介して穿孔刃63が取り付けられるとともに、主軸の他端には駆動源としての電動ドリル64が取り付けられる。
【0026】
穿孔刃63は、ケーシング61内に配設され、ケーシング61の内周面に沿って縦長楕円形状に回転するようになっている。穿孔刃63は、バネ性を有する無端状の金属板よりなり、金属板の一端側が駆動機構に取り付けられるとともに、金属板の他端側に刃部63aが形成されている。穿孔刃63の刃部63aはケーシング61の一端側の開口からケーシング61外に露出している。そして、刃部63aの先端を壁材W1の表面に当接させ、電動ドリル64によって穿孔刃63を回転させると、壁孔W2が壁材W1に穿設される。
【0027】
次に、器具固定枠10について説明する。
図1(a)に示すように、器具固定枠10は、四角枠状に形成される合成樹脂材料製の枠本体11を備えるとともに、枠本体11は、四角枠の三辺を構成する平面視コ字状の第1分割体21と、四角枠の一辺を構成する第2分割体41とが互いに連結されて構成されている。
【0028】
まず、第1分割体21から説明する。
図2(a)に示すように、第1分割体21は、長手方向において枠本体11の対向する辺を構成するとともに互いに平行に延びる上枠部22及び下枠部23と、上枠部22の基端と下枠部23の基端とを繋ぐ第1側枠部24とを備えている。上枠部22及び下枠部23の第1側枠部24からの延在方向への長さは同じになっているとともに、上枠部22及び下枠部23は、第1側枠部24に対して直交する方向へ延びている。上枠部22及び下枠部23の先端側外面は、外側へ膨らむように弧状に湾曲して形成されている。
【0029】
上枠部22及び下枠部23の中央部内側には、一対の固定部としての一対のボス部25が互いに対向配置されている。各ボス部25には、上枠部22又は下枠部23の厚み方向へ貫通する円孔状のボス孔25aが形成されている。また、両ボス部25同士で対向する面であって、且つボス孔25aと対応する位置には、挿通穴25b(
図1参照)が形成されるとともに、挿通穴25b内部はボス孔25aと連通している。挿通穴25b内には金属材料製の六角ナット(以下、単にナットとする)N1(
図1参照)が挿入されるとともに、ボス孔25aとナットN1とが重合している。そして、スイッチSが保持された器具枠Hを一対のボス部25に固定するための固定ビスB1がボス孔25aを介してナットN1に螺合可能になっている。なお、ナットN1には、ボス孔25aを介して枠本体11の表裏両面いずれからも固定ビスB1が螺合可能になっている。
【0030】
上枠部22及び下枠部23の表面221,231(一端面)において、各ボス部25よりも外側には一対の係止突起26が設けられている。各係止突起26は、上枠部22及び下枠部23の表面221,231に対して直交する方向へ延びるように突出するとともに、各ボス部25に対して外側へ膨らむように弧状に湾曲して形成されている。また、各係止突起26は、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように円弧状に形成されている。つまり、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が描く曲線は、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分が描く曲線と同じになっている。
【0031】
また、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が描く曲線の頂点R1,R2は、一対のボス孔25a同士を結ぶ直線L2上に位置している。さらに、各頂点R1,R2の間の距離は、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分の各頂点R3,R4(
図5参照)の間の距離よりも僅かに短くなっている。よって、各係止突起26は、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように、壁孔W2の内側に挿通可能になっている。
【0032】
さらに、上枠部22及び下枠部23の表面221,231において、各係止突起26よりも外側には、貼着部として、帯状の両面テープTが、その長辺方向が上枠部22及び下枠部23の延在方向へ延びるように貼着されている。なお、両面テープTは、裏面が上枠部22及び下枠部23の表面221,231に貼着されるとともに、表面には剥離紙(図示せず)が貼着されている。なお、各係止突起26は、係止突起26における上枠部22及び下枠部23の表面221,231からの突出方向において、両面テープTの表面よりも突出している。
【0033】
上枠部22の先端(第1分割体21の一端)側には、上枠部22の裏面(他端面)222を表面221側へ凹ます段差部32が設けられている。段差部32は、上枠部22の基端側へ凹むように弧状に湾曲して形成されている。また、段差部32において、上枠部22の外面側縁部には、上枠部22の延在方向に対して直交する方向へ延びる係止端面32aが形成されている。この係止端面32aは上枠部22の先端側を向いている。
【0034】
上枠部22には、段差部32から上枠部22の先端にかけての部位に第1連結部22bが設けられている。
図2(b)に示すように、第1連結部22bの厚みは、上枠部22における第1連結部22bを除く部位の厚みの半分になっている。
【0035】
第1連結部22bには、係合部として、第1連結部22bの厚み方向へ貫通する円孔状の係合孔31が形成されている。係合孔31の内周面は、上枠部22の表面221から裏面222側に向かうにつれて内径が同径の同径部31aと、同径部31aよりも縮径する段部31bと、段部31bから上枠部22の裏面222側に向かうにつれて内径が徐々に拡径するように傾斜する拡径部31cとから形成されている。段部31bにおける上枠部22の表面221側の端面は平坦面になっている。
【0036】
図2(a)に示すように、下枠部23の先端(第1分割体21の他端)側には、下枠部23の表面231を裏面232側へ凹ます段差部36が設けられている。段差部36は、下枠部23の基端側へ凹むように弧状に湾曲して形成されている。また、段差部36において、下枠部23の外面側縁部には、下枠部23の延在方向に対して直交する方向へ延びる係止端面36aが形成されている。この係止端面36aは下枠部23の先端側を向いている。
