特許第6186034号(P6186034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186034
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】連結治具
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20170814BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20170814BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61J 1/16 20060101ALI20170814BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20170814BHJP
   F16B 45/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61G7/05
   A61G5/10 713
   A61G12/00 C
   A61J1/16 D
   A61M5/14 532
   F16B45/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-76033(P2016-76033)
(22)【出願日】2016年4月5日
(62)【分割の表示】特願2012-218629(P2012-218629)の分割
【原出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2016-120396(P2016-120396A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
(72)【発明者】
【氏名】八木 剛
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04511158(US,A)
【文献】 実開平04−130283(JP,U)
【文献】 米国特許第05118127(US,A)
【文献】 米国特許第04572536(US,A)
【文献】 米国特許第04945592(US,A)
【文献】 特開2009−165502(JP,A)
【文献】 特開平10−073113(JP,A)
【文献】 特開平06−307425(JP,A)
【文献】 米国特許第05987670(US,A)
【文献】 米国特許第04886237(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/05
A61G 5/10
A61G 12/00
A61J 1/16
A61M 5/14
F16B 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、柔軟性を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有することを特徴とする連結治具。
【請求項2】
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、
前記第1取付部材に連結され、剛体である第1部材と、
前記第2取付部材に連結され、剛体である第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を、相対的に回転可能に連結する関節部と、
を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有することを特徴とする連結治具。
【請求項3】
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、柔軟性を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有し、
前記開閉部材はU字形をなし、その湾曲部が前記開口部の他端部側にて前記本体部に係止される開閉部材の先端を構成し、その両端部が互いに向き合うように垂直に曲げられて、この屈曲両端部が前記本体部の内面に回転可能に支持されており、
この両端部の前記本体部内面に支持される位置が、前記開口部の一端部側から他端部側に向かう方向について異なる位置に設けられていることを特徴とする連結治具。
【請求項4】
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、
前記第1取付部材に連結され、剛体である第1部材と、
前記第2取付部材に連結され、剛体である第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を、相対的に回転可能に連結する関節部と、
を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有し、
前記開閉部材はU字形をなし、その湾曲部が前記開口部の他端部側にて前記本体部に係止される開閉部材の先端を構成し、その両端部が互いに向き合うように垂直に曲げられて、この屈曲両端部が前記本体部の内面に回転可能に支持されており、
この両端部の前記本体部内面に支持される位置が、前記開口部の一端部側から他端部側に向かう方向について異なる位置に設けられていることを特徴とする連結治具。
【請求項5】
前記連結治具は車椅子と、点滴台とを連結するものであり、