【0037】
下枠部23には、段差部36から下枠部23の先端にかけての部位に第2連結部23bが設けられている。
図2(b)に示すように、第2連結部23bの厚みは、下枠部23における第2連結部23bを除く部位の厚みの半分になっている。
【0038】
第2連結部23bには、被係合部としての一対の係合突片38が互いに対向するように設けられている。各係合突片38の外側面は外側へ膨らむように弧状に湾曲しているとともに、内側面は外側へ凹むように弧状に湾曲しており、各係合突片38の外側面及び内側面は、平面視すると円弧状になっている。
【0039】
各係合突片38は、第2連結部23bの表面に対して直交する方向へ延びる延在部38aを備えている。また、各係合突片38は、延在部38aに連続するとともに第2連結部23bの表面から離間するにつれて係合突片38の外側面が徐々に拡径するように傾斜する第1テーパ面38bを備えている。さらに、各係合突片38は、第1テーパ面38bに連続するとともに第2連結部23bの表面から離間するにつれて係合突片38の外側面が徐々に縮径するように傾斜する第2テーパ面38cを備えている。
【0040】
各第1テーパ面38bは、互いに離間するように拡径するとともに、各第2テーパ面38cは互いに近づくように縮径している。
図2(a)に示すように、各第1テーパ面38bと各第2テーパ面38cとの間の部位が描く円弧は同じ仮想円M上になっており、各係合突片38の内側面が描く円弧は、仮想円Mの同心円上に位置している。各係合突片38は、延在部38aの基端を基点に互いに接離する方向へ弾性変形可能になっている。
【0041】
また、上枠部22の基端側及び下枠部23の基端側には、上枠部22及び下枠部23の厚み方向へ貫通する円孔状の一対の貫通孔22a,23aが形成されている。ここで、仮想円Mの中心点D1と係合孔31の中心点D2とは、第1側枠部24に対して平行に延びる直線L1上に位置している。さらに、一対の貫通孔22a,23aの中心点D3,D4は、第1側枠部24に対して平行に延びる直線L3上に位置している。そして、一対のボス孔25a同士を結ぶ直線L2は、直線L1と直線L3との間の距離の半分の位置に存在するようになっている。
【0042】
次に、第2分割体41について説明する。
図3(a)に示すように、第2分割体41は、矩形板状の第2側枠部42と、第2側枠部42の一端から外方へ膨らむように弧状に湾曲する第3連結部42aと、第2側枠部42の他端から外方へ膨らむように弧状に湾曲する第4連結部42bとを備えている。第2側枠部42における表面421(一端面)から裏面422(他端面)までの厚みは、上枠部22及び下枠部23における第1連結部22b及び第2連結部23bを除く部位の厚みと同じになっている。
【0043】
第2側枠部42と第3連結部42aとの境目には、第2側枠部42の表面421を裏面422側へ凹ます段差部43が設けられている。段差部43は、上枠部22の先端側外面に沿うように形成されている。
【0044】
図3(b)に示すように、第3連結部42aの厚みは、第2側枠部42における表面421から裏面422までの厚みの半分になっている。第3連結部42aの外側面は、段差部32を通過する円周に沿うように形成されている。また、
図3(a)に示すように、第3連結部42aの外側面には、第2側枠部42の長手方向に対して直交する方向へ直線状に延びる回動規制部45が形成されている。
【0045】
第3連結部42aには、第3連結部42aの表面に対して直交する方向へ延びる被係合部としての一対の係合突片46が互いに対向するように設けられている。なお、この係合突片46は、第2連結部23bに設けられている係合突片38の構成とほぼ同じであるため、各係合突片46を構成する延在部46a、第1テーパ面46b及び第2テーパ面46cの詳細な説明を省略する。
【0046】
第2側枠部42と第4連結部42bとの境目には、第2側枠部42の裏面422を表面421側へ凹ます段差部48が設けられている。段差部48は、下枠部23の先端側外面に沿うように形成されている。
【0047】
図3(b)に示すように、第4連結部42bの厚みは、第2側枠部42における表面421から裏面422までの厚みの半分になっている。第4連結部42bの外側面は、段差部36を通過する円周に沿うように形成されている。また、
図3(a)に示すように、第4連結部42bの外側面には、第2側枠部42の長手方向に対して直交する方向へ直線状に延びる回動規制部50が形成されている。
【0048】
第4連結部42bには、係合部として、第4連結部42bの厚み方向へ貫通する円孔状の係合孔51が形成されている。なお、この係合孔51は、第1連結部22bの係合孔31の構成とほぼ同じであるため、係合孔51を形成する同径部51a、段部51b及び拡径部51cの詳細な説明を省略する。
【0049】
図1(b)に示すように、第1分割体21と第2分割体41とを連結させる際には、まず、第1連結部22bと第3連結部42aとを重合させるとともに、一対の係合突片46を係合孔31に挿入する。すると、各第2テーパ面46cが拡径部31cに当接する。そして、一対の係合突片46を係合孔31に対してさらに強制的に挿入すると、各第2テーパ面46cが拡径部31cに沿うように摺動して、この摺動により各延在部46aの基端を基点にして、各係合突片46が互いに近づくように弾性変形する。この弾性変形により、各第2テーパ面46cが段部31bを乗り越えて同径部31a内に位置するとともに、各第1テーパ面46bが段部31bと係合する。これにより、一対の係合突片46と係合孔31とが互いに係合した状態になり、第1連結部22bと第3連結部42aとが連結されるとともに、第1分割体21の一端に第2分割体41の一端が連結される。
【0050】
第1連結部22bと第3連結部42aとが連結された状態において、各第1テーパ面46bと段部31bとの間は摺動可能になっており、第2分割体41は、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を基点に第1分割体21に対して回動可能になっている。すなわち、本実施形態では、第1連結部22bと第3連結部42aとは回動部として機能する。
【0051】
図1(a)に示すように、第2分割体41を、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を基点に、第4連結部42bが第2連結部23bから離れる側へ回動させると、回動規制部45が係止端面32aに当接するようになっている。この回動規制部45と係止端面32aとの当接により、第2分割体41が、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を基点に、第4連結部42bが第2連結部23bから離れる側へ、第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制されるようになっている。
【0052】
また、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を基点に、第4連結部42bが第2連結部23bへ近づく側へ、第2分割体41を回動させ、第2連結部23bと第4連結部42bとを重合させるとともに、一対の係合突片38を係合孔51に挿入する。すると、各第2テーパ面38cが拡径部51cに当接する。そして、一対の係合突片38を係合孔51に対してさらに強制的に挿入すると、各第2テーパ面38cが拡径部51cに沿うように摺動して、この摺動により各延在部38aの基端を基点にして、各係合突片38が互いに近づくように弾性変形する。この弾性変形により、各第2テーパ面38cが段部51bを乗り越えて同径部51a内に位置するとともに、各第1テーパ面38bが段部51bと係合する。これにより、一対の係合突片38と係合孔51とが互いに係合した状態になり、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結されるとともに、第1分割体21の他端に第2分割体41の他端が連結される。
【0053】
図5に示すように、第1連結部22bと第3連結部42aとが連結された状態において、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結されると、第2分割体41は、上枠部22の先端と下枠部23の先端とを繋いだ状態になる。この状態では、第1側枠部24と第2側枠部42とが互いに平行に延びた状態になっている。このように、第1連結部22bと第3連結部42aとが連結されるとともに、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結されることで、第1分割体21と第2分割体41とが連結されて、枠本体11が構成される。そして、枠本体11の中央部には、上枠部22、下枠部23、第1側枠部24及び第2側枠部42により開口部としての挿通孔12が囲み形成される。
【0054】
このとき、上枠部22及び下枠部23の表面221,231、第1側枠部24の表面241及び第2側枠部42の表面421とは同一面上に位置しており、これら枠本体11の表面のうち、各係止突起26及び両面テープTを除く部位の全ての表面221,231,241,421は当接面として機能する。また、上枠部22及び下枠部23の裏面222,232、第1側枠部24の裏面242及び第2側枠部42の裏面422は同一面上に位置している。
【0055】
なお、第1分割体21と第2分割体41とを連結させる際、最初に、第2連結部23bと第4連結部42bとを連結して、第1分割体21の他端に第2分割体41の他端を連結するとともに、その後、第1連結部22bと第3連結部42aとを連結して、第1分割体21の一端に第2分割体41の一端を連結することで、枠本体11を構成してもよい。
【0056】
この場合、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結された状態において、各第1テーパ面38bと段部51bとの間は摺動可能になっており、第2分割体41は、第2連結部23bと第4連結部42bとの連結箇所を基点に第1分割体21に対して回動可能になっている。すなわち、第2連結部23bと第4連結部42bとは回動部として機能する。
【0057】
第2分割体41を、第2連結部23bと第4連結部42bとの連結箇所を基点に、第3連結部42aが第1連結部22bから離れる側へ回動させると、回動規制部50が係止端面36aに当接するようになっている。この回動規制部50と係止端面36aとの当接により、第2分割体41が、第2連結部23bと第4連結部42bとの連結箇所を基点に、第3連結部42aが第1連結部22bから離れる側へ、第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制されるようになっている。
【0058】
枠本体11により挿通孔12が囲み形成された状態において、係合突片46と係合孔31との係合、又は係合突片38と係合孔51との係合を解除し、第2分割体41をいずれかの回動部を基点にして回動させることで、枠本体11の一部を開口させて、枠本体11による挿通孔12の囲みを解除できるようになっている。そして、上記構成の器具固定枠10と、電動穿孔具60とから器具取付装置が構成されている。
【0059】
次に、上記構成の器具固定枠10を用いてスイッチSを壁Wに設置する方法について説明する。なお、器具固定枠10は、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を回動部とし、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結されていない状態とする。また、両面テープTの剥離紙は既に剥がされているものとする。
【0060】
まず、壁材W1の所望位置に壁孔W2を、電動穿孔具60を用いて穿設するとともに、中空部Kに配設されたケーブルCを壁孔W2から壁材W1の表側に引き出す。
次に、
図4に示すように、作業者は器具固定枠10を把持して、第2分割体41を、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を基点にして、第4連結部42bが第2連結部23bから離れる側へ回動させる。すると、第2連結部23bと第4連結部42bとの間が離間して、枠本体11による挿通孔12の囲みが解除されて挿通孔12が開口した状態になる。そして、第2連結部23bと第4連結部42bとの間の離間した隙間を介して、壁孔W2の開口縁が枠本体11の内側に位置するように、第2分割体41を壁孔W2を介して中空部K内に挿入する。このとき、ケーブルCは、第2連結部23bと第4連結部42bとの間の隙間を介して枠本体11の内側を通過した状態になっている。