前記車椅子は、両側に設けられた車輪と、前記車輪の間に位置して人が座る座部と、前記車輪の前方に配置されて前記車輪と共に前記車椅子を移動させる第2車輪と、人が足を載せるフットレストと、これらの車輪、第2車輪及び座部を支持する骨組みとなるフレームとを有し、
前記補助部材は、前記フレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の連結治具。
【請求項6】
前記第1取付部材は、
頭部及びネジ部を有するボルトと、
前記ネジ部に嵌合される筒状の弾力性を有する膨出部材と、
前記ボルトに螺合し、前記頭部との間で前記膨出部材を長手方向に押し込んで、前記膨出部材の外径を増減するナットと、
を有し、
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に前記膨出部材が挿入されて、前記頭部と前記ナットとの間の間隔を調整することにより、前記膨出部材を膨出させて、前記パイプに前記膨出部材を摩擦係合させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連結治具。
【請求項7】
前記第1取付部材は、
外径が同一で長手方向の相互に当接する端面が同一方向に傾斜した第1円筒部材及び第2円筒部材と、
頭部及びネジ部を有し前記ネジ部が前記第1円筒部材及び第2円筒部材内に挿通されたボルトと、
前記ネジ部に螺合し、前記頭部との間で、前記第1円筒部材及び第2円筒部材を締め付けるナットと、
を有し、
ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に前記第1円筒部材及び前記第2円筒部材が挿入されて、前記頭部と前記ナットとの間の間隔を調整することにより、前記第1円筒部材の軸と前記第2円筒部材の軸とを相互に偏芯させて、その外面を前記パイプに摩擦係合させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連結治具。
【請求項8】
前記連結部材は、ロープ、チェーン、ゴムチューブ、ワイヤ、又は蛇腹状のパイプであることを特徴とする請求項1又は3に記載の連結治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴台と医療用ベッド、ストレッチャ又は車椅子とを連結し、その間隔を一定の距離に保つ連結治具に関する。
【背景技術】
【0002】
点滴を投与されている患者が、医療用ベッド,ストレッチャ等に寝ている場合又は車椅子に座っている場合、点滴装置と患者とを繋ぐ輸液チューブの長さは有限であるため、この点滴装置を保持する点滴台は、患者が利用する医療用ベッド、ストレッチャ又は車椅子等の近くに設置される。しかし、この点滴台は、点滴をしている患者が移動する際に、患者と共に移動させる必要があるため、移動用のキャスタを装備しており、患者と共に移動させるべき点滴台が、このキャスタの存在により、患者と点滴台との距離が一定とならず、その距離が離れすぎることによって、患者から点滴が外れてしまう虞がある。また、患者がベッドに寝ている状態で点滴を投与する場合、点滴台を移動させず静止させておく必要があるが、少しの振動で、そのキャスタが動いてしまい、点滴台がベッド及びその上に寝ている患者から離れることにより、患者が安全に点滴を受けることができなくなる虞がある。また、点滴が必要な患者が車椅子で病院内を移動する際、患者自らが点滴台を持って移動する必要があり、患者にとって負担が大きい。そこで、患者と点滴台との距離を一定に保つため、以下のような提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、牽引装置(ストレッチャ等)及びこの牽引装置に牽引される被牽引装置(点滴台等)を連結する連結装置が開示されている。牽引装置及び被牽引装置には、ボルト等により剛体の棒が連結されており、この剛体の棒同士を、弾性変形する部材により、連結するものである。この特許文献1は、牽引装置を移動させることにより、この牽引装置に連結された被牽引装置を同時に移動させるものであり、この移動の際、被牽引装置が進路方向からずれてしまっても、連結部材として用いられる弾性変形部材が、その弾性力により、被牽引装置が横滑りをしないように大きく揺動させると共に、被牽引装置を適正な進路位置まで戻して、牽引装置及び被牽引装置を、安全に同時運搬しようとするものである。
【0004】
また、特許文献2には、車椅子等の牽引車両に、点滴台等の車輪付きスタンドを連結して、牽引車両により、車輪付きスタンドを牽引する牽引装置が開示されている。この牽引装置に使用される連結部材は、剛体で且つボルト等により固定するものであり、また、牽引車両の車軸回りの1自由度で回動可能となっている。この従来技術は、牽引車両が車輪付きスタンドを牽引する際、その移動経路に段差があっても、車輪付きスタンドが、連結部材により、牽引車両の車軸回りに回転し、その段差に引っかかることなく、段差を乗り越えるようにしたものであり、これにより、この従来技術は、牽引される車輪付きスタンドの安定した移動を確保しようとするものである。
【0005】
しかし、この特許文献1及び2は、点滴台と、車椅子又はストレッチャ等とを、剛体により連結しているため、これらの機器の移動中に、連結部材と物体とが衝突すると、その連結部材の剛性により、その物体が破損する虞がある。
【0006】