【0061】
次に、壁孔W2の開口縁を、第1分割体21と第2分割体41との間に位置させながら、枠本体11を回動させつつ第1分割体21を上枠部22、第1側枠部24及び下枠部23の順に壁孔W2へ挿入する。すると、枠本体11全体が壁孔W2を通過して、器具固定枠10が中空部K内に位置する。次に、作業者は、第2分割体41を、第4連結部42bが第2連結部23bへ近づく側へ回動させるとともに、第2連結部23bと第4連結部42bとを重合させて、一対の係合突片38を係合孔51に挿入する。これにより、中空部K内において、第2連結部23bと第4連結部42bとが連結されて、枠本体11が組み立てられる。
【0062】
次に、
図5に示すように、作業者は、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように位置調整しながら、各係止突起26を壁孔W2内に挿入する。すると、枠本体11の表面全体が壁材W1の裏面における壁孔W2周縁全周に亘って当接する。
【0063】
ここで、各係止突起26が壁孔W2に挿入された状態では、枠本体11が壁孔W2に対して上下左右へ移動しようとすると、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分に面接触し、枠本体11における壁孔W2に対する上下左右への移動が規制される。また、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が描く曲線が、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分が描く曲線と同じになっている。よって、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2における短辺側の対向する部分に沿って移動することがないため、各係止突起26が壁孔W2に挿入された状態で、枠本体11が回転してしまうことがない。
【0064】
よって、枠本体11は、壁孔W2に対して上下左右又は周方向へ動くことなく、挿通孔12が壁孔W2から壁W表側へ臨む取り付け位置に位置決めされる。さらに、枠本体11が壁孔W2に対して位置決めされたと同時に、両面テープTが壁材W1の裏面に貼着される。すると、枠本体11は、壁孔W2に対して位置決めされた状態で仮固定される。
【0065】
次に、
図6に示すように、器具枠Hに予め保持されたスイッチSにケーブルCを接続するとともに、器具枠Hを壁材W1の表側に配置し、固定ビスB1を、器具枠Hのビス挿通孔H1、壁孔W2及びボス孔25aを介してナットN1に締め込む。これにより、器具固定枠10は、壁材W1を器具枠Hと共に挟持した状態で、壁材W1裏面に固定されるとともに、スイッチSが壁Wに設置される。
【0066】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)上枠部22及び下枠部23の表面221,231には、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに係止する一対の係止突起26が設けられている。そして、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面を、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに係止させる。すると、挿通孔12が壁孔W2に臨む位置に配置されるとともに、各係止突起26の壁孔W2における円弧部分に対する係止により、枠本体11の壁孔W2に対する上下左右への移動を規制することができる。よって、係止突起26を壁孔W2に挿入するだけで、枠本体11が壁孔W2に対して上下左右に動くことなく、挿通孔12が壁孔W2から壁W表側へ臨む取り付け位置に枠本体11を位置決めすることができる。
【0067】
(2)上枠部22及び下枠部23の表面221,231において、各係止突起26よりも外側に両面テープTが貼着されるとともに、各係止突起26は、係止突起26の突出方向において、両面テープTよりも突出している。よって、枠本体11を中空部K内に位置させた後、枠本体11を壁孔W2に対して位置決めするために、枠本体11を中空部K内で移動させる際、両面テープTの表面が壁材W1の裏面に接触する前に各係止突起26の先端が壁材W1の裏面に当接する。そして、各係止突起26が、壁孔W2内に挿入され、枠本体11が壁孔W2に対して位置決めされて初めて、両面テープTが壁材W1の裏面に貼着される。したがって、枠本体11が壁孔W2に対して位置決めされる前に、両面テープTが壁材W1の裏面に接触してしまうことが各係止突起26により防止される。よって、両面テープTの剥離紙が予め剥がされた状態で、壁孔W2に対して枠本体11を通過させて、枠本体11を壁孔W2に対して位置決めする際に、両面テープTの表面が汚れてしまうことがなく、両面テープTの貼着力を確保した状態で両面テープTを壁材W1の裏面に貼着することができる。
【0068】
(3)一対の係止突起26は、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように円弧状に形成されている。よって、例えば、断面円形のピン状に形成された係止突起に比べて、係止突起26と壁孔W2の内周面との接触面積を増やすことができ、枠本体11を、挿通孔12が壁孔W2から壁W表側へ臨む取り付け位置に確実に位置決めすることができる。
【0069】
(4)上枠部22及び下枠部23の表面221,231において、各係止突起26よりも外側に両面テープTが貼着されている。よって、例えば、第1側枠部24及び第2側枠部42の表面241,421に両面テープTが貼着されている場合に比べて、両面テープTが各係止突起26に対して近い位置に存在するため、枠本体11を中空部K内で移動させる際に、各係止突起26により両面テープTが保護され易い。
【0070】
(5)例えば、壁孔W2が真円形状に形成されていると、各係止突起26が壁孔W2の内周面に係止しても、枠本体11が回転してしまう。しかし、本実施形態では、電動穿孔具60を用いて形成された縦長楕円形状の壁孔W2を利用して器具固定枠10を固定するようにした。よって、係止突起26が壁孔W2の円弧部分に係止することにより、枠本体11が回転してしまうことを防止することができる。
【0071】
(6)枠本体11は、第1分割体21と第2分割体41とが互いに連結されることで構成されている。さらに、第1分割体21の上枠部22に設けられた第1連結部22bには、第2分割体41の第3連結部42aが連結され、第1分割体21の下枠部23に設けられた第2連結部23bには、第2分割体41の第4連結部42bが連結される。そして、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を回動部として、第2分割体41を、第4連結部42bが第2連結部23bから離れる側へ回動させることで、枠本体11による挿通孔12の囲みを解除し、挿通孔12を開口させた状態にすることができる。そして、第2連結部23bと第4連結部42bとの間の離間した隙間を介して、壁孔W2の開口縁を枠本体11の内側に位置させながら、枠本体11を回動させつつ壁孔W2へ挿入することで、壁孔W2に対して枠本体11全体を容易に通過させることができる。さらに、中空部K内において、第2分割体41を回動させて、第2連結部23bと第4連結部42bとを連結させることで、中空部K内で枠本体11を組み立てて四角枠状にすることができる。よって、略C形に形成された器具固定枠に比べて、枠本体11自体の強度が低下してしまうことを防止することができる。
【0072】
(7)枠本体11は、第1分割体21と第2分割体41とが互いに連結されることで構成されている。よって、例えば、枠本体11が3つ以上の分割体から構成される場合に比べて、分割体同士を連結する箇所を少なくすることができ、枠本体11を壁孔W2に挿入する前に、枠本体11を予め組み立てるときの煩わしさを低減することができる。
【0073】
(8)枠本体11は、第1分割体21と第2分割体41とが互いに連結されることで構成されている。そして、第1連結部22bと第3連結部42aとの連結箇所を回動部として第2分割体41を回動させると、枠本体11を中空部K内に配置した後、第2連結部23bと第4連結部42bとを連結させるだけで、枠本体11を組み立てることができる。よって、例えば、第1分割体21と第2分割体41とが分離した状態で、双方を別個に壁孔W2に挿入して、中空部K内において、第1分割体21と第2分割体41とを互いに連結させる場合に比べて、中空部K内における枠本体11の組み立て作業を容易なものとすることができる。
【0074】
(9)第3連結部42a及び第4連結部42bの外側面には、第2側枠部42の長手方向に対して直交する方向へ直線状に延びる回動規制部45,50が形成されている。また、段差部32,36の端面における上枠部22又は下枠部23の外面側縁部には、上枠部22又は下枠部23の外面に対して直交する方向へ延びる係止端面32a,36aが形成されている。このため、第2分割体41が、回動部を基点として第2分割体41を回動させ、枠本体11による挿通孔12の囲みを解除したとき、回動規制部45,50が係止端面32a,36aに当接し、第2分割体41が第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制される。したがって、中空部K内において、第2分割体41が、第1分割体21から大きく離れた位置まで回動してしまうことを防止することができる。その結果、中空部K内で一対の係合突片38,46を係合孔31,51に係合させる作業を容易なものとすることができる。
【0075】
(10)枠本体11による挿通孔12の囲みを解除するために、第2分割体41を回動させたとき、第1分割体21の回動規制部45,50が係止端面32a,36aに当接し、第2分割体41が第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制される。この回動規制により、第1分割体21と第2分割体41との間の隙間が大きくなり過ぎることを規制することができる。よって、例えば、作業者が、ケーブルCを、第1分割体21と第2分割体41との間の隙間を介して枠本体11の内側に通過させた状態で、器具固定枠10を把持して、壁孔W2に対して枠本体11を通過させる際に、器具固定枠10を落としてしまったとしても、ケーブルCに器具固定枠10が引っ掛かり易い。したがって、中空部K内に器具固定枠10が落下してしまうことを抑制することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、本発明を器具固定枠に具体化した第2の実施形態について
図8〜
図11にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0077】
図8(a)に示すように、上枠部22及び下枠部23の表面221,231における直線L2上には、一対の弾性突片55が設けられている。
図8(b)に示すように、各弾性突片55は、上枠部22及び下枠部23の表面221,231に対して直交する方向へ延びる延在部55aと、延在部55aの先端に設けられる突起55bとを備えている。突起55bは、延在部55aに連続するとともに延在部55aの延在方向に対して直交し、且つボス部25から離間する方向へ延びる段差部55cと、段差部55cに連続するとともに上枠部22及び下枠部23の表面221,231から離間するにつれてボス部25側に向かうように傾斜する傾斜面55dとから構成されている。
【0078】
そして、傾斜面55dは、延在部55aの基端から先端に向かうにつれて、延在部55aからの突起55bの突出量を減少させるように形成されている。言い換えると、傾斜面55dは、延在部55aの先端から基端に向かうにつれて、突起55bの突出量が増えるように形成されている。
【0079】
延在部55aにおいて、延在部55aの基端から突起55bまでの延在方向に沿った長さは、壁材W1の厚みよりも短くなっている。また、各突起55bにおいて、段差部55cと傾斜面55dとが交わる部位を尖端部55eとすると、上下の尖端部55e同士の間の距離Z1は、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分の各頂点R3,R4(
図9参照)の間の距離Z2よりも僅かに長くなっている。よって、一対の弾性突片55が壁孔W2内に挿入されると、各突起55bは、尖端部55e側から壁孔W2の内周面に食い込み可能になっている。
【0080】