連結部を剛体の棒ではなく、フレキシブル棒体とした従来技術として、特許文献3には、床に対し水平な方向にのみ回転する駒部材を複数連結し、これらが一体となって水平方向にのみ曲がるように構成されたフレキシブル支持装置が開示されている。この支持装置の一端に、電灯又は点滴用チューブ等を連結し、その他端に、机の縁又はベッドの手すり等を連結する。この特許文献3の支持装置は、床に対し水平な方向にのみ曲がることにより、支持装置の一端に連結した電灯等が重くても、その自重により、床に対し垂直な方向に曲がってしまうことなく、電灯等を適切な高さに保持しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平02−501197号公報
【特許文献2】特開2009−142407号公報
【特許文献3】特開2011−172767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2は、その連結部材が剛体であるため、前述の如く、衝突時の物体損傷が比較的大きく、また、連結部材により連結された装置同士の間隔を変えることができないため、間口が狭い通路を通過しようとしても、通過できない虞がある。更に、特許文献1及び2は、剛体により強固に固定されているため、医療用ベッド又はストレッチャ等において、その高さを調整しようとすると、それらに固定された連結部材及びこの連結部材に連結された点滴台も、その高さ調製に伴って動いてしまい、点滴台が転倒する虞がある。更にまた、特許文献1及び2は、連結部材の固定方法が、ボルト等であるため、その連結部材専用のベッド、ストレッチャ又は車椅子等が必要となり、汎用性が低い。
【0009】
また、特許文献3の支持装置は、床に対し垂直な方向に曲がらないため、特許文献1及び2と同様に、医療用ベッド又はストレッチャ等の高さ調整動作を行うと、支持装置と、支持装置に連結された点滴台も、同時にその高さが変わってしまうことにより、点滴台が倒れる虞がある。また、この特許文献3は、支持装置により、点滴用チューブを直接支持するものであるため、この支持装置を用いて、患者が利用するストレッチャ又は車椅子等と点滴台とを連結し、これらを同時に移動させようとする場合、点滴用チューブが傷つく虞がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、患者が安全に点滴を受けられるように、患者と点滴台との距離を一定に保ちつつ、衝突安全性が優れた連結治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る連結治具は、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、柔軟性を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る他の連結治具は、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、
この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、
点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、
前記第1取付部材に連結され、剛体である第1部材と、
前記第2取付部材に連結され、剛体である第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を、相対的に回転可能に連結する関節部と、
を有し、
前記第2取付部材は、
前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、
前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、
を有することを特徴とする。
これらの場合に、
前記開閉部材はU字形をなし、その湾曲部が前記開口部の他端部側にて前記本体部に係止される開閉部材の先端を構成し、その両端部が互いに向き合うように垂直に曲げられて、この屈曲両端部が前記本体部の内面に回転可能に支持されており、
この両端部の前記本体部内面に支持される位置が、前記開口部の一端部側から他端部側に向かう方向について異なる位置に設けられているように構成することもできる。
【0012】
この場合に、前記車椅子は、両側に設けられた車輪と、前記車輪の間に位置して人が座る座部と、前記車輪の前方に配置されて前記車輪と共に前記車椅子を移動させる第2車輪と、人が足を載せるフットレストと、これらの車輪、第2車輪及び座部を支持する骨組みとなるフレームとを有し、前記補助部材を、前記フレームに取り付けるように構成することができる。
【0014】
また、例えば、前記第1取付部材は、頭部及びネジ部を有するボルトと、前記ネジ部に嵌合される筒状の弾力性を有する膨出部材と、前記ボルトに螺合し、前記頭部との間で前記膨出部材を長手方向に押し込んで、前記膨出部材の外径を増減するナットと、を有し、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に前記膨出部材が挿入されて、前記頭部と前記ナットとの間の間隔を調整することにより、前記膨出部材を膨出させて、前記パイプに前記膨出部材を摩擦係合させるように構成してもよく、
前記第1取付部材は、外径が同一で長手方向の相互に当接する端面が同一方向に傾斜した第1円筒部材及び第2円筒部材と、頭部及びネジ部を有し前記ネジ部が前記第1円筒部材及び第2円筒部材内に挿通されたボルトと、前記ネジ部に螺合し、前記頭部との間で、前記第1円筒部材及び第2円筒部材を締め付けるナットと、を有し、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に前記第1円筒部材及び前記第2円筒部材が挿入されて、前記頭部と前記ナットとの間の間隔を調整することにより、前記第1円筒部材の軸と前記第2円筒部材の軸とを相互に偏芯させて、その外面を前記パイプに摩擦係合させるように構成してもよい。