また、上枠部22及び下枠部23の表面221,231において、延在部55aとボス部25との間には係合凹部56が形成されている。係合凹部56は、延在部55aにおける突起55bの突出側とは反対側の面に連続するように形成されている。この係合凹部56には、工具としてのマイナスドライバー57(
図10(a)及び(b)参照)の先端部が係合可能になっている。
【0081】
図8(a)に示すように、上枠部22及び下枠部23の表面221,231において、各ボス部25よりも外側には弾性突片55を挟むようにして係止突起58が二つずつ設けられている。各係止突起58は、上枠部22及び下枠部23の表面221,231に対して直交する方向へ延びるように突出するとともに、各ボス部25に対して外側へ膨らむように弧状に湾曲して形成されている。
【0082】
また、各係止突起58は、各係止突起58における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように円弧状に形成されている。つまり、各係止突起58における各ボス部25側とは反対側の側面全体が描く曲線は、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分が描く曲線と同じになっている。
【0083】
上記構成の器具固定枠10において、
図9に示すように、作業者は、第1の実施形態と同様に枠本体11全体を壁孔W2を通過させて、器具固定枠10を中空部K内に位置させ、第2連結部23bと第4連結部42bとを連結し、枠本体11を組み立てる。次に、作業者は、各係止突起58における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿うように位置調整しながら、各係止突起58及び弾性突片55を壁孔W2内に挿入する。すると、突起55bの傾斜面55dが壁孔W2の縁部に当接する。
【0084】
さらに、各係止突起58及び弾性突片55を壁孔W2に対して強制的に挿入すると、傾斜面55dが壁孔W2の縁部に対して摺接して、この摺接により、各弾性突片55が延在部55aの基端を基点にして係合凹部56側に向けて弾性変形しながら壁孔W2内に挿入される。弾性突片55の弾性変形量は、弾性突片55が挿入されていくに従って徐々に大きくなっていく。
【0085】
次に、
図10(a)及び(b)に示すように、作業者は、係合凹部56にマイナスドライバー57の先端部を係合させて、係合凹部56とマイナスドライバー57の先端部との係合部位を基点として、各突起55bの突出側に向けてマイナスドライバー57を回動させて各延在部55aをマイナスドライバー57の軸部により押圧する。したがって、マイナスドライバー57の軸部が工具の押圧部として機能する。すると、
図11に示すように、各延在部55aが弾性変形する前の原形状に復帰して、突起55bの尖端部55e側が壁孔W2の内周面に食い込んだ状態になる。これにより、枠本体11が中空部K側へ移動してしまうことが防止される。なお、弾性突片55が壁孔W2内に挿入されたとき、自身で原形状に復帰し、突起55bが壁孔W2の内周面に食い込んでいれば、マイナスドライバー57による押圧は不要となる。
【0086】
さらに、第1の実施形態と同様にして、器具枠Hに予め保持されたスイッチSにケーブルCを接続するとともに、器具枠Hを壁材W1の表側に配置し、固定ビスB1を、器具枠Hのビス挿通孔H1、壁孔W2及びボス孔25aを介してナットN1に締め込む。これにより、器具固定枠10は、壁材W1を器具枠Hと共に挟持した状態で、壁材W1裏面に固定されるとともに、スイッチSが壁Wに設置される。
【0087】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(10)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(11)枠本体11の上枠部22及び下枠部23の表面221,231には弾性突片55が設けられるとともに、各弾性突片55は、壁孔W2の内周面に食い込み可能な突起55bを備えている。よって、弾性突片55が弾性変形しながら壁孔W2内に挿入されると、弾性突片55の原形状への復帰しようとする力により、突起55bを壁孔W2の内周面に食い込ませることができる。したがって、この突起55bによる壁孔W2の内周面への食い込みにより、枠本体11が中空部K側へ移動してしまうことを防止することができる。すなわち、係止突起58による上下左右への移動に加えて、中空部K側への移動も防止することができる。
【0088】
(12)弾性突片55の先端側には、上枠部22及び下枠部23の表面221,231から離間するにつれてボス部25側に向かうように傾斜する傾斜面55dが形成されている。よって、突起55bの先端は、基端側よりも突出量が小さいため、突起55bの先端を壁孔W2内に容易に挿入することができる。そして、突起55bの突出量が徐々に増えるため、弾性突片55が挿入されるに従い、突起55bによって延在部55aを弾性変形させることができる。
【0089】
(13)各延在部55aにおける各ボス部25側の側面と各ボス部25との間には係合凹部56が形成されている。よって、係合凹部56にマイナスドライバー57の先端部を係合させて、係合凹部56とマイナスドライバー57の先端部との係合部位を基点として、各突起55bの突出方向に向けてマイナスドライバー57を回動させることができる。したがって、係合凹部56を設けずに、マイナスドライバー57の先端部を基点として回動させる場合に比べて、係合凹部56とマイナスドライバー57の先端部とが係合する分、回動中心が安定し、マイナスドライバー57を回動させ易くすることができる。
【0090】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図12に示すように、第1分割体21に他の第1分割体21を連結して、器具固定枠10を構成してもよい。このとき、直線L1は、第1分割体21における一対のボス孔25a同士を結ぶ直線L2と、他の第1分割体21における一対のボス孔25a同士を結ぶ直線L2との間の距離の半分の位置に存在するようになっている。つまり、係合孔31及び係合突片38は、同じ幅のスイッチSが、各一対のボス部25に対して固定されて壁Wに並設されたときのスイッチSの取り付けピッチの半分となる位置に設けられている。これによれば、第1分割体21に他の第1分割体21を連結して器具固定枠10を構成しても、各一対のボス部25間の間隔を適正にしてスイッチSを並設することができる。