【0015】
本発明に係る連結治具は、例えば、前記連結部材は、ロープ、チェーン、ゴムチューブ、ワイヤ、又は蛇腹状のパイプであるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る連結治具は、第1取付部材が、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付けられた補助部材に着脱自在であると共に、第2取付部材が、点滴台の支柱に沿って移動可能であるため、ベッド又はストレッチャの高さ調整機構を動作させる際に、第1取付部材が昇降すると、連結部材を介して、第2取付部材のみが昇降することにより、点滴台は、その昇降動作に影響を受けないので、点滴台の転倒を防止することができる。また、第2取付部材の開閉部材を、点滴台の支柱に当接させ、その状態から、第2取付部材を支柱に押し当てていくだけで、第2取付部材に支柱を嵌め込むことができるため、その取付けが容易である。また、支柱を係合した状態から、第2取付部材の開閉部材を開き、支柱から第2取付部材を外すだけで、支柱の係合を解除できるため、その取外しも容易である。また、例えば、連結部材が柔軟性を有するものである場合、物体と衝突しても、その物体が破損することを防ぐことができると共に、使用しないときには、コンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係る連結治具を示す斜視図、(c)は、同じくこの連結治具の第2取付部材の上面を示す上面図、(d)は、同じくこの連結治具の第1取付部材の断面を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る連結治具の開閉部材の第1垂直部及び第2垂直部の先端の軌跡を示す上面図である。
図3】(a),(b)は、本発明の第1変形例に係る連結治具を示す斜視図、(c)は、同じくこの連結治具の第1取付部材の断面を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、ベッド及び点滴台に連結した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、ベッド及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、点滴台から取り外した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、車椅子及び点滴台に連結した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、車椅子及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、車椅子及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、ストレッチャ及び点滴台に連結した状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、ストレッチャ及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る連結治具を、ストレッチャに連結した状態における第1取付部材を拡大した斜視図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る連結治具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a),(b)は、本発明の実施形態にて使用する連結治具を示す斜視図、図1(c)は、同じくこの連結治具の第2取付部材の上面を示す上面図、図1(d)は、同じくこの連結治具の第1取付部材の断面を示す断面図である。図1(a)及び(d)に示すように、連結治具1には、患者が利用するベッド、ストレッチャ又は車椅子に着脱自在に取り付けられる第1取付部材2が設けられている。この第1取付部材2には、例えば、頭部24及びネジ部22から構成されるボルト28が設けられており、このネジ部22は、例えば、その寸法は、M8であり、ボルト首下の長さが80mmである。そして、この頭部24側には、例えば、第1円筒部材29が設けられ、その内部にネジ部22が挿通されている。また、この第1円筒部材29に隣接するように、この第1円筒部材29と外径が同一である第2円筒部材25cが設けられており、その内部にネジ部22が挿通されている。この第1円筒部材29と第2円筒部材25cとは、その長手方向の相互に当接する端面が同一方向に傾斜しており、夫々傾斜面29a,傾斜面25dとなっている。そして、ネジ部22には、ナット21が螺合しており、このナット21は、頭部24との間で、第1円筒部材29及び第2円筒部材25cを締め付けるものである。そして、この第1円筒部材29及び第2円筒部材25cが、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に挿入されて、頭部24とナット21との間の間隔を調整することにより、第1円筒部材29の軸と第2円筒部材25cの軸とを相互に偏芯させて、その外面をパイプに摩擦係合させる。また、このネジ部22は、断面L字のL型金具25の水平部25aに設けられた貫通孔(図示せず)に挿通されており、この貫通孔を囲うように第2円筒部材25cが、L型金具25に溶接されている。このL型金具25は、例えば、その厚さが3.2mmである。
【0020】
また、図1(a),(b),(c)に示すように、連結治具1には、点滴台の支柱52に係合し、この支柱52に沿って移動可能である第2取付部材4が設けられている。この第2取付部材4は、点滴台の支柱52に係合する枠状の本体部41を有し、この本体部41には、本体部41への支柱52の出入を可能にする開口部43が設けられている。また、この開口部43の一端部側にて本体部41に回転可能に設けられた開閉部材44は、その先端が開口部43の他端部側にて本体部41の内面に係止されている。そして、例えば、開閉部材44はU字形をなしており、その湾曲部は、開口部43の他端部側にて本体部41に係止される開閉部材44の先端を構成している。また、この開閉部材44の両端部は、互いに向き合うように垂直に曲げられており、この屈曲両端部が本体部41の内面に回転可能に支持されている。この本体部41には、例えば、その内側の面に、開口部43の一端部側から他端部側に向かう方向において、開口部43からの距離が異なるように2個の第1突起47,第2突起48が設けられている。第1突起47は、第2突起48よりも開口部43に近い位置にあり、この第1突起47,第2突起48の側面に、本体部41の内側の面に平行に、夫々孔47a,48aを穿孔する。この孔47a,48aに、開閉部材44の屈曲両端部が挿入されることにより、本体部41が開閉部材44を孔47a,48aを軸として回転可能に支持する。つまり、開閉部材44の屈曲両端部は、本体部41の内面において、開口部43の一端部側から他端部側に向かう方向について異なる位置に設けられている。これにより、開閉部材44が屈曲両端部を回転軸として回転したときに、開閉部材44の先端が、本体部41の開口部43の他端部側に当接する方向に付勢されるように、弾性力が付与される。この開閉部材44は、例えばばね鋼である。なお、本体部41には、上面視において、開口部43の反対側に、突設部46が設けられている。また、この第2取付部材4は、例えば、PP樹脂からなっており、射出成形により形成するものである。
【0021】
そして、連結治具1において、第1取付部材2と第2取付部材4とが連結部材3により連結されている。第1取付部材2のL型金具25の垂直部25bには、例えば、タップ加工された貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔に連結部材3の一端部を当接させ、スプリングワッシャ(図示せず)を有する第1ボルト26及び連結部材3の一端部に設けられたナット(図示せず)によりL型金具25に連結部材3が固定される。この連結部材3は、例えば、その径が14mmであり、その長さが300mmである。また、連結部材3の一端部に設けられたナットは、例えば、その寸法は、M6である。更に、第1ボルト26は、例えば、その種類がB20であり、寸法は、ナットと同様にM6である。また、第2取付部材4の本体部41には、貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔を介して、第2ボルト42及び連結部材3の他端部に設けられたナット(図示せず)により、本体部41に、連結部材3が固定される。この連結部材3の他端部に設けられたナットは、例えば、その寸法は、M6である。
【0022】
次に、点滴台について説明する。図4に示すように、点滴台51は、例えば、中心部から5個の脚部54a,54b,54c,54d,55eが延び、その5個の脚部54a,54b,54c,54d,55eの先端には、キャスタ55a,55b,55c,55d,55eが設けられている。そして、この脚部54a,54b,54c,54d,55eの基端である中心部には、輸液バッグ53を支持する支柱52が立設している。そして、支柱52の上端部には、水平方向に延びる吊り下げ金具56が設けられており、この吊り下げ金具56の一端部には、輸液バッグ53が吊り下げられており、また、吊り下げ金具56の他端部には、輸液バッグ53に接続された輸液チューブ57の先端が吊り下げられている。
【0023】
次に、ベッドについて説明する。図4に示すベッド61は、本発明の参考例のベッドである。図4に示すように、ベッド61は、例えば、患者が寝るための寝床部64が設けられており、ベッド61の側部には、寝床部64に寝ている患者の転落を防止するための柵63が設けられている。そして、ベッド61のフレームには、パイプ62が設けられている。このパイプ62は、本実施形態の点滴台51とは異なり、棒材の上端に吊り下げ金具56を設けただけの点滴棒を、ベッド61の側部に設置するためのものである。この点滴棒の先端をパイプ62に差し込むことにより、点滴棒がベッド側部に設置される。本実施形態では、点滴棒は使用せず、連結治具1の第1取付部材2をベッド61に取り付けるために、このパイプ62を利用している。
【0024】