【0091】
○ 上記各実施形態において、第1分割体21の上枠部22及び下枠部23の中央部内側には、一対のボス部25が互いに対向するように設けられていたが、これに限らない。例えば、
図13に示すように、第1分割体71は、枠本体11の対向する辺を構成するとともに互いに平行に延びる上枠部72及び下枠部73と、上枠部72の基端と下枠部73の基端とを繋ぐ側枠部74とを備えている。上枠部72及び下枠部73の中央部内側には、固定部としてのボス部25が互いに対向するように二対設けられている。隣り合うボス部25同士の間の間隔は、同じ幅のスイッチSが各一対のボス部25に対して固定されて、壁Wに並設可能な間隔になっている。このように、第1分割体21の上枠部22及び下枠部23の中央部内側にボス部25が一対以上設けられていてもよい。なお、ボス部25が互いに対向するように二対設けられた第1分割体71と、ボス部25が互いに対向するように一対設けられた第1分割体21とを連結させて枠本体11を構成してもよい。
【0092】
○ 上記各実施形態において、各係止突起26,58は、各係止突起26,58における各ボス部25側とは反対側の側面全体が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分それぞれに沿って延びる円弧状に形成されていたが、これに限らず、例えば、
図14に示すように、各係止突起91は、断面円形のピン状に形成されていてもよい。この場合、各係止突起91が、壁孔W2の内周面において、壁孔W2における長辺側の対向する円弧部分の四点に位置するように、上枠部22及び下枠部23の表面221,231に係止突起91を二対設けるのが好ましい。また、各係止突起91が弾性変形可能であるとともに、各係止突起91の先端側に壁孔W2の内周面に食い込み可能な突起が形成されていてもよい。
【0093】
○ 例えば、鋸を用いて手作業で四角形状の壁孔を穿設する場合がある。この場合、穿設された壁孔の大きさによっては、各係止突起26が壁孔の内側に挿通できない場合や、各係止突起26における各ボス部25側とは反対側の側面と、壁孔の内面との間に大きな間隔が空いてしまったりする場合がある。このような場合、一対の係止突起26が設けられていない側の枠本体11の裏面全体を壁材W1の裏面における壁孔W2周縁全周に亘って当接させるように器具固定枠10の向きを変えて使用してもよい。
【0094】
図15に示すように、枠本体11の裏面には4つの三角錐状の突起81が設けられている。各突起81は、枠本体11の裏面において、直線L2から上枠部22及び下枠部23の長辺方向に沿って同じ距離だけ離間した位置に設けられている。また、各突起81は、第1側枠部24及び第2側枠部42の長辺方向の中央を通過し、且つ直線L2に対して直交する方向へ延びる直線L4から第1側枠部24及び第2側枠部42の長辺方向に沿って同じ距離だけ離間した位置に設けられている。さらに、各突起81は、挿通孔12の各角部から枠本体11の各角部に向けて一定距離だけ離間した位置に設けられている。また、各突起81は、上枠部22又は下枠部23の外側面から挿通孔12側へ一定距離だけ離間した位置に設けられるとともに、第1側枠部24又は第2側枠部42の外側面から挿通孔12側へ一定距離だけ離間した位置に設けられている。さらに、各突起81は、ボス孔25aよりも上枠部22又は下枠部23の外側面寄りに位置している。
【0095】
そして、隣り合う突起81同士を直線で結ぶことで四角形が描かれるとともに、この四角形は挿通孔12よりも大きくなっている。また、4つの突起81が壁材W1の表面に突き刺さると、壁材W1の表面には壁孔W2の外形基準位置としての壁孔W2の四隅が記されるようになっている。すなわち、隣り合う突起81同士を直線で結ぶことで描かれる四角形よりも外側に位置する枠本体11の裏面は、壁材W1の裏面における壁孔W2の周縁に当接するようになっている。
【0096】
そして、
図16(a)に示すように、枠本体11の裏面側を壁材W1の表面側に向けた状態で所定位置に配置し、枠本体11の裏面を壁材W1の表面に押圧する。すると、各突起81が壁材W1の表面に突き刺さる。そして、枠本体11を壁材W1の表面から離すと、
図16(b)に示すように、壁材W1の表面には、壁孔W2の外形基準位置を示す突起81の突刺痕87が形成される。
【0097】
次に、
図16(c)に示すように、4つの突刺痕87を直線で結ぶように、例えば鋸等の切断工具を用いて、壁材W1を切断する。すると、壁材W1に四角形状の壁孔W2が穿設される。この壁孔W2は、枠本体11を、長辺方向に沿う方向を挿入方向として、枠本体11の短辺側から壁孔W2を通過させて、壁W表側から中空部K内へ挿入可能であるとともに、ボス部25が壁孔W2を介して壁W表側へ臨む大きさになっている。
【0098】
そして、
図16(d)に示すように、作業者は、各突起81が、壁孔W2の四隅の各内面に当接するように位置調整しながら、各突起81を壁孔W2内に挿入する。すると、枠本体11の裏面における壁孔W2よりも外側に位置する部位が壁材W1の裏面における壁孔W2の周縁に当接する。したがって、枠本体11の裏面全体を構成する第2側枠部42の裏面422、上枠部22及び下枠部23の裏面222,232及び第1側枠部24の裏面242における壁孔W2よりも外側に位置する部位は当接面として機能する。
【0099】
ここで、各突起81が壁孔W2に挿入された状態では、各突起81が壁孔W2の四隅の各内面に面接触している。このため、枠本体11における壁孔W2に対する上下左右への移動が規制され、挿通孔12が壁孔W2から壁W表側へ臨む取り付け位置に位置決めされる。
【0100】
ナットN1は、ボス孔25aを介して枠本体11の表裏両面いずれからも固定ビスB1が螺合可能になっている。よって、枠本体11の裏面を壁材W1の裏面に当接させた状態で、器具枠Hを壁材W1の表側に配置しても、固定ビスB1を、ボス孔25aを介してナットN1に締め込むことで、器具固定枠10を、壁材W1を器具枠Hと共に挟持した状態で、壁材W1裏面に固定してスイッチSを壁Wに設置することができる。
【0101】
○ 第1の実施形態において、係止突起26全体が、その基端を基点にして弾性変形可能な弾性突片であるとともに、この係止突起26の先端に第2の実施形態のような突起55bが設けられていてもよい。