次に、本発明の実施形態の連結治具1を参考例のベッド1に使用した場合の動作について説明する。図1(d)は、第1取付部材2の断面を示す断面図、図2は、第2取付部材4の開閉部材44の第1垂直部44a及び第2垂直部44bの先端の軌跡を示す上面図である。先ず、第1取付部材2を、ベッド61、車椅子71又はストレッチャ81に取り付ける方法について説明する。ベッド61、車椅子71又はストレッチャ81に設けられたパイプ62、72、82内に、第1取付部材2の第1円筒部材29及び第2円筒部材25cが挿入された状態で、ナット21を締めて、頭部24とナット21との間の間隔を調整することにより、頭部24とナット21との間の間隔が狭くなろうとする。その際、第1円筒部材29は、ナット21側に移動しようとするが、ナット21側には、第2円筒部材25cがあるため、ナット21側に移動することはできない。このとき、第1円筒部材29が、その傾斜面29aと向かい合っている第2円筒部材25cの傾斜面25dに沿って、その傾斜方向に移動することにより、第1円筒部材29の軸と第2円筒部材25cの軸とが相互に偏芯し、頭部24とナット21との間の距離を狭める。このように、第1円筒部材29が、その傾斜面29aの傾斜方向に移動するため、第1円筒部材29は、ネジ部22に垂直の方向の位置も変わる。これにより、ネジ部22に垂直の方向の幅は、パイプ挿入時において、第2円筒部材25cの外径であったものが、ナット21を締めた後、第2円筒部材25cの外径に、第1円筒部材29がネジ部22に垂直の方向に変位した距離を加算したものとなるため、その幅が広がる。この幅が、パイプの内部空間の幅となるまでナット21を締めることにより、第1取付部材2は、パイプに摩擦係合する。これにより、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に、連結治具1が取り付けられる。
【0025】
次に、第2取付部材4を、点滴台の支柱52に取り付ける方法について説明する。図2に示すように、連結治具1の第2取付部材4の開閉部材44は、U字形をしており、開口部43を閉じるように配置される(図中の2点鎖線で示した位置)。この開閉部材44の2個の垂直部は、夫々第1垂直部44a、第2垂直部44bである。そして、この第1垂直部44aは、第2垂直部44bよりも長さが短い。この第1垂直部44a及び第2垂直部44bは、本体部41の第1突起47,第2突起48の孔47a,48aに、その端部の曲げられた部分が挿入されている。この第1垂直部44aを、孔47aを軸として本体部41の内側に回転させる場合、その先端の軌跡49aは、第2垂直部44bを、孔48aを軸として本体部41の内側に回転させた場合の先端の軌跡49bよりも、孔47a(軸)側にある。しかし、実際に、開閉部材44を、孔47a,48aを軸として本体部41の内側に回転させると、本来その先端の軌跡が異なる第1垂直部44a及び第2垂直部44bは、同じ軌跡を通るため、第1垂直部44aは、軌跡49aよりも孔47a(軸)側の反対側に引っ張られ、また、第2垂直部44bは、軌跡49bよりも孔48a(軸)側に圧縮される。これにより、第1垂直部44aには、その引張力に抗うように圧縮力が働き、また、第2垂直部44bには、その圧縮力に抗うように引張力が働くことにより、開閉部材44には、元の位置に戻ろうとする力、即ち、開口部43に向けて付勢する力が働く。
【0026】
この開閉部材44を、点滴台の支柱52に押し当てていくと、開閉部材44には、付勢方向と逆方向の力が加わり、開閉部材44が、第2取付部材4の本体部41の内側に回転すると共に、点滴台の支柱52を、開閉部材44及び本体部41で挟み込む。そして、点滴台の支柱52が、開閉部材44から離れ、第2取付部材4の本体部41の内側に完全に収まると、開閉部材44は、その付勢方向と反対の方向の力を受けなくなり、元の位置に戻る。これにより、点滴台の支柱52に第2取付部材4が係合する。なお、図1(c)に示すように、この支柱52が、本体部41の内側において、開口部43の一端部側の空間41aに入り込むと、開閉部材44を回転しても、支柱52を取り外すことができなくなるため、突設部46により、この支柱52が、開口部43の一端部側の空間41aに入り込むことを防止している。
【0027】
次に、連結治具1を、ベッドに取り付ける方法について説明する。図4は、連結治具1を、ベッド及び点滴台に連結した状態を示す斜視図であり、図5は、連結治具1を、ベッド及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図であり、図6は、連結治具1を、点滴台から取り外した状態を示す斜視図である。図4乃至6に示すように、本実施形態では、ベッド61のフレームに設けられたパイプ62を利用して、連結治具1の第1取付部材2を、ベッド61に取り付ける。このパイプ62に、前述の如く、第1取付部材2の第1円筒部材29及び第2円筒部材25cを挿入し、ナット21を締めることにより、第1取付部材2がパイプ62に摩擦係合する。一方、前述の如く、第2取付部材4は、この第2取付部材4の開閉部材44を、点滴台51の支柱52に当接させ、その状態から、第2取付部材4を支柱52に押し当てていき、第2取付部材4に支柱52を嵌め込むことにより、支柱52に係合している。よって、ベッド61と点滴台51とが、連結治具1により連結される。
【0028】
このように、第2取付部材4を支柱52に押し当てていくだけで、第2取付部材4に支柱52を嵌め込むことができるため、その取付が容易である。また、点滴台51の支柱52とベッド61とは、連結部材1により連結されているため、点滴台51とベッド61との距離を一定に保ち、また点滴台51を静止させておくことができる。また、連結治具1の第2取付部材4は、支柱52に沿って移動可能であるため、ベッド61の高さを変化させる場合、ベッド61に固定された第1取付部材2が上下移動をすることに伴い、第2取付部材4が上下に移動しても、第2取付部材4のみが、支柱52に沿って移動するだけで、支柱52が移動して転倒したりすることを防止することができる。
【0029】
また、ベッドに寝ている患者が、点滴を必要とせず、点滴台51の支柱52に係合する第2取付部材4を取外す際、第2取付部材4及び支柱52は、支柱52を係合した状態から、第2取付部材4の開閉部材44を開き、支柱52から第2取付部材4を外すだけで、支柱52の係合を解除できるため、その取外しが容易である。そして、図6に示すように、支柱52に係合する連結治具1を、取り外す際、例えば、その連結部材3が柔軟性を有していれば、容易に曲げることができる。この取り外した連結治具1の連結部材3を水平に曲げた後、垂直且つ上方に曲げて、第2取付部材4を起こす。これにより、第1取付部材2によりベッドに取り付けられた連結治具1を邪魔にならない位置に、容易に配置することができる。このように、連結治具1は、柔軟性を有する連結部材3により、使用しないときに、コンパクトに収納することができる。また、この状態から再度、第2取付部材4を支柱52に係合する場合、連結部材3を垂直且つ下方に曲げた後、水平に曲げることにより、第2取付部材4は支柱52に近接し、この状態から、第2取付部材4の開閉部材44を支柱52に押し当てていくことにより、支柱52に第2取付部材4が係合する。
【0030】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態は、連結治具1を、車椅子と点滴台との連結に使用した場合のものである。図7は、連結治具1を、車椅子71及び点滴台51に連結した状態を示す斜視図であり、図8及び図9は、同じく、車椅子71及び点滴台51に連結した連結治具1を拡大した斜視図である。図7乃至9に示すように、この車椅子71には、両側に設けられた車輪73と、両側の車輪73の間に位置し、人が座る座部74と、車輪73の前方に配置され、車輪73と共に車椅子71を移動させる第2車輪75と、人が足を載せるフットレスト76が設けられている。そして、これらの車輪73、第2車輪75及び座部74を支持する骨組みとなるフレーム77には、補助部材72が取り付けられている。この補助部材72は、連結治具1の第1取付部材2を着脱自在に取り付けるための治具であり、既存の車椅子71のフレーム77に固定される。この補助部材72は、第1取付部材2の第1円筒部材29及び第2円筒部材25c(図1参照)又は膨出部材23(後述する図3参照)が挿入されるパイプを備えており、このパイプの部分が鉛直方向を向くようにして、フレーム77に固定的に取り付けられている。
【0031】
図1又は図3に示すように、この第1取付部材2に、連結部材3の一端部が固定され、連結部材3の他端部に、第2取付部材4が固定されている。この第2取付部材4は、点滴台51の支柱52に沿って移動可能である。なお、点滴台51には、把手部が設けられている。
【0032】
このように構成された本実施形態においては、車椅子71及び支柱52は、連結治具1により連結されるため、車椅子71が移動することにより、車椅子71及び点滴台51との距離を一定に保ちつつ、支柱52がその移動に追従する。この車椅子71及び点滴台51の移動中に、連結治具1が、物体と衝突しても、その連結部材3が、例えば、柔軟性を有していれば、その物体が破損することを防止することができる。また、この連結部材3の柔軟性により、間口が狭い通路を通過する際、連結部材3を曲げることにより、車椅子71及び点滴台51との間隔を、間口を通過することができる間隔に狭めることができるため、狭路を通過することができる。
【0033】
また、本発明者等は、車椅子を利用する患者が点滴を投与するため、患者自らが点滴台を持ちつつ移動する際、患者が点滴台の把手部を持たずに、点滴台の支柱のいずれの位置を持っても、その移動時に点滴台が転倒しないという知見を得た。従って、連結治具1は、その第2取付部材4は点滴台51の支柱52に沿って移動可能であるため、その係合は緩いものであるが、車椅子71が移動しても、この車椅子71に連結された点滴台51が転倒することはない。なお、本実施形態は、点滴台51と車椅子71とを連結する場合のものであるが、本発明はこの車椅子71に限らず、通常のベッドの任意の位置に補助部材72を取り付けることにより、連結治具1を、点滴台51とベッドとを連結するために使用することもできる。
【0034】
また、本実施形態の連結治具1は、車椅子及びベッドの代わりに、点滴台51をストレッチャ81に連結するためにも使用できる。図10は、連結治具1を、ストレッチャ及び点滴台に連結した状態を示す斜視図であり、図11は、連結治具1を、ストレッチャ及び点滴台に連結した状態における連結治具を拡大した斜視図であり、図12は、連結治具1を、ストレッチャに連結した状態における第1取付部材を拡大した斜視図である。図10乃至12に示すように、ストレッチャ81に設けられた補助部材82に、第1取付部材2が取り付けられている。この補助部材82は、連結治具1の第1取付部材2をストレッチャ81に取り付けるために、第1取付部材2の第1円筒部材29及び第2円筒部材25c(図1参照)又は膨出部材23(後述する図3参照)が挿入されるパイプを備えており、このパイプの部分が鉛直方向を向くようにして、ストレッチャ81のフレーム89に固定的に取り付けられている。
【0035】
ストレッチャ81は、床に接触するキャスタ85と、キャスタ85が設けられた脚部83を有する。このキャスタ85には、キャスタロック86が設けられている。また、ストレッチャ81には、患者が寝る寝床部88と、その両側部に柵部84a,84bが設けられ、この柵84a,84bは、ストレッチャ81の寝床部88に寝ている患者が転落することを防止する。更に、このストレッチャ81は、頭部の側に把手部87が設けられ、この把手部87を介護者が持つことにより、ストレッチャ81を移動させるものである。図10に示すように、補助部材82は、寝床部88を支持するフレーム89に取り付けられている。