【0102】
○ 第1の実施形態において、係止突起26の一部が、その基端を基点にして弾性変形可能な弾性突片であるとともに、この係止突起26の一部の先端に第2の実施形態のような突起55bが設けられていてもよい。
【0103】
○ 第2の実施形態において、係合凹部56は、延在部55aにおける突起55bの突出側とは反対側の面に連続するように形成されていたが、これに限らない。例えば、係合凹部56が、延在部55aにおける突起55bの突出側とは反対側の面に連続しておらず、係合凹部56と延在部55aにおける突起55bの突出側とは反対側の面との間に段差が形成されるように係合凹部56が形成されていてもよい。
【0104】
○ 上記各実施形態において、上枠部22及び下枠部23の表面221,231における各係止突起26よりも外側に両面テープTを貼着したが、これに限らず、例えば、第1側枠部24及び第2側枠部42の表面241,421に両面テープTを貼着してもよい。
【0105】
○ 上記各実施形態において、両面テープTを削除してもよい。
○ 上記各実施形態において、係合突片46と係合孔31との係合状態、及び係合突片38と係合孔51との係合状態のいずれか一方が解除不可能な構成にしてもよい。つまり、第1分割体21と第2分割体41とが互いに分離することができない構成としてもよい。
【0106】
○ 上記各実施形態において、枠本体11は四角枠状に形成されるとともに、三辺を構成する平面視コ字状の第1分割体21と、一辺を構成する第2分割体41とから構成されていたが、これに限らない。例えば、枠本体11は、一部分が離間した弧状の第1分割体と、この第1分割体における離間した部位を繋ぐ弧状の第2分割体とから構成されていてもよい。
【0107】
○ 上記各実施形態において、枠本体11は四角枠状に形成されるとともに、三辺を構成する平面視コ字状の第1分割体21と、一辺を構成する第2分割体41とから構成されていたが、これに限らず、例えば、二つのL字状の分割体から枠本体11が構成されていてもよい。
【0108】
○ 枠本体11は3つ以上の分割体から構成されていてもよい。
○ 上記各実施形態では、第1分割体21と第2分割体41とが互いに連結されることで枠本体11が構成されるようにしたが、これに限らず、枠本体11は、二つ以上の部品を組み付けることなく、予め枠本体11自体が四角枠状に形成されてなるものであってもよい。
【0109】
○ 上記各実施形態では、第2分割体41を回動させると、第1分割体21の回動規制部45,50が係止端面32a,36aに当接し、第2分割体41が第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制されるようにした。これに加えて、第2分割体41が第1分割体21に対して回動されることが規制されたときに、第2分割体41における第1分割体21との連結箇所が固定されて、第2分割体41における第1分割体21に対しての回動が固定されるようにしてもよい。
【0110】
○ 上記各実施形態では、第2分割体41を回動させると、第1分割体21の回動規制部45,50が係止端面32a,36aに当接し、第2分割体41が第1分割体21に対してそれ以上回動されることが規制されるようにしたが、これに限らない。例えば、第2分割体41における回動規制の構成を削除して、第2分割体41が第1分割体21から大きく離れるまで第2分割体41が回動可能な構成にしてもよい。
【0111】
○ 上記各実施形態において、壁材W1に穿設される壁孔W2の形状は縦長楕円形状であったが、これに限らず、例えば、縦長四角形状、小判形状、真円を一部分が重合するように二つ形成した略瓢箪状、又は複数の円形の穿孔を一部重合させて形成された壁孔であってもよい。
【0112】
○ 上記各実施形態において、器具枠Hに取り付けられる器具はスイッチSであったが、これに限らず、器具枠Hに取り付けられる器具は、例えば、コンセントや報知器であってもよい。
【0113】
○ 器具として報知器を適用した場合は、報知器をボス部25に直接固定して、報知器と器具固定枠10とで壁材W1を挟持することで、壁Wに報知器を設置するようにしてもよい。
【0114】
○ 本発明を、器具固定枠10に具体化したが、これに限らず、一面に開口部を有するとともに上下方向に長い有底四角箱状の配線ボックスに具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0115】
(イ)前記枠本体は、複数の分割体が連結されて構成されるとともに、前記分割体同士の連結箇所のうちの少なくとも一箇所には、前記枠本体による前記挿通孔の囲みを解除して開口させるために、前記分割体の一端を回動可能にする回動部が設けられ、前記回動部と隣り合い、且つ前記回動部を基点として回動した前記分割体の他端が連結される連結箇所には、前記分割体同士を係合する係合部及び被係合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の器具取付部材。
【0116】
(ロ)前記枠本体は二つの分割体が連結されることで構成されていることを特徴とする前記技術的思想(イ)に記載の器具取付部材。
(ハ)前記枠本体は四角枠状に形成されるとともに、三辺を構成する平面視コ字状の第1分割体と、一辺を構成する第2分割体とからなり、前記第1分割体には、対向する辺に前記固定部が設けられていることを特徴とする前記技術的思想(イ)又は前記技術的思想(ロ)に記載の器具取付部材。
【0117】
(ニ)前記第1分割体及び前記第2分割体は分離可能に構成され、前記第1分割体の一端に前記第2分割体の一端が係合可能な係合部が設けられるとともに、他端に前記第2分割体の他端が係合可能な被係合部が設けられ、前記第1分割体同士の前記係合部と前記被係合部とを係合させることで、前記第1分割体同士が連結可能になっており、前記係合部及び前記被係合部は、前記固定部から並設される前記器具の取り付けピッチの半分となる位置に設けられていることを特徴とする前記技術的思想(イ)〜(ハ)のいずれか一項に記載の器具取付部材。
【0118】
(ホ)前記分割体同士の連結箇所における前記回動部が設けられた箇所には、前記分割体の回動を規制するための回動規制部が設けられていることを特徴とする前記技術的思想(イ)〜(ニ)のいずれか一項に記載の器具取付部材。