【0036】
本実施形態の連結治具1も、第1取付部材2には、連結部材3が固定されており、連結部材3において、第1取付部材2が固定された側の端部と反対側の端部には、第2取付部材4が固定されている。そして、この第2取付部材4は、支柱52に沿って移動可能であるため、ストレッチャ81の高さを調整するために、高さ調整機構を使用し、ストレッチャ81を昇降させても、ストレッチャ81の昇降に対し、連結治具1のみが、その昇降に追従する。これにより、点滴台51が、その支柱52に係合した連結治具1の昇降動作の影響を受けず、その転倒を防ぐことができる。
【0037】
次に、本発明の第1変形例に係る連結治具1fについて説明する。図3(a),(b)は、この連結治具1fを示す斜視図、図3(c)は、連結治具1fの第1取付部材の断面を示す断面図である。図3(a),(b),(c)に示すように、この第1取付部材2eには、例えば、頭部24及びネジ部22から構成されるボルト28が設けられており、このネジ部22には、筒状の弾力性を有する膨出部材23が嵌合されている。この膨出部材23は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)チューブであり、その外径が19mm、内径が9mm、長さが60mmである。そして、第1取付部材2eには、ボルト28に螺合し、頭部24との間で膨出部材23を長手方向に押し込んで、膨出部材23の外径を増減するナット21が設けられている。膨出部材23と頭部24との間には、ワッシャ27が嵌め込まれている。また、このネジ部22は、断面L字のL型金具25の水平部25aに設けられた貫通孔(図示せず)に挿通され、ナット21と膨出部材23とでL型金具25を挟み込んでいる。このL型金具25は、例えば、その厚さが3.2mmである。そして、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に膨出部材23が挿入されて、ナット21を締めて、頭部24とナット21との間の間隔を調整することにより、膨出部材23を膨出させて、そのパイプに、膨出部材23を摩擦係合させる。これにより、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に、連結治具1fが取り付けられる。なお、この連結治具1fは、第1取付部材2e以外の構成は、本発明の第1実施形態の連結治具1と同じである。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態に係る連結治具について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る連結治具を示す平面図である。図13に示すように、本実施形態に係る連結治具1eは、その連結部材3aの第1部材3bが、第1取付部材2に連結されており、この第1部材3bは剛体である。また、第2取付部材4には、第2部材3cが連結されており、この第2部材3bも剛体である。そして、この第1部材3aと第2部材3bとが、関節部3dによって相対的に回転可能に連結されている。このように、本実施形態の連結治具1eは、連結部材3aの第1部材3b及び第2部材3cが、剛体であることが、本発明の第1実施形態の連結治具1と異なる。
【0039】
この本実施形態の連結治具1eは、関節部3dにおいて、第1部材3b及び第2部材3cが、相対的に回転するため、連結部材3aの幅を縮めたり、広げたりすることができる。これにより、例えば、連結治具1eを用いて車椅子と点滴台とを連結する場合、車椅子及び点滴台が、幅が狭い通路を通過するとき、第1部材3bと第2部材3cを、関節部3dを軸として、第1部材3b及び第2部材3cが近づくように回転させれば、連結部材3aの幅が小さくなり、従って、車椅子と点滴台との距離を縮めることができるため、その通路を通過することができる。このように、連結治具1eは、連結部材3aが柔軟性を有さない剛体であっても、その連結部材3の幅を変更することができる。
【符号の説明】
【0040】
1,1e,1f:連結治具、2,2e:第1取付部材、3,3a:連結部材、3b:第1部材、3c:第2部材、3d:関節部、4:第2取付部材、21:ナット、22:ネジ部、23:膨出部材、24:頭部、25:L型金具、25a:水平部、25b:垂直部、25c:第2円筒部材、25d:傾斜面、26:第1ボルト、27:ワッシャ、28:ボルト、29:第1円筒部材、29a:傾斜面、41:本体部、41a:空間、42:第2ボルト、43:開口部、44:開閉部材、44a:第1垂直部、44b:第2垂直部、46:突設部、47:第1突起、47a:孔、48:第2突起、48a:孔、49a,49b:軌跡、51:点滴台、52:支柱、53:輸液バッグ、54a,54b,54c,54d,54e:脚部、55a,55b,55c,55d,55e:キャスタ、56:吊り下げ金具、57:輸液チューブ、61:ベッド、62:パイプ、63:柵、64:寝床部、71:車椅子、72:パイプ、73:車輪、74:座部、75:第2車輪、76:フットレスト、77:補助部材、81:ストレッチャ、82:パイプ、83:脚部、84a,84b:柵、85:キャスタ、86a,86b:キャスタロック、87:把手部、88:寝床部、89:補助部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